(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163204
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】ポリシーおよび課金ルール機能(PCRF)に統合型オープンフローコントローラを提供するための方法、システム、およびコンピュータ読取可能媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 12/717 20130101AFI20170703BHJP
H04W 4/24 20090101ALI20170703BHJP
H04L 12/70 20130101ALI20170703BHJP
【FI】
H04L12/717
H04W4/24
H04L12/70 C
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-517426(P2015-517426)
(86)(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公表番号】特表2015-528228(P2015-528228A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(86)【国際出願番号】US2013045652
(87)【国際公開番号】WO2013188665
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】61/659,967
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513219898
【氏名又は名称】テケレック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKELEC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デーオ,アジャイ・パドマカール
【審査官】
速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−098597(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0300615(US,A1)
【文献】
Erran, L. et al.,CellSDN: Software-Defined Cellular Networks,922.pdf,2012年 5月 2日,URL,ftp://ftp.cs.princeton.edu/techfeports/2012/922.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/717
H04L 12/70
H04W 4/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシー制御ネットワークを提供するためのシステムであって、前記システムは、
ネットワークセッションまたはユーザに適用すべきポリシーを決定するように構成されるポリシーおよび課金ルール機能(PCRF)を備え、前記PCRFは、ブロードバンドリモートアクセスサーバ/ブロードバンドネットワークゲートウェイ(BRAS/BNG)から、最初のフレームまたはパケットを、当該最初のフレームまたはパケットと同じフローに関連付けられた後続のフレームまたはパケットにいずれのポリシーを適用すべきかを決定するために受信するように構成されており、
前記PCRFに統合され、オープンフロープロトコルで電気通信ネットワーク要素に命令を与えて前記ポリシーを実現させるように構成されるオープンフローコントローラを備え、前記統合されたオープンフローコントローラを有するPCRFは、オープンフロープロトコルを用いてノードを制御するオープンフロー対応PCRFを含み、前記オープンフローコントローラは、前記最初のフレームまたはパケットを受信し、前記後続のフレームまたはパケットに適用するためのポリシーを決定し、前記最初のフレームまたはパケットと同じフローに関連付けられた後続のフレームまたはパケットのためのポリシーを実行するために、前記BRAS/BNGのフローテーブルにエントリを追加するためのオープンフローコマンドを前記BRAS/BNGに送信する、システム。
【請求項2】
前記オープンフローコントローラは、前記BRAS/BNG、ゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)、パケットデータネットワークゲートウェイ/サーバゲートウェイ(PDN−GW/S−GW)、発展型ノードB(eノードB)の1つ以上に前記オープンフロープロトコルで命令を与えるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記オープンフローコントローラは、Wi−Fiアクセスポイント、スイッチ、およびルータの1つ以上に前記オープンフロープロトコルで命令を与えるように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記PCRFは、非オープンフロープロトコルを用いて前記電気通信ネットワーク要素の少なくともいくつかに命令を与えるための非オープンフローインタフェースを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記非オープンフロープロトコルはDiameterプロトコルを