特許第6163310号(P6163310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163310
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】定電圧回路及びアナログ電子時計
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20170703BHJP
   G04C 10/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   G05F1/56 310C
   G04C10/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-20715(P2013-20715)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-153772(P2014-153772A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 考太郎
(72)【発明者】
【氏名】見谷 真
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−054316(JP,A)
【文献】 特開平10−206568(JP,A)
【文献】 特開2000−298523(JP,A)
【文献】 特開2005−258644(JP,A)
【文献】 特開2005−073155(JP,A)
【文献】 特開2005−322105(JP,A)
【文献】 特開2011−090364(JP,A)
【文献】 特開2009−116684(JP,A)
【文献】 特開2014−142248(JP,A)
【文献】 国際公開第04/097543(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0237048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
G04C 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で間欠動作することで低消費の電流で動作し、且つ出力端子に一定の電圧を出力する定電圧回路であって、
前記出力端子に接続された出力トランジスタと、
前記出力端子の電圧が一定の電圧になるように前記出力トランジスタのゲートを制御する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路と前記出力トランジスタのゲートの間に接続された第一スイッチ回路と、
前記出力トランジスタのゲートと前記出力端子の間に、第二スイッチ回路を介して接続される第一保持回路と、
前記出力トランジスタのゲートと電源端子の間に、第三スイッチ回路を介して接続された第二保持回路と、を備え、
第一制御信号によって前記差動増幅回路と前記第一スイッチ回路を間欠動作し、第二制御信号によって前記第二スイッチ回路をオンし前記第三スイッチ回路をオフすることで前記第一スイッチ回路がオフの時に前記第一保持回路で前記出力トランジスタのゲートの電圧を保持し、前記定電圧回路が低消費電流で動作する第一制動作モードと、
前記第一制御信号によって前記差動増幅回路と前記第一スイッチ回路をオンし、前記第二制御信号によって前記第二スイッチ回路をオフし前記第三スイッチ回路をオンすることで前記第二保持回路で前記出力トランジスタのゲートとソース間の電圧を保持し、前記定電圧回路が通常のボルテージレギュレータとして動作する第二制動作モードと、を有する
ことを特徴とする定電圧回路。
【請求項2】
前記第二制御信号によって前記第三スイッチ回路がオフしているときに、前記第二保持回路を前記出力トランジスタのゲートとソース間の電圧に設定し、前記第二制御信号によって前記第三スイッチ回路がオンしたときに前記出力トランジスタのゲートとソース間の電圧が変動しないように動作するプリチャージ回路を、備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の定電圧回路。
【請求項3】
前記プリチャージ回路は、入力端子が前記出力トランジスタのゲートに接続され、
出力端子が第四スイッチ回路を介して前記第二保持回路に接続されたボルテージフォロア回路で構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の定電圧回路。
【請求項4】
請求項1に記載の定電圧回路から電源を供給される発振回路を備えた半導体装置と、
前記半導体装置の出力信号によって駆動されるモーターを備えた
ことを特徴とするアナログ電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した定電圧が得られる定電圧回路及びその定電圧回路を備えたアナログ電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ電子時計のブロック図を図2に示す。アナログ電子時計は、半導体装置81と、水晶80と、電池83と、モーター82で構成される。半導体装置81は、水晶80が接続される発振回路811と、分周回路812と、それらを駆動する定電圧VREGを出力する定電圧回路810と、モーター82を駆動する出力回路で構成される。
【0003】
