特許第6163239号(P6163239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイパーズの特許一覧

<>
  • 特許6163239-認証システム 図000002
  • 特許6163239-認証システム 図000003
  • 特許6163239-認証システム 図000004
  • 特許6163239-認証システム 図000005
  • 特許6163239-認証システム 図000006
  • 特許6163239-認証システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6163239
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】認証システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20170703BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20170703BHJP
   G07B 11/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   G06Q10/02
   G06Q20/40 300
   G07B11/00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-147418(P2016-147418)
(22)【出願日】2016年7月27日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】516103622
【氏名又は名称】株式会社テイパーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 ▲高▼幸
【審査官】 山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−153919(JP,A)
【文献】 特開2012−220973(JP,A)
【文献】 特開2007−122143(JP,A)
【文献】 特開2010−211343(JP,A)
【文献】 特開2002−259868(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0221474(US,A1)
【文献】 西山 雄吾ほか,顔認証ソフトウェアを用いたチケット本人確認システム,情報処理学会第78回全国大会講演論文集(4),日本,一般社団法人情報処理学会,2016年 3月10日,4-493〜4-494
【文献】 日本電気株式会社ほか,NEC、テイパーズに顔認証技術を利用した本人確認システムを提供,[online],2014年12月15日,2017年5月22日検索,URL,http://jpn.nec.com/press/201412/20141205_01.html
【文献】 納富廉邦,ももクロのライブでも使われてる!顔認証システムのメリットとは?,日経トレンディネット[online],2016年 4月13日,2017年5月22日検索,URL,http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1008498/040800231/?rt=nocnt,http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1008498/040800231/?P=2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/02
G06Q 20/40
G07B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルチケットの利用者を認証するための認証システムであって、
前記利用者の携帯端末と、コードリーダと、認証サーバと、を備え、
前記携帯端末は、
前記利用者の顔画像と、デジタルチケットを一意に識別するためのチケット識別情報を有するコードと、を含むデジタルチケットを一画面で表示する表示部を備え、
前記コードリーダは、
前記携帯端末の前記表示部に表示された前記顔画像と、前記コードと、を略同時に読み取る読取部と、
前記顔画像に基づく顔画像データと、前記コードから取得される前記チケット識別情報と、を前記認証サーバに出力する利用情報出力部と、を備え、
前記認証サーバは、
前記チケット識別情報と、正当な利用者の顔画像データおよび前記正当な利用者の利用者情報と、を関連付け記憶する利用者情報記憶部と、
前記コードリーダから出力される前記チケット識別情報に関連付けられた前記正当な利用者の顔画像データを前記利用者情報記憶部から取得し、取得された顔画像データと、前記コードリーダから出力された顔画像データとを、照合する照合部と、
を備える、認証システム。
【請求項2】
前記認証サーバは、前記照合部における照合結果を出力する結果出力部をさらに備える、請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記認証サーバは、前記利用者情報記憶部に記憶されている正当な利用者の顔画像データまたは利用者情報を変更する利用者情報変更部をさらに備える、請求項1または2に記載の認証システム。
