(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記トルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するためのロックアップ装置であって、
前記フロントカバーからのトルクを出力側に伝達するクラッチ部と、
前記クラッチ部と相対回転自在であり、前記タービンに連結される出力回転部材と、
前記クラッチ部と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するダンパ機構と、
請求項1から8のいずれかに記載のダイナミックダンパ装置と、
を備えた、
トルクコンバータのロックアップ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出力側の回転速度変動を抑えるためには、ダイナミックダンパ装置の慣性量を大きくする必要がある。そこで、ダイナミックダンパ装置を構成する部材を外周側に集中的に配置し、慣性量を大きくすることが望ましい。
【0008】
しかし、ダイナミックダンパ装置の構成部材を外周側に配置すると、トルクコンバータ全体の径方向寸法が大きくなる。また、特に、ダイナミックダンパ装置の慣性量を大きくしつつダイナミックダンパ装置を構成する部材とタービンとの干渉を避けるためには、トルクコンバータ全体の軸方向寸法が大きくなる。
【0009】
そこで、トルクコンバータ全体をコンパクトにしつつ、ダイナミックダンパ装置の慣性量を大きくすることが望まれる。
【0010】
本発明の課題は、トルクコンバータ全体を大型化することなくダイナミックダンパ装置の慣性量を大きくし、より効果的に回転速度変動を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1側面に係るダイナミックダンパ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置されたロックアップ装置のダイナミックダンパ装置である。このダイナミックダンパ装置は、ダンパプレートと、環状の第1プレートと、環状の第2プレートと、複数の弾性部材と、を備えている。ダンパプレートはロックアップ装置の回転部材に設けられている。第1プレートは、軸方向においてダンパプレートのフロントカバー側にダンパプレートと相対回転自在に配置され、第1内径を有する。第2プレートは、ダンパプレートを挟んで第1プレートに対向し、かつダンパプレートと相対回転自在に配置され、第1内径より大きい第2内径を有する。複数の弾性部材はダンパプレートと第1及び第2プレートとを回転方向に弾性的に連結する。
【0012】
ここで、ロックアップ装置のクラッチがオン(動力伝達状態)の場合は、フロントカバーからのトルクはトルクコンバータのタービンに直接伝達される。このとき、ダイナミックダンパ装置によって回転速度変動が抑えられる。
【0013】
ここでは、フロントカバー側の第1プレートは小さい第1内径を有し、トルクコンバータ本体側の第2プレートは大きい内径を有する。このため、第1プレートによって慣性量を大きくすることができる。しかも第2プレートとトルクコンバータ本体(特にタービン)との干渉を避けることができるので、軸方向の小型化を図ることができる。
【0014】
本発明の第2側面に係るダイナミックダンパ装置では、第2プレートは第1プレートの厚みよりも厚い。
【0015】
ここでは、第2プレートは内径が大きいが厚みが厚く形成されているので、慣性量が大きくなる。
【0016】
本発明の第3側面に係るダイナミックダンパ装置では、ダンパプレートと第1プレートとの間に配置された第1イナーシャリングと、ダンパプレートと第2プレートとの間に配置された第2イナーシャリングと、をさらに備えている。
【0017】
本発明の第4側面に係るダイナミックダンパ装置では、第1イナーシャリングと第2イナーシャリングとは同一形状である。
【0018】
本発明の第5側面に係るダイナミックダンパ装置では、ダンパプレートは円周方向に延びる複数の第1開口を有し、第1及び第2イナーシャリングは第1開口と対向する位置に円周方向に延びる第2開口を有している。そして、複数の弾性部材は第1開口及び第2開口に収容されている。
【0019】
本発明の第6側面に係るダイナミックダンパ装置では、第1プレートは第1イナーシャリングの第2開口を塞ぎ、第2プレートは第2イナーシャリングの第2開口を塞ぐように配置されている。
【0020】
