特許第6163146号(P6163146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6163146語学学習装置、語学学習装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163146
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】語学学習装置、語学学習装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/06 20060101AFI20170703BHJP
   G09B 19/06 20060101ALI20170703BHJP
   G10L 13/02 20130101ALI20170703BHJP
   G10L 19/00 20130101ALI20170703BHJP
【FI】
   G09B5/06
   G09B19/06
   G10L13/02 130A
   G10L19/00 312E
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-199238(P2014-199238)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-71074(P2016-71074A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】306029774
【氏名又は名称】ビッグローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】林 俊二
【審査官】 古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−258739(JP,A)
【文献】 特開2006−189536(JP,A)
【文献】 特開2011−221414(JP,A)
【文献】 特開2007−114599(JP,A)
【文献】 特開2001−331086(JP,A)
【文献】 特開平07−168520(JP,A)
【文献】 特開2004−258231(JP,A)
【文献】 特開2003−131548(JP,A)
【文献】 特開2001−265204(JP,A)
【文献】 特開2000−331467(JP,A)
【文献】 特開2003−177662(JP,A)
【文献】 特開2007−282660(JP,A)
【文献】 特開平10−228228(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0288243(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 − 9/56
G09B 17/00 − 19/26
G10L 13/00 − 13/10
G10L 19/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習する言葉をユーザに対して反復して再生する再生手段と、
前記反復して再生された言葉が前記ユーザに記憶されたか否かを検査する検査手段と、
前記再生手段による反復再生と前記検査手段による検査とを連動して繰り返し実行する実行手段と、
前記再生手段による反復再生中に言葉をスキップするスキップ手段と、
前記スキップ手段によってスキップされた言葉を前記再生手段によって反復再生される前記学習する言葉の中から除外する第1の除外手段と、
を含み、
前記検査手段は、前記第1の除外手段によって除外された言葉が前記ユーザに記憶されたか否かを検査し、
前記除外された言葉が前記ユーザに記憶されていないと、前記除外された言葉を前記反復再生する前記学習する言葉の中に組み入れる第1の組み入れ手段を
さらに含むことを特徴とする語学学習装置。
【請求項2】
学習する言葉をユーザに対して反復して再生する再生手段と、
前記反復して再生された言葉が前記ユーザに記憶されたか否かを検査する検査手段と、
前記再生手段による反復再生と前記検査手段による検査とを連動して繰り返し実行する実行手段と、
前記検査手段による検査中に前記ユーザから覚えた言葉である旨を受け付ける受付手段と、を含み、
前記学習する言葉は、互いに意味の異なる複数の言葉から構成されており、前記再生手段は、前記複数の言葉のうち、最初の言葉を反復再生してから最後の言葉を反復再生するまでの1サイクルを、複数サイクル繰り返し、
前記検査手段において検査した言葉のうち、前記受付手段によって受け付けた言葉の割合に応じて、前記複数サイクルの数を設定する設定手段と、
をさらに含むことを特徴とする語学学習装置。
【請求項3】
前記実行手段は、予め定められた時間内、又は前記検査が予め定められた回数行われる間に、前記スキップ、又は前記受付手段の処理がないとき、前記検査手段による検査が終了しても、前記再生手段による反復再生を実行しないことを特徴とする請求項に記載の語学学習装置。
【請求項4】
語学学習装置の制御方法であって、
学習する言葉をユーザに対して反復して再生する工程と、
前記反復して再生された言葉が前記ユーザに記憶されたか否かを検査する工程と、
前記再生する工程による反復再生と前記検査する工程による検査とを連動して繰り返し実行する工程と、
前記再生する工程よる反復再生中に言葉をスキップされた場合、当該スキップされた言葉を前記再生する工程によって反復再生される前記学習する言葉の中から除外する工程と、
を含み、
前記検査する工程は、前記除外する工程によって除外された言葉が前記ユーザに記憶されたか否かを検査し、
前記除外された言葉が前記ユーザに記憶されていないと、前記除外された言葉を前記反復再生する前記学習する言葉の中に組み入れる工程と、
をさらに含むことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
語学学習装置の制御方法であって、
学習する言葉をユーザに対して反復して再生する工程と、
前記反復して再生された言葉が前記ユーザに記憶されたか否かを検査する工程と、
前記再生する工程による反復再生と前記検査する工程による検査とを連動して繰り返し実行する工程と、
前記検査する工程による検査中に前記ユーザから覚えた言葉である旨を受け付ける工程と、
を含み、
前記学習する言葉は、互いに意味の異なる複数の言葉から構成されており、前記再生する工程は、前記複数の言葉のうち、最初の言葉を反復再生してから最後の言葉を反復再生するまでの1サイクルを、複数サイクル繰り返し、
前記検査する工程において検査した言葉のうち、前記受け付ける工程によって受け付けた言葉の割合に応じて、前記複数サイクルの数を設定する工程と、
をさらに含むことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
語学学習装置のコンピュータに、請求項4又は5に記載の制御方法が含む各工程を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、語学学習装置、語学学習装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記憶を定着させるため繰り返し学習を必要とするもの、例えば、語学の学習等では、センテンスを音声により繰り返し聴き流す学習法がある。この方法を利用した語学教材コンテンツとして、カセットテープにアナログデータとして記録されて提供されるものや、CD(Compact Disk)等にデジタルデータとして記録されて提供されるものがある。
【0003】
また、このCD等を用いた聴き流し学習法と正反対の学習法として、パーソナルコンピュータ(以下、PCという。)やスマートフォン等のモバイル端末を用いて、画面上に表示される単語の和訳を選択操作することにより、単語を覚えているかどうかテストする学習法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−125056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したCD等に録音されたセンテンスを聴き流して覚える学習法では、ユーザの学習負荷は小さいので学習の継続性は高くなるが、CD等から流れるセンテンスが順番通りに流れるため、既に覚えたセンテンスも聞かなければならないことから無駄があり、学習効果は必ずしも高いとは限らなかった。
