特許第6163282号(P6163282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163282
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】位置確認装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/28 20060101AFI20170703BHJP
   B21C 47/24 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01H21/28 P
   B21C47/24 A
   B21C47/24 E
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-161924(P2013-161924)
(22)【出願日】2013年8月4日
(65)【公開番号】特開2015-32490(P2015-32490A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸尚
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−063117(JP,A)
【文献】 実開平06−039214(JP,U)
【文献】 実開平2−46756(JP,U)
【文献】 特開2002−35829(JP,A)
【文献】 特開2008−150205(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3067185(JP,U)
【文献】 特開2007−70103(JP,A)
【文献】 実開昭60−184241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 21/28
B21C 47/24
B65G 1/00
B65G 35/00
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の設置位置に設置されている搬送対象物を搬送する搬送装置が、当該搬送対象物を受け取るための位置確認装置であって、
前記位置確認装置は、前記搬送装置との接続位置に回動可能な状態で取り付けられる支持部材と、
前記支持部材において前記接続位置の一方側に設けられ、前記搬送対象物の少なくとも一部と接触可能な接触部と、
前記支持部材において前記接続位置の他方側に設けられ、前記搬送装置の有する接点と接続もしくは離隔する電気スイッチと、を備え、
前記搬送対象物は、軸と当該軸に取り付けられた本体部材とを有し、前記軸は、前記本体部材が取り付けられていない両端において、露出する露出軸を有し、
前記接触部が前記本体部材に接触する場合には、前記支持部材が回動することで、前記電気スイッチは、前記接点と離隔し、
前記接触部が前記本体部材に接触しない場合には、前記支持部材は、前記接続位置を支点とする重力バランスで、前記電気スイッチと前記接点との接続を維持する、位置確認装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記接触部が前記本体部材と接触する際の接触圧力を調整可能な重りを有し、当該重りは、前記支持部材における上下位置を変更可能であることで、前記接触圧力を調整可能である、請求項1記載の位置確認装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記接触部に接触物がない状態で、前記重りによる重力バランスで、前記電気スイッチが前記接点との接続を維持する、請求項2記載の位置確認装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記接触部に接触物がない状態で、前記重りによる重力バランスで、前記接触部が、前記接続位置を基準として、前記搬送装置よりも外側に傾く、請求項2記載の位置確認装置。
【請求項5】
前記本体部材は、シート部材が前記軸に巻き付けられて形成される、請求項1から4のいずれか記載の位置確認装置。
【請求項6】
前記露出軸は、前記シート部材の巻き付けで余る部分である、請求項5記載の位置確認装置。
【請求項7】
前記接触部の高さは、前記本体部の位置に対応している、請求項1から6のいずれか記載の位置確認装置。
【請求項8】
前記接触部は、前記支持部材の外周から突出している、請求項1から7のいずれか記載の位置確認装置。
【請求項9】
前記接触部が前記本体部材に接触することで、前記電気スイッチが前記接点と離隔状態となると、前記搬送装置は移動を停止する、請求項1から8のいずれか記載の位置確認装置。
【請求項10】
前記搬送装置は、前記搬送対象物の前記露出軸に対応する一対の受け部と、前記一対の受け部を支持する一対の構造部材を有し、前記支持部材は、前記一対の構造部材のそれぞれに接続される、請求項1から9のいずれか記載の位置確認装置。
【請求項11】
前記搬送装置は、前記一対の構造部材を備え、前記支持部材は、前記一対の構造部材の前後のそれぞれに接続される、請求項10記載の位置確認装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか記載の位置確認装置と、
床面を走行する走行駆動部と、
前記搬送対象物の前記露出軸を受ける受け部と、を備え、
前記電気スイッチが前記接点と接触している場合には、前記走行駆動部が駆動動作し、前記電気スイッチが前記接点と離隔している場合には、前記走行駆動部は駆動動作をせず、
前記受け部が、前記露出軸を受けることで、前記搬送対象物を搬送できる、搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する搬送装置が、所定位置に置かれている搬送対象物を把持する際に、搬送対象物の把持位置に把持部材を正確に合わせる位置確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の製品を製造する工場や製品を配送する配送センターなどにおいては、搬送される製品(以下、「搬送対象物」という))が、一時的にステーションと呼ばれる設置位置に置かれていることが多い。このステーションに置かれている搬送対象物は、搬送装置によって当該ステーションから別の位置に搬送されることがある。
【0003】
ここで、搬送対象物は、軸に薄いシート状の部材が巻き付けられた巻物であることがある。例えば、所定の長さと径を有する軸に、樹脂シート、金属シート、金属箔、ゴムシートなどの薄いシート状の部材が何重において巻きつけられている。例えば、これらの樹脂シート、金属シート、金属箔、ゴムシートなどが製造される工場、あるいはこれらの樹脂シート、金属シート、金属箔、ゴムシートを加工する工場などにおいては、このような薄いシート状の部材が巻き付けられた巻物が、搬送対象物であることがある。
【0004】