本発明の第7側面に係るダイナミックダンパ装置では、第1及び第2プレートの少なくとも一方は、外周部に他の部分より軸方向に突出した突出部を有する。
【0021】
第1及び第2プレートの少なくとも一方に、軸方向に突出する突出部を設けることによって、装置の慣性量を大きくすることができる。
【0022】
本発明の第8側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、フロントカバーからのトルクをトルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するための装置である。このロックアップ装置は、フロントカバーからのトルクを出力側に伝達するクラッチ部と、クラッチ部と相対回転自在でありタービンに連結される出力回転部材と、クラッチ部と出力側回転部材とを回転方向に弾性的に連結するダンパ機構と、第1側面から第7側面のいずれかのダイナミックダンパ装置と、を備えている。
【0023】
本発明の第9側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、フロントカバーからのトルクをトルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するための装置である。このロックアップ装置は、クラッチ部と、出力回転部材と、ダンパ機構と、ダイナミックダンパ装置と、を備えている。クラッチ部はフロントカバーからのトルクを出力側に伝達する。出力回転部材は、クラッチ部と相対回転自在であり、タービンに連結される。ダンパ機構は、複数の外周側弾性部材と、外周側弾性部材の内周側に配置された複数の内周側弾性部材と、外周側弾性部材と内周側弾性部材とを連結する中間部材と、を有し、クラッチ部と出力側回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。ダイナミックダンパ装置は、中間部材に設けられたイナーシャ部材を有し、回転速度変動を減衰する。そして、イナーシャ部材の慣性量は中間部材の慣性量の0.5倍以上4.0倍以下である。
【0024】
本発明の第10側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、フロントカバーからのトルクをトルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するための装置である。このロックアップ装置は、クラッチ部と、出力回転部材と、ダンパ機構と、ダイナミックダンパ装置と、を備えている。クラッチ部はフロントカバーからのトルクを出力側に伝達する。出力回転部材は、クラッチ部と相対回転自在であり、タービンに連結される。ダンパ機構はクラッチ部と出力側回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。ダイナミックダンパ装置は、クラッチ部から出力回転部材に至る動力伝達経路を構成する回転部材に設けられたイナーシャ部材を有し、回転速度変動を減衰する。そして、イナーシャ部材の慣性量は出力回転部材の慣性量の0.5倍以上4.0倍以下である。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明では、トルクコンバータ全体を大型化することなくダイナミックダンパ装置の慣性量を大きくし、回転速度変動を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるロックアップ装置を有するトルクコンバータ1の断面部分図である。
図1の左側にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。なお、
図1に示すO−Oがトルクコンバータ及びロックアップ装置の回転軸線である。
【0028】
[トルクコンバータ1の全体構成]
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラ3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7と、から構成されている。
【0029】
フロントカバー2は、円板状の部材であり、その外周部にはトランスミッション側に突出する外周筒状部10が形成されている。インペラ3は、フロントカバー2の外周筒状部10に溶接により固定されたインペラシェル12と、その内側に固定された複数のインペラブレード13と、インペラシェル12の内周側に設けられた筒状のインペラハブ14と、から構成されている。
