特許第6163173号(P6163173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6163173-地中遮水壁の構築方法 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163173
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】地中遮水壁の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 19/06 20060101AFI20170703BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20170703BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   E02D19/06
   E02D3/12 102
   C09K17/02 P
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-55316(P2015-55316)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-176198(P2016-176198A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】509199018
【氏名又は名称】成幸利根株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515074547
【氏名又は名称】松下鉱産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】山本 治郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松下 眞矢
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 康子
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−082196(JP,A)
【文献】 特開2008−115618(JP,A)
【文献】 特開昭58−007019(JP,A)
【文献】 特開2010−132797(JP,A)
【文献】 特開2005−238175(JP,A)
【文献】 特開2010−132796(JP,A)
【文献】 特開2009−299319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/00−3/12
E02D 19/00−19/22
C09K 17/00−17/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間に多価陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土の泥水(A)を地中の地盤土砂の所定深さに注入し該地盤土砂と混合して遮水壁の前駆体を形成する工程と、前記多価陽イオンを1価の陽イオンに交換するためのイオン交換剤の液(B)を注入し前記遮水壁の前駆体と混合して地中遮水壁を構築する工程とを有する地中遮水壁の構築方法。
【請求項2】
前記多価陽イオンがカルシウムイオンである請求項1記載の地中遮水壁の構築方法。
【請求項3】
前記1価の陽イオンがナトリウムイオンである請求項1又は2に記載の地中遮水壁の構築方法。
【請求項4】
前記泥水(A)における粘土の濃度が50%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
【請求項5】
前記地盤土砂に対する前記泥水(A)の注入率が10%以上50%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
【請求項6】
前記地盤土砂と前記泥水(A)との混合物に対し、前記イオン交換剤の液(B)の注入率が5%以上25%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
【請求項7】
前記地中遮水壁1mに対し、前記イオン交換剤の液(A)の注入で得られた、層間に1価の陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土の含有量が50kg/m以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中遮水壁の構築方法、特に粘土系地中遮水壁の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚染土壌の封じ込め、堤体の漏水防止、調整池の遮水等の対策として、セメント系固化材を用いたスラリーやセメント・ベントナイトスラリーなどを地中に注入し地盤土砂と混合させて連続遮水壁を地中に構築する方法があった(例えば、特許文献1参照)。また、セメント系固化材を使用せずにベントナイト等の粉末粘土を地中に送り込み混合させて粘土遮水壁を構築するものがあった(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−68331号公報
