(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163314
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置
(51)【国際特許分類】
A61K 8/18 20060101AFI20170703BHJP
B01F 3/08 20060101ALI20170703BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20170703BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20170703BHJP
B01F 15/04 20060101ALI20170703BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
A61K8/18
B01F3/08 Z
B01F5/00 D
B01F15/00 D
B01F15/04 A
A61Q19/00
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-24284(P2013-24284)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-152152(P2014-152152A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166959
【氏名又は名称】御木本製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392035189
【氏名又は名称】橋本電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】前山 薫
(72)【発明者】
【氏名】野村 重雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】奥野 明宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 正敏
【審査官】
松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−502022(JP,A)
【文献】
特開2005−112782(JP,A)
【文献】
特開2003−062493(JP,A)
【文献】
特開2002−284618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
A45D 34/00
B01F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる成分構成をもつ多数の化粧原液を別々に貯蔵する多数の貯蔵部と、
前記多数の化粧原液を混合するための混合空間を内蔵し、一端に排出口を有する混合部と、
前記各貯蔵部から前記混合部へ前記各化粧原液をそれぞれ所定量だけ吐出する吐出部と、
前記混合部に吐出された各化粧原液をボトルに移送する移送部と、
前記吐出部及び前記移送部を制御することにより、予め決定された最適調合比の化粧液を前記混合部の前記排出口から前記ボトルに排出させる制御部と、
を備え、
前記吐出部は、前記各貯蔵部と前記混合部とを個別に連結する多数の弁付き原液配管を有し、
前記移送部は、上下方向へ延在するとともに下端に排出口を有する長筒状の前記混合部の最上流端に連結されて前記混合部に空気を注入する弁付き空気配管を有し、
前記制御部は、前記混合部への前記各化粧原液の吐出時に前記弁付き原液配管の前記各弁を開放し、かつ、前記混合部に吐出された前記各化粧原液をボトルに排出する際に前記各弁を閉鎖するとともに前記弁付き空気配管を通じての前記混合部への空気の圧入により前記混合部内の前記各化粧原液を前記混合部の排出口から前記ボトルへ押し出すことを特徴とする個肌に対応した化粧液調合装置。
【請求項2】
前記各弁付き原液配管は、前記化粧原液としての水を前記混合部に吐出するための弁付き水吐出管を含み、
前記弁付き水吐出管は、他の化粧原液のための前記各弁付き原液配管よりも前記長筒状の混合部の上流側に連結されている請求項1記載の個肌に対応した化粧液調合装置。
【請求項3】
高粘度の化粧原液のための前記弁付き原液配管は、低粘度の化粧原液のための前記弁付き原液配管よりも前記長筒状の混合部の下流側に連結されている請求項2記載の個肌に対応した化粧液調合装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記混合部への前記各化粧原液の吐出後、前記混合部への前記水及び空気の送入を交互に複数回実行する請求項2記載の個肌に対応した化粧液調合装置。
【請求項5】
前記混合部を洗浄するための洗浄部を有し、