【0030】
タービン4は流体室内でインペラ3に対向して配置されている。タービン4は、タービンシェル15と、タービンシェル15に固定された複数のタービンブレード16と、タービンシェル15の内周側に固定されたタービンハブ17と、から構成されている。タービンハブ17は外周側に延びるフランジ17aと、軸方向においてフロントカバー2側に延びる筒状部17bと、を有している。フランジ17aにタービンシェル15の内周部が複数のリベット18によって固定されている。また、タービンハブ17の内周部には、図示しないトランスミッションの入力シャフトがスプライン係合している。なお、筒状部17bのエンジン側先端面とフロントカバー2との間には、スラストワッシャ19が配置されている。
【0031】
ステータ5は、インペラ3とタービン4の内周部間に配置され、タービン4からインペラ3へと戻る作動油を整流するための機構である。ステータ5は主に、ステータキャリア20と、ステータキャリア20の外周面に設けられた複数のステータブレード21と、ステータブレード21の外周端に設けられた環状のステータコア22と、を有している。ステータキャリア20は、ワンウェイクラッチ23を介して図示しない固定シャフトに支持されている。なお、ステータキャリア20の軸方向両側には、スラストベアリング24,25が設けられている。
【0032】
以上のようなトルクコンバータ本体6においては、インペラ3、タービン4、及びステータ5の各ブレード13,16,21によって形成される作動油の環状流路(トーラスT)が形成されている。
【0033】
[ロックアップ装置7]
図2に、
図1のロックアップ装置7を抽出して示している。ロックアップ装置7は、フロントカバー2からタービン4に動力を直接伝達するものである。ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間に配置されたクラッチ部28と、クラッチ部28からのトルクをタービン4に伝達するダンパ機構29と、ハブフランジ30(出力回転部材)と、ダイナミックダンパ装置31と、を備えている。
【0034】
<クラッチ部28>
クラッチ部28は、油圧作動式の多板型であり、フロントカバー2からのトルクをダンパ機構29に伝達し、あるいはフロントカバー2とダンパ機構29との間のトルク伝達を遮断する。このクラッチ部28は、
図2に示すように、クラッチ入力部材35及びクラッチ出力部材36と、それぞれ2枚の第1及び第2クラッチプレート37,38と、ピストン40と、を有している。
【0035】
−クラッチ入力部材35−
クラッチ入力部材35は、環状に形成されており、円板状の固定部35aと、固定部35aの外周端からトランスミッション側に延びて形成された外筒状部35bと、固定部35aの内周端からトランスミッション側に延びて形成された内筒状部35cと、を有している。固定部35aはフロントカバー2のトランスミッション側の面に溶接により固定されている。外筒状部35bの内周面には、軸方向に延びる複数の凹凸部が円周方向に所定の間隔で形成されている。
【0036】
−クラッチ出力部材36−
クラッチ出力部材36は、環状に形成されており、円板状に形成された円板部36aと、円板部36aの外周端部からエンジン側に延びて形成された筒状部36bと、を有している。円板部36aの内周部は、ダンパ機構29を構成する部材に、リベット41により固定されている。円板部36aの外周部は、外周側に行くにしたがってフロントカバー2に近づくように傾斜している。筒状部36bには、軸方向に延びる複数の溝が円周方向に所定の間隔で形成されている。
【0037】
−第1及び第2クラッチプレート37,38−
第1クラッチプレート37は環状に形成されている。第1クラッチプレート37の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第1クラッチプレート37は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。
【0038】
第2クラッチプレート38は環状に形成されている。第2クラッチプレート38の内周端には、クラッチ出力部材36の筒状部36bの複数の溝に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、第2クラッチプレート38は、クラッチ出力部材36に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。また、第2クラッチプレート38の両面には、環状の摩擦部材が固定されている。
