(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、共沸共溶媒を使用することなくポリアリールエーテルを作製することに関する。ポリアリールエーテル反応溶液中に共沸共溶媒がないことにより溶媒を回収する必要性が軽減される。さらに、ポリアリールエーテル反応溶液中に共沸共溶媒がないことにより、生成物の調製の前に共沸共溶媒又は他の溶媒からポリマー生成物を単離する必要なく膜及び被覆物の調製にこのような反応溶液を直接使用することが可能になる。任意の共沸共溶媒を使用せずに双極性非プロトン性溶媒を使用することによって、商業的に重要なポリアリールエーテルポリマーを含む、ポリアリールエーテルポリマーを作製することができることで、ポリマーの回収及び溶媒の回収のスキームをより経済的に魅力的なものにすることができる。これらの利点は、反応に使用される溶媒からポリマーを予め単離する必要なくポリアリールエーテル反応溶液から、膜、被覆物、又は他の構造体を直接形成することを含む生成スキームに適用することができる。共沸共溶媒を含有するポリマー溶液は、良質の膜の製造における問題、例えば、共沸共溶媒が水に不溶性のための問題を生じることが予測され得る。高品質の、高分子量のポリアリールエーテル膜を、共沸共溶媒に関連したこのような問題を回避することができる本発明の方法を用いて得られたポリアリールエーテル反応溶液を直接使用することにより作製することができる。
【0025】
本発明は、任意の順序及び/又は任意の組合せでの以下の態様/実施形態/特徴を包含する。
1.本発明は、少なくとも1種のポリアリールエーテルを作製する方法であって、極性非プロトン性溶媒(複数の場合もあり)を所望の温度に維持しながら、また共沸混合物形成共溶媒の非存在下において水を除去しながら、場合により、反応溶液に新しい極性非プロトン性溶媒を場合により反応中に反応溶液から除去された極性非プロトン性溶媒と実質的に等しい量にて添加しながら、極性非プロトン性溶媒(複数の場合もあり)及びポリアリールエーテル形成反応剤を含む反応溶液中においてポリアリールエーテル形成反応剤を反応させることを含み、極性非プロトン性溶媒はジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン又はそれらの任意の組合せである、方法に関する。
2.少なくとも1種のポリアリールエーテルを作製する方法であって、共沸混合物形成共溶媒の非存在下において水を除去しながら、場合により反応溶液に新しい極性非プロトン性溶媒を添加しながら、少なくとも1種の極性非プロトン性溶媒及びポリアリールエーテル形成反応剤を含む反応溶液中においてポリアリールエーテル形成反応剤を反応させることを含み、該極性非プロトン性溶媒がジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、又はそれらの任意の組合せである、方法。
3.少なくとも1種のポリアリールエーテルを作製する方法であって、共沸混合物形成共溶媒の非存在下において水を除去しながら、場合により反応溶液に新しい極性非プロトン性溶媒を添加しながら、少なくとも1種の極性非プロトン性溶媒及びポリアリールエーテル形成反応剤を含む反応溶液中においてポリアリールエーテル形成反応剤を反応させることを含み、該極性非プロトン性溶媒がジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、又はそれらの任意の組合せであり、該方法が、最終生成物が化学量論上不十分な反応剤を実質的にあまり含有せず、該反応が自己終結するように上記2つのポリアリールエーテル形成反応剤のうち化学量論上過剰量の1つを用いて行われる、方法。
4.除去された極性非プロトン性溶媒を補うための反応中の新しい極性非プロトン性溶媒の添加が、反応全体を通してその出発濃度の±10 %又はそれより良好な%(例えば、±1%)以内に該反応溶液中の溶媒の溶媒濃度を維持する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
5.上記反応中に、上記反応溶液から除去された任意の極性非プロトン性溶媒と実質的に等量の上記新しい極性非プロトン性溶媒を上記反応溶液に添加することを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
6.上記極性非プロトン性溶媒がジメチルアセトアミドである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
7.上記少なくとも1種のポリアリールエーテルがポリスルホンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
8.上記少なくとも1種のポリアリールエーテルがポリエーテルスルホンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
9.上記少なくとも1種のポリアリールエーテルがポリフェニルスルホンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
10.上記ポリアリールエーテル形成反応剤がジヒドロキシ芳香族化合物、ジハロ芳香族化合物、弱塩基、及び極性非プロトン性溶媒(複数の場合もあり)を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
11.上記ポリアリールエーテル形成反応剤が(i)ビスフェノールと(ii)ジハロベンゼノイドと(iii)アルカリ金属炭酸塩とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
12.上記ポリアリールエーテル形成反応剤が(i)化学量論上バランスが取れていない量のビスフェノール及びジハロベンゼノイドと(ii)アルカリ金属炭酸塩とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
13.上記反応が約5時間〜約70時間行われる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
14.上記反応が約22時間〜約30時間行われる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
15.上記反応により生成されたポリアリールエーテルは約40000〜約120000の重量平均分子量を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
16.上記反応により生成されたポリアリールエーテルは約60000〜約85000の重量平均分子量を有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
17.上記反応のポリアリールエーテル生成物を用いて膜を作製することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
18.上記反応のポリアリールエーテル生成物を用いて平坦なシート又は中空繊維を作製することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
19.スピナレットを通して加工された反応溶液をポンプで送り出された後に上記加工された反応溶液を直接紡績し、上記極性非プロトン性溶媒から上記反応のポリアリールエーテル生成物を予め単離することなく中空繊維を形成することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
20.スピナレットを通して上記加工された反応溶液をポンプで送り出された後に上記加工された反応溶液を直接紡績し、上記極性非プロトン性溶媒から上記反応のポリアリールエーテル生成物を予め単離することなく中空繊維を形成することを更に含み、上記ポリアリールエーテル生成物がポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、又はその任意の組合せである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
21.上記極性非プロトン性溶媒から上記反応のポリアリールエーテル生成物を予め単離することなく上記反応後の上記反応溶液により支持基体を用いて、又は用いずに被覆物を直接作製することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法。
22.任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の方法の生成物。
23.任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様に記載の生成物を含む透析器。
【0026】
本発明は、文及び/又は段落に記載のような上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組合せを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組合せは本発明の一部とみなされ、組合せ特徴に関しては限定されないことが意図される。
【0027】