このような巻物は、シート状の部材の両端に残っている軸の露出部分が、ステーションの軸受けに設置されることで、ステーションにおいて一時的に設置される。すなわち、軸受けにおいては、軸の径のままの露出部分が、軸受けに乗っている状態である。軸の露出部分以外においては、シート状の部材が巻きつけられているので、巻きつけられている部分においては、当然に軸の露出部分の径よりも大きい径を有している。各方向から見ると、軸の露出部分はその径が小さく、露出部分以外は、シート状の部材が巻きつけられていることで、その径が大きくなっている。
【0005】
搬送装置は、このような巻物であってステーションに設置されている搬送対象物の、両端の軸の露出部分を受ける受け部を有している。搬送装置は、この受け部を軸の露出部分にあてがうことで、軸の露出部分を受け部に乗せることができる。搬送装置は、受け部に軸の露出部分を載せた状態で、ステーションから搬送対象物を受け取り、所定の搬送先に搬送する。
【0006】
このように、ステーションに一時的に設置されている巻物である搬送対象物を、搬送装置がステーションから取り外してそのまま搬送することが、工場や配送センターでよく行われる。また、搬送装置は、センサーを有しており、工場や配送センター内で、自動走行を行うことが多い。この自動走行においては、ステーションに設置されている搬送対象物の受け取り動作も自動で行う。
【0007】
搬送装置が、ステーションに設置されている搬送対象物の受け取りを自動で行う場合には、搬送装置が備える受け部に、巻物である搬送対象物の軸の露出部分を正確に合わせることが必要である。このとき、軸の露出部分は小さいことが多く、この軸の露出部分に受け部を正確に合わせることができない場合には、受け部や受け部を構成する搬送装置の支持部材が、巻きつけられているシート状の部材に衝突してしまうことになる。
【0008】
ここで、巻きつけられているシート状の部材が、衝撃耐久性に優れていたり、衝撃を受けても問題のない部材であったりする場合には、受け部を軸の露出部分に正確に合わせることができないことがあってもよい。例えば、受け部や受け部の支持部材が、シート状の部材表面に衝突した後で、再度位置合わせを行なえば済む。
【0009】
しかしながら、シート状の部材は、既述したように、樹脂シート、金属シート、金属箔、ゴムシートなどであって、衝突によって変形したり損耗したりすることが、部材を用いたその後の製品へ悪影響を生じさせることもある。例えば、金属シートに受け部や支持部材が衝突してしまうと、当該金属シートが電子機器の非常に薄い電極に用いられる場合には、電極の素材として金属シートは使えなくなってしまうこともある。
【0010】
このような状況で、ステーションに設置されている搬送対象物を、搬送装置が受け取る際の位置決めや位置確認の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−63117号公報
【特許文献2】特開2001−97669号公報
【特許文献3】特開2009−73580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1は、AGVは、ロール体を搭載している搭載部を上下方向に駆動する上下方向駆動機構と水平方向に駆動する水平方向駆動機構とを備える。更に、所定部位の近傍に設置されたレーザ光源と、AGVに設置され、レーザ光源からのレーザ光を受光する受光面を有して該受光面上でのレーザ光の受光位置を検出する検出手段と、検出された受光位置の基準位置からのずれ量を算出し、算出されたずれ量を無くすように上下方向駆動機構と水平方向駆動機構を制御する位置決め制御回路とを備えるロール自動供給装置を開示する。
【0013】
特許文献1は、AGVと呼ばれる自動で走行する搬送台車を用いて、レーザー光によって位置決めを行なう技術を開示している。すなわち、搬送対象物や取扱対象物に対するAGVの位置を、レーザー光による位置検出機能を用いて、制御する技術を開示する。
【0014】
しかしながら、レーザー光による位置検出は、レーザー光照射部から照射されたレーザー光と、搬送対象物に衝突して反射する反射光との波長等の差分に基づいて行われる。このため、搬送対象物の形状、素材によって、レーザー光と反射光の性質が様々に変化してしまい、正確な位置確認を行うことが難しい問題を有している。加えて、AGVを始めとした搬送装置が走行する床は、必ずしも平坦とは限らず、搬送対象物に対して照射されるレーザー光は、直進できない可能性がある。この場合には、レーザー光と反射光との差分を正確に検出することができず、位置確認を正確に行うことができない問題がある。
【0015】
加えて、搬送対象物が、軸にシート状の部材が巻き付けられた巻物である場合には、軸の露出部分、軸における巻き付け部分、搬送装置そのもの位置の3つのパラメータに対応して正確に位置確認が行われる必要がある。このためには、レーザー光の照射装置や検出装置が、多数必要となり、単体でも高価なレーザー照射装置が複数台となることで、非常にコストが高くなってしまう問題もある。
【0016】
特許文献2は、投光部11aと受光部11bとからなり、透明体ウエブ13に対して光軸を傾けて配置された第1のレーザセンサ11と、投光部12aと受光部12bとからなり、ウエブ13に対して光軸を傾けて配置され、かつ第1のレーザセンサ11の光軸に対してウエブ13の長手方向からみて交差するように配置された第2のレーザセンサ12とを備える。第1のレーザセンサ11の光軸とウエブ13とのなす角θ1 と、第2のレーザセンサ12の光軸とウエブ13とのなす角θ2 とを同一角とし、両センサ11,12の受光部11b,12bの出力
α,βの差によって、ウエブ13のエッジ位置を検出するエッジ検出装置を開示する。
【0017】
特許文献2も、特許文献1と同様に、レーザー光を用いて、対象物の位置を検出する技術を開示する。特許文献2の技術により、搬送対象物の位置確認を行う装置に展開することが可能となる。
【0018】
しかしながら、特許文献2に開示される技術も、特許文献1と同様にレーザー光を用いることによる、位置確認の不正確さやコスト高などの問題を有している。
【0019】
レーザー光を用いる特許文献1や特許文献2の技術は、搬送対象物に非接触でその位置確認を行うことができるが、次の問題を有している。
(問題1)正確な位置確認が困難である。
(問題2)位置確認の正確性を向上させようとすると、非常に高価な装置となってしまう。
【0020】
特許文献3は、収納棚に設けられた荷収納部15は、荷物Wを支持する荷受台12と、荷物Wの出入が可能な開口部24と、開口部24からの荷物Wの落下を防止する荷物落下防止手段としての落下防止具18とを備えた収納棚における荷物の落下防止装置において、落下防止具18は、荷収納部15の側方の支軸21を支点に上下動する支持アーム19と、支持アーム19の前端に備えられ支持アーム19の揺動に伴って昇降する落下防止部材20と、支持アーム19に備えられる制御片23と、支持アーム19を支軸21を支点に上方に付勢する付勢部材としてのウェイト22とを有し、荷物Wによる制御片23の押動又は、押動の解除に伴い、落下防止部材20が荷物Wの前方に位置する作動位置又は、上方に退避した非作動位置に移動可能に設ける荷物の落下防止装置を開示する。