【0039】
第2クラッチプレート38のさらにトランスミッション側には、環状のバックアップリング43が設けられている。バックアップリング43の外周端には、クラッチ入力部材35の外筒状部35bの凹凸部に係合する複数の歯が形成されている。このような構成により、バックアップリング43は、クラッチ入力部材35に対して軸方向に移動自在かつ相対回転不能である。なお、バックアップリング43のタービン4側には、バックアップリング43のタービン4側への移動を規制するためのスナップリング44が設けられている。スナップリング44は、クラッチ入力部材35の外筒状部35bに形成された環状の溝に係合している。
【0040】
−ピストン40−
図3に、ピストン40に関連する部分を拡大して示している。ピストン40は、クラッチ入力部材35の内周側で、フロントカバー2と第1及び第2クラッチプレート37,38との間に配置されている。ピストン40は、環状に形成されており、外周面がクラッチ入力部材35の内筒状部35cの内周面に摺動自在に支持されている。ピストン40の外周面にはシール部材46が設けられ、ピストン40とクラッチ入力部材35との間がシールされている。また、ピストン40の内周端部には、トランスミッション側に延びる筒状部40aが形成されている。このピストン40の筒状部40aの内周面が、ピストン支持部材48に摺動自在に支持されている。
【0041】
ピストン支持部材48は、
図1〜
図3に示すように、環状に形成された円板状の部材である。ピストン支持部材48には、円周方向の複数箇所にエンジン側に突出する突起部48aが形成されており、この突起部48aが溶接によりフロントカバー2に固定されている。なお、
図1〜
図3では、ピストン支持部材48のフロントカバー2への固定部分を示しているが、ピストン支持部材48においてフロントカバー2に固定されていない部分は、径方向に貫通する溝48b(
図3に破線で示している)が形成されている。この溝48bを介して、ピストン40とフロントカバー2との間に作動油が内周側から供給される。
【0042】
ピストン支持部材48の外周端部にはエンジン側に延びる外筒状部48cが形成され、内周端部にはトランスミッション側に延びる内筒状部48dが形成されている。外筒状部48cは、前述のように、ピストン40の筒状部40aを支持する部分であり、シール部材49が設けられている。このシール部材49により、ピストン40とピストン支持部材48との間がシールされている。また、内筒状部48dは、タービンハブ17の筒状部17bの外周面に摺動自在に支持されている。そして、タービンハブ17の筒状部17bの外周面にはシール部材50が設けられている。これにより、ピストン支持部材48とタービンハブ17との間がシールされている。
【0043】
以上のような構成により、ピストン40の背面、すなわちピストン40とフロントカバー2との間には、作動油の供給路を除いて、他の空間から独立した(密閉された)油圧室Pが形成されている。
【0044】
<ダンパ機構29>
図4及び
図5に示すように、ダンパ機構29は、クラッチ部28のクラッチ出力部材36が固定された入力プレート52と、複数の外周側トーションスプリング53と、中間部材54と、内周側トーションスプリング55と、1対のサポートプレート56と、を有している。なお、
図4は、ロックアップ装置7のうちのダンパ機構29及びそれに関連する構成のみを抽出して示したものである。また、
図5は入力プレート52及び外周側トーションスプリング53をトランスミッション側から視た図である。
【0045】
−入力プレート52−
入力プレート52は、環状に形成されており、円板部52aと、円板部52aの外周端に形成されたスプリング収納部52bと、円板部52aの内周端にトランスミッション側に延びて形成された支持部52cと、を有している。円板部52aには、前述のように、クラッチ出力部材36がリベット41により固定されている。スプリング収納部52bは、断面C形状であり、トーションスプリング53の内周側、フロントカバー2側の側部、及び外周側を支持している。また、スプリング収納部52bの円周方向の両端には、トーションスプリング53の端面に係合する係合部52eが形成されている。
【0046】
−外周側トーションスプリング53−