【特許文献2】特開2006−291703号公報
【特許文献3】特開2003−129466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セメント系固化材を用いた遮水壁では、曲げや引っ張りに対して弱く、柔軟性が極めて低いもので、耐久性、耐震性に問題がある。すなわち、地盤追従性や自己修復性に乏しく、高い遮水性を長期維持することは難しい。
また、セメント系固化材を用いない遮水壁については、ベントナイト等の、水膨潤性及び増粘性を有する粘土を用いる場合、構築過程での取り扱いの難しさがある。例えば、ナトリウム型ベントナイトは、泥水として用いる場合、その水膨潤による粘性増加を回避するために相当程度の希釈が必要となる。そのため、十分な遮水性と耐久性のある遮水壁とするためのベントナイト必要量の調整が難しい。特に、必要量のナトリウム型ベントナイトを地中に送り込むためには、大量の泥水を用いなければならないため、廃土量が多くなり産業廃棄物として処分しなければならない。また、粉末では、遮水壁の構築において地盤土砂との均質な混合性に問題がある。加えて、粉末を送り込む場合、ベントナイト等の粘土粉塵の発生の可能性がある。
一方、カルシウム型のベントナイトを用いる場合、泥水とした場合の粘性が高まらず高濃度での扱いが可能である。しかし、粘度発現や水膨潤性に乏しいため、十分な遮水性が得られない。
近年、土壌汚染に対する厳しい対策基準や耐震性の観点から、従来よりも高い遮水効果が長期間安定的に持続する地中遮水壁が強く望まれる。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、より優れた遮水性を備え、地盤追従性と自己修復性とによる耐震性を有する地中遮水壁の構築方法及び地中遮水壁の提供を課題とする。また、本発明は、地中遮水壁の構築時に排泥発生量が少ない、安全性及び経済性に優れた地中遮水壁の構築方法及び地中遮水壁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
(1)層間に多価陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土の泥水(A)を地中の地盤土砂の所定深さに注入し該地盤土砂と混合して遮水壁の前駆体を形成する工程と、前記多価陽イオンを1価の陽イオンに交換するためのイオン交換剤の液(B)を注入し前記遮水壁の前駆体と混合して地中遮水壁を構築する工程とを有する地中遮水壁の構築方法。
(2)前記多価陽イオンがカルシウムイオンである前記(1)記載の地中遮水壁の構築方法。
(3)前記1価の陽イオンがナトリウムイオンである前記(1)又は(2)に記載の地中遮水壁の構築方法。
(4)前記泥水(A)における粘土の濃度が50%以上である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
(5)前記地盤土砂に対する前記泥水(A)の注入率が10%以上50%以下である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
(6)前記地盤土砂と前記泥水(A)との混合物に対し、前記イオン交換剤の液(B)の注入率が5%以上25%以下である前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
(7)前記地中遮水壁1mに対し、前記イオン交換剤の液(B)の注入で得られた、層間に1価の陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土の含有量が50kg/m以上である前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の地中遮水壁の構築方法。
(8)イオン交換により得られた、層間に1価の陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土、及び地盤土砂の混合物を含み、透水係数が1×10−9m/秒未満である地中遮水壁。
(9)前記1価の陽イオンがナトリウムイオンである前記(8)記載の地中遮水壁。
(10)前記地中遮水壁1mに対し、前記層間に1価の陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土の含有量が50kg/m以上である前記(8)又は(9)記載の地中遮水壁。
(11)ベーンせん断力が0.5kN/m以上50kN/m以下である前記(8)〜(10)のいずれか1項に記載の地中遮水壁。
【0007】
なお、本明細書において、「層間に多価陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土」を「多価陽イオン型粘土」という。また、該「多価陽イオン型粘土」を初期原料としてイオン交換により得られた「層間に1価の陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を主成分とする粘土」を「1価の陽イオン交換粘土」という。
