(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163157
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】脛骨部品
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
A61F2/38
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-532543(P2014-532543)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-530680(P2014-530680A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】IB2012055192
(87)【国際公開番号】WO2013046170
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】2011/07123
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】ZA
(73)【特許権者】
【識別番号】514078737
【氏名又は名称】ルドルフ クリスチャン ウーストハイゼン
【氏名又は名称原語表記】Rudolf Christiaan OOSTHUIZEN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100121120
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 尚
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ クリスチャン ウーストハイゼン
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3411786(JP,B2)
【文献】
特許第2741644(JP,B2)
【文献】
特許第4686002(JP,B2)
【文献】
特開2005−288181(JP,A)
【文献】
特表2010−506622(JP,A)
【文献】
特表2013−521841(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02483492(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0125339(US,A1)
【文献】
特開2008−264532(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0021565(US,A1)
【文献】
特表2008−528110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨コンポーネント、及び、固定のスペーサベアリング又は可動のスペーサベアリングを含む整形外科の人工関節に使用されるのに適した脛骨部品であって、
上側ベアリング面及び下側骨接続面を有し、湾曲端が使用中に膝の中心線から離れる方向に配置されるD形状を有することで脛骨と大腿骨との間の内側の区画部分又は外側の区画部分のいずれかに亘って設けられ、前記可動のスペーサベアリング又は前記固定のスペーサベアリングを低侵襲前方進入により相互に交換可能に受ける形状をさらに有する平坦な脛骨プレートと、
前記固定のスペーサベアリングを前記脛骨プレートに取り外し可能に固定するための少なくとも1つの前方配置のスペーサベアリング取り付け手段と、
前記膝の前記中心線に最も近い前記脛骨プレートの一面の上に位置し、前記固定のスペーサベアリングと当接するか、又は、前記可動のスペーサベアリングの前記膝の前記中心への移動を制限する直交フランジと、を備え、
可動のスペーサベアリングを用いた人工関節組立体と固定のスペーサベアリングを用いた人工関節組立体との間の交換は、前記脛骨プレートの前記下側骨接続面を阻害することなく、補修作業の直後又はその後に行われる、脛骨部品。
【請求項2】
前記スペーサベアリングは取り外し可能に前記脛骨部品に固定されており、それにより前記スペーサベアリングが前記脛骨部品に対して動かないようになっており、
前記スペーサベアリングの前記動作は、回転動作、平行の動作、又は両方の回転動作及び平行動作の組み合わせである、請求項1に記載の脛骨部品。
