(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助フィンの前記傾斜面に隣接して、凹溝が長手方向に沿って形成され、前記凹部カバーの下流側縁部は該補助フィンの回動に伴い該凹溝に進入可能に形成され、該前可動ルーバの回動操作時、該補助フィンが該先端部を流路に突出すように回動するとき、該凹部カバーの下流側縁部が該凹溝内に進入することを特徴とする請求項1記載の薄型レジスタ。
前記前可動ルーバの上流側に後可動ルーバが配設され、前記凹部カバーの上流側には、該後可動ルーバの後フィンを軸支する軸受部を設けた軸受カバーが、前記凹部の上流側を覆って配設されたことを特徴とする請求項1記載の薄型レジスタ。
前記補助フィンは前記開口の略全体を覆うフィン本体を有して形成され、該フィン本体の両側にレバー部を介して支軸が設けられたことを特徴とする請求項1記載の薄型レジスタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記薄型レジスタは、前可動ルーバを、例えば上側に振った場合、中央横フィン、上補助横フィン、下補助横フィンともに斜め上側に回動するが、空気吹出口が上下に細く絞られた形状のため、送風方向が上側に向きにくく、送風の指向性が悪化しやすい課題があった。
【0005】
また、薄型レジスタの正面形状が、その上部を上流側に後退させ、下部を下流側に突き出すように傾斜し、所謂スラント形状として形成され、且つレジスタが設置されるインストルメントパネルの形状は、レジスタの空気吹出口の下側前方で、前方に膨出するように湾曲する。このため、レジスタの下側前方の膨出湾曲部において、風の貼り付き現象が生じやすく、風の貼り付け現象が発生すると、前可動ルーバに沿って空気吹出口から送風される空気流が、下側に誘導され、上側への送風の指向性が悪化しやすい。
【0006】
さらに、薄型レジスタの空気吹出口は、上下に細く絞られているものの、前可動ルーバをニュートラルにしたとき、或いは上側に振ったときには、レジスタの正面から空気吹出口内を覗き見しやすい状態となる。このため、横フィンの間から、凹状に窪んだリテーナ内の底部が容易に見え、見栄えが悪化しやすい課題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、見栄えの悪化を防止するとともに、前可動ルーバを上側に振ったときの、風の指向性を改善することができる薄型レジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る薄型レジスタは、
横方向に細長い形状の空気吹出口を有し、該空気吹出口の内側に前可動ルーバを上下に回動操作可能に設けた薄型レジスタにおいて、
該空気吹出口は、通風路の下流端部を上下に狭窄して細長形状に形成され、且つ該空気吹出口の内側底部には凹部が形成され、
該前可動ルーバには、該空気吹出口の直ぐ内側に軸支された前フィンと該前フィンの下側で該凹部内に軸支された補助フィンとが設けられ、
該前フィンと該補助フィンはリンク部材を介して連結され、該補助フィンの上流側の両側端部が支軸を介して軸支され、且つ該補助フィンの下流側の先端部に傾斜面が設けられ、
該凹部には上を覆う凹部カバーが取り付けられ、該補助フィンの先端部を突出すための開口が、該凹部カバーの下流側端部に、該補助フィンの長手方向に沿って設けられ、
該前可動ルーバを上側に回動操作したとき、該補助フィンが、該先端部を該凹部カバーの該開口から上方に突出させ、且つ該先端部の該傾斜面を、該前フィンの下側を流れる空気流に当てるように回動することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、レジスタの使用時、前可動ルーバをニュートラル状態としたとき、補助フィンは凹部カバーの内側に位置させ、より少ない圧力損失で、空気吹出口の正面方向に送風を行うことができる。前可動ルーバを上側に回動操作したときには、補助フィンの先端部が凹部カバーの開口から流路に突出し、先端部の傾斜面を空気流に当てその空気流を上方に曲げるように作用するため、斜め上前方に優れた指向性をもって送風することができる。
【0010】
また、空気吹出口の内側底部の凹部を覆う凹部カバーが設けられるので、正面から空気吹出口内を覗き見した場合でも、凹状に窪んだ流路の底部が見えず、見栄えを向上させることができる。
