(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163165
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩およびモンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含む経口投与用安定医薬製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/495 20060101AFI20170703BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20170703BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20170703BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20170703BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20170703BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20170703BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20170703BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20170703BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20170703BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20170703BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20170703BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20170703BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20170703BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20170703BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
A61K31/495
A61K31/47
A61P11/02
A61P11/06
A61P37/08
A61P27/14
A61K9/20
A61K9/24
A61K9/48
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/32
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-551191(P2014-551191)
(86)(22)【出願日】2013年1月4日
(65)【公表番号】特表2015-503579(P2015-503579A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】KR2013000057
(87)【国際公開番号】WO2013103262
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0001954
(32)【優先日】2012年1月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】599139534
【氏名又は名称】ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100156100
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 満
(72)【発明者】
【氏名】クォン・テグワン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ドンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ギョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨンイル
(72)【発明者】
【氏名】パク・ジェヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ジョンス
【審査官】
岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/107404(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/012199(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/055177(WO,A1)
【文献】
印度特許出願第891/DEL/2007号公報,2008年12月26日
【文献】
RATHOD,R.T. et al,FDC of montelukast with levocetirizine: focus on bilayer technology,Journal of the Indian Medical Association,2009年,Vol.107, No.8,p.562-564
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/495
A61K 9/20
A61K 9/24
A61K 9/48
A61K 31/47
A61K 47/12
A61K 47/18
A61K 47/32
A61K 47/36
A61K 47/38
A61K 47/42
A61P 11/02
A61P 11/06
A61P 27/14
A61P 37/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー性鼻炎または喘息の予防または治療のための経口投与用の医薬製剤であって:
(a)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩および有機酸を含む、第一粒子部分;および
(b)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含む、第二粒子部分
を含む、医薬製剤。
【請求項2】
100部のレボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩に基づいて、有機酸を40〜1000重量部の量で含む、請求項1記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項3】