【請求項4】
デジタルチケットの利用者を認証するための認証システムであって、前記利用者が携行する携帯端末と、コードリーダと、デジタルチケットを一意に識別するためのチケット識別情報と、正当な利用者の顔画像データおよび前記正当な利用者の利用者情報と、を関連付けて記憶する利用者情報記憶部を有する認証サーバと、を備える認証システムが実行する方法であって、
前記携帯端末が、前記利用者の顔画像と、前記チケット識別情報を有するコードと、を含むデジタルチケットを一画面で表示部に表示するステップと、
前記コードリーダが、前記携帯端末の前記表示部に表示された前記顔画像と、前記コードと、を略同時に読み取るステップと、
前記コードリーダが、前記顔画像に基づく顔画像データと、前記コードから取得される前記チケット識別情報と、を前記認証サーバに出力するステップと、
前記認証サーバが、前記コードリーダから送信される前記チケット識別情報に関連付けられた前記正当な利用者の顔画像データを前記利用者情報記憶部から取得し、取得された顔画像データと、前記コードリーダから送信された顔画像データとを、照合するステップと、
を備える、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法を前記認証システムに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ認証を行う認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンサート等のイベントのチケット購入において、従来の紙のチケットに代えてパソコンやスマートフォン等の電子機器で利用可能なデジタルチケットを発行する方法を採用するケースが増えている(例えば、特許文献1)。このようなデジタルチケットは、従来の紙のチケットに比べて、チケットの発行処理が容易である等の利点がある。
【0003】
図6は、従来のデジタルチケットの一例を示す図である。例えば、コンサートチケットを購入した購入者は、コンサート会場に入場する際に購入者が携行しているスマートフォン等の携帯端末90の画面91に、(a)および(b)に示されるようなデジタルチケット92を表示させる。図6のデジタルチケット92は、チケット上部にコンサートの日時、場所、コンサート名称が示されるとともに、チケット中央付近にはQRコード93が示されている。このQRコード93には、チケットを一意に識別する情報が含まれている。
【0004】
チケット購入者は、携帯端末90の画面91に表示させたQRコード93を、例えばコンサート会場の入り口に備えられているQRリーダ(図示しない)に読み込ませる。QRコード93がQRリーダに読み込まれると、QRコード93に含まれているチケットを一意に識別する情報が認証サーバ(図示しない)に送信される。認証サーバは、受信した情報により正規のチケットであるかを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−63884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6のようなデジタルチケットは、不正にチケットを入手した者であっても、ユーザの確認を行うわけではないため、イベント会場に入場することが可能となってしまう。また、入場者の確認方法としてデジタルチケットに顔画像を載せて入場時に係員が目視で確認する方法も考えられるが、画像を不正入手者の顔画像に改竄することによって係員を欺くこともできる。
【0007】
上記のような課題に鑑み、本発明は、デジタルチケットの不正使用を防止することが可能な認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、デジタルチケットの利用者を認証するための認証システムであって、前記利用者の携帯端末と、コードリーダと、認証サーバと、を備え、前記携帯端末は、前記利用者の顔画像と、デジタルチケットを一意に識別するためのチケット識別情報を有するコードと、を含むデジタルチケットを一画面で表示する表示部を備え、前記コードリーダは、前記携帯端末の前記表示部に表示された前記顔画像と、前記コードと、を略同時に読み取る読取部と、前記顔画像に基づく顔画像データと、前記コードから取得される前記チケット識別情報と、を前記認証サーバに出力する利用情報出力部と、を備え、前記認証サーバは、前記チケット識別情報と、正当な利用者の顔画像データおよび前記正当な利用者の利用者情報と、を関連付け記憶する利用者情報記憶部と、前記コードリーダから出力される前記チケット識別情報に関連付けられた前記正当な利用者の顔画像データを前記利用者情報記憶部から取得し、取得された顔画像データと、前記コードリーダから出力された顔画像データとを、照合する照合部と、を備える、認証システムである。
【0009】