【0011】
またここで、上記薄型レジスタにおいて、上記補助フィンの上記傾斜面に隣接して、凹溝が長手方向に沿って形成され、上記凹部カバーの下流側縁部は該補助フィンの回動に伴い該凹溝に進入可能に形成され、該前可動ルーバの回動操作時、該補助フィンがその先端部を流路に突出すように回動するとき、該凹部カバーの下流側縁部が該凹溝内に進入するように構成することができる。これによれば、補助フィンの先端部が流路内に突出し或いは凹部内に戻される際、開口が補助フィンの先端部により良好に閉じられ、凹状に窪んだ流路の底部が見えず、一層見栄えを向上させることができる。
【0012】
またここで、上記前可動ルーバの上流側に後可動ルーバが配設され、上記凹部カバーの上流側には、該後可動ルーバの後フィンを軸支する軸受部を設けた軸受カバーが、上記凹部の上流側を覆って配設される構成とすることができる。
【0013】
またここで、上記補助フィンは上記開口の略全体を覆うフィン本体を有して形成され、該フィン本体の両側にレバー部を介して支軸を設けた構成とすることができる。
【0014】
またここで、上記補助フィンはフィン本体の前後にカバー部を突設して形成され、フィン本体とカバー部とにより上記開口を覆うように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の薄型レジスタによれば、見栄えの悪化を防止しつつ、前可動ルーバを上側に振ったときの、風の指向性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この薄型レジスタは、内部に通風路9を有したリテーナ1が上下に薄く偏平なダクト状に形成され、リテーナ1の正面に、細長いスリット状の空気吹出口4を形成したベゼル2が取り付けられ、空気吹出口4の内側に、前可動ルーバ10を配設し、前可動ルーバ10の上流側の通風路9内に、後可動ルーバ20を配設して構成される。
【0018】
前可動ルーバ10は、
図8などに示すように、1枚の前フィン11とその下側に配置された1枚の補助フィン12とを備え、前可動ルーバ10の上流側の後可動ルーバ20には、前可動ルーバ10と直交方向(縦方向)に、複数の後フィン21が並設される。
【0019】
薄型レジスタの前部は、
図2等に示す如く、スラント状に形成され、その前面が、上部を上流側に後退させ下部を下流側に突き出すように、大きく傾斜して形成される。このため、リテーナ1及びベゼル2の前部は、
図6、7に示す如く、その上部を上流側に後退させ下部を下流側に突き出すように傾斜して形成され、さらに、ベゼル2の前部には外ベゼル3がベゼル2の前部を覆うように、傾斜して取り付けられる。
【0020】
また、リテーナ1の前部に嵌着されるベゼル2は、
図3,4に示す如く、その内部の断面積が、リテーナ1内の通風路9の断面積より大幅に拡大する形状として形成され、リテーナ1の突出した前下部には、
図4、6に示すように、通風路9の底面から一段下がった位置に、凹部5が形成される。この凹部5内には、後可動ルーバ20の下軸受部24を有した軸受カバー6がその上を覆うように取り付けられる。さらに、軸受カバー6の下流側の凹部5内に、前可動ルーバ10の補助フィン12が配設され、凹部カバー7がその補助フィン12を覆うように配設される。前可動ルーバ10の前フィン11と補助フィン12とはリンク部材18を介してリンクされ、前可動ルーバ10の上下回動操作と連動して回動し、上側への回動時、凹部カバー7の下流側の開口5aから、補助フィン12の先端部17が突出する構造である。
【0021】
また、レジスタ正面のベゼル2及び外ベゼル3に開口形成される空気吹出口4は、
図2〜
図5に示すように、その短手方向の垂直面に対し約60度の角度で、その上部を後方に後退させるように傾斜して形成される。さらに、
図4に示すように、空気吹出口4は、ベゼル2の元部及びリテーナ1内の横断面形状を先端側で、上下に狭窄するように、細長くスリット状に形成される。このため、空気吹出口4の内側下部には、凹部5が形成されており、その上を覆って軸受カバー6と凹部カバー7が取り付けられる。
【0022】
