(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163192
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】環境モニタリングシステムおよび振動検知装置
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20170703BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
E01D22/00 A
G01H17/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-216934(P2015-216934)
(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公開番号】特開2016-108934(P2016-108934A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】103141618
(32)【優先日】2014年12月1日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512107846
【氏名又は名称】財團法人國家實驗研究院
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL APPLIED RESEARCH LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】林 詠彬
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 宇紳
(72)【発明者】
【氏名】古 孟晃
(72)【発明者】
【氏名】張 禾▲みん▼
(72)【発明者】
【氏名】張 國鎮
(72)【発明者】
【氏名】廖 苑辰
(72)【発明者】
【氏名】王 永康
(72)【発明者】
【氏名】李 美儀
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 政三
(72)【発明者】
【氏名】▲葉▼ 文冠
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−351867(JP,A)
【文献】
特開2001−108491(JP,A)
【文献】
実開昭55−024303(JP,U)
【文献】
特開平11−125524(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0226441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00〜 24/00
G01H 1/00〜 17/00
G01B 7/00〜 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河床、湖底または海底の環境変化ステータスをモニタリングするように構成される環境モニタリングシステムであって、
前記河床、前記湖底または前記海底の上方のモニタリング地点に配置され、伝送線を出し引きするように構成される伸線装置と、
前記モニタリング地点と前記河床、前記湖底または前記海底の構造層の内部との間に固定および配置され、前記伝送線を収容して、前記構造層の前記内部から前記伸線装置まで前記伝送線を引くように構成される、固定パイプと、
前記伝送線内の複数のワイヤに電気的に接続され、検知された振動エネルギーを相当するように複数の電気信号に変換し、前記複数の電気信号を前記伝送線を通じて伝送するように構成される、複数の振動検知装置と、
前記伸線装置および前記伝送線に結合され、前記伸線装置からの前記伝送線の送出長さを取得し、前記複数の電気信号を前記伝送線から受信し、前記送出長さおよび前記複数の電気信号に従って前記環境変化ステータスを決定して、モニタリングを実行するように構成される分析装置と、
を備え、
前記複数の振動検知装置は複数の第1の振動検知装置および複数の第2の振動検知装置を有し、前記複数の第1の振動検知装置は、前記構造層の前記内部の前記伝送線の一部の異なる位置に均等に配置され、前記構造層によって被覆されることにより前記伝送線と共に固定され、前記複数の第2の振動検知装置は、前記構造層外の前記伝送線の一部の異なる位置に配置され、前記構造層が洗掘され低下すると、前記複数の第1の振動検知装置のうち、洗掘が原因で前記構造層によって被覆されていない第1の振動検知装置に振動があり、前記伝送線が前記伸線装置から重力によって出され、
前記分析装置は、複数の検知結果に従って、前記複数の第1の振動検知装置のうち振動のある前記第1の振動検知装置を決定し、前記伝送線に配置された前記複数の第1の振動検知装置のうち振動のある前記第1の振動検知装置の分布全長を計算して、前記分布全長が前記送出長さとマッチする場合に、前記送出長さを前記環境変化ステータスの洗掘深さとして決定し、
前記分析装置は、前記複数の電気信号に対して分析を実行し、前記複数の第2の振動検知装置の振動度を取得し、前記複数の第2の振動検知装置の前記振動度に従って、前記環境変化ステータスの水位および水流速を決定し、
前記構造層は、砂岩層、堆積層、心土層およびリソスフィア層のうち少なくとも1つを含む、
環境モニタリングシステム。
【請求項2】
前記伸線装置は、
伝送線を出し引きするように構成される伸線機であって、前記伝送線は、前記伝送線の重力と、前記伝送線に作用する水流によってもたらされる推力とに従って送出される、伸線機と、
前記伸線機に接続され、前記伸線機によって出し引きされた前記伝送線の長さを計測するように構成される伸線エンコーダと、
を有する、請求項1に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項3】
