特許第6163227号(P6163227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6163227
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】光ケーブルの分割方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20170703BHJP
   G02B 6/245 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   G02B6/44 371
   G02B6/245
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-85494(P2016-85494)
(22)【出願日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年11月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大野 正敏
(72)【発明者】
【氏名】梶 智晃
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−215533(JP,A)
【文献】 特開2004−020886(JP,A)
【文献】 特開2013−160882(JP,A)
【文献】 特開2006−047390(JP,A)
【文献】 特開2001−021780(JP,A)
【文献】 特開2003−004997(JP,A)
【文献】 特開2006−099032(JP,A)
【文献】 特開2016−177116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを押え巻きテープで包んだ光ファイバユニットと、前記光ファイバユニットを所定方向から挟むように配置された一対の抗張力体と、前記光ファイバユニット及び前記一対の抗張力体を被覆し、前記所定方向に長い断面形状の外被とを備え、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に前記外被が形成された光ケーブルを準備すること、
前記光ケーブルの長手方向に沿って、前記抗張力体の前記所定方向の外側に切れ目を形成すること、
前記切れ目から前記抗張力体を取り出すこと、及び、
前記切れ目から前記抗張力体を取り出した後に、前記切れ目を広げるようにして前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成されていた前記外被を引き裂いて、前記光ファイバユニットを取り出すこと
を行う前記光ケーブルの分割方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ケーブルの分割方法であって、
前記光ケーブルは、
前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成された前記外被の前記所定方向の寸法は、0.7mm以下であることを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【請求項3】
請求項2に記載の光ケーブルの分割方法であって、
前記光ケーブルは、
前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成された前記外被の前記所定方向の寸法は、0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光ケーブルの分割方法であって、
前記光ケーブルは、
前記押え巻きテープは、吸水テープで構成されていることを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光ケーブルの分割方法であって、
前記光ケーブルは、
前記抗張力体の外周面に接着層が形成されていないことを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光ケーブルの分割方法であって、
前記光ケーブルは、
前記光ファイバユニットは、間欠連結型光ファイバテープを構成する複数の光ファイバを前記押え巻きテープで包んだ構成であることを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【請求項7】
請求項6に記載の光ケーブルの分割方法であって、
前記光ファイバユニットは、前記所定方向に長い断面形状であることを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【請求項8】
請求項6に記載の光ケーブルであって、