前記洗浄部は、前記混合部に連結されて前記混合部に洗浄液としてのエチルアルコールを注入する弁付きエチルアルコール配管を有し、
前記制御部は、前記混合部から前記ボトルに調合化粧液を排出した後、弁付きエチルアルコール配管から前記混合部に前記エチルアルコールを注入して前記混合部をアルコール洗浄する請求項2記載の個肌に対応した化粧液調合装置。
【請求項6】
前記洗浄部は、前記混合部に連結されて前記混合部に洗浄水を前記混合部に注入する弁付き洗浄水配管を有し、
前記制御部は、前記アルコール洗浄の後、前記弁付き洗浄水配管から前記混合部に前記洗浄水を注入して前記混合部を水洗浄する請求項5記載の個肌に対応した化粧液調合装置。
【請求項7】
前記混合部を乾燥するための乾燥部を有し、
前記乾燥部は、前記混合部に連結されて前記混合部を乾燥するための空気を前記混合部に送出する前記弁付き空気配管からなり、
前記制御部は、前記アルコール及び前記水による洗浄の後、前記弁付き空気配管から前記混合部に空気を送出して前記混合部を乾燥させる請求項6記載の個肌に対応した化粧液調合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個肌に対応した化粧液を調製するためのオリジナル化粧液調合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は、検出した各々の顧客の肌質に対応して化粧原液の調合比を決定し、この決定された調合比で多数の化粧原液を調合することにより、個肌に対応したオリジナル化粧液サンプルを製造するオリジナル化粧液サンプル調合装置を提案している。この装置の採用により、各々の顧客のは、自分に最適なオリジナル化粧液サンプルを入手することができるため、事業者は、オリジナル化粧液サンプルと同じ調合比を有し、顧客満足度が高いオリジナル化粧液を継続的に販売することが可能となる。
【0003】
特許文献1は、この種の個肌に対応したオリジナル化粧液サンプル調合装置を概念的に開示している。すなわち、この特許文献1の調合装置は、各化粧原液が充填された多数の原液タンクと漏斗状注入部とを連通する多数の原液配管を有し、各原液タンクはそれぞれ、バルブを通じて原液配管に接続されてる。各バルブの開閉を制御することにより、漏斗状注入部から下方のボトルに落下する各化粧原液の比率が制御される。
【0004】
特許文献2も、個肌に対応したオリジナル化粧液サンプル調合装置を概念的に開示している。すなわち、この特許文献1の調合装置は、各化粧原液が充填された多数の原液タンクと、選択された化粧原液を混合部に送るポンプを有している。ポンプの個数は不明ではあるが、ポンプを用いて原液タンクの化粧原液を混合部に送る構造をもつことは理解される。
【0005】
さらに、特許文献2は、調合化粧液を充填部に送った後の混合部に洗浄液を供給する洗浄液ポンプも開示している。これにより、各化粧原液が混合される混合空間である混合部に残留する化粧原液などが洗浄される。
【0006】
上記説明された各個肌に対応したオリジナル化粧液サンプル調合装置は、その場で個肌に対応したオリジナル化粧液サンプルを調製するため顧客の要望にすぐに応えることが出来、販売において有用と考えられる。
【0007】
けれども、本発明者の試作、実験によれば、個肌に対応したオリジナル化粧液の調合装置の実際の製造は、難しい課題をもち、それがこの種の装置の実用を妨げていることがわかった。
【0008】
すなわち、この個肌に対応したオリジナル化粧液の調製は、販売員と顧客との間の対面販売場面でなされるため、個肌に対応したオリジナル化粧液の調製に許容される時間は非常に短いことである。
【0009】
しかしながら、多数の化粧原液の正確な調合は容易ではない。これは、顔の肌質には、保湿性、油性、顔色などの多くの特性があり、これらの肌特性に対応するべく、個肌に対応したオリジナル化粧液の理想的な創製には、たとえば10種類、さらに好適には30種類程度の化粧原液を正確な調合比で調合しなければならないためである。
【0010】
このような多数の化粧原液を正確な調合比で調合しなければならないということは、各化粧原液を所定量ずつシーケンシャル(時間順次)にボトルに充填するという手法(シーケンシャル法)の採用が困難であることを意味する。
【0011】
言い換えれば、調合時間を短縮するために、多数の化粧原液は同時並列的に供給されなければならない。なぜなら、調合すべき化粧原液の総数は、10個以上、更に好ましくは30個程度となるからである。しかし、ボトルが狭い上端開口をもつことを考慮すると、各化粧原液をボトルに一斉注入することは現実的でなく、多数の化粧原液の一斉混合のために、ボトルとは別の混合室を設ける必要があることが理解される。
【0012】