アナログ電子時計は、電池交換を極力少なくすることを求められるために、半導体装置81は消費電流を少なくする必要がある。半導体装置81の消費電流を少なくする方法として、定電圧回路810の動作電流を少なくすることや、定電圧回路810を間欠動作すること、などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来の定電圧回路のブロック図である。従来の定電圧回路は、基準電圧Vrefを発生させる基準電圧回路22と、差動増幅回路23と、出力トランジスタ10と、帰還回路21と、コンデンサで構成する保持回路40と、スイッチ回路50を備えている。
【0005】
従来の定電圧回路は、出力トランジスタ10のゲート電圧を保持する保持回路40を備え、差動増幅回路23などを間欠動作させることによって消費電力を少なくしている。信号Φ1によって、差動増幅回路23や帰還回路21の動作を停止し、スイッチ回路50をオフする。このとき、出力トランジスタ10のゲート電圧は、保持回路40によって、スイッチ回路50がオフする前の電圧を保持する。負荷電流が大きく変動しない限り、定電圧回路は、定電圧VREGを出力することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−298523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような消費電流を削減した従来の定電圧回路は、差動増幅回路23の過渡応答特性が悪いので、負荷電流が大きく変動した場合、出力電圧を維持することが出来ない。例えば、アナログ電子時計のモーターが駆動され、電池電圧が急激に降下する。そのとき、差動増幅回路23の過渡応答特性が悪いので、出力トランジスタ10のゲート・ソース間電圧が小さくなって、定電圧VREGも変動してしまう。そして、定電圧VREGが発振回路811の発振停止電圧VDOSよりも低くなると、発振回路811は、安定性を損ない、発振が停止する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低消費電流であって、電池電圧が変動しても安定した定電圧が得られる定電圧回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の定電圧回路は、上記課題を解決するために以下のような構成とした。
差動増幅回路と出力トランジスタのゲートの間に接続された第一スイッチ回路と、出力トランジスタのゲートと出力端子の間に第二スイッチ回路を介して接続された第一保持回路と、出力トランジスタのゲートと電源端子の間に第三スイッチ回路を介して接続された第二保持回路と、を備え、第一制御信号によって差動増幅回路と第一スイッチ回路を間欠動作し、第二制御信号によって第二スイッチ回路をオンし第三スイッチ回路をオフする第一制動作モードと、第一制御信号によって差動増幅回路と第一スイッチ回路をオンし、第二制御信号によって第二スイッチ回路をオフし第三スイッチ回路をオンする第二制動作モードと、を有することを特徴とする定電圧回路。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低消費電流かつ安定動作する定電圧回路を提供することができる。従って、電池寿命の長いアナログ電子時計を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の定電圧回路を示す回路図である。
図2】アナログ電子時計のブロック図である。
図3】アナログ電子時計路の動作説明図である。
図4】アナログ電子時計路の動作説明図である。
図5】第2の実施形態の定電圧回路の回路図である。
図6】従来の定電圧回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図2は、アナログ電子時計のブロック図である。半導体装置81と、水晶80と、電池83と、モーター82で構成される。半導体装置81は、水晶80が接続される発振回路811と、分周回路812と、それらを駆動する定電圧VREGを出力する定電圧回路810と、モーター82を駆動する出力回路で構成される。
【0013】
ここで、アナログ電子時計は、電源Vddを基準として動作する。従って、以下、回路は全て電源Vddを基準として説明する。
発振回路811は、外付けの水晶80を安定した周波数で発振させ、一定の周波数のクロック信号を出力する。分周回路812は、発振回路811のクロック信号を分周して、必要な周波数の信号を出力する。出力回路は、分周回路812の信号によってモーター82を駆動する。
【0014】
図1は、第1の実施形態の定電圧回路の回路図である。
定電圧回路810は、基準電圧回路22と、差動増幅回路23と、スイッチ回路50と、出力トランジスタ10と、帰還回路21と、保持回路である容量40及び60とスイッチ回路51〜52を備えている。
【0015】
基準電圧回路22は、基準電圧Vrefを発生させる。帰還回路21は、出力端子の電圧VREGを分圧して帰還電圧VFBを出力する。差動増幅回路23は、基準電圧Vrefと帰還電圧VFBが等しくなるように、出力トランジスタ10のゲートに電圧V1を出力する。また、差動増幅回路23や帰還回路21は、信号Φ1によってオンオフ制御される。スイッチ回路50は、差動増幅回路23に同期して、信号Φ1によってオンオフ制御される。
【0016】
保持回路は、出力トランジスタ10のゲートと出力端子の間に接続された容量40と、出力トランジスタ10のゲートと電源端子Vssの間に接続された容量60と、スイッチ回路51〜52で構成される。保持回路は、スイッチ回路50がオフしたとき、その前の出力トランジスタ10のゲートの電圧V1を保持する。
定電圧回路810は、差動増幅回路23の動作電流を低減する、差動増幅回路23や帰還回路21を信号Φ1によって間欠動作することによって、消費電流の低減を実現する。
【0017】
次に、本実施の形態の定電圧回路の動作について説明をする。