前記光ファイバユニットは、前記所定方向と交差する方向に長い断面形状であることを特徴とする前記光ケーブルの分割方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルの分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバを収容したバッファーチューブと一対の抗張力体とを外被で被覆した扁平状の光ケーブルが記載されている。特許文献1のバッファーチューブにはジェル等の充填剤が充填されており、これによりバッファーチューブが止水されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,454,107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光ケーブルの構成では、光ファイバ及びジェル等の充填剤を収容したバッファーチューブ(ルースチューブとも呼ばれる)を押出成形し、次に、バッファーチューブと一対の抗張力体を一括被覆するように外被を押出成形することになる。このため、2回の押出成形の工程が必要となり、コストがかかってしまう。
また、特許文献1に記載の光ケーブルの構成では、光ファイバを取り出す際に、外被を除去する工程と、バッファーチューブを除去する工程とが必要になるため、作業性が悪くなってしまう。加えて、特許文献1に記載の光ケーブルの構成では、光ファイバの周囲にジェル等が充填されているため、バッファーチューブから光ファイバを取り出した後にジェルを拭き取る工程が必要になるため、更に作業性が悪くなってしまう。
【0005】
本発明は、製造コストがかからず、光ファイバの取出作業の容易な光ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、光ファイバを押え巻きテープで包んだ光ファイバユニットと、前記光ファイバユニットを所定方向から挟むように配置された一対の抗張力体と、前記光ファイバユニット及び前記一対の抗張力体を被覆し、前記所定方向に長い断面形状の外被とを備え、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に前記外被が形成された光ケーブルを準備すること、前記光ケーブルの長手方向に沿って、前記抗張力体の前記所定方向の外側に切れ目を形成すること、前記切れ目から前記抗張力体を取り出すこと、及び、前記切れ目から前記抗張力体を取り出した後に、前記切れ目を広げるようにして前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成されていた前記外被を引き裂いて、前記光ファイバユニットを取り出すことを行う前記光ケーブルの分割方法である。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造コストがかからず、光ファイバの取出作業の容易な光ケーブルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、光ケーブル100の断面図である。
図2図2Aは、間欠連結型光ファイバテープ1の一例の説明図である。図2Bは、間欠連結型光ファイバテープ1の別の一例の説明図である。
図3図3は、光ケーブル100の製造システム50の説明図である。
図4図4A図4Cは、光ケーブル100の分割方法(口出し方法)の説明図である。
図5図5Aは、第1変形例の光ケーブル100の断面図である。図5Bは、第2変形例の光ケーブル100の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
光ファイバを押え巻きテープで包んだ光ファイバユニットと、前記光ファイバユニットを所定方向から挟むように配置された一対の抗張力体と、前記光ファイバユニット及び前記一対の抗張力体を被覆し、前記所定方向に長い断面形状の外被とを備え、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に前記外被が形成されていることを特徴とする光ケーブルが明らかとなる。このような光ケーブルによれば、製造コストがかからず、光ファイバの取出作業の容易な光ケーブルを実現できる。
【0012】
前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成された前記外被の前記所定方向の寸法は、0.7mm以下であることが望ましい。また、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成された前記外被の前記所定方向の寸法は、0.05mm以上0.5mm以下であることが望ましい。これにより、光ファイバユニットを取り出す際に外被を引き裂く作業が容易になる。