100部のレボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩に基づいて、有機酸を50〜500重量部の量で含む、請求項2記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項4】
有機酸が、クエン酸、酒石酸、コハク酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、シュウ酸、リンゴ酸、酢酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、アルギン酸、フマル酸、乳酸およびその混合物からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項5】
第一または第二粒子部分がミニ錠剤の形態である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項6】
カプセル製剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項7】
カプセルがハードカプセルである、請求項6記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項8】
カプセルが、ゼラチン、プルラン、ヒプロメロースおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される材料でできている、請求項7記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項9】
第一および第二粒子部分が、カプセル中に、物理的に分離されて充填されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項10】
第一および第二粒子部分が、各々独立して、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤およびその混合物からなる群より選択される医薬的に許容される添加剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項11】
ミニ錠剤がコーティング層をさらに含む、請求項5記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項12】
アレルギー性鼻炎が、鼻漏、鼻閉塞、鼻のかゆみ、くしゃみおよび眼のかゆみからなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の経口投与用の医薬製剤。
【請求項13】
(i)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩、医薬的に許容される添加剤および有機酸を混合し、その混合物を打錠する工程(ここで、有機酸は、100部のレボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩に基づき、40〜1000重量部の量で使用される);
(ii)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される添加剤を混合し、その混合物を打錠する工程;および
(iii)工程(i)で得られたレボセチリジン錠および工程(ii)で得られたモンテルカスト錠をハードカプセルに充填する工程
を含む、カプセル製剤の調製方法。
【請求項14】
工程(i)または(ii)において調製された錠剤を被覆することをさらに含む、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩、および有機酸を含む第一粒子部分;および(b)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含む第二粒子部分を含む、アレルギー性鼻炎または喘息を予防または治療するための経口投与用医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「アレルギー性鼻炎」とは、鼻の粘膜がアレルゲンに曝されると、IgE介在性炎症作用により誘発される鼻の症候性障害をいう。アレルギー性鼻炎は、鼻漏、鼻閉塞、鼻のかゆみ、くしゃみ、眼のかゆみ等などのかかる症候を誘発する。
【0003】
「喘息」とは、気道炎症が気管支粘膜を膨脹させ、気管支にて筋肉のけいれんを生じさせ、肺での空気の出入りを制限する障害をいう。喘息は、息切れ、激しい咳などのかかる症候を、重度の場合には、死に至る可能性もある喘息重積状態を惹起するかもしれない。
【0004】
アレルギー性鼻炎と喘息は、別々に、発症してもよいが、アレルギー性鼻炎の患者の約58%が喘息でもあり、喘息患者の85〜95%もまたアレルギー性鼻炎を患っていることを示す研究データがあり、このことはこの両患者群の間で合併症の割合が高いことを示す。そこで、この2種の症状を治療するのに安定性および効能を改善した併用組成物を開発する必要がある。
【0005】
なお、セチリジンは(2−(4−((4−クロロフェニル)フェニルメチル)−1−ピペラジニル)エトキシ酢酸であり、その左旋性および右旋性エナンチオマーが、各々、「レボセチリジン」および「デキストロセチリジン」として開示された。
【0006】
レボセチリジンは、セチリジンのラセミ混合物を分割するか、または不斉合成に付すことにより、例えば英国特許第2225321号に開示される一般的方法に供するか、または米国特許第4800162号および第5057427号に開示の酵素的生体触媒による加水分解に供することにより得ることができる。レボセチリジンは抗ヒスタミン特性を有し、かくして抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤ならびに抗けいれん剤および気管支拡張剤として有用である。また、レボセチリジン・二塩酸塩はアレルギー性鼻炎の治療用に承認され、ザイザル(Yuhan Corporation)の商品名の下で市販されている。
【0007】
モンテルカストは、システイニルロイコトリエン1型(CysLT1)受容体を阻害するアンタゴニストであり、ロイコトリエン介在性疾患の予防および治療に使用される。特に、モンテルカストは、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、副鼻腔炎、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患、鼻結膜炎を含む結膜炎、片頭痛、嚢胞性線維症、ウイルス性細気管支炎等の治療において効果的であると報告されている[例えば、S. E. Dahlen、Eur. J. Pharmacol., 533(1-3), 40-56(2006)を参照のこと]。さらには、モンテルカストナトリウムを含むシングレア(MSD)は、成人および2歳以上の小児患者の喘息の治療に承認されており、現在市販されている。
【0008】
