【課題を解決するための手段】
【0004】
フリーホイーリングダイオードに検査電流が印加され、その結果として生じるフリーホイーリングダイオードの電圧が評価されることによって、誘導式のアクチュエータと並列に配線されたフリーホイーリングダイオードの極性をチェックすることができる。電圧の評価は、簡単な閾値比較によって行えるという利点がある。さらに極性は、誘導式のアクチュエータの使用開始中または作動中に、すなわち誘導式のアクチュエータが組み付けられた状態で行うことができる。
【0005】
車両のための安全デバイスのための誘導式のアクチュエータと並列に配線されたフリーホイーリングダイオードの極性を認識する方法は、次の各ステップを含んでいる:
【0006】
フリーホイーリングダイオードの接続部に検査電流が印加される;および、
【0007】
検査電流の印加中に接続部で生じている電圧と閾値電圧との間の比較が実行され、比較の結果がフリーホイーリングダイオードの極性を表す。
【0008】
車両とは、たとえば乗用車、商用車、またはオートバイであると理解することができる。
【0009】
安全デバイスとは、乗員、車両または他の交通関与者を損害から守るために構成された、車両のデバイスであると理解することができる。これに該当するのは、たとえばロールバー、アクティブエンジンフード、アクティブ車両シート、安全ベルトの弛みをなくす装置、エアバッグなどである。
【0010】
誘導式のアクチュエータとは、誘導式のアクチュエータを通って流れる活動化電流に対する応答として安全デバイスを活動化させ、始動させ、運動させ、または調整するために構成されたデバイスであると理解することができる。アクチュエータは、活動化電流に対する応答として、安全デバイスを活動化させるための磁界を生成するために構成されていてよい。すなわち、これは磁気式のアクチュエータであり得る。そしてこのような磁界が磁化可能な材料に対して力を及ぼし、これを受けて当該材料が磁界の中で動く。この運動がひいては保持装置のロック解除をもたらすことができ、それによって安全デバイスを始動させることができる。それは、たとえば安全デバイスそのものが機械的な応力のもとにあり、この応力に蓄えられているエネルギーが保持装置のロック解除によって解放されることによる。たとえば、アクチュエータはインダクタンスやコイルを有することができ、またはインダクタンスもしくはコイルとして製作されていてよい。
【0011】
フリーホイーリングダイオードとは、本件においては、フリーホイーリングダイオードが正しい極性である場合に、誘導式のアクチュエータにより誘導される電圧をフリーホイーリングダイオードを介して低減することができるように取り付けられたダイオードであると理解することができる。フリーホイーリングダイオードの極性が誤っている場合、誘導式のアクチュエータを始動させるための活動化電流が、アクチュエータを通って流れる代わりにフリーホイーリングダイオードを通って流れ、そのようにしてアクチュエータの始動を妨げることがある。したがって、フリーホイーリングダイオードの極性を、配線された状態または組み付けられた状態で、検査または認識できるようにすることが重要である。
【0012】
検査電流は、適当な電流源または電圧源を用いたうえで、フリーホイーリングダイオードの接続部に印加することができる。フリーホイーリングダイオードと誘導式のアクチュエータが1つのアクチュエータユニットを形成していれば、フリーホイーリングダイオードの接続部および誘導式のアクチュエータの接続部と接続されたアクチュエータユニットの接続部に、検査電流を印加することもできる。
【0013】
比較を実行するために、フリーホイーリングダイオードの接続部で生じている電圧を検出して、事前に定義された値を有することができる閾値電圧と比較することができる。閾値電圧は、フリーホイーリングダイオードのダイオード導通電圧よりも大きくなっていてよい。比較を実行するために適当な比較器、たとえばコンパレータを使用することができる。比較の結果に依存して、結果を表してフリーホイーリングダイオードの極性を示す比較信号を出力することができる。別案として、比較信号に対応する比較値を読み出すことができる。
【0014】
1つの実施例では、印加のステップで、誘導式のアクチュエータを始動させるための活動化電流の電流値よりも低い電流値を有する検査電流が印加される。このようにして、フリーホイーリングダイオードの極性を認識することができ、その一方で、誘導式のアクチュエータの誤作動を回避することができる。
【0015】
検査電流が印加されるステップは、誘導式のアクチュエータを制御するための制御デバイスの初期化段階中に実行することができる。その代替または追加として、検査電流が印加されるステップは、誘導式のアクチュエータを制御するための制御デバイスの通常動作モード中に実施することができる。このようにして、正しい極性または誤った極性すなわち反対の極性を、車両に組み込まれた適当な回路によって認識することができる。
【0016】
制御デバイスとは、誘導式のアクチュエータを用いた安全デバイスの活動化を制御するのに適したデバイスであると理解することができる。たとえば制御デバイスは集積回路として施工されていてよい。制御デバイスは、フリーホイーリングダイオードの極性を認識する方法の各ステップを実施または制御するために構成されたデバイスを含むことができる。
【0017】
印加のステップで、フリーホイーリングダイオードが誘導式のアクチュエータとの関連で、または誘導式のアクチュエータのコントロールデバイスとの関連で、正しい極性で配線されている場合にフリーホイーリングダイオードの陰極に相当する接続部に検査電流を印加することができる。このようなコントロールデバイスは、たとえば誘導式のアクチュエータおよびこれに伴ってフリーホイーリングダイオードを動作電圧電位と制御式に接続するためのスイッチを有することができる。たとえばアクチュエータを活動化させるために、誘導式のアクチュエータの第1の接続部を活動化電圧と接続するとともに、誘導式のアクチュエータの第2の接続部をアースと接続することができる。フリーホイーリングダイオードが正しく取り付けられており、それに伴って正しい極性になっているとき、フリーホイーリングダイオードの陰極は、誘導式のアクチュエータの第1の接続部と導電接続されていてよい。したがってフリーホイーリングダイオードは正しい極性のとき、誘導式のアクチュエータを活動化するための活動化電流に関して阻止方向につながれている。