また、本発明の他の態様は、デジタルチケットの利用者を認証するための認証システムであって、前記利用者が携行する携帯端末と、コードリーダと、デジタルチケットを一意に識別するためのチケット識別情報と、正当な利用者の顔画像データおよび前記正当な利用者の利用者情報と、を関連付けて記憶する利用者情報記憶部を有する認証サーバと、を備える認証システムが実行する方法であって、前記携帯端末が、前記利用者の顔画像と、前記チケット識別情報を有するコードと、を含むデジタルチケットを一画面で表示部に表示するステップと、前記コードリーダが、前記携帯端末の前記表示部に表示された前記顔画像と、前記コードと、を略同時に読み取るステップと、前記コードリーダが、前記顔画像に基づく顔画像データと、前記コードから取得される前記チケット識別情報と、を前記認証サーバに出力するステップと、前記認証サーバが、前記コードリーダから送信される前記チケット識別情報に関連付けられた前記正当な利用者の顔画像データを前記利用者情報記憶部から取得し、取得された顔画像データと、前記コードリーダから送信された顔画像データとを、照合するステップと、を備える、方法である。
【0010】
また、本発明の他の態様は、上記の方法を前記認証システムに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る認証システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るデジタルチケットの一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る利用者情報記憶部に記憶されるデータの一例を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る携帯端末および認証サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る認証システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
図6】従来のデジタルチケットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示される。
(認証システムの構成)
まず、本実施形態に係る認証システムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係る認証システムの構成の一例を示す図である。本実施形態に係る認証システム1は、コンサート会場のように入場するためにはチケットが必要となる場所において、チケットの利用者(チケット購入者等)が会場に入場する際に、利用者が正当な利用者であるかを認証するためのシステムである。正当な利用者とは、チケットを利用する権原を有する者であり、例えば正規にチケットを購入した者以外にも、正規にチケットを購入した者からチケットを譲り受けた者などが該当しうる。
【0013】
図1に例示の認証システム1は、デジタルチケットの利用者の携帯端末10と、二次元コードリーダ20と、利用者の認証処理を実行する認証サーバ30とを含む。
【0014】
なお、本実施形態に係る認証システム1においては利用者の認証を行うが、その前に、利用者は事前にデジタルチケットを購入する等して正当にチケットを入手するための手続きを行っていることが前提である。例えばチケットの購入手続きは主にオンラインで行われることが想定されるが、利用者は購入サイトにおいて、自身の顔画像と、氏名・住所・電話番号等の個人データとを入力して購入手続きを行う。購入手続きが正常に終了すると、利用者はチケット発行者から発行されるデジタルチケットをダウンロード等の方法で入手し、携帯端末10に保存しておく。そして、この携帯端末10を携帯してコンサート会場等に行き、入場手続きを行う。(ただしこれらはあくまで一例であり、これに限定されるものではない。)
【0015】
以下、各装置の構成について説明する。
(携帯端末の構成)
図1に例示される携帯端末10は、例えばデジタルチケットの利用者、購入者が所持する携帯端末であって、端末記憶部102と、表示部104とを有する。
【0016】
端末記憶部102は、事前に購入する等して入手されたデジタルチケットを記憶する。ここで、本実施形態の認証システムで用いられるデジタルチケットは、利用者の顔画像と、デジタルチケットの発行者が発行するQRコード(登録商標)などの二次元コードとを含んで構成される。
【0017】
表示部104は、利用者の顔画像と、デジタルチケットを一意に識別するためのチケット識別情報を有する二次元コードとを含むデジタルチケットを一画面で表示する。チケット識別情報は、例えばチケットID等である。なお、本実施形態においては二次元コード(QRコード)を一例として採用するが、これに限定されるものではない。チケット識別情報を有する(示す)ものであればよく、例えば、バーコードのような一次元コードを用いてもよい。その場合には、認証システム1は、二次元コードリーダ20に代えて、一次元コードリーダを備えていてよい。
【0018】
図2は、本実施形態に係るデジタルチケットの一例を示す図である。図2においては、端末装置10の表示部(ディスプレイ)104にデジタルチケット12が表示されている。デジタルチケット12は、QRコード13と利用者の顔画像14とを含み、これらが一画面で表示部104に表示されるような構成となっている。なお、図2の例においては、QRコード13と利用者の顔画像14とが上下に並んでいるが、これは一例であり、両者の配置はこれに限定するものではない。例えば、顔画像14とQRコード13の位置が逆であってもよいし、両者が左右に並んで一画面で表示される等となっていてもよい。
【0019】
また、QRコード13と利用者の顔画像14は、表示部104に表示される際に一画面で表示されるようになっていればよい。例えば、端末記憶部102においては別々のデータとして保存されており、表示部104に表示される際に、それらが合成される等して一画面で表示されるようになっていてもよい。さらに、表示部104に表示される際も、デジタルチケット12は1つの画像として構成されていなくてもよい。すなわち、QRコード13と顔画像14とが別々の画像データで構成されており、これらが1枚のデジタルチケットに見えるように同時に表示部104に表示される等となっていてもよい。
【0020】
また、利用者の顔画像は、チケット購入時に購入者がチケット販売者に提供する等して後述するように認証サーバ30に保存されているものと同じものである。後述するように、この顔画像はチケットの正当性を確認するために用いられる。
【0021】
(二次元コードリーダの構成)
図1に戻り、二次元コードリーダ20の構成の一例について説明する。図1に例示される二次元コードリーダ20は、例えばコンサート会場等の入口に設置される装置であって、読取部202と、利用情報出力部204とを有する。
【0022】
読取部202は、携帯端末10の表示部104に表示された顔画像と、二次元コードとを略同時に読み取る。「略同時」とは、厳密に同時でなくとも、ほぼ同時であれば足りるという意味である。コンサート会場等では沢山の人が来場し、来場者の入場処理を行ってコンサート等の開始時間までに着席してもらわなくてはならないため、入場処理にかけられる時間は限られている。このような状況に鑑み、本実施形態においては、利用者が携帯端末10の表示部104にデジタルチケットを表示する際に、利用者の顔画像と二次元コードとが一画面で表示されるようになっている。これにより、二次元コードリーダ20は、利用者が顔画像と二次元コードとを表示するために携帯端末10の画面の切り替え等を行うことなく、両者をほぼ同時に読み込むことができるため、迅速に入場処理を進めることが可能である。なお、読取部202で顔画像と二次元コードとを読み取る際には、例えば、一体的にカメラで両者を撮影してから、顔画像と二次元コードとを切り出すようになっていてもよい(ただし、このような方法に限定されるものではない)。また、二次元コードは規格に沿って、そのコードが表すデータ(チケット識別情報)が解釈される。
【0023】
利用情報出力部204は、顔画像に基づく顔画像データと、二次元コードから取得されるチケット識別情報とを認証サーバ30に出力する。なお、「認証サーバ30に出力する」とは、認証サーバ30が二次元コードリーダ20と遠隔にある場合にはネットワーク通信で出力する場合等が該当する。また、二次元コードリーダ20と認証サーバ30とが物理的に一体的になっている場合は、内部的にデータを認証サーバ30に渡す場合等が該当する。
【0024】
(認証サーバの構成)
図1に例示される認証サーバ30は、例えばコンサート会場入口またはネットワーク経由で任意の外部に設置されたサーバであって、利用者情報記憶部302と、照合部304と、結果出力部306と、発券部308と、利用者情報変更部310とを有する。
【0025】
利用者情報記憶部302は、チケット識別情報と、正当な利用者の顔画像データおよび正当な利用者の利用者情報とを関連付けて記憶する。図3は、利用者情報記憶部302に記憶されるデータの一例を示す。図3においては、デジタルチケットを一意に識別するチケットID(チケット識別情報)、チケットの(正当な)利用者を一意に識別する利用者ID、利用者の氏名、住所、電話番号、顔画像データのファイル名(利用者情報)が、データベース形式で関連付けられている。また、図3の「顔画像データ」欄で示されるファイル名の顔画像データが、利用者情報記憶部302に記憶される。購入者がチケット購入時に、例えばオンラインでこれらの情報(自身の顔画像を含む)を入力すると、それらの情報が、例えば図3に示すような形式で利用者情報記憶部302に保存される。また、「正当な利用者」とは、チケットを利用する権原を有する者という意味である。例えば、コンサート等のチケットの購入者と、実際にコンサート等に行く者が異なる場合もある。しかしながら、正当な手段によりチケット購入の代行が行われたり、チケットの譲渡が行われた場合には、チケットを入手した者は「正当な利用者」である。この場合には、チケット購入の後に、利用者の変更手続き等によって、新たな利用者の顔画像データおよび利用者情報をチケット発行者に通知することができるようになっていてもよい。チケット発行者は、利用者の変更手続き等が行われた場合には、利用者情報記憶部302の内容を書き換える。この時、後述する利用者情報変更部310において利用者情報記憶部302における顔画像データおよび利用者情報の変更処理が実行される。
【0026】
照合部304は、二次元コードリーダ20から出力されるチケット識別情報に関連付けられた正当な利用者の顔画像データを利用者情報記憶部302から取得し、この取得された顔画像データと、二次元コードリーダ20から出力された顔画像データとを、照合する。具体的には、照合部304は例えば、二次元コードリーダ20から出力されたチケット識別情報(チケットID等)をキーとして利用者情報記憶部302を検索し、当該チケット識別情報と関連付けられている利用者の顔画像データを検索する。そして、抽出された顔画像データと、二次元コードリーダ20から出力された顔画像データとを照合する。なお、これらの画像データの照合は、従来技術を用いて実行可能である。また、両者の一致または不一致の決定は、例えば、ある閾値を設けて、両者の一致率が当該閾値以上である場合に“一致”という照合結果とする、等となっていてもよい。
【0027】
結果出力部306は、照合部304における照合結果を出力する。照合部304における照合結果が、顔画像データが不一致であるとの結果だった場合には、例えば端末装置10にその旨を示す結果データを送信する。端末装置10は不一致の結果データを受信すると、例えば表示部104に顔画像データが一致しない旨のメッセージを表示するようになっていてもよい。また、認証サーバ30がコンサート会場等の入口に設置されている場合には、認証サーバ30が備えるディスプレイ(図示しない)に照合結果が表示されるようになっていてもよい。また、例えば、会場入口の係員用のコンピュータ(スマートフォン等の携帯端末を含む)に照合結果が表示されるようになっていてもよい。そして、係員は照合結果が不一致であった場合には、認証サーバ30に保存されているチケット購入時の利用者の顔画像と、来場した利用者の顔を比較するようになっていてもよい。この時、例えば係員用のコンピュータに、照合結果とともに認証サーバ30に保存されている利用者の顔画像が送信されるようになっていてもよいし、あらかじめ、係員用コンピュータに認証サーバ30に記憶されている利用者の顔画像データのコピーが保存されていてもよい。
【0028】
発券部308は、照合部304における照合結果が、利用者情報記憶部302から取得された顔画像データと、二次元コードリーダ20から出力された顔画像データとが一致するとの結果だった場合には、デジタルチケットと関連する別のチケットを発券する機能を有する。例えば、コンサート会場の座席券等を発券するための処理を実行する。発券部308は、座席券等をプリントアウトするようになっていてもよいし、発券する旨の命令を座席番号等の必要な情報とともに外部の発券装置に出力する等となっていてもよい。また、紙ベースで発券するだけでなく、例えば利用者の携帯端末10に座席番号を送信する等となっていてもよい。また、座席券等をプリントアウトする場合には、少なくともプリント装置はコンサート会場入口付近に設置する必要があるが、発券部308自体を認証サーバ30とは別の装置としてもよい。
【0029】
利用者情報変更部310は、利用者情報記憶部302に記憶されている正当な利用者の顔画像データまたは利用者情報を変更する。上述したように、チケット購入時等に正当な利用者の顔画像データおよび利用者情報が登録されるが、チケットの譲渡等によって利用者が変更となる場合もある。そのような場合に、利用者情報変更部310によって利用者情報記憶部302に記憶されている顔画像データまたは利用者情報が変更される。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る認証システムでは、事前に正当な利用者を示すデータとして認証サーバ30に登録した顔画像データと同一のデータを利用者が携帯端末10に保存しておき、入場時に認証サーバ30の顔画像データと照合を行う。例えば、単に会場入口の係員がデジタルチケットに載っている顔画像と入場者の顔を目視で本人確認する場合は、不正にチケットを入手した者がデジタルチケットの顔画像を自分の顔画像に改竄して入場しようすれば、正当な利用者でないことが判断できない。しかしながら、本実施形態の認証システムによれば、デジタルチケットの顔画像を改竄しても、認証サーバ30に保存されている正当な利用者の顔画像と一致しないため、この利用者が正当な利用者でないことが判断できる。
【0031】
さらに、本実施形態に係る認証システムでは、携帯端末10において顔画像と二次元コードとが一画面で表示され、二次元コードリーダ20は、携帯端末10の表示部104に表示された顔画像と、二次元コードとを略同時に読み取る。コンサート会場のように大人数を収容するような場所において入場時の本人確認を行う場合、開場してからコンサートが始まるまでに入場確認を終えて利用者に座席に着席してもらう必要があるため、素早く本人確認を進めなければならない。本実施形態に係る認証システムによれば、QRコードと顔画像とが略同時に二次元コードリーダ20で読み込まれるため、これらを別々で読み込むよりも格段に処理が早くなるという利点がある。
【0032】
(ハードウェア構成)
