(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163200
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】部品実装ライン
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-511025(P2015-511025)
(86)(22)【出願日】2013年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2013060893
(87)【国際公開番号】WO2014167683
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】飯阪 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤村 晋吾
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−049498(JP,A)
【文献】
特開平08−286725(JP,A)
【文献】
特開2005−101644(JP,A)
【文献】
特開2012−227205(JP,A)
【文献】
特開2004−104075(JP,A)
【文献】
特開2009−004714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
H05K 3/32− 3/34
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の搬送経路に沿って配列された複数台の装置を使用して回路基板に部品を実装する部品実装ラインにおいて、
前記複数台の装置の各々の操作部及び表示部として各装置に共通して使用可能な操作モニタを少なくとも1台備え、
前記複数台の装置の各々には、前記操作モニタを着脱可能にセットするモニタセット部と、該操作モニタのセット時に該操作モニタとの間で通信するインターフェース部とが設けられ、
前記インターフェース部は、前記操作モニタとの間で無線通信可能に構成され、
前記操作モニタは、電源となるバッテリを内蔵し、操作・表示の対象となる装置の前記モニタセット部にセットしない状態でも、当該装置の前記インターフェース部との間で無線通信して操作及び表示できるように構成され、
前記モニタセット部は、前記各装置の前面カバーの上部側部分に形成された傾斜面に前記操作モニタを載置するように設けられていることを特徴とする部品実装ライン。
【請求項2】
前記インターフェース部は、前記操作モニタのセット時に該操作モニタの前記バッテリに充電するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装ライン。
【請求項3】
前記操作モニタは、同時に操作可能な複数台の装置を選択する手段を有し、1台の操作モニタで同時に複数台の装置を操作できるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品実装ライン。
【請求項4】
前記操作モニタは、該操作モニタをセットした装置とは異なる装置を操作・表示の対象として選択する手段を有し、該操作モニタをセットした装置とは異なる装置を該操作モニタで操作できるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の部品実装ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の搬送経路に沿って配列された複数台の装置を使用して回路基板に部品を実装する部品実装ラインに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、部品実装ラインでは、回路基板の搬送経路に沿って半田印刷機、部品実装機、外観検査機等の複数台の装置が配列され、各装置にそれぞれ操作モニタ(表示機能と操作機能)が設けられ、各装置毎に作業者が各装置の設定情報等のモニタ表示を見て確認しながら、適宜、各装置の設定情報等をモニタ画面のタッチ操作等で入力できるようになっている。
【0003】
この様な部品実装ラインでは、各装置にそれぞれ操作モニタが設けられているため、部品実装ラインのモニタ数が増加してコスト高になるという欠点があった。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献1(特開2012−227205号公報)に記載したように、部品実装ラインの複数台の装置と無線LANで接続されるタブレットコンピュータを用意し、前記複数台の装置の全部又は一部の装置の表示機能及び操作機能を前記タブレットコンピュータに持たせて、該タブレットコンピュータの表示画面に各装置の表示/操作画面を表示させることで、前記複数台の装置の全部又は一部の装置の表示機能及び操作機能(操作モニタ)を省略したことを特徴とする発明を出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−227205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の構成では、1台のタブレットコンピュータで複数台の装置を操作できる利点があるが、作業者がタブレットコンピュータを常時携帯しなければならないため、作業者が部品補給作業(テープフィーダの取り替えやトレイの取り替え等)を行う際に、両手を使って作業するには、タブレットコンピュータを装置周辺の適当な場所に置いて作業する必要があり、タブレットコンピュータの表示画面の情報を確認しながら作業するのに不便であった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、部品実装