その具体例として、層間にアルカリ土類金属イオンを有する粘土及びベントナイトをそれぞれ「アルカリ土類金属型粘土」、「アルカリ土類金属型ベントナイト」といい、層間の大半がカルシウムイオンを有する粘土及びベントナイトをそれぞれ「カルシウム型粘土」、「カルシウム型ベントナイト」という。また、これら「アルカリ土類金属型粘土」、「アルカリ土類金属型ベントナイト」を初期原料としてイオン交換により得られた、層間にアルカリ金属イオンを有する粘土及びベントナイトをそれぞれ「アルカリ金属交換粘土」、「アルカリ金属交換ベントナイト」といい、前記「カルシウム型粘土」、「カルシウム型ベントナイト」を初期原料としてイオン交換により得られた、層間にナトリウムイオンを有する粘土及びベントナイトをそれぞれ「ナトリウム交換粘土」、「ナトリウム交換ベントナイト」という。また、本明細書において、「ナトリウム型ベントナイト」、「1価の陽イオン型粘土」は、前記イオン交換で得られたものとは異なるもので、天然のものを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地中遮水壁の構築方法によれば、施工時の排泥の発生を抑え、より優れた遮水性を備え、地盤追従性と、亀裂などの発生に伴う自己修復性とによる耐震性を有する地中遮水壁を安全で経済的に構築することができる。また、本発明の地中遮水壁は、より優れた遮水性を備え、地盤追従性と自己修復性とによる耐震性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ナトリウム型ベントナイト及びカルシウム型ベントナイトそれぞれの蒸留水での粘度発現を示したグラフである。
図2】実施例で示した表5の結果について、地中遮水壁1m中のナトリウム交換ベントナイト含有量と透水係数との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の地中遮水壁の構築方法では、多価陽イオン型粘土の泥水(A)を地中に、所定深さに注入(一次注入)し、地盤土砂(原位置土)と混合し均質にする。こうして遮水壁の前躯体を形成する。次いで、遮水性を付与するため前記多価陽イオン型粘土の多価陽イオンを1価の陽イオンに交換するイオン交換剤液(B)を注入(二次注入)し前記遮水壁の前躯体と混合して、粘土系の地中遮水壁を構築する。なお、一次注入及び二次注入後の混合は、例えば地中における攪拌などによって行うことができる。
この工程においては、後述のとおり、多価陽イオン型粘土を用いることで高濃度の泥水(A)を送り込むことができる。すなわち、粘土の大量注入が可能となり、地盤土砂との均質混合の精度が向上する。また、地中遮水壁として完成したときには、高水膨潤性の1価の陽イオン交換粘土に置換されており、地中遮水壁としての高い遮水性、可塑性を長期に持続することができる。
【0011】
前記「多価陽イオン型」は、粘土が有する層状珪酸塩鉱物の層間に取り込まれた陽イオンの電荷により決められる粘土の種類を意味する。この層間の陽イオンの電荷によって、粘土の水分散性、水膨潤性が異なり、それに伴って粘性が異なる。多価陽イオン型粘土は、1価の陽イオン型粘土に比べて、水膨潤性が低く、粘度発現も低い。この多価陽イオン型粘土を用いれば、高濃度の流動性のある粘土泥水(A)を調製することができる。
【0012】
多価陽イオンとしては、特に制限なく、例えば2価イオンとしてはアルカリ土類金属のイオンなどが挙げられる。具体的には、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)など2価以上の陽イオンが挙げられる。特に、イオン交換の速度の観点から、アルカリ土類金属のイオンが好ましく、カルシウムイオンが好ましい。すなわち、二次注入される泥水(A)の多価陽イオン型粘土としては、アルカリ土類金属型粘土が好ましく、カルシウム型粘土がより好ましく、とりわけカルシウム型ベントナイトを用いることが特に好ましい。
【0013】
1価の陽イオンとしては、特に制限なく、例えばアルカリ金属のイオンなどが挙げられる。具体的には、ナトリウムイオン(Na)、リチウムイオン(Li)等が挙げられる。その中でも、費用対効果及び安全性の観点から、アルカリ金属のイオンが好ましく、ナトリウムイオン(Na)が好ましい。すなわち、二次注入で得られる地中遮水壁が含有する粘土は、アルカリ金属交換粘土が好ましく、ナトリウム交換粘土がより好ましく、とりわけナトリウム交換ベントナイトであることが特に好ましい。また、本発明における地中遮水壁において、ナトリウムイオン(Na)のみを含有するものに限らず、ナトリウムイオン(Na)と他の1価の陽イオンとを含有するものであってもよい。
【0014】
本発明において、一次注入される多価陽イオン型粘土とは、次の4つの基準のうち、少なくとも1つを満たすものを意味する。そのため、層間に多価陽イオンとともに1価の陽イオンが含まれていても、下記の性質を有する限り多価陽イオン型粘土と定義される。