【0013】
前記押え巻きテープは、吸水テープで構成されていることが望ましい。これにより、光ケーブルを止水できる。
【0014】
前記抗張力体の外周面に接着層が形成されていないことが望ましい。これにより、光ケーブルから抗張力体を取り外す作業が容易になる。
【0015】
前記光ファイバユニットは、間欠連結型光ファイバテープを構成する複数の光ファイバを前記押え巻きテープで包んだ構成であることが望ましい。間欠連結型光ファイバテープは、丸めて筒状(束状)にしたり、折り畳んだりすることが可能であるため、多数の光ファイバを高密度に収容することが可能になる。
【0016】
前記光ファイバユニットは、前記所定方向に長い断面形状であることが望ましい。これにより、光ケーブルを厚くさせずに、光ケーブルの多心化(光ファイバの心数を増やすこと)を図ることができる。
【0017】
前記光ファイバユニットは、前記所定方向と交差する方向に長い断面形状であることが望ましい。これにより、光ケーブルを幅広にさせずに、光ケーブルの多心化を図ることができる。
【0018】
光ファイバを押え巻きテープで包んだ光ファイバユニットを押出機に供給すること、前記光ファイバユニットを所定方向から挟むようにしつつ一対の抗張力体を前記押出機に供給すること、及び、前記押出機において樹脂を押出成形することによって、前記光ファイバユニット及び前記一対の抗張力体を被覆しつつ、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に前記樹脂を入り込ませて、前記所定方向に長い断面形状の外被を形成することを行う光ケーブルの製造方法が明らかとなる。このような光ケーブルの製造方法によれば、製造コストがかからずに済む。
【0019】
光ファイバを押え巻きテープで包んだ光ファイバユニットと、前記光ファイバユニットを所定方向から挟むように配置された一対の抗張力体と、前記光ファイバユニット及び前記一対の抗張力体を被覆し、前記所定方向に長い断面形状の外被とを備え、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に前記外被が形成された光ケーブルを準備すること、前記光ケーブルの長手方向に沿って、前記抗張力体の前記所定方向の外側に切れ目を形成すること、前記切れ目から前記抗張力体を取り出すこと、及び、前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に形成されていた前記外被を引き裂いて、前記光ファイバユニットを取り出すことを行う前記光ケーブルの分割方法が明らかとなる。このような光ケーブルの分割方法によれば、光ファイバの取出作業が容易となる。
【0020】
===本実施形態===
<光ケーブル100の構成>
図1は、光ケーブル100の断面図である。
【0021】
光ケーブル100は、光ファイバユニット10と、一対の抗張力体20と、外被30とを有する。光ファイバユニット10は、複数の光ファイバ3と、押え巻きテープ11とを有する。
【0022】
光ケーブル100は、扁平な形状をしており、所定方向(幅方向)に長い断面形状をしている。ここでは、光ケーブル100の断面は楕円形状をしている。但し、光ケーブル100は、断面が楕円形状に限られるものではなく、断面が矩形状(長方形状)であってもよいし、角が丸みを帯びた長方形状であってもよい。光ケーブル100は、一対の抗張力体20の並ぶ方向に幅広に構成されている。ここでは、一対の抗張力体20の並ぶ方向が、楕円形状の断面の長軸方向になっている。
【0023】
以下の説明では、光ケーブル100に平行な方向(図1の紙面に垂直な方向)を「長手方向」と呼ぶ。また、扁平形状の光ケーブル100の幅広な方向(図1の一対の抗張力体20の並ぶ方向)を「幅方向」と呼ぶ。また、長手方向及び幅方向に垂直な方向を「厚さ方向」と呼ぶ。
【0024】
光ファイバユニット10は、複数の光ファイバ3の束を押え巻きテープ11に収容した集合体である。光ファイバユニット10は、「光ケーブル100のコア」、「光ファイバコア」、「コアユニット」などとも呼ばれることがある。
【0025】
複数の光ファイバ3は、ここでは複数枚の間欠連結型光ファイバテープ1から構成されている。1枚の間欠連結型光ファイバテープ1は、複数本の光ファイバ3から構成されている。
【0026】
図2Aは、間欠連結型光ファイバテープ1の一例の説明図である。以下の説明では、光ファイバ3に平行な方向を「長手方向」と呼ぶ。また、間欠連結型光ファイバテープ1を構成する複数の光ファイバ3の並ぶ方向を「テープ幅方向」と呼ぶ。