本発明の方法の反応は、ポリアリールエーテル用の極性非プロトン性溶媒(複数の場合もあり)及びポリアリールエーテル形成反応剤を含む反応混合物を提供することができる。ポリアリールエーテル形成反応剤は、共沸混合物形成共溶媒の非存在下において副生成物の水を除去しながら反応させることができる。水の除去は、例えば、蒸留、真空、不活性ガスを用いての掃引、蒸発、パーベーパレーション又は他の技法であるが、それらに限定されない任意の技法によりなされ得る。極性非プロトン性溶媒は、例えば、100℃を超える温度にて沸騰する、ポリアリールエーテル反応物中の極性非プロトン性溶媒であってよい。極性非プロトン性溶媒がジメチルアセトアミド(b.p.:165℃)である場合、例えば、反応温度を、沸点より低く、又は沸点を超えて維持することができる。副生成物の水及び極性非プロトン性溶媒として反応中に生成された分の蒸留物(又は極性非プロトン性溶媒とともに除去された水)は、場合により例えば、反応中に実質的に等しい量の新しい極性非プロトン性溶媒で補充することができる。極性非プロトン性溶媒の補充量は、極性非プロトン性溶媒の量を、例えば、反応物に存在する極性非プロトン性溶媒のvol%、すなわち濃度に対して、反応過程全体を通してその元々の量の±10 %以内、又は±5 %以内、又は±2.5 %以内、又は±1%以内に維持することができる。
【0028】
一選択肢として、又は代替として、又は追加して、極性非プロトン性溶媒を補充しない。一選択肢として、過剰の極性非プロトン性溶媒を含むことで反応中に極性非プロトン性溶媒のいくらかの損失を補償することができる。例えば、1重量%以上、例えば、2重量%超、5重量%超、10重量%超、15重量%超、又は20重量%超の過剰量の極性非プロトン性溶媒を含めることで、反応中の水の除去時の極性非プロトン性溶媒のいくらかの損失を補償することができる。
【0029】
ポリアリールエーテル形成反応剤を作製する方法には、例えば、ビスフェノール及びジハロベンゼノイドとアルカリ金属炭酸塩とを極性非プロトン性溶媒中で反応させ、得られた反応溶液を、ポリアリールエーテル反応において共沸混合物形成共溶媒(例えば、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等)の非存在下にて反応の副生成物の水を蒸留させることができる温度に加熱することを含むことができる。上記に示したように、反応溶液が、共沸共溶媒を100 %非含有であってよく、又は含み得る共沸型共溶媒の任意の量が反応溶液中に生じる共沸混合物の形成を検出可能にするものではなく、それゆえ、共沸混合物形成共溶媒はいずれかの場合においても非存在となる。例えば、反応溶液中の共沸型共溶媒の不純物質濃度又は他の取るに足らない量(例えば、1重量%未満、又は約25 ppm未満、又は約5 ppm未満、又は約1 ppm未満)は、反応溶液系の水及び極性非プロトン性溶媒を含む共沸混合物の形成を検出可能にするものではない共沸型溶媒の量であり得る。反応により生成された蒸留物は、例えば、主に反応の副生成物の水であり得る。蒸留物はまた、極性非プロトン性溶媒を含有することができる。上記に示したように、反応中に反応溶液から分離した蒸留物(例えば、総水分量、溶媒、又は他の蒸留成分)の量は、反応過程全体を通して実質的に等しい量の新しい極性非プロトン性溶媒で補うことができる。この新しい溶媒の補充は、反応中の実質的に同じ濃度の極性非プロトン性溶媒を維持することができる。
【0030】
本発明の方法を使用し、ポリアリールエーテルを作製することができる。第1の工程は、原材料を全て好適な反応容器に入れ、反応混合物を形成することを含むことができる。本方法は、例えば、バッチ式反応器において行われることができる。典型的な反応容器は、実験規模の容量、又は商業的容量、例えば、最大20000ガロン以上の容量を有することができる。ポリアリールエーテルの工業規模の生成に使用される従来の反応容器のいずれかを使用することができる。例えば、標準的なガラス内張り反応容器が好適であり得る。また、温度制御器を用いて温度を制御することができる油槽に配置することができる、真空気密接合による撹拌装置が備え付けられた、実験又は作業台規模の筒状の反応フラスコが有用である。反応器の内部の大気が実質的に酸素を含有しないようにするため最初に反応器を窒素又は他の不活性ガスを用いてパージすることができる。本明細書において、実質的に酸素非含有大気は、約200 ppm未満を含有するもの、又は約50 ppm未満を含有するもの、又は約20 ppm未満を含有するものであってよい。
【0031】
反応器に注入される最初の反応溶液は、ジヒドロキシ芳香族化合物(複数の場合もあり)、ジハロ芳香族化合物(複数の場合もあり)、弱塩基(複数の場合もあり)、及び極性非プロトン性溶媒(複数の場合もあり)を含有することができる。より具体的な反応混合物は、ビスフェノール、ジハロベンゼノイド、アルカリ金属炭酸塩、及びジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジフェニルスルホン(DPS)、又はそれらの任意の組合せである極性非プロトン性溶媒を含むことができる。実質的に等モル量(例えば、約1.1:0.9 mol/mol〜約0.9:1.1 mol/mol)、又はそれらの他のモル比のビスフェノール及びジハロベンゼノイドを使用することができる。1.0未満〜1.0のビスフェノールとジハロベンゼノイドとの比を維持することにより、最終生成物中の未反応のビスフェノールの量を大幅に低下させることができる。これらの成分を限定されることなく任意の順において反応容器に注入することができる。液状の極性非プロトン性溶媒の導入は最初、反応器への注入中に他の添加される成分の撹拌を容易にする目的等に事実上有用であり得る。原材料の注入後、反応器を好適な不活性ガス、例えば、窒素を用いて1回又は複数回再度パージすることができ、反応器中の大気がこれまでに定義されているように実質的酸素非含有にするため、窒素ガス又は他の不活性ガス流を、反応中に反応溶液を通して気泡通気させることができる。
【0032】
次いで、液状の反応溶液を、反応溶液が加熱され、蒸気が形成されるのに十分な温度に加熱することができる。ポリアリールエーテルの形成は加熱された反応溶液中で生じることができ、蒸気は塔頂蒸気流として反応容器から除去することができる。例えば、加熱された反応溶液の温度は約100℃〜約250℃及び極性非プロトン溶媒の沸点より高く又はそれより低くてよい。例えば、塔頂蒸気流の温度は最初の約100℃から反応が完了に近づくにつれて約200℃までの範囲となり得る。反応溶液を所望のポリアリールエーテルを形成するのに高温の温度範囲内で十分な時間維持することができる。例えば、反応の時間は約5時間〜約70時間、又は約25時間〜約50時間、又は約28時間〜約40時間、又は約22時間、又は約30時間にて行うことができる。反応の時間を、所望の分子量のポリマー生成物が得られるよう制御することができる。この時間は、例えば、反応溶液に使用される、特定のポリアリールエーテル形成反応剤、極性非プロトン性溶媒、及び反応温度に応じて変化させることができる。副生成物として形成される本質的に全ての水を反応混合物から除去することができる(例えば、全ての水の98 wt%〜100 wt%が除去される)。この反応時間中に、新しい極性非プロトン性溶媒を反応器に添加し、一定の濃度を維持することができる。例えば、新しい極性非プロトン性溶媒をこの系から除去された蒸留物の量と実質的に同じ量にて添加することができる。新しい極性非プロトン性溶媒の量を蒸留物で失われた溶媒の量分補充し、蒸留物として系から分離された水分量を補償する。溶媒の補充は継続して、又は周期的に行うことができる。蒸気流中に取り出された極性非プロトン性溶媒を水から分離することができ、反応容器に再循環させることが可能である。新しい又は加工された極性非プロトン性溶媒の添加も用いることができる。ポリアリールエーテル生成物の所望の分子量が得られると、極性非プロトン性溶媒に溶解させた、有機塩化物、例えば、塩化メチル又は有機酸、例えば、氷酢酸の添加により反応を停止することができる。ビスフェノール又はジハロベンゼノイドのいずれか一方を化学量論上過剰量にて使用する場合、反応は任意の試薬を添加することなく自然に停止する。反応溶液を撹拌し、反応器の内容物をホモジナイズすることができ、次いで、濾過し副生成物を除去した後、反応溶液中の極性非プロトン性溶媒からポリマー生成物を単離する必要なく、膜、被覆物等を作製する方法に従い、加工することができる。上記に示したように、アルカリ金属ハロゲン化物が副生成物として反応中に生成される。これを、例えば、反応器の内容物からアルカリ金属ハロゲン化物を濾去することにより除去することができる。KClの濾去を、例えば、窒素圧下において焼結型金属フィルターディスク(例えば、およそ2.0ミクロン)により反応器の内容物を濾過することにより行い、膜製造に好適なポリマー溶液を得ることができる。
【0033】
ポリアリールエーテル形成反応剤として使用することができるジヒドロキシ芳香族化合物は、単一の種類のジヒドロキシ芳香族材料、例えば、ビスフェノールA、ハイドロキノン、又は異なるジヒドロキシ芳香族化合物の組合せであってよい。ジヒドロキシ芳香族化合物は、ベンゼン核が一緒に融合された、又は原子価結合若しくは結合基、例えば、アルキレン又はアルキリデン(例えば、イソプロピリデン)により結合した単核、二核又は多核芳香族化合物であってよい。ビスフェノールは、例えば、式:
【化1】
(式中、Yは、直接結合、酸素、硫黄、-SO
2-、-CO-又は二価の炭化水素ラジカルである)のハイドロキノン及びビスフェノールであってよい。ビスフェノールは、例えば、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。このようなジヒドロキシ芳香族化合物の例は、特許文献1、米国特許第4108837号、特許文献2及び米国特許第5144001号に見られ、それら全てを引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。ジヒドロキシ二核芳香族化合物、例えば、ビスフェノールA又はビフェノールは、ポリアリーレンポリエーテルを作製するのに好ましいとされることができ、高いガラス転移温度を有する。他の好適なジヒドロキシ芳香族化合物は、例えば、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールS、種々のジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、並びに上記化合物にアルキル、アリール、及びハロ置換した変形体を含む。