しかしながら、多数の化粧原液を並列混合する場合、混合室を内蔵する混合部がどうしても大型とならざるを得ない。その結果、調合終了後の混合部の洗浄のために使用する洗浄液の消費量が増大するという欠点があった。混合部に付着残留する化粧原液としては、たとえばグリセリンなどの粘度が高い油剤もあるため、洗浄液としては、エチルアルコールのような溶剤が用いられるべきである。しかし、このような揮発性が高い溶剤の大量使用は、周囲空間に異臭を発生させる。
【0013】
さらに、洗浄液の費用、洗浄後の廃液処理の費用、洗浄時間の短縮などを考慮すると、個肌に対応したオリジナル化粧液の調合後の混合部の洗浄に要する洗浄液消費量を低減することが特に重要である。個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置を実現するためのこの問題点について、特許文献1、2は何ら開示乃至示唆する段階にいたっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表平1997ー502022号公報
【特許文献2】特開2003ー252721号公報
【発明の概要】
【0015】
本発明は、従来の個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置技術における上記問題点に鑑みなされたものであり、調合化粧液の創製に要する処理時間及び費用を節約可能な個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置を提供することをその目的としている。
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明によれば、多数の化粧原液貯蔵部はそれぞれ、細い弁付き原液吐出管を通じて混合部に連結される。各弁は、各化粧原液貯蔵部から混合部への各化粧原液の吐出に際して開かれ。混合部から各化粧原液をボトルに排出する際に閉じられる。
【0017】
すなわち、この調合装置は、各貯蔵部から混合部への各化粧原液の吐出工程と、混合部から各化粧原液の排出工程とを時間順次に行うとともに、排出工程において、混合部から貯蔵部への各化粧原液の逆流を防止することができる。さらに、混合部が狭隘であっても、この排出に際して、混合部内の混合化粧液に大きな排出力を与えることができので、排出時間を短縮することができる。さらに、混合部から各化粧原液をボトルに移送する前に、各弁が閉じられているので、化粧原液が吐出部側に逆流することがない。
【0018】
好適な態様において、化粧原液混合用の混合部は長筒状に形成される。さらに、各化粧原液タンクに別々に連通する多数の弁付き吐出管は、この長筒状の混合部の軸方向に配列される。
【0019】
これにより、各弁付き吐出管が連結される混合部の内部容積及びその内側表面積を減らすことができる。これにより、混合部に洗浄に要する洗浄液量及び洗浄時間を減らすことができる。
【0020】
好適な態様において、原液パイプの1つとしての水パイプは、長筒状の混合部の最上流側に配置される。これにより、混合部から最後に押し出される化粧原液の一部としての水が、混合部の内面に残留する他の化粧原液を押し流すため、混合部に付着する化粧原液の残留により、ボトルに排出された化粧液の調合比が変動することを防止できるとともに、その後の混合部の洗浄負担を軽減することができる。
【0021】
好適な態様において、高粘度の化粧原液のための原液パイプは、低粘度の化粧原液よりも混合部の下流側に連結される。これにより、混合部内面の洗浄が容易となる。
【0022】
好適な態様において、長筒状の混合部に注入された各原液の混合物は、混合部の
最上流端に吹き込まれた空気流により、外部に押し出される。これにより、混合部からボトルへの化粧液の排出に際して、混合部内に残留する化粧液量を低減することができる。さらに、その後の混合部の洗浄負担を軽減することができる。
【0023】
好適な態様において、上記した水及び空気の送入による混合部の洗浄は交互に複数回実行される。これにより、混合部内面に付着した液の剥離及び排出が促進されるので、洗浄率が向上する。
【0024】
好適な態様において、混合部で混合された化粧液を外部のボトルに排出した後、エチルアルコールが混合部に導入される。混合部の排出口から排出されたエチルアルコールは、排液ボトルに排出される。これにより、混合部を良好に洗浄することができる。
【0025】
好適な態様において、エチルアルコール洗浄の後、さらに混合部に洗浄水を注入して、水洗浄を行う。これにより、エチルアルコールの臭いが次の個肌に対応したオリジナル化粧液に付着するのを防止することができる。
【0026】
好適な態様において、混合部には弁付きの空気配管が連結される。洗浄終了後、この空気配管から混合部に空気が送られ、混合部の内面が乾燥される。これにより、混合部に洗浄用のエチルアルコールや水が残留するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、この個肌に対応したオリジナル化粧液サンプル調合装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、長筒状の混合部4の上端部を拡大図示する縦断面図である。