塩基性条件下で安定しているモンテルカストナトリウムおよび酸性条件下で安定しているリボセチリジン・二塩酸塩を含む二相錠の形態の医薬組成物に関する報告がある[R. T. Rathod、J. Indian Med. Assoc., 107(8), 562-564(2009)]。該組成物を錠剤形態にて調製するにおいて、モンテルカストおよびレボセチリジンを相互に完全に分離することは極めて困難である。たとえ、二層錠を形成する場合でも、各活性成分を機械的に完全に分離することは不可能である。その上、かかる錠剤を製造するために、二層錠の打錠機が必要とされる。
【0009】
加えて、レボセチリジンはまた、生理化学的特性の点で不安定であり、経時的に安定した製品を調製することは困難である。レボセチリジンには、式(I)で示される関連物質A、式(II)で示される関連物質Bおよび式(III)で示される関連物質Fを含め、3種の主たる分解生成物がある。関連物質AおよびBはレボセチリジンの加水分解を介して生成され、関連物質Fはレボセチリジンとハードカプセルの賦形剤または離型剤との副反応を介して生成される。実際、レボセチリジンは、加速貯蔵条件下、関連物質A、BおよびFの高速での形成を示し、かくしてカプセル製剤の製造工程の間で安定性を提供することは容易ではない。
【0010】
【化1】
【化2】
【化3】
【0011】
モンテルカストは、光、熱または湿気に曝された場合に、不安定なことが分かっており、そのような分解生成物を式(IV)のモンテルカストスルホキシドおよび式(V)のモンテルカストシス−異性体として生成する。文献[M. M. Al Omariら、J. Pharm. and Biomed. Anal., 45, 465-471(2007)を参照のこと]によれば、市販のシングレア咀嚼錠は日光に曝されると、モンテルカストスルホキシドの量が3週間後に2.4%増加し;モンテルカストの0.1M塩酸中溶液がナトリウム光に6時間曝されると、モンテルカストシス−異性体の量が14.6%増加した。該報告から分かるように、経時的に安定したモンテルカスト生成物を調製することは容易ではない。
【0012】
【化4】
【化5】
【0013】
ハードカプセルの製造工程の間に、カプセルの外形を維持し、カプセル表面を滑らかにするために、カプセル材料および賦形剤を利用する。カプセル材料の例として、ゼラチン、プルラン、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール等が挙げられ;および賦形剤の例として、ジアセチル化モノグリセリド、シュークロース脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、鉱油、レシチン等などの離型剤を、カプセルの外形を形成する型からカプセルを容易に剥離するために用いる。
【0014】
本発明者らは、レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩およびモンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を活性成分として含む複合製剤について調査を行った。本発明者らは、レボセチリジンとモンテルカストが別個の錠剤で調製され、一のハードカプセルに充填される場合に、単一活性成分の錠剤の形態の組成物と比べて、カプセル中に存在する賦形剤および離型剤より由来の材料ならびに水分含量のため、関連物質の量がより迅速に増加し、そのために活性成分の安定性が低下することを見出した。従って、本発明者らはその課題を解決するのに工夫を重ね、クエン酸などの有機酸がレボセチリジンを含む粒子部分に利用される場合に、レボセチリジンおよびモンテルカストの関連物質の生成が効果的に阻害され、それで活性成分が一のハードカプセルに充填された後であっても、優れた長期貯蔵安定性が得られることを見出した。
【発明の概要】
【0015】
従って、レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩およびモンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含み、それらの活性成分が一のハードカプセルに充填される、経口投与用で、優れた長期貯蔵安定性を有する、アレルギー性鼻炎または喘息の予防または治療のための医薬製剤を提供することが本発明の目的である。
【0016】
経口投与用の上記した医薬製剤の調製方法を提供することが本発明の別の態様である。
【0017】
本発明の目的によれば、アレルギー性鼻炎または喘息の予防または治療のための経口投与用の医薬製剤であって:
(a)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩および有機酸を含む、第一粒子部分;および
(b)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含む、第二粒子部分
を含む医薬製剤が提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、
(i)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩、医薬的に許容される添加剤および有機酸を混合し、その混合物を打錠する工程(ここで、有機酸は、100部のレボセチリジンに基づき、40〜1000重量部で使用される);
(ii)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される添加剤を混合し、その混合物を打錠する工程;および
(iii)工程(i)で得られたレボセチリジン錠および工程(ii)で得られたモンテルカスト錠をハードカプセルに充填する工程
を含む、医薬製剤の調製方法が提供される。
【0019】
本発明のさらなる目的によれば、上記した方法により調製されるカプセル製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の上記した目的および特徴、ならびに他の目的および特徴は、添付図と合わせて考慮された場合に、本発明の以下の記載より明らかになる。
【
図1】実施例1〜6と、比較例1で得られるカプセル製剤について、加速貯蔵条件(40℃/75%RH)下で6ヶ月経過した後の、レボセチリジン関連物質の量を示す。
【
図2】実施例1〜6と、比較例1で得られるカプセル製剤について、加速貯蔵条件(40℃/75%RH)下で6ヶ月経過した後の、モンテルカスト関連物質の量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、(a)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩、および有機酸を含む第一粒子部分;および(b)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含む第二粒子部分を含む、アレルギー性鼻炎または喘息を予防または治療するための医薬製剤を提供する。
【0023】
本発明の医薬製剤は、初期アレルギー性鼻炎を減少させるのに第一活性成分として抗ヒスタミン剤であるレボセチリジンを利用し、ならびに後期アレルギー性鼻炎の主要な症状の一つ、すなわち鼻閉塞および喘息を治療および防止するのに第二活性成分として抗ロイコトリエン剤であるモンテルカストを利用する。