信号Φ1と信号Φ2がともにHighレベルとき、定電圧回路810は通常のボルテージレギュレータとして動作する。信号Φ1がHighレベルなので、差動増幅回路23や帰還回路21は動作し、スイッチ回路50はショートして差動増幅回路23の出力端子は出力トランジスタ10のゲートに接続される。信号Φ2もHighレベルなので、スイッチ回路51がオープンして、スイッチ回路52がショートして、保持回路は容量60が有効になっている。
【0018】
信号Φ1と信号Φ2がともにLowレベルとき、定電圧回路810はボルテージレギュレータとしての動作は停止し、低消費電流状態にある。信号Φ1がLowレベルなので、差動増幅回路23や帰還回路21は動作を停止し、スイッチ回路50がオープンして、差動増幅回路23の出力端子は出力トランジスタ10のゲートと遮断される。信号Φ2もLowレベルなので、スイッチ回路51はショートして、スイッチ回路52はオープンして、保持回路は容量40が有効になる。
【0019】
次に、アナログ電子時計に本実施形態の定電圧回路を使用した場合の動作を説明する。 図3は、アナログ電子時計の動作のタイミングチャートである。電圧VDDは接地電圧、電圧VDOSは発振回路811の発振停止電圧、電圧VREGは定電圧回路810の出力電圧、電圧VSSは電源電圧を示している。
【0020】
アナログ電子時計は、期間t1〜t2、t3〜t4のようにモーターパルスを出力する期間(モーター動作モード)と、それ以外の期間(ノーマル動作モード)とに大別でき、一定間隔で2つの期間を繰り返す。信号Φ1は、間欠動作を制御する信号である。信号Φ1は、例えば、モーター動作モードは定電圧VREGの安定化のためHighレベルとなり、ノーマル動作モードに連続的にHighレベルとLowレベルを繰り返し、低消費電流動作を行なう。信号Φ2は、動作モードを切り替える信号である。信号Φ2は、例えば、モーター動作モードではHighレベル、ノーマル動作モードではLowレベルとなるように制御する。
【0021】
ノーマル動作モードは、信号Φ1は適当な間隔とデューティでHighレベルとLowレベルを繰り返し、信号Φ2はLowレベルである。従って、定電圧回路810は、間欠動作を行なう。また、保持回路は容量40が有効になるので、定電圧回路810は、差動増幅回路23や帰還回路21は動作を停止しても、定電圧VREGを出力することが出来る。
【0022】
モーター動作モードは、信号Φ1と信号Φ2がともにHighレベルであり、定電圧回路810は、容量60が有効の状態で、通常のボルテージレギュレータとして動作する。モーター動作モードでは、モーター82の負荷電流と電池83の内部抵抗の積で決まる電圧分だけ電池電圧|VSS|が低下し、出力トランジスタ10のソース電圧がVDD側に上昇する。このとき、容量60のカップリング動作により、出力トランジスタ10のゲート電圧もVDD側に上昇するため、出力トランジスタ10のゲート・ソース間電圧は一定に保持される。従って、定電圧回路810は、定電圧VREGを一定に保持することができる(図3の期間t1〜t2)。
【0023】
以上説明したように、モーター動作モードにおいても、定電圧回路810は安定して定電圧VREGを出力することが出来るので、発振回路811の発振出力の安定化を可能とする。
【0024】
図4は、動作モードの切替えにおける詳細なタイミングチャートである。
保持回路の容量40と容量60を切替える際に、差動増幅回路23や帰還回路21が動作していることが定電圧回路の安定動作を保証するので、セットアップ時間tSU1、tSU4を確保する必要がある。
【0025】
また、モーター動作モードに入る前に確実に定電圧回路が容量40から容量60に切替わっていることが定電圧回路の安定動作を保証するので、セットアップ時間tSU2を確保する必要がある。同様に、信号Φ2のHighレベルからLowレベルへの切替えにおいてもセットアップ時間tSU3を確保する必要がある。
【0026】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態の定電圧回路の回路図である。第1の実施形態の定電圧回路と同じ構成要素については、同じ符号を付けて、詳細な説明は省略する。
第2の実施形態の定電圧回路は、容量60をプリチャージするためのプリチャージ回路を備えている。プリチャージ回路は、ボルテージフォロア回路70とスイッチ回路53を備えている。ボルテージフォロア回路70は、出力トランジスタ10のゲート電圧V1を入力して、容量60へ出力する。スイッチ回路53は、信号Φ2がLowレベルの時にショートし、Highレベルの時にオープンする。
【0027】
第2の実施形態の定電圧回路は、ノーマル動作モードの時に、スイッチ回路53をショートして、ボルテージフォロア回路70によって容量60を出力トランジスタ10のゲート電圧V1にプリチャージする。従って、信号Φ2がLowレベルからHighレベルになるときに、出力トランジスタ10のゲート電圧V1は変動しないので、定電圧回路は定電圧VREGを安定して出力することが出来る。
【0028】
以上説明したように、第2の実施形態の定電圧回路は、より安定した定電圧VREGを出力することが出来る。
なお、ボルテージフォロア回路70は、低消費電流化のために新たな信号Φ3によって間欠動作をするように構成しても良い。
更に、定電圧回路810は、容量40にもプリチャージ回路を設けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
21 帰還回路
23 差動増幅回路
81 半導体装置
810 定電圧回路
811 発振回路
812 分周回路
813 出力制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6