(i)メチレンブルー吸着量が100mmol/100g以上であること。
このメチレンブルー吸着量は、旧日本ベントナイト工業会標準試験方法(JBAS)「ベントナイト(粉末)のメチレンブルー吸着量測定方法」に準拠して測定される数値である。
(ii)陽イオン交換容量が70meq/100g以上であること。
この陽イオン交換容量は、旧日本ベントナイト工業会標準試験方法(JBAS)「ベントナイト(粉末)の陽イオン交換容量測定方法」に準拠して測定される数値である。
(iii)主成分鉱物である層状珪酸塩鉱物の層間陽イオンの、多価イオン量の占める割合が全体イオン量の60%以上であること。
これは、日本鋳物協会・東海支部・無機砂型研究部会試験方法「生型用ベントナイト(粉末)の浸出カチオン試験方法」に準拠して、浸出イオン測定値から導いて算出される数値である。
(iv)膨潤力試験において10ml/2g以下であること。
これは、旧日本ベントナイト工業会標準試験方法(JBAS)「ベントナイト(粉末)の膨潤試験方法」に準拠して測定される数値である。
【0015】
次に、一次注入及び二次注入の各工程について詳述する。
一次注入においては、粘性の低い多価陽イオン型粘土が低膨潤、低粘度発現であるため、高濃度の泥水(A)として注入することが可能となる。例えば、水100質量部に対して多価イオンであるカルシウム型ベントナイト65質量部程度までの泥水の調製も可能である。
具体例としては、図1に示すグラフが挙げられる。図1では、多価陽イオン型粘土であるカルシウム型ベントナイト(「クニボンド」(商標登録)、クニミネ工業(株)社製)の泥水と1価の陽イオン型粘土であるナトリウム型ベントナイト(「クニゲル」(商標登録)V1、クニミネ工業(株)社製)の泥水について、室温での濃度と見掛粘度(cp)との関係を示している。ナトリウム型ベントナイトで回転粘度計により測定される見掛粘度45cp程度(B型粘度計(東機産業(株)社製)で測定したB型粘度で800mPa・sに相当)の泥水とするには濃度は10%程度にしかならないのに対し、カルシウム型ベントナイトで同程度の見掛粘度の泥水とするには濃度を55%以上とすることができる。このように、多価陽イオン型粘土を用いた泥水では、1価の陽イオン型粘土を用いた泥水に比べて、はるかに低粘度で高濃度のものとすることができる。つまり、地中の地盤土砂と一緒に攪拌しやすい粘土を高濃度にして大量に送り込むことができる。
また、高濃度の泥水(A)を注入できるので、ナトリウム型ベントナイトのように大量の希釈液とする必要が無く、構築時の排泥を抑えることができ、安全性及び経済性に優れる。
【0016】
一次注入に用いる泥水(A)の調製は、通常とり得る種々の方法により行うことができる。なお、図1に示す具体例では、規定量の水道水に規定量のベントナイトを投入し、DESPA(700rpm)(商品名 浅田鉄工(株)社製)を用いて泥水を調製している。見掛粘度は、前記泥水をハミルトンビーチミキサー(12,000rpm)で15分間攪拌後に測定している。ここでいう見掛粘度は、室温で、Fann Viscometer Model 35SA(商品名、Fann Instrument社製)を用いて測定している。
【0017】
一次注入に用いる泥水(A)の濃度は、流動性と注入量の関係の観点から、50%以上が好ましく、55%以上が更に好ましい。濃度が低すぎると注入必要量が多くなってしまい、粘土と地中土砂との均質混合を難しくする。該濃度の上限は、泥水として作液でき流動性を有する範囲であれば特に制限はない。排土・排泥量の抑制の観点から、60%以下とすることが実際的である。
この場合の見掛粘度としては、室温で、60cp以下が好ましく、55cp以下がより好ましく、50cp以下が更に好ましい。高すぎると機械及び装置による土砂との混合が難しくなる。下限は泥水として取り扱いできる範囲であれば特に制限はない。前記見掛粘度は、注入する粘土の必要量、一次注入した後の均質混合性、使用機材の観点から適宜決められる。
【0018】
前記泥水(A)の、注入対象の地盤土砂に対する注入率は、外割で、10%以上50%以下が好ましく、20%以上50%以下がより好ましく、20%以上30%以下が更に好ましい。注入率が低すぎるとベントナイトの必要量不足、均質混合性の低下となり、高すぎると排土・排泥量が極端に多くなる。なお、ここでいう泥水(A)の注入率は、地盤土砂の土量1mに対する注入容量(m)を示す。
【0019】
さらに、一次注入後の粘土と地盤土砂との混合土1mに対する、注入粘土の含有量は、50kg/m以上が好ましく、60kg/m以上がより好ましく、65kg/m以上が更に好ましい。含有量が少なすぎると十分な遮水性や可塑性が得られないとなる。またその上限は特に無く、求める遮水性や地盤土砂の特徴にあわせて適宜決められる。
【0020】
このように、一次注入では高濃度の泥水(A)を用いるため、地中に注入する際に比較的少ない泥水(A)で、必要量の粘土を地中に送ることができる。しかも、該泥水(A)は、適度な粘性であり流動性が長時間維持されたものとなり、地盤土砂に注入しやすく、拡散・混合に際して負荷が掛からず効率よく構築できる。これにより、地盤土砂に対する多価陽イオン型粘土の含有割合を精度よく制御することができ、また、地盤土砂と多価陽イオン型粘土との均質な混合が可能となる。加えて、粘土の粉末による注入が無いので、発塵などがなく作業環境の改善が期待できる。