【0034】
ポリアリールエーテル形成反応剤として使用することができるジハロ芳香族化合物は、単一の種類のジハロ芳香族材料、例えば、4,4'-ジクロロジフェニルスルホン、又はジハロ芳香族材料の組合せであってよい。ジハロ芳香族化合物は式:
【化2】
(式中、X及びX'は同じ又は異なっていてもよく、ハロゲン原子でありQ基及びQ'基に対しオルト又はパラであり、Q及びQ'は同じ又は異なっていてもよく、-CO-又は-SO
2-であり、Arは二価の芳香族ラジカルであり、nは0、1、2又は3である)を有し得る。芳香族ラジカルArは、フェニレン、ビフェニリレン又はテルフェニリレン、及びジフェニルエーテルから選択される二価の芳香族ラジカルであってよい。ジハロ芳香族化合物には、例えば4,4'-ビス-(4-ハロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'-ビス-(4-ハロベンゾイル)ジフェニルエーテル及びジハライドが含まれ得る。ジハロ芳香族化合物の例としては、4,4'-ジクロロジフェニルスルホン、4,4'-ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ジフルオロベンゾフェノン、ビス-4,4'-(4-クロロフェニルスルホニル)ビフェニル、1,4-ビス-(4-クロロベンゾイル)ベンゼン、4,4'-ビス-(4-クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、ビス-4'-(4-クロロフェニルスルホニル)ビフェニルスルホン、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。ジハロ芳香族化合物の混合物を用いて、コポリマーを生成してもよい。用いることができる混合物の例としては、4,4'-ジクロロベンゾフェノン又はビス-4'-(4-クロロフェニルスルホニル)ビフェニルを含む4,4'-ジクロロジフェニルスルホンが挙げられる。ジハロ芳香族化合物は、ジクロロ架橋型二核化合物、例えば、4,4'-ジクロロジフェニルスルホン又は4,4'-ジクロロジフェニルケトンであってよい。他の好適なジハロ芳香族化合物は、特許文献1、米国特許第4400499号、特許文献2、及び米国特許第5144001号に記載されており、それら全てを引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0035】
弱塩基を乾燥粉末又は他の固体粒子状物質として反応溶液に導入することができる。弱塩基は、アルカリ金属炭酸塩であってよい。弱塩基の例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。本明細書において使用される「弱塩基」という用語は、強塩基、例えば、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムに比べ相対的に弱い塩基を指すことを意図する。
【0036】
本発明において使用される極性非プロトン性溶媒は、本出願のポリアリールエーテルスルホンの製造に好適な硫黄含有及び窒素含有溶媒を含む。上記に示したように、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、又はそれらの任意の組合せであってよい。所望の場合、上記の溶媒の混和物を使用することができる。
【0037】
反応器に注入されるポリアリールエーテル形成反応剤及び溶媒の相対量は、ポリマー生成物の最適な収量を得るよう変化させることができる。さらに、重合度(Dp)、すなわち反応中に形成されるポリアリーレンポリエーテルの分子量を制御するために出発材料の比を変化させる。生成されたポリアリールエーテルは、約40000〜約120000、又は約60000〜約85000、又は約62500〜約80000、又は約65000〜約75000、又は約67500〜約72500、又は他の分子量の重量平均分子量を有し得る。
【0038】
本発明の方法により作製され得るポリアリールエーテルポリマーは、例えば、スルホンポリマーであってよい。スルホンポリマーは、サブユニットであるアリール-S(=O)
2-アリールを含み、アリール基は独立して、例えば、フェニル、ジフェニル、及び類似の芳香族ラジカルであってよい。スルホンポリマーは、例えば、以下の式Iのジフェニルスルホン基を含むことができる:
【化3】
【0039】
本発明の方法により生成されたスルホンポリマーは、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、又はそれらの任意の組合せであってよい。
【0040】
ポリスルホンは以下の式IIの繰り返し単位を有し得る:
[-O-φ-O-φ-S(=O)2-φ-]n
(式中、φ基は、フェニル、ジフェニル、ジフェニルアルキル、及び類似の芳香族ラジカルであってよく、「n」は、正の整数であってよい)。式(II)のポリスルホンは、例えば、以下の式II(a)の繰り返し単位を有し得る:
【化4】
【0041】
ポリエーテルスルホンは、以下の式IIIの以下の繰り返し単位を有することができ、「m」は正の整数であってよい:
【化5】
【0042】
ポリスルホンは、例えば、式IIのみ、式IIIのみ、又はその両方(すなわち、それらのコポリマー)の単位により構成され得る。これらの式II及び式IIIのフェニル基は、独立して、置換されていなくても又は置換されていてもよい。置換されている場合、フェニル基は、例えば、水素、C
1〜C
6アルキル、又はC
4〜C
8シクロアルキルから独立して選択される1個〜4個の置換基を有し得る。ポリスルホンは本発明の特定の一実施形態の化合物のフェニル基に置換基を含まない。式II又は式IIIの単位を含むホモポリマー、又は両方の繰り返し単位を含むコポリマーにおいて、n、m、又はその両方は、ポリアリールエーテル生成物の上記の重量平均分子量のいずれかを有するポリマーを得るよう選択することができる。これらのポリスルホンを個別に又は混和物として使用することができる。
【0043】
本発明により提供され得る他のポリアリールスルホンポリマーは、例えば、式Iの単位と以下の式IV及び式Vの少なくとも1つの単位とを含む:
【化6】
【化7】
(式中、単位I、IV及び/又はVをエーテル結合(-O-結合)により互いに結合させることができ、これらの式のフェニル基は、独立して置換されていなくても又は上記の置換基で置換されていてもよい)。一選択肢として、ポリアリールスルホンは、フェニル基に置換基を含まない。式Iの単位と、式IV及び式Vの少なくとも1つの単位とを含むポリマーは、ランダム型又は定序型であってよい。
【0044】
いくつかの膜製造者において、ポリスルホンの環状二量体、例えば式I、II及び/又はIIIの2つの単位の環状二量体のレベルの制御は、加工効率及び繊維品質において重要となり得る。あまりに多量の環状二量体は、濾過された紡績液が濁るか、若しくは白色の固体材料が加工フィルターに詰まるか、又はその両方を生じ得る。ポリアリールエーテル、例えば、本発明の方法により作製された、スルホンを含有する上記のポリマーは、少量の環状二量体、例えば、約1.5重量%未満の環状二量体を含有することができる。さらに、劣化した場合であっても、本発明の方法の反応溶液は、析出量が仮にあったとしても少量であることから、透明なまま又は本質的に透明なままであり得る。上記に示したように、反応生成物中のKCl副生成物の濃度を、例えば、濾過により制御することも有用であり得る。
【0045】
膜を作製する前、反応溶液に濾過を行うことができる。膜を本発明の反応溶液を用いて作製することができる。膜は、例えば、平坦なシート又は中空繊維であってよい。膜を、例えば、透析膜、限外濾過膜、及び精密濾過膜に使用することができる。透析膜は、例えば、血液透析膜であってよい。半透過性膜の濾過は多くの場合、精密濾過及び限外濾過が最も一般的に実施される技法となるタンパク質の精製に用いられる。精密濾過は、概して直径0.1 μmより大きい懸濁固体及びコロイドを除去する低圧膜濾過法として定義することができる。このような方法を使用して、顕微鏡により見ることができる粒子又は微生物、例えば、細胞、マクロファージ、及び細胞断片を分離することができる。限外濾過膜は、約500ダルトン〜約1000000ダルトンの範囲の分子量を有するマクロ分子を保持することができる孔径を特徴とする。限外濾過は、約0.01 μm〜0.1 μmの範囲の溶質を分離する低圧膜濾過法である。限外濾過を、タンパク質を濃縮し、溶液から細菌及びウイルスを除去するために使用することができる。限外濾過はまた、精製処理、例えば、水精製に使用することができる。透析膜は、生体適合性材料、例えば、本明細書に示すポリアリールエーテルポリマー材料を含む限外濾過膜であってよい。膜が中空繊維であるとき、中空繊維は微孔性であってよく、約100 psi〜約2000 psi以上の圧の負荷に崩壊することなく耐えることができる。本発明の方法により作製されたポリアリールエーテル生成物を使用して、表面にポリマーシート及び被覆物を形成することもできる。本明細書において使用される、「シート」は、単一の自己支持型物品であってよく、一方、被覆物は基体表面に付着する。
【0046】
透析、例えば、血液透析に使用することができる本発明の中空繊維は、例えば、生体適合性、高透水率、急激な分離特性、関与する圧に抵抗するのに十分な機械的強度、及び優れた安定性の1つ又は複数を含む所望の性質を有し得る。これらの特性を有する中空繊維は、本発明の方法の反応溶液のポリアリールエーテルポリマーを用いて直接作製することができる。反応溶液を用いて中空繊維を直接作製する方法としては紡績法が挙げられる。紡績法は、例えば、湿式紡績法、又は乾式紡績法であってよい。
【0047】
湿式紡績中空繊維において、例えば、ポリマー繊維形成物質を溶媒に予め溶解させ、又は溶解させ、成形溶液を得て、この成形溶液を、外部リングダクト及び中空孔を有し、析出溶液も同時に供給されるスピナレットのリングダクトに通して紡績することができ、この溶液を空隙によってスピナレットから分離した水性槽に流し込み、そこで繊維成分を析出させる。溶媒の実質的な部分を溶解させ、形成した繊維から洗い流すことができ、繊維を回収し、乾燥させ、所望の長さに切断することができる。乾式紡績において、希釈又は化学反応によりポリマーを析出させる代わりに、空気又は不活性ガス流中において溶媒を蒸発させることにより固化を達成することができる。
【0048】
湿式紡績において、成形溶液中の紡績溶媒は、ポリアリールエーテルポリマーを合成する極性非プロトン性溶媒であってよい。代替として、及び本発明の目的に概して必要とされないが、反応のポリアリールエーテルポリマー生成物を反応溶媒から単離し、湿式紡績のための新しい溶媒に再溶解させることができる。湿式紡績において反応溶液の溶媒に直接使用される場合、又は代替として反応溶媒から単離し、新しい溶媒に再溶解させる場合、ポリアリールエーテルポリマーは、成形溶液として使用される溶媒中の好ましい濃度範囲を有し得る。例えば、溶媒中の繊維形成ポリマー含量があまりに少量である場合において、形成される中空繊維は、更なる加工を取り行うのに十分な強度ではない可能性がある。一方、溶液中の繊維形成ポリマーの濃度が過剰である場合、紡績された繊維が過度に緊密となる可能性があり、水硬性があまり十分でなくなり得る。ポリアリールエーテルポリマーは、成形溶液中に、例えば、約12重量%〜約20重量%、若しくは約13重量%〜約19重量%、若しくは約14重量%〜約18重量%の濃度、又は他の濃度において、極性非プロトン性溶媒に含まれることができる。
【0049】
成形溶液はまた、本発明の上記の方法により作製されたポリアリールエーテルポリマー以外の少なくとも1種のポリマーを含むことができる。様々なポリマーが、含まれる場合、例えば、親水性の第2のポリマーであってよく、例えば、これは、孔形成に作用し、例えば、容易に湿潤可能な又は他の利点を繊維にもたらし、この時、主に疎水性繊維形成ポリアリールエーテルポリマーが析出又は凝集する。任意選択の親水性の第2のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を成形溶液の約2重量%〜約15重量%、又は約2.5重量%〜約10重量%の量であり、成形溶液の組成物の粘度限界に適応可能な量にて使用することができる。親水性の第2のポリマーは、例えば、長鎖ポリマーであってよく、これは繰り返しの固有の親水性を有するポリマー単位を含有する。このような親水性の第2のポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)であってよい。PVPを、例えば、N-ビニル-2-ピロリドンの重合により生成することができ、重合度は重合法の選択に左右される。例えば、約10000〜約150万(例えば、100000〜100万)の重量平均分子量のPVP生成物を生成又は商業的に得ることができ、これを本発明のために使用することができる。これらの形態のPVPは、例えば、K-30〜K-90(例えば、K-30、K-60、K-90等)又はそれらの混合物としてInternational Specialty Products, Wayne, NJから商業的に得ることができる。使用することができる他の親水性の第2のポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリグリコールモノエステル、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーであってよく、上記ポリマーは、ニュージャージー州マウントオリーブのBASF製のPLURONIC(商標)F68、F88、F108及びF127として市販されている。
【0050】
繊維形成ポリアリールエーテルポリマー、及びいずれかの任意選択の第2の親水性ポリマー(複数の場合もあり)、及び溶媒を含有する成形溶液は、例えば、約500 cps〜10000 cpsそれ以上及びより詳細には約40℃にて1500 cps〜5000 cps(センチポアズ)の粘度を有し得る。これらの粘度値を標準的な回転式粘度測定装置、例えば、Haake VT-550又はBrookfield HADV-II + Pro装置を用いて測定することができる。繊維形成ポリアリールエーテルポリマー及びいずれかの任意選択の他のポリマー及び溶媒、繊維形成ポリマー及びいずれかの任意選択の第2の親水性ポリマーを含有する成形溶液は、非溶解粒子が存在する場合、濾過することにより非含有とすることができ、次いで、押出し型又は湿式紡績型スピナレットに供給することができる。
【0051】
本発明の中空繊維を紡績するために使用することができる湿式紡績型スピナレットは、例えば、米国特許第3691068号、同第4906375号、及び同第4051300号に示される種類のものであってよく、それら全てを引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。繊維形成ポリアリールエーテルポリマー及びいずれかの任意選択の第2の親水性ポリマー及び溶媒を含有する上記の成形溶液を、同心管を有する環状の押出し型スピナレットにポンプにより送り込むことができる。例えば、水膜の紡績寸法として、外径オリフィスは約0.3 mm〜0.5 mmであってよく、内径は約0.2 mm〜約0.4 mm又は他の好適な大きさであってよい。成形溶液(又はポリマー溶液)を、同時に析出溶液とともにスピナレットに供給し、紡績組成物を形成させることができる。析出溶液は、水、他の好適な希釈剤、又はそれらの組合せを含むことができる。析出溶液は、例えば、70重量%〜30重量%の水と約30重量%〜約70重量%の有機溶媒、例えば、極性非プロトン性溶媒、例えば、本明細書に示された種類の少なくとも1種、又は他の好適な有機溶媒との混合物であってよい。
【0052】
スピナレット又はノズルは、例えば、中空繊維の所望の外径に等しい、又は近似の直径を有するリングダクトを有することができる。スピナレットの中空コアは典型的にこのダクトに同軸上又はこのダクトを通して突出させることができ、このダクトを通して析出溶液を供給すると同時に成形溶液をリングダクトの中空コアの外表面とインナーボアとの間に供給する。これに関し、中空コアの外径は概ね中空繊維の所望の内径、すなわち、そのルーメン径に等しい又は近似であってよい。析出溶液は、以下に更に記載するが、この中空コアを通してポンプにより送り出すことができ、そうして析出溶液がコアの先端から出現し、押し出された成形溶液から作製される中空繊維の構成物と接触する。析出溶液は水のみ、又は水と有機溶媒、例えば、極性非プロトン性溶媒又は他の好適な有機及び/又は無機溶媒(複数の場合もあり)との組合せを含むことができる。析出溶液は成形溶液(ポリマー溶液)中に繊維構成ポリマーの析出を開始させることができる。極性非プロトン性溶媒又はその混合物は、析出溶液で使用される場合、繊維形成ポリマーを含有する成形溶液に含まれ、又は使用される極性非プロトン性溶媒(複数の場合もあり)と同じ又は異なる種類であってよい。析出溶液は、所望の程度に析出可能にするように無機溶媒、例えば、水を少なくとも約10重量%の量にて含有することができる。これに関し、析出溶液と、ポリマーを含有する成形溶液の溶媒とを、中空繊維の内部面からの距離をより大きく、極性非プロトン性溶媒の水分量がより少なくなるように混合することができる。繊維自体は、洗浄槽溶液を繊維に塗布する前に好ましく完全に析出するため、析出液に含まれる上記の最小の水分量を塗布することができる。析出溶液中の無機溶媒の含量があまりに少ない、例えば、約25重量%未満の濃度の場合、大きな孔を有する膜を生成することができ、これは、例えば血漿フィルターとしてだけに使用するときに、赤血球等の血液の比較的大きな画分を保持することができる。析出溶液は少なくとも約30重量%の水分量を含有できることが好ましい。
【0053】
スピナレット中の成形溶液に供給される析出溶液の量又は比は、例えば、湿式紡績型スピナレットの寸法、すなわち、完成品の中空繊維の寸法に左右され得る。これに関して、析出時の繊維の寸法が析出前であるが押出し後の中空繊維構成物の寸法と変わらないことが望ましい。析出溶液と成形溶液との使用される容量の比は、中空繊維の面積比、すなわち、ポリマー物質により形成されたリング面積及び繊維ルーメンの面積に対する析出溶液及び成形溶液の等速排出速度を考えると、例えば1:0.5〜1:2の範囲であってよい。押出され、まだ析出されていない構成物の内径又はルーメン径が、材料を押出すリングスピナレットの寸法に概ね対応するように、押出される構成物にスピナレットのすぐ上流で析出溶液を供給することができる。例えば、中空繊維の外径が約0.1 mm〜約0.5 mmに等しいことが有用であり得るが、膜厚が約10 μm〜100 μm、又は約15 μm〜50 μmであってよい。析出溶液が湿式紡績型スピナレットから生じた後のポリマー溶液に外側方向に作用することにより、中空繊維又は毛細状膜を形成することができる。析出が概ね完成させることができた後、洗浄槽の表面に中空繊維に含まれる有機液が溶出し、最終的に繊維構造が固定されていれば、中空繊維が得られる。析出が生じると、第1の工程は、繊維様構造の内部面を凝集させることができ、そうして30000ダルトン〜60000ダルトン(又はその間の任意の大きさの範囲)より大きい分子のバリアの形態の緊密な微細孔状層を形成することができる。このバリアからの距離の増加とともに、析出溶液の紡績組成物内に含有された溶媒による希釈が増大し、そうして析出特性が外側方向にあまり強力ではなくなる。この結果は、粗い孔状の、スポンジ様構造が放射状の外側方向に形成され、放射状の内部膜の支持層として機能することができることとなり得る。
【0054】
析出が生じると、第2の親水性ポリマーのほとんどは、使用する場合、紡績組成物から溶出されるが、少量の成分(fraction)を、凝集した繊維に保持することができ、そこから抽出される可能性はない。第2のポリマーからの溶出は、孔の形成を促進することができる。多量の第2の親水性のポリマーが、使用される場合、紡績組成物から溶出し、残りを凝集繊維内に保持する場合、有用な効果が得られ得る。第2の親水性ポリマーを使用する場合、約60 %〜約95 %の第2のポリマーを紡績組成物から溶出することができ、そうして使用される第2のポリマーの約40重量%〜約5重量%のみをその中に残留させることができる。例えば、第2のポリマーがPVPである場合、添加されたPVPの約80 %〜約85 %、又は約83 %が洗い流される。元々使用された第2の親水性ポリマーの30重量%未満が繊維に残留する場合、繊維中の最終ポリマーは、約90重量%〜約99重量%、又は約95重量%〜約98重量%のポリアリールエーテルポリマーを含有することができ、残りは第2の親水性ポリマーとなり得る。
【0055】
上記に示したように、第2の親水性ポリマー(複数の場合もあり)、例えば、PVPを、使用する場合、析出操作中に紡績組成物から溶出させることができ、析出溶液中に溶出した状態で保持し、これが析出状態に影響を及ぼす可能性があるが、それは第2の親水性ポリマーの溶媒特性が析出溶液の全体の特徴に影響を及ぼし得るためである。第2の親水性ポリマーが、析出溶液の溶媒成分と合わせて使用される場合、析出反応の制御に関与する。ドラフト比は、例えば、約1.5〜2.5、又は約2.0等の値であってよい。一選択肢として、析出繊維のポンプ比は、スピナレットからの吸引速度より遅いものであってよく、これにより繊維の吸引を生じ、繊維径が小さくなる。この吸引又は引き込みを場合により使用し、繊維を形成することができる。
【0056】
更なる紡績パラメータは、洗浄槽の表面とスピナレットとの距離であるが、それはこのような距離を下側方向の動きの所与の速度、すなわち押出しの所与の速度にて析出時間に合わせて制御しているためである。しかし、析出の高さは限定されているが、それは繊維の重量が一定の限界を表すためであり、それを超えた場合、析出を生じない限り、それ自体の重量において繊維構造が破壊される。この距離は、繊維の粘性、重量及び析出速度に左右され得る。スピナレットと析出槽との間の距離は、例えば、約1メートル以下の距離に設定することができる。析出後、溶解した有機構成物質を洗浄するため、及び繊維の微細孔状構造を固定するために、凝集した繊維を通常水を含有する槽において洗浄することができ、その槽において最大約30分間、例えば、約10分〜20分間、中空繊維を維持する。その後、繊維を熱乾燥域に通過させることができる。生成された中空繊維は、外側の開孔支持層に隣接する内部面上に薄い放射状の内部バリア層を有し得る。例えば、紡績液に第2の親水性ポリマーを含む場合、製造された内部面繊維は、透析膜のための、例えば、約1ナノメートル〜約2ナノメートル等の孔径を有する微細孔状バリア層を含むことができる。限外濾過膜/精密濾過膜は孔径が大きくなり得る。この内部バリア層をその外側に隣接させて、気泡様支持構造体とすることができる。
【0057】
中空繊維の交換特性を改善するために中空繊維の質感を整えることができる。この後に、そのように生成された繊維を、例えば、ボビンに巻き、所望の長さに繊維を切断することにより従来のように取り扱うことができ、及び/又は切断された繊維から従来のように透析器の製造に使用することができる。
【0058】
ポリアリールエーテル生成物及び溶媒を含有する反応溶液を押出し、又は成形し、シート形態を形成することができる。本発明の反応溶液を使用して膜フィルム又はシートを成形するのに好適な方法及び装置としては、例えば、上記の米国特許第3691068号等に記載のものが挙げられる。ポリアリールエーテル生成物及び溶媒を含有する反応溶液はまた、基体表面に連続又は断続した被覆物又はフィルムとして適所に被覆し、固化させることができる(例えば、織布又は不織布)。
【0059】
生成されたときの膜の水透過性を、限外濾過係数(KUF)を決定することにより評価することができる。KUFは、膜を通した1 mm Hg圧勾配当たり1時間膜を通して移動する流体のミリリットル数として定義される。生成された中空繊維膜は、例えば、約30 ml/hr・mm Hg・m
2〜約600 ml/hr・mm Hg・m
2、又は約100 ml/hr・mm Hg・m
2〜約300 ml/hr・mm Hg・m
2、又は約150 ml/hr・mm Hg・m
2〜約250 ml/hr・mm Hg・m
2等の水透過性(KUF/面積)を有し得る。限外濾過係数を本明細書の実施例の章に記載の方法において決定することができる。
【0060】
本発明の中空繊維のナトリウムクリアランスは、例えば、約200〜約300、又は約250〜約275、又は約260〜約280、又は約265〜約275等の値であってよい。ナトリウムクリアランスを本明細書の実施例の章に記載の方法において決定することができる。
【0061】
さらに、本発明の中空繊維は、例えば、約3重量%〜約10重量%、又は約5重量%〜約9重量%、又は約6重量%〜約8重量%等の値の水吸収能又は水分取り込み能を有し得る。水吸収能を以下のようにして確かめることができる。水蒸気で飽和させた空気を、中空繊維を備え付けた透析器に、乾燥状態において室温(25℃)にて通過させる。これに関し、空気を加圧下において水槽に導入し、水蒸気で飽和した後、透析器に流入させる。定常状態に達するとすぐに、水吸収能の測定が可能となる。
【0062】
さらに、本発明の膜は、優れた分離境界を有し得る。篩係数は、例えば、ビタミンB
12において1.0、インスリンにおいて約0.99、ミオグロビンにおいて0.5及び0.6、及びヒトアルブミンにおいて0.005未満等の値として測定することができる。本発明を用いて生成された中空繊維が少なくとも一部において、分離特性(例えば、篩係数)において、天然の腎臓の機能に近似し得ることを認めることができる。
【0063】
本発明を、以下の実施例により更に明らかにするが、これは本発明の例示に過ぎないことが企図される。他に示されない限り、本明細書において使用される全ての量、百分率、比等は重量基準である。
【実施例】
【0064】
以下の実施例において、分子量、限外濾過係数、ナトリウムクリアランス、及び泡立点を以下のように決定した。
【0065】
分子量を、溶離剤として塩化メチレンを使用し、補正標準物質としてポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより決定した。紡績量の溶液粘度をHaake粘度計VT550において測定した。SEMの写真を日立TM-1000テーブルトップSEMから得た。中空繊維の機械特性を米国、MTS Systems Corporation製引張試験機において測定した。
【0066】
限外濾過係数(単位mL/hr/mm Hg)を、下部ポートを閉口した状態及び水を下部からルーメン側に平均圧152.6mm Hgにてポンプにより送り出した時に、上部透析物ポートを通り回収された濾液を測定することにより算出した。平均圧を流入口圧(3.85 psig)及び流出口圧(2.05 psig)から算出した平均を採用した。
【0067】
ナトリウムクリアランスを、154 mmol/Lの塩化ナトリウムを含有する水溶液をルーメン側に上部から下部に300mL/分の速度にて供給し、同時に純水を繊維の外側に両回路を再循環せずに下部から上部に500 mL/分の速度で供給することにより測定した。平衡後、ナトリウムを含有する回路の流入口及び流出口の両方からのサンプルを回収し、ナトリウムを炎光光度計によって測定し、ナトリウムクリアランスを得た。
【0068】
泡立点を、空気圧を繊維の外側に負荷し、同時にルーメン側に一定の流速にて水を供給することにより試験した。空気側において高圧を維持した場合、及び繊維又はポッティングに欠陥がある場合、空気を繊維のルーメン側を通り流動させることができ、透析器の上部末端キャップを通り出現することを認めることができた。15 psi〜23 psiの移動膜圧にて少なくとも3分間空気の漏出は観察されない場合、透析器は泡立点試験において合格と見なされた。
【0069】
実施例1:
反応ヘッドを備えた2 Lのツーピースのガラスシリンダー反応器を中央の首部の真空気密ベアリングにより塔頂高トルク撹拌機に備え付けた。粘性の高い溶液に好適なインペラを使用した。右首部をストッパーに取り付ける一方で、左首部を6インチの精留塔である、蒸気温度計及び続いて水冷却凝縮器が設けられたディーン−スタークトラップに取り付けた。前首部を熱電対温度計に取り付けた。反応器を、温度制御装置により温度を制御した3リットルの油槽に入れた。窒素流入口管を準備し、窒素は電気ヒーターにより加熱した。
【0070】
右首部のストッパーを長脚漏斗と置き換え、漏斗から251.60グラムのビスフェノール-A、316.48グラムの4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)及び161.46グラムの炭酸カリウム及び550グラムのDMACを反応器に入れた。ビスフェノール-AをBayer Material Scienceから入手し、DCDPSを英国、Vertellus Specialty Materialsから入手し、炭酸カリウムをArmandProducts Companyから入手した。注入が完了後、右首部を窒素流入口に取り付けた。反応器を3 Lの油槽に浸し、これを152℃に加熱されるよう設定した。この点にて、反応器の頭部を加熱マントルに設置し、ディーン−スタークトラップのアームを加熱テープで包み、凝集物が反応器に戻ることを最小限にした。