間欠連結型光ファイバテープ1は、複数の光ファイバ3を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープ1である。隣接する2心の光ファイバ3は、連結部5によって連結されている。隣接する2心の光ファイバ3を連結する複数の連結部5は、長手方向に間欠的に配置されている。また、間欠連結型光ファイバテープ1の複数の連結部5は、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。連結部5は、接着剤となる紫外線硬化樹脂9を塗布した後に紫外線を照射して硬化させることによって、形成されている。なお、連結部5を熱可塑性樹脂で構成することも可能である。隣接する2心の光ファイバ3間の連結部5以外の領域は、非連結部7(分離部)になっている。非連結部7では、隣接する2心の光ファイバ3同士は拘束されていない。これにより、間欠連結型光ファイバテープ1を丸めて筒状(束状)にしたり、折り畳んだりすることが可能になり、多数の光ファイバ3を高密度に収容することが可能になる。但し、間欠連結型光ファイバテープ1の代わりに、テープ幅方向に並ぶ複数の光ファイバを一括被覆した通常の光ファイバテープを用いて光ファイバユニット10を構成してもよい。
【0027】
図2Bは、間欠連結型光ファイバテープ1の別の一例の説明図である。このように、間欠連結型光ファイバテープ1の心数は、適宜変更可能である。また、間欠的に配置されている連結部5は、配置を適宜変更可能である。
【0028】
押え巻きテープ11は、複数の光ファイバ3を包む部材である。光ファイバ3を押え巻きテープ11で包むことによって、外被30を構成する溶融樹脂を被覆したときに、外被30の内部に光ファイバ3が埋設されてしまうこと(食い込んでしまうこと)を防止できる。押え巻きテープ11には、ポリイミドテープ、ポリエステルテープ、ポリプロピレンテープ、ポリエチレンテープ等が使用される。この他、押え巻きテープ11として不織布を利用することができる。この場合、不織布は、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等をテープ状に形成したものが使用される。押え巻きテープ11は、不織布にポリエステルフィルム等のフィルムを貼り合わせたものでも良い。
【0029】
押え巻きテープ11は、テープ状の基材に吸水パウダーを付着(又は塗布)させた構成となっている。このため、押え巻きテープ11は、吸水テープとして機能する。吸水パウダーは、吸水性の粒状又は粉状の物質(吸水性物質)である。吸水パウダーは、テープ状の基材の表面に付着(塗布)させても良いし、2枚の不織布で構成されたテープ状の基材の間に挟んで配置させても良い。吸水時(吸水パウダーが吸水したとき)には、粒状又は粉状の吸水パウダーが膨張し、ジェリー状になる(膨潤化)。このような吸水パウダーとしては、例えば粒径5〜30μmのでん粉系、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリオキシエチレン系の高吸水性の材料、もしくはこれらの混合物等を用いることができる。ジェリー状になった吸水パウダーが光ケーブル100の内部の隙間を塞ぐことによって、光ケーブル100を止水できる。なお、基材自体が、吸水性を有しても良い。また、押え巻きテープ11が吸水性を有していなくても良い。
【0030】
抗張力体20は、外被30の収縮に抗い、外被30の収縮により光ファイバユニット10(特に光ファイバ3)に印加される歪みや曲げを抑制する部材である。抗張力体20は、線状の部材であり、光ケーブル100の長手方向に沿うように、外被30の内部に埋設されている。抗張力体20の材料としては、ノンメタリック材料やメタリック材料が使用可能である。ノンメタリック材料としては、例えばガラスFRP(GFRP)、ケブラー(登録商標)により強化したアラミド繊維強化プラスチック(KFRP)、ポリエチレン繊維により強化したポリエチレン繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチック(FRP)が使用可能である。メタリック材料としては、鋼線などの金属線が使用可能である。
【0031】
一対の抗張力体20は、光ファイバユニット10を幅方向から挟むように、外被30の内部に埋設されている。なお、一対の抗張力体20を結ぶ面は光ケーブル100を湾曲させたときの中立面となり、一対の抗張力体20を結ぶ線は中立面上の線になる。仮に左右にそれぞれ2以上の抗張力体20が配置された場合には、光ケーブル100の中立面は、一方の2以上の抗張力体20の中間位置と他方の2以上の抗張力体20の中間位置とを結んだ面となる。
【0032】