【0021】
一次注入においては、前述した泥水(A)を、地中の遮水壁を構築したい所定深さに直接注入する。ここでいう「所定深さ」とは、遮水壁を構築する場所の範囲を意味しており、地表から一定深さにおける1地点、地表から一定深さまでの領域、及び地表から一定深さの地点からさらに一定深さまでの領域のいずれをも含む意味である。また、遮水壁前躯体及びその後に完成する遮水壁が前記所定深さで所定長さ、所定厚さとなるよう、地中における所定容積に対して一次注入を行うことができる。例えば、粒子の粗い砂質分の多い地層の範囲に合わせて行うことができる。その場合、地表の1箇所からの注入、複数個所からの注入のいずれの方法であってもよい。
このようにして上記の工程により、粘土を高濃度かつ均質した遮水壁前躯体形成することができる。
【0022】
なお、前記泥水(A)と地中の地盤土砂との混合は、上記の一次注入と同時、又は、その後に行うことができる。
【0023】
次いで、二次注入では、多価陽イオン型粘土をイオン交換剤で1価陽イオン交換粘土に置換する。その際、粘土と地盤土砂との均質化は保持されたまま、粘土の性質を、高水膨潤性で可塑性を備えたものに変えることができる。すなわち、一次注入及び二次注入の工程を経ることで、1価陽イオン交換粘土と地盤土砂とが均質混合された、柔軟性と一体性を備えた可塑体の遮水壁が地中に構築される。
【0024】
上記のイオン交換剤は液(B)として二次注入される。この液としては、遮水壁前躯体中の多価陽イオンをイオン交換できるものであればどのような形態でもよい。例えば、溶液や混合物、スラリーなど種々の液状物などが挙げられる。液状にする媒体としては、通常用いられるものを特に制限なく採用でき、通常は水(水道水、地下水など)を使用する。
【0025】
二次注入における、前記イオン交換剤の液(B)の、注入対象の地盤土砂及び一時注入された泥水(A)の合計容量に対する注入率は、外割で、5%以上25%以下が好ましく、5%以上15%以下がより好ましく、5%以上12%以下が更に好ましい。注入率が低すぎると完全にナトリウム置換できず、高すぎると余剰イオンとなり無駄となる。なお、ここでいうイオン交換剤の注入率は、対象の地盤土砂及び泥水(A)の合計容量1mに対する注入容量(m)を示す。
【0026】
また、イオン交換剤の液(B)について、一次注入された泥水(A)中の粘土の陽イオンを完全に1価の陽イオンに交換するために必要な1価の陽イオン量を100(等量)とした場合のイオン交換剤の比は、100以上が好ましく、110以上150以下がより好ましく、115以上120以下が更に好ましい。
【0027】
したがって、本発明の方法で得られる地中遮水壁中の1価の陽イオン交換粘土の含有量としては、地中遮水壁1mに対し、50kg/m以上が好ましく、60kg/m以上がより好ましく、65kg/m以上が更に好ましい。含有量が少なすぎると十分な遮水性や可塑性が得られない。またその上限は特に無く、求める遮水性や地盤土砂の特徴にあわせて適宜決められる。
【0028】
前記イオン交換剤と地盤土砂及び多価陽イオン型粘土の混合物(遮水壁の前躯体)との混合は、上記の二次注入と同時、又は、その後に行うことができる。
【0029】
これにより得られる地中遮水壁は、粘土系地中遮水壁であり、地中の土砂(特に、粒子の粗い砂質分の多い土砂)を改質し、透水係数1×10−9m/秒未満とすることができ、本発明の構築方法を用いない従来工法によるものに比べて高いレベルの遮水性を備えたものとすることができる。しかも、前述のように、高濃度で低粘度発現の泥水(A)を用いた一次注入時の均質化で、二次注入後の粘土による遮水性にムラの無いものとなる。なお、前記「透水係数」はJIS A 1218:2009「土の透水試験方法」に準拠して測定することができる。
なお、本発明の地中遮水壁が有し得る前記透水係数1×10−9m/秒未満は、下記表1(地盤工学会室内試験規格・基準委員会編集「地盤材料試験の方法と解説」−二分冊の1−、(社)地盤工学会、平成21年11月25日、450頁「図4−透水性と試験方法との適用性」の一部抜粋)に示すように、「実質上不透水」の領域であり、極めて高い不透水性を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
さらに、地盤土砂中に均質に存在する1価の陽イオン交換粘土の可塑性により、地中遮水壁全体が、亀裂を生じ難く、地盤追従性と自己修復性とによる耐震性を有する。しかも、有機材料を含まない無機の粘土を用いているため、腐敗による劣化がない。このように、得られる地中遮水壁は耐久性に優れ、長期間、高い遮水性を保持することができる。
【0032】
上記の特性は、具体的には次のように説明される。