【請求項3】
前記スペーサベアリングは、前記大腿骨コンポーネントを受けるための凹面を有しており、前記大腿骨コンポーネントは、可動のスペーサベアリングを用いた人工関節組立体に使用されるために、前記スペーサベアリングの前記凹面に支持されるように置かれる、請求項1に記載の脛骨部品。
【請求項4】
前記スペーサベアリングは、前記大腿骨コンポーネントを受けるための平坦面を有しており、前記大腿骨コンポーネントは、固定のスペーサベアリングを用いた人工関節部品に使用されるために、前記スペーサベアリングの前記平坦面に支持されるように置かれる、請求項1又は2に記載の脛骨部品。
【請求項5】
前記直交フランジは、その上に配置された環状又は斜めに配置された開口部を有している、請求項1〜4のいずれかに記載の脛骨部品。
【請求項6】
前記取り付け手段は、第1の取り付けであり、前記固定のスペーサベアリングを前記直交フランジに配置しさらに取り外し可能に固定しそして最後には前記脛骨プレートに固定するための任意のねじ及びねじ穴の形である、請求項1に記載の脛骨部品。
【請求項7】
前記第1の取り付けは、第2の取り付け手段によって補完され、前記第2の取り付け手段は、配置部材、リム凹部、把持部材及びホルダーによって集合的に定義される、請求項6に記載の脛骨部品。
【請求項8】
前記配置部材及び把持部材は各々前記固定のスペーサベアリングの上に配置されている、請求項7に記載の脛骨部品。
【請求項9】
前記配置部材は、前記スペーサベアリングの後方に配置され、前記脛骨プレートに配置されたリム凹部に対してスナップ嵌めするためのものである、請求項8に記載の脛骨部品。
【請求項10】
前記把持部材は、前記スペーサベアリングの前方に配置され、前記スペーサベアリングに配置された相補的形状のホルダーに摩擦接触するためのものである、請求項8に記載の脛骨部品。
【請求項11】
前記スペーサベアリングは、その上に凹面を有しており、又は、代替例として、その上に平坦面を有しており、さらに前記スペーサベアリングの両側に配置された平坦面及び凹面の組み合わせを有している、請求項3又は4に記載の脛骨部品。
【請求項12】
被験者、特に人間の膝に使用される、請求項1〜11のいずれかに記載の脛骨部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科の人工関節に使用されることに適しており、より具体的には、膝関節の軟骨面再形成用の人工関節に使用されることに適している脛骨部品に関連する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの膝人工関節が、傷ついた又は怪我をした膝を治療する整形外科手術の分野において知られ、かつ、用いられている。特に、本出願人は、PCT/IB2009/053224に対応しており、2011年1月27日出願でかつ2008年7月24日に優先権を主張している南アフリカ特許2011/00697でより詳細に説明された「整形外科の人工関節」の発明者である。また、本出願人は、さらに、特許2012/06206となった、A評価システムが与えられた2011年5月19日の南アフリカ仮特許出願2011/03673「関節に対する負傷を評価するシステム及び方法」の発明者でもある。これら各々の記述は、それらの全体を参照により、取り入れられる。
【0003】
膝関節軟骨面再形成治療における利用可能な治療法の選択肢は、人工膝関節片側置換術(UKA)及び人工膝関節全置換術(TKA)である。UKA及びTKAの両方において、通常の人工膝関節は、金属製の大腿骨コンポーネント、金属製の脛骨部品及びそれらの間に配置された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)スペーサベアリング(又はベアリング挿入)を有する。大腿骨コンポーネントは、名前の示すとおり、大腿遠位に固定されるものであり、脛骨部品は脛骨近位端に固定されるものである。
【0004】