【0006】
また、上記したPC等を用いて、画面上に表示される単語の訳を選択することにより、単語を覚えているかどうかテストする学習法では、常に画面に集中して操作をしなければならないため、学習負荷が高く、長く続かず継続性が低くなるという問題があった。
【0007】
特許文献1には、ユーザが、センテンスの選択や、順序パターンを工夫して、語学教材コンテンツデータを自由にカスタマイズすることにより、ユーザに合ったより語学学習効果の高い語学教材コンテンツデータを提供する語学教材カスタマイズシステムが開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された語学教材カスタマイズシステムでは、ユーザの嗜好に合わせて語学教材コンテンツデータをカスタマイズすることは可能であるが、学習方法自体は、上記したCD等を聴き流して覚える学習法と基本的には変わらない。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ユーザに合わせて学習負荷を高くも低くもでき、効率的に語学学習を行うことが可能な語学学習装置、語学学習装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明における語学学習装置は、学習する言葉をユーザに対して反復して再生する再生手段と、反復して再生された言葉がユーザに記憶されたか否かを検査する検査手段と、再生手段による反復再生と検査手段による検査とを連動して繰り返し実行する実行手段と、を含み、検査手段は、記憶されたか否かの検査として、マイクに入力されたユーザの音声と記憶された正解の音声とが合致するかで判定する検査、又は、ユーザに複数表示された言葉の中から正解の言葉を選択させる検査を行うことを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するため、請求項に記載の語学学習装置の制御方法は、語学学習装置の制御方法であって、学習する言葉をユーザに対して反復して再生する工程と、反復して再生された言葉がユーザに記憶されたか否かを検査する工程と、再生する工程による反復再生と検査する工程による検査とを連動して繰り返し実行する工程と、を含み、検査する工程における記憶されたか否かの検査とは、マイクに入力されたユーザの音声と記憶された正解の音声とが合致するかで判定する検査、又は、ユーザに複数表示された言葉の中から正解の言葉を選択させる検査であることを特徴とする。
【0012】
さらに、上記課題を解決するため、請求項に記載の本発明におけるプログラムは、語学学習装置のコンピュータに、請求項6から8の何れか1項に記載の制御方法が含む各工程を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザに合わせて学習負荷を高くも低くもでき、効率的に語学学習を行うことが可能な語学学習装置、語学学習装置の制御方法、及びプログラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態における語学学習装置の動作の概略を説明する図である。
図2】本発明の実施形態における語学学習装置の刷り込みフェーズ及びチェックフェーズの流れイメージについて説明する図である。
図3】本発明の実施形態における語学学習装置の要部構成について説明する機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されているセンテンスストックについて説明する図である。
図5】本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されているセンテンスリストについて説明する図である。
図6】本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている(a)刷り込みリスト、(b)刷り込みパターンについて説明する図である。
図7】本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている(a)チェックリスト、(b)チェックパターンについて説明する図である。
図8】本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている再生時間テーブルについて説明する図である。
図9】本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている刷り込みログについて説明する図である。
図10】本発明の実施形態における語学学習装置の動作について説明するフロー図である。
図11】本発明の実施形態における語学学習装置のスタート画面の例を説明する図である。
図12】本発明の実施形態における語学学習装置の刷り込みフェーズの画面の例を説明する図である。
図13】本発明の実施形態における語学学習装置のチェックフェーズの画面の例を説明する図である。
図14】本発明の実施形態における語学学習装置の終了(結果)画面の例を説明する図である。
図15】本発明の実施形態における語学学習装置のレスト画面の例を説明する図である。
図16】本発明の実施形態における語学学習装置の刷り込みフェーズについて、リピート回数、センテンス数、ループ回数、及び再確認設定について設定する画面の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。本発明の内容を簡潔に説明すると、学習する言葉をユーザに対して反復して再生する再生手段と、反復して再生された言葉がユーザに記憶されたか否かを検査する検査手段と、再生手段による反復再生と検査手段による検査とを連動して繰り返し実行する実行手段と、を含むことにより、ユーザに合わせて効率的に語学学習を行うことを可能にするものである。
【0016】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る語学学習装置の動作の概略について説明する。図1は、本発明の実施形態における語学学習装置の動作の概略を説明する図である。図1における動作の概略では、リスニングを中心として記憶の定着を図る刷り込みフェーズと記憶の定着を確認するチェックフェーズとは一連の動作となっており、刷り込みフェーズとチェックフェーズとは、別々の区切られたモードになっていない。
【0017】
すなわち、刷り込みフェーズにおける反復再生とチェックフェーズにおける検査とが連動して実行されている。そして、刷り込みフェーズでは、まず英文を再生した後、当該英文に対応する和文を再生し、その後英文を4回再生している。また、チェックフェーズでは、図1の例のように、1つの英文を再生し、英文に対する和文をユーザに発音させた後に、和文を再生することにより、ユーザが英文の意味を覚えているか否かの検査が実行されても、後述する図2等の例のように、和文を再生し、和文に対応する英文をユーザに発音させることにより、ユーザが英文を覚えているか否かの検査が実行されても良い。ここで、覚えているか否かの検査は、ユーザの自己判定により、ユーザに覚えたボタンを選択させて判定しても良いし、音声認識により、マイクに入力されたユーザの音声と、記憶された正解の音声とが合致するかで判定しても良い。又は、ユーザに複数表示された英文の中から正解の英文を選択させる検査でも良い。
【0018】
なお、図1の例では、刷り込みフェーズにおいて、英文を再生した後、当該英文に対応する和文を1回再生し、その後、その英文を4回繰り返して再生しているが、和文を再生するタイミング、及び英文と和文の再生回数は、それぞれ任意の値に設定することが可能である。
【0019】