外被30は、光ファイバユニット10(複数の光ファイバ3及び押え巻きテープ11)及び一対の抗張力体20を被覆する部材である。本実施形態では、外被30は、幅方向に長い断面形状をしており、具体的には断面が楕円形状をしている。但し、外被30の断面は、楕円形状に限られるものではなく、断面が矩形状(長方形状)であってもよいし、角が丸みを帯びた長方形状であってもよい。
【0033】
外被30の材料としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(商標登録)、フッ化エチレン又はポリプロピレン(PP)等の樹脂が使用可能である。また、外被30の材料として、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような水和金属化合物を難燃剤として含有するポリオレフィンコンパウンドも使用可能である。
【0034】
溶融樹脂を押出成形して外被30を形成したとき、冷却時の外被30の収縮によって光ファイバユニット10(特に光ファイバ3)が歪み、この結果、光ファイバ3の信号損失が増加するおそれがある。このため、通常の光ケーブルでは、外周面に接着材を塗布した抗張力体20を外被30に埋設させることによって、抗張力体20と外被30との密着性を高めて、これにより、外被30の収縮時の負荷が抗張力体20にかかるため、光ファイバユニット10に負荷がかかりにくいようになっている。
但し、本実施形態の光ケーブル100は、断面が扁平形状に構成されており、断面形状が厚さ方向に薄く構成されているため、断面が円形状の光ケーブル100と比べると、外被30を構成する樹脂の量が少なくて済む。この結果、本実施形態の光ケーブル100では、断面が円形状の光ケーブル100と比べると、冷却時の外被30の収縮による負荷が小さくなるため、抗張力体20と外被30との密着性は低くても許容されている。
そこで、本実施形態の光ケーブル100では、抗張力体20の外周面には接着材が塗布されていない。言い換えると、本実施形態の光ケーブル100では、抗張力体20の外周面には接着層が形成されていない。このため、抗張力体20を外被30から取り出すことが容易になる(後述:図4B参照)。
【0035】
外被30は、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間にも形成されている。言い換えると、外被30を構成する樹脂は、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間に入り込んでいる。光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間に外被30が形成されることによって、この外被30が光ファイバユニット10と抗張力体20とを隔てる隔壁部となり、光ケーブル100が屈曲したり、光ケーブル100に側圧がかかったりしても、抗張力体20が光ファイバユニット10に食い込むことが隔壁部によって抑制される。なお、仮に光ファイバユニット10と抗張力体20との間に外被30を形成せず、光ファイバユニット10と抗張力体20とが接触した状態で外被30に被覆されていた場合には、隔壁となるものが無いため、光ケーブル100が屈曲したり、光ケーブル100に側圧がかかったりしたときに、抗張力体20が光ファイバユニット10に食い込み、光ファイバ3が抗張力体20から側圧を受けてしまい、光ファイバ3が損傷したり、光ファイバ3の信号損失が増加するおそれがある。したがって、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅W1(幅方向の寸法)は、0より大きいことが望ましい(W1>0)。
【0036】
ところで、断面が円形状の光ケーブルの場合、光ケーブルに想定される衝撃等の負荷の方向が限定されないため、光ファイバユニット10に抗張力体20を食い込ませないようにするためには、光ファイバユニット10と抗張力体20との間に形成される外被30(隔壁部)の寸法(幅W1に相当)を厚くする必要が生じてくる。これに対し、本実施形態の光ケーブル100は扁平な形状をしているため、光ケーブル100に想定される衝撃の方向を厚さ方向に限定することができる。このため、本実施形態では、断面が円形状の光ケーブルの場合と比べて、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅W1を薄くできるという効果を得ることができる。具体的には、幅W1が0.05mm以上あれば、抗張力体20が光ファイバユニット10に食い込むことを抑制できる。
【0037】