歴史的に、固定されたスペーサベアリングの使用(そこでは、スペーサベアリングは脛骨部品に固定される)は、好ましい連結方法であった。しかし、技術の発展に伴って、可動スペーサベアリングが好まれるようになっていった。その場合、スペーサベアリングは、ある程度、つまり脛骨部品に対してスライド可能に又は部分的に回転するように、動くことができる。可動又は固定のスペーサベアリングを選択することは、特定の対象者の膝の状態によるものであること、とりわけ膝靱帯の緩みの程度によるものであることは明らかである。この選択は、手術中に判断される。突き詰めて言えば、UKA又はTKAのいずれが適切であるか、さらには、可動ベアリング又は固定ベアリングのいずれを使用するかについての最終決定は、手術中に行われる。例えば、主要な指標又は場合によっては禁忌指標は、十字靱帯を目視することに頼っている。
【0005】
さらには、UKAは、軟骨欠陥を有する病気の又は損傷した膝における好ましい治療形態である。より厳しい診断では、TKAが示される。どちらかの治療法の選択肢(すなわち、UKA又はTKA)においては、骨切除を必要とする人口補綴物挿入のための準備段階がある。患者の体格及び他の解剖学的考慮によって、大腿骨コンポーネント及び脛骨部品の特定のサイズが選択される。適したサイズのスペーサベアリングは、いったん大腿骨及び脛骨部品が挿入されれば、適切に決定される。この決定は、最終的には外科的処置の間に行われ、その前ではない。さらに、特定の患者の膝の内部的条件を目視することにしたがって、可動又は固定のいずれかのスペーサベアリングが提示される。明確なデメリットは、医者が可動スペーサベアリングを使用することを予期していたが、膝の手続き中検査によって固定スペーサベアリングを使用することを要求されること、を促進することである。異なるサイズの可動及び固定スペーサベアリングを単一の無菌パック内に全ての範囲にわたって含めることは実際的ではなく、又実現もできないので、実際には、両方の選択肢は医師にとって容易に利用可能ではなく、手術が延期されやすい。このようなパックは単にほとんどの患者にとってあまりのコスト高になるだけであり、無駄な出費を意味している。さらに、固定スペーサベアリングは工場で製造され、ベアリングは通常は脛骨部品から取り外しできない。本出願人は、クリップ式のスペーサベアリングを有する固定ベアリングを知っているが、それの使用は、上述したように制限されている。
【0006】
従来の人工関節のさらなるデメリットは、大腿骨コンポーネント及び脛骨部品の間にあるスペーサベアリングに回転及び屈曲力が作用することに起因して、これらのスペーサベアリングが損傷つまり靱帯断裂又は通常の使用によっても摩耗しやすかったり、位置がずれしたりする。さらに、スペーサベアリングに作用する他の負荷状態に応じて、例えば不適切なサイズのスペーサベアリングが用いられた場合、スペーサベアリングは早く摩耗したり又は異常な損傷が生じたりする。このような場合、補正手術が提示され、大腿骨コンポーネント及び脛骨部品の一方又は両方を除去することが提示されるかもしれない。もしも大腿骨コンポーネント及び/又は脛骨部品の両方が認められる状態であれば、そのような除去は、以下の点で不利益であろう。患者はさらなる骨切除の対象者になるかもしれず、人工コンポーネントが無事に挿入された場合に人工コンポーネントの無菌性弛緩のさらなる可能性にさらされることになり、そして、その前にはUKAが実行可能な選択であっただろうという場合に、早まってTKAの候補者になる。
【0007】
このように、どのような患者に対しても一律に適用可能な人工膝が必要とされている。また、従来の人工関節に比べて、侵襲が少なく、寿命が長く、費用が少なく、術後回付期間が短い人工膝が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来の人工関節に関連するデメリットを少なくとも部分的に解消する、整形外科の人工関節に一般的に適用されるのに適している脛骨部品を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、先行技術に対して新規性及び進歩性を有する脛骨部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一見地によれば、整形外科の人工関節に適した脛骨部品が提供される。その人工関節は、大腿骨コンポーネント及びスペーサベアリングを有している。
脛骨部品は、上側ベアリング面及び下側取り付け面を有する平坦な脛骨プレートを備えている。
脛骨プレートは、さらに、スペーサベアリングを脛骨プレートに対して取り外し可能に固定するための少なくとも1つのスペーサベアリング取り付け手段を有している。
【0011】
スペーサベアリングは、スペーサベアリングの脛骨部品に対する動きを防止するために、脛骨部品に取り外し可能に固定されてもよい。上述の動作は、回転動作、平行動作又はそれら両方である。