外周側トーションスプリング53は、入力プレート52のスプリング収納部52bに収容されている。ここでは、3個のトーションスプリング53が設けられており、各トーションスプリング53は、自由状態で円弧形状となるアークスプリングである。すなわち、各トーションスプリング53は、スプリング収納部52bに収容されていない自由状態においても、
図5で示すように円弧形状を維持している。
【0047】
なお、外周側トーションスプリング53としてアークスプリングを採用することにより、作動時においてヒステリシストルク(スプリング収納部52bの外周側部分との摺動抵抗)が比較的大きくなるが、円周方向に長く形成でき、低剛性化を実現することが可能である。
【0048】
−中間部材54−
図4に示すように、中間部材54は、第1プレート61と第2プレート62とから構成されており、入力プレート52及びハブフランジ30に対して相対回転自在である。第1及び第2プレート61,62は入力プレート52とタービンシェル15との間に配置された環状かつ円板状の部材である。第1プレート61と第2プレート62とは軸方向に間隔をあけて配置されている。第1プレート61がエンジン側に配置され、第2プレート62がトランスミッション側に配置されている。第1プレート61と第2プレート62とは、
図1及び
図2に示すように、外周部が複数のリベット63によって互いに相対回転不能でかつ軸方向に移動不能に連結されている。
【0049】
図6は、中間部材54及び内周側トーションスプリング55に関連する部分を抽出して示した図である。
図6に示すように、第1プレート61及び第2プレート62には、それぞれ軸方向に貫通する窓部61a,62aが形成されている。窓部61a,62aは、円周方向に延びて形成されており、内周部と外周部には、軸方向に切り起こされた切り起こし部が形成されている。
【0050】
また、
図4に示すように、第1プレート61の外周端には、外周側トーションスプリング53にまで延びる複数の係止部61bが形成されている。複数の係止部61bは第1プレート61の先端を軸方向エンジン側に折り曲げて形成されたものである。この複数の係止部61bは、円周方向に所定の間隔をあけて配置されており、2つの係止部61bの間に1個の外周側トーションスプリング53が配置されている。
【0051】
以上のような中間部材54によって、外周側トーションスプリング53と内周側トーションスプリング55とを直列的に作用させることが可能となる。
【0052】
−内周側トーションスプリング55−
内周側トーションスプリング55は、中間部材54の両プレート61,62の窓部61a,62a内に配置されている。そして、内周側トーションスプリング55は窓部61a,62aによって円周方向両端及び径方向両側が支持されている。さらに、内周側トーションスプリング55は窓部61a,62aの切り起こし部によって軸方向への飛び出しが規制されている。
【0053】
−1対のサポートプレート56−
1対のサポートプレート56は、複数の内周側トーションスプリング55のうちの1組2個を直列的に作用させるための部材である。すなわち、この実施形態では、6個の内周側トーションスプリング55(
図9参照)が設けられているが、1対のサポートプレート56によって、それぞれ1組2個の内周側トーションスプリング55を直列的に作用させることができる。
【0054】
1対のサポートプレート56はハブフランジ30の軸方向両側に配置されている。具体的には、一方のサポートプレート56はハブフランジ30と第1プレート61との間に配置されている。また、他方のサポートプレート56はハブフランジ30と第2プレート62との間に配置されている。両サポートプレート56は、
図1,2,4に示すように、リベット65によって軸方向に一定の間隔を維持して互いに相対回転不能に固定されている。そして、両サポートプレート56は、第1及び第2プレート61,62とハブフランジ30とに対して相対回転自在である。
【0055】
1対のサポートプレート56は同形状であり、
図7に示すように、環状に形成されている。サポートプレート56は、円弧状のスプリング収納用の開口56aと、開口56aの円周方向間に形成された貫通孔56bと、を有している。開口56aには2個の内周側トーションスプリング55が収容される。そして、隣接する2つの開口56aに収容された、互いに近い方のスプリング同士を直列的に作用させることが可能である。すなわち、貫通孔56bが形成された部分を挟んで配置された隣接する2つの内周側トーションスプリング55を直列的に作用させることが可能である。また、貫通孔56はリベット65が貫通する。
【0056】
<最終ストッパ機構>