携帯端末10および認証サーバ30は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現可能である。図4は、携帯端末10および認証サーバ30のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示されるコンピュータ装置3は、一例として、プロセッサ31と、RAM32と、ROM33と、ハードディスク装置34と、リムーバブルメモリ35と、通信インタフェース36と、ディスプレイ/タッチパネル37と、スピーカ38と、キーボード/キーパット39とを備える。本実施形態に係る携帯端末10および認証サーバ30の各構成の機能は、例えば、プロセッサ31が、ハードディスク装置34にあらかじめ格納されたプログラムをメモリに読み出して実行することで実現可能である。なお、図4に示されるハードウェア構成はあくまで一例であって、これに限定されるものではない。
【0033】
また、二次元コードリーダ20は、従来の二次元コードリーダの機能を応用することが可能である。二次元コードリーダ20は、例えば顔画像と二次元コードの両方をまとめて撮影可能な撮影デバイスを有し、撮像した1枚の画像から顔画像と二次元コードとを切り出して、二次元コードについては従来の二次元コードリーダのように情報を解釈することができればよい。また、二次元コードリーダ20は、顔画像データと二次元コードを外部に送信可能な有線または無線の通信インタフェースを有する。
【0034】
(処理シーケンス)
図5は、本実施形態に係る認証システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
【0035】
まず、チケット利用者の操作に応じて、携帯端末10の表示部104は、利用者の顔画像と二次元コードとを含むデジタルチケットを表示する(ステップS102)。そして、利用者はデジタルチケットが表示されている携帯端末10の表示部104を二次元コードリーダ20にかざすと(ステップS104)、二次元コードリーダ20は、顔画像およびQRコード等の二次元コードを略同時に読み取る(ステップS106)。顔画像および二次元コードの読み取りが正常に行われなかった場合には(ステップS108:No)、読み込みがNGである旨を出力する(ステップS110)。当該出力は、例えば、二次元コードリーダのディスプレイにメッセージを表示する、音声によって出力する、ランプの点灯/点滅等によって示す、等、様々な方法で行われてよい。そして、ステップS104、S106を経て、顔画像および二次元コードの読み取りが再度行われる。
【0036】
顔画像および二次元コードの読み取りが正常に行われた場合には(ステップS108:Yes)、当該顔画像を構成する顔画像データおよび二次元コードから取得されるチケット識別情報が認証サーバ30に出力される(ステップS112)。
【0037】
認証サーバ30が二次元コードリーダ20から顔画像データおよびチケット識別情報を取得すると、取得したチケット識別情報をキーとして利用者情報記憶部302に記憶されているデータベース等を参照して、当該利用者の顔画像データを検索する。抽出された顔画像データと、二次元コードリーダ20から取得された顔画像データとを照合する(ステップS114)。照合が不一致との結果であった場合には(ステップS116:No)、例えば携帯端末10にその旨を示すデータを送信する(ステップS118)。照合が一致との結果であった場合には(ステップS116:Yes)、座席券を発券する、または発券のための関連データを出力する等の座席券発券のための処理を実行する(ステップS120)。
【0038】
ここまで、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0039】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0040】
10 携帯端末
20 二次元コードリーダ
30 認証サーバ
102 端末記憶部
104 表示部
202 読取部
204 利用情報出力部
302 利用者情報記憶部
304 照合部
306 結果出力部
308 発券部
310 利用者情報変更部
【要約】
【課題】デジタルチケットの不正使用を防止する認証システムを提供すること。
【解決手段】チケット利用者の携帯端末(10)とコードリーダ(20)と認証サーバ(30)とを備える認証システムであり、携帯端末は、利用者の顔画像とデジタルチケットのチケット識別情報を有するコードとを一画面で表示し、コードリーダは、携帯端末に表示された顔画像とコードとを略同時に読み取り、顔画像に基づく顔画像データとコードから取得されるチケット識別情報とを認証サーバに出力する。認証サーバは、チケット識別情報と、正当な利用者の顔画像データおよび利用者情報とを関連付けて記憶する利用者情報記憶部(302)を備え、コードリーダから送信されるチケット識別情報に関連付けられた正当な利用者の顔画像データを利用者情報記憶部から取得し、取得された顔画像データと、コードリーダから出力された顔画像データとを照合する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6