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記PCRFは、Diameterを用いてホーム加入者サーバ(HSS)と通信するように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記PCRFは、Diameterを用いてDiameterシグナリングルータ(DSR)と通信するように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記PCRFは、非オープンフロー装置を制御するための非オープンフローインタフェースを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記非オープンフロー装置は、オンライン課金システム(OCS)を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記非オープンフロー装置は、ディープパケットインスペクション(DPI)ノードを含む、請求項8または9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2012年6月14日に出願された米国仮特許出願連続番号第61/659,967号の利益を主張し、この米国仮特許出願連続番号第61/659,967号の開示は、全文が引用によって本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
ここに記載される主題は、電気通信ネットワークにおけるリソースの柔軟な割当てを可能にすることに関する。より特定的には、ここに記載される主題は、統合型オープンフローコントローラを有するPCRFに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
電気通信ネットワークにおいて、世界的なインターネットプロトコルトラフィックは年間40〜50パーセントの割合で増加している。サービス利用者を維持するためには、サービスプロバイダがサービス利用者に対する毎月の料金を比較的変えないことが望ましい。トラフィックの増加と共に料金を一定に保つには、経費の削減が必要である。たとえば、トラフィックが40パーセント増加すると、サービスプロバイダは比較的一定した価格設定を達成するために資本経費および運営経費を年間で40〜50パーセント/ギガバイト/秒削減しなければならない。
【0004】
資本および運営経費を削減するための1つの可能な方法は、ソフトウェア定義ネットワーク(software defined network:SDN)を使用することである。SDNを用いて、フローを管理し、スイッチを制御し、ネットワークアクセスを制御し、ユーザの位置および動きを追跡することができる。SDNを用いて、ネットワーク構成要素を効率的に使用することもできる。たとえば、SDNを用いて、非ピーク期間中に使われていない機器の電源を切ってエネルギーを節約することができる。
【0005】
SDNモデルの中には、ルータおよびスイッチからインテリジェンスを取出し、そのインテリジェンスを集中化した場所に置くことによって、ルータおよびスイッチなどのネットワーク要素の制御を集中化するものがある。ルータおよびスイッチの集中化制御を提供する1つのそのような努力は、Openflow Switch Specification, Version 1.1.0, February 28, 2011に記載されたオープンフローアーキテクチャであり、この文献の開示は、全文が引用によって本明細書に援用され、その写しがここに添付される。Openflow Switch Specificationによると、オープンフローコントローラがオープンフロー対応スイッチの機能を制御する。オープンフローはこれまで、電気通信ネットワーク要素を制御するためには使用されていない。したがって、オープンフローを電気通信ネットワークに拡大して運営および資本経費を削減し、ネットワークをよりスケーラブルにおよびより柔軟にすることが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
ここに記載される主題は、PCRFに統合型オープンフローコントローラを提供するための方法、システム、およびコンピュータ読取可能媒体を含む。1つのシステムによると、ポリシーおよび課金ルール機能(policy and charging rules function:PCRF)は、ネットワークセッションまたはユーザに適用すべきポリシーを決定するように構成される。オープンフローコントローラはPCRFに統合され、オープンフロープロトコルで電気通信ネットワーク要素に命令を与えて当該ポリシーを実現させるように構成される。
【0007】
ここに記載される主題は、ハードウェアおよび/またはファームウェアと組合わされるソフトウェアにおいて実現され得る。たとえば、ここに記載される主題は、1つ以上のプロセッサによって実行されるソフトウェアにおいて実現され得る。1つの例示的な実現では、ここに記載される主題は、コンピュータのプロセッサによって実行されると当該コンピュータを制御してステップを実行させるコンピュータ実行可能命令を格納している非一時的なコンピュータ読取可能媒体を用いて実現され得る。ここに記載される主題を実現するのに適した例示的なコンピュータ読取可能媒体は、ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラマブルロジックデバイス、および特定用途向け集積回路を含む。さらに、ここに記載される主題を実現するコンピュータ読取可能媒体は、単一の装置もしくはコンピューティングプラットフォームに位置してもよいし、または複数の装置もしくはコンピューティングプラットフォームにわたって分散してもよい。