光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅W1と、外被30を引き裂く作業の作業性との関係を表1に示す。なお、表1の「引き裂き作業の作業性」の評価では、外被30を引き裂くこと(後述:図4C参照)が容易であれば「良」とし、外被30を引き裂くことができれば「可」とし、外被30を引き裂くことが困難であるものを「不可」としている。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅W1は、0.7mm以下であることが望ましい。光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅(幅方向の寸法)が0.7mmより大きいと、光ファイバユニット10を取り出す際に外被30を引き裂く作業が困難となる。なお、光ファイバユニット10を取り出す際に外被30を引き裂く作業を容易にするためには、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅(幅方向の寸法)は、0.5mm以下であることが更に望ましい。
【0040】
このため、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間の外被30の幅W1は、0より大きく、0.7mm以下であることが望ましい。また、幅W1は、0.05mm以上0.5mm以下であることが更に望ましい。
【0041】
次に、抗張力体20の外側の外被30の厚さ(幅方向の寸法)と、分割工具の刃(図4A参照)の到達の有無との関係を表2に示す。なお、表2の「刃の到達の有無」の評価では、抗張力体20に達する切れ目30A(図4B参照)を長手方向に連続的に形成できたものを「良」とし、抗張力体20に達する切れ目30Aを間欠的に形成できたものを「可」とし、切れ目30Aが抗張力体20に達しないものを「不可」としている。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示すように、抗張力体20の外側の外被30の厚さは、1.2mm以下であることが望ましく、1.0mm以下であることが更に望ましい。
【0044】
<光ケーブル100の製造システム50>
図3は、光ケーブル100の製造システム50の説明図である。製造システム50は、ファイバガイド部51と、テープ成形部52と、押出成形機53と、冷却機54と、ドラム55とを有する。
【0045】
ファイバガイド部51は、複数の光ファイバ3を束ねて送り出す案内部材である。ファイバガイド部51は例えばパイプ状の部材であり、パイプの内部空間を複数の光ファイバ3が挿通している。複数の光ファイバ3(間欠連結型光ファイバテープ1)が、不図示の供給源からファイバガイド部51へ供給されており、ファイバガイド部51で束ねられている。
【0046】
テープ成形部52は、複数の光ファイバ3を包むように筒状(渦巻き状)に押え巻きテープ11を成形する成形部材である。テープ成形部52にファイバガイド部51の下流端が挿入されており、テープ成形部52は、ファイバガイド部51の下流端を包むように、押え巻きテープ11を筒状に成形する。テープ成形部52は、複数の光ファイバ3を押え巻きテープ11で包んだ光ファイバユニット10を押出成形機53に供給する。
【0047】
押出成形機53は、光ケーブル100の外被30を押出成形する装置である。押出成形機53には、光ファイバユニット10と一対の抗張力体20が供給される。押出成形機53のダイス穴(不図示)から光ファイバユニット10と一対の抗張力体20を挿通しながら、楕円形状のダイス穴から溶融樹脂を押し出すことによって、光ファイバユニット10及び一対の抗張力体20を外被30で一括被覆した光ケーブル100が製造される。
【0048】
なお、本実施形態では、押出成形機53に供給される抗張力体20の外周面に接着材を塗布していない。このため、抗張力体20への接着材の塗布が不要になるため、光ケーブル100の製造工程が簡易になる。
【0049】
冷却機54は、光ケーブル100の外被30を冷却する冷却装置である。外被30を冷却したとき、外被30が収縮することになる。但し、冷却時の外被30の収縮時の負荷は、抗張力体20にかかるため、光ファイバユニット10(特に光ファイバ3)の歪みを抑制できる。
【0050】
ドラム55は、光ケーブル100を巻き取る部材である。製造された光ケーブル100は、ドラム55に巻き取られて、出荷されることになる。
【0051】
本実施形態の光ケーブル100の製造方法では、光ファイバ3を押え巻きテープ11で包んだ光ファイバユニット10を抗張力体20と共に外被30で一括被覆しているため、押出成形工程を簡略化できる。仮にルースチューブ(バッファーケーブル)を外被で被覆した光ケーブルを製造する場合には、ルースチューブを押出成形する工程と、そのルースチューブを外被で被覆するための押出成形の工程が必要となるため、本実施形態と比べて押出成形工程が増えてしまい、製造コストがかかってしまう。
【0052】
<光ケーブル100の分割方法>