図4及び
図5に示すように、入力プレート52の円板部52aには、円弧状のストッパ溝52fが形成されている。このストッパ溝52fは、入力プレート52に対するハブフランジ30及び中間部材54の相対回転角度を規制するための溝である。また、中間部材54の第1プレート61の径方向中間部には、エンジン側に切り起こされたストッパ爪61cが形成されている。このストッパ爪61cが入力プレート52のストッパ溝52fに係合している。
【0057】
このような構成により、中間部材54、ダイナミックダンパ装置31、及びハブフランジ30は、ストッパ爪61cがストッパ溝52f内で移動可能な範囲で、入力プレート52に対して相対回転が可能である。
【0058】
<ハブフランジ30>
図4及び
図6に示すように、ハブフランジ30は、環状かつ円板状の部材であり、内周部がタービンシェル15とともにリベット18によってタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。ハブフランジ30は、1対のサポートプレート56の間に、サポートプレート56と第1及び第2プレート61,62とに対して相対回転可能に配置されている。ハブフランジ30の外周部には、第1及び第2プレート61,62の窓部61a,62aに対応して、窓孔30aが形成されている。窓孔30aは軸方向に貫通する孔であり、この窓孔30aに内周側トーションスプリング55が配置されている。
【0059】
図4に示すように、ハブフランジ30の内周部には、エンジン側に切り起こされて軸方向に延びる複数の突起部30bが形成されている。この突起部30bの外周面に中間部材54の第1プレート61の内周端面が当接している。このように、ハブフランジ30の突起部30bによって、中間部材54及びダイナミックダンパ装置31が径方向に位置決めされている。
【0060】
<1段目ストッパ機構>
図8は中間部材54及びハブフランジ30に関連する部分を抽出して示した図であり、他の図とは異なる位置で断面している。また、
図9は中間部材54、内周側トーションスプリング55、及びハブフランジ30に関連する部分を、トランスミッション側から視た図である。
【0061】
これらの図に示すように、中間部材54の第2プレート62の径方向中間部には、外周側にいくにしたがって第1プレート61に近づく傾斜部62bが形成されている。この傾斜部62bには、円弧状のストッパ溝62cが形成されている。また、ハブフランジ30の外周部には、外周側に延びる複数のストッパ爪30cが形成されている。このストッパ爪30cが第2プレート62のストッパ溝62cに係合している。
【0062】
このような構成により、中間部材54及びダイナミックダンパ装置31は、ストッパ爪30cがストッパ溝62c内で移動可能な範囲で、ハブフランジ30に対して相対回転が可能である。なお、この場合の相対回転可能な角度範囲は、最終段のストッパ機構(ストッパ爪61c+ストッパ溝52f)による相対回転可能な角度範囲より小さく設定されている。
【0063】
−規制プレート67−
図4に示すように、タービンハブ17のフランジ17aには、タービンシェル15及びハブフランジ30とともに規制プレート67がリベット18により固定されている。規制プレート67は、フランジ17aに固定された固定部67aと、固定部67aからエンジン側に延びる筒状部67bと、筒状部67bの先端から外周側に延びる係合部67cと、を有している。筒状部67bの外周面には入力プレート52の支持部52cが当接している。また、係合部67cは入力プレート52の円板部52aの内周端部にエンジン側から当接している。なお、入力プレート52の支持部52cの先端はハブフランジ30に当接可能である。
【0064】
以上のように、入力プレート52及び外周側トーションスプリング53は、規制プレート67の筒状部67bにより径方向に位置決めされ、係合部67c及びハブフランジ30によって軸方向に位置決めされている。
【0065】
<ダイナミックダンパ装置31>
ダイナミックダンパ装置31は、
図4及び
図8に示すように、中間部材54の第2プレート62の外周延長部であるダンパプレート71と、1対のイナーシャリング72と、第1蓋部材(第1プレート)73と、第2蓋部材(第2プレート)74と、複数のコイルスプリング75と、ストップピン76と、を有している。
【0066】
−ダンパプレート71−
ダンパプレート71は、前述のように、中間部材54を構成する第2プレート62の外周部によって形成されている。すなわち、ダンパプレート71は第2プレート62と一体に形成されている。ダンパプレート71は、
図9に示すように、円周方向に所定の間隔で、複数のスプリング収納部71a(第1開口)を有している。スプリング収納部71aは円周方向に所定の長さを有している。複数のスプリング収納部71aの円周方向間には、複数の長孔71bが形成されている。長孔71bは、円周方向に所定の長さを有し、スプリング収納部71aと同じ円周上に形成されている。
【0067】
−イナーシャリング72−
1対のイナーシャリング72は、板金部材をプレス加工して形成されたものであり、ダンパプレート71の軸方向両側に配置されている。2つのイナーシャリング72は同様の構成である。イナーシャリング72は、
図10に示すように、円周方向に所定の間隔で複数のスプリング収納部72a(第2開口)を有している。このスプリング収納部72aはダンパプレート71のスプリング収納部71aに対応する位置に形成されている。また、イナーシャリング72は、ダンパプレート71の長孔71bの円周方向中央位置に対応する位置に貫通孔72bを有している。
【0068】
−第1蓋部材73−
第1蓋部材73はエンジン側のイナーシャリング72のさらにエンジン側に配置されている。第1蓋部材73は、環状の部材であり、内径はイナーシャリング72の内径より小さい。すなわち、第1蓋部材73の内周端はイナーシャリング72の内周端よりさらに内周側に延びている。
図11に拡大して示すように、第1蓋部材73には、イナーシャリング72の貫通孔72bに対応する位置に貫通孔73bが形成されている。また、貫通孔73bの軸方向外側の端部には、貫通孔73bより大径のかしめ用凹部73cが形成されている。
【0069】
−第2蓋部材74−
第2蓋部材74はトランスミッション側のイナーシャリング72のさらにトランスミッション側に配置されている。第2蓋部材74は、環状の部材であり、内径はイナーシャリング72及び第1蓋部材73の内径より大きく、イナーシャリング72や第1蓋部材73の軸方向厚みよりも厚い。この第2蓋部材74の形状(内径及び厚みの設定)は、タービンシェル15との干渉を避け、しかも慣性量を大きくするためである。第2蓋部材74には、イナーシャリング72の貫通孔72bに対応する位置に貫通孔74bが形成されている。また、貫通孔74の軸方向外側の端部には、貫通孔74より大径のかしめ用凹部74cが形成されている。凹部74cは、
図9及び
図11から明らかなように、内径側に開放している。
【0070】
−コイルスプリング75−
複数のコイルスプリング75は、それぞれダンパプレート71のスプリング収納部71a及びイナーシャリング72のスプリング収納部72aに収納されている。そして、コイルスプリング75の両端部はダンパプレート71及びイナーシャリング72のスプリング収納部71a,72aの円周方向端部に当接している。
【0071】
−ストップピン76−
ストップピン76は、
図11に示すように、軸方向の中央部に大径胴部76aを有し、その両側に小径胴部76bを有している。
【0072】
大径胴部76aは、イナーシャリング72の貫通孔72bより大径で、かつダンパプレート71の長孔71bの径(径方向寸法)よりも小径である。また、大径胴部76aの厚みは、ダンパプレート71の厚みより若干厚く形成されている。
【0073】
小径胴部76bはイナーシャリング72の貫通孔72b及び両蓋部材73,74の貫通孔73b,74bを挿通している。そして、小径胴部76bの頭部をかしめることによって、ダンパプレート71の軸方向両側にイナーシャリング72及び両蓋部材73,74が固定されている。
【0074】
以上のような構成により、ダンパプレート71とイナーシャリング71及び2つの蓋部材73,74とは、ストップピン76がダンパプレート71の長孔71bで移動し得る範囲で相対回転が可能である。そして、ストップピン76の大径胴部76aが長孔71bの端部に当接することによって、両者の相対回転が禁止される。
【0075】
−慣性量について−
本実施形態のダイナミックダンパ装置31の慣性量、すなわち1対のイナーシャリング72及び2つの蓋部材73,74(この実施形態では、1対のイナーシャリング72と2つの蓋部材73,74とが「イナーシャ部材」として機能している)を合わせた慣性量は、中間部材54の慣性量の1.9倍に設定している。この割合は、全体の寸法を大型化することなく効果的な振動低減効果を得るためには、0.5倍以上4.0倍以下が望ましい。
【0076】
また、本実施形態のダイナミックダンパ装置31の慣性量は、ハブフランジ30の慣性量の2.1倍に設定している。この割合は、全体の寸法を大型化することなく効果的な振動低減効果を得るためには、0.5倍以上4.0倍以下が望ましい。
【0077】
[動作]
まず、トルクコンバータ本体の動作について簡単に説明する。フロントカバー2及びインペラ3が回転している状態では、インペラ3からタービン4へ作動油が流れ、作動油を介してインペラ3からタービン4へトルクが伝達される。タービン4に伝達されたトルクはタービンハブ17を介してトランスミッションの入力シャフト(図示せず)に伝達される。
【0078】
次にピストン40とフロントカバー2との間に作動油が供給されると、ピストン40がトランスミッション側に移動させられる。この結果、ピストン40によって第1及び第2クラッチプレート37,38が互いに押圧され、クラッチ部28はオンになる。
【0079】
以上のようなクラッチオン状態では、トルクは、クラッチ入力部材35→第1及び第2クラッチプレート37,38→クラッチ出力部材36→入力プレート52→外周側トーションスプリング53→中間部材54→内周側トーションスプリング55→ハブフランジ30の経路で伝達され、タービンハブ17に出力される。
【0080】
ロックアップ装置7においては、トルクを伝達すると共にフロントカバー2から入力されるトルク変動を吸収・減衰する。具体的には、ロックアップ装置7において捩り振動が発生すると、外周側トーションスプリング53と内周側トーションスプリング55とが入力プレート52とハブフランジ30との間で直列に圧縮される。
【0081】
ここで、伝達トルクが低い領域では、外周側トーションスプリング53及び内周側トーションスプリング55が圧縮されて、入力プレート52とハブフランジ30とが相対回転するとともに、中間部材54とハブフランジ30とが相対回転する。ここでは、
図12に示すように、ダンパ機構29は低剛性のねじり特性を示す。
【0082】
そして、入力プレート52とハブフランジ30との相対回転角度が大きくなると、1段目のストッパ機構によって両者の相対回転は禁止される。すなわち、
図12に示すように、伝達トルク(ねじりトルク)がT1になり、入力プレート52とハブフランジ30との相対回転角度がθ1になった状態では、ハブフランジ30のストッパ爪30cが第2プレート62のストッパ溝62cの端面に当接している。すなわち、ロックアップ装置全体のねじり角度がθ1の状態では、中間部材54とハブフランジ30の相対回転は禁止されている。
【0083】
この状態では、
図12に示すように、内周側トーションスプリング55は角度θAだけ圧縮されている。また、同様に、装置全体のねじり角度がθ1の範囲(内周側トーションスプリング55が角度θAだけ圧縮される範囲)では、外周側トーションスプリング53は角度θBだけ圧縮されている。
【0084】
そして、入力プレート52とハブフランジ30との相対角度(ねじり角度)がθ1を超えると、中間部材54、ダイナミックダンパ装置31、及びハブフランジ30は一体となって回転する。
【0085】
伝達トルクがT1以上の領域では、外周側トーションスプリング53のみが圧縮され、ダンパ機構29は、ねじり角度θ1までの特性よりは高剛性のねじり特性を示す。そして、伝達トルクがT2になって、入力プレート52と中間部材54との相対回転角度がθ2になると、最終ストッパ機構によって両者の相対回転は禁止される。すなわち、ねじり角度がθ2になると、第1プレート61のストッパ爪61cが入力プレート52のストッパ溝52fの端面に当接し、中間部材54及びハブフランジ30と入力プレート52との相対回転が禁止される。
【0086】
[ダイナミックダンパ装置の動作]
中間部材54に伝達されたトルクは、内周側トーションスプリング55を介してハブフランジ30に伝達され、さらにタービンハブ17を介してトランスミッション側の部材に伝達される。このとき、中間部材54にはダイナミックダンパ装置31が設けられているので、エンジンの回転速度変動を効果的に抑制することができる。すなわち、ダンパプレート71の回転と、イナーシャリング72及び2つの蓋部材73,74と、の回転は、コイルスプリング75の作用によって位相にズレが生じる。具体的には、所定のエンジン回転数においてイナーシャリング72及び蓋部材73,74はダンパプレート71の回転速度変動を打ち消す位相で変動する。この位相のズレによって、トランスミッションの回転速度変動を吸収することができる。
【0087】
また、本実施形