次に、本発明の実施形態における語学学習装置の刷り込みフェーズ及びチェックフェーズの流れイメージについてもう少し詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態における語学学習装置の刷り込みフェーズ及びチェックフェーズの流れイメージについて説明する図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る語学学習装置は、刷り込みフェーズとチェックフェーズとからなり、まず、刷り込みフェーズでは、1番目再生としてセンテンス3の日本語が再生される。なお、以下説明するセンテンスとは、例えば、単語や熟語、短文、慣用句、会話文等の言葉を意味するものとする。その後、空白時間2秒経過後、2番目再生としてセンテンス3のアメリカ人英語が再生される。その後、空白時間3秒経過後、3番目再生としてセンテンス3のイギリス人英語が再生される。その後、空白時間3秒経過後、次のセンテンスであるセンテンス4の日本語が、1番目再生として再生される。このように刷り込みフェーズを行い、3番目再生としてセンテンス7のイギリス人英語が再生され、空白時間3秒を経過すると、再び、1番目再生としてセンテンス3の日本語が再生される。このように、最初のセンテンスの反復再生から最後のセンテンスの反復再生までの1サイクルからなる刷り込みフェーズを複数サイクル繰り返した後、チェックフェーズに移行する。なお、センテンス3からセンテンス7までの言葉は、互いに意味等が異なる言葉である。例えば、言葉が単語であれば、単語自体が違うものである。
【0021】
例えば、センテンスが会話文の場合、具体例として、センテンス3の英文が「Long time no see.」で、和文が「久しぶり」、センテンス4の英文が「What‘s up ?」で、和文が「どうした?」、センテンス5の英文が「Don’t worry about it !」で、和文が「心配しないで」、センテンス6の英文が「Go for it.」で、和文が「がんばれ」、センテンス7の英文が「Thank you for everything.」で、和文が「いろいろありがとう」などが挙げられる。また、センテンス3は単語、センテンス4は短文のように、様々なセンテンスの形式を混ぜても構わない。
【0022】
チェックフェーズでは、1番目再生としてセンテンス3の日本語が再生される。その後、空白時間5秒経過後2番目再生としてセンテンス3のアメリカ人英語かイギリス人英語が再生される。その後、空白時間5秒経過後、次のセンテンスであるセンテンス4の日本語が、1番目再生として再生される。このようにチェックフェーズを行い、2番目再生としてセンテンス7のアメリカ人英語かイギリス人英語が再生され、空白時間5秒を経過すると、再び刷り込みフェーズに戻り、1番目再生としてセンテンス3の日本語が再生されるのである。なお、刷り込みフェーズ及びチェックフェーズにおいて、再生するセンテンスの順番、空白時間、1つのセンテンスのリピート回数、センテンスの数、及び刷り込みフェーズをループする回数は、任意の値に設定することが可能である。ここで、空白時間は、その直前に発音されるセンテンスの長さに応じて変化させることが好ましく、チェックフェーズにおいては、ユーザが発音するのに考える時間を必要とするので、刷り込みフェーズの空白時間と比較して長い方がより好ましい。また、刷り込みフェーズ等の空白時間が任意に設定できるため、他国語のセンテンスの音声再生が始まると同時に、同じセンテンスをユーザが発音するシャドーイングという学習法と、他国語のセンテンスの音声再生が終わってから、同じセンテンスをユーザが発音するリピートという学習法の両方に対応できる。
【0023】
次に、本発明の実施形態における語学学習装置の要部構成について説明する。図3は、本発明の実施形態における語学学習装置の要部構成について説明する機能ブロック図である。
【0024】
図3において、本発明の実施形態に係る語学学習装置は、制御部21と、記憶部22と、入力部23と、表示部24と、インタフェース部25とで構成される。制御部21はCPU(Central Processing Unit)等で構成されており、刷り込みフェーズを実行する刷り込みフェーズ実行部211と、チェックフェーズを実行するチェックフェーズ実行部212と、刷り込みフェーズ実行部211、チェックフェーズ実行部212、入力部23、表示部24、インタフェース部25、及び記憶部22を制御する全体制御部213を論理的に有している。全体制御部213は、記憶部22に格納されたプログラムをロードし、語学学習装置の動作によって得られた様々なデータを記憶部22に展開する。
【0025】
記憶部22は、刷り込みフェーズ及びチェックフェーズで使用する全てのセンテンスのデータをセンテンスストック221として記憶している。ここで、センテンスストック221について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されているセンテンスストックについて説明する図である。図4において、sn0010001 0001からsn0010001 0003はセンテンス識別子であり、J、J1、E、E1、E2は言語の種類識別子である。なお、センテンスはセンテンス識別子によって管理されているので、以下の記載において、センテンスと記載されているものの中には、正確には、センテンス識別子に対応するセンテンスや、センテンス識別子等と記載すべきものを、単に、センテンスと記載する場合がある。
【0026】
Jは母国語(日本語)、J1は母国語(女性)、Eは他国語(英語)、E1は他国語(アメリカ人)、E2は他国語(イギリス人)をそれぞれ示している。また、txtは表示用文字データ(表示データ)であり、mp3は、音声用音源データ(音声データ)をそれぞれ示すファイル名である。なお、図4においては、センテンス識別子としてsn0010001 0001からsn0010001 0003の3種類のセンテンスが記憶されているが、センテンスストックには、任意の種類のセンテンスを記憶することが可能である。また、JやJ1等の言語や話者の種類、txtやmp3等のデータ形式についても、語学学習装置にて出力可能な形式であれば、任意の種類のセンテンスを記憶することが可能である。
【0027】
また、記憶部22は、センテンスストック221が有する各センテンスについて、チェックフェーズに登録した回数(チェック回数)と、暗記したか否か(暗記フラグ)と、暗記度合と、暗記日時と、を示すセンテンスリスト222として記憶している。図5は、本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されているセンテンスリストについて説明する図である。図5において、暗記フラグは、センテンスリスト222内のセンテンスのうち、まだ暗記していないセンテンスについては、0が記憶され、覚えたボタンが押されて暗記したセンテンスについては、1を加算する。チェック回数は、センテンスリスト222のうち、後述するチェックリスト225に登録したセンテンス識別子に対応するチェック回数に1を加算する。暗記日時は、覚えたボタンが押された暗記した日時を記憶する。
【0028】
さらに、記憶部22は、刷り込みリスト223及び刷り込みパターン224を記憶している。図6は、本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている(a)刷り込みリスト、(b)刷り込みパターンについて説明する図である。刷り込みリスト223は、センテンスリスト222と、後述する刷り込みフェーズのセンテンス数(S)230とから、刷り込みフェーズで今回、再生するセンテンス識別子と、その再生順番と、現在どのセンテンスを再生しているかを示すポインタとを示す。刷り込みパターン224は、刷り込みフェーズにおいて、同じセンテンスの如何なる言語(指定する話者等の種類があれば種類も)を、如何なる順番で再生するかということと、再生後の空白時間とを示している。
【0029】
なお、この刷り込みパターン224において、同じセンテンスが繰り返される回数を、センテンスのリピート回数(R)231という。図6(b)の場合、母国語(女性)(J1)の場合、空白時間を2.0秒とし、他国語(アメリカ人(E1)、イギリス人(E2))の場合、それぞれの言語の再生時間を1.5倍した時間を空白時間としている。なお、他国語の種類は、これらに限定されることなく任意の種類に増減可能である。