すなわち、地中遮水壁は、1価の陽イオン交換粘土の可塑性と高水膨潤性により、時間が経過しても壁としての纏まり(一体性)を維持しつつ、柔らかな状態を保持する。さらに構築後も、1価の陽イオン交換粘土が有する高い水膨潤性によって、遮水壁としての一体性と柔軟性が安定的に保持される。すなわち、遮水壁の可塑性が時間と共に発達し得る。これにより、本発明の地中遮水壁は、地震などの外圧による地中の変動に対する、地盤追従性(追随性)を有し、亀裂などの壁の破損が生じ難いものとなって、その性能の安定性が高いものとなる。
【0033】
地中遮水壁の可塑性の程度は、土の種類、軟らかさと非せん断強さの関係で示され、表2(地盤工学会基準(案)「原位置ベーンせん断試験方法」JGS1411、「表B.3−ベーンブレードの幅」の一部抜粋)に示すベーンせん断強さ(非排水せん断強さ)が参考になる。
前記ベーンせん断強さとしては、50kPa(50kN/m)以下がより好ましく、20kPa(20kN/m)以下が更に好ましく、10kPa(10kN/m)未満が更に好ましい。また、その下限は、地中遮水壁の一体性の観点から、0.5kN/mが好ましい。上記のベーンせん断強さは、地盤工学会基準(案)原位置ベーンせん断試験方法に準拠して測定することができる。
【0034】
【表2】
【0035】
また、本発明の地中遮水壁の構築方法によれば、構築する地中の深さや、該地中遮水壁の大きさ(幅、厚み、深さ)を任意のものとでき、その場合も、均質な遮水性を長期間の保持する地中遮水壁を構築できる。これにより、汚染土や汚染水の囲い込み、地下水の流出入の遮断を長期的かつ効果的に行うことができる。
【0036】
本発明の地中遮水壁の構築方法においては、一次注入及び二次注入の方法、混合方法、これらの方法で用いられる機械及び装置は、地中遮水壁を構築するための通常の原位置土攪拌工法に用いられる方法、機械及び装置を特に制限なく採用できる。
【0037】
次に、本発明の地中遮水壁の構築に用いられる粘土、イオン交換剤について説明する。
一次注入で用いられる多価陽イオン型粘土は、本発明の地中遮水壁の構築方法に適したものであれば特に制限することなく用いることができる。特に、層状珪酸塩鉱物のスメクタイトを有する粘土が、膨潤性ないし溶媒への分散性を有する点で好ましい。
前記スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サボナイトなどから選ばれるものを用いることができる。このような層状珪酸塩鉱物を有する粘土としては、例えばベントナイトが挙げられる。
【0038】
上記の多価陽イオン型粘土の泥水(A)の調製に用いる分散媒は、特に制限されず、通常用いられるものを採用できる。例えば、水、メタノール、エタノールなどが挙げられる。通常は水(水道水、地下水など)を使用する。
【0039】
さらに、前記泥水(A)の調製には分散剤を用いてもよい。これにより、より安定的な粘性特性が確保される。該分散剤としては、特に制限なく、通常用いられるものを使用でき、無機、有機を問わず使用できる。例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、珪酸ソーダ、ピロリン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、ポリアクリル酸ナトリウムが、安定・大量入手、安価(経済性)、効果の点でより好ましい。
【0040】
二次注入で用いるイオン交換剤としては、イオン交換に通常用いられるものと特に制限なく採用できる。例えば、ナトリウムイオンに置換させるイオン交換剤として、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、過炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、珪酸ナトリウムなどが挙げられる。その中でも、炭酸ナトリウムが費用、安全性、汎用性の点でより好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において組成を示す「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
【0042】
<実施例1、比較例1及び2>
(1)模擬地盤Aの作製
砂質分:6号珪砂を95質量%、4号珪砂を5質量%混合した。
粘土・シルト:「トチクレー」(商品名、大竹工業(株)社製)を準備した。トチクレーの液性限界は36.0%、塑性限界は18.9%、塑性指数は17.1であった。また、トチクレーの含水率は1.9%であった。
次いで、砂質分を全体量の80質量%、粘土・シルト分を全体量の20質量%として混合し、さらに含水比14.2%(含水率12.4%)に調製して模擬土(細粒分20%模擬土)を作製した。
作製した模擬土をアクリル製円筒の容器に入れ、直径150mm、高さ60mmの模擬地盤Aを形成した。この模擬地盤Aの湿潤密度は2.046g/cmであり、乾燥密度は1.792g/cmであった。この湿潤密度と乾燥密度は寸法計測と重量計により測定した。
【0043】
(2)泥水(A)の調製
カルシウム型ベントナイト(商品名「クニボンド」、商標登録、クニミネ工業社製)と水道水とを、濃度60%になるように大型DESPA(700rpm)(商品名、浅田鉄工(株)社製)に投入し、15分間攪拌した。
