(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明側通信手段は、当該照明側通信手段が受信した情報をランダムな時間経過後に中継送信することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の照明制御システム。
前記照明制御装置が、前記給電の開始後、前記制御側通信手段から前記識別符号設定情報を複数回送信することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の照明制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、鉄道車両にLED照明を導入することは利点が多い半面、新たにLED照明を導入するため必要な制御線の敷設の問題の検討が必要になる。そこで、制御線の敷設が省略できる無線を利用することが考えられるが、無線で特に電波を使用した場合、電波は列車の進行方向と平行な方向(車両の連結されている方向)に限らず、それ以外の方向にも放射されるので、例えば、駅等で隣接している別編成の列車からの電波を受信してしまい、誤動作を引き起こす恐れがある。
【0006】
このような誤動作を防止するためには、列車編成ごとにID等の列車編成を判別する固有識別符号を設定し、その固有識別符号を利用して通信すればよい。しかしながら、固有識別符号を1つの列車を編成する車両内の全ての照明装置やその照明装置を制御する照明制御装置等に設定する場合、手動で行うのは煩雑であり、さらには設定ミス等が発生するといった問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題を解決することを目的としている。
【0008】
すなわち、本発明は、容易に列車編成を判別する固有識別符号を設定することができる照明制御システム、照明制御装置及び照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、列車に備えられる照明制御システムであって、列車編成を判別する固有識別符号が設定される固有識別符号設定部及び無線通信を行う制御側通信手段を有する少なくとも1つの照明制御装置と、前記固有識別符号が格納される識別符号格納部及び無線通信を行う照明側通信手段をそれぞれ有する複数の照明装置と、が備えられ、前記照明制御装置及び前記複数の照明装置が、予め定めた共通の初期識別符号が設定される初期識別符号設定部をさらに有し、前記照明制御装置及び前記複数の照明装置に同時に給電が開始され、前記照明制御装置は、前記給電の開始後、前記複数の照明装置に前記初期識別符号と前記固有識別符号とを含む識別符号設定情報を前記制御側通信手段から送信し、前記複数の照明装置は、前記給電の開始から所定時間以内に、前記照明側通信手段が前記初期識別符号を含む前記識別符号設定情報を受信した場合は、当該識別符号設定情報に含まれる前記固有識別符号を前記識別符号格納部に格納する、ことを特徴とする照明制御システムである。
【0010】
照明制御装置は、給電の開始後、複数の照明装置に初期識別符号と固有識別符号を含む識別符号設定情報を制御側通信手段から送信する。そして、複数の照明装置は、給電の開始から所定時間以内に、照明側通信手段が初期識別符号を含む識別符号設定情報を受信した場合は、当該識別符号設定情報に含まれる固有識別符号を識別符号格納部に格納する。このようにして、自動的に固有識別符号が複数の照明装置に格納される。また、初期識別符号を給電の開始から固有識別符号が格納されるまでの期間のみ使用することができる。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記複数の照明装置が、それぞれ、前記照明制御装置から自らを識別させるための照明識別符号が設定される照明識別符号設定部を有し、前記複数の照明装置は、前記固有識別符号が前記識別符号格納部に格納された後に、前記固有識別符号と前記照明識別符号とを含む確認情報を前記照明側通信手段から前記照明制御装置に送信し、前記照明制御装置は、前記複数の照明装置から前記制御側通信手段が受信した前記確認情報のうち、前記固有識別符号設定部に設定された固有識別符号と一致するとともに相互に異なる照明識別符号の数を計数し、予め設定されている前記照明装置の接続台数と一致しない場合は、前記識別符号設定情報の再送信を促す情報を出力する、ことを特徴とするものである。
【0012】
照明制御装置で照明識別符号を計数することで、照明装置の数を数えることができ、接続台数と一致しない場合に再度固有識別符号の設定をすることができる。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記照明識別符号が、当該照明装置の製造番号であることを特徴とするものである。
【0014】
照明装置ごとに付与される製造番号を固有の照明識別符号とすることができる。
【0015】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載された発明において、前記照明側通信手段は、当該照明側通信手段が受信した情報をランダムな時間経過後に中継送信することを特徴とするものである。