【
図3】
図3は、化粧原液ボトル11、吐出シリンダ21及び電磁弁31を拡大図示する縦断面図である。
【
図4】
図4は、ボトル8の上部を拡大図示する縦断面図である。
【
図5】
図5は、基本動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置の好適な実施態様が図面を参照し
て以下に説明される。
図1は、この個肌に対応したオリジナル化粧液サンプル調合装置を示すブロック図である。
【0029】
この個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置(以下、単に調合装置とも言う)は、貯蔵部1、吐出部2、電磁弁部3、混合部4、移送部5、洗浄部6及びそれらを接続する配管部を有している。マイクロコンピュータを内蔵する制御部9は、吐出部2及び電磁弁部3を制御する。
【0030】
貯蔵部1は、N(10乃至30)個の化粧原液ボトル11-15を含む。これらの化粧原液ボトル11-15は、上流原液配管71A-75Aの一端部に連結されている。吐出部2は、N個の吐出シリンダ21-25からなる。各吐出シリンダ21-25の吐出口は、上流配管71A-75Aに個別に連結されている。
【0031】
電磁弁部3は、N個の原液電磁弁31-35からなる。上流配管71-75の他端部は、原液電磁弁31-35の流入側の開口に個別に連結されている。原液電磁弁31-35の流出側の開口は、下流原液配管71B-75Bの上流側開口に個別に連結されている。下流原液配管71B-75Bの下流側開口はそれぞれ、長筒状の混合部4の周壁に設けられた開口部に連通している。
【0032】
各化粧原液ボトル11-15のうち、混合部4の最上流部には、水を貯蔵する化粧原液ボトル11が連結される。さらに、残りの化粧原液ボトル12-15のうち低粘度の化粧原液ボトルは、混合部4の上流側に連結され、高粘度の化粧原液ボトルは、混合部4の下流側に連結されている。
【0033】
長筒状の混合部4の最上端は、下流側空気配管76B及び空気電磁弁36を通じて、上流側空気配管76Aに連結されている。この上流側空気配管76Aは、図略の空気ポンプの吐出開口に連結されている。この空気ポンプは、空気配管76A、76B、空気電磁弁36とともに、本発明で言う移送部5を構成している。貯蔵部1を構成する多数の化粧原液ボトル11-15のうち最上流側の化粧原液ボトル11は、化粧原液の1つとしての水を貯蔵している。
【0034】
さらに、長筒状の混合部4の上部は、下流側洗浄配管77B、洗浄用電磁弁37及び上流側洗浄配管77Aを通じて図略のエチルアルコールタンクに連結されている。上流側洗浄配管77Aの途中には、エチルアルコール加圧用のポンプ(図示せず)が設けられている。このポンプの運転により、エチルアルコールタンク内のエチルアルコールは、ポンプ、配管77A、洗浄用電磁弁37及び配管77Bを通じて長筒状の混合部4に送出される。
【0035】
同様に、長筒状の混合部4の上部は、下流側洗浄配管78B、洗浄用電磁弁38及び上流側洗浄配管78Aを通じて図略の洗浄水タンクに連結されている。上流側洗浄配管78Aの途中には、洗浄水加圧用のポンプ(図示せず)が設けられている。このポンプの運転により、洗浄水タンク内の洗浄水は、上流側洗浄配管78A、洗浄用電磁弁38、下流側洗浄配管78Bを通じて長筒状の混合部4に送出される。この洗浄部用電磁弁37、38及びそれに連結されるエチルアルコール及び水の供給系は、本発明で言う洗浄部6を構成している。
【0036】
長筒状の混合部4は、直径1.5-2mm、長さ15-25cmの樹脂製細管からなる。下流側原液配管71B-78Bは、直径0.4-1.0mm、長さ5mm程度の樹脂製細管からなる。化粧液調製時には、長筒状の混合部4の下端開口部は、ボトル8の上端開口部に連結されている。ただし、混合部4の洗浄時には、長筒状の混合部4の下端開口部は、廃液ボトル(図略)の上端開口部に連結される。
図2は、長筒状の混合部4の上端部を拡大図示する縦断面図である。混合部4内には、各配管71B-78Bに連通する混合室40が形成されている。
【0037】
図3は、化粧原液ボトル11、吐出シリンダ21及び電磁弁31を拡大図示する縦断面図である。上流原液配管71Aの一端部は、水を貯蔵する化粧原液ボトル11がはめ込まれるボトルホルダ71Cに連結されている。このボトルホルダ71Cには、化粧原液ボトル11の開口部がはめ込まれている。ボトルホルダ71Cは、化粧原液ボトル11と上流原液配管71Aとを連通する連通管部を有する。このボトルホルダ71Cには、液が化粧原液ボトル11から上流原液配管71A方向に流れる一方向弁が組み込まれている。