前記固定パイプは、孔を有するパイプであり、前記複数の振動検知装置および前記伝送線は、共に前記固定パイプ内に固定される、
請求項1に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項4】
前記分析装置は、前記複数の第2の振動検知装置の前記振動度に従って、前記複数の第2の振動検知装置のうち、水流によって生じた振動がある第2の振動検知装置を決定し、前記複数の第2の振動検知装置のうち前記水流によって生じた振動がある前記第2の振動検知装置の水平レベルから最高レベルを取得して、前記最高レベルを前記環境変化ステータスの前記水位として決定する、
請求項1に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項5】
前記分析装置は、前記複数の第2の振動検知装置のうち、水流によって生じた振動がある第2の振動検知装置の前記振動度を、水流速と振動度との関係を記録する速度決定情報と比較して、前記環境変化ステータスの前記水流速を取得する、
請求項1に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項6】
前記振動検知装置は、
第1の基板、第1の金属コイル、第2の金属コイルおよび第1の金属連結穴を有する第1のコイル板であって、前記第1の金属コイルと前記第2の金属コイルは前記第1の基板の上面と下面に配置され、前記第1の基板の前記第1の金属連結穴を貫通することにより、互いに直列に接続される、第1のコイル板と、
前記第1のコイル板と実質的に平行に配置され、第2の基板、第3の金属コイル、第4の金属コイルおよび第2の金属連結穴を有する第2のコイル板であって、前記第3の金属コイルと前記第4の金属コイルは前記第2の基板の上面と下面に配置され、前記第2の基板の前記第2の金属連結穴を貫通することにより、互いに直列に接続される、第2のコイル板と、
前記第1のコイル板と前記第2のコイル板との間に配置される第1の滑りレールおよび第2の滑りレールと、
前記第1の滑りレールおよび前記第2の滑りレールの一端に固定される第1の磁性固定要素と、
前記第1の滑りレールおよび前記第2の滑りレールの別の末端に固定される第2の磁性固定要素と、
前記第1の滑りレールおよび前記第2の滑りレールに挟まれ、前記第1の磁性固定要素と前記第2の磁性固定要素との間に配置され、前記第1の磁性固定要素と前記第2の磁性固定要素と共にそれぞれ第1の磁力反発と第2の磁力反発を発生させる可動磁性要素と、
を備える、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項7】
前記振動検知装置の前記可動磁性要素が外力によって移動すると、前記第1の磁力反発および前記第2の磁力反発は、前記可動磁性要素の前記第1の磁性固定要素および前記第2の磁性固定要素に関する距離の変化によって変化し、前記可動磁性要素は、変化する前記第1の磁力反発と変化する前記第2の磁力反発とから力を受け、前記第1の磁性固定要素と前記第2の磁性固定要素との間で振動し、前記第1の金属コイル、前記第2の金属コイル、前記第3の金属コイルおよび前記第4の金属コイルと共に電磁誘導を生じ、電気信号を生成する、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項8】
前記振動検知装置は微小電気機械システム(MEMS)技術によって実施され、前記第1の磁性固定要素、前記第2の磁性固定要素および前記可動磁性要素は、任意にネオジム−鉄−ホウ素(NdFeB)材料等の永久磁石要素で形成される、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項9】
前記振動検知装置の前記第1の金属コイル、前記第2の金属コイル、前記第3の金属コイルおよび前記第4の金属コイルは、それぞれ閉平面として取り囲み、それぞれ前記第1の基板および前記第2の基板の両面に配置される、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項10】
生成される電気信号の電圧が増大するように、前記振動検知装置の前記第1のコイル板に配置された上面のコイルおよび下面のコイルは、前記第2のコイル板に配置された上面のコイルおよび下面のコイルと直列に接続され、3次元積層コイル構造が形成される、
請求項9に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項11】
前記振動検知装置の前記可動磁性要素は前記第1のコイル板および前記第2のコイル板に接し、前記可動磁性要素は、前記第1の磁性固定要素および前記第2の磁性固定要素の接続方向に沿って前記第1の滑りレールと前記第2の滑りレールとの間を振動するように、前記第1の滑りレールと前記第2の滑りレールとの間に挟まれる、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項12】
前記振動検知装置の前記可動磁性要素の高さは、前記第1のコイル板と前記第2のコイル板との距離に実質的に等しい、
請求項11に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項13】
前記振動検知装置の前記可動磁性要素が外力により前記第1の磁性固定要素に向かって移動するとき、前記可動磁性要素の前記第1の磁性固定要素に関する距離が縮まるにつれて、前記第1の磁力反発は強化され、前記可動磁性要素を前記第2の磁性固定要素に向かって押し、一方、前記可動磁性要素の前記第2の磁性固定要素に関する距離が縮まるにつれて、前記第2の磁力反発は強化され、前記可動磁性要素を前記第1の磁性固定要素に向かって押し、結果として、前記可動磁性要素が前記第1の磁性固定要素と前記第2の磁性固定要素との間で振動する、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項14】