図4に示すように、軸受カバー6の上流側部分には、後可動ルーバ20の各後フィン21の下側の支軸22を軸支するための下軸受部24が設けられる。また、凹部カバー7の上流側部位には、斜めに立ち上がる傾斜面7aが設けられ、前可動ルーバ10の前フィン11の下側を通過する空気流をその傾斜面7aに当て、上側に曲げるように作用する。
【0023】
前可動ルーバ10は、ベゼル2の空気吹出口4の直ぐ内側に、風向を上下に変えるように配設される。
図3に示す如く、ベゼル2の左右側壁に、前可動ルーバ10の両側に設けた軸受部19が嵌着される。両側の軸受部19は、
図8,9に示すように、前可動ルーバ10の前フィン11と補助フィン12を軸支するように構成される。前可動ルーバ10の前フィン11の両側端部には支軸11aが突設され、補助フィン12の両側端部には支軸14が突設される。突設された支軸11aと支軸14は、左右の軸受部19の上部と下部に回動可能に軸支される。さらに、前フィン11の一方の端部には、ガイドピン11bが支軸11aを平行に突設される。ガイドピン11bは、軸受部19に設けた長孔に嵌合し、前フィン11の回動時の回動角度範囲を、所定の角度範囲内に制限する。
【0024】
さらに、
図8に示す如く、前フィン11と補助フィン12の一方の端部には、支軸に対し偏移した位置に、連結軸が設けられ、前フィン11と補助フィン12の連結軸間にリンク部材18がリンクされる。これにより、前可動ルーバ10の上下の回動操作時、前フィン11と補助フィン12は、同じ向きに連動して回動するようになっている。具体的には、
図4に示すように、前フィン11を水平状態つまりニュートラル状態としたとき、補助フィン12は凹部5内に収納された状態となり、
図14に示すように、前フィン11を上側に振った(上に回動させた)とき、補助フィン12は傾斜面16を含む先端部17を開口5aから上の流路側に突出すように回動する。
【0025】
補助フィン12は、前フィン11の下側に配設され、前フィン11と同様に連動して回動し、上側への回動時にはその先端の傾斜面16を上方に突出し(
図14)、ニュートラル時または下側への回動時には、
図4の如くその先端部17を開口5a内に引き戻すように動作する。
【0026】
補助フィン12は、
図13に示すように、そのフィン本体13の末端部の両側に支軸14を設け、フィン本体13の先端部17の上面に傾斜面16を設け、さらに、先端部17(傾斜面16)に隣接して、フィン本体13の上面側に凹溝15を設けて構成される。凹溝15は、凹部カバー7の先端部7bが進入可能な形状大きさに、フィン本体13の長手方向に沿って形成される。
【0027】
補助フィン12の先端部17は、
図4に示すように、その収納位置で、凹部5の下流側を覆う凹部カバー7の先端部7b側に生じた開口5a内に位置するように配設される。補助フィン12が上側に回動した際には、
図14に示すように、補助フィン12の先端部17の傾斜面16が上の流路に突き出し、凹溝15には、凹部カバー7の先端部7bが進入するようになっている。
【0028】
これにより、前可動ルーバ10をニュートラル状態(真直ぐ正面方向に向けた
図4の状態)としたとき、凹部5をカバーする凹部カバー7の開口5aを覆い、前可動ルーバ10を上側に振ったとき、補助フィン12の先端部17の傾斜面16を上方に突出させる。また、補助フィン12が収納されたニュートラル状態では、
図4に示すように、凹部カバー7の先端部7bは、凹溝15の入口付近に進入しており、開口5aが露出しないようになっている。これにより、補助フィン12が突出するための開口5aは、前可動ルーバ10のニュートラル状態においても閉じられ、空気吹出口4内を覗き見した場合でも、開口5aから奥の凹部5内は見えず、見栄えの悪化は防止される。
【0029】
上記のように、リテーナ1の前部には、ベゼル2が嵌着され、その嵌着箇所の内側上部には、
図4に示す如く、後可動ルーバ20の上軸受部23が取り付けられる。後可動ルーバ20は、前可動ルーバ10の上流側に、前可動ルーバ10と直交方向に、7枚の後フィン21を配設して構成される。
図6に示すように、後可動ルーバ20の7枚の後フィン21は、縦方向に配置され、左右に一定の間隔をおいて並設される。また、
図4に示す如く、各後フィン21の上側の支軸22は、上軸受部23に回動可能に支持される。各後フィン21の下側の支軸22は、軸受カバー6に設けた下軸受部24に回動可能に支持される。さらに、各後フィン21の下側の支軸22にはレバーが軸と直角に設けられ、各レバーは1本のリンクバー28により連結される。さらに、各後フィン21は、操作ノブ8の左右方向に摺動操作に応じて、左右に連動して回動するようになっている。