【0030】
また、記憶部22は、チェックリスト225及びチェックパターン226を記憶している。図7は、本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている(a)チェックリスト、(b)チェックパターンについて説明する図である。
【0031】
チェックリスト225は、センテンスリスト222と、後述する刷り込みフェーズのセンテンス数(S)230と、チェックフェーズに、既に記憶の定着が済んでいるため刷り込みリスト223から除外されているが、除外されてから例えば、センテンスリストの暗記日時から1週間程度の期間が経過しており、再び記憶の定着を確認するため当該除外されたセンテンスを追加する数とに基づいて、チェックフェーズにおいて今回検査するセンテンス識別子と、その検査の順番と、暗記したか否かを示す暗記フラグと、現在どのセンテンスを検査しているかを示すポインタとを示す。なお、刷り込みリスト223及びチェックリスト225にポインタを記載せずに、別途、現在どのフェーズで、どのセンテンスを再生しているかを示す情報を記憶していても良い。
【0032】
チェックパターン226は、チェックフェーズにおいて、センテンスの如何なる言語を如何なる出力形式で検査をするかということと、検査後の空白時間とを示している。図7(b)の場合、母国語(女性)(J1)の音声形式で検査を行い、音声再生時間を2.5倍した時間を空白時間とし、他国語(アメリカ人(E1)又はイギリス人(E2))の音声形式と表示形式で確認し、空白時間を5秒としている。なお、他国語を覚えたか否か、又は意味を覚えたか否かの何れかに特化して検査を行う場合には、アメリカ人(E1)又はイギリス人(E2)の2種類を検査することは必須ではない。
【0033】
そして、記憶部22は、刷り込みフェーズ実行部211によって実行される刷り込みフェーズのセンテンス数(S)230、1つのセンテンスのリピート回数(R)231、刷り込みフェーズのループ回数(L)232、及び既に記憶の定着が済んでいるため刷り込みリスト223から除外されているが、除外されてから例えば1週間程度の期間が経過しており、再び記憶の定着を確認するため当該除外されたセンテンスを追加する数を記憶している。
【0034】
ここで、刷り込みフェーズのセンテンス数(S)230、1つのセンテンスのリピート回数(R)231、及び刷り込みフェーズのループ回数(L)232、及び既に記憶の定着が済んでいるため刷り込みリスト223から除外されているが、除外されてからある程度期間が経過しており、再び記憶の定着を確認するため当該除外されたセンテンスを追加する数は、ユーザの操作により入力部23から任意の値を入力することにより記憶するようにしても良い。
【0035】
なお、1つのセンテンスは、文、単語、文章でも良いのであるが、センテンスのデータとして、1つのセンテンスには、母国語(例えば、日本語の例文で「おはようございます。」)と、それに対応する他国語(例えば、英語の例文で「Good morning.」)の各々の言語の音声データ、表示データが含まれる。さらに、音声データは、男性の音声、女性の音声、アメリカ人の音声、イギリス人の音声等、様々な種類に分けられた、複数種類の音声データが含まれていても良い。これらが、センテンスを識別するセンテンス識別子、及び様々な種類が存在するのであれば、刷り込みパターン224の種類識別子にそれぞれ対応付けられている。また、記憶部22は、再生時間テーブル227、刷り込みフェーズの回数実績228、刷り込みログ229、総利用時間(T)233をも記憶しているが、これらの点については後述する。
【0036】
入力部23は、語学学習装置に対してユーザが指示を与える部分であり、キーボードやタッチパネル等で構成される。表示部24は、刷り込みフェーズ又はチェックフェーズにおいて、言語を再生又は検査する際にユーザに対してセンテンスを表示する部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される。なお、タッチパネル等、入力部23と表示部24とが一体化されたものであっても良い。また、インタフェース部25は、センテンスストック221が、語学学習装置とネットワークを経由して接続されたサーバに記憶されている場合や、刷り込みリスト223に登録されているセンテンス識別子を抽出し、当該抽出されたセンテンス識別子に対応するセンテンスのデータが、語学学習装置とネットワークを経由して接続されたサーバに記憶されている場合に、センテンスのデータを当該サーバからネットワークを経由してダウンロードし、記憶部22に記憶するためのものである。
【0037】
次に、本発明の実施形態における語学学習装置の動作について説明する前に、語学学習を開始するに際し、学習前の事前準備を行う。全体制御部213は、刷り込みフェーズにおけるセンテンスの母国語と他国語の再生順序を、何番目に如何なる言語を再生するかを選択する画面を表示部24に表示する。なお、刷り込みフェーズにおける言語の再生は、音声出力だけでなく、表示部24に画面出力するようにしても良い。また、言語を発音する人の性別や居住地等、様々な種類が存在するのであれば、それらの選択画面も表示部24に表示する。さらに、言語の再生間の空白時間を入力できる画面を表示部24に表示するようにしても良い。全体制御部213は、ユーザの操作による入力部23からの操作により、各言語の再生順序、言語の種類をセンテンスのリピート回数(R)の範囲で決定し、それに合わせて空白時間等を決定し、刷り込みパターン224に登録する。1つのセンテンスを反復再生するセンテンスのリピート回数(R)231もユーザが設定する。なお、各種の登録や設定する項目には、予め既定値が入っていても良い。
【0038】
次に、全体制御部213は、チェックフェーズにおけるセンテンスの母国語と他国語との再生順序、例えば、刷り込みフェーズにおいて覚えた他国語の意味をチェックする場合には、他国語から母国語の順序を、刷り込みフェーズにおいて覚えた他国語への訳をチェックする場合には、母国語から他国語の順序を、それぞれ選択する画面を表示部24に表示する。言語を発音する人の性別や居住地等、様々な種類が存在するのであれば、それらの選択画面も表示部24に表示する。さらに、音声出力のみ、表示画面出力のみ、又は音声出力と表示画面出力との両方といった言語の出力方式も選択できるようにしても良い。また、言語の再生間の空白時間も入力できるようにしても良い。全体制御部213は、ユーザの操作による入力部23からの選択により、母国語と他国語との再生順序、言語の種類や空白時間、出力形式等を決定し、チェックパターン226に登録する。
【0039】
<初期動作>
次に、語学学習装置の初期動作について説明する。全体制御部213は、ユーザによる入力部23への操作により語学学習の開始が指示されると、記憶部22に記憶されている刷り込みリスト223を初期化、すなわち、刷り込みリスト223に登録されているセンテンス識別子やポインタを削除する。
【0040】
次に、センテンスリスト222において、暗記したか否かを示す暗記フラグに1が加算されていない、すなわち、暗記されていないことを示す0が付されているセンテンス識別子の中から、刷り込みフェーズで再生するセンテンスを、記憶部22に記憶されている刷り込みフェーズのセンテンスの数(S)230(例えば、S=5個)だけ抽出し、当該抽出したセンテンス識別子を刷り込みリスト223に登録し、刷り込みリスト223を作成する。また、暗記されていないことを示す0が付されているセンテンス識別子の数が、刷り込みフェーズのセンテンスの数(S)230に達しない場合は、暗記フラグの数値が一番少ないセンテンス識別子から順にセンテンスを抽出する。この抽出は、全体制御部213がランダムに抽出しても良いし、入力部23に対するユーザからの入力により、センテンスリスト222の中から選択されたセンテンスを抽出しても良い。さらに、抽出されるセンテンスの順番が予め定められていても良い。
【0041】