【0016】
照明装置が識別符号設定情報や確認情報等をランダムな時間経過後に中継して中継送信が重なって誤動作を起こす確率を低下させる。
【0017】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載された発明において、前記照明制御装置が、前記給電の開始後、前記制御側通信手段から前記識別符号設定情報を複数回送信することを特徴とするものである。
【0018】
照明制御装置が、前記給電の開始後に制御側通信手段から識別符号設定情報を複数回送信して確実に固有識別符号を照明装置に設定している。
【0019】
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載された発明において、前記照明側通信手段は、当該照明側通信手段が受信した情報を複数回送信することを特徴とするものである。
【0020】
照明装置の照明側通信手段が、照明側通信手段が受信した情報を複数回送信して、識別符号設定情報の中継送信が確実にされるとともに、確認情報等を照明制御装置に確実に送信している。
【0021】
請求項7に記載された発明は、列車編成を判別する固有識別符号が設定され、無線通信を行う制御側通信手段を有し複数の照明装置を制御する照明制御装置であって、前記複数の照明装置と共通な予め定めた初期識別符号が設定されており、給電の開始後、前記複数の照明装置に前記初期識別符号と前記固有識別符号とを含む識別符号設定情報を前記制御側通信手段から送信することを特徴とする照明制御装置である。
【0022】
照明制御装置は、給電の開始後、複数の照明装置に初期識別符号と固有識別符号を含む識別符号設定情報を制御側通信手段から送信する。また、初期識別符号を給電の開始から固有識別符号が格納されるまでの期間のみ使用することができる。
【0023】
請求項8に記載された発明は、列車編成を判別する固有識別符号が格納される識別符号格納部及び無線通信を行う照明側通信手段を有し、照明制御装置から制御可能な照明装置であって、前記照明制御装置と共通な予め定めた初期識別符号が設定されており、給電の開始から所定時間以内に、前記照明側通信手段が前記初期識別符号を含む識別符号設定情報を受信した場合は、当該識別符号設定情報に含まれる前記固有識別符号を前記識別符号格納部に格納する、ことを特徴とする照明装置である。
【0024】
複数の照明装置は、給電の開始から所定時間以内に、照明側通信手段が初期識別符号を含む識別符号設定情報を受信した場合は、当該識別符号設定情報に含まれる固有識別符号を識別符号格納部に格納する。このようにして、自動的に固有識別符号が複数の照明装置に格納される。また、初期識別符号を給電の開始から固有識別符号が格納されるまでの期間のみ使用することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、自動的に固有識別符号が複数の照明装置に格納されるので、手動により固有識別符号を設定する必要がなくなる。したがって、容易に列車編成を判別する固有識別符号を設定することができる。また、初期識別符号を給電の開始から固有識別符号が格納されるまでの期間のみ使用しているので、異なる列車間の通信による誤動作を少なくすることができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、照明制御装置で照明識別符号を計数することで、当該列車編成における照明装置の総数を数えることができる。その結果、例えば、他の列車編成に取り付けられた照明装置が誤って固有識別符号を設定された場合や、逆に他の列車編成の固有識別符号が誤って設定された場合などは、予め設定されている接続台数と一致しないので、再度固有識別符号の設定をすることができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、照明装置の製造時に必ず付与される製造番号を照明識別符号とすることができるので、照明識別符号をユニークな番号とすることができる。したがって、誤って複数回計数することを防止できる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、照明装置が識別符号設定情報や確認情報等をランダムな時間経過後に中継するので、長大な編成の場合でも固有識別符号を全ての車両の照明装置に設定することができる。また、ランダムな時間経過後とすることで、中継送信が重なって誤動作を起こす確率を低下させることができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、制御側通信手段から識別符号設定情報を複数回送信することで、識別符号設定情報が通信障害等により全ての照明装置まで伝わらなくなる確率を少なくして、固有識別符号を確実に照明装置に設定することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、照明側通信手段が受信した情報を複数回送信することで、受信した情報の中継が通信障害等により他の照明装置や照明制御装置まで伝わらなくなる確率を少なくして、確実に中継することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、自動的に固有識別符号が複数の照明装置にするので、手動により固有識別符号を設定する必要がなくなる。