ラインの各装置の表示・操作に関するコスト性と作業性とを両立できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、回路基板の搬送経路に沿って配列された複数台の装置を使用して回路基板に部品を実装する部品実装ラインにおいて、前記複数台の装置の各々の操作部及び表示部として各装置に共通して使用可能な操作モニタを少なくとも1台備え、前記複数台の装置の各々には、前記操作モニタを着脱可能にセットするモニタセット部と、該操作モニタのセット時に該操作モニタとの間で通信するインターフェース部とを設け、
前記インターフェース部は、前記操作モニタとの間で無線通信可能に構成され、前記操作モニタは、電源となるバッテリを内蔵し、操作・表示の対象となる装置の前記モニタセット部にセットしない状態でも、当該装置の前記インターフェース部との間で無線通信して操作及び表示できるように構成され、前記モニタセット部は、前記各装置の前面カバーの上部側部分に形成された傾斜面に前記操作モニタを載置するように設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
この構成では、複数台の装置の各々に共通して使用可能な操作モニタを、操作・表示の対象となる装置のモニタセット部に
載置してセットすれば、当該操作モニタと当該装置との間がインターフェース部を介して通信可能な状態となり、作業者が当該操作モニタに表示された情報を確認しながら当該装置を操作できる。しかも、操作モニタを装置のモニタセット部にセットすれば、作業者が部品補給作業(テープフィーダの取り替えやトレイの取り替え等)を行う際に、両手が自由に使える状態となり、しかも、操作モニタに表示された情報を確認しながら容易に作業を行うことができる。更に、部品実装ラインの装置の台数に比べて操作モニタの台数が少なくて済み、その分、部品実装ラインの設備コストを低減できると共に、部品実装ラインの装置の台数とは関係なく、作業者の人数等に応じて操作モニタの台数を自由に変更できる。
更に、インターフェース部を操作モニタとの間で無線通信可能に構成し、バッテリを内蔵した操作モニタを、操作・表示の対象となる装置のモニタセット部にセットしない状態でも、当該装置のインターフェース部との間で無線通信して操作及び表示できるように構成しているため、操作・表示の対象となる装置から離れた位置からでも作業者が操作モニタの表示を見ながら操作入力して当該装置を遠隔操作することができる。
【0010】
この場合、インターフェース部は、操作モニタのセット時に該操作モニタ
のバッテリに充電するように構成すると良い。このようにすれば
、操作モニタを装置のモニタセット部にセットすることで、
操作モニタのバッテリに充電することができる。
【0012】
また、操作モニタは、同時に操作可能な複数台の装置を選択する手段を有し、1台の操作モニタで同時に複数台の装置を操作できるように構成しても良い。このようにすれば、複数台の装置に同じ操作信号を入力する場合に、1箇所で操作モニタを操作して複数台の装置に同じ操作信号を送信できるため、複数台の装置に順番に操作モニタを付け替えて操作するという手間のかかる作業を行わずに済み、操作性を向上できる。
【0013】
また、操作モニタは、該操作モニタをセットした装置とは異なる装置を操作・表示の対象として選択する手段を有し、該操作モニタをセットした装置とは異なる装置を該操作モニタで操作できるように構成しても良い。このようにすれば、いずれかの部品実装機のモニタセット部にセットした操作モニタを付け替えずに、複数台の部品実装機の中から任意に選択した部品実装機を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は本発明の一実施例の部品実装ラインの構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は部品実装機のモニタセット部の構成を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を図面を用いて説明する。
図1に示すように、部品実装ライン11は、回路基板の搬送経路に沿って複数台の部品実装機12(装置)と、部品実装に関連する作業を行う実装関連機(部品実装機以外の装置)を配列して構成されている。ここで、実装関連機は、例えば、半田印刷機、外観検査装置、リフロー装置、接着剤塗布装置等である。
【0016】
各部品実装機12の内部構造は、図示はしないが、電子部品を供給するテープフィーダ、トレイフィーダ等の部品供給装置と、回路基板を搬送するコンベアと、回路基板に電子部品を実装する実装ヘッドと、該実装ヘッドに吸着した電子部品を撮像する撮像装置等が設けられている。
【0017】
図2に示すように、各部品実装機12の前面カバー13の上部側部分が傾斜面に形成され、その傾斜面の一部分を少し凹ませることで、操作モニタ14を着脱可能にセットするモニタセット部15が形成されている。操作モニタ14は、移動表示端末(タブレット、スマートフォン等)により構成され、部品実装ライン11を構成する複数台の部品実装機12の各々の操作部及び表示部として各部品実装機12に共通して使用できるように構成されている。操作モニタ14の台数は、部品実装ライン11を構成する部品実装機12の台数とは関係なく、少なくとも1台あれば良く、作業者の人数等に応じて操作モニタ14の台数を変更すれば良い。