次に、全体制御部213は、記憶部22に記憶されているチェックリスト225を初期化、すなわち、チェックリスト225に登録されているセンテンス識別子、暗記フラグ、及びポインタを削除する。
【0042】
次に、刷り込みリスト223に登録されているセンテンス識別子を抽出し、当該抽出したセンテンス識別子をチェックリスト225に登録する。さらに、全体制御部213は、記憶部22に記憶されているセンテンスリスト222において、暗記したか否かを示す暗記フラグに1が加算されている、すなわち、暗記が済んでいるセンテンスの中から、さらにチェック回数が少ないセンテンスからランダムに、暗記が済んでいるセンテンスをチェックフェーズに追加する既定の数(例えば、1個)を抽出し、当該抽出したセンテンス識別子をチェックリスト225に登録し、チェックリスト225を作成する。
【0043】
ここで、チェックリスト225に登録するセンテンスの抽出方法は、各センテンスの忘却曲線を利用する等、任意の方法を採り得る。全体制御部213は、センテンスリスト222において、チェックリスト225に登録したセンテンス識別子に対応するチェック回数に1を加算する。また、上述したように、センテンスのデータが外部サーバにある場合、刷り込みリスト223に登録したセンテンス識別子を抽出し、当該抽出したセンテンス識別子に対応するセンテンスのデータを、ネットワークを経由してサーバからダウンロードし、記憶部22に記憶しておく。
【0044】
次に、本発明の実施形態における語学学習装置の動作について説明する。図10は、本発明の実施形態における語学学習装置の動作について説明するフロー図である。
【0045】
図10において、全体制御部213は、刷り込みフェーズの回数実績(現在の刷り込みフェーズの回数)Zに0を記憶させる(ステップS701)。全体制御部213は、上述した初期動作(刷り込みリスト223、チェックリスト225の作成)が終了したら、刷り込みフェーズに移行する。
【0046】
<刷り込みフェーズ ステップS702>
全体制御部213は、記憶部22に記憶され刷り込みリスト223に登録されているセンテンス識別子を抽出し、当該抽出したセンテンス識別子に対応するセンテンスのデータを、刷り込みパターン224に登録された順序に基づいて、記憶部22から読み出し再生する。現在再生している刷り込みリスト223の順番に対応するポインタにフラグを立てる。
【0047】
例えば、順番1のセンテンス(センテンス識別子:sn0010001 0003)の母国語(日本語)「おはようございます。」、他国語(英語)「Good morning.」の順番が1番である場合、順番1のポインタにフラグを立てて、刷り込みパターン224に基づいて、母国語(J1)の「おはようございます。」の音声出力をし、図6(b)の刷り込みパターンのJ1に対応する空白時間2.0秒をカウントする。その後、他国語(英語)のセンテンスの種類がアメリカ人(E1)の「Good morning.」の音声出力をする。そして、他国語(E1)の音声データの再生時間が、図8の再生時間テーブルから1.5秒であったので、図6(b)の刷り込みパターンのE1に対応する1.5倍の2.25秒間を空白時間としてカウントする。図8は、本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている再生時間テーブルについて説明する図である。
【0048】
そして、この空白時間内に、ユーザは、母国語(J1)の「おはようございます。」に対応する他国語(英語)のセンテンスを自ら発音する。その後、他国語のセンテンスの種類がイギリス人(E2)の「Good morning.」の音声出力をする。他国語の音声データの再生時間が、図8の再生時間テーブルから1.5秒であったので、図6(b)の刷り込みパターンのE2に対応する1.5倍の2.25秒間を空白時間としてカウントする。なお、本実施形態では、他国語(英語)に対応する母国語(日本語)を、各センテンスの冒頭部分に挿入することにより、他国語(英語)の意味の理解を助けるようにしている。ただし、事前準備にて、ユーザの好みに合わせて、母国語(日本語)を再生しないことも、他国語(英語)の後に再生することも設定可能である。
【0049】
その後、刷り込みリスト223の順番が2番目のセンテンスにポインタを移動し、その順番に対応するセンテンス(センテンス識別子:sn0010001 0004)に対応するセンテンスのデータを、同様に刷り込みパターン224に登録された順序に基づいて、音声出力する。刷り込みリスト223のセンテンスの中から、どのセンテンスを先に再生するかは、順番通りでなくてもランダムであっても良い。
【0050】
以下、同様にして順番3のセンテンス3をセンテンスのリピート回数(R)231だけ繰り返して再生し、センテンス4、・・・、センテンスXまで発音を行う。そして、全体制御部213は、刷り込みリスト223に登録されている全てのセンテンス(刷り込みフェーズのセンテンス数(S)230)のリピート回数(R)231の再生が終了すると、記憶部22に記憶されている図9の刷り込みログ229の刷り込みフェーズの回数実績(Z)228(例えば、初期値:0回)に1を加算し(ステップS703)、回数実績を1回とする。図9は、本発明の実施形態における語学学習装置の記憶部に記憶されている刷り込みログについて説明する図である。
【0051】
そして、この刷り込みフェーズを、刷り込みフェーズのループ回数(L)232に達するまで繰り返す。その後、全体制御部213は、図9の刷り込みログ229の刷り込みフェーズの回数実績(Z)228の値が、記憶部22に記憶されている刷り込みフェーズのループ回数(L)232で定める数(例えば、L=5)に達したか否かを判断する(ステップS704)。
【0052】
全体制御部213において、刷り込みフェーズの回数実績(Z)228の値が、刷り込みフェーズのループ回数(L)232で定める数(例えば、L=5)に達していると判断されると(ステップS704:Y)、全体制御部213は、表示部24に、再度刷り込みフェーズを実行させる旨の命令を入力する再実行ボタンを表示する。例えば、5秒等の既定の時間以内に、入力部23を介して、その再実行ボタンがユーザによって選択されない場合は、刷り込みフェーズを終了し、チェックフェーズへ移行する。
【0053】
全体制御部213において、刷り込みフェーズの回数実績(Z)228の値が、刷り込みフェーズのループ回数(L)232(例えば、L=5回)に達していないと判断されると(ステップS704:N)、全体制御部213は、表示部24に、チェックフェーズに移る旨の命令を入力する移行ボタンを表示する。例えば、5秒等の既定の時間以内に、入力部23を介して、その移行ボタンがユーザによって選択されない場合は、再度、記憶部22に記憶され刷り込みリスト223に登録されたセンテンスの先頭にポインタを移動し、そのセンテンス識別子に対応するセンテンスを、刷り込みパターン224に登録された順序に基づいて、記憶部22から読み込み再生する。すなわち、刷り込みフェーズを繰り返す。なお、移行ボタンは、刷り込みフェーズを実行中に表示していても良い。移行ボタンが選択された場合、刷り込みリスト223のポインタを消去し、チェックフェーズへ移行する。
【0054】
<チェックフェーズ ステップS705>
全体制御部213は、チェックフェーズに移行したら、記憶部22に記憶されチェックリスト225に登録されている先頭の順番のセンテンスにポインタを置き、それに対応するセンテンスのデータを、チェックパターン226に登録された順序と出力形式に基づいて、記憶部22から読み出し再生する。なお、このチェックフェーズは、複数回ループすることなく1回のみ実行される。また、刷り込みフェーズからチェックフェーズに移行することをユーザに意識させるため、移行時に例えばチャイムがなるようにしても良い。
【0055】