【0008】
ここに記載される主題の好ましい実施形態が、ここで、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ここに記載される主題の実施形態に係る電気通信ネットワーク要素を制御する統合型オープンフローコントローラを有するPCRFを示すネットワーク図である。
【
図2】ここに記載される主題の実施形態に係るオープンフロー対応PCRFを含むSDNの例示的なアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図3】ここに記載される主題の実施形態に係る、PCRFが、オープンフロープロトコルを用いることによって電気通信ネットワークノードにポリシー命令を与えるための例示的なメッセージングを示すメッセージフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
ここに記載される主題は、統合型オープンフローコントローラを有するPCRFを含む。
図1は、そのようなPCRFの例を示す。
図1において、PCRF100は統合型オープンフローコントローラ102を含む。オープンフローコントローラ102は上述のオープンフロープロトコルを実現して、eノードB104、BRAS/BNG106、GGSNもしくはPDN−GW/S−GW108、Wi−Fiアクセスポイント(図示せず)または1つ以上のオープンフロースイッチもしくはルータ(図示せず)の1つ以上を制御する。図示される例では、PCRF100は、オンライン課金システム(OCS)110またはディープパケットインスペクション(DPI)ノード112などの非オープンフロー装置を制御するための非オープンフローインタフェース109をさらに含む。非オープンフローインタフェース109は、OCS110およびDPI112などの非オープンフローノードと通信するためのDiameterインタフェースまたは他の好適なインタフェースであってもよい。
【0011】
従来、
図1のネットワークは、ノード104,106および108内のルーティングインテリジェンスのほとんどを提供することによって動作してきた。PCRF100は従来、Diameterなどのレイヤ7プロトコルのみを用いてそのようなノードを制御してきた。図示される実施形態では、PCRF100は、ノード104,106および108に従来含まれていたのと同じルーティングインテリジェンスの少なくともいくらかを含み得、オープンフローコントローラ102を用いて、ノード104,106および108によって行われるスイッチングおよびルーティングを制御し得る。ゆえに、PCRF100は、Diameterなどのレイヤ7プロトコルに加えてまたはレイヤ7プロトコルの代わりにオープンフロープロトコルを用いてノードを制御し得る。
【0012】
図2は、統合型オープンフローコントローラ102を有するPCRF100を含むソフトウェア定義ネットワークの例示的なアーキテクチャを示すブロック図である。
図2を参照して、PCRF100は、オープンフローを用いて、BRAS/BNG106、GGSN108A、PDN−GW/S−GW108B、eノードB104、Wi−Fiアクセスポイント114およびオープンフロースイッチ/ルータ116を制御する。PCRF100はさらに、Diameterなどの任意の好適なプロトコルを用いてDSR118およびHSS120と通信し得る。PCRF100は、コンテンツストリーミング122、ボイスオーバーLTE124、リッチコミュニケーションスイート(RCS)126、クラウドサービス128、およびビジネスアプリケーション130などのさまざまなアプリケーションをサポートし得る。
【0013】
図3は、BRAS/BNG106などのノードがオープンフローを用いるPCRF100によって制御される場合のエクスチェンジであり得る例示的なメッセージを示すフロー図である。
図3を参照して、ライン1では、ユーザ要素300が最初のイーサネット(登録商標)フレームまたはIPパケットをネットワークに送信する。BRAS/BNG106は当該フレームまたはパケットを受信し、そのフローテーブルでルックアップを行い、一致するエントリがないと判断する。したがって、ライン2では、BRAS/BNG106は当該フレームまたはパケットをPCRF100に送信し、当該イーサネットフレームまたはIPパケットと同じフローで当該フレームまたはパケットおよびその後のフレームまたはパケットにどのポリシーを適用すべきか決定する。オープンフローコントローラ102は当該フレームまたはパケットを受信し、当該フレームまたはパケットに適用すべきポリシーを決定する。ライン3では、オープンフローコントローラ102はオープンフロー追加コマンドを送信し、BRAS/BNG106に、そのフローテーブルにエントリを追加し、受信したイーサネットフレームと同じフローに関連付けられたフレームのポリシーを実現することを命令する。同じフローに関連付けられたその後のイーサネットフレームまたはIPパケットは、オープンフローコントローラ102によってそのフローテーブルに追加されたエントリを用いるBRAS/BNG106によって切替えられ得る。
【0014】
現在開示される主題のさまざまな詳細は、現在開示される主題の範囲から逸脱するとなく変更され得ることが理解される。さらに、上記の記載は限定のためではなく、例示のために過ぎない。