図4A図4Cは、光ケーブル100の分割方法(口出し方法)の説明図である。
【0053】
まず、作業者は、図1に示す光ケーブル100と、分割工具とを準備する。分割工具は、図4Aに示すように、光ケーブル100の幅方向に対向する一対の刃を有している。
【0054】
作業者は、分割工具の一対の刃の間に光ケーブル100をセットして、光ケーブル100と分割工具とを長手方向に相対移動させる。これにより、分割工具の刃が、幅方向の外側から抗張力体20に達し、抗張力体20の幅方向の外側の外被30が切り裂かれる。このとき、光ケーブル100の長手方向に沿って、抗張力体20の幅方向の外側に切れ目30Aが形成されることになる。本実施形態では、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間に外被30(隔壁部)が形成されているため、分割工具の刃が幅方向の外側から抗張力体20に達しても、抗張力体20が内側の光ファイバユニット10に食い込んでしまうことを抑制できる。
【0055】
次に、作業者は、図4Bに示すように、抗張力体20の幅方向の外側に形成された外被30の切れ目30Aから、抗張力体20を取り出す。本実施形態では、抗張力体20の外周面には接着材が塗布されていないため、抗張力体20を外被30から取り出す作業は容易である。
【0056】
次に、作業者は、図4Cに示すように、光ファイバユニット10の押え巻きテープ11と抗張力体20との間に形成されていた外被30(光ファイバユニット10と抗張力体20とを隔てる隔壁部)を厚さ方向に引き裂き、光ファイバユニット10を取り出す。このとき、作業者は、外被30の切れ目30Aに指を入れて、切れ目30Aを広げるようにして外被30を引き裂くことができるため、外被30を厚さ方向に引き裂く作業は容易である。
【0057】
作業者は、図4Cに示す光ケーブル100の分割後、取り出した光ファイバユニット10の押え巻きテープ11を解いて、光ファイバ3を取り出すことになる。ルースチューブの光ファイバ3を取り出す作業と比べて、本実施形態ではルースチューブのジェル(充填剤)の拭き取り作業が不要であるため、光ファイバ3の取出作業は容易である。
【0058】
<変形例>
図5Aは、第1変形例の光ケーブル100の断面図である。第1変形例では、光ファイバユニット10は、幅方向に長い断面形状である。具体的には、光ファイバユニット10の断面は、幅方向を長軸とする楕円形状になっている(厚さ方向を短軸とする楕円形状になっている)。このように、光ファイバユニット10が幅方向に長い断面形状であれば、光ケーブル100を厚くさせずに、光ファイバ3の心数を増加させることができる。なお、光ファイバユニット10の断面形状が楕円形状でなくても、光ファイバユニット10が幅方向に長い断面形状であれば、光ケーブル100を厚くさせずに、光ファイバ3の心数を増加させることは可能である。
【0059】
図5Bは、第2変形例の光ケーブル100の断面図である。第2変形例では、光ファイバユニット10は、厚さ方向(幅方向と交差する方向)に長い断面形状である。具体的には、光ファイバユニット10の断面は、厚さ方向を長軸とする楕円形状になっている(幅方向を短軸とする楕円形状になっている)。このように、光ファイバユニット10が厚さ方向に長い断面形状であれば、光ケーブル100の幅方向の寸法を大きくさせずに(光ケーブル100を幅広にさせずに)、光ファイバ3の心数を増加させることができる。なお、光ファイバユニット10の断面形状が楕円形状でなくても、光ファイバユニット10が厚さ方向に長い断面形状であれば、光ケーブル100の幅方向の寸法を大きくさせずに、光ファイバ3の心数を増加させることは可能である。
【0060】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 間欠連結型光ファイバテープ、3 光ファイバ、
5 連結部、7 非連結部、9 樹脂、
10 光ファイバユニット、11 押え巻きテープ、
20 抗張力体、30 外被、30A 切れ目、
50 製造システム、51 ファイバガイド部、
52 テープ成形部、53 押出成形機、
54 冷却機、55 ドラム、
100 光ケーブル
【要約】
【課題】製造コストがかからず、光ファイバの取出作業の容易な光ケーブルを提供すること。
【解決手段】本開示の光ケーブルは、光ファイバを押え巻きテープで包んだ光ファイバユニットと、前記光ファイバユニットを所定方向から挟むように配置された一対の抗張力体と、前記光ファイバユニット及び前記一対の抗張力体を被覆し、前記所定方向に長い断面形状の外被とを備える。前記光ファイバユニットと前記抗張力体との間に前記外被が形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5