【0044】
(3)イオン交換剤の液(B)の調製
炭酸ナトリウムを用いて水溶液を調製した。
【0045】
(実施例1の試料)
模擬地盤Aの土砂中(無水重量)に対して前記濃度60%の泥水(A)を注入し攪拌・混合を行い、模擬地盤Aと泥水との混合体(遮水壁前躯体)を得た。濃度60%の泥水の注入率は92%であった。その結果、模擬地盤Aの土砂中(無水重量)に対して、前記カルシウム型ベントナイトが20質量%の割合を占めるものとなった。このときの含水率は32.2%、含水比は47.5%であった。また、湿潤密度は1.736g/cm、乾燥密度は1.177g/cmであった。この湿潤密度と乾燥密度は、前述した模擬地盤作製時の測定方法と同様の方法により測定した。
次いで、前記イオン交換剤水溶液(B)を、前記泥水及び模擬地盤Aの合計容量に対し注入率10%で注入し攪拌・混合を行った。このときの含水率は33.3%、含水比は49.9%であった。また、湿潤密度は1.562g/cm、乾燥密度は1.042g/cmであった。
なお、このときの湿潤密度と乾燥密度は、前述した模擬地盤作製時の測定方法と同様の方法により測定した。また、泥水の「注入率」は、前述のとおり、模擬地盤Aの土量1mに対する注入容量(m)を示す。イオン交換剤水溶液の「注入率」は、前述のとおり、模擬地盤A及び泥水の合計容量1mに対する注入容量(m)を示す。
これにより得たものを実施例1の試料とした。
【0046】
(比較例1の試料)
前記(1)で得た模擬地盤Aを比較例1の試料とした。
【0047】
(比較例2の試料)
実施例1の二次注入を行わなかったものを比較例2の試料とした。
【0048】
(透水試験(遮水性試験))
上記の実施例1、比較例1及び2の各試料について、水道水を用いて水頭500cm定水位で透水試験を行った。各試料についてそれぞれ3回行い、3回目の測定値をその試料の透水係数とした。該透水係数は、JIS A 1218:2009「土の透水試験方法」に準拠して測定した。
上記の透水試験の結果は、下記の表3に示すとおりであった。
【0049】
【表3】
【0050】
表3が示すように、実施例1では、透水係数は1×10−9m/秒未満となっていた。この透水係数は、比較例1や比較例2が1×10−8m/秒オーダーであるのに対し2桁小さい値で、高いレベルの遮水性を示すものであった。
【0051】
<実施例2>
(1)模擬地盤Bの作製
次のようにして、実施例1、比較例1及び2(以下、実施例1等ともいう。)で用いた模擬地盤Aよりも砂質分(粗めの粒度)が多く、粘土・シルト(細粒分)が極端に少なく設定した模擬地盤Bを作製した。
砂質分:6号珪砂50質量%、4号珪砂50質量%を混合した。
粘土・シルト:「トチクレー」(商品名、大竹工業(株)社製)を準備した。トチクレーの液性限界は36.0%、塑性限界は18.9%、塑性指数は17.1であった。また、トチクレーの含水率は1.9%であった。
次いで、砂質分を全体量の95質量%、粘度・シルト分を全体量の5質量%として混合し、さらに含水比9.9%(含水率9.0%)に調製して模擬土(細粒分5%模擬土)を作製した。この、上記の条件以外を実施例1等と同様にして作製したものの透水係数は、6.43×10−5m/秒であった。
(2)泥水(A)及びイオン交換剤の液(B)の調製
実施例1等と同様にして調製した。
【0052】
(実施例2の試料)
上記の模擬地盤Bの土砂中に対して前記濃度60%の泥水(A)を注入し攪拌・混合を行い、模擬地盤Bと泥水との混合体(遮水壁前躯体)を得た。濃度60%の泥水の注入率は40%であった。このときの含水率は20.9%、含水比は24.6%であった。また、湿潤密度は1.536g/cm、乾燥密度は1.383g/cmであった。
次いで、前記イオン交換剤水溶液(B)を、前記泥水及び模擬地盤Bの合計容量に対し注入率10%で注入し攪拌・混合を行った。このときの含水率は24.6%、含水比は32.6%であった。また、湿潤密度は1.891g/cm、乾燥密度は1.426g/cmであった。
なお、実施例2において、注入、攪拌・混合、湿潤密度及び乾燥密度の測定は実施例1等と同様の方法により行った。
これにより得たものを実施例2の試料とした。
【0053】
(透水試験(遮水性試験))
作製した実施例2の試料について、実施例1と同様にして透水試験(遮水性試験)を行い、3回目の測定値をその試料の透水係数とした。その結果は、下記表4に示すとおりであった。
【0054】
【表4】
【0055】
表4が示すように、実施例2の試料では、模擬地盤Bが実施例1等で用いた模擬地盤Aよりも粗めの粒度の砂質分が多かったにも変わらず、前述した比較例1及び2の透水係数よりも2桁小さい値で、高いレベルの遮水性を示すものであった。
【0056】
<実施例3〜7>
実施例1で用いた模擬地盤Aに対して、実施例1で用いた濃度60%の泥水(A)の注入率を下記表5に示すように変化させて一次注入した以外は実施例1と同様にして実施例3〜7の各試料を作製した。二次注入におけるイオン交換水溶液(B)の注入率は10%に固定した。