したがって、容易に列車編成を判別する固有識別符号を設定することができる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、自動的に固有識別符号が照明装置に格納されるので、手動により固有識別符号を設定する必要がなくなる。したがって、容易に列車編成を判別する固有識別符号を設定することができる。また、初期識別符号を給電の開始から固有識別符号が格納されるまでの期間のみ使用しているので、異なる列車間の通信による誤動作を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図5を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる照明制御システムの構成図である。
図2は、
図1に示された照明制御装置の構成図である。
図3は、
図1に示された照明制御システムで用いられる伝送フレームフォーマットの説明図である。
図4は、
図1に示された照明装置の構成図である。
図5は、
図1に示された照明制御装置と照明装置の識別IDの設定動作のフローチャートである。
【0035】
図1は本実施形態の照明制御システム1の概略構成を示している。通常、照明制御装置2は鉄道車両(以下、車両とする)の端部の乗務員室に置かれる。列車には運行計画に従って編成符号が付与されており編成符号により列車間の識別が行われる。また、照明装置3は、車両の主に客室内に置かれ室内灯として機能する。また、照明制御装置2と照明装置3は既設の電源線等により同時に給電が開始される。そして、
図1に示すように照明制御装置2及び照明装置3間で無線による情報のやり取りを行うために、それぞれには後述するように無線通信を行う手段を有している。
【0036】
図2は照明制御装置2の構成図である。照明制御装置2は、調光/調色制御データ生成部21と、識別ID暗号化情報設定部22と、多重化・パケット化部23と、メモリ回路24と、変調回路25と、送信/受信切替回路26と、アンテナ27と、タイミング生成部28と、復調回路29と、制御回路2Aと、を備えている。
【0037】
調光/調色制御データ生成部21は、調光/調色制御データを生成する。本実施形態では、複数の照明装置3へ調光照明指令情報を送信することで、調光や調色をすることができる。調光/調色制御データ生成部21は、上述した調光照明指令情報の基となる調光/調色制御データを生成する。ここで調光とは照明の輝度を制御して環境の照度を変えることを言い、調色とは、複数色の割合を変えて色度を変えることを言う。環境に合わせて車両内の明るさ(照度)と色具合(色度)を調整して快適な環境を提供するためである。
【0038】
固有識別符号設定部、初期識別符号設定部としての識別ID暗号化情報設定部22は、列車編成を判別する固有識別符号としての識別IDが設定されている。識別IDは、編成番号等に基づいて予めディップスイッチなどで列車編成毎に一意に決まるIDが与えられる。また、識別ID暗号化情報設定部22は、調光照明指令情報や後述する識別符号設定情報を暗号化するための情報が設定されている。照明制御装置2から送信する各種情報は、暗号化されて送信に適した形式のパケットにされる。暗号化のキーは任意であるが、一意に決まる識別符号を暗号化のキーとして用いることで、暗号解読を行う照明装置へ暗号キーを送付する手間が省ける。
【0039】
また、識別ID暗号化情報設定部22は、初期識別符号としてのフリーIDが設定されている。フリーIDは、列車の編成等も無関係に照明制御装置2や照明装置3に共通して予め設定されているIDであり、製造時等に設定される。フリーIDは予めディップスイッチなどで与えられる。
【0040】
フリーIDは、識別IDを照明装置3に設定する際に識別IDの代わりに利用される。例えば、送信するパケットにおいて、フリーIDを識別IDが設定される領域に設定し、識別IDをデータの領域に設定することで、識別IDを照明装置3に設定するための識別符号設定情報となる。
【0041】
なお、識別IDとフリーIDは、スイッチで設定するに限らず、ROMやEEPROM等の不揮発性のメモリに格納されていてもよい。また、フリーIDは、設計時等に固定値を出力する回路等として組み込んでもよい。
【0042】
多重化・パケット化部23は、調色制御データや識別IDをパケット化して調光照明指令情報を生成したり、フリーIDや識別IDをパケット化して識別符号設定情報を生成したりする。
【0043】
図3に調光照明指令情報や識別符号設定情報を構成するパケットの伝送フレームフォーマットの例を示す。