【0024】
本発明において第一粒子部分に含まれるレボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩は、例えば、欧州特許出願第0058146号、第0601028号および第0801064号、英国特許第2225320号および第2225321号、米国特許第5478941号、ならびに国際特許公報WO97/37982に開示されている。リボセチリジンの医薬的に許容される塩として、限定されないが、医薬的に許容される非毒性の有機または無機酸の酸付加塩、例えば酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、アスコルビン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の塩;金属塩(例、ナトリウム塩またはカリウム塩)、アンモニウム塩、アミン塩、アミノ酸塩、好ましくはレボセチリジン・二塩酸塩が挙げられる。リボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩の一日の投与量は、一単位剤形に付き0.4〜100mg、好ましくは1〜50mg、より好ましくは2.5〜20mgである。
【0025】
本発明において第二粒子部分に含まれるモンテルカストまたはその医薬的に許容される塩は、好ましくは、モンテルカストナトリウムである。モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩の一日の投与量は、単位剤形に付き、0.4〜100mg、好ましくは1〜50mg、より好ましくは2.5〜20mgである。
【0026】
本発明の医薬製剤は、有機酸を、安定化剤として、100部のレボセチリジンに基づき40〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部の量で含む。
【0027】
有機酸はカプセルの賦形剤および離型剤によって生成されるレボセチリジン関連物質およびモンテルカスト関連物質の生成を減少させうる。有機酸の量が40重量部よりも少ない場合には、レボセチリジンおよびモンテルカストの安定性に対する効果は取るに足らないものとなり;その一方で、1000重量部を超える量の有機酸は、体内に投与されると、炎症を引き起こし、余分な有機酸が体組織に吸収され得る。
【0028】
有機酸は、例えば、クエン酸、酒石酸、コハク酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、シュウ酸、リンゴ酸、酢酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、アルギン酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合酸からなる群より選択されてもよい。
【0029】
本発明の医薬製剤は、散剤、顆粒、ペレット、錠剤およびカプセルからなる群より選択される経口用固形医薬製剤の形態にて、好ましくはカプセルの形態にて調製されてもよい。
【0030】
本発明のある実施態様において、該発明の医薬製剤は、(a)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩および有機酸を含む第一粒子部分と;(b)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩を含む第二粒子部分とを含むカプセル製剤であり、ここで該粒子部分はカプセル中に物理的に分離されて充填されている。
【0031】
第一または第二粒子部分は、錠剤の形態であっても、好ましくはミニ錠剤の形態であってもよい。
【0032】
第一または第二粒子部分は、各々、医薬的に許容される添加剤をさらに含んでもよい。医薬的に許容される添加剤は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、およびその混合物からなる群より選択されてもよい。
【0033】
希釈剤の適切な例として、微結晶セルロース、ラクトース、ルジプレス、マンニトール、一塩基性リン酸カルシウム、澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらの混合物が挙げられる。希釈剤は、錠剤の総重量に基づいて、約1〜約99重量%、好ましくは約5〜約95重量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0034】
崩壊剤の例として、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、アルギン酸またはそのナトリウム塩およびそれらの混合物からなる群より選択される、液体環境下で安定した崩壊作用を示すいずれの材料も挙げることができる。好ましくは、崩壊剤はクロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースまたはそれらの混合物であってもよい。崩壊剤は、錠剤の総重量に基づいて、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲にある量にて使用されてもよい。
【0035】
結合剤の例として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、コポビドン、マクロゴール、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウムまたはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸塩誘導体、二塩基性リン酸カルシウムなどのリン酸塩、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、およびそれらの混合物を挙げることができる。結合剤は、錠剤の総重量に基づいて、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲にある量にて使用されてもよい。
【0036】
滑沢剤の例として、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸の金属塩、タルク、コロイド状シリカ、シュークロース脂肪酸エステル、硬化植物油、高融点ワックス、グリセリル脂肪酸エステル、グリセロールジベヘネートおよびそれらの混合物が挙げられてもよい。滑沢剤は、錠剤の総重量に基づいて、0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の範囲にある量にて使用されてもよい。
【0037】
さらには、第一または第二粒子部分を含む各錠剤はコーティング層をさらに含んでもよい。モンテルカストおよびレボセチリジンを完全に分離するように、該錠剤より選択される少なくとも一つの表面にコーティング層を形成してもよい。