例えば、順番1のセンテンス(センテンス識別子:sn0010001 0003)の母国語(日本語)が「おはようございます。」、他国語(英語)が「Good morning.」の場合、母国語(J1)の「おはようございます。」の音声出力をする。母国語の音声データの再生時間が、図8の再生時間テーブルから1.5秒であったので、図7(b)のチェックパターンのJ1に対応する2.5倍の3.75秒間を空白時間としてカウントする。なお、この空白時間内に、ユーザは再生出力された音声に対応するセンテンス(英文)を自ら発音する。その後、他国語(E1又はE2)の「Good morning.」の音声出力及び画面出力が行われる。その際、ユーザが正確に発音できた場合に入力部23を用いて選択する覚えたボタンと、未だ正確に発音できなかった場合に入力部23を用いて選択する未だボタンとを、表示部24に、例えば、既定の時間(例えば、5秒等)表示する。ここで、他国語のセンテンスの種類は、ランダムであっても、予め学習前準備においてチェックパターン226において指定できるものであっても良い。
【0056】
全体制御部213は、検査中に覚えたボタンが選択されると、記憶部22に記憶されたチェックリスト225において、その再生したセンテンス識別子に対応する暗記フラグに1を付して記憶し、次の順番のセンテンス識別子にポインタを移動し、対応するセンテンスのチェックを行う。そして、センテンスリスト222の覚えたボタンが押されたセンテンス識別子の暗記日時に、現在時刻を記憶する。全体制御部213は、未だボタンが選択されるか、例えば、ボタン表示の既定時間(例えば、5秒等)が過ぎると、チェックリスト225の暗記フラグに覚えていない旨のフラグ0を付して記憶し、次のセンテンスのチェックを行う。
【0057】
全体制御部213は、次のセンテンスのチェックに移行すると、チェックリスト225の次の順番に対応するセンテンスのデータを、同様にチェックパターン226に登録された出力形式に基づいて、再生し、チェックを行う。チェックリスト225の中から、如何なるセンテンスを先に再生するかは、センテンスリスト222に登録された順番通りでなくランダムでも良いが、チェックの効果を確実に得るためにも、刷り込みフェーズにおけるセンテンスの順番と同じ順番とならないよう、任意の順番でセンテンスを再生するようにすることが好ましい。
【0058】
全体制御部213は、チェックリスト225に登録されたすべてのセンテンスの再生を行い、全てのセンテンスのチェックが終了すると、チェックリスト225に、覚えたことを示す暗記フラグ1、又は未だ覚えていないことを示す暗記フラグ0をセンテンスリスト222の対応するセンテンスに書き込むと共にポインタを消去し、チェックフェーズを終了する。
【0059】
<終了動作>
次に、全体制御部213は、表示部24に、学習を終了する旨の命令を入力する終了ボタンを表示する。例えば、3秒等の既定の時間以内に終了ボタンが選択されない場合は、次の学習の処理を引継動作した後に、上記した初期動作における、記憶部22に記憶されているチェックリスト225の初期化、すなわち、チェックリストに登録されているセンテンス識別子、暗記フラグ、及びポインタを削除する段階から実行する。ただし、次の学習の処理を、引継動作をせずに、上記した初期動作における、記憶部22に記憶されている刷り込みリスト223の初期化、すなわち、刷り込みリスト223に登録されているセンテンス識別子やポインタを削除する段階から実行するようにしても良い。全体制御部213は、入力部23を介して、終了ボタンが選択された場合は、学習の処理を終了する。
【0060】
<引継動作>
全体制御部213は、記憶部22に記憶されたチェックリスト225において、暗記フラグ1が付されているセンテンス識別子を抽出し、そのセンテンス識別子を、刷り込みリスト223に登録されたセンテンス識別子から削除する。その際、ポインタも削除する。その後、センテンスリスト222内の覚えたことを示す暗記フラグに1が付いていない、すなわち、未だ覚えていないことを示す暗記フラグ0が付いているセンテンス識別子の中から、刷り込みフェーズで再生するセンテンスを、刷り込みリスト223から削除したセンテンスの数(例えば、3個)だけ抽出し、当該抽出したセンテンス識別子を刷り込みリスト223に登録する。
【0061】
この抽出は、全体制御部213がランダムに抽出しても良いし、入力部23を介してユーザからの入力により、センテンスリスト222から選択させたセンテンスを抽出しても良いし、予め抽出順序が定められていても良い。
【0062】
そして、ステップS706において、刷り込みログ229の刷り込みフェーズの回数実績(Z)228の値を0に設定し、ステップS702の刷り込みフェーズに戻る処理を行う。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以後説明する複数の実施形態を、任意に組み合わせて実行するようにしても良い。また、以下説明する複数の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、各実施形態における特徴的な部分について説明する。本発明の第2の実施形態は、過去に行った刷り込みフェーズの回数実績(Z)に基づいて、次に行う刷り込みフェーズのループ回数(L)を増減するものである。
【0064】
全体制御部213は、初期動作や引継動作等の刷り込みフェーズの前に、図9に示す刷り込みログ229の刷り込みフェーズの回数実績(Z)228(1回目、2回目)に記憶された値から平均値を算出することにより、3回目の刷り込みフェーズのループ回数(L)を決定する。なお、平均値は、過去に実施した刷り込みフェーズのすべての回数実績の値から算出しても良いし、例えば、直近の2回分といった既定の値から算出しても良い。ここで説明する実施形態では、今回が3回目の刷り込みフェーズであり、直近の2回分(1回目、2回目)の平均値から算出する場合を考える。1回目が6で、2回目が4であるから、3回目は、(6+4)/2=5回となる。小数点以下が出た場合は、四捨五入や切捨て等の処理を行って求める。なお、ここでは平均値を算出することにより、次に行う刷り込みフェーズのループ回数(L)232を決定しているが、平均値は一例であって、如何なる方法で次に行う刷り込みフェーズのループ回数(L)232を決定しても良いことは勿論である。
【0065】
算出された値を、記憶部22にループ回数(L)232として記憶する。また、全体制御部213は、記憶部22に記憶された刷り込みログ229の学習回に、前回の値(例えば2回目)に1を加算した数(例えば3回目)を記憶し、この今回の学習回(3回目)に対応する刷り込みフェーズの回数実績(Z)228に0を記憶する。なお、学習日時の場合は、現在の日時を学習日時に記憶する。この刷り込みフェーズのループ回数(L)232の値について修正処理するループ回数修正処理以降は、上記した刷り込みフェーズ、チェックフェーズ、及び終了動作を順次実行する。そして、引継動作の際に図10のステップS706において、前述と同様に、刷り込みフェーズのループ回数(L)232の値について修正処理をするループ回数修正処理を行う。また、全体制御部213は、記憶部22に記憶された刷り込みログ229の学習回に、今回の値(例えば、3回目)に1を加算した数(例えば、4回目)を記憶し、この次回の学習回(4回目)に対応する刷り込みフェーズの回数実績(Z)228に0を設定した後、ステップS702の刷り込みフェーズに戻る処理を行う。
【0066】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。これは、チェックフェーズにおいてユーザが覚えた割合に基づいて刷り込みフェーズのループ回数(L)を自動的に可変するものである。すなわち、ユーザの学習履歴を自動的に学習し、刷り込みフェーズのループ回数(L)が何回であれば最適値となるのかについて自動的に計算を行うのである。これは、従来型のCD等を用いた聴き流し学習法では実現することができない点である。
【0067】
まず、全体制御部213は、初期動作や引継動作等の刷り込みフェーズの前に、記憶部22に記憶されたチェックフェーズにおいてユーザが覚えた割合(覚えたボタンを選択した割合)の値を読み出し、この値と、記憶部22に記憶されている増加閾値及び減少閾値との比較を行う。全体制御部213は、ユーザが覚えた割合の値が減少閾値以上である場合には、記憶部22に記憶されている刷り込みフェーズのループ回数(L)232(刷り込みフェーズの回数実績(Z)228でも良い。)から1を減算して刷り込みフェーズのループ回数(L)232として記憶する。全体制御部213は、ユーザの覚えた割合の値が増加閾値以下である場合には、記憶部22に記憶されている刷り込みフェーズのループ回数(L)232(刷り込みフェーズの回数実績(Z)228)に1を加算して刷り込みフェーズのループ回数(L)232として記憶する。