【0030】
このため、中央の後フィン21の前部には、
図3に示す如く、扇形歯部21aが形成され、その扇形歯部21aには、操作ノブ8の背面に設けたラック部8aが噛合する。操作ノブ8は、前フィン11に、左右の長手方向に摺動可能に外嵌され、使用者はこの操作ノブ8を持って前可動ルーバ10を上下方向に回動操作し、操作ノブ8を前フィン11上で左右にスライドさせることにより、後可動ルーバ20の各後フィン21の向きが左右方向に変わるようになっている。
【0031】
上記構成の薄型レジスタを組み立てる場合、
図6に示すように、先ず、後可動ルーバ20の各後フィン21の支軸22を、上軸受部23と下軸受部24の軸受部に嵌め込み、リンクバー28を各後フィン21間にリンクさせ、連動して回動可能に軸支させ、後可動ルーバ20のアッセンブリを組み立てる。
【0032】
次に、この後可動ルーバアッセンブリの上軸受部23と下軸受部24を、リテーナ1の前部に形成された凹部5内に嵌め込んで、後可動ルーバアッセンブリを組み付ける。そして、前可動ルーバ10を
図8のように組み立て、前可動ルーバアッセンブリとした状態で、その両側の軸受部19をリテーナ1の前部の両側壁部内側に嵌め込み、前可動ルーバ10を組み付ける。そして、
図7に示すベゼル2と外ベゼル3を、リテーナ1の前部に、前可動ルーバ10を覆うように、相互に設けた係止部を係止させて嵌着し、薄型レジスタの組立を完了する。
【0033】
次に、上記構成の薄型レジスタの動作を、
図4、
図14等に基づき説明すると、この薄型レジスタは、例えば自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードなどの上部近傍に、背面側の空気導入口を図示しない通風ダクトに接続して装着される。薄型レジスタの外ベゼル3及び空気吹出口4はインストルメントパネルやダッシュボードの前面に露出し、
図4のニュートラル状態での送風方向は、例えば乗員の頸部近傍に向くように取り付けられる。
【0034】
図4のニュートラル状態つまり前可動ルーバ10を略水平にした状態で、送風を行うと、通風路9を通過して空気流は、前可動ルーバ10の前フィン11の上下を通り、ベゼル2の空気吹出口4から前方に送風される。このとき、
図4に示す如く、空気吹出口4の内側が凹部カバー7の傾斜面7aなどにより、上下に狭窄されて狭く形成されるため、空気流は上下に薄く圧縮された状態で、前方に指向性良く送風される。
【0035】
このため、外ベゼル3の下部が前方に膨出し、その表面に沿って空気流が流れようとするコアンダ効果が生じやすい状態であっても、上下に狭窄された空気流を前方に指向性良く送風することができる。
【0036】
またこのとき、先端部17を含む補助フィン12は凹部カバー7の内側で凹部5内に収納されているため、送風時の圧力損失は増大せず、効率良く送風することができる。さらに、補助フィン12は凹部5内に収納され、その先端部17が開口5aを閉じた状態となるので、凹部5内は露出しない。このため、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、凹部カバー7の表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。
【0037】
一方、送風方向を上方に変える場合、操作ノブ8を持って上側に前可動ルーバ10を回動させる。このとき、前フィン11は、その支軸11aを軸に
図14に示すように上側に回動(傾動)し、同時に、補助フィン12が上側に回動して、その先端部17を開口5aから上方に突出させる。このとき、先端部17上の傾斜面16が斜め上側を向き、前フィン11の下側を流れる空気流を、前フィン11の下面側に曲げるように作用する状態となる。つまり、前フィン11の下側を流れる空気流は、流路に突出した補助フィン12の先端部17の傾斜面16に当り、前フィン11の下面側に曲げられる。
【0038】
これにより、前フィン11の下側を流れる空気流は、さらに上側に絞られる状態となり、