【0012】
本発明によれば、さらに、スペーサベアリングは、大腿骨コンポーネントを受けるための凹面を含んでいる。スペーサベアリングの凹面は、実質的に6度の湾曲を形成してもよい。スペーサベアリングは、別の例として、大腿骨コンポーネントを受けるための平坦面を有していてもよい。大腿骨コンポーネントを凹面を有するスペーサベアリングに支持させるようにする場合は、その使用意図は可動スペーサベアリングを有する人工部品のためである。大腿骨コンポーネントを平坦面を有するスペーサベアリングに支持させるように置かれる場合は、固定スペーサベアリングを有する人工部品のために使用される。このようにして、脛部品は、可動又は固定ベアリング人工部品のいずれかのスペーサベアリングを交互に受けるように構成されていることが十分に理解されるであろう。
【0013】
本発明は、被験者、特に人間の膝、に特に適した整形外科の人工関節を提供する。
【0014】
本発明では、さらに、脛骨プレートが、脛骨プレートにおいて膝の中心に最も近い面に配置されたフランジを有する。フランジは、好ましくは、直交フランジであり、そこに配置された開口部を有していてもよい。開口部は環状又は傾斜状である。
【0015】
本発明によれば、さらに、取り付けは第1の取り付けであってもよい。第1の取り付けは、スペーサベアリングを直交フランジに対してつまり脛骨プレートに対して配置しかつ取り外し可能に固定するためのねじ及びねじ穴の性質を有していてもよい。別の例として、第1の取り付けは、細長いシリンダー及びそれの円弧状端を有する片持ちのピンの性質を持っていてもよい。片持ちのピンは、スペーサベアリングを直交フランジに対してつまり脛骨プレートに対して取り外し可能に固定するための片持ちのスナップ嵌め配置を形成している。
【0016】
本発明によれば、第1の取り付けは、第2の取り付け手段によって保管される。第2の取り付け手段は、配置部材及び把持部材の形態であり、各々がスペーサベアリングに配置されている。配置部材は後方に配置されており、リム凹部にスナップ嵌めされている。配置部材は、さらに、脛骨プレートの上に配置されている。把持部材は前方に配置されており、相補的形状のホルダーと摩擦接触するためのものである。把持部材は、さらに、脛骨プレートの上に配置されている。配置部材、リム凹部、把持部材及びホルダーは、集合的に、第2取り付け手段を構成している。
【0017】
本発明は、さらに、大腿骨コンポーネント、スペーサベアリング及び脛骨部品を有する整形外科の人工関節部品組立体に拡張される。脛骨部品は、上側ベアリング面及び下側取り付け面を有する平坦な脛骨プレートを備えている。脛骨プレートは、スペーサベアリングを脛骨プレートに対して取り外し可能に固定するための少なくとも1つのスペーサベアリング取り付け手段をさらに有している。スペーサベアリングは、その上に凹面を有していてもよいし、又は別の例としてその上に平坦面を有していてもよい。
【0018】
大腿骨コンポーネントは、前方部材及び後方部材と、内側の大腿骨取り付け面を有する楕円形物体を有していてもよい。大腿間接ベアリング面及び内側大腿骨取り付け面は、前方部材の長さに沿ったどの点についても実質的に同一の断面湾曲を有しており、それにより、内側大腿骨取り付け面の半径が増大しており、さらに、骨組織に対する固定の断面線が増大している。内側大腿骨取り付け面は、さらに、その外側周縁エッジを超えて延びる線を形成している。
【0019】
本発明は、さらに、膝関節の軟骨欠落面エリアの表面再形成の修正方法にまで拡張される。この方法は、侵襲が最低限であり、実質的にここで述べられた大腿骨コンポーネント、実質的にここで述べられた脛骨部品、実質的にここで述べられた選択的な取り付け手段を有する、整形外科の人工関節を利用して挿入するステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の図面を参照しながら、非限定的な例を用いて、本発明は以下に詳細に説明される。
【
図1】本発明の一実施形態における、スペーサベアリングが係合している脛骨部品の概略的上面斜視図である。
【
図2】
図1に示された本発明のスペーサベアリングが係合している脛骨部品の概略的底面斜視図である。
【
図3】
図2に示された本発明のスペーサベアリングが係合している脛骨部品の分解概略底面斜視図である。
【
図4】
