特許第6163299号(P6163299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163299
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】蒸気タービン、ブレード、及び方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20170703BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   F01D9/02 103
   F01D9/04
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-267849(P2012-267849)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-122246(P2013-122246A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】CO2011A000060
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505347503
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・グリリ
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ・ジウスティ
(72)【発明者】
【氏名】エンゾ・インパラート
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−023895(JP,A)
【文献】 実公昭50−003844(JP,Y1)
【文献】 特表2002−541319(JP,A)
【文献】 特表2003−520313(JP,A)
【文献】 特開2004−324614(JP,A)
【文献】 特開2008−196488(JP,A)
【文献】 米国特許第03881842(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第01411057(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0014670(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D1/00−25/36
F01K1/00−21/06
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状チャンバを画成する複数のステータブレードモジュールを備える蒸気タービンのステータブレードリングであって、
前記ステータブレードモジュールが各々、
第1のブレードシェル部分及び該第1のブレードシェル部分にろう付けされた第2のブレードシェル部分を含み、長手方向通路と、前記第1のブレードシェル部分及び前記第2のブレードシェル部分の少なくとも1つを通って前記長手方向通路に延在する少なくとも1つの開口とをさらに含む細長いブレード部と、
前記ブレード部の第1の長手方向端部にろう付けされ、前記環状チャンバの一部を形成する貫通孔を含み、該貫通孔から前記長手方向通路に延在する内側通路をさらに含む内側部分と、
前記ブレード部の第2の長手方向端部にろう付けされて前記蒸気タービンに係合され、前記蒸気タービンの表面及び前記長手方向通路に向けて開いた外側通路を含む外側部分と
を備える、ステータブレードリング。
【請求項2】
前記外側部分が、前記蒸気タービンの表面に第1のリッジを係合するように構成された第1の溝と、前記蒸気タービンの表面に第2のリッジを係合するように構成された第2の溝とを含む、請求項1記載のステータブレードリング。
【請求項3】
前記第1の溝及び前記第2の溝が、前記内側部分に対してオフセットしている、請求項2記載のステータブレードリング。
【請求項4】
前記各ブレードモジュールの内側部分の溝が、前記ステータブレードリングの円周方向溝を形成し、該円周方向溝が、前記複数のブレードモジュールをロックするための金属リングによって係合される、請求項3記載のステータブレードリング。
【請求項5】
前記円周方向溝が、前記ステータブレードリングの中心に向かって内向きに面する、請求項4記載のステータブレードリング。
【請求項6】
多段蒸気タービンであって、当該多段蒸気タービンが、
少なくとも1つのインペラを含むロータアセンブリと、
前記ロータアセンブリに接続され且つ該ロータアセンブリを回転可能に支持する軸受と、