【0071】
電気ヒーターにより加熱した高純度の窒素の反応混合物への気泡通気を開始し、反応が終了するまで継続させた。反応温度を152℃に維持しながら、反応の副生成物である水が一部のDMACとともにディーン−スタークトラップに蒸留した。窒素流を調節し、1時間に約5ミリリットル〜20ミリリットルの蒸留物を得て、100℃を超える蒸気温度を維持した。トラップ中の蒸留物を系から除去し、カール−フィッシャー滴定により水を分析した。重合全体を通して同じ濃度を維持するため、蒸留物を1時間毎にトラップから除去すると、新しいDMACを、蒸留物が除去された同じ範囲まで反応器に添加した。全体に、重合過程の間、約200グラム〜300グラムの蒸留物を除去し、これには予想された水の約88 %〜92 %が含まれていた。同量の新しいDMACも反応の過程の間に反応器に添加した。反応溶液に対する塔頂撹拌機又はゲル浸透クロマトグラフィーのトルクは、反応中の分子量の増長を示した。重合において使用されるインペラの型に応じて、所望の分子量に達したのは20時間以上であった。所望の分子量に達すると、油槽を低くし、250グラムの氷冷DMACを添加し、反応温度を下げた。この後、20グラムのDMACに溶解させた5.0グラムの氷酢酸を添加し、重合を停止させた。まだ熱いうちに、次いで、反応器の内容物を4リットルの三角フラスコに注いだ。反応器に残存するポリマーを1131グラムのDMACを用いて反応器を完全に洗浄することにより回収し、洗浄物を三角フラスコに添加した。三角フラスコの内容物を塔頂撹拌によりホモジナイズした。反応の副生成物である塩化カリウムを、窒素圧下において2.0ミクロンの焼結金属フィルターディスクにより濾去し、約20.0 %が固体の透明なポリマー溶液を得た。最終GPC分析は、Mnが22757、Mwが76232及び環状二量体が1.01%を示した。膜用途に好適な市販のポリスルホンを試験し、Mnが22228、Mwが78121及び環状二量体が1.08%であった。
【0072】
実施例2:
1 Lのツーピースのガラス反応器を実施例1のように設定したが、精留塔は用いなかった。右首部を通り、長脚漏斗を使用して、160.12グラムのビスフェノール-A、201.41グラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン及び102.76グラムの炭酸カリウム及び350グラムのNMPを反応器に注入した。注入が完了後、右首部を窒素流入口に取り付けた。反応器を3 Lの油槽に浸し、これを190℃の加熱に設定した。この点にて、反応器の頭部を加熱マントルと、ディーン−スタークトラップのアームと、加熱テープとともに設置し、凝集物が反応器に戻ることを最小限にした。
【0073】
電気ヒーターにより加熱した高純度の窒素の反応混合物への気泡通気を開始し、反応が終了するまで継続させた。反応温度を190℃に維持しながら、反応の副生成物である水が一部のNMPとともにディーン−スタークトラップに蒸留した。窒素流を調節し、1時間に約5ミリリットル〜10ミリリットルの蒸留物を得て、100℃を超える蒸気温度を維持した。トラップ中の蒸留物を系から除去し、カール−フィッシャー滴定により水を分析した。重合全体を通して同じ濃度を維持するため、蒸留物を1時間毎にトラップから除去すると、新しいNMPを、蒸留物が除去された同じ範囲まで反応器に添加した。全体に、重合過程の間、約50グラムの蒸留物を除去し、これには予想された水の約88 %〜92 %が含まれていた。同量の新しいNMPも反応の過程の間に反応器に添加した。反応溶液に対する塔頂撹拌機又はゲル浸透クロマトグラフィーのトルクは、反応中の分子量の増長を示した。重合において使用されるインペラの型に応じて、所望の分子量に達したのは4.5時間以上であった。所望の分子量に達すると、油槽を低くし、200グラムの氷冷NMPを添加し、反応温度を下げた。この後、20グラムのDMACに溶解させた5.0グラムの氷酢酸を添加し、重合を停止させた。まだ熱いうちに、次いで、反応器の内容物を4リットルの三角フラスコに注いだ。反応器に残存するポリマーを667グラムのNMPを用いて反応器を完全に洗浄することにより回収し、洗浄物を三角フラスコに添加した。三角フラスコの内容物を塔頂撹拌によりホモジナイズした。反応の副生成物である塩化カリウムを、窒素圧下において2.0ミクロンの焼結金属フィルターディスクにより濾去し、約20.0 %が固体の透明なポリマー溶液を得た。最終GPC分析は、Mnが22593、Mwが76836及び環状二量体が1.01%を示した。膜用途に好適な市販のポリスルホンを試験し、Mnが22815、Mwが79759及び環状二量体が1.02%であった。
【0074】
実施例3:
1 Lのツーピースのガラス反応器を実施例1のように設定したが、精留塔は用いなかった。右首部を通り、長脚漏斗を使用して、167.22グラムのビスフェノール-S、194.75グラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン及び94.66グラムの炭酸カリウム及び350グラムのNMPを反応器に注入した。注入が完了後、右首部を窒素流入口に取り付けた。反応器を3 Lの油槽に浸し、これを190℃の加熱に設定した。この点にて、反応器の頭部を加熱マントルと、ディーン−スタークトラップのアームと、加熱テープとともに設置し、凝集物が反応器に戻ることを最小限にした。
【0075】
電気ヒーターにより加熱した高純度の窒素の反応混合物への気泡通気を開始し、反応が終了するまで継続させた。反応温度を190℃に維持しながら、反応の副生成物である水が一部のNMPとともにディーン−スタークトラップに蒸留した。窒素流を調節し、1時間に約5ミリリットル〜10ミリリットルの蒸留物を得て、100℃を超える蒸気温度を維持した。トラップ中の蒸留物を系から除去し、カール−フィッシャー滴定により水を分析した。重合全体を通して同じ濃度を維持するため、蒸留物を1時間毎にトラップから除去すると、新しいNMPを、蒸留物が除去された同じ範囲まで反応器に添加した。全体に、重合過程の間、約90グラムの蒸留物を除去し、これには予想された水の約88 %〜92 %が含まれていた。同量の新しいNMPも反応の過程の間に反応器に添加した。反応溶液に対する塔頂撹拌機又はゲル浸透クロマトグラフィーのトルクは、反応中の分子量の増長を示した。重合において使用されるインペラの型に応じて、所望の分子量に達したのは9.5時間以上であった。所望の分子量に達すると、油槽を低くし、200グラムの氷冷NMPを添加し、反応温度を下げた。この後、20グラムのDMACに溶解させた5.0グラムの氷酢酸を添加し、重合を停止させた。まだ熱いうちに、次いで、反応器の内容物を4リットルの三角フラスコに注いだ。反応器に残存するポリマーを692グラムのNMPを用いて反応器を完全に洗浄することにより回収し、洗浄物を三角フラスコに添加した。三角フラスコの内容物を塔頂撹拌によりホモジナイズした。反応の副生成物である塩化カリウムを、窒素圧下において2.0ミクロンの焼結金属フィルターディスクにより濾去し、約20.0 %が固体の透明なポリマー溶液を得た。本実施例で作製したポリエーテルスルホンポリマーの最終GPC分析は、Mnが20964及びMwが50989を示した。膜用途に好適な市販のポリエーテルスルホンを試験し、Mnが20652及びMwが52034であった。
【0076】
実施例4:
2 Lの反応器を実施例1のように設定したが、精留塔は用いなかった。右首部を通り、長脚漏斗を使用して、206.18グラムの4,4'-ビフェノール、317.96グラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン及び162.22グラムの炭酸カリウム及び500グラムのNMPを反応器に注入した。注入が完了後、右首部を窒素流入口に取り付けた。反応器を3 Lの油槽に浸し、これを190℃の加熱に設定した。この点にて、反応器の頭部を加熱マントルと、ディーン−スタークトラップのアームと、加熱テープとともに設置し、凝集物が反応器に戻ることを最小限にした。
【0077】
電気ヒーターにより加熱した高純度の窒素の反応混合物への気泡通気を開始し、反応が終了するまで継続させた。反応温度を190℃に維持しながら、反応の副生成物である水が一部のNMPとともにディーン−スタークトラップに蒸留した。窒素流を調節し、1時間に約10ミリリットル〜30ミリリットルの蒸留物を得て、100℃を超える蒸気温度を維持した。トラップ中の蒸留物を系から除去し、カール−フィッシャー滴定により水を分析した。重合全体を通して同じ濃度を維持するため、蒸留物を1時間毎にトラップから除去すると、新しいNMPを、蒸留物が除去された同じ範囲まで反応器に添加した。全体に、重合過程の間、約60グラム〜90グラムの蒸留物を除去し、これには予想された水の約88 %〜92 %が含まれていた。同量の新しいNMPも反応の過程の間に反応器に添加した。反応溶液に対する塔頂撹拌機又はゲル浸透クロマトグラフィーのトルクは、反応中の分子量の増長を示した。重合において使用されるインペラの型に応じて、所望の分子量に達したのは3.0時間以上であった。所望の分子量に達すると、油槽を低くし、400グラムの氷冷NMPを添加し、反応温度を下げた。この後、20グラムのDMACに溶解させた5.0グラムの氷酢酸を添加し、重合を停止させた。まだ熱いうちに、次いで、反応器の内容物を4リットルの三角フラスコに注いだ。反応器に残存するポリマーを854グラムのNMPを用いて反応器を完全に洗浄することにより回収し、洗浄物を三角フラスコに添加した。三角フラスコの内容物を塔頂撹拌によりホモジナイズした。反応の副生成物である塩化カリウムを、窒素圧下において2.0ミクロンの焼結金属フィルターディスクにより濾去し、約20.0 %が固体の透明なポリマー溶液を得た。最終GPC分析は、本実施例で作製したポリフェニルスルホンのMnが23856及びMwが54558を示した。膜用途に好適な市販のポリフェニルスルホンは、Mnが22581及びMwが53290を示した。