図1に示された本発明のスペーサベアリングが係合している脛骨部品の半分分解された概略上面斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る、スペーサベアリングが係合している脛骨部品の概略的後方の底面斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る、スペーサベアリングが係合している脛骨部品の概略的前方の底面斜視図である。
【
図7】
図5に示された本発明に係る、スペーサベアリングが係合している脛骨部品の分解概略的底面斜視図である。
【
図8】人間の膝の本来の位置における、本発明の並んだ正面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、解剖学に関する表現を表す用語、例えば、中心に向かって、中心から離れて、上方に、下方に、などは、人工関節、それの各部分、及び患者(図示せず)の元々の骨格に関するものであると、解釈されることになる。これらの表現は、整形外科及び解剖学において十分に理解されるものであり、本明細書では、それらと一致する意味が与えられることを目的としている。
【0022】
図面において、それとは異なるように表現されていない限り、同様の数字は同様の部分を示している。
【0023】
最初に
図3を参照し、さらに本発明の第1の非制限的な例において、参照数字10は、一般に、直交する人工関節(図示せず)に用いられることに適した脛骨部品10を示す。この人工関節(図示せず)は、上述されPCT/IB2009/053224内で具体的に記載された大腿骨コンポーネントと、スペーサベアリング90とを有している。脛骨部品10は、上側ベアリング面30及び下側取り付け面20を有する平坦な脛骨プレート15を有しており、さらに、スペーサベアリングを脛骨プレートに対して取り外し可能に固定するスペーサベアリング取り付け手段を有している。
【0024】
平坦な脛骨プレート15は、平面図で見れば、実質的にD形状であり、それの湾曲端は、中心から離れる方向に配置されており(すなわち、膝の中心線から離れており)、反対側(すなわち、中心に向かう側)は、直線状の縁を形成している。脛骨プレート15は、スペーサベアリング70の上側面90を受けて係合するための上側ベアリング面30(
図4において、最も明確に見ることができる)を有している。脛骨プレート15は、さらに、
図8に概ね示されているように、脛骨部品10を対象者の脛骨プラトーに取り付けるための下側取り付け面20を形成している。
【0025】
脛骨部品10は、それの中心側の縁に固定されかつ沿って前後方向に延びる直交フランジ40は、後方において高さが均一であり、前方において脛骨プレート15に向かってテーパ形状になっている。直交フランジの上にテーパと並んで配置されたのは、前方に配置された開口部45である。
【0026】
下側取り付け面20は、下側取り付け面20から下方に延びそこの中心に配置された脛骨アンカー25を有している。中心の、長く延びる開口部35が、脛骨アンカー25内に形成されている。
【0027】
さらに、下側取り付け面20は、外側周縁エッジに沿って延びるリム22を立設面の形で有している。脛骨部品10の後方端において、リム22は、立設面の凹状部分で終了して、リム凹部60を形成している。リム凹部60は、互いに対して相補的に係合する方法によって、スペーサベアリング70の配置部材65を受けるためのものである。これは、面再形成治療中に、スペーサベアリング70を脛骨部品10に対して可能な限り素早くかつ効率的に適切に配置することを目的としている。
【0028】
リム凹部60の反対側に、かつ、脛骨部品10の前方の面において、ホルダー50が、噛み合い接触によって、スペーサベアリング70の上に配置された把持部材55を受けてさらに取り外し可能に固定する。通常、噛み合い接触は、簡単な角度が付いた凹部及びフック(図示せず)を用いた第1の片持ちのスナップ嵌め配置である。好ましくは、片持ちのスナップ嵌め配置は恒久型である。
【0029】