【0018】
1つの実施形態において実行のステップで、比較の結果は、接続部で生じている電圧が閾値電圧よりも高いときに、フリーホイーリングダイオードが正しい極性で配線されていることを表すことができる。その追加または代替として、実行のステップにおいて比較の結果は、接続部で生じている電圧が閾値電圧よりも低いときに、フリーホイーリングダイオードが反対の極性で配線されていることを表すことができる。このようにして結果を観察することで、フリーホイーリングダイオードが正しい極性で組み付けられているか、反対の極性で組み付けられているかを簡単な仕方で認識することができる。
【0019】
実行のステップで、検査電流の印加中に、接続部で生じている電圧と閾値電圧との間で少なくとも1つの別の比較を実行することができる。それぞれの比較の結果の組み合わせが、フリーホイーリングダイオードの極性を表すことができる。たとえば2つ、3つ、またはそれ以上の比較を実行してそれらの結果を評価し、極性を認識することができる。それにより、誤った結果に基づいて極性が逆に表示されるのを回避することができる。複数の結果を得るために、複数の比較を時間的に相前後して実行することができ、連続する比較プロセスの結果として生じる比較信号をそれぞれ異なる時点で走査することができ、または、連続する比較プロセスから得られた比較値をそれぞれ異なる時間に読み出すことができる。印加のステップおよび実行のステップを複数回繰り返して実行して、複数の結果を得ることもできる。たとえば、所定数の連続する同じ結果が得られるまで、結果を生起することができる。
【0020】
本方法は、データバスへのインターフェースを介して診断信号を受信するステップを含むことができる。このとき検査電流を印加するステップは、診断信号の受信に対する応答として実行することができる。データバスは、たとえば車両で使用されるようなシリアルデータバスであってよい。診断信号は、たとえば誘導式のアクチュエータを制御するための制御デバイスから出力することができる。
【0021】
車両のための安全デバイスのための誘導式のアクチュエータと並列につながれたフリーホイーリングダイオードの極性を検査する装置は、次の各構成要素を有している:
【0022】
フリーホイーリングダイオードの接続部に検査電流を印加するデバイス;および、
【0023】
検査電流の印加中に、接続部で生じている電圧と閾値電圧との間で比較を実行するデバイス。比較の結果がフリーホイーリングダイオードの極性を表す。
【0024】
フリーホイーリングダイオードの極性を検査する装置は、フリーホイーリングダイオードの極性を検査する上記の方法の各ステップを相応の装置で実施ないし具体化するために構成されている。装置の形態における本発明のこの実施態様によっても、本発明に課された課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0025】
装置とは本件においては、信号を処理し、それに依存して制御信号および/またはデータ信号を出力する電気機器であると理解することができる。装置はハードウェアおよび/またはソフトウェアとして構成されていてよいインターフェースを有することができる。ハードウェアとしての構成では、インターフェースはたとえば装置の種々の機能を含むいわゆるシステムASICの一部であってよい。しかしながら、インターフェースが独自の集積回路であるか、または少なくとも部分的に離散したデバイスから成り立っていることも可能である。ソフトウェアとしての構成では、インターフェースは、たとえばマイクロコントローラに他のソフトウェアモジュールと並んで存在するソフトウェアモジュールであってよい。
【0026】
アクチュエータ回路は次の各構成要件を有している:
【0027】
安全デバイスを活動化させるための誘導式のアクチュエータ;
【0028】
第1の接続部および第2の接続部を有するフリーホイーリングダイオード。フリーホイーリングダイオードは第1および第2の接続部を介して誘導式のアクチュエータと並列に配線されている;および、
【0029】
フリーホイーリングダイオードの極性を検査する前記装置。検査電流を印加する前記デバイスは、検査電流をフリーホイーリングダイオードの第1の接続部に印加するために構成されており、比較を実行する前記デバイスは、第1の接続部で生じている電圧と閾値電圧との間で比較を実行するために構成されている。
【0030】
車両のための安全装置は次の各構成要件を有している:
【0031】
車両が衝突したときに車両の乗員を保護するための安全デバイス;および、
【0032】
前記アクチュエータ回路。アクチュエータ回路の誘導式のアクチュエータは安全デバイスと結合されている;および、
【0033】
誘導式のアクチュエータに活動化電流を提供するための制御デバイス。それにより、誘導式のアクチュエータおよびこれに伴って誘導式のアクチュエータと結合されている安全デバイスを車両の衝突時に活動化させることができる。
【0034】
誘導式のアクチュエータにより、たとえば衝突が起こる前、途中、または後に安全デバイスを活動化することができる。
【0035】
半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学メモリなどの機械式に読取可能な媒体に保存されていてよく、プログラムコードがコンピュータまたは装置で実行されたときに上に説明した各実施形態のいずれか1つに基づく方法を実施するために適用される、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も好ましい。このように、プログラムコードで定義される本方法の各ステップを、コンピュータまたは本装置の各デバイスによって具体化することができる。
【0036】
次に、添付の図面を参照しながら本発明について一例を詳しく説明する。図面は次のものを示している: