特許第6163405号(P6163405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163405
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】基板支持ケース及び基板付ケース
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-224954(P2013-224954)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-88873(P2015-88873A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】桑原 知彦
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 敏嗣
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−139136(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/115140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00−45/24
45/46−45/63
45/70−45/72
45/74−45/84
G09F9/00
H04M1/00−1/82
99/00
H05K5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明で略矩形の基板の裏面の周縁部を載置するための載置部と、前記載置部の前記基板を載置する載置面から前記基板を載置する第1方向に向かって立ちあがって形成され、前記載置部に載置される前記基板の側面を囲むように形成された周壁部とを有する基板支持ケースであって、
前記周壁部の内周面の少なくとも一部の周に、ゴム状弾性体で構成され、前記基板を支持する基板支持部が形成され、
前記基板支持部は、前記基板の表面側の面取り部に接触し、前記基板を前記第1方向と逆の第2方向に押圧するように形成された第1押圧部を有し、かつ前記基板の角部を支持する部分における、前記基板の側面と前記基板支持部との間の空間の広さが、前記基板の直線部を支持する部分における、前記基板の側面と前記基板支持部との間の空間の広さよりも狭くなるように形成されている基板支持ケース。
【請求項2】
前記基板支持部は、前記周壁部の内周面の全周に環状に形成されている請求項1に記載の基板支持ケース。
【請求項3】
前記基板支持部は、前記基板の裏面側の面取り部、又は、前記基板の裏面の少なくとも一方に接触し、前記基板を前記第1方向に押圧する第2押圧部をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の基板支持ケース。
【請求項4】
前記基板支持部は、インサート成形法により、前記周壁部に形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板支持ケース。
【請求項5】
前記ゴム状弾性体は、シリコーンゴム製の弾性体である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板支持ケース。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板支持ケースと、
前記基板支持ケースに支持された基板と、
を有する基板付ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な基板を支持する基板支持ケース、及び透明な基板を有する基板付ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレット型PC等に代表される携帯電子機器は、文字や画像等の情報を表示する表示領域を備え、当該表示領域の外表面には透明なガラスあるいは樹脂から成る基板を備える。最近では、スマートフォンやタブレット型PCのように、表示領域が単に情報を表示する部分ではなく、操作部をも兼ねる機器が多くなってきており、これに伴い、表示領域の大型化が進んでいる。基板は、嵌め込みあるいは接着等の手法により、携帯電子機器のケースに固定される。基板とケースとの間には、幅の大小を問わず、必ず隙間が存在する。このため、携帯電子機器に対して高い防水性若しくは防塵性を付与する場合、この隙間を完全に埋めるべく、基板の周囲にゴム製の枠体を取り付ける方法が知られている。
【0003】
基板を特にガラスにて構成した場合には、製造工程中あるいは携帯電子機器の使用中に基板に加わる振動あるいは衝撃によって、基板が破損する危険性がある。そこで、防水性および防塵性に加えて耐衝撃性をも高めるべく、ガラス製の基板の外周にゴム製の枠体を配置する前述の方法に代えて、当該基板を金型内にセットし、基板の全側面に環状のゴム状弾性体をインサート成形する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2012/115140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、ガラスで構成された基板の全側面に環状のゴム状弾性体をインサート成形する場合には、金型での基板の挟み込みが弱いと、基板表面にバリが発生してしまう。このように、基板表面にバリが発生した場合に、バリを除去する処理を行うと、基板表面に損傷が発生してしまう虞れがある。一方、金型での基板の挟み込みが強いと、挟み込まれた基板自体が破損してしまう虞がある。
【0006】
また、近年では、基板の厚さが、例えば、0.5mm程度になってきており、基板の全側面に環状のゴム状弾性体をインサート成形する処理の難易度が増している。さらに、近年では、曲面ガラスで構成された基板が採用されるようになってきており、金型内の適切な位置に基板を配置することは、困難となってきている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡便に、高い衝撃耐性を有するように基板を支持することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、本発明の一実施の形態に係る基板支持ケースは、透明な基板の裏面の周縁部を載置するための載置部と、載置部の基板を載置する載置面から基板を載置する第1方向に向かって立ちあがって形成され、載置部に載置される基板の側面を囲むように形成された周壁部とを有する基板支持ケースであって、周壁部の内周面の少なくとも一部の周に、ゴム状弾性体で構成され、基板を支持する基板支持部が形成され、基板支持部は、基板の表面側の面取り部に接触し、基板を第1方向と逆の第2方向に押圧するように形成された第1押圧部を有する。
【0009】
別の実施の形態に係る基板支持ケースは、さらに、基板支持部が、周壁部の内周面の全周に環状に形成されている。
【0010】
別の実施の形態に係る基板支持ケースは、また、基板支持部が、基板の裏面側の面取り部、又は、基板の裏面の少なくとも一方に接触し、基板を前記第1方向に押圧する第2押圧部をさらに有する。
【0011】
別の実施の形態に係る基板支持ケースは、また、基板支持部が、インサート成形法により、周壁部に形成されている。
【0012】
別の実施の形態に係る基板支持ケースは、また、基板は、略矩形の板であり、基板支持部は、基板の角部を支持する部分における、基板の側面と基板支持部との間の空間の広さが、基板の直線部を支持する部分における、基板の側面と基板支持部との間の空間の広さよりも狭くなるように形成されている。
【0013】
別の実施の形態に係る基板支持ケースは、また、基板は、略矩形の板であり、基板支持部において、基板の直線部の基板の角部近傍を支持する部分における、基板の側面と基板支持部との間の空間が、基板の直線部の他の部分を支持する部分における、基板の側面と基板支持部との間の空間よりも狭くなるように形成されている。
【0014】
別の実施の形態に係る基板支持ケースは、また、ゴム状弾性体が、シリコーンゴム製の弾性体である。
【0015】
また、別の実施の形態に係る基板付ケースは、上記したいずれかの基板支持ケースと、基板支持ケースに支持された基板と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡便に、高い衝撃耐性を有するように基板を支持することのできる基板支持ケース等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施の形態に係る基板支持ケースを備えた携帯電子機器の部分分解斜視図及び携帯電子機器の全体斜視図である。
図2図2は、図1の携帯電子機器のA−A線断面斜視図およびB−B線断面斜視図である。
図3図3は、図1の携帯電子機器のC−C線断面図である。
図4図4は、第2の実施の形態に係る携帯電子機器の図1のC−C線に対応する位置での断面図である。
図5図5は、第3の実施の形態に係る携帯電子機器の基板および基板支持部の部分断面図である。
図6図6は、第4の実施の形態に係る携帯電子機器の基板および基板支持部の部分断面図である。
図7図7は、第5の実施の形態に係る基板を含む携帯電子機器用表示板の図1のA−A線に対応する位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態に係る基板支持ケースを備えた携帯電子機器について説明する。
【0020】
図1は、第1の実施の形態に係る基板支持ケースを備えた携帯電子機器の部分分解斜視図及び携帯電子機器の全体斜視図である。(1A)は、基板の斜視図であり、(1B)は、基板を支持する基板支持ケースの斜視図であり、(1C)は、基板を、基板支持ケースに装着した携帯電子機器の斜視図である。
【0021】
基板付ケースの一例としての携帯電子機器1は、主操作面側に開口10が形成された基板支持ケース(筺体)2と、基板支持ケース2に支持される基板3とを備える。
【0022】
基板3は、透明な略矩形の平板であり、4つの角部35と、互いに対向する短辺部36と、互いに対向する長辺部37とを有する。基板3は、例えば、ガラス製であり、短辺が40〜60mm、長辺が90〜130mm、厚さが0.3〜0.7mmとなっている。なお、基板3の材質と、寸法とは、一例にすぎず、これらに限定されない。例えば、基板3は、PMMAやPETなどの樹脂により形成されても良い。また、基板3は、平板に限らず、曲面板であっても良い。
【0023】
基板支持ケース2は、開口10近傍に、基板3の裏面の周縁部を載置するための環状に形成された載置部21と、載置部21の基板3を載置する載置面から基板3を載置する側の方向(第1方向:以下、上方向ともいう)に向かって立ちあがって形成され、載置部21に載置される基板3の側面の周囲を取り囲むように環状に形成された周壁部22とを有する。載置部21および周壁部22は、例えば、アルミニウム、マグネシウム合金等の金属、または、CF、GF等による強化樹脂、例えば、ガラス繊維強化ポリカーボネートにより構成される。周壁部22の内周の全周には、ゴム状弾性体で構成され、基板3を支持するための基板支持部23が形成されている。なお、基板支持部23は、内周部22の内周の全周にわたって形成されていなくても良い。
【0024】
基板支持部23を構成するゴム状弾性体は、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー; あるいはそれらの複合物等などから好適に構成され、特にシリコーンゴムにて特に好適に構成される。
【0025】
基板支持ケース2の周壁部22に、基板支持部23を形成する製法は、とくに限定されるものではないが、例えば、基板支持部23が形成されていない基板支持ケース2(載置部21及び周壁部22)を金型内にセットし、未硬化状態のゴム材料を金型内に流し込み、基板支持ケース2の周壁部22に基板支持部23を形成するインサート成形法を用いることができる。このように、インサート成形法により、基板支持ケース2に基板支持部22を成形することは、基板3に対してゴム状弾性体を形成するよりも容易である。
【0026】
図2は、図1の携帯電子機器のA−A線断面斜視図およびB−B線断面斜視図である。
(2A)は、図1のA−A線断面斜視図であり、(2B)は、図1のB−B線断面斜視図である。
【0027】
基板3は、側面の表面側及び裏面側に、基板3の側面の角が取り除かれた(すなわち、面取りされた)面取り部31および面取り部32を有する。
【0028】
基板支持ケース2においては、載置部21が開口10の方向に延びて形成されている。また、載置部21の基板3を載置する載置面から基板3を載置する第1方向に向かって立ちあがって周壁部22が形成されている。周壁部22は、載置部21に載置される基板3の側面の全周を囲むように形成されている。また、周壁部22の内周には、基板支持部23が形成されている。なお、本実施の形態では、基板支持部23は、周壁部22の内周と載置部21の上面とに固着されている。
【0029】
載置部21の載置面には、載置部21の載置面と、載置された基板3の裏面とを接着させる接着部4(例えば、両面テープ)が配置されている。
【0030】
図3は、図1の携帯電子機器のC−C線断面図である。
【0031】
周壁22の載置部21の載置面からの高さは、載置部21の接着部4上に基板3を載置した場合に、基板3の表面が周壁22よりも突出しない高さとなっている。
【0032】
基板支持部23は、基板3の表面側の面取り部31に対応する斜面を有し、面取り部31を第1方向と逆の方向(第2方向:以下、下方向ともいう)に押圧する第1押圧部23aと、基板3の裏面側の面取り部32に対応する斜面を有し、面取り部32を上方向に押圧する第2押圧部23bとを有する。なお、基板支持部23の高さは、例えば、周壁22の高さより高くても良く、周壁22の高さよりも低くても良い。
【0033】
このような構成により、基板3を基板支持ケース2に装着すると、基板3の裏面は、接着部4を介して、載置部21に接着される。また、基板3の面取り部31は、基板支持部23の第1押圧部23aにより、下方向に押圧されるとともに、基板3の面取り部32は、基板支持部23の第2押圧部23bにより、上方向に押圧されることとなり、基板3は、基板支持部23に挟まれて支持される。これにより、基板支持ケース2に発生した衝撃は、基板支持部23によって吸収等されて基板3へと伝えられるので、基板支持ケース2は、高い衝撃耐性を有するように基板3を支持することができる。
【0034】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電子機器について説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0035】
図4は、第2の実施の形態に係る携帯電子機器の図1のC−C線に対応する位置での断面図である。
【0036】
第2の実施の形態に係る基板支持ケース2は、基板支持部23に変えて、基板支持部24を備える。基板支持部24は、基板3の表面側の面取り部31に対応する斜面を有し、面取り部31を下方向に押圧する第1押圧部24aと、基板3の裏面に接触し、基板3を上方向に押圧する凸部を備える第2押圧部24bとを有する。
【0037】
このような構成により、基板3を基板支持ケース2に装着すると、基板3の裏面は、接着部4を介して、載置部21に接着される。また、基板3の面取り部31は、基板支持部24の第1押圧部24aにより、下方向に押圧されるとともに、基板3の裏面は、基板支持部24の第2押圧部24bにより、上方向に押圧されることとなり、基板3は、基板支持部24に挟まれて支持される。これにより、基板支持ケース2に発生した衝撃は、基板支持部24によって吸収等されて基板3へと伝えられるので、基板支持ケース2は、高い衝撃耐性を有するように基板3を支持することができる。
【0038】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る携帯電子機器について説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0039】
第3の実施の形態に係る携帯電子機器は、基板支持部23の形状を基板3の角部35を支持する部分と、短辺部36及び長辺部37(以下、直線部ともいう)を支持する部分とで異ならせることにより、基板支持部23と、基板支持部23により支持される基板3との間の空間を、基板3の角部35を支持する部分と、基板3の直線部を支持する部分とで異ならせるようにしたものである。
【0040】
図5は、第3の実施の形態に係る携帯電子機器の基板および基板支持部の部分断面図である。(5A)は、基板支持部23の基板3の直線部を支持する部分と、支持されている基板3との断面図であり、(5B)は、基板支持部23の基板3の角部35を支持する部分と、支持されている基板3との断面図である。
【0041】
基板3の直線部を支持する部分においては、(5A)に示すように、基板支持部23は、基板3の表面側の面取り部31に対応する斜面を有し、面取り部31を下方向に押圧する第1押圧部23aと、基板3の裏面側の面取り部32に対応する斜面を有し、面取り部32を上方向に押圧する第2押圧部23bとを有し、第1押圧部23aの斜面と、第2押圧部23bとの斜面とは、接合部23cで接続されている。この構成により、基板3の側面33と、第1押圧部23aの斜面と、第2押圧部23bの斜面とにより囲まれる空間S1が形成される。基板3の側面33と、接合部23cとの基板3の面方向の距離Lは、例えば、0.2〜0.3mmとなっている。
【0042】
基板3の角部35を支持する部分においては、(5B)に示すように、基板支持部23は、基板3の表面側の面取り部31に対応する斜面を有し、面取り部31を下方向に押圧する第1押圧部23dと、基板3の裏面側の面取り部32に対応する斜面を有し、面取り部32を上方向に押圧する第2押圧部23eとを有する。第1押圧部23dの斜面と、第2押圧部23eとの斜面とは、基板3の側面33に対向する面を有する対向部23fを介して接続されている。
【0043】
この構成により、基板3の側面33と、第1押圧部23dの斜面と、第2押圧部23eの斜面と、対向部23fとにより囲まれる空間S2が形成される。第1押圧部23dの斜面は、第1押圧部23aの斜面の一部分に相当し、第2押圧部23eの斜面は、第2押圧部23bの斜面の一部分に相当する。基板3の側面33と、対向部23fとの基板3の面方向の距離Mは、例えば、0〜0.1mmとなっている。空間S2は、空間S1よりも狭い。
【0044】
このように、基板3の直線部を支持する部分における空間S1を広くすることにより、基板3の直線部を支持する基板支持ケース2の周壁部22が成形加工の歪みや外力により開口10側に変形した場合、すなわち内反りした場合であっても、支持される基板3に余計なストレスが加えられることを効果的に防止することができる。ここで、例えば、角部35を支持する部分における空間S2の広さが狭くない場合を想定すると、或る角部35を支持する基板支持ケース2の角部が外部に衝突すると、基板3全体がその角部35を挟む2つの直線部を支持する部分に同時に近寄りすぎてしまい、他の2つの直線部を支持する部分における基板支持部23と基板3との隙間が増大し、結果として、基板3が基板支持部23から外れてしまう可能性がある。これに対して、上記したように、基板3の角部35を支持する部分における空間S2の広さを狭くすることにより、基板3全体が或る角部35を挟む2つの直線部を支持する部分に同時に近寄りすぎることを防止でき、基板3が基板支持部23から外れてしまう事態を防止することができる。
【0045】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態に係る携帯電子機器について説明する。本実施の形態では、第1及び第2の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0046】
第4の実施の形態に係る携帯電子機器は、基板支持部24の形状を基板3の角部35を支持する部分と、直線部(短辺部36及び長辺部37)を支持する部分とで異ならせることにより、基板支持部24と、基板支持部24により支持される基板3との間の空間を、基板3の角部35を支持する部分と、基板3の直線部を支持する部分とで異ならせるようにしたものである。
【0047】
図6は、第4の実施の形態に係る携帯電子機器の基板および基板支持部の部分断面図である。(6A)は、基板支持部24の基板3の直線部を支持する部分と、支持されている基板3との断面図であり、(6B)は、基板支持部24の基板3の角部35を支持する部分と、支持されている基板3との断面図である。
【0048】
基板3の直線部を支持する部分においては、(6A)に示すように、基板支持部24は、基板3の表面側の面取り部31に対応する斜面を有し、面取り部31を下方向に押圧する第1押圧部24aと、基板3の裏面に接触し、基板3を上方向に押圧する凸部を備える第2押圧部24bと、基板3の側面33に対向する対向部24cとを有する。
【0049】
この構成により、基板3の側面33と、第1押圧部24aの斜面と、第2押圧部24bと、対向部24cとにより囲まれる空間S3が形成される。基板3の側面33と、対向部24cとの基板3の面方向の距離Nは、例えば、0.2〜0.3mmとなっている。
【0050】
基板3の角部35を支持する部分においては、(6B)に示すように、基板支持部24は、基板3の表面側の面取り部31に対応する斜面を有し、面取り部31を下方向に押圧する第1押圧部24dと、基板3の裏面に接触し、基板3を上方向に押圧する凸部を備える第2押圧部24eと、基板3の側面33に対向する対向部24fとを有する。
【0051】
この構成により、基板3の側面33と、第1押圧部24dの斜面と、第2押圧部24eと、対向部24fとにより囲まれる空間S4が形成される。基板3の側面33と、対向部24fとの基板3の面方向の距離Oは、例えば、0〜0.1mmとなっている。したがって、空間S4は、空間S3よりも狭い。
【0052】
このように、基板3の直線部を支持する部分における空間S3を広くすることにより、基板3の直線部を支持する基板支持ケース2の周壁部22が成形加工の歪みや外力により開口10側に変形した場合、すなわち内反りした場合であっても、支持される基板3に余計なストレスが加えられることを効果的に防止することができる。ここで、例えば、角部35を支持する部分における空間S4の広さが狭くない場合を想定すると、或る角部35を支持する基板支持ケース2の角部が外部に衝突すると、基板3全体がその角部35を挟む2つの直線部を支持する部分に同時に近寄りすぎてしまい、他の2つの直線部を支持する部分における基板支持部24と基板3との隙間が増大し、結果として、基板3が基板支持部24から外れてしまう可能性がある。これに対して、上記したように、基板3の角部35を支持する部分における空間S4の広さを狭くすることにより、基板3全体が或る角部35を挟む2つの直線部を支持する部分に同時に近寄りすぎることを防止でき、基板3が基板支持部24から外れてしまう事態を防止することができる。
【0053】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に係る携帯電子機器について説明する。本実施の形態では、第1及び第3の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0054】
第5の実施の形態に係る携帯電子機器は、基板3を含む携帯電子機器用表示板5(以下、表示板ともいう。)を基板支持ケース2に装着するようにしたものである。
【0055】
図7は、第5の実施の形態に係る基板を含む携帯電子機器用表示板の図1のA−A線に対応する位置での断面図である。
【0056】
本実施の形態では、表示板5は、静電容量型のタッチパネルとして構成される。表示板5は、基板3の表面側に表層51を、基板3の裏面側に透明電極52を、それぞれ備える。表層51は、基板3側から順に、光学粘着層53、UV樹脂層54と印刷層57、透明樹脂フィルム55、ハードコート層56を積層して成る。光学粘着層53は、UV樹脂層54およびそれより上の層を基板3に形成するための接着層である。UV樹脂層54は、印刷層57を保持し、透明樹脂フィルム55と光学粘着層53との隙間を埋める層である。印刷層57は、表示板5の外縁部に所定の幅で枠状に形成される層であり、基板3側から順に、黒印刷層58、ミラーシルバー印刷層59、黒印刷層60を積層して成る。印刷層57は、額縁の形成を目的として形成される層である。透明樹脂フィルム55は、例えば、PETのような透明な樹脂から構成される層であって基板3の飛散防止などを目的とする被覆層である。透明樹脂フィルム55は、飛散しやすいガラスにて基板3を構成する場合には特に有効な層である。ハードコート層56は、防傷を目的とする層である。
【0057】
表層51は、一例として、上述のような複数の層から構成されるが、各層は必須の層ではない。これらの層の一部若しくは全部を形成しなくても良い。また、表示板5を、操作と表示を兼ねたタッチパネルとして用いない場合には、透明電極52も不要である。
【0058】
<他の実施の形態>
【0059】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
【0060】
例えば、上記第1〜第5の実施の形態では、基板3の直線部(短辺部36及び長辺部37)を支持する基板支持部(23、24)の形状を略同一とし、基板支持部と、支持されている基板3との間の空間を略同一としていたが、本発明はこれに限られず、例えば、直線部の一部に対応する基板支持部の形状を変更して、基板支持部と、支持されている基板3との間の空間が直線部を支持する範囲において部分的に異なるようにしても良い。例えば、直線部の角部35近傍を支持する部分、すなわち直線部の両端近傍を支持する部分における、基板支持部と、支持されている基板3との間の空間を、直線部の両端近傍以外の部分を支持する部分における、基板支持部と、支持されている基板3との間の空間よりも狭くしてもよい。このようにすると、基板3の直線部を支持する基板支持ケース2の周壁部22が成形加工の歪みや外力により開口10側に変形した場合、すなわち内反りした場合であっても、支持される基板3に余計なストレスが加えられることを効果的に防止することができるとともに、基板3全体が或る角部35を挟む2つの直線部を支持する部分に同時に近寄りすぎることを防止でき、基板3が基板支持部から外れてしまう事態を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、携帯電子機器に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 携帯電子機器
2 基板支持ケース
3 基板
21 載置部
22 周壁部
23,24 基板支持部
23a,23d,24a,24d 第1押圧部
23b,23e,24b,24e 第2押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7