直交フランジ40の前方の面及びテーパに並んで配置されたのは、上述した開口部45である。開口部45は、スペーサベアリング70に配置された穴100を通って延びる締結部材46を受けてアンカーする。本発明の一実施形態では、スペーサベアリング70上の中心に近く配置された入口(図示せず)から穴100を通って延びる締結部材46を固定すること、最後には環状の開口部45内に部分的にアンカーすることは、ねじ及び相補的なねじ穴配置によって行われる。ねじの頭部は、スペーサベアリング70において中心に近い位置の入口(図示せず)の外縁の周りに延びている角度が付いた切り込み(図示せず)に着座している。その結果として、スペーサベアリング70が脛骨部品10に係合されるときに、環状の開口部45及び穴100は、互いに対して一直線上に配置される。
【0030】
次に
図3及び
図4を参照して、スペーサベアリング70は、脛骨プレート15の平面視形状の鏡像となるような寸法の本体を含んでいる。上述の本体は、前後方向に延びる細長い側壁105を有している。側壁105は、前方端及び後方端で終了している。細長い側壁105は、使用中に、直交フランジ40に当接するためである。側壁105の両末端は、最初に側壁105に対して直角に、さらに、互いに向かって曲線状のテーパとなって、最後には一つになるように連続している。その結果、平面図において実質的にD形状が実現されている。
【0031】
上述した実施形態では、スペーサベアリング70の上側面90は、通常、平坦な面であり、大腿骨コンポーネント(図示せず)がその上に支持されるようになっている。スペーサベアリング70の下側面80は、脛骨プレート15の上側ベアリング面30の上に支持される。下側面80の前方端から、把持構成50は下方に延びる。前方端の反対側に、かつ、下側面80の後方端にあるのは、配置部材65である。配置部材65は、さらに、下方に延び、リム凹部60内に着座した内側に延びるフランジ65(a)において終了している。
【0032】
本発明の代替実施形態の第2の非制限的な例として、
図5、6及び7は、上述した実施形態のスペーサベアリング及び締結手段の代替形態を示している。これは、本開示の範囲内に完全に入っている。この例では、環状開口部45は、傾斜開口部110によって置き換えられている。それは、直交フランジ40を通って斜めに延びてその後方端に向かっている。傾斜開口部は、スペーサベアリング70に設けられた傾斜穴140に対して一直線上の関係にあり、スペーサベアリング70の前方の面上の位置から斜めに延びており、側壁105で終了している。
【0033】
さらに、この他の実施例では、直交フランジ40の前方端は、直交フランジ40に対して直交して延びる直線状の凹部130になっている。この例におけるさらなる代替品は、締結部材46の代わりとしての締結部材120に関連している。締結部材120は、円弧状端150及び尖った配置端160を有する細長いシリンダーである。円弧状端150は、直線状凹部130に配置されるためのフックを用いた第2の片持ちのスナップ嵌め配置で終了している。
【0034】
このようにして、締結部材46/穴100/環状の開口部45の組合せ、及び(代替例における)締結部材120/傾斜した開口部110/傾斜した穴140の組み合わせは、全て前述のスペーサベアリング取り付け手段(符号無し)の集合的な典型であることは容易に理解されるであろう。
【0035】
代替例におけるスペーサベアリング70の不動性又は可動性は、代替としての締結部材120を使用するか又は不使用にするか次第である。可動ベアリングが意図されている場合は、スペーサベアリング70は、大腿骨コンポーネントを受けるための凹状の上側ベアリング面(6度の曲率を有している)を有している。スペーサベアリング取り付け手段は用いられず、スペーサベアリング70は従来技術で知られているように脛骨プレートに対して自由に動くことができる。両方の例において、中心となるのは、可動スペーサベアリング人工部品と固定スペーサベアリング人工部品とを直ちに交換できることである。前者の場合、これは、締結部材46又は締結部材120を省略することで行われ、さらに大腿骨コンポーネント(図示せず)からの荷重に面して受けるための凹状上側ベアリング面を有する脛骨部品10に対してスペーサベアリング70を配置することで行われる。後者の場合、とりわけ、締結手段46又は締結部材12がスペーサベアリング70を脛骨部品10に固定しており、一方、平坦な上側ベアリング面を有するスペーサベアリング70は脛骨部品10に係合されている。
【0036】
脛骨部品10が特に人間の膝(図示せず)に使用されるのに適しているが容易に理解されるであろう。この関節は、
図8に概ね示されている。大腿骨160は脛骨170に対して関節でつながっており、