【0038】
上流原液配管71Aの他端部は、電磁弁31を通じて下流原液配管71Bに連通している。さらに、上流原液配管71Aは、吐出シリンダ21の吐出口に連結されている。吐出シリンダ21は、スリーブ21A内を摺動するプランジャ21Bを有する。プランジャ21Bは、図略のステッピングモータによりスリーブ21A内を往復する。プランジャ21Bが後退する時、化粧原液としての水が、上流原液配管71Aを通じて化粧原液ボトル11からスリーブ21A内に流入される。この時、電磁弁31は閉じられている。電磁弁31を開放し、プランジャ21Bを前進させる時、水が上流原液配管71A、電磁弁31及び下流原液配管71Bを通じて混合部4に吐出される。このときボトルホルダ71Cに組み込まれている一方向弁が化粧品原液としての水が化粧品原液ボトルに逆流することを防いでいる。プランジャ21Bの前進量を制御することにより、水の吐出量が制御される。他の化粧原液も同様に、混合部4に吐出される。
【0039】
図4は、ボトル8の上部を拡大図示する縦断面図である。ゴムキャップ41が混合部4の下端部に固定されている。
混合部4の下端部は、ゴムキャップ41を貫通している。さらに、ゴムキャップ41には、空気抜き孔42が形成されている。ゴムキャップ41は、ボトル8の上端開口に嵌められている。各種化粧原液からなる化粧液が混合部4からボトル8内に落下する時、ボトル8内の空気が、空気抜き孔42を通じて外部に排出される。
【0040】
制御部9により制御されるこの個肌に対応したオリジナル化粧液調合装置の基本動作が
図5を参照して説明される。
図5は、この基本動作を示すフローチャートである。最初のステップS100にて、決定された各化粧原液の調合比が読み込まれる。読み込まれた調合比に基づいて、用いる化粧原液の組み合わせと、それらの吐出量が決定される。
【0041】
次のステップS102にて、原液吐出サブルーチンが実行される。この原液吐出サブルーチンにおいて、最初に、各電磁弁31-35のうち、用いる各化粧原液を吐出するための複数の電磁弁が開放される。次に、各吐出シリンダ21-25のうち、用いる各化粧原液を吐出する複数の吐出シリンダが駆動され、複数の化粧原液が、それぞれ決定された吐出量だけ混合部4に吐出される。その後、これらの各化粧原液を送出するための電磁弁が閉鎖される。
【0042】
ただし、化粧原液としての水を吐出する吐出シリンダ21の駆動は、他の化粧原液を混合部4に吐出した後で実施され、この水を吐出するための電磁弁31が閉鎖される。次に、電磁弁36を所定時間開いて、空気を混合部4の最上端部に送出する。この水の吐出と空気の吐出は、所定回数Mだけ実施される。したがって、化粧液を構成する水量の1/Mだけが、吐出シリンダ21による一回の水の吐出により混合部4に吐出される。混合部4へ上部へのこの複数回の水及び空気の送入により、混合部4が非常に細径をもつにもかかわらず、混合部4内の各化粧原液は良好にボトル8内に移送される。
【0043】
混合部4内の各化粧原液をボトル8に移送した後、ボトル8がゴムキャップ41から取り外される。その後、廃液ボトルがゴムキャップ41に取り付けられる。次のステップS104にて、洗浄サブルーチンが実行される。当然、原液電磁弁31-35及び空気電磁弁36は閉じられている。この洗浄サブルーチンにおいて、電磁弁37が所定時間だけ開かれ、エチルアルコールが混合部4に送出され、エチルアルコールにより混合部4の内面が洗浄される。廃液は、廃液ボトルに排出される。
【0044】
次に、電磁弁38が所定時間だけ開かれ、洗浄水が混合部4に送出され、洗浄水により混合部4の内面が洗浄される。廃水は、廃液ボトルに排出される。これにより、混合部4の内面に付着したエチルアルコールが除去される。
【0045】
次のステップS106にて、乾燥サブルーチンが実行される。この乾燥サブルーチンにおいて、電磁弁36が所定時間開かれ、空気が混合部4に送られる。これにより、混合部4の内面に付着した水が廃液ボトルに移送されるとともに、混合部4の内面が乾燥される。すなわち、電磁弁36及びそれにつながる空気圧送配管は、移送部5を構成するとともに本発明で言う乾燥部も兼ねている。
【符号の説明】
【0046】
1 貯蔵部
2 吐出部
3 電磁弁部
4 混合部
5 移送部
6 洗浄部
8 ボトル
9 制御部
11-15 化粧原液ボトル
71A-75A 上流原液配管
21-25 吐出シリンダ
21A スリーブ
21B プランジャ
31-35 原液電磁弁
36 空気電磁弁
37 エチルアルコール用電磁弁
38 洗浄水用電磁弁
40 混合部の混合室
41 ゴムキャップ
42 空気抜き孔
71B-75B 下流原液配管
71C ボトルホルダ
76A 上流側空気配管
76B 下流側空気配管
77A、78A 上流側洗浄配管
77B、78B 下流側洗浄配管