【0078】
実施例5:
約20.0 %のPSF濃度の実施例1由来の反応溶液を、窒素圧15 psi〜20 psiを用いて2.0ミクロンの焼結金属フィルターに通して濾過した。19.6 %の固体含量を含む、約3675グラムの透明な、濾過されたポリスルホン(PSF)のDMAC溶液を、1.8 %の水分を含有する189.3 g のPVP K-90が入った711.5 gのDMAC溶液と混合した。約15分間の塔頂撹拌により、40℃にて1900センチポアズの粘度の均質な溶液を得た。この紡績液を、多重管押出し型スピナレットの環状ギャップに供給し、同時に析出溶液を内部管に供給した。紡績液及びスピナレットの温度を40℃に維持した。析出溶液は、水とDMACとの混合物であった。スピナレットから出てくる繊維を水に浸し、水で完全に洗浄し、残留するDMACを除去した後、乾燥させた。こうして生成された中空繊維は、開孔スポンジ状支持層の上部に位置する内部面に薄いバリア層を有する。278 mm長の約10500の繊維を収束し、ポリカーボネートの筐体に挿入した。末端を、ポリウレタンを用いてポッティングし、透析器を得た。中空繊維及び透析器の多くの特性について試験し、結果を市販のポリスルホンペレット(比較例1)製の繊維及び透析器と比較した。この比較を表1に示す。結果は明らかに、同一の繊維及び透析器を、ペレットとして、又は粉末としてポリマーを単離する必要なく、紡績作業においてポリマー反応溶液を直接使用し作製することができることを実証する。
図1及び2は、比較例1及び実施例5から作製された繊維のSEM写真を示している。これらの写真は、両繊維が同一の性質のものであることを示す。
【0079】
実施例6:
約20.0 %のポリスルホン濃度の実施例2由来の反応溶液を、窒素圧15 psi〜20 psiを用いて2.0ミクロンの焼結金属フィルターに通して濾過した。20.0 %の固体含量を含む、約2211グラムの透明な、濾過されたポリスルホンのNMP溶液を、106グラムのK-90及び550 gのNMPの溶液と混合し、紡績液を得た。この溶液は、40℃では3190 cp及び60℃では1790 cpの溶液粘度を示した。この溶液を、水及びNMPの析出溶液を用いて実施例4のように中空繊維及び透析器に変換させた。この結果を表1に示す。
図3は、本実施例から作製された繊維のSEMの写真を示す。
【0080】
実施例7:
約20.0 %のポリエーテルスルホン濃度の実施例3由来の反応溶液を、窒素圧15 psi〜20 psiを用いて2.0ミクロンの焼結金属フィルターに通して濾過した。19.82 %の固体含量を含む、約3635 gの実施例3由来の透明な、濾過されたポリエーテルスルホン(PES)のNMP溶液を、90.0 gのPVP K-90、225.0 gのPVP K-30、90.0gのDI水及び461 gのNMPの溶液と混合し、紡績液を得た。この溶液は、35℃では3820 cpの溶液粘度を示した。この溶液を、水及びNMPの析出溶液を用いて実施例4に記載されているように中空繊維及び透析器に変換させた。この結果を表1に示す。
図4は、本実施例から作製された繊維のSEMの写真を示す。
【0081】
実施例8:
約20.0 %のポリフェニルスルホン(PPSF)濃度の実施例4由来の反応溶液を、窒素圧15 psi〜20psiを用いて2.0ミクロンの焼結金属フィルターに通して濾過した。20.13 %の固体含量を含む、約3657 gの実施例4由来の透明な、濾過されたポリフェニルスルホンのNMP溶液を、142.55 gのPVP K-90及び844.94gのNMPの溶液と混合し、紡績液を得た。この紡績液は、40℃では4200 cpの溶液粘度を示した。この溶液を、水及びNMPの析出溶液を用いて実施例4に記載されているように中空繊維及び透析器に変換させた。この結果を表1に示す。
図5は、本実施例から作製された繊維のSEMの写真を示す。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例9:
1リットルのツーピースのシリンダー反応器フラスコを、真空気密ベアリングにより塔頂高トルク撹拌機に備え付けた。右首部を窒素流入口管に取り付ける一方で左首部を6インチの精留塔である、ディーン−スタークトラップに取り付け、次に水冷却凝縮器を嵌合させた。前首部を熱電対温度計に取り付けた。反応器を3リットルの油槽に入れ、温度を温度制御装置により制御した。反応器に136.21グラムのビフェノール-A、171.33グラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)及び87.41グラムの炭酸カリウム及び350グラムのDMACを注入した。ビスフェノール-AをBayer Material Scienceから入手し、DCDPSを英国、Vertellus Specialty Materialsから入手し、炭酸カリウムをArmand Products Companyから入手した。窒素流入口をストッパーと置き換えた。ゆっくり撹拌するとともに、反応溶液を真空によって脱気し、窒素を3回再充填し、その後、ストッパーを除去し、窒素流入口管と置き換えた。ここで、油槽を152℃に加熱されるよう設定した。この点にて反応器の頭部を加熱マントルと、ディーン−スタークトラップのアームと、断熱テープとともに設置し、凝集物が反応器に戻ることを最小限にした。窒素の流入を開始し、反応溶液を24時間気泡通気させた。水及びDMACを含むトラップに回収された蒸留物を系から除去した。重合全体を通して同じ濃度を維持するために、新しいDMACを、蒸留物が系から除去された同じ範囲まで反応器に添加した。全体に、重合過程の間、98グラムの蒸留物を廃棄し、98グラムの新しいDMACを反応器に添加した。約55時間において、所望の分子量に達した。この点にて、266グラムのDMACに溶解させた2.66グラムの氷酢酸を添加し、重合を停止させた。反応器の内容物を190グラムのDMACを含有する4リットルの三角フラスコに注入した後、反応器を150グラムのDMACを使用して洗浄した。内容物を塔頂撹拌によりホモジナイズした。GPC分析は、ポリスルホンポリマーの反応生成物において、数平均分子量(Mn)が23527、重量平均分子量(Mw)が80549、及び環状二量体含量が1.07 %であることを示した。
【0084】
実施例10:
N-メチルピロリドン(NMP)中のポリスルホンを調製した。1リットルのツーピースのシリンダー反応器フラスコと真空気密ベアリングにより塔頂高トルク撹拌機を備え付けた。右首部を窒素流入口管に取り付ける一方で、左首部を水冷却凝縮器が上部にあるディーン−スタークトラップに取り付けた。前首部を熱電対温度計に取り付けた。反応器を3リットルの油槽に入れ、温度を温度制御装置により制御した。反応器に137.24グラムのビスフェノール-A、172.63グラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン及び88.07グラムの炭酸カリウム及び300グラムのNMPを注入した。窒素流入口をストッパーと置き換えた。ゆっくり撹拌するとともに、反応溶液を脱気し、窒素を3回再充填し、その後、ストッパーを除去し、窒素流入口管と置き換えた。ここで、油槽を190℃に加熱されるよう設定した。この点にて、反応器の頭部を加熱マントルと、ディーン−スタークトラップのアームと、断熱テープとともに設置し、凝集物が反応器に戻ることを最小限にした。窒素の流入を開始し、反応溶液を4時間気泡通気させた。水及びNMPを含むトラップに回収された蒸留物を系から除去した。重合全体を通して同じ濃度を維持するために、新しいNMPを蒸留物が系から除去された同じ範囲まで反応器に添加した。全体に、重合過程の間、20グラムの蒸留物を廃棄し、20グラムの新しいNMPを反応器に添加した。カール−フィッシャー滴定は、蒸留物に約47 %の水が含まれることを示した。約7時間において、所望の分子量に達した。この点にて、192グラムのNMPを添加し、反応混合物を希釈した。塔頂撹拌によりホモジナイズされると、25グラムのNMPに溶解させた2.66グラムの氷酢酸をゆっくり添加し、フラスコを停止させた後、反応器を547グラムのNMPを用いて洗浄した。内容物を塔頂撹拌によりホモジナイズした。GPC分析は、ポリスルホンポリマーの反応生成物の数平均分子量(Mn)が23496、重量平均分子量(Mw)が75167、及び環状二量体含量が0.92 %であることを示した。
【0085】
実施例11:
中空繊維を実施例1の反応溶液を使用して調製した。20重量%のポリビニルピロリドン(PVP、MW:約100万ダルトン)を含むDMAC溶液513グラムを、実施例1のように調製したポリスルホン(PSF)を含有するポリスルホン反応溶液2178グラムに添加した。約15分間の塔頂撹拌により、40℃にて1900センチポアズの粘度の均質な溶液を得た。得られたポリマー溶液を成形溶液として使用した。この溶液を同心管からなる環状の押出し型スピナレットにポンプにより送り出した。外径オリフィスは約0.4 mmであり、一方で内径は約0.2 mmであった。成形溶液を、析出溶液と同時にスピナレットに供給した。析出溶液は水と30 %〜70 %のDMAC溶媒との混合物であった。成形溶液(ポリマー溶液)に対する析出溶液のスピナレットへの流速(体積基準)比は約1:1〜約1:2であった。押し出された中空繊維は水性槽(64℃)に成形され、これを約60 cmの距離でスピナレットの下部から分離した。押し出された中空膜繊維を水で洗浄し、約110℃〜130℃にて乾燥させ、回収し、約278 mmに切断した。生成された中空繊維は、放射状の内部面に薄いバリア層を有し、放射状の開孔外部支持層に一体となって隣接する。