図3に示した伝送フレームフォーマットは、先頭からSTX、Text、ETX、SUMの順に並んでいる。STXは、フレームの先頭を示し、8ビットで構成されている。Textは、送信データを示し、128ビットで構成されている。ETXは、Textの終端を示し、8ビットで構成されている。SUMは、チェックサムを示し、16ビットで構成されている。
【0044】
そして、Textの0ビット目〜7ビット目までをフリーIDまたは識別IDが設定されるフィールドとし、Textの8ビット目以降を設定するデータ等のフィールドとする。例えば、識別符号設定情報の場合は、Textの0ビット目〜7ビット目にフリーIDを設定し、Textの8ビット目以降に8ビットの識別IDを設定する。調光照明指令情報の場合は、Textの0ビット目〜7ビット目に識別IDを設定し、Textの8ビット目以降に調色制御データを設定する。勿論この伝送フレームフォーマットは、照明装置3が送信する情報にも適用され、例えば、確認情報(第2の実施形態参照)の場合、Textの0ビット目〜7ビット目に識別IDを設定し、Textの8ビット目以降に8ビットの製造番号情報を設定する。
【0045】
メモリ回路24は、多重化・パケット化部23が生成した各種送信情報を蓄積する。変調回路25は、メモリ回路24に蓄積された各種送信情報を読み出して、適宜な搬送波に変調する。送信/受信切替回路26は、アンテナ27からの送信または受信を制御回路2Aの制御により切り替える。送信の場合は、変調回路25で変調された信号をアンテナ27に出力して、照明装置3に送信する。受信の場合は、アンテナ27が受信した信号を復調回路29に出力する。
【0046】
タイミング生成部28は、メモリ回路24の読み出しタイミングや、変調回路25の変調タイミング等を制御する。これらのタイミングは、予め定めた一定周期(一定時間間隔)やランダムな周期で行われる。なお、ランダムな周期とは上限と下限が設定された範囲内におけるランダムな値に基づく周期である。
【0047】
復調回路29は、アンテナ27が受信した信号を復調する。制御回路2Aは、復調回路29で復調された信号から照明装置3等からの送信情報を受信し、受信した情報に基づいてメモリ回路24や、変調回路25等を制御する。
【0048】
以上の説明から明らかなように、多重化・パケット化部23と、メモリ回路24と、変調回路25と、送信/受信切替回路26と、アンテナ27と、タイミング生成部28と、復調回路29と、制御回路2Aと、が制御側通信手段を構成する。
【0049】
上述した構成の照明制御装置2は、電源が給電開始された後、識別ID暗号化情報設定部22に設定されているフリーIDと識別IDから識別符号設定情報となるパケットを多重化・パケット化部23で生成し、メモリ回路24に蓄積されて、タイミング生成部28が生成したタイミングにしたがって、当該パケットがメモリ回路24から読み出されて、変調回路25で変調され送信される。照明装置3に識別IDが設定された後は、調光/調色制御データ生成部21で生成された調光/調色制御データと識別IDから調光照明指令情報となるパケットを多重化・パケット化部23で生成し、メモリ回路24に蓄積されて、タイミング生成部28が生成したタイミングにしたがって、当該パケットがメモリ回路24から読み出されて、変調回路25で変調され送信される。
【0050】
図4は照明装置3の構成図である。まず
図4(A)の構成を説明する。
図4(A)は調光のみが行える照明装置3の構成である。照明装置3は、各種情報設定部31と、アンテナ32と、送信/受信切替回路33と、復調回路34と、調光回路35と、発光部36と、遅延回路37と、変調回路38と、を備えている。
【0051】
識別符号格納部、初期識別符号設定部としての各種情報設定部31は、照明制御装置2から設定される識別IDが格納されるメモリ等の識別符号格納部を有している。各種情報設定部31は、識別ID暗号化情報設定部22と同様に暗号キー等も設定され、製造番号情報が設定されている。製造番号情報は、当該照明装置3を製造した際に付与される固有の番号である。また、各種情報設定部31は、初期識別符号としてのフリーIDが設定されている。フリーIDは、上述したように、列車の編成等も無関係に照明制御装置2や照明装置3に共通して予め設定されているIDであり、製造時等に設定される。フリーIDは、照明制御装置2と同様に予めディップスイッチなどで設定される。
【0052】
送信/受信切替回路33は、アンテナ32からの送信または受信を切り替える。送信の場合は、変調回路38で変調された信号をアンテナ32に出力して、照明制御装置2や他の照明装置3に送信する。受信の場合は、アンテナ32が受信した信号を復調回路34に出力する。
【0053】
復調回路34は、アンテナ32が受信した信号を復調するとともに暗号化されていた場合は暗号を復号化する。調光回路35は、復調回路で復調された調光照明指令情報から取得した調光/調色制御データに基づいて調光を行う。発光部36は、例えばLEDで構成され、調光回路35の制御により輝度が調節(調光)される。
【0054】
遅延回路37は、復調回路34が復調し、復号化した調光照明指令情報や識別符号設定情報を中継送信するための送信タイミングを調整するために変調回路38で変調するタイミングを遅延させる。つまり、遅延回路37は、タイミング生成部28と同様に、変調回路25の変調タイミングを制御する。このタイミングは、タイミング生成部28と同様に、予め定めた一定周期(一定時間間隔)やランダムな周期で行われる。変調回路38は、遅延回路37で遅延された情報を暗号化及び再変調してアンテナ32から送信する。
【0055】
次に
図4(B)の構成を説明する。
図4(B)は調光と調色が行える照明装置3の構成である。
図4(A)とは、調光回路35A、35Bと、発光部36A、36Bがそれぞれ設けられている点が異なる。
【0056】
図4(B)に示した構成は、調色、即ち色度を変えることができるため、複数色(図では2色)それぞれに対応して調光回路35A、35Bと、発光部36A、36Bが設けられている。そして、調光照明指令情報から取得した調光/調色制御データに基づいて色度をそれぞれ変更する。
【0057】
以上の説明から明らかなように、アンテナ32と、送信/受信切替回路33と、復調回路34と、遅延回路37と、変調回路38と、が照明側通信手段を構成する。
【0058】
上述した構成の照明装置3は、電源が給電されてから所定時間内にアンテナ32で受信した信号から復調回路で識別符号設定情報を復調し、識別IDを各種情報設定部31に格納して設定するとともに、識別符号設定情報を再度変調してアンテナ32から送信する(識別符号設定情報を中継送信する)。各種情報設定部31に識別IDが設定された後(所定時間経過後)は、アンテナ32で受信した信号から調光照明指令情報を復調し、設定された識別IDと一致する調光照明指令情報の調光/調色制御データに基づいて調光回路35等で発光部の輝度や色度を調節して調光や調色を行うとともに、調光照明指令情報を再度変調してアンテナ32から送信する(調光照明指令情報を中継送信する)。
【0059】
図5に照明制御装置2と照明装置3の識別ID設定動作のフローチャートを示す。
図5の説明においては、照明制御装置2を親機、照明装置3を子機として説明する。また、
図5は照明装置3が2つの場合(子機1、子機2)の例であり、子機2は、親機から直接電波が届かない位置に設置されており、子機1に中継されて親機からの情報を受信するものとする。また、以後のフローチャート内に用いられるカウンタ値は全て初期値0とする。
【0060】
まず、親機の動作から説明する。電源投入後(給電開始後)の最初のステップSC101において、識別ID暗号化情報設定部22に設定されているフリーIDを読み込み、ステップSSC102において、識別ID暗号化情報設定部22に設定されている識別IDを読み込む。そして、識別符号設定情報となるパケットを多重化・パケット化部23で生成し、メモリ回路24に蓄積する。
【0061】
次に、ステップSC103において、ランダムな時間待機する(ランダム時間待ち)。このステップは、タイミング生成部28がメモリ回路24や変調回路25などに識別符号設定情報を送信させるタイミングを生成している。このランダムな時間は、例えば、0.1秒〜1秒の間など予め定めた上限と下限の範囲内でランダムに生成された時間とする。
【0062】
次に、ステップSC104において、識別ID(識別符号設定情報)を送信する。即ち、メモリ回路24から識別符号設定情報を読み出して、変調回路25で変調してアンテナ27から送信される。
【0063】
次に、ステップSC105において、タイミング生成部28内のカウンタCOUNTをインクリメントし、続くステップSC106において、COUNTの値が4より大きい場合は、識別IDの設定が完了したとして動作を終了する(ステップSC107)。
【0064】
一方、ステップSC106において、COUNTの値が4以下の場合は、ステップSC103に戻る。つまり、ステップSC103〜SC106のループが5回行われるため、識別符号設定情報は5回送信される。
【0065】
上述したように、親機がステップSR107の実行により子機1、子機2と調光照明指令情報等の通信ができるようになるまでの時間はランダムな時間×5(単位は例えば秒)となる。
【0066】
次に、子機1の動作を説明する。電源投入後(給電開始後)の最初のステップSR101において、復調回路34が各種情報設定部31に設定されているフリーIDを読み込む。
【0067】
次に、ステップSR102において、識別ID(識別符号設定情報)の受信があったか否かを判断する。つまり、復調回路34でステップSR101で読み込んだフリーIDと一致する識別符号設定情報を受信した場合は受信したと判断する。受信しない場合は受信するまで待機する。
【0068】
次に、ステップSR103において、ランダムな時間待機する(ランダム時間待ち)。このステップは、遅延回路37が変調回路38へ受信した識別符号設定情報を出力するタイミングを生成している。このランダムな時間は、親機と同様に、0.1秒〜1秒の間など予め定めた上限と下限の範囲内でランダムに生成された時間とする。
【0069】
次に、ステップSR104において、識別ID(識別符号設定情報)を送信する。即ち、変調回路38で変調してアンテナ32から送信される。つまり、このステップを実行することで識別符号設定情報を中継送信している。
【0070】
次に、ステップSR105において、遅延回路37内のカウンタCOUNTをインクリメントし、続くステップSR106において、COUNTの値が4より大きい場合は、受信した識別IDを各種情報設定部31に設定して動作を終了する(ステップSR107)。なお、識別IDは、ステップSR102で識別IDを受信した時点で各種情報設定部31に設定してもよい。ステップS107以降は、識別IDによる通信(例えば調光照明指令情報等の送受信)が行われる。
【0071】
一方、ステップSR106において、COUNTの値が4以下の場合は、ステップSR103に戻る。つまり、ステップSR103〜SR106のループが5回行われるため、識別符号設定情報は5回中継送信される。
【0072】
子機1は、親機から直接識別符号設定情報を受信して識別IDを設定する。したがって、子機1がステップSR107の識別ID設定までにかかる時間は親機のランダムな時間(×1以上×5以下)+自身のランダムな時間×5となる。なお、親機のランダムな時間が、×1以上×5以下となっているのは親機からの送信が必ずしも1回で受信できるとは限らないためである。また、ステップSR102で識別IDを設定した場合は、親機のランダムな時間(×1以上×5以下)のみとなる。
【0073】
次に、子機2の動作であるが、子機2は基本的に子機1と同じ動作を行う。したがって
図5のステップSR201〜SR207の動作はSR101〜SR107と同様である。子機2は、子機1に中継送信された識別符号設定情報を受信して識別IDが設定される。
【0074】
したがって、子機2がステップSR207の識別ID設定までにかかる時間は親機のランダムな時間(×1以上×5以下)+子機1のランダムな時間(×1以上×5以下)+自身のランダムな時間×5となる。なお、ステップSR202で識別IDを設定した場合は、親機のランダムな時間(×1以上×5以下)+子機1のランダムな時間(×1以上×5以下)となる。
【0075】
このように、子機に識別IDが設定される時間は、中継の有無や中継回数によってそれぞれ異なる時間となる。 勿論、1回あたりの待ち時間がランダムに決まるため、中継回数が同じであっても異なる時間となる場合がある。しかしながら、フリーIDは製造される全ての照明制御装置2と照明装置3に共通なIDであるので、この識別IDの設定に時間がかかると他の列車編成の識別符号設定情報による誤設定が起こる確率が高くなる。そこで、1つの列車編成内の全ての照明装置3へ識別IDを設定する上限時間(例えば電源投入から5秒など)を予め設定し、列車編成における連結車両数や中継回数の最悪予測値などから、前記上限時間を満たすように親機や子機のランダムの範囲や送信回数を設定する。したがって、前記した1つの列車編成内の全ての照明装置3へ識別IDを設定する上限時間が特許請求の範囲に記載した所定時間となる。つまり、この所定時間以内に当該列車編成に接続されている(照明制御システム1に備えられている)照明装置3に識別IDが設定され、所定時間経過後は識別IDを利用した通信が行われる。
【0076】
本実施形態によれば、照明制御装置2が、フリーIDを利用して識別IDを複数の照明装置3に送信して、照明装置3では、フリーIDを認識して識別IDを抽出し設定するので、手動により識別IDを設定する必要がなくなる。したがって、容易に列車編成を判別する識別IDを設定することができる。また、フリーIDを給電の開始から識別IDが照明装置3に設定されるまでの期間のみ使用しているので、異なる列車間の通信による誤動作を少なくすることができる。
【0077】
また、照明装置3が識別符号設定情報をランダムな時間経過後に中継するので、長大な編成の場合でも識別IDを全ての車両の照明装置3に設定することができる。また、ランダムな時間経過後とすることで、中継送信が重なって誤動作を起こす確率を低下させることができる。
【0078】
また、照明制御装置2から識別符号設定情報を複数回送信することで、識別符号設定情報が通信障害等により全ての照明装置3まで伝わらなくなる確率を少なくして、識別IDを確実に照明装置3に設定することができる。
【0079】
また、照明装置3が受信した識別符号設定情報を複数回送信することで、受信した情報の中継が通信障害等により他の照明装置3や照明制御装置2まで伝わらなくなる確率を少なくして、確実に中継することができる。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかる照明制御装置2及び照明装置3について、
図6乃至
図8を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる照明制御装置と照明装置の識別IDの設定動作のフローチャートである。
図7は、
図6に示されたフローチャートに続けて実行される接続数の確認動作のフローチャートである。
図8は、本発明の第2の実施形態にかかる確認情報を中継する際の子機の動作を示したフローチャートである。
【0081】