前記振動検知装置の第1の磁極を有する前記第1の磁性固定要素の末端は、前記第1の磁極を有する前記可動磁性要素の末端に隣接して、前記第1の磁力反発を発生させ、第2の磁極を有する前記第2の磁性固定要素の末端は、前記第2の磁極を有する前記可動磁性要素の末端に隣接して、前記第2の磁力反発を発生させる、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項15】
前記振動検知装置の前記可動磁性要素が前記第1の磁性固定要素と前記第2の磁性固定要素との間で振動するとき、前記第1の金属コイルおよび前記第2の金属コイルによって形成される閉電流ループの前記可動磁性要素に関する磁束が変化し、結果として、前記第1の金属コイルおよび前記第2の金属コイルが電流を誘導し、電気信号が生成される、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【請求項16】
前記振動検知装置の前記可動磁性要素が前記第1の磁性固定要素と前記第2の磁性固定要素との間で振動するとき、前記第3の金属コイルおよび前記第4の金属コイルによって形成される閉電流ループの前記可動磁性要素に関する磁束が変化し、結果として、前記第3の金属コイルおよび前記第4の金属コイルが電流を誘導し、電気信号が生成される、
請求項6に記載の環境モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境モニタリングシステムおよび振動検知装置に関し、より詳細には、外部電力を必要としない振動検知装置を利用して、容易かつ正確に河床の洗掘深さをモニタリングすることのできる環境モニタリングシステムおよび振動検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近はいつでも、短時間で大量の雨が降ることがある。それにより、河川の水位が急上昇し、河川の流れが速くなり、結果として河床が洗掘され低下し、橋梁基礎が著しく露出する。橋梁基礎下の構造が不安定で、橋梁基礎の耐えうる力よりも活性力の方が大きいと、橋梁基礎が沈下したり、傾いたり、横にずれたり、更には倒壊したりするおそれがある。更に悪いことに、交通の途絶や大事故につながるおそれがある。
【0003】
したがって、予め関連措置を取るためにどのように河床の洗掘深さをモニタリングするかは、当該技術分野における重要かつ難しい課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許出願公開第201421031号公報
【特許文献2】台湾特許出願公開第201033589号公報
【特許文献3】特開2001−303881号公報
【特許文献4】特開平11−275404号公報
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の主な目的は、橋梁基礎の洗掘といった災害を防ぐために、外部電力を必要としない振動検知装置を利用して、河床の洗掘深さを容易かつ正確にモニタリングすることのできる環境モニタリングシステムを提供することである。
【0006】
本発明は、河床、湖底または海底の環境変化ステータスをモニタリングするように構成される環境モニタリングシステムを開示する。本環境モニタリングシステムは、河床、湖底または海底の上方のモニタリング地点に配置され、伝送線を出し引きするように構成される伸線装置と、モニタリング地点と河床、湖底または海底の構造層の内部との間に配置され、伝送線を収容して、構造層の内部から伸線装置まで伝送線を引くように構成される固定パイプと、伝送線内の複数のワイヤに電気的に接続され、検知された振動エネルギーを相当するように複数の電気信号に変換し、該複数の電気信号を伝送線を通じて伝送するように構成される、複数の振動検知装置と、伸線装置および伝送線に結合され、伸線装置からの伝送線の送出長さを取得し、複数の電気信号を伝送線から受信し、送出長さおよび複数の電気信号に従って環境変化ステータスを決定して、モニタリングを実行するように構成される分析装置と、を備える。
【0007】
本発明は更に振動検知装置を開示する。本振動検知装置は、第1の基板、第1の金属コイル、第2の金属コイルおよび第1の金属連結穴を有する第1のコイル板であって、第1の金属コイルと第2の金属コイルは第1の基板の上面と下面に配置され、第1の基板の第1の金属連結穴を貫通することにより、互いに直列に接続される、第1のコイル板と、第1のコイル板と実質的に平行に配置され、第2の基板、第3の金属コイル、第4の金属コイルおよび第2の金属連結穴を有する第2のコイル板であって、第3の金属コイルと第4の金属コイルは第2の基板の上面と下面に配置され、第2の基板の第2の金属連結穴を貫通することにより、互いに直列に接続される、第2のコイル板と、第1のコイル板と第2のコイル板との間に配置される第1の滑りレールおよび第2の滑りレールと、第1の滑りレールおよび第2の滑りレールの一端に固定される第1の磁性固定要素と、第1の滑りレールおよび第2の滑りレールの別の末端に固定される第2の磁性固定要素と、第1の滑りレールおよび第2の滑りレールに挟まれ、第1の磁性固定要素と第2の磁性固定要素との間に配置され、第1の磁性固定要素と第2の磁性固定要素と共にそれぞれ第1の磁力反発と第2の磁力反発を発生させる可動磁性要素と、を備える。
【0008】
各図および図面に示される以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読めば、当該技術分野の当業者には本発明のこれらの目的および他の目的が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る環境モニタリングシステムの概略図である。
【
図2A】
図1に示される固定パイプの外部の概略図である。
【
図2B】
図1に示される砂岩層内の固定パイプと、複数の振動検知装置と、伝送線との概略図である。
【
図2C】
図1に示される、砂岩層が洗掘され低くなった場合の砂岩層内の固定パイプと、複数の振動検知装置と、伝送線との概略図である。
【
図3】
図1に示される砂岩層122内にない固定パイプと、複数の振動検知装置と、伝送線との概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る振動検知装置のコンポーネントの側面図である。
【
図5A】
図4に示される振動検知装置の動作状況の概略図である。
【
図5B】
図4に示される振動検知装置の動作状況の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照されたい。
図1は、本発明の実施形態に係る環境モニタリングシステム10の概略図である。環境モニタリングシステム10は、構造層の洗掘深さ、水位、水流速等の、河床、湖底または海底の環境変化ステータスをモニタリングするように構成される。構造層は、砂岩層、堆積層、心土層、リソスフィア層等であってよく、本願では限定されない。簡潔にするために、河床120の洗掘深さをモニタリングする例を以下に示す。河床120の構造層は主に砂岩層である。
図1に示されるように、橋梁基礎130は河床120の砂岩層に位置する。橋梁基礎130周辺の砂岩層122が急速な水流によって洗掘されると、砂岩層122は浸食され低下する。低下の深さを河床120の洗掘深さとみなすことができる。更に、洗掘箇所は橋梁基礎130周辺であるので、低下の深さを河床120の局所的洗掘深さとも称する。そのような状況において、環境モニタリングシステム10は河床120の洗掘深さのモニタリングに利用されてよく、結果として、予め措置を取って橋梁基礎130の著しい沈下や倒壊を避けることができる。
【0011】
具体的には、環境モニタリングシステム10は、伸線装置100、固定パイプ102、伝送線104、分析装置106および振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mを備える。固定パイプ102は、河床120の上方のモニタリング地点114から橋梁基礎130の縁に沿って砂岩層122にまで固定および配置され、伝送線104および振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mの収容に利用される。更に、固定パイプ102がモニタリング地点114から河床の下の砂岩層122まで延在させて続けて砂岩層122をモニタリングできるように、例えば外力により固定パイプ102を砂岩層122の中に貫通させたり、まず砂岩層122を掘ってから固定パイプ102を中に埋め込んだりすることによって、固定パイプ102は砂岩層122の中に埋め込まれる。伸線装置100は、モニタリング地点114に配置され、伝送線104を格納する。伸線装置100は、伸線機110および伸線エンコーダ112を備える。伸線機110は、格納された伝送線104を、モニタリング地点114から固定パイプ102を通じて砂岩層122の内部まで送出するのに利用される。伸線機110によって出し引きされる伝送線104の長さは、伸線機110に接続された伸線エンコーダ112によって測定される。
【0012】
更に、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mの体積は小さく(例えば200立方ミリメートル)、よって、
図1において振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは点で表される。振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは、伝送線104上の異なる位置に配置され、伝送線104と共に固定パイプ102に収容される。更に、伝送線104および振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは固定パイプ102に固定されていないが固定パイプ102に収容されるので、伝送線104および振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは、固定パイプ102内で滑動することができる。特に、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは外部電力を必要とせず、自身が振動するか否かを検知することができる。振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは伝送線104に接して配置される。更に、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mはそれぞれ、伝送線104に収容されるワイヤL1_1〜L1_n,L2_1〜L2_mに電気的に接続される(詳細は後に順序立てて述べるが、
図2B、
図2C、
図3を参照されたい)。このようにして、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mは検知された振動エネルギーを電流により電気信号に変換してよく、生成された電気信号は伝送線104内の対応するワイヤL1_1〜L1_n,L2_1〜L2_mによって伝送されてよい。更に、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mのうち振動検知装置SD1_1〜SD1_nは砂岩層122の内部に配置され、振動検知装置SD2_1〜SD2_mはモニタリング地点114と砂岩層122との間(すなわち砂岩層122の外)に配置される。
【0013】
分析装置106は、河床120の上方のモニタリング地点114に位置し、伸線装置100および伝送線104に接続される。分析装置106は、従来のコンピューター、タブレットコンピューターまたはスマートフォンであってよく、有線接続または無線接続により伸線装置100および伝送線104に接続されてよい。特に、分析装置106は、特定用途向け集積回路(ASIC)によって実施されてもよいし、記憶装置に格納されたプログラムコードによって命令されるプロセッサによって実施されてもよく、本願では限定されない。記憶装置は、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光学データ記憶装置等であってよく、本願では限定されない。分析装置106は、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mに対応する電気信号を伝送線104内のワイヤL1_1〜L1_n,L2_1〜L2_mから受信し、伸線装置100により伸線装置100の伸線エンコーダ112から送出された伝送線104の送出長さを取得し、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mに対応する電気信号と伝送線104の送出長さとに従って分析を実行して、砂岩層122の洗掘深さを決定しモニタリングを実行する。
【0014】
詳細には
図2A〜2Cを参照されたい。
図2Aは、
図1に示される固定パイプ102の外部の概略図である。
図2Bは、
図1に示される砂岩層122内の固定パイプ102と、振動検知装置SD1_1〜SD1_nと、伝送線104との概略図である。
図2Cは、
図1に示される、砂岩層122が洗掘され低くなった場合の砂岩層122内の固定パイプ102と、振動検知装置SD1_1〜SD1_nと、伝送線104との概略図である。
図2Aに示されるように、固定パイプ102は、孔200を有する中空の鋼管である。固定パイプ102は、鉄やアルミニウム等の他の材料から成る他の中空管であってよく、本願では限定されない。固定パイプ102の管径は、伝送線104の線径および振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mそれぞれの体積よりも大きい。固定パイプ102は、伝送線104および振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mを収容可能である。更に、孔200の形状は円形、四角形、ひし形、矩形等とすることができ、本願では限定されない。また、孔200の数は実際の要件に従って変更されてよい。孔200は、砂岩層122外の振動検知装置SD2_1〜SD2_mが固定パイプ102を流れる水を検知し、砂岩層122内の振動検知装置SD1_1〜SD1_nおよび伝送線104が固定パイプ102を流れる砂岩によって被覆されることによって固定されるように、水流または砂岩を固定パイプ102に通すのに利用される。
【0015】
図2Bに示されるように、砂岩層122内部の固定パイプ102において、砂岩(すなわち
図2Bの斜線部分)が固定パイプ102を通り、振動検知装置SD1_1〜SD1_nが水流によって振動しないように、伝送線104および振動検知装置SD1_1〜SD1_nを被覆する。更に、振動検知装置SD1_1〜SD1_nは、伝送線104上の異なる位置に均等に配置される。配置される位置は固定ではなく、実際の要件に従って変更されてよい。更に、振動検知装置SD1_1〜SD1_nは、振動検知装置SD1_1〜SD1_nによって生成された電気信号をワイヤL1_1〜L1_nに伝送するために、伝送線104内の対応するワイヤL1_1〜L1_nに電気的に接続される。
【0016】
更に、砂岩層122が洗掘され低下した場合、
図2Bに示されるように、固定パイプ102を通り伝送線104および振動検知装置SD1_1〜SD1_nを被覆する砂岩が洗掘深さHまで洗掘され低下する可能性があり、結果として、振動検知装置SD1_1,SD1_2は砂岩によって固定されなくなる。その一方で、伝送線104の重力と、伝送線104に作用する水流によってもたらされる推力とに従って、伝送線104は送出長さLだけ送出されるが、これはおおよそ河床120上方の伸線装置100からの洗掘深さHである。
【0017】
そのような状況において、河床120上方の分析装置106は、振動検知装置SD1_1〜SD1_nが振動したか否かについての情報を取得するために、振動検知装置SD1_1〜SD1_nによって生成された電気信号を伝送線104のワイヤL1_1〜L1_nを通じて受信し、分析を実行し、対応する検知結果RES1_1〜RES1_nを生成する。例えば、分析装置106は、振動検知装置SD1_1によって生成された電気信号の電圧が所定値よりも大きい場合に振動検知装置SD1_1が振動したと判定してよく、そして対応する検知結果RES1_1を生成して、振動検知装置SD1_1が振動したことを示す。
図2Cでは、振動検知装置SD1_1,SD1_2が砂岩によって被覆されておらず水流によって振動するので、分析装置106によって生成される検知結果RES1_1,RES1_2は振動検知装置SD1_1,SD1_2が振動したことを示し、分析装置106は、砂岩層122が洗掘され低下したという情報を取得する。更に、分析装置106が伸線装置100の伸線エンコーダ112から伝送線104の送出長さLを取得した後、分析装置106が砂岩層122の洗掘についての情報を取得する状況下において、分析装置106は、河床120の洗掘深さHが送出長さLであると正確に決定してよい。
【0018】
別の観点では、伝送線104に配置される振動検知装置SD1_1,SD1_2の間隔に従って、分析装置106は伝送線104に配置される振動検知装置SD1_1,SD1_2の分布全長を計算し、振動検知装置SD1_1,SD1_2の分布全長と送出長さLとを比較して、分布全長が送出長さLとマッチするかまたは送出長さLに近いか否かを確認してもよい。分析装置106が比較を行って振動検知装置SD1_1,SD1_2の分布全長が送出長さLとマッチすることが分かった場合、分析装置106は更に、河床120の洗掘深さHがほぼ送出長さLであると判定してよい。
【0019】