【0086】
比較として、ポリスルホン繊維を反応溶媒から分離させたポリマーを用いて調製し、湿式紡績加工法の前に乾燥させた。第2のバッチの反応溶液を実施例1と同じように調製した。生成ポリマーを水に析出させることにより反応溶液溶媒の溶媒から分離した後、濾過し、乾燥させ、乾燥ポリマー生成物を得た。乾燥ポリマーから作製された約2178グラムのポリスルホンのDMAC溶媒を約513グラムの20 %ポリビニルピロリドン(PVP)のDMAC溶液に添加した。次いで、得られたポリマー溶液を撹拌し、同時に析出溶液とともにスピナレットにポンプにより送り出し、上記の手法と同様に中空繊維を形成した。
【0087】
両出発材料から得られた中空繊維の内径(ID)、壁厚、水透過性(KUF)、及びナトリウムクリアランス、及びまた、乾燥させていない反応溶液から得られた繊維の破断歪み及び破断伸びを表2に示す。ナトリウムクリアランスデータは、検査室において、300 mL/分の血液流速にて1.40平方メートルの活性表面積を有する繊維の水溶液を用いて確かめられた。
【0088】
【表2】
【0089】
表2に示されるように、実施例9の反応溶液を用いて形成された中空繊維は、上記の構造特性及び性能特性において、乾燥させたポリマー生成物を湿式紡績のために溶媒に再溶解させる標準的な方法により調製されたポリスルホンを用いて作製した中空繊維と同等であった。
【0090】
実施例12:
1:1のモル比及び単回濾過のポリマープラント反応
【0091】
650ガロンの鋼鉄ジャケット型反応器をポリスルホンのDMAC溶液の生成に使用した。粉末流入口弁を反応器の上部に設置し、弁を通して480.54キログラムのビスフェノール-A、604.48キログラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)、320.02キログラムの炭酸カリウム及び1554キログラムのDMACを反応器に注入した。ビスフェノール-Aと4,4'-ジクロロジフェニルスルホンのモル比は、本実施例において1:1であった。ビスフェノール-AをBayer Material Scienceから入手し、DCDPSを英国、Vertellus Specialty Materialsから入手し、炭酸カリウムをArmandProducts Companyから入手した。注入が完了後、窒素を用いて反応器を3回パージした後、加熱した窒素流を1標準立方フィート/分〜最大5.2標準立方フィート/分の範囲の3つの散布型流入口を通して反応器の下部に供給した。窒素供給は反応順序全体を通して維持した。反応器のジャケットを185℃に加熱し、150℃〜163℃の反応温度を得た。反応器の系は、反応順序全体を通して反応器の内容物を混合するために使用される塔頂撹拌機を備える。反応器の撹拌機からのトルクフィードバックを、反応順序全体を通して使用し、ポリマー成長をモニタリングした。ポリマー成長もゲル浸透クロマトグラフィーによりモニタリングした。反応器の系はシェル及び110℃〜120℃の温度を維持するために水系焼入剤を使用する管式熱交換器を備える。この分縮器を反応器の上部に、直接取り付け、蒸留物の回収タンクに通気させた。DMAC中の水からなる蒸留物を分縮系により回収した。蒸留物の質量をモニタリングし、新しいDMACをDMAC溶媒の量に比例して1時間毎に反応容器に添加し、水を反応器の系から除去した。全体に、反応順序全体を通して、1209 kgの蒸留物を回収し、これには、予想した水の100 %が含まれていた。ポリマー溶液が72000ダルトンの目標分子量に達すると、反応器を123 kgの冷却DMAC溶媒を用いて急冷させ、反応器のオイルジャケットを160℃に冷却した。反応器の内容物を容積移送式真空ポンプにより、1200ガロンの鋼鉄ジャケット型希釈タンクに移送した。反応器を更に2552.03 kgのDMAC溶媒を用いて洗浄した後、ポリマー溶液を含む洗浄DMACを反応器から希釈タンクに移送した。混合すると、得られた希釈タンクの均質なポリマー溶液は、およそ19 %のポリスルホンを含む75 %DMAC及び7 %の塩化カリウム塩であり、これは反応副生成物であり、パーセントはポリマー溶液の総重量に対するwt%であった。ポリマー溶液を128個の管状フィルター要素を含む2.0ミクロンの焼結金属フィルター系により単回にて濾過した。ポリマー溶液は管状媒体の中央に流動する。液状ポリマー溶液は多孔質金属と通って流動し、一方で、カリウム塩は媒体により保持される。最終GPC分析では、Mnが23385、Mwが79991及び環状二量体が0.95%であることを示した。残留した未反応のビスフェノール-Aを18.4ppm、GCにて測定し、溶液中に残留するカリウムを760.9ppm、ICPにて測定した。
【0092】
実施例13:
0.984:1のモル比及び複数回濾過のポリマープラント反応
【0093】
650ガロンの鋼鉄ジャケット型反応器をポリスルホンのDMAC溶液の生成に使用した。粉末流入口弁を反応器の上部に設置し、弁を通して474.11キログラムのビスフェノール-A、605.13キログラムの4,4'-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)、319.69キログラムの炭酸カリウム及び1050.45キログラムのDMACを反応器に注入した。ビスフェノール-Aと4,4'-ジクロロジフェニルスルホンの目標モル比は、本実施例において0.984:1であった。ビスフェノール-AをBayer Material Scienceから入手し、DCDPSを英国、Vertellus Specialty Materialsから入手し、炭酸カリウムをArmandProducts Companyから入手した。注入が完了後、窒素を用いて反応器を3回パージした後、加熱した窒素流を6.8 Kg/hr(1標準立方フィート/分)〜最大30 kg/hr(5.2標準立方フィート/分)の範囲の3つの散布型流入口を通して反応器の下部に供給した。窒素供給は反応順序全体を通して維持した。反応器のジャケットを185℃に加熱し、150℃〜163℃の反応温度を得た。反応器の系は、反応順序全体を通して反応器の内容物を混合するために使用される塔頂撹拌機を備える。反応器の撹拌機からのトルクフィードバックを、反応順序全体を通して使用し、ポリマー成長をモニタリングした。ポリマー成長もゲル浸透クロマトグラフィーによりモニタリングした。反応器の系はシェル及び110℃〜120℃の温度を維持するために水系焼入剤を使用する管式熱交換器を備える。この分縮器を反応器の上部に、直接取り付け、蒸留物の回収タンクに通気させた。DMAC中の水からなる蒸留物を分縮系により回収した。蒸留物の質量をモニタリングし、新しいDMACをDMAC溶媒の量に比例して1時間毎に反応容器に添加し、水を反応器の系から除去した。全体に、反応順序全体を通して、1168 kgの蒸留物を回収し、これには、予想した水の100 %が含まれていた。反応は、およそ73000ダルトンにて失速した。およそ5 LのDMACに溶解させた0.25 kgのビスフェノール-Aの2回目の添加を容器上部の2インチの流入口ポートを通して反応器に行った。反応は、分子量が77527を測定したときの2回目の失速まで継続した。ポリマー溶液が反応器を523 kgの冷却DMAC溶媒を用いて急冷させ、反応器のオイルジャケットを160℃に冷却した。反応器の内容物を容積移送式真空ポンプにより、1200ガロンの鋼鉄ジャケット型希釈タンクに移送した。反応器を更に1930.55 kgのDMAC溶媒を用いて洗浄した後、ポリマー溶液を含む洗浄DMACを反応器から希釈タンクに移送した。混合すると、得られた希釈タンクの均質なポリマー溶液は、およそ20 %のポリスルホンを含む73 %DMAC及び7 %の塩化カリウム塩であり、これは反応副生成物であり、パーセントはポリマー溶液の総重量に対するwt%であった。ポリマー溶液を128個の管状フィルター要素を含む2.0ミクロンの焼結金属フィルター系により複数回にて濾過した。ポリマー溶液は管状媒体の中央に流動する。液状ポリマー溶液は多孔質金属と通って流動し、一方で、カリウム塩は媒体により保持される。最終GPC分析では、Mnが22668、Mwが78318及び環状二量体が0.97%であることを示した。残留した未反応のビスフェノール-Aを3.73ppm、GCにて測定し、溶液中に残留するカリウムを349.1ppm、ICPにて測定した。
【0094】
出願人らはこの開示における全ての引用文献の内容全体を具体的に援用している。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と、任意の範囲下限又は好ましい値との任意の組合せからなるあらゆる範囲を具体的に開示するものと理解されるものとする。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定することは意図されない。
【0095】
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討、及び本明細書に開示される本発明の実施により当業者にとって明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は例示的なものにすぎず、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。