【0038】
本発明において、コーティング層に使用されるコーティング物質は通常の高分子化合物であってもよい。コーティング物質の例として、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられるが、それらに限定されるものではない。コーティング物質の量は、生産効率を改善し、投与に最適な大きさを製剤に提供するために、最低限に抑えることが好ましい。従って、コーティング物質は、錠剤の総重量に基づいて、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲にある量にて使用されてもよい。
【0039】
本発明のカプセル製剤において、カプセルは医薬の調製に一般に使用される通常のハードカプセルであってもよい。本発明にて使用されるハードカプセル物質は、ゼラチン、プルラン(NP caps(登録商標)等;Capsugel)、ヒプロメロースおよびポリビニルアルコールからなる群より選択されてもよい。
【0040】
本発明において、ハードカプセルは医薬の調製に使用される通常のカプセルの大きさを有してもよい。ハードカプセルの内容量はその大きさ:番号00(0.95mL)、番号0(0.68mL)、番号1(0.47mL)、番号2(0.37mL)、番号3(0.27mL)および番号4(0.20mL)(Suheung Capsule Co., Korea)で変化する。カプセルの大きさは患者の利便性を考慮して小さいことが好ましい;しかしながら、カプセルに充填される内容物の重量制限のため、本発明にて使用されるカプセルの大きさは、番号0、番号1、番号2、番号3および番号4を、好ましくは番号1、番号2および番号3を含んでもよい。
【0041】
本発明の医薬製剤は、アレルギー性鼻炎または喘息を予防または治療するのに用いられてもよく、アレルギー性鼻炎は鼻漏、鼻閉塞、鼻のかゆみ、くしゃみ、眼のかゆみなどの症状から群より選択されてもよい。
【0042】
さらには、本発明は、(i)レボセチリジンまたはその医薬的に許容される塩、医薬的に許容される添加剤および有機酸を混合し、その混合物を打錠する工程(ここで、有機酸は、100部のレボセチリジンに基づき、40〜1000重量部で使用される);(ii)モンテルカストまたはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される添加剤を混合し、その混合物を打錠する工程;および(iii)工程(i)で得られたレボセチリジン錠および工程(ii)で得られたモンテルカスト錠をハードカプセルに充填する工程を含む、医薬製剤の調製方法を提供する。
【0043】
該発明は、工程(i)または(ii)で生成された錠剤をコーティングする工程をさらに含んでもよい。本発明にて調製されるカプセル製剤は経口経路等により投与されてもよい。
【0044】
さらには、本発明は上記により調製されるカプセル製剤を提供する。
【0045】
本発明のカプセル製剤は、モンテルカストおよびレボセチリジンをハードカプセル中に物理的に別々に含み、かくしてこの活性な2成分を完全に分離する。したがって、2成分の反応を最小限に抑え、該製剤の安定性を強化し、それで治療効能を最適とすることができる。新規な解析方法を開発する代わりに、単一製剤の時間依存性安定性を評価する従前の解析方法も本発明の製剤に使用することが可能であるため、そのこともまた利点である。加えて、第一粒子部分に含まれる有機酸は、レボセチリジンの安定性を強化するだけでなく、モンテルカストも安定化しうる。
【0046】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、該発明をさらに説明することを意図とする。
【0047】
実施例1:複合製剤Iの調製
【表1】
【0048】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス(BASF)、微結晶セルロース、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000、Colorcon)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0049】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄、レッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0050】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0051】
実施例2:複合製剤IIの調製
主にプルランでできているハードカプセルを使用する以外は、実施例1の操作を繰り返し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0052】
実施例3:複合製剤IIIの調製
主にヒプロメロースでできているハードカプセルを使用する以外は、実施例1の操作を繰り返し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0053】
実施例4:複合製剤IVの調製
【表2】
【0054】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、酒石酸、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0055】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄およびレッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0056】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0057】
実施例5:複合製剤Vの調製
【表3】
【0058】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、コハク酸、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0059】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄およびレッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0060】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0061】
実施例6:複合製剤VIの調製
【表4】
【0062】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、アスコルビン酸、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0063】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄およびレッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0064】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0065】