【0021】
特許文献3は、アームの動きによって、対象物の確認を行うことができる。すなわち、位置を確認したい対象物にアームを直接接触させることで、このアームが動くことを基に対象物の位置確認を行う技術が開示される。
【0022】
しかしながら、特許文献3の技術は、対象物に直接接触する接触部と、これと逆の端部に設けられるウェイトによってアームを前後させることで、対象物との接触を検出する。このため、接触部が対象物に接触した後で搬送装置が対象物側に進む場合には、接触部と逆側のウェイトの荷重に対抗して進む必要がある。このため、接触部における接触において強い力が、対象物に付与されてしまう。
【0023】
このような強い力が接触において対象物に付与されてしまうと、対象物が損傷してしまう問題がある。対象物が、既述したように薄いシート状の部材である場合には、特に問題となる。
【0024】
搬送装置で搬送される搬送対象物の種類は様々であるが、既述した通り、軸に薄いシート状の部材が巻き付けられた巻物であることも多い。この薄いシート状の部材が、衝撃等に対して弱いことも多い。すなわち、特許文献3のように接触方式の位置確認装置は、次の問題を有している。
【0025】
(問題3)接触圧力が高くなり、衝突や圧力に対して弱い搬送対象物を変形や損傷させてしまう可能性が高い。
【0026】
特許文献1〜3に代表される従来技術の位置確認装置やこれに応用できる技術は、以上のような問題1〜3を有している。この問題1〜3が解決されないと、衝突や圧力に対して弱い部材が軸に巻き付けられた巻物である搬送対象物に対して、搬送装置の位置確認あるいは位置決めが困難である。
本発明は、これらの問題を解決し、搬送対象物を変形や損耗させたりすること無く、搬送装置が搬送対象物を受け取るための位置を正確に確認できる位置確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題に鑑み、本発明の位置確認装置は、所定の設置位置に設置されている搬送対象物を搬送する搬送装置が、当該搬送対象物を受け取るための位置確認装置であって、位置確認装置は、搬送装置との接続位置に回動可能な状態で取り付けられる支持部材と、支持部材において接続位置の一方側に設けられ、搬送対象物の少なくとも一部と接触可能な接触部と、支持部材において接続位置の他方側に設けられ、搬送装置の有する接点と接続もしくは離隔する電気スイッチと、を備え、搬送対象物は、軸と当該軸に取り付けられた本体部材とを有し、軸は、本体部材が取り付けられていない両端において、露出する露出軸を有し、接触部が本体部材に接触する場合には、支持部材が回動することで、電気スイッチは、接点と離隔し、接触部が本体部材に接触しない場合には、支持部材は、接続位置を支点とする重力バランスで、電気スイッチと接点との接続を維持する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の位置確認装置は、簡便な構成によって、巻物である搬送対象物の軸露出部分を確認することができる。このため、低コストで、搬送装置の搬送対象物に対する位置決めを実現できる。
【0029】
また、本発明の位置確認装置は、接触式によって確実に搬送対象物の軸露出部分の位置確認を行うことができる。また、接触を行う部材は、重力フリーなシーソータイプであることで、位置確認において搬送対象物の本体部分に接触する場合の圧力を非常に低くできる。この結果、位置確認作業において、接触部が本体部分に接触する場合でも、本体部分を変形させたり損耗させたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態1における設置されている搬送対象物を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1における搬送装置の側面図である。
図3】実施の形態1における位置確認装置を備える搬送装置の正面図である。
図4】本発明の実施の形態1における位置確認装置を備える搬送装置の側面図である。
図5】本発明の実施の形態1における搬送装置の搬送対象物への進入を上から見た模式図である。
図6】本発明の実施の形態1における搬送装置の搬送対象物への進入を上から見た模式図である。
図7】本発明の実施の形態1における搬送装置の進入状態を上方から示す模式図である。
図8】本発明の実施の形態1における搬送装置の進入状態を上方から示す模式図である。
図9】本発明の実施の形態1における搬送装置の進入状態を上方から示す模式図である。
図10】本発明の実施の形態1における位置がずれた状態での動作を示す模式図である。
図11】本発明の実施の形態1における位置がずれた状態での動作を示す模式図である。
図12】本発明の実施の形態2における位置確認装置を備える搬送装置の側面図である。
図13】本発明の実施の形態2における搬送装置の正面図である。
図14】本発明の実施の形態2における搬送装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第1の発明に係る位置確認装置は、所定の設置位置に設置されている搬送対象物を搬送する搬送装置が、当該搬送対象物を受け取るための位置確認装置であって、位置確認装置は、搬送装置との接続位置に回動可能な状態で取り付けられる支持部材と、支持部材において接続位置の一方側に設けられ、搬送対象物の少なくとも一部と接触可能な接触部と、支持部材において接続位置の他方側に設けられ、搬送装置の有する接点と接続もしくは離隔する電気スイッチと、を備え、搬送対象物は、軸と当該軸に取り付けられた本体部材とを有し、軸は、本体部材が取り付けられていない両端において、露出する露出軸を有し、接触部が本体部材に接触する場合には、支持部材が回動することで、電気スイッチは、接点と離隔し、接触部が本体部材に接触しない場合には、支持部材は、接続位置を支点とする重力バランスで、電気スイッチと接点との接続を維持する。
【0032】
この構成により、位置確認装置は、露出軸を有するロール状の搬送対象物に進入して搬送する搬送装置において、受け部を搬送対象物の本体部に衝突させることを防止できる。
【0033】
本発明の第2の発明に係る位置確認装置では、第1の発明に加えて、支持部材は、接触部が本体部材と接触する際の接触圧力を調整可能な重りを有し、当該重りは、支持部材における上下位置を変更可能であることで、接触圧力を調整可能である。
【0034】
この構成により、接触部による支持部材の回動のバランスを調整できる。
【0035】
本発明の第3の発明に係る位置確認装置では、第2の発明に加えて、支持部材は、接触部に接触物がない状態で、重りによる重力バランスで、電気スイッチが接点との接続を維持する。
【0036】
この構成により、接触部に接触圧力が付与されていない場合には、支持部材は電気スイッチと接点とを接続させる位置に落ち着く。結果として、位置ずれによる搬送装置の動作停止をもたらさない。
【0037】
本発明の第4の発明に係る位置確認装置では、第2の発明に加えて、支持部材は、接触部に接触物がない状態で、重りによる重力バランスで、接触部が、接続位置を基準として、搬送装置よりも外側に傾く。
【0038】
この構成により、支持部材の重力バランスが最適に保たれる。
【0039】
本発明の第5の発明に係る位置確認装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、本体部材は、シート部材が軸に巻き付けられて形成される。
【0040】
この構成により、搬送装置は、受け部を用いて搬送対象物を搬送できる。
【0041】
本発明の第6の発明に係る位置確認装置では、第5の発明に加えて、露出軸は、シート部材の巻き付けで余る部分である。
【0042】
この構成により、搬送対象物の両端に露出軸が生じて、受け部を備える搬送装置が搬送できる。
【0043】
本発明の第7の発明に係る位置確認装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、接触部の高さは、本体部の位置に対応している。
【0044】
この構成により、接触部は、本体部に接触できる。
【0045】
本発明の第8の発明に係る位置確認装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、接触部は、支持部材の外周から突出している。
【0046】
この構成により、接触部は、より確実に本体部との接触による接触圧力を得ることができる。結果として、進入位置に問題がある場合には、搬送装置の停止を確実に行うことができる。
【0047】
本発明の第9の発明に係る位置確認装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、接触部が本体部材に接触することで、電気スイッチが接点と離隔状態となると、搬送装置は移動を停止する。
【0048】
この構成により、搬送装置の進入位置のずれがある場合には、位置確認装置が、搬送装置を停止させることができる。結果として、搬送装置による搬送対象物の損傷などを防止できる。
【0049】
本発明の第10の発明に係る位置確認装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、搬送装置は、搬送対象物の露出軸に対応する一対の受け部と、一対の受け部を支持する一対の構造部材を有し、支持部材は、一対の構造部材のそれぞれに接続される。
【0050】
この構成により、位置確認装置が、搬送装置の進入位置の確認をできる。
【0051】
本発明の第11の発明に係る位置確認装置では、第10の発明に加えて、搬送装置は、一対の構造部材を備え、支持部材は、一対の構造部材の前後のそれぞれに接続される。
【0052】
この構成により、搬送装置が前後のいずれに移動する場合にも位置確認装置が位置を確認できる。
【0053】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
(実施の形態1)
【0055】
(搬送対象物の説明)
まず、図1図2を用いて、搬送対象物を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における設置されている搬送対象物を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1における搬送装置の側面図である。
【0056】
搬送対象物200は、設置器具100に設置されている。設置器具100は、支柱101と梁102とを備える。この設置器具100が所定の設置位置として、搬送対象物200は、設置されている。ここで、搬送対象物200の例として、シート部材が軸110に巻きつけられて形成されるロール部材が示されている。例えば、紙、布、ビニール、樹脂シート、金属薄板などの、薄い素材のシート部材が、軸110に巻きつけられて搬送対象物200とされることがある。
【0057】
例えば、製紙工場や素材工場などで、これら紙、布、ビニール、樹脂シート、金属薄板が製造される。製造前、製造途中、製造後において、大量の連続するシート状であるこれらの紙、布、ビニール、樹脂シート、金属薄板を、軸110に巻きつけて搬送を容易とする状態にすることがある。このように大量のシート状の素材や部材を一度に搬送できるように、これらシート状の素材や部材を軸110に巻きつけて形成されるロール状の搬送対象物200は、様々な工場や配送センターにおいて使用されている。
【0058】
搬送対象物200は、軸110に巻き付けられた部分が本体部201となり、巻きつけられていない部分が露出軸111となる。すなわち、露出軸111は、軸110においてシート状の部材が巻きつけられずに残った部分である。もちろん、シート状の部材が巻き付けられた本体部201の内部には、軸110が存在している。
【0059】
搬送対象物200は、このようにロール状の物体であり、本体部201とその両端に残る露出軸111とから構成される。搬送対象物200は、設置器具100に、この露出軸111を引っ掛けた状態で設置されている。工場や配送センターなどにおいて、このような設置器具100に多数の搬送対象物200が設置されている。
【0060】
図2に示される搬送装置300は、この設置器具100に設置されているロール状の搬送対象物200を搬送する。このとき、搬送装置300は、搬送対象物200において両端で露出している露出軸111を受け取る態様で、搬送対象物200を搬送する。
搬送装置300は、本体部301、駆動部303、V字型の受け部302を有している。搬送装置300は、この駆動部303を用いて図2に示される矢印の方向に移動できる。駆動部303の回転方向と角度の組み合わせにより、矢印だけでなく、様々な方向に移動できる。
【0061】
本体部301の上方に一対の受け部302が設けられる。受け部302は、図1に示したロール状の搬送対象物200の露出軸111を受ける。搬送装置300は、設置器具100に設置されているロール状の搬送対象物200の下に入る。受け部302が、搬送対象物200の下に入り込むことで、搬送装置300は、受け部302に搬送対象物200を置きやすくなる。
【0062】
搬送装置300は、この受け部302に搬送対象物200を載せると、本体部301をやや上昇させる。上昇することによって、受け部302が搬送対象物200の本体部201を受けた状態で、設置器具100に乗っている露出軸111が浮きあがる。露出軸111が浮き上がることで、設置器具100から搬送対象物200が取り外される。そのまま受け部302に、搬送対象物200の露出軸111が乗った状態となる。一対の受け部302によって、搬送対称物200において、本体部201の両端に突出している露出軸111のそれぞれを受けることができる。
【0063】
受け部302に、設置器具100から取り外された搬送対象物200の露出軸111を乗せた状態で、搬送装置300は、所定の場所に搬送対象物200を搬送する。このように、搬送装置300は、ロール状の搬送対象物200を設置器具100から取り外した上で、所定の場所に搬送できる。
【0064】
実施の形態1における位置確認装置は、この搬送装置300に用いられる。
【0065】
(位置確認装置の全体概要)
図3は、実施の形態1における位置確認装置を備える搬送装置の正面図である。図3は、設置器具100に設置されている搬送対象物200を受けに行こうとしている搬送装置300を示している。搬送装置300は、設置器具100に設置されている搬送対象物200の下に入り込むようにして、搬送対象物200を受け取る。このとき、受け部302は、搬送対象物200の本体部201を受ける。
【0066】
ここで、受け部302は、直径のある本体部201を受けるために、深さを有している。加えて、受け部302は、本体部201の両端の露出軸111を受ける。この露出軸111を受けることで、受け部302は、搬送対象物200を確実に受けることができる。
【0067】
このため、搬送装置300は、両端の露出軸111に受け部302をきちんと合わせる必要がある。すなわち、搬送装置300は、露出軸111に受け部302の端部を合わせつつ本体部201の底面を受けるように、受け部302を合わせる必要がある。
【0068】
位置確認装置1は、この受け部302と露出軸111とを合わせるための位置を確認する。
【0069】
位置確認装置1は、図4に示されるように、支持部材2、接触部3、電気スイッチ4を備える。図4は、本発明の実施の形態1における位置確認装置を備える搬送装置の側面図である。図3は、搬送装置300が搬送対象物200の正面に入っていく状態を示しており、図4は、図3の側面側から見た状態を示している。
【0070】
位置確認装置1は、搬送装置300において、搬送対象物200に向かう側に設けられる。
【0071】
支持部材2は、位置確認装置1の外形をなし、搬送装置300に取り付けられる。支持部材2は、搬送装置300と、接続位置6において回動可能に取り付けられている。回動方向は、図4において、右側および左側である。すなわち、支持部材2は、搬送対象物200に向かって侵入する搬送装置300の前方と後方の双方に向けて回動可能である。
【0072】
また、支持部材2は、接続位置6を支点とする重力バランスでバランスを取ることができる。
接触部3は、支持部材2において接続位置6を基準とした一方に設けられる。図4では、接触部3は、接続位置6の上方に設けられている。接触部3は、搬送対象物200の少なくとも一部と接触可能である。接触部3は、搬送装置300が搬送対象物200に近づくことで、搬送対象物200の一部と接触する。このとき、接触部3が、搬送対象物200の本体部201に接触するのか、露出軸111と接触するのかによって、位置確認装置1は、搬送装置300の搬送対象物200に対する位置の確認を行える。
【0073】
電気スイッチ4は、接続位置6を基準として、接触部3と逆側に設けられる。電気スイッチ4は、搬送装置300の有する接点5と接続もしくは離隔する。この接点5との接続もしくは離隔を行うことで、電気スイッチ4は、電気的な接続の切り替えを実現できる。
【0074】
位置確認装置1は、搬送装置300が搬送対象物200の底面を受けるように前方に進入するに際して、受け部302が、正確に露出軸111を受けることができる位置で進入しているかを確認する。支持部材2は、搬送装置300の受け部302の両端にあわせた位置に取り付けられている。搬送装置300は、受け部302の両端を、露出軸111にあわせることで、受け部302で正確に搬送対象物200を受けることができる。このため、支持部材2は、この受け部302の両端を示すことができる。
【0075】
接触部3は、この支持部材2の一端に設けられている。このため、接触部3が搬送対象物200の本体部201に接触するのか、露出軸111に接触するのかによって、位置確認装置1は、受け部302の進入位置を図ることができる。
【0076】
搬送装置300が搬送対象物200に向けて進入する際に、接触部3が、本体部201に接触する場合には、この接触の衝撃により支持部材2が回動する。本体部201は、露出軸111に比べて前方に(搬送装置300側に)突出しているからである。この回動によって、支持部材2は、接触部3が後方(搬送対象物200と逆側)に倒れる。この結果、接続位置6を基準として逆側にある電気スイッチ4は、前方(搬送対象物200側)に動く。この前方への動きによって、スイッチ4は、接点5と離隔する。この結果、電気スイッチ4による通電は遮断される。
【0077】
一方、搬送装置300が搬送対象物200に向けて進入する際に、接触部3が本体部201に接触しない場合には、受け部302が既に本体部201の底面に位置している状態である。このため、接触部3と本体部201とが接触しない場合には、接触部3に本体部201と接触する場合のような強い接触圧力は加わらない。この結果、支持部材2が回動することがない。電気スイッチ4は、支持部材2が重力バランスでその姿勢を維持している場合には、接点5との接続を維持する。このため、搬送装置300が搬送対象物200に向けて進入する際に、接触部3が本体部201と接触しなければ、電気スイッチ4は、接点5と接続したままである。すなわち、電気スイッチ4による通電は維持される。
【0078】
電気スイッチ4は、接点5と接続している場合には、通電状態である。逆に、電気スイッチ4が接点5と離隔している場合には、通電は遮断状態である。搬送装置300もしくは位置確認装置1は、この通電状態もしくは遮断状態を検出できる。
【0079】
このとき、搬送装置300もしくは位置確認装置1は、通電状態の場合には、接触部3が本体部201と接触していないと判断できる。言い換えれば、接触部3に続く受け部302が本体部201に接触しない。この状態であれば、搬送装置300がそのまま進入しても、一対の受け部302のそれぞれは、露出軸111のそれぞれを受けることができる。このため、通電状態の場合には、搬送装置300は、そのまま進入を続け、その後の必要な動作を経て、搬送対象物200を取り出して搬送できる。
【0080】
一方、遮断状態の場合には、搬送装置300がそのまま進入しても、一対の受け部302が、露出軸111を受けることができないと判断できる。露出軸111が受けられない場合には、搬送装置300は、適切に搬送対象物200を搬送できないだけでなく、設置器具100に設置されている搬送対象物200を落下させてしまう問題も生じさせる。
【0081】
このため、遮断状態を検出する場合には、搬送装置300は、動作を停止する。その上で、進入角度や侵入位置を変更して、改めて搬送装置300は、搬送対象物200に向けて進入を再開する。
【0082】
このように位置確認装置1は、搬送装置300の進入方向において一対の受け部302が露出軸111に対応しているかを確認できる。確認できることで、搬送装置300は、搬送対象物200に衝突して損傷させたり、搬送対象物200を設置器具100から落下させたりする問題を防止できる。
【0083】
搬送対象物200は、軸110にシート状の部材が巻き付けられたロール状の部材である。このシート状の部材は、わずかな衝撃で損傷してしまうと、次の製造工程において使えなくなったり、製造工程における問題を生じさせてしまったりすることもある。
【0084】
位置確認装置1は、搬送装置300が搬送対象物200の本体部201に接触したり衝突したりすることを防止できる。この防止により、上述のシート状の部材の損傷やこれに基づく問題を生じさせにくくなる。
【0085】
(動作手順)
次に、位置確認装置1の動作手順の詳細を説明する。
【0086】
まず、搬送装置300が、設置器具100に設置されている搬送対象物200に向けて進入する際の、適正な場合と不適正な場合について説明する。図4は、上述で説明した通り、搬送装置300が、搬送対象物200に向けて進入する状態を、側面から示している。側面からなので分かりにくいが、搬送装置300は、一対の受け部302のそれぞれを、搬送対象物200の本体部201の両端にある露出軸111にあわせようとして進入する。
【0087】
図5図6は、図4の進入を、上から見た状態を示している。図5図6は、本発明の実施の形態1における搬送装置の搬送対象物への進入を上から見た模式図である。
【0088】
図5は、搬送装置300が、適正な位置で搬送対象物200に入っている状態を示している。搬送装置300は、一対の受け部302A、302Bを備えている。受け部302Aは露出軸111Aを受け、受け部302Bは露出軸111Bを受ける。このように、一対の受け部302A、302Bのそれぞれが、本体部201の両端に突出している露出軸111A,111Bのそれぞれを受けることができれば、搬送装置300は、ロール状の搬送対象物200を設置器具100から取り外して、搬送することができる。
【0089】
図5に示されるように、搬送装置300は、ある位置から搬送対象物200に向けて進入してくる。この際に、図5に示されるように、一対の受け部302A、302Bのそれぞれが、露出軸111A、111Bのそれぞれに対向していれば、適切な位置として搬送装置300が搬送できる。もちろん、搬送装置300が、その一部を本体部201に衝突させることもないので、本体部201を構成するシート状の部材を損傷させることもない。
【0090】
一方、図6に示されるように、搬送装置300が搬送対象物200に進入する際に、一対の受け部302A、302Bの位置がずれている場合もある。この場合にそのまま搬送装置300が進入を続けると、搬送装置300の一部が、本体部201に衝突してしまう。図6では、搬送装置300が、そのまま進入を続けた結果、本体部201に衝突している状態を示している。
【0091】
このように、搬送装置300が本体部201に衝突すると、当然ながら本体部201を構成するシート状の部材を損傷させてしまったり、設置器具100から搬送対象物200を落下させてしまったりする。
【0092】
搬送装置300がそのままで搬送対象物200に進入すると、図6に示されるような問題が生じてしまうこともある。特に、搬送装置300が、図6のように位置がずれた状態で進入を続けると、そのまま搬送対象物200に突き進んで落下させてしまうことが最も問題である。このため、搬送装置300が、本体部201に衝突する前に、その進入位置を確認できることが必要である。
【0093】
位置確認装置1は、図6のような問題を生じさせずに、搬送装置300が本体部201に衝突する前に、進入位置を確認できる。
【0094】
(適正位置の場合の動作手順)
図7図9を用いて、適正位置に進入する場合の動作手順を説明する。図7図9は、本発明の実施の形態1における搬送装置の進入状態を上方から示す模式図である。図4で説明したように、位置確認装置1は、搬送装置300の進入方向に設けられる。特に、受け部302A、302Bのそれぞれの前方に設けられる。
【0095】
搬送装置300は、一対の受け部302A,302Bを備える。更に、この受け部302A,302Bを支持する一対の構造部材320A,320Bを備える。図7は、搬送装置300を上方から見ているので分かりにくいが、一対の構造部材320A、320Bに支持される形態で、一対の受け部302A,302Bが設けられる。
【0096】
位置確認装置1の外形を形成する支持部材2は、この一対の受け部302A、302Bのそれぞれの前に位置するように設けられる。加えて、支持部材2は、構造部材320A、320Bのそれぞれに、接続位置6において接続される。この構造部材320A、320Bのそれぞれに、接続位置6において支持部材2が接続されることで、支持部材2は、搬送装置300に対して(構造部材320に対して)、前後に回動できる。
【0097】
図7からの説明においては、一対の位置確認装置1A,1Bのそれぞれが、受け部302A、302Bのそれぞれの前に設けられている。すなわち、支持部材2A、2Bのそれぞれが、受け部302A,302Bのそれぞれの前に設けられた状態となる。
【0098】
図8は、図7の状態から搬送装置300が搬送対象物200に向けて進入を進めた状態を示している。搬送装置300の進入の際の位置が適正である場合には、位置確認装置1A、1Bのそれぞれの接触部3は、本体部201に接触することなく、進入する。最終的には、位置確認装置1A、1Bのそれぞれは、本体部201に接触しないまま、受け部302A、302Bのそれぞれが、露出軸111A、111Bの下方に到達する。図8は、この状態を示している。
【0099】
このとき、接触部3には接触圧力が加わっていないので、支持部材2A、2Bのそれぞれは、接続位置6を基準に回動しない。このため、位置確認装置1A、1Bにおいて、電気スイッチ4は、接点5との接続を維持できる。接続が維持されているので、電気スイッチ4と接点5の接続による通電も維持される。
【0100】
搬送装置300は、通電が維持されていることに基づいて、受け部302A、302Bのそれぞれが露出軸111A,111Bのそれぞれを受ける位置まで進入する。図9は、この状態を側面から示している。接触部3に接触圧力が付与されないので、支持部材1は、電気スイッチ4と接点5との接続を維持したままである。この状態で、受け部302は、露出軸111を受けている。
【0101】
このようにして、位置確認装置1は、搬送装置300の備える受け部302が確実に露出軸111を受けることができるように、搬送装置300の進入位置を確認できる。なお、受け部302は、図9に示されるようにV字状を有しているので、V字状の形状によって、露出軸111を確実に受けることができる。このV字状の受け部302に露出軸111が合わさるように、位置確認装置1は、搬送装置300の進入位置を確認できる。
【0102】
(位置がずれている場合)
次に、位置がずれている場合について、図10図11を用いて説明する。図10図11は、本発明の実施の形態1における位置がずれた状態での動作を示す模式図である。図10では、図7と同じく、搬送装置300は、一対の構造部材320A,320Bのそれぞれの前方(搬送対象物200側)に、位置確認装置1A,1Bが設けられる。図10は、搬送装置300の進入を上方から示している。
【0103】
図10に示される搬送装置300は、進入位置がずれている。このまま矢印の方向に搬送装置300が進入する場合には、位置確認装置1Bの接触部3が、本体部201に接触する。
【0104】