換言すると、環境モニタリングシステム10は、外部電力に依存せずに振動エネルギーを電気信号に変換する機能をもつ振動検知装置SD1_1〜SD1_nを利用し、振動検知装置SD1_1〜SD1_nを伝送線104上に配置し、砂岩層122が洗掘される前に振動検知装置SD1_1〜SD1_nが砂岩層122に被覆されるようにする。砂岩層122が洗掘され低下すると、環境モニタリングシステム10は、振動検知装置SD1_1〜SD1_nによって生成された電気信号を伝送線104から受信することができ、砂岩層122が洗掘されたという情報を取得することができる。更に、環境モニタリングシステム10は、伝送線104の送出長さに従って河床120の洗掘深さを判定する。それにより、環境モニタリングシステム10は、正確にモニタリングを実行するために、伝送線104を通じて振動検知装置SD1_1〜SD1_nに電力を提供することなく、河床120の洗掘深さの情報を容易に取得する。
【0020】
更に、環境モニタリングシステム10は更に、砂岩層122外の振動検知装置SD2_1〜SD2_mを利用することにより、河床120の水位および水流速をモニタリングしてよい。具体的には
図3を参照されたい。
図3は、
図1に示される、砂岩層122外の固定パイプ102と、振動検知装置SD2_1〜SD2_mと、伝送線104との概略図である。
図3に示されるように、伝送線104および振動検知装置SD2_1〜SD2_mは固定パイプ102に収容され、橋梁基礎130の縁に沿って配置される。固定パイプ102において、水流(すなわち
図3の斜線部分)は固定パイプ102を通り、振動検知装置SD2_1〜SD2_mのうち振動検知装置SD2_x〜SD2_mを流れることができる。そのような状況において、振動検知装置SD2_x〜SD2_mが水流によって振動し、残りの振動検知装置SD2_1〜SD2_x-1が気流によって振動する。
【0021】
したがって、河床120上方の分析装置106は、振動検知装置SD2_1〜SD2_mによって生成された電気信号を伝送線104のワイヤL2_1〜L2_mを通じて受信し、分析を実行して、振動検知装置SD2_1〜SD2_mの振動度の情報を取得する。例えば、分析装置106は、振動検知装置SD2_1〜SD2_mによって生成された電気信号の電圧に従って、振動検知装置SD2_1〜SD2_mの振動度を生成してよい。或いは、分析装置106は、まず振動検知装置SD2_1〜SD2_mによって生成された電気信号のエネルギーを計算し、それに従って振動検知装置SD2_1〜SD2_mの振動度を生成してよく、これは実際の要件に従って変更されてよい。更に、水流によってもたらされる振動エネルギーは気流によってもたらされる振動エネルギーよりも大きいので、分析装置106は、振動検知装置SD2_1〜SD2_mの振動度に従って、水流によって振動した振動検知装置SD2_x〜SD2_mを判定する。
【0022】
更に、振動検知装置SD2_1〜SD2_mはまず伝送線104に配置されてから、橋梁基礎130の縁に沿って砂岩層122に接続する固定パイプ102の中に設置されるので、水平基準点に関する振動検知装置SD2_1〜SD2_mの水平レベルは予め測定し計算することによって取得されてよく、また、分析装置106に保存されてよい。したがって、分析装置106は、振動検知装置SD2_1〜SD2_mの水平レベルの情報に従って振動検知装置SD2_x〜SD2_mの水平レベルの中の最高レベルを決定し、振動検知装置SD2_xの水平レベルである河床120の水位を取得してよい。更に、水流速と振動検知装置の振動度との関係が速度決定情報として測定および記録されてよく、分析装置106に保存されてよいので、分析装置106は、振動検知装置SD2_x〜SD2_mの水平レベルでの水流速を決定するために、保存された決定情報に従って、振動検知装置SD2_x〜SD2_mに対応する振動度に対応する水流速を取得してよい。
【0023】
特に、振動検知装置SD2_1〜SD2_mは固定パイプ102内で固定されないので、砂岩層122が洗掘され低下すると、振動検知装置SD2_1〜SD2_mの水平レベルは予め記録された水平レベルよりも低くなる可能性があり、また、伝送線104は河床120上方のモニタリング地点114から洗掘深さの長さだけ送出される可能性がある。そのような状況において、分析装置106によって取得された水位と、上記で決定された河床の洗掘深さとに従って、より正確な水位が計算される。或いは、別の実施形態では、水位および河床120の水流速のみをモニタリングするために、振動検知装置SD2_1〜SD2_mが伝送線104と共に固定パイプ102内で固定されてよい。その結果、振動検知装置SD2_1〜SD2_mが固定パイプ102内で固定され、より低い位置の砂岩による影響を受けなくなるので、分析装置106は、振動検知装置SD2_1〜SD2_mの水平レベルに従って、水位と対応する水流速とを直接的に取得してよい。
【0024】
換言すると、環境モニタリングシステム10は河床120の洗掘深さを決定してよく、更に環境モニタリングシステム10は、外部電力に頼ることなく振動エネルギーを電気信号に変換する特性をもつ振動検知装置SD2_1〜SD2_mを利用し、伝送線104上の振動検知装置SD2_1〜SD2_mによって検知された振動度に従って、河床120の水位および対応する水流速の情報を容易に取得して、正確にモニタリングを実行する。
【0025】
したがって、環境モニタリングシステム10は、河床120の洗掘深さ、水位および水流速の情報を得るために、振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mによって生成された電気信号に従って環境変化ステータスを判定してよい。振動検知装置SD1_1〜SD1_n,SD2_1〜SD2_mの実現に関して、当該技術分野の当業者はそれに従って変更および代替を行ってよく、限定されない。具体的には
図4を参照されたい。
図4は、本発明の実施形態に係る振動検知装置40のコンポーネントの側面図である。
図4に示されるように、振動検知装置40は、第1の滑りレール400、第2の滑りレール401、第1のコイル板402、第2のコイル板404、第1の磁性固定要素406、第2の磁性固定要素408および可動磁性要素410を備える。振動検知装置40は微小電気機械システム(MEMS)技術を用いて実施されてよく、その体積は非常に小さい(例えば132立方ミリメートル)。振動検知装置40は外部電力を受け取る必要がなく、検知された振動エネルギーを電気信号に変換することができる。電気信号は、第1のコイル板402および第2のコイル板404によって出力されるか、或いは、第1のコイル板402および第2のコイル板404を共に組み合わせることによって出力される。
【0026】
詳細には、第1のコイル板402および第2のコイル板404はz軸方向に互いに平行に配置され、長い棒状の第1の滑りレール400および第2の滑りレール401は、第1のコイル板402と第2のコイル板404との間にx軸方向に配置される。簡潔にするために、第2の滑りレール401を遠近法で示す。第1の磁性固定要素406、第2の磁性固定要素408および可動磁性要素410が第1の滑りレール400と第2の滑りレール401とに挟まれるように、第2の滑りレール401の構造は第1の滑りレール400に対応する。第1のコイル板402は金属コイル420,424、基板422および金属連結穴425を備え、第2のコイル板404は金属コイル426,430、基板428および金属連結穴431を備える。金属コイル420,424,426,430は金属材料から成り、らせん状(或いは閉平面として取り囲む他の形状)のものとして円形の金属コイルを形成する。金属コイル420,424,426,430はそれぞれ基板422,428の上面および下面に配置され、金属連結穴425,431を貫通することにより、それぞれ互いに直列に接続される。第1のコイル板402を例に取ると、金属連結穴425は基板422を貫通し、基板422の上面に配置される金属コイル420を基板422の下面に配置される金属コイル424と直列に接続する。同様に、金属連結穴431は基板428を貫通し、基板428の上面に配置される金属コイル430を基板428の下面に配置される金属コイル426と直列に接続する。金属コイル420,424,426,430の巻数は24巻きまたは48巻きであってよく、本願では限定されず、実際の収容可能な体積に従って変更されてよい。更に、基板422に配置される金属コイル420または424は更に、基板428に配置される金属コイル426または430に直列に接続されてよく、3次元積層コイル構造が形成されるので、金属コイル420,424,426,430は、体積が制限された中で巻数を増やしたり、コイルを貫通させて直列に接続させたり、2つのコイルを直列に接続したりすることにより、生成される電気信号の電圧を効果的に増大させることができる。
【0027】
別の観点では、第1の磁性固定要素406、第2の磁性固定要素408および可動磁性要素410は、任意にネオジム−鉄−ホウ素(NdFeB)材料等の永久磁石要素で形成されるが、本願では限定されない。第1の磁性固定要素406および第2の磁性固定要素408は、第1の滑りレール400および第2の滑りレール401のx軸方向の2つの末端にそれぞれ固定される。可動磁性要素410の高さは、第1のコイル板402の金属コイル424と第2のコイル板404の金属コイル430との距離に実質的に等しいので、可動磁性要素410は、第1のコイル板402の金属コイル424と第2のコイル板404の金属コイル430との間に挟まれ、x軸方向に滑動する。更に、図示の都合上、
図4では第1の磁性固定要素406、第2の磁性固定要素408および可動磁性要素410の磁極性がポールサイン(pole signs)として直接示される。第1の磁性固定要素406および第2の磁性固定要素408は、x軸の正の方向にS磁極をもち、x軸の負の方向にN磁極をもつ。可動磁性要素410は、x軸の正の方向にN磁極をもち、x軸の負の方向にS磁極をもつ。
【0028】
そのような状況において、第1の磁性固定要素406と第2の磁性固定要素408は、それぞれ可動磁性要素410と第1の磁力反発F1と第2の磁力反発F2を発生させる。可動磁性要素410が外力によってx軸方向に動くと、可動磁性要素410の第1の磁性固定要素406および第2の磁性固定要素408との距離が変化する。2つの磁性要素間の距離が小さいほど、大きな磁力反発が発生する。よって、第1の磁力反発F1および第2の磁力反発F2は距離の変化に対応して変化し、結果として、可動磁性要素410は第1の磁性固定要素406と第2の磁性固定要素408との間で力を受け振動する。更に、ファラデーの法則に従って、導電性の閉ループにおいてループの磁束が継時的に変化する場合、ループは誘導電流および誘導電圧を生む。その結果、可動磁性要素410は金属コイル420(および424)と金属コイル426(および430)との間で振動するので、可動磁性要素410は、金属コイル420,424,426,430の閉ループにおいて、電流および電圧と共に電気信号を誘導する。
【0029】
換言すると、可動磁性要素410がx軸方向の振動によって移動する場合、振動検知装置40は、第1の磁性固定要素406、第2の磁性固定要素408および可動磁性要素410によって形成される仮想のカンチレバー構造(該構造は、物理的に構築され接続される構造物の代わりに磁力反発力によって構成されるので、「仮想」と呼ぶ)を利用して、可動磁性要素410を軸方向に往復運動させ、x軸方向に検知される振動エネルギーに従って、金属コイル420,424,426,430により電気信号を誘導する。したがって、振動検知装置40は物理的な接続構造の剛性の制限を避けることができ、検知される振動の周波数範囲を拡大することができる。例えば、振動検知装置40は、周波数1Hz〜1000Hzの振動を検知してよく、結果として、より一般的な需要に応えられるように、生成される電気信号は振動の周波数およびエネルギーにより正確に応答することができる。
【0030】
更に、
図5Aおよび
図5Bを参照されたい。
図5Aおよび
図5Bは、