【0018】
モニタセット部15には、操作モニタ14のセット時に該操作モニタ14との間で通信するインターフェース部16が設けられている。インターフェース部16は、コネクタで接続して有線通信するようにしても良いが、本実施例では、操作モニタ14との間で無線通信するように構成されている。例えば、インターフェース部16側と操作モニタ14の両方に、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)等のデバイスを設けて、操作モニタ14をインターフェース部16に所定距離以内に近付けたときに、NFC(Near Field Communication:近接距離無線通信)を使用して端末間でペアリング(認証)だけを行い、実際の通信は、より高速通信できるBluetoothやWi−Fiに引き継ぎ、操作モニタ14の画面表示と操作を可能にするようにしても良い。
【0019】
或は、部品実装ライン11の各部品実装機12のインターフェース部16と操作モニタ14との間でIEEE802.11n等の無線LANで通信するように構成して、各部品実装機12から離れた位置からでも、操作・表示の対象となる部品実装機12との間で無線通信して操作及び表示できるようにしても良い。この場合は、操作モニタ14に電源となるバッテリ(図示せず)を内蔵するようにすれば良い。このようにすれば、操作・表示の対象となる部品実装機12から離れた位置からでも作業者が操作モニタ14の表示を見ながら操作入力して当該部品実装機12を遠隔操作することができる。
【0020】
また、本実施例では、インターフェース部16は、操作モニタ14のセット時に該操作モニタ14に給電するように構成されている。このようにすれば、操作モニタ14にバッテリが内蔵されていない場合でも、操作モニタ14をモニタセット部15にセットすることで、インターフェース部16を介して操作モニタ14に給電して当該操作モニタ14を操作・表示可能な状態にすることができる。一方、操作モニタ14にバッテリが内蔵されている場合は、操作モニタ14をモニタセット部15にセットすることで、バッテリに充電することができる。
【0021】
更に、本実施例では、操作モニタ14は、同時に操作可能な複数台の部品実装機12を選択する手段を有し、1台の操作モニタ14で同時に複数台の部品実装機12を操作できるように構成されている。このようにすれば、複数台の部品実装機12に同じ操作信号を入力する場合に、1箇所で操作モニタ14を操作して複数台の部品実装機12に同じ操作信号を送信できるため、複数台の部品実装機12に順番に操作モニタ14を付け替えて操作するという手間のかかる作業を行わずに済み、操作性を向上できる。
【0022】
また、操作モニタ14をセットした部品実装機12とは、異なる部品実装機12を選択して当該異なる部品実装機12を操作できるようにしても良い。このようにすれば、いずれかの部品実装機12のモニタセット部15にセットした操作モニタ14を付け替えずに、複数台の部品実装機12の中から任意に選択した部品実装機12を操作することができる。
【0023】
図2に示すように、モニタセット部15の下端部には、操作モニタ14を受け止めるモニタ受け部17が設けられ、モニタセット部15の表面には、操作モニタ14を滑り止めする手段として、ゴム等の高摩擦部材で形成した滑り止め部18が設けられている。
【0024】
以上説明した本実施例によれば、複数台の部品実装機12の各々に共通して使用可能な操作モニタ14を、操作・表示の対象となる部品実装機12のモニタセット部15にセットするだけで、当該操作モニタ14と当該部品実装機12との間がインターフェース部16を介して通信可能な状態となり、作業者が当該操作モニタ14に表示された情報を確認しながら当該部品実装機12を操作できる。しかも、操作モニタ14を部品実装機12のモニタセット部15にセットすれば、作業者が部品補給作業(テープフィーダの取り替えやトレイの取り替え等)を行う際に、両手が自由に使える状態となり、しかも、操作モニタ14に表示された情報を確認しながら容易に作業を行うことができる。更に、部品実装ライン11の部品実装機12の台数に比べて操作モニタ14の台数が少なくて済み、その分、部品実装ライン11の設備コストを低減できると共に、部品実装ライン11を構成する部品実装機12の台数とは関係なく、作業者の人数等に応じて操作モニタ14の台数を自由に変更できる。
【0025】
この場合、操作の権限を特定の作業者又は管理者のみに限定したい場合は、操作の権限のある人のみに操作モニタ14を持たせておけば、操作の権限のない人が不用意に操作することを防止できる。
【0026】
尚、本発明は、本実施例に限定されず、部品実装ラインを構成する半田印刷機、外観検査装置、リフロー装置、接着剤塗布装置等の実装関連機(部品実装機以外の装置)にも、モニタセット部を設けて、操作モニタを着脱可能にセットするようにしても良く、また、モニタセット部の位置を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
11…部品実装ライン、12…部品実装機(装置)、13…前面カバー、14…操作モニタ、15…モニタセット部、16…インターフェース部、17…モニタ受け部、18…滑り止め部