ただし、二次注入に際しては、「カルシウム型ベントナイト中のカルシウムイオンをナトリウムイオンに置換するために必要な等量」の1.5倍量のイオン交換剤が投入されるよう、カルシウム型ベントナイトの含有量に応じて、イオン交換剤水溶液の濃度を下記表5に示すように変化させた。
【0057】
(透水試験(遮水性試験))
作製した実施例3〜7の試料について、実施例1と同様にして透水試験(遮水性試験)を行い、3回目の測定値をその試料の透水係数とした。その結果は、下記表5に示すとおりであった。また、この測定値とベントナイト含有量との関係をグラフに示すと図2のとおりであった。
【0058】
【表5】
【0059】
表5が示すように、実施例3〜7では、前述した比較例1及び2よりも透水係数が1桁ないし2桁小さい値で、高いレベルの遮水性を示すものであった。特に、表5及び図2から分かるように、一次注入されたカルシウム型ベントナイトの含有量が60kg/m以上とし、全てをナトリウム型ベントナイトに置換することで、極めて高い遮水性を示すことが分かった。
【0060】
<実施例8〜12>
実施例1で用いた模擬地盤Aに対して、実施例1で用いた濃度60%の泥水(A)の注入率を30%に固定して一次注入し、イオン交換剤(炭酸ナトリウム)の注入量を下記表6のように変化させて二次注入した以外は実施例1と同様にして実施例8〜12の各試料を作製した。ただし、イオン交換剤の注入量は、イオン交換剤水溶液(B)の注入率を10%に固定し、濃度を変化させることで調整した。
【0061】
(透水試験(遮水性試験))
作製した実施例8〜12の試料について、実施例1と同様にして透水試験(遮水性試験)を行い、3回目の測定値をその試料の透水係数とした。その結果は、下記表6に示すとおりであった。
【0062】
【表6】
【0063】
表6が示すように、実施例8〜12では、前述した比較例1及び2よりも透水係数が低いもので高い遮水性を示すものであった。特に、カルシウム型ベントナイト含有量69.3kg/mに対し、イオン交換に必要な炭酸ナトリウム量の等量の75以上の注入、すなわちイオン交換率75%以上(約51.9kg/m以上のカルシウム型ベントナイトをナトリウム型ベントナイトに置換)で、極めて高い遮水性・止水性を示すことが分かった。
【0064】
<実施例13〜17>
(可塑化試験)
実施例13〜16については、上記の実施例8〜11と同様の試料を準備した。
また、実施例17の試料として、泥水に対して分散剤「KSフロー」(商品名、クニミネ工業社製)を添加率0.75%で加えて一次注入した以外は、実施例12と同様にして作製した。
作製した実施例13〜17について、作製直後、90分後、2時間後、4時間後、24時間後に、ベーンせん断強さの測定試験を行った。なお、前記ベーンせん断強さは、地盤工学会基準(案)原位置ベーンせん断試験方法に準拠して測定した。
その結果は、下記表7に示すとおりであった。
【0065】
【表7】
【0066】
表7が示すように、実施例13〜17の試料は、二次注入混合体の作製後、ゆっくりゆるやかな可塑化がすすみ(発達し)、24時間経過後において50kN/mよりも低い値で平衡した状態で安定していた。その結果、各試料から得られた地中遮水壁は、一体性を保持しつつ柔軟性のある可塑体となっていた。なお、二次注入混合体の作製直後の一時的なベーンせん断強さの低下は炭酸ナトリウム水溶液の水分によるもので、その後のイオン交換により、ナトリウム交換粘土の作用でゆるやかにベーンせん断強さの値が上昇していったものと考えられる。
【0067】
<実施例18〜24>
(可塑化試験)
実施例18及び19の試料として、泥水に対して分散剤「AKフロー」(商品名、(株)TGコーポレーション社製)を添加率1.0%で加えて一次注入した以外は、実施例10及び12それぞれと同様にして作製した。
実施例20及び21の試料として、前記分散剤「AKフロー」の添加率を1.2%とした以外は、実施例10及び12それぞれと同様にして作製した。
実施例22〜24の試料として、泥水に対して分散剤「KSフロー」を添加率0.85%で加えて一次注入した以外は、実施例10〜12それぞれと同様にして作製した。
作製した実施例18〜24について、作製直後、90分後、2時間後、24時間後に、前記ベーンせん断強さの測定試験を行った。
その結果は、下記表8に示すとおりであった。
【0068】
【表8】
【0069】
表8が示すように、実施例18〜24の試料は、二次注入混合体の作製後、ゆっくりゆるやかな可塑化がすすみ(発達し)、24時間経過後において50kN/mよりも低い値で平衡した状態で安定していた。その結果、各試料から得られた地中遮水壁は、一体性を保持しつつ柔軟性のある可塑体となっていた。なお、二次注入混合体の作製直後の一時的なベーンせん断強さの低下は炭酸ナトリウム水溶液の水分によるもので、その後のイオン交換により、ナトリウム交換粘土の作用でゆるやかにベーンせん断強さの値が上昇していったものと考えられる。
また、泥水に使用する分散剤の種類を選択することにより、泥水の流動性の調整ができ、遮水壁前躯体の構築および二次注入前後での機械及び装置による混合しやすさが制御できることが分かった。
図1
図2