環状チャンバを画成する複数のステータブレードモジュールを有する、前記蒸気タービンの最終段のステータブレードリングと
を備えており、前記各ブレードモジュールが、
第1のブレードシェル部分及び該第1のブレードシェル部分にろう付けされた第2のブレードシェル部分を含む少なくとも1つの細長いブレード部と、
前記少なくとも1つのブレード部の第1の長手方向端部にろう付けされ、前記環状チャンバの一部を形成する貫通孔を含む内側部分と、
前記少なくとも1つのブレード部の第2の長手方向端部にろう付けされて前記蒸気タービンの表面に係合された外側部分と
を含んでおり、前記ブレードモジュールのうちの少なくとも1つのブレードモジュールのブレード部が、長手方向通路及び蒸気凝縮液が前記長手方向通路に流入するための開口を含み、前記少なくとも1つのブレードモジュールの内側部分が、前記蒸気凝縮液が前記環状チャンバと前記長手方向通路との間を流れるため前記貫通孔から前記長手方向通路に延在する内側通路を含み、前記ブレードモジュールのうちの少なくとも1つの別のブレードモジュールのブレード部が、長手方向通路を含み、前記別のブレードモジュールの内側部分が、前記蒸気凝縮液が前記環状チャンバと前記長手方向通路との間を流れることができるように前記貫通孔から前記長手方向通路に延在する内側通路を含み、前記別のブレードモジュールの外側部分が、前記蒸気凝縮液が前記ステータブレードリングから流出できるように前記長手方向通路及び開口から前記ターボ機械の表面に延在する外側通路を含む、多段蒸気タービン。
【請求項7】
前記各ブレードモジュールの外側部分の第1の溝が、前記蒸気タービンの表面上の第1のリッジによって係合される、請求項6記載の蒸気タービン。
【請求項8】
前記各ブレードモジュールの外側部分の第2の溝が、前記蒸気タービンの表面上の第2のリッジによって係合される、請求項7記載の蒸気タービン。
【請求項9】
前記第1の溝が、前記ターボ機械内の作動流体の流れの上流側に面し、前記第2の溝が、下流側に面する、請求項8記載の蒸気タービン。
【請求項10】
蒸気タービンの最終段のステータブレードリング用のブレードモジュールを製造する方法であって、前記ブレードモジュールが、細長いブレード部と、内側部分と、外側部分とを含み、当該方法が、
第1のブレードシェル部分の第1及び第2の縁部を第2のブレードシェル部分の第1及び第2の縁部にろう付けし、前記細長いブレード部に長手方向通路を形成するステップと、
前記内側部分に貫通孔を形成するステップと、
内側部分の表面から前記貫通孔に延在する内側通路を前記内側部分に形成するステップと、
前記ブレード部の第1の長手方向端部を前記内側部分の表面にろう付けし、前記長手方向通路が前記内側通路に向けて開くようにするステップと、
前記外側部分の第1の表面から第2の表面に延在する外側通路を前記外側部分に形成するステップと、
前記ブレード部の第2の長手方向端部を前記外側部分の第1の表面にろう付けし、前記長手方向通路が前記外側通路に向けて開くようにするステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には蒸気タービンに関し、具体的には、蒸気タービン用のステータブレードリング及びステータブレードリングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、蒸気の熱及び圧力エネルギーを回転運動に変換し、これを用いて仕事を行うことができるターボ機械である。蒸気タービンは、例えば、発電機又は圧縮機を駆動するのに用いることができる。
【0003】
蒸気タービンの効率を向上させるために、蒸気は、多くの場合、複数の段を通って膨張される。各段は通常、ステータブレードダイアフラムと、少なくとも1つのインペラを含む軸受装着ロータアセンブリとを含む。
【0004】
蒸気が、蒸気タービンの後段を通って進むと、十分なエネルギーが蒸気から吸収されて蒸気の一部が凝縮されるようになり、従って、いわゆる湿潤蒸気になることができる。潜在的に腐食作用を有することに加えて、湿り蒸気がステータブレードダイアフラムに衝突したときに、凝縮液は、ステータブレード及びダイアフラムの他の部分に激しく衝突する傾向がある。結果として、蒸気タービンの後段におけるステータブレード及び各ステータブレードダイアフラムの他の部分は、例えば、高比率の凝縮液を有する湿り蒸気に長期にわたり曝露されている間に損傷を受ける可能性がある。
【0005】
最新の蒸気タービンにおいて、ステータブレードダイアフラムの製造は、特に各々が1以上の別個のステータブレードダイアフラムを含むことができる1以上の段を有する多段蒸気タービンにおいてコストの多くの部分を占める。
【0006】
ステータブレードダイアフラムが損傷を受けた場合、蒸気タービンをシャットダウンし、保守整備のために損傷を受けたステータダイアフラムを取り外すことが必要となる可能性がある。現場での補修が実施可能ではない場合、ダイアフラム全体を補修のための送る必要があり、或いは、新規のステータダイアフラム全体を設置しなければならない。さらに悪いことには、代替物が利用可能である場合、新規のステータブレードダイアフラムを作製しなければならない。従って、ステータダイアフラムのコストに加えて、蒸気タービンの停止時間の延長に伴うコストも発生する。
【0007】
従って、必要とされるのは、保守整備及び/又は交換が容易であり、湿り蒸気が存在する場合にも正常に動作することができ、また、製造がより容易な簡単な設計を提供する、従来のステータブレードダイアフラムに対する代替物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3881842号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例示的な実施形態では、蒸気タービンのステータブレードリングは、環状チャンバを画成する複数のステータブレードモジュールを備え、各ステータブレードモジュールが、第1のブレードシェル部分及び該第1のブレードシェル部分にろう付けされた第2のブレードシェル部分を有する細長いブレード部を含む。細長いブレード部はさらに、長手方向通路と、第1のブレードシェル部分及び第2のブレードシェル部分のうちの1つを通って長手方向通路に延在する少なくとも1つの開口とを有する。内側部分が、ブレード部の第1の長手方向端部にろう付けされ、該内側部分は、環状チャンバの一部を形成する貫通孔を含み、該貫通孔から前記長手方向通路に延在する内側通路をさらに含む。外側部分が、ブレード部の第2の長手方向端部にろう付けされて蒸気タービンに係合され、該外側部分は、蒸気タービンの表面及び長手方向通路に向けて開いた外側通路を含む。
【0010】
別の例示的な実施形態では、ターボ機械は、少なくとも1つのインペラを含むロータアセンブリと、ロータアセンブリに接続され且つ該ロータアセンブリを回転可能に支持する軸受と、環状チャンバを画成する複数のステータブレードモジュールを有するステータブレードリングとを含む。各ブレードモジュールは、第1のブレードシェル部分及び該第1のブレードシェル部分にろう付けされた第2のブレードシェル部分を有する少なくとも1つの細長いブレード部と、少なくとも1つのブレード部の第1の長手方向端部にろう付けされ、環状チャンバの一部を形成する貫通孔を有する内側部分と、少なくとも1つのブレード部の第2の長手方向端部にろう付けされて蒸気タービンの表面に係合された外側部分とを含む。ブレードモジュールのうちの少なくとも1つが、長手方向通路及び液体が長手方向通路に流入するための開口と、液体が環状チャンバと長手方向通路との間を流れることができるように、貫通孔から長手方向通路に延在する内側部分の内側通路とを含む。ブレードモジュールのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのブレード部の長手方向通路と、液体が環状チャンバと長手方向通路との間を流れることができるように、貫通孔から長手方向通路に延在する内側部分の内側通路と、液体がステータブレードリングから流出できるように長手方向通路及び開口からターボ機械の表面に延在する外側通路とを含む。
【0011】
別の例示的な実施形態では、ステータブレードリング用のブレードモジュールを製造する方法は、第1のブレードシェル部分の第1及び第2の縁部を第2のブレードシェル部分の第1及び第2の縁部にろう付けし、長手方向通路を有する細長いブレード部を提供するステップと、内側部分に貫通孔を形成するステップと、内側部分の表面から貫通孔に延在する内側通路を内側部分に形成するステップと、ブレード部の第1の長手方向端部を内側部分の表面にろう付けし、長手方向通路が内側通路に向けて開くようにするステップと、外側部分の第1の表面から第2の表面に延在する外側通路を外側部分に形成するステップと、ブレード部の第2の長手方向端部を外側部分の第1の表面にろう付けし、長手方向通路が外側通路に向けて開くようにするステップとを含む。
【0012】
本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、1以上の実施形態を例証しており、本明細書と共にこれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】蒸気タービンの図。
図2】例示的な実施形態の斜視図。
図3図2の例示的な実施形態の側面図。
図4図2に示す例示的な実施形態の断面図。
図5図2に示す例示的な実施形態の内側部分の図。
図6図2に示す例示的な実施形態の内側部分の図。
図7図2に示す例示的な実施形態の内側部分の図。
図8図2に示す例示的な実施形態の外側部分の図。
図9図2に示す例示的な実施形態の外側部分の図。
図10図2に示す例示的な実施形態の外側部分の図。
図11】例示的な実施形態による、ステータブレードリング用のブレードモジュールを製造する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は、同じ又は同様の要素を示している。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。以下の実施形態は、簡単にするために、ステータ及びロータを有するタービン機械の用語及び構造に関して考察される。しかしながら、以下で考察されることになる実施形態は、これらの例示的なシステムに限定されず、他のシステムに適用してもよい。本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」として言及することは、実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、又は特性が本開示の主題の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所で表現「一実施形態では」又は「ある実施形態では」が出現するが、必ずしも同じ実施形態について言及している訳ではない。さらに、具体的な特徴、構造、又は特性は、1以上の実施形態ではあらゆる好適な様態で組合せてもよい。
【0015】
これらの例示的な実施形態によるステータブレードに関する以下の考察についてのある関連状況を提供するために、図1は、多段蒸気タービン400の形態のターボ機械を概略的に示している。ここで、蒸気タービン400はハウジング(ステータ)420を含み、その内部には、複数のインペラロータ440を備えるロータシャフト450と共に幾つかのステータブレードダイアフラム430が配置されている。シャフト450は、半径方向及び軸方向で軸受480を介して支持される。
【0016】
作動中、蒸気タービンは、入口460から蒸気入力を受け取り、種々の膨張段を通って凝縮器につながる出口470に流出させる。各タービン段では、蒸気はステータダイアフラム430によってインペラロータ440上に配向され、これにより蒸気の温度及び圧力エネルギーを回転エネルギーに変換し、ロータシャフト450において仕事に使用可能である。
【0017】
図2は、本発明の例示的な実施形態による、ステータブレードリング12の一部を示す。ステータブレードリング12は、蒸気タービン10においてロータ28(図3)の周りに延在する複数の個々のステータブレードモジュール14を含む。図2では、2つのこのようなブレードモジュール14a、14bが示されている。
【0018】
各ステータブレードモジュール14a、14bは、図2及び図3に示すように、細長いブレード部16を含む。図4は、長手方向補強リブ24と長手方向通路26とを有する細長いブレード部16の断面図を示す。図4にさらに示されるように、ブレードモジュール116はまた、補強リブ24無しで設けることもでき、従って、単一の長手方向通路26を有することができる。以下でさらに詳細に考察されるように、各ブレード部16は、上流側縁部32及び下流側縁部34に沿って第1のブレードシェル部分18を第2のブレードシェル部分22にろう付けすることにより作製される。
【0019】
図2図4にさらに示すように、各ブレード部16は、ブレードシェル部分22及びブレードシェル部分24のうちの少なくとも1つに複数の開口36を含む。図2図4の実施形態では、各開口36は、放電加工によって形成されたスロットである。或いは、開口36は、孔加工又はフライス加工などの他の機械加工プロセスによって形成することができ、もしくは開口36は、例えば、モールドインサートによってブレードシェル部分22及びブレードシェル部分24の初期製造中に形成されてもよい。
【0020】
各ブレードモジュール14は、図2に示すように、少なくとも1つのブレード部16の第1の長手方向端部に接続された内側部分38を含む。図2図4に示す実施形態では、内側部分38は、以下でさらに考察されるように、ブレード部16にろう付けされる。各内側部分38は、ブレード部16の長手方向軸線46(図3)に横方向に延在する貫通孔42を含む。貫通孔42は、ブレードモジュールの各々が蒸気タービン10内に設置されたときに、ステータブレードリング12において環状チャンバ20の一部を形成する。隣接するブレードモジュール14において貫通孔12間のシールを強化するために、各貫通孔12の少なくとも1つの端部は、シールガスケットを受けるように構成された溝48を備えることができる。図2図4の実施形態では、溝48は、Oリングを受けるように構成される。
【0021】
各内側部分38はまた、図3に示すように、貫通孔12から各長手方向通路26に延在する少なくとも1つの内側通路44を含む。代替として、補強リブ24がブレード部16の長手方向端部の手前で終端されている場合、単一の内側通路44が両方の長手方向通路26に向けて開くことができる。
【0022】
各ステータブレードモジュール14はまた、図2及び図3に示すように、少なくとも1つのブレード部16の第2の長手方向端部に接続された外側部分52を含む。各外側部分52は、図2図9及び図10に示すように、各長手方向通路26に向けて、並びに蒸気タービン10の内側表面に向けて開いた少なくとも1つの外側通路54を含む。さらに、図2図4及び図8図10の実施形態では、各外側部分は、その少なくとも1つの側部上に溝74を含むことができる。溝74は、互いに隣接する外側部分52をシールし、及び/又はステータブレードリング12に減衰作用をもたらすガスケットを受けるように構成することができる。ステータブレードリング12は、図2に示すように、蒸気タービン10の後段の1つにおいて用いることができる。作動中、各ブレード部14に衝突する湿り蒸気からの凝縮液は、開口36の1つを通ってブレード部16の長手方向通路26に流入することができる。凝縮液が蒸気タービン10の構成要素に損傷を及ぼす可能性が低い場所で凝縮液がステータブレードリング12の外部に流出するまで、ブレードモジュール14内を移動するのに複数の経路が利用可能である。ロータシャフトの上にステータブレードモジュール14を含むことができる1つの経路において、凝縮液は、各長手方向通路26及び内側通路44を通って下方に移動して貫通孔12に入ることができる。ステータブレードリング12の周りに延在する環状チャンバ20を形成する隣接ブレードモジュール14における開放貫通孔42は、重力により凝縮液を下向きに連続して流すことを可能にする。凝縮液は、環状チャンバ20から出て、蒸気タービン10のロータシャフトより下のブレードモジュール14の内側通路44を通る下方経路を辿ることができる。最終的に、凝縮液は、外側通路54を通ってブレードリング12の外部の蒸気タービンの表面に流れることができる。
【0023】
別の経路において、凝縮液は、蒸気タービン10のロータシャフトより下のブレード部16の長手方向通路26に入り、最初に貫通孔42によって形成される環状チャンバ20を通って移動せずに、外側通路54を通って流出することができる。
【0024】
蒸気タービン10の後段を通って進む湿り蒸気から凝縮液を除去することにより、ステータブレードリング12並びにタービンブレード16及び蒸気タービン10の他の下流側構成要素に対する損傷を阻止することができる。さらに、ステータブレードリング12は、他のプロセスで使用するために余熱を含むことができる凝縮液の収集を可能にする。
【0025】
一部のブレードモジュール(例えば、蒸気タービン10のロータシャフトの上のブレードモジュール)は、凝縮液の下流側への流れによりロータシャフトの上のブレードモジュール14における外側通路54の必要性を排除することができるので、外側通路54無しで設けられ、例えば、製造コストを低減することができる。さらに、一部のブレードモジュール14は、例えば、製造コストをさらに低減するためにスロット無しのブレード部16を備えることができる。代替として、図2図3及び図5図10の実施形態に示すように、ブレードモジュール14の各々は、互いに同一とすることができる。この特徴要素は幾つかの利点を提供することができる。例えば、製造プロセスがより均一になる。また、蒸気タービン10の保守整備は、全てのブレードモジュール14がステータブレードリング12内で同一であるので、例示的な実施形態によって実施可能な単一のブレードモジュール14の補修又は交換の間に単一の部品数しか必要ではない点で、より好都合である。
【0026】
1つの単位として保守整備する必要があるステータブレードダイアフラムに対してコスト節減を可能にすることに加えて、ブレードモジュール14は、従来のステータブレードダイアフラムリングよりも設置及び/又は交換が簡単な簡易的一体部品設計を提供する。図2図3及び図8図10に示すように、各ブレードモジュール14の外側部分52は、蒸気タービン10に直接係合される。具体的には、各外側部分52は、上流側溝56及び下流側溝58を含む。蒸気タービン10は、溝56を係合する上流側リッジ62と、溝58を係合する下流側リッジ64とを含む。溝56は、溝58よりも内側部分38により近接してオフセットしている。溝56及び58間のオフセットにより、各ステータブレードモジュールが蒸気タービン10を通る蒸気の所望の流路に良好に一致することが可能になり、また、技術者が、ステータブレードリング12の組み立て又は保守整備中にブレードモジュール14を意図せずに間違った向きに設置するのを防ぐことができる。
【0027】
図2及び図3に示すように、外側通路54は、リッジ62とリッジ64との間の蒸気タービン10の表面に向けて開いている。チャンバ76は、ブレードリング12の外側表面と蒸気タービン10の表面との間に形成される点に留意されたい。チャンバ76は、外側通路54から流出する凝縮液の好都合な収集を可能にすることができる。
【0028】
各内側部分38の溝66は、図2図3及び図5図7に示すように、ステータブレードリング12の中心に面する連続した円周方向溝を形成する。図3に示すように、各溝66は、ステータブレードモジュール14を共にロックする金属リング68によって係合される。
【0029】
図2図3及び図5図7にさらに示すように、各ステータブレードモジュール14の内側部分38は、各ブレード16の第1の長手方向端部を囲む内側ろう付けプラットフォーム72を画成する。また、図2図3及び図8図10に示すように、各ステータブレードモジュールの外側部分52は、各ブレード16の第2の長手方向端部を囲む外側ろう付けプラットフォーム74を画成する。
【0030】
ろう付けプラットフォーム72及びろう付けプラットフォーム74は、各ブレード16の長手方向端部をろう付けし、及び/又は蒸気タービン10内に段及び/又は蒸気流路の一部を画成するための好都合な表面を提供する。図2及び図3から、各外側部分52のろう付けプラットフォーム74は、蒸気タービン10の周囲表面に均等に移行する点に留意されたい。
【0031】
図2図4の実施形態では、ブレードシェル部分18は、ブレードシェル部分22に真空ろう付けすることができる。結果として得られるブレード部16の第1及び第2の長手方向端部は、各ステータブレードモジュール14の内側部分38及び外側部分52に真空ろう付けすることができる。ダイアフラム14の真空ろう付けを実施するのに使用される真空ろう付け機器は、例えば、米国特許第4874918号及び第4401254号で開示されるような標準的な真空ろう付け機器とすることができ、これらの開示事項は引用により本明細書に組み込まれる。
【0032】
従って、図11に示す例示的な実施形態では、細長いブレード部と、内側部分と、外側部分とを含む、ステータブレードリング用のブレードモジュールを製造する方法(100)は、第1のブレードシェル部分の第1及び第2の縁部を第2のブレードシェル部分にろう付けし、細長いブレード部に長手方向通路を形成するステップ(1002)と、内側部分に貫通孔を形成するステップ(1004)と、内側部分の表面から貫通孔に延在する内側通路を内側部分に形成するステップ(1006)と、ブレード部の第1の長手方向端部を内側部分の表面にろう付けし、長手方向通路が内側通路に向けて開くようにするステップ(1008)と、外側部分の第1の表面から第2の表面に延在する外側通路を外側部分に形成するステップ(1010)と、ブレード部の第2の長手方向端部を外側部分の第1の表面にろう付けし、長手方向通路が外側通路に向けて開くようにするステップ(1012)とを含むことができる。
【0033】
上記の例示的な実施形態は、全てに点において本発明の限定ではなくて例示であることを意図している。従って、本発明は、本明細書に含まれる説明から当業者が導くことができる詳細な実施構成の多くの変形形態が可能である。全てのそのような変形及び修正形態は、特許請求の範囲によって定まる本発明の技術的範囲及び技術思想の範囲内にあると考えられる。本出願の説明に使用された如何なる要素、段階又は命令も、明示的に示していない限り、本発明に決定的に重要な、あるいは不可欠なものとして解釈されるべきではない。また、本明細書で使用する場合に、数詞を付していない表現は、1以上の項目を含むことを意図している。
【符号の説明】
【0034】
400 多段蒸気タービン
420 ハウジング(ステータ)
430 ステータブレードダイアフラム
440 インペラロータ
450 シャフト
460 入口
470 出口
480 軸受
図1
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図11