図14に示すように、空気吹出口4から前フィン11の向く斜め上方に、良好な指向性をもって送風される。また、この状態でも、上記ニュートラル状態と同様に、凹部5内は露出せず、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、凹部カバー7や補助フィン12の先端部17の表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。
【0039】
送風方向を左右に振る場合、操作ノブ8を前フィン11上で右方向に或いは左方向に摺動させる。このとき、操作ノブ8の横方向の移動が、ラック部8a及び扇形歯部21aを介して、後可動ルーバ20を右方向または左方向に回動させ、後可動ルーバ20の各後フィン21が斜め右方向或いは斜め左方向を向き、送風方向が左右に変えられることとなる。
【0040】
このように、送風時、前可動ルーバ10をニュートラル状態としたとき、補助フィン12は凹部カバー7の内側に位置し、より少ない圧力損失で、空気吹出口4の正面方向に送風を行うことができる。また、前可動ルーバ10を上側に回動操作したとき、補助フィン12の先端部17が凹部カバー7の開口5aから流路に突出し、先端部17の傾斜面16を空気流に当てその空気流を上方に曲げるように作用するため、斜め上前方に優れた指向性をもって送風することができる。さらに、空気吹出口4の内側底部の凹部5を覆う凹部カバー7が設けられるので、正面から空気吹出口4内を覗き見した場合でも、凹状に窪んだ流路の底部が見えず、見栄えを向上させることができる。
【0041】
図15〜
図19は、他の実施形態の補助フィンを用いた薄型レジスタを示している。上記実施形態と同じ部分については、図に上記と同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0042】
図15に示す前可動ルーバ10の補助フィン12Aは、その先端部17Aに傾斜面16Aが設けられ、凹溝はなく、先端部17Aの上流側にカバー部15Aが、凹部5の開口5aを覆うように設けられる。また、このカバー部15Aは、補助フィン12Aの回動時、凹部カバー7Aの先端部分を覆い且つ摺動するようになっている。さらに、補助フィン12Aの先端部17Aは、カバー状に形成され、カバー部15Aとともに凹部5の開口5aを覆う形状となっている。
【0043】
補助フィン12Aの元部の両側には、上記と同様、支軸14Aが設けられ、回動可能に軸支される。また、補助フィン12Aの一方の端部に連結軸が設けられ、上記と同様、その連結軸と前フィン11とがリンク部材によりリンクされ、補助フィン12Aは前フィン11と連動して回動する。
【0044】
上記構成の補助フィン12Aを備えた前可動ルーバ10は、
図15の実線で示すように、ニュートラル状態としたとき、補助フィン12Aは凹部5の開口5aを覆い且つその先端部17Aを凹部5内に収納した状態となる。このため、凹部5内は露出せず、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、先端部17Aの表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。送風時、通風路9を通して送られる空気流は、前フィン11の上下空間を通り、上記と同様に、上下で適度に絞られた空気流が、正面方向に良好な指向性で送風される。
【0045】
前可動ルーバ10を上に振ると、
図15の仮想線で示すように、補助フィン12Aが前フィン11と共に上側に回動し、その傾斜面16Aが開口5aから上方の流路に突出し、前フィン11の下面側に傾斜して向けられる。これにより、前フィン11の下側を流れる空気流は傾斜面16Aに当たり上方つまり前フィン11の下面側に曲げられる。
【0046】
これにより、前フィン11の下側を流れる空気流は、上側に良好に曲げられ、空気吹出口4からの送風は、前フィン11の向く斜め上方に、良好な指向性をもって送風されることとなる。また、このときの凹部5の開口5aは、補助フィン12Aの先端部17Aにより覆われて露出せず、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、先端部17Aの表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。
【0047】