【0068】
例えば、現在の刷り込みフェーズのループ回数(L)が5であり、ユーザが覚えた割合が3/6で、減少閾値が6/6、増加閾値が3/6である場合、ユーザが覚えた割合が増加閾値以下であるので、刷り込みフェーズのループ回数(L)5に1を加算して、刷り込みフェーズのループ回数(L)232を6とする。また、ユーザが覚えた割合が4/6の場合は、増加閾値と減少閾値との間であるので刷り込みフェーズのループ回数(L)232は変化しない。
【0069】
ここで、増加閾値と減少閾値の値は、予め決められた値でも、学習前の事前準備段階において、ユーザの操作により入力部23から入力された値でも良い。また、刷り込みフェーズのセンテンス数(S)230とチェックフェーズにおいて覚えたセンテンスの数(チェックフェーズにおいて暗記が済んでいるセンテンスの中からチェック回数が少ないセンテンスをランダムに選択し、当該選択したセンテンスを追加した数)とを合算した数、すなわち、チェックフェーズにおいてチェックを行うセンテンスの数に基づいて、予め決められた算出式で求められた値であっても良い。要するに、増加閾値及び減少閾値は任意の値にすることが可能である。なお、ここでは増加閾値と減少閾値との2つの閾値を設けているが、閾値は1つでも良い。
【0070】
全体制御部213は、記憶部22に記憶された図9に示す刷り込みログ229の刷り込みフェーズの回数実績(Z)228を初期化する(0を記憶する)。そして、この刷り込みフェーズのループ回数(L)232の値について修正処理をするループ回数修正処理後に刷り込みフェーズが実行されるが、これは上述した刷り込みフェーズの動作と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0071】
全体制御部213は、今回の学習回におけるチェックフェーズにおいて、覚えたボタンが選択された数、すなわち、チェックリスト225の暗記フラグに1が付された数をカウントしておく。チェックリスト225の全てのセンテンスが再生され、チェックフェーズが終了すると、全体制御部213は、覚えたボタンが選択された数を、今回の学習回におけるチェックフェーズでチェックしたセンテンスの数で割る。全体制御部213は、算出された値を覚えた割合の値として記憶部22に記憶する。その他のチェックフェーズや終了動作の動作は、上述したチェックフェーズ、終了動作の動作と同様であるので詳細な説明は省略する。そして、引継動作の際に、図10のステップS706において、前述と同様に、刷り込みフェーズのループ回数(L)232の値について修正処理をするループ回数修正処理を行う。また、刷り込みフェーズの回数実績(Z)228に0を設定した後、ステップS702の刷り込みフェーズに戻る処理を行う。
【0072】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。これは、予め定められた学習時間以内における刷り込みフェーズのループ回数(L)232の最大数を自動的に増減するものである。すなわち、モバイル端末を用いて学習する場合、刷り込みフェーズ中はモバイル端末をカバンの中に入れておき、チェックフェーズ中はモバイル端末を手に持っているといった使い方も想定されるので、中途半端な地点で学習が終了しないようにするための実施形態である。
【0073】
図8で説明したように、各センテンスの音声データに、予め再生時間が対応付けられて記憶された再生時間テーブル227が記憶部22に記憶されている。ただし、すべてのセンテンスの音声データの再生時間は、例えば3秒といったように、同一の既定の再生時間が定められていても良い。
【0074】
全体制御部213は、初期動作や引継動作等の刷り込みフェーズの前に、ユーザによる入力部23の操作により、学習開始、すなわち、1回の刷り込みフェーズと1回のチェックフェーズとからなる1セットの学習が実行されると、表示部24に学習時間を入力させる画面を表示する。学習時間が入力部23から入力されると、その入力値を記憶部22に総利用時間(T)233として記憶する。ここで、総利用時間(T)233として、1セットの学習時間が入力されても、セット数とそのセット数の合計の学習時間が入力されても良い。
【0075】
全体制御部213は、記憶部22に記憶され刷り込みリスト223に登録された全てのセンテンス識別子のデータを、同じく記憶部22に記憶されている刷り込みパターン224の通りに再生する時間を、空白時間等も含めて反復再生時間として算出する。また、全体制御部213は、記憶部22に記憶されチェックリスト225に登録された全てのセンテンス識別子のデータを、同じく記憶部22に記憶されているチェックパターン226の通りに再生する時間を、空白時間や次のセンテンスの再生までの時間等も含めて検査時間として算出する。それぞれ算出した時間と、記憶部22に記憶された総利用時間(T)233とに基づいて、総利用時間(T)233内で学習が終了する刷り込みフェーズの最大実行回数を算出する。
【0076】
例えば、刷り込みフェーズの時間が5分、チェックフェーズの時間が3分と算出され、総利用時間(T)233が15分と入力された場合、5*N+3≦15を満たす最大の整数Nを求める。つまり、N=2が刷り込みフェーズのループ回数(L)232として算出される。
【0077】
また、例えば、刷り込みフェーズの時間が5分、チェックフェーズの時間が3分と算出され、総利用時間(T)233が2セットで40分と入力された場合、(5*N+3)*2≦40を満たす最大の整数Nを求める。つまり、N=3が刷り込みフェーズのループ回数(L)232として算出される。算出された値を刷り込みフェーズのループ回数(L)232として記憶部22に記憶する。
【0078】
そして、全体制御部213は、記憶部22に記憶された刷り込みログ229の刷り込みフェーズの回数実績(Z)228を初期化、すなわち0に設定する。これ以降の刷り込みフェーズは、上述した刷り込みフェーズの動作と同様であるので詳細な説明は省略する。ただし、全体制御部213は、表示部24に、再度刷り込みフェーズを実行させる旨の命令を入力する再実行ボタンを表示しなくても良い。再実行ボタンが押下されると総利用時間(T)233を超える可能性があるためである。これ以降は、上記したチェックフェーズを実行する。
【0079】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図5に示すように、センテンスリスト222のセンテンス識別子毎に暗記度合を設け、全体制御部213は、チェックフェーズにおいて覚えたボタンが選択、すなわち、暗記フラグに1が付される度に、暗記度合に1を加算する。そして、暗記済みのセンテンスであるがチェックフェーズに未だ登録されており、チェックフェーズにおいて覚えたボタンが選択されなかった場合には、暗記度合を0.5減算するようにする。この状態で暗記度合が既定値(例えば5)を超えたら、暗記が完成したとし、再度、チェックフェーズに登録しないようにしても良い。なお、暗記度合に加減算する値は任意の値とすることが可能である。
【0080】
次に、図11から図16を用いて、本発明の実施形態における語学学習装置をスマートフォン等のモバイル端末に適用した場合の画面の例について説明する。図11は、本発明の実施形態における語学学習装置のスタート画面の例、図12は、刷り込みフェーズの画面の例、図13は、チェックフェーズの画面の例、をそれぞれ説明する図である。
【0081】
また、図14は、本発明の実施形態における語学学習装置の終了(結果)画面の例、図15は、レスト画面の例、図16は、刷り込みフェーズについて、リピート回数、センテンス数、ループ回数、及び再確認設定について設定する画面の例、をそれぞれ説明する図である。
【0082】