図8においてより詳細に示すように、出願人は、脛骨部品10が、中心に近い膝部分又は中心から遠い膝部分のいずれにも使用可能であることを見いだした。
【0037】
使用中に、医師は、内側の膝関節をさらすために、対象者の膝の適切な点に小さな(およそ)10センチメートルの切込みを形成する。いったん大腿顆及び脛骨プラトー(両方とも図示せず)が大腿骨コンポーネント(図示せず)及び脛骨部品10の配置によって適切に準備されれば、それぞれがこれらの位置において、適切なサイズのスペーサベアリングが挿入のために選択される。上述した最初の例によれば、スペーサベアリング70の後方端は、配置部材65がリム凹部60eに位置するまで、脛骨プレート15に向かって前進する。いったんそこに位置すれば、把持部材55が物理的に把持構成50内に押し込まれ、さらにこのようにスペーサベアリングが脛骨プレート15に対して適切に配置される。つまり、側壁105が、直交フランジ40に当接する。ねじのような適切なサイズの締結部材46は、スペーサベアリング70(平坦なベアリング面を有している)における中心に近い位置の穴入口(図示せず)を通って相補的なねじ穴100内に導入され、さらに、環状の開口部45に位置してアンカーするまで穴100を通って前進する。スペーサベアリング70は、今や脛骨部品10に固定されており、固定された人工部品となっている。治療は、対象者の膝を縫合した後に、完了する。
【0038】
同様に、医師が締結部材120/傾斜開口部110/傾斜穴140の組み合わせからなる締結手段を選択する場合、医師は、代替の締結部材120を前方に位置するスペーサベアリング70(平坦な上側ベアリング面を有している)の斜め穴140を通して、尖った配置が傾斜開口部110を通して見えるようになるまで前進させる。この時点で、円弧状端150は、前方の面及び側壁105によって定義されるコーナーと同じ高さになっており、第2の片持ちのスナップ嵌め配置が係合しており、それによって、スペーサベアリング70が脛骨部品10に固定される。これは、固定ベアリング配置又は固定人工部品を示している。
【0039】
手術中に、可動スペーサベアリング配置が対象者のニーズにより適しており、凹状の上側ベアリング面を有するスペーサベアリング70が単に脛骨プレート15の上に置かれて脛骨プレート15に噛み合い接触になる、ことが理解される。スペーサベアリング取り付け手段の使用は避けられ、さらに脛骨プレート15に対するスペーサベアリング70の動きの制限が生じない。このようにして、この配置は、可動ベアリング人工部品を表している。
【0040】
さらに、本発明が、ここで述べられた脛骨部品10がここで述べられた大腿骨関節ベアリング面及びaスペーサベアリングを形成する大腿骨コンポーネントと共に使用されることにまで拡張されたことが理解されるであろう。大腿骨コンポーネントは、さらに、前方部材及び後方部材、及び内側の大腿骨取り付けを有する楕円形物体を含んでいる。大腿骨関節ベアリング面及び内側大腿骨取り付け面は、前方部材の長さに沿ったどの点においても実質的に均一な断面曲率を有しており、それにより内側大腿骨取り付け面の半径が増大しており、さらに骨組織の固定の断面線が増大しており、膝関節における軟骨欠落面エリアの表面が再形成される。
【0041】
当業者は、以下のことを容易に理解するであろう。医師は、例えばスペーサベアリングが摩耗又は損傷したときに、脛骨部品又は大腿骨コンポーネントを邪魔することなく、必要になった場合にスペーサベアリング70を交換することができる。さらに、スペーサベアリングを存在する人工関節に挿入することが容易になっているので、患者への負担は最低限になっている。さらに、スペーサベアリングは、人工関節の容易に交換可能な部分が何であるかを見つけるだろう。それにより、存在する人工の装置、特にUKA治療に関連する人工部品の寿命が延びる。
【0042】
本発明の特定の形態のみが説明されたが、当業者は本発明の他の改良又は変更が可能であることを理解するだろう。例えば、スペーサベアリング取り付け手段は、上述の2つの例に限定される必要がなく、スペーサベアリング70を脛骨部品10に固定する目的を達成する代替の適したスペーサベアリング取り付け手段であればよい単一半径の曲率を形成する大腿骨コンポーネントとともに、脛骨部品10を用いることが好まれる。複数半径の曲率を有する大腿骨コンポーネントは、適切な場合に、代替使用可能である。このような改良及び/又は変更は、ここで述べられたようにして本発明の主旨及び範囲内にあると考えられる。