図16、
図17は、上記構成の補助フィンの変形態様を示している。
図16の補助フィン12Bは、カバー部15Bが凹部カバー7Aの内側に位置するように構成され、このカバー部15Bにより凹部5の開口5aがカバーされる。また、
図17に示すように、補助フィン12Cの先端部には、その先端部から一段下げた位置に先端カバー部17Cが設けられる。この先端カバー部17Cは、凹部5の開口5aをカバーし、凹部5の底部を見えにくくして、見栄えの悪化を防止している。
【0048】
図18に示す前可動ルーバ10の補助フィン12Dは、フィン本体13Dの両端部にレバー部14Dを、斜め下方に向けて突設して構成され、レバー部14Dの末端部に支軸14Aが設けられる。これにより、補助フィン12Dは、両側のレバー部14Dを介して支軸14A軸に、所定の角度範囲で回動する。補助フィン12Dは、フィン本体13D全体が、凹部5の開口5aを覆うように形成され、フィン本体13Dの下流側(前部)上には、傾斜面16Dが設けられる。また、補助フィン12Dの回動時、このフィン本体13Dは、上記と同様、凹部カバー7Dの先端部分を覆い且つ摺動するようになっている。
【0049】
また、補助フィン12Dの一方のレバー部14Dに連結軸が設けられ、その連結軸と前フィン11とがリンク部材によりリンクされ、補助フィン12Dは前フィン11と連動して回動する。なお、フィン本体13Dの下面には、ガイドピン15Dが突設され、ガイドピン15Dは前可動ルーバ10の軸受部19に設けたガイド溝に係合し、補助フィン12Dの回動範囲を所定角度範囲に制限する。
【0050】
上記構成の補助フィン12Dを備えた前可動ルーバ10は、
図18の実線で示すように、ニュートラル状態としたとき、補助フィン12Dのフィン本体13Dは凹部5の開口5aを覆い且つその先端部の傾斜面16Dを凹部5内に入れた状態となる。このため、凹部5内は露出せず、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、先端部の表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。送風時、通風路9を通して送られる空気流は、前フィン11の上下空間を通り、上記と同様に、上下で適度に絞られた空気流が、正面方向に良好な指向性で送風される。
【0051】
前可動ルーバ10を上に振ると、
図18の仮想線で示すように、補助フィン12Dのフィン本体13Dが上流側に回動し、先端部の傾斜面16Dが開口5aから上方の流路に突出し、前フィン11の下面側に傾斜して向けられる。これにより、前フィン11の下側を流れる空気流は傾斜面16Dに当たり上方つまり前フィン11の下面側に曲げられる。
【0052】
これにより、前フィン11の下側を流れる空気流は、上側に良好に曲げられ、空気吹出口4からの送風は、前フィン11の向く斜め上方に、良好な指向性をもって送風される。また、このときの凹部5の開口5aは、補助フィン12Dのフィン本体13Dにより覆われて露出せず、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、フィン本体13Dの表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。
【0053】
なお、上記補助フィンは、
図19に示すように、傾斜面を設けず、平坦なフィン本体13Eを有した補助フィン12Eとすることもできる。この場合、前可動ルーバ10を上に振ると、
図19の仮想線で示すように、補助フィン12Eが上流側に回動し、そのフィン本体13Eが傾斜し、その上面に傾斜面が生じる。このフィン本体13Eの上面の傾斜面は、前フィン11の下面側に傾斜して向けられる。これにより、前フィン11の下側を流れる空気流はフィン本体13E上面の傾斜面に当たり、上方つまり前フィン11の下面側に曲げられる。
【0054】
これにより、前フィン11の下側を流れる空気流は、上記と同様、上側に良好に曲げられ、空気吹出口4からの送風は、前フィン11の向く斜め上方に、良好な指向性をもって送風される。また、このときの凹部5の開口5aは、補助フィン12Eのフィン本体13Eにより覆われて露出せず、空気吹出口4の内側を覗き見したとしても、フィン本体13Eの表面が見えるのみであり、見栄えを悪化させることはない。