図11において、スマートフォン100を用いて語学学習を行うため、記憶部22に記憶された語学学習のアプリケーションプログラムを起動すると、スマートフォン100の表示部24には、スタートボタン110が表示される。ユーザによってスタートボタン110が押下されると、スマートフォン100の表示部24は、図12に示すメイン画面(トレーニング画面)に遷移する。図12は刷り込みフェーズであり、表示部24には、「おはようございます。」という母国語(日本語)と、「Good morning.」という他国語(英語)のセンテンス130が表示され、上記説明したように、センテンスのリピート回数(R)、刷り込みフェーズのセンテンス数(S)、及び刷り込みフェーズのループ回数(L)だけ刷り込みフェーズが実行される。
【0083】
ここで、刷り込みフェーズの表示部24に表示されるスキップボタン140について説明する。刷り込みフェーズにおける反復再生中に、ユーザが知っている又は既に記憶が定着したセンテンスを、刷り込みフェーズから除外するためのスキップボタン140を設けることとしている。スキップボタン140を押下することにより、ユーザが知っている又は既に記憶が定着したセンテンスが、刷り込みフェーズのループ中から除外され、刷り込みフェーズに要する時間を有効に使うことができる。また、刷り込みフェーズでスキップボタン140が押下されることにより除外されたセンテンスを、チェックフェーズにおいては出現させるようにすることで、上記したチェックフェーズにおける覚えたボタンとの機能を区別している。なお、スキップボタン140が押下され除外されたセンテンスをチェックフェーズにおいてチェックした際、図13に示す覚えたボタン141が押下されない場合は刷り込みフェーズにおける再生の対象に組み入れるようにする。
【0084】
図12の刷り込みフェーズがループ回数(L)実行されると、図13に示すチェックフェーズに移行する。チェックフェーズにおいては、上述したように、「おはようございます。」という母国語(日本語)に対する他国語(英語)を、ユーザは自ら発音し、「Good morning.」という他国語(英語)と合っているかどうかをチェックする。そして、ユーザが正確に発音できた場合に覚えたボタン141を押下する。全てのセンテンスに対するチェックフェーズが終了すると、図14に示すような終了(結果)画面に遷移する。図14では、表示部24に、学習を終了する旨の命令を入力する終了ボタン142を表示する。そして、刷り込みフェーズ移行通知180として、例えば、「3秒以内に[終了]ボタンが選択されない場合は、刷り込みフェーズに移行します。」というメッセージが表示部24に表示される。
【0085】
次に、図15のレスト画面について説明する。刷り込みフェーズとチェックフェーズとを連動させてシームレスに繰り返すことによる弊害を防ぐためレスト画面を設けている。その意義は、一点目は、刷り込みフェーズとチェックフェーズとを連動させてシームレスに繰り返しているため、ユーザがボーっとしてしまってセンテンスを雑音としてしか聞いていない状況をリフレッシュし、やる気を高めて、刷り込みフェーズに戻らせることである。二点目は、学習がエンドレスに続いてしまうことを防ぐことである。
【0086】
例えば、夜間の就寝前に学習した場合、そのまま寝てしまうと、翌朝までエンドレスにセンテンスが再生し続けてしまうということが考えられる。これを防止するため、自動的に学習を終了するようにしている。そのため、レスト画面では、例えば、午前5時から午後8時59分までの間は、ユーザをリフレッシュさせ、やる気を高めるため、アップテンポの音楽を流し、午後9時から午前4時59分までの間は、ユーザを起こさないように、穏やかな音楽を流すようなことが行われる。
【0087】
図15では、レスト画面移行通知150として、「30分経過しました。続ける場合は、[戻る]ボタンを押してください。」というメッセージが表示部24に表示される例を示している。レスト画面に移行する場合としては、例えば45分といった既定の時間内、又はチェックフェーズが予め定められた回数行われる間に、スキップボタン140や覚えたボタン141が押下されなかった場合等、チェックフェーズが終了した後、刷り込みフェーズに移行することなくレスト画面に遷移し、音楽を流すようにする。
【0088】
なお、レスト画面に表示される戻るボタン160が押下された後、刷り込みフェーズに直ちに移行するか、流れている音楽が終了してから移行するかは、任意に選択可能である。また、レスト画面において流れている音楽が終了する等、例えば3分等の既定の時間が経過しても戻るボタン160が押下されなかった場合には、図14に示す終了(結果)画面に遷移するようにしても良い。
【0089】
そして、スマートフォン100の表示部24に図16に示す設定画面170を表示することにより、センテンスのリピート回数(R)、刷り込みフェーズのセンテンス数(S)、刷り込みフェーズのループ回数(L)を任意の値に設定することができる。また、既に記憶の定着が済んでいるため刷り込みリスト223から除外されているが、除外されてからある程度期間が経過しており、再び記憶の定着を確認するため当該除外されたセンテンスを追加する機能(再確認設定)も設定することができる。さらに、刷り込みフェーズのループ回数(L)を自動で設定するのか、ユーザが自分で設定するのかの何れかを選択するチェックボックスを表示部24に設けても良い。また、刷り込みフェーズ及びチェックフェーズにおける空白時間の長さを、例えば、長、中、短の何れかに設定する画面を表示部24に表示するようにしても良い。
【0090】
なお、図10に示した本発明の実施形態における語学学習装置を構成する各機能ブロックの動作は、コンピュータ上のプログラムに実行させることもできる。すなわち、語学学習装置の全体制御部213を構成する図示しないCPUが、記憶部22に格納されたプログラムをロードし、プログラムの各処理ステップが順次実行されることによって行われる。また、語学学習装置には、スマートフォン等のモバイル端末以外に、タブレット型PC等も含まれることは勿論である。
【0091】
このように、本発明は、刷り込みフェーズに対して連動してチェックフェーズがシームレスに設けられており、ユーザが学習に積極的に取り組み、チェックフェーズで覚えたボタンが押下された際は、刷り込みフェーズに新しいセンテンスが入り、無駄が無く、学習を進めることができる。さらに、満員電車の中等のモバイル端末の操作ができない状況や学習負荷を軽減したい場合でも、チェックフェーズの後に、連動してシームレスに刷り込みフェーズが開始され、聴き流し学習のように学習することもできるので、ユーザの利用状況に合わせて効率的に語学学習を行うことができる。また、本発明は、一人のユーザの状況に合わせてだけでなく、学習の仕方が異なるユーザも、それぞれのユーザに合わせて学習することができる。要するに、操作をしないで聞き流すことも、積極的に操作して学習することも、ユーザのモチベーションや置かれている状況等に合わせて学習することができる。
【0092】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
21 制御部
22 記憶部
23 入力部
24 表示部
25 インタフェース部
100 スマートフォン
110 スタートボタン
120、121 終了ボタン
130、131 センテンス
140 スキップボタン
141 覚えたボタン
142 終了ボタン
150 レスト画面移行通知
160 戻るボタン
170 設定画面
180 刷り込みフェーズ移行通知
211 刷り込みフェーズ実行部
212 チェックフェーズ実行部
213 全体制御部
221 センテンスストック
222 センテンスリスト
223 刷りこみリスト
224 刷り込みパターン
225 チェックリスト
226 チェックパターン
227 再生時間テーブル
228 刷り込みフェーズの回数実績
229 刷り込みログ
230 刷り込みフェーズのセンテンス数(S)
231 センテンスのリピート回数(R)
232 刷り込みフェーズのループ回数(L)
233 総利用時間(T)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16