接触部3が本体部201に接触すると図11に示されるように、接続位置6を基準として、支持部材2の接触部3が後方(搬送装置300側)に倒れる。これに合わせて、接触部3と接続位置6の逆側にある電気スイッチ4は、前方(搬送対象物200側)に倒れる。結果として、電気スイッチ4は、接点5との接続が外れることになる。すなわち、電気スイッチ4は接点5と離隔する。
【0105】
離隔すれば、電気スイッチ4の通電が遮断される。搬送装置300は、この遮断を把握して、搬送対象物200に向けての進入を停止する。ここで、図3に示されるように、露出軸111を受け渡しするために、搬送装置300は、受け部302の位置を上下させることができる。図3では、受け部302の位置が上限にある場合と下限にある場合とを、同じ図にまとめて示している。受け部302の位置が上下できることで、露出軸111を受けて搬送対象物200を受けている搬送装置300は、受けている搬送対象物200を、他の器具と受け渡しできる。
【0106】
搬送装置300が搬送対象物200に対する進入を停止することで、搬送装置300がそれ以上搬送対象物200に近づかない。このため、搬送対象物200の本体部201に対して直接衝突したり、より強い衝突や圧力を付与したりすることが防止される。この結果、本体部201を損傷させることが防止される。
【0107】
このように、位置確認装置1は、接触部3の本体部201への接触のみで、電気スイッチ4の通電を遮断できる。この遮断によって、搬送装置300を、自動的に停止させることができる。この結果、位置確認装置1は、搬送対象物200の本体部201を損傷させたり、搬送対象物200を設置器具1から落下させたりすることがない。搬送装置300は、位置確認装置1によって進入位置が異なると判断した場合には、改めて位置を取り直して、進入を再開すればよい。あるいは、搬送装置300が、手動で運転される場合には、作業者が搬送装置300を、運転しなおせばよい。
【0108】
搬送装置300が、図11の状態から後に退けば、支持部材2は、重力バランスによって、元に戻る。すなわち、接続位置6を基準にシーソーのように回動する。この回動によって、接触部3が後方に動いていた状態から、接触部3が前方に戻る。接触部3が前方に戻れば、逆側の電気スイッチ4は、後方に戻り、接点5との接続状態に戻る。
【0109】
支持部材2は、接触部3に接触圧力が加わらない状態では、接続位置6を支点として重力バランスを取ることができる。この重力バランスによって、支持部材2は、電気スイッチ4を接点5に接続した状態を維持できる。電気スイッチ4が接点5に接続した状態であれば、電気スイッチ4による通電が維持される。この通電が維持されれば、搬送装置300の動作は停止しない。このため、再び動作を行える。
【0110】
露出軸111よりも直径が大きい本体部201は、露出軸111よりも、搬送装置300側に突出している。このため、搬送装置300の進入側に設けられている位置確認装置1が、受け部302が露出軸111を受けるよりも先に、その接触部3を本体部201に接触させる場合には、搬送装置300は、受け部302で搬送対象物200を受けることができない。
【0111】
このように、搬送対象物200の形状の特徴を利用して、位置確認装置1は、搬送装置300が搬送対象物200に向けて進入する位置を確認できる。特に、接触部3が接触するだけで確認できるので、容易な構造で位置確認ができる。
【0112】
以上、実施の形態1における位置確認装置1は、搬送対象物200を受けるために最適な進入位置を確認できる。結果として、搬送対象物200の本体部201を損傷させたり搬送対象物200を設置器具100から落下させたりすることを防止できる。
【0113】
(実施の形態2)
【0114】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、位置確認装置1における種々の工夫や各要素の詳細やバリエーションについて説明する。
【0115】
(支持部材)
支持部材2は、位置確認装置1の外形をなす。支持部材2は、接続位置6で搬送装置300に接続されると共に、接続位置6の一方側に接触部3を設け、他方側に電気スイッチ4を設ける。この接続位置6を支点として、接触部3と電気スイッチ4をシーソーのように動かす。シーソーのように、支持部材2が重力バランスを有していることで、接触部3に接触圧力が加わらない場合には(接触部3が接触しない場合)、重力バランスが保たれる。この重力バランスが保たれることで、支持部材2は、電気スイッチ4を接点5と接続したままにできる。
【0116】
逆に、接触部3が何かと接触して接触圧力を受ける場合には、重力バランスがくずれて、接続位置6を基準として、支持部材2がシーソーのように傾く。この傾きの結果、電気スイッチ4は接点と離隔する。しかし、接触部3に付与されていた接触圧力が解消されると、支持部材2は、再び重力バランスによって支持部材2はあるべき位置に戻る。この位置に戻ることで、電気スイッチ4は、再び接点5と接続する。
【0117】
ここで、支持部材2は、重り7を有している。この重り7は、支持部材2の重力バランスを補助する。重り7の支持部材2における取り付け位置およびその重さの少なくとも一方によって、支持部材2の重力バランスを変化・調整することができる。例えば、支持部材2の長さを変化させたい場合、接続位置6を変化させたい場合などに、重力バランスが変わることがある。この場合に、重り7によって、その重力バランスを最適に合わせることができる。
【0118】
また、接触部3に加わる接触圧力や接触圧力が加わった後での接触圧力の解消によって、電気スイッチ4と接点5との離隔や接続の切り替えを調整する場合にも、重り7が活用できる。重り7の位置および重さの少なくとも一方によって、接触圧力に基づく、電気スイッチ4と接点5との接続と離隔の強度を、調整できる。
【0119】
例えば、接触部3が搬送対象物200の本体部201に接触した後で、搬送装置300が退くことがある。搬送装置300が退けば、接触部3の本体部201への接触はなくなる。この接触がなくなれば、重力バランスで、支持部材2は元の状態に戻ることが望まれる。特に、支持部材2は、接触部3への接触圧力がなくなることで、接続位置6を基準に回動し、電気スイッチ4が接点5と接続する状態に戻ることが望まれる。
【0120】
この状況での支持部材2の回動は、重力バランスに基づく。このとき、重力バランスが接続位置6を基準に接触部3側に偏差していると、支持部材2は、電気スイッチ4を接点5にまで戻すことが難しい。このような場合には重り7の位置を変えることで、重力バランスの偏差を、電気スイッチ4側に傾けることが適当である。
【0121】
逆に、重力バランスが接続位置6を基準に電気スイッチ4に偏差していると、支持部材2は、電気スイッチ4を激しい衝撃で接点5に戻すことになってしまう。この場合には、電気スイッチ4や接点5の損傷などの問題を生じさせてしまうこともある。このため、重り7を移動させることで、重力バランスを接触部3側に偏差させる。こうして、接続位置6を基準とした支持部材2の重力バランスが最適になるように、重り7を用いて調整できる。