比較例1:複合製剤VIIの調製
【表5】
【0066】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0067】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄およびレッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0068】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0069】
比較例2:複合製剤VIIIの調製
主にプルランでできているハードカプセルを使用する以外は、比較例1の操作を繰り返し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0070】
比較例3:複合製剤IXの調製
主にヒプロメロースでできているハードカプセルを使用する以外は、比較例1の操作を繰り返し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0071】
比較例4:複合製剤Xの調製
【表6】
【0072】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、リン酸を加え、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0073】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄およびレッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0074】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0075】
比較例5:複合製剤XIの調製
【表7】
【0076】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、水酸化ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0077】
その一方で、モンテルカストナトリウム、D−マンニトール、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉グリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、モンテルカスト錠を得た。ついで、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、イエロー酸化鉄およびレッド酸化鉄を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該モンテルカスト錠を被覆した。
【0078】
最後に、こうして得られた2種の錠剤を、主にゼラチンでできている番号1ハードカプセルに充填し、10mgのモンテルカストおよび5mgのレボセチリジンを含むカプセル製剤を得た。
【0079】
比較例6:レボセチリジン錠(単一錠)の調製
【表8】
【0080】
レボセチリジン・二塩酸塩、ルジプレス、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを篩にかけて混合し、その混合物を5.5mm径の丸形ポンチを用いて打錠し、レボセチリジン錠を得た。次に、オパドライホワイト(Y−1−7000)を蒸留水に溶かすことで調製したコーティング溶液で該レボセチリジン錠を被覆した。
【0081】
実験例1:加速条件下での安定性試験
実施例1〜6および比較例1〜5で調製したレボセチリジンおよびモンテルカストを含む複合製剤、および比較例6で調製したレボセチリジンの単一錠を、次の加速貯蔵条件下で貯蔵した。製剤の安定性を比較するのに、レボセチリジンおよびモンテルカストの関連物質(不純物)の量を測定した。その結果を、表3および4、ならびに
図1および2に示す。
【0082】
<
加速貯蔵条件>
貯蔵条件:HDPEボトル中、40℃、75%RHの条件下で貯蔵
試験時間:開始時および6ヶ月後
分析の標的:レボセチリジンおよびレボセチリジン関連物質、ならびにモンテルカストおよびモンテルカスト関連物質
【0083】
<
レボセチリジンおよびその関連物質の分析条件>
カラム:オクタデシルシリルシリカゲル(粒径:5μm)充填の、ステンレス製パイプ(内径4.6mm x 長さ25cm)のHPLC用Symmetry ShieldRP18カラム(Waters)
溶出液:A−蒸留水(DW):アセトニトリル:10%トリフルオロ酢酸(TFA)=69:30:1(v/v/v)
B−DW:アセトニトリル:10%TFA=29:70:1(v/v/v)
【0085】
<
モンテルカストおよびその関連物質の分析条件>
カラム:ジイソプロピルフェネチルシリカゲル(粒径:5μm)充填の、ステンレス製パイプ(内径4.6mm x 長さ25cm)のHPLC用ZorbaxSB−フェニルカラム(Agilent Zorbax)
溶出液:A−0.1%TFA含有の蒸留水
B−0.1% TFA含有のアセトニトリル
【0087】
レボセチリジン関連物質A、BおよびFの含有量の変化を表3に示し、モンテルカスト関連物質、すなわちモンテルカストスルホキシドおよびモンテルカストシス−異性体の変化を表4に示す。
【0090】
表3および4、ならびに
図1および2に示されるように、実施例1〜6に係る有機酸を安定化剤として用いるレボセチリジンおよびモンテルカストの複合カプセル製剤、および比較例6に係る単一錠は、加速貯蔵条件下で6ヶ月後にわずかな変化を示し、かくして特に優れた貯蔵安定性を示した。
【0091】
反対に、比較例1〜3に係る有機酸を含まないレボセチリジンおよびモンテルカストの複合カプセル製剤は、加速貯蔵条件下で6ヶ月後に、実施例1〜6の本発明のカプセル製剤と比べて、約2倍〜10倍の関連物質の増加を示した。また、無機酸を含む、すなわち比較例4の、およびアルキル化剤を含む、すなわち比較例5のレボセチリジンおよびモンテルカストの複合カプセル製剤は、有機酸を含むサンプルと比べて、高レベルの関連物質を示した。特に、実施例1〜6に係る有機酸を含むサンプルを他のサンプルと比べた場合に、レボセチリジン関連物質Fが無視できる量に過ぎないことは注目に値した。したがって、レボセチリジンおよびモンテルカストを含むカプセル製剤の安定性全体を改善するために、有機酸を安定化剤として該製剤に添加しうることが見出された。
【0092】
本発明は上記した具体的な実施態様に関して記載されるが、特許請求の範囲によって限定されるように本発明の範囲内にもある、種々の修飾および変形が当業者により該発明になされ得ることを理解すべきである。