本実施形態は、第1の実施形態と構成は同様であるが、動作が異なる。具体的には、識別ID設定後に誤設定がないか確認する動作が追加されている。列車は、その編成が決定すれば、1編成に設置される照明装置3の数(接続数)を求めることができる。そこで、識別ID設定後に、各照明装置3の各種情報設定部31に設定されている製造番号を製造番号情報として照明制御装置2に送信する。即ち、製造番号情報が照明識別符号となり、各種情報設定部31が照明識別符号設定部として機能する。そして、照明制御装置2が受信した製造番号情報の数を計数し、予め求めた接続数と比較することで、識別IDの設定漏れや他の編成の照明装置に誤って設定したなどの誤設定を検出することができる。
【0082】
本実施形態では、制御回路2Aには、照明装置3の接続台数(正解接続数)が設定されている。接続台数は、照明制御装置2から制御される全ての照明装置3の台数である。通常は、1編成分の台数(1両当たりの照明装置3の台数×連結される車両数)が設定されている。なお、接続台数は、1両当たりの照明装置3の台数と連結される車両数をそれぞれ設定可能とし、演算して求めるようにしてもよい。そして、制御回路2Aは、正解接続数と後述する確認情報に含まれる製造番号情報のカウント数を比較して、アラームを出力するか否かを判断する。
【0083】
図6に照明制御装置2と照明装置3の識別ID設定動作のフローチャートを示す。
図6に示したフローチャートは、子機2を省略したことを除いて各ステップの動作は
図5と同様である(
図5に示したCOUNTは、後述するCOUNT2、COUNT3と区別するために
図6ではCOUNT1としている)。
図6に示したフローチャートは
図7に続いている。
【0084】
図7は、識別ID設定後の接続数の確認動作のフローチャートである。まず、親機の動作から説明する。ステップSC107から進んだステップSC108において、制御回路2A内のタイマの値tを0としてスタートさせ、ステップSC109において制御回路2A内に設定されている正解接続数(照明装置3の接続台数)を読み込む。
【0085】
次に、ステップSC110において、ランダムな時間待機する(ランダム時間待ち)。そして、ステップSC111において、復調回路29で復調された信号から制御回路2Aが、製造番号情報を含む確認情報を受信したか否かを判断する。この判断は、識別ID暗号化情報設定部22に設定されている識別IDと一致する確認情報を受信したか否かで判断する。受信しない場合は受信するまで待機し、受信した場合はステップSC112に進む。即ち、確認情報とは、識別IDと製造番号情報を含む情報である。
【0086】
次に、ステップSC112において、制御回路2Aが、ステップSC111で受信した製造番号情報は初めて受信したか否かを判断する。本ステップの判断をすることで、同じ製造番号(つまり、同じ照明装置3)を誤って複数回数えることを防止できる。製造番号は、同じ番号が付与されることはないので、照明制御装置2から各照明装置3を識別させることができる。ステップSC112の判断の結果初めて受信した接続番号である場合は、ステップSC113において、制御回路2Aが、製造番号数をカウント(インクリメント)する。ステップSC112の判断の結果初めて受信した接続番号でない場合は、ステップSC113を実行しない。即ち、制御側通信手段が受信した確認情報のうち、固有識別符号設定部に設定された固有識別符号と一致するとともに相互に異なる照明識別符号の数を計数している。
【0087】
次に、ステップSC114において、制御回路2Aが、タイマ値tが30秒を超えているか否かを判断し、超えている場合はステップSC115に進み、超えていない場合はステップSC110に戻る。つまり、製造番号情報の受信は照明装置3に識別IDが設定された後30秒間行われるため、この30秒間に受信した製造番号情報がカウントされる。勿論、タイマ値tは30秒に限定されず、設置される照明装置3の数や識別IDを設定する所定時間などに応じて適宜変更してもよい。
【0088】
次に、ステップSC115において、制御回路2Aが、製造番号カウント値と正解接続数が一致するか否かを判断し、正解の場合は終了し、正解でない場合はステップSC116において、アラームを発する。アラームとしては、例えば、照明制御装置2自身に設けられている、または、接続されている表示装置や音声出力装置等から、文字等の表示による警告や警告音等による警告を出力して識別IDの再設定を促す。即ち、正解接続数が一致しない場合は、照明制御装置2からは、識別IDの再設定(識別符号設定情報の再送信)を促す情報を表示装置や音声出力装置等に出力している。再設定は、例えば電源の再投入などで行うことができる。
【0089】
次に、子機1の動作を説明する。ステップSR107から進んだステップSR108において、各種情報設定部31内のタイマの値tを0としてスタートさせ、ステップSR109において各種情報設定部31内に設定されている製造番号を読み込む。そして、識別IDと製造番号情報を含む確認情報を生成する。
【0090】
次に、ステップSR110において、ランダムな時間待機する(ランダム時間待ち)。このステップは、遅延回路37が変調回路38へステップSR109で生成した確認情報を出力するタイミングを生成している。このランダムな時間は、第1の実施形態と同様に、例えば0.1秒〜1秒の間など予め定めた上限と下限の範囲内でランダムに生成された時間とする。