図4に示される振動検知装置の動作状況の概略図である。第一に、
図5Aに示されるように、振動検知装置40が振動すると、可動磁性要素410はx軸方向に外力を受け、磁気平衡から逸脱し、第1の磁性固定要素406に向かって移動する。可動磁性要素410と第1の磁性固定要素406との距離が徐々に縮まり、第1の磁力反発F1が徐々に強化される。徐々に強化される第1の磁力反発F1により、第1の磁性固定要素406に向かって移動している可動磁性要素410は最終的に停止し、第2の磁性固定要素408に向かって押される。それから、
図5Bに示されるように、可動磁性要素410は第1の磁力反発F1によって押されて、磁気平衡を進んで第2の磁性固定要素408に向かうので、可動磁性要素410と第2の磁性固定要素408との距離が徐々に縮まり、第2の磁力反発F2が徐々に強化される。徐々に強化される第2の磁力反発F2により、第2の磁性固定要素408に向かっている移動している可動磁性要素410は停止し、再び第1の磁性固定要素406に向かって押される。最終的に、可動磁性要素410は、滑りレール400に沿ってx軸方向に往復運動し、閉の金属コイル420,424,426,430により、連続して電気信号を誘導する。振動検知装置40が振動しなくなると、往復運動する可動磁性要素410の距離は外部摩擦によって徐々に縮まり、可動磁性要素410は平衡状態で停止する(
図4に示されるように)。
【0031】
このように、振動検知装置40は、金属コイル420,424,426,430と、第1の磁性固定要素406、第2の磁性固定要素408および可動磁性要素410によって形成される仮想のカンチバレー構造とを利用して、外部環境の振動エネルギーを電気信号に変換する。電気信号の電圧は振動エネルギーに比例するので、振動検知装置40は外部電力を受け取る必要がなく振動エネルギーの量を感知することができる。更に、可動磁性要素410はx軸方向に沿って移動するように拘束されるので、振動検知装置40は、特定の方向(すなわちx軸方向)の振動を検知することができる。更に、振動検知装置40は、同じタイプの振動検知装置と柔軟に組み合わせて、異なる方向(例えばy軸方向またはz軸方向)の振動を検知してよく、そうすることにより、振動検知装置40が特定の方向の振動を正確に検知することに加えて複数の方向の振動を検知するという拡張性を有することができる。
【0032】
要するに、本発明の環境モニタリングシステム10は、河床下の砂岩層に被覆された振動検知装置を外部電力なしで利用することにより、河床下の砂岩層が洗掘されたか否かの情報を容易に取得し、河床の洗掘深さを正確に決定する。更に、本発明の環境モニタリングシステム10はまた、振動検知装置を利用することにより河床の水位および水流速を決定して、河床の水流によって生じる振動を検知する。当該技術分野の当業者であれば、適宜変更および変更を行うことができる。例えば、現在の実施形態では、砂岩層122が洗掘されて低下した場合、環境モニタリングシステム10は、伝送線104の重力と伝送線104に作用する水流によってもたらされる推力とに従って、伸線装置100からの伝送線104の送出長さLを取得する。別の実施形態では、環境モニタリングシステム10は更に、側鉛や鉄球等の重い物体を配置してよい。砂岩層122が洗掘され低下すると、砂岩によって被覆されない側鉛または鉄球により伝送線が送出され、結果として、送出長さLを取得することができる。送出長さLを洗掘深さHに更に近づける方法は、実際の要件に従って変更されてよく、本願では限定されない。更に、上記の実施形態では河床120を例にとって、環境モニタリングシステム10により、河床120の洗掘深さ、水位、水流速等の環境変化ステータスをどのようにモニタリングするのかを説明した。しかしながら、環境モニタリングシステム10は、河床のモニタリングを目的とする利用に限定されない。環境モニタリングシステム10は、湖底または海底の洗掘状態のモニタリングに利用されてもよく、また、沖合の風力タービン、石油採掘装置等の設備と協働して、該設備が正常に稼働するようにしてもよい。
【0033】
更に、振動検知装置40は、河床の洗掘深さ、水位、水流速をモニタリングするために環境モニタリングシステム10に適用される。更に、振動検知装置40は、任意の特定の方向の振動を検知し対応する工程を実行するように、振動検知を必要とする他の装置(例えばタブレットコンピューターやスマートフォン)に適用されてもよい。更に、現在の実施形態では、第1の磁力反発F1および第2の磁力反発F2を生成するために、振動検知装置40の第1の磁性固定要素406および第2の磁性固定要素408は、x軸の正の方向にS磁極をもち、x軸の負の方向にN磁極をもつ。また、可動磁性要素410は、x軸の正の方向にN磁極をもち、x軸の負の方向にS磁極をもつ。一方、他の実施形態では、振動検知装置40の第1の磁性固定要素406および第2の磁性固定要素408は、x軸の正の方向にN磁極をもち、x軸の負の方向にS磁極をもつ。また、可動磁性要素410は、x軸の正の方向にS磁極をもち、x軸の負の方向にN磁極をもつ。これにより、第1の磁性固定要素406と第2の磁性固定要素408は、それぞれ可動磁性要素410と共に第1の磁力反発F1と第2の磁力反発F2を生成することができるが、本願では限定されない。
【0034】
要するに、河床が急速に洗掘され低下すると、橋梁基礎が著しく露出し、橋梁基礎が沈下したり、傾いたり、横にずれたり、更には倒壊したりするおそれがある。本発明は、外部電力を要さない振動検知装置を利用して、容易かつ正確に河床の洗掘深さをモニタリングすることができ、橋梁基礎が洗掘されるといった災害を防ぐことができる。
【0035】
当該技術分野の当業者であれば、本発明の教示を留めながら本装置および本方法に多くの変更および代替を行えることが、容易に分かるであろう。したがって、上記の開示は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると解釈されるものである。