【0122】
更に、重り7は、支持部材2を上下に移動可能であることで、接触部3での接触圧力を調整できる。特に、接触部3が、本体部201に接触する場合の接触圧力を調整できる。接触圧力を高めたい場合(高い接触圧力を受けて、支持部材2が回動して、電気スイッチ4が接点5と離隔する)、あるいは接触圧力を低めたい場合(弱い接触圧力でも、支持部材2が回動して、電気スイッチ4が接点5と離隔する)の調整を、重り7が行うことができる。
【0123】
接触部3における接触圧力は、位置確認装置1が、搬送装置300の搬送対象物200への進入位置を確認する際に必要となる。このため、接触部3の接触圧力がかなり強くなければ支持部材2が回動しないとすると、搬送装置300は、進入位置がずれた状態を検出するのが遅れてしまう。逆に、接触部3の接触圧力が非常に弱くても支持部材2が回動してしまうと、接触部3が本体部201以外に接触したり、空気抵抗を受けたりするだけで、搬送装置300は動作を停止してしまう。
【0124】
このため、接触部3が必要とする接触圧力が、最適値に調整されることが適当である。重り7は、この接触部3が必要とする接触圧力を、最適に調整できる。
【0125】
このような前提において、支持部材2は、重り7による重力バランスで、接触部3が、接続位置6を基準として、搬送装置300に対して前方(外側)に傾くことが適当である。図12は、これを示している。図12は、本発明の実施の形態2における位置確認装置を備える搬送装置の側面図である。
【0126】
図12に示されるように、通常状態(接触部3が本体部201に触れていない状態)では、支持部材2が前かがみになっていることが適当である。すなわち、接触部3が、前方に傾いている。
【0127】
支持部材2が通常状態でこのような態様であることで、接触部3での接触における適切な接触圧力で、電気スイッチ4が接点5から離隔しやすい。加えて、接触部3への接触圧力が解消される場合に、支持部材2が回動して、電気スイッチ4が接点5と接続されやすい。
【0128】
以上のように、支持部材2は、重り7も用いながら最適な重力バランスを保つ。
【0129】
(接触部)
接触部3は、搬送対象物200の本体部201に接触する場合には、電気スイッチ4による通電を遮断する。この遮断を通じて、搬送装置300によるそれ以上の進入を防止できる。
【0130】
このため、接触部3の高さは、搬送対象物200の本体部201の位置に対応していることが好ましい。このような位置であれば、接触部3は、確実に本体部201に接触できるからである。このとき、設置器具100の高さや搬送対象物200における本体部201の直径の違いに対応できるように、接触部3の位置が変更可能であることも好ましい。
【0131】
接触部3は、支持部材2の外周から突出していることも好適である。このように突出している場合には、本体部201との接触が確実になるからである。
【0132】
このように、接触部3が支持部材2の外周から突出している場合には、この接触部3を支持部材2において上下させることで、上述の接触部3の位置を変更できる。あるいは、接続位置6を変化させることで、接触部3の位置を変更しても良い。
【0133】
また、接触部3は、本体部201に接触して接触圧力をうける。このため、本体部201への損傷を確実に防止するために、接触部3は柔軟性のある素材で構成されることも好適である。例えば、外周に樹脂カバーが設けられる。
【0134】
以上のように、接触部3に種々の工夫が設けられることで、位置確認装置1の位置確認の精度を向上させることができる。
【0135】
(位置確認装置の設置)
搬送装置300は、一対の受け部302に合わせて一対の構造部材320を備える。搬送装置300は、この構造部材320に合わせて位置確認装置1を備える。例えば、図7のように、搬送装置300は、構造部材320A、320Bの前方(搬送対象物200側)に、位置確認装置1A、位置確認装置1Bを備える。
【0136】
また、搬送装置300の移動方向は、前後のいずれにもありえる。このため、図13に示されるように、搬送装置300は、一対の構造部材320A,320Bの前後のそれぞれに、合計4つの位置確認装置1A〜1Dを備えることも好適である。
【0137】
図13は、本発明の実施の形態2における搬送装置の正面図である。図13は、搬送装置300を、上から見た状態を示している。搬送装置300は、一対の構造部材320A、320Bを備えている。この構造部材320A、320Bのそれぞれの上部に受け部302A、302Bが備わっている。
【0138】
搬送装置300は、この構造部材320Aの前後に、位置確認装置1A、1Cを接続する。加えて、搬送装置300は、構造部材320Bの前後に、位置確認装置1B、1Dを接続する。こうして、搬送装置300が前後のいずれの方向に移動する場合でも、位置確認装置1A〜1Dによって、進入位置を確認できる。
【0139】
図14は、本発明の実施の形態2における搬送装置の側面図である。
【0140】
図14は、図13で示される搬送装置300を側面から見た状態を示している。図14から明らかな通り、矢印X、Yで示されるいずれの移動方向(進入方向)に進む場合でも、位置確認装置1A〜1Dによって、搬送装置300の進入位置が確認される。
【0141】
矢印Xに進む場合には、搬送装置300は、位置確認装置1A、1Bを用いて、その進入位置を確認できる。実施の形態1、2で説明した通り、位置確認装置1A,1Bの少なくとも一方において、接触部3の本体部201への接触が生じると、電気スイッチ4の離隔が生じる。この電気スイッチ4の離隔によって通電が遮断されると、搬送装置300は、駆動部303が停止する。駆動部303の停止によって、搬送装置300は、進入を停止する。
【0142】
逆に、矢印Yに進む場合には、搬送装置300は、位置確認装置1C、1Dを用いて、その進入位置を確認できる。実施の形態1、2で説明した通り、位置確認装置1C,1Dの少なくとも一方において、接触部3の本体部201への接触が生じると、電気スイッチ4の離隔が生じる。この電気スイッチ4の離隔によって通電が遮断されると、搬送装置300は、駆動部303が停止する。駆動部303の停止によって、搬送装置300は、進入を停止する。
【0143】
以上のように、搬送装置300が前後に一対の位置確認装置1A〜1Dを備えることで、搬送装置300の進入方向に係らず、位置を確認できる。
【0144】
なお、実施の形態1〜2で説明された位置確認装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0145】
1 位置確認装置
2 支持部材
3 接触部
4 電気スイッチ
5 接点
6 接続位置
7 重り
100 設置器具
110 軸
111 露出軸
200 搬送対象物
201 本体部
300 搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
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図14