【0091】
次に、ステップSR111において、製造番号情報(確認情報)を送信する。即ち、変調回路38で変調してアンテナ32から送信される。
【0092】
次に、ステップSR112において、遅延回路37内のカウンタCOUNT2をインクリメントし、続くステップSR113において、COUNT2の値が4より大きい場合は、ステップSR114に進む。一方、COUNT2の値が4以下の場合は、ステップSR110に戻る。つまり、ステップSR110〜SR113のループが5回行われるため、確認情報は5回送信される。
【0093】
次に、ステップSR114において、各種情報設定部31が、タイマ値tが5秒を超えているか否かを判断し、超えている場合は終了し、超えていない場合は超えるまで待機する。つまり、照明装置3が確認情報を送信するのは識別ID設定後(所定時間経過後)5秒の間に行われる。勿論、タイマ値tは5秒に限定されず、システム構成等に応じて適宜変更してもよい。
【0094】
図5に示した子機2も、確認情報の送信動作は
図7と同様の動作を行うため説明は省略する。また、確認情報も、子機が中継送信して照明制御装置2まで伝送することは、識別符号設定情報と変わらない。
図8に確認情報を中継する際の子機の動作を示す。
図8のフローチャートは割り込みにより動作する。
【0095】
まず、ステップSR301において、復調回路34が受信したデータを復調後、変数Nに格納する。変数Nは例えば内部メモリやレジスタ等に割り当てればよい。そして、ステップSR302において、復調回路34が変数Nに格納された受信データが初めて受信されたものか否かを判断し、初めて受信されたデータでない場合は割り込み処理を終了する。
【0096】
一方、ステップSR302で初めて受信されたデータの場合は、ステップSR303において、ランダムな時間待機する(ランダム時間待ち)。このステップは、ステップSR103と同様に、遅延回路37が変調回路38へ受信した識別符号設定情報を出力するタイミングを生成している。
【0097】
次に、ステップSR304において、変数Nに格納されたデータを送信する。即ち、変調回路38で変調してアンテナ32から送信される。つまり、このステップを実行することで確認情報を中継送信している。
【0098】
次に、ステップSR305において、遅延回路37内のカウンタCOUNT3をインクリメントし、続くステップSR306において、COUNT3の値が4より大きい場合は、割り込み動作を終了する。一方、ステップSR306において、COUNT3の値が4以下の場合は、ステップSR303に戻る。つまり、ステップSR303〜SR306のループが5回行われるため、変数Nに格納されたデータ(確認情報)は5回中継送信される。
【0099】
なお、
図8のフローチャートは識別符号設定情報の中継に利用することもできる。その場合は、ステップSR302を削除すればよい。
【0100】
また、
図7及び
図8のフローチャートによる接続数の確認動作は、識別ID設定後の1回に限らず、所定の時間をあけて複数回行ってもよい。そのようにすることで、識別IDの設定漏れの数と他の編成の照明装置に誤って設定した数が同数の場合などの誤設定をより確実に検出することができる。
【0101】
本実施形態によれば、照明制御装置2で製造番号情報を計数することで、当該列車編成における照明装置3の総数を数えることができる。その結果、例えば、他の列車編成に取り付けられた照明装置3が誤って識別IDを設定された場合や、逆に他の列車編成の識別IDが誤って設定された場合などは、予め設定されている接続台数と一致しないので、再度識別IDの設定をすることができる。
【0102】
また、照明装置3の製造時に必ず付与される製造番号を照明識別符号としているので、照明識別符号をユニークな番号とすることができる。したがって、誤って複数回計数することを防止できる。
【0103】
なお、照明装置3において、復調回路34や遅延回路37及び変調回路38等がフローチャートの制御を行っていたが、図示しない制御回路等を別途備えて、フローチャートの制御等を司るようにしてもよい。
【0104】
また、照明識別符号としては、製造番号に限らず、MAC(Media Access Control)アドレス等の照明制御装置2が照明装置3を識別できるようなユニークな番号(符号)が付与されるものであればよい。
【0105】
また、待ち時間をランダムな時間に設定していたが、予め定めた一定時間としてもよい。
【0106】
また、上述した実施形態では、搬送波として電波を利用していたが、光でもよい(光通信)。搬送波が光の場合は、アンテナがレンズなど光学系に置き換わる。
【0107】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の照明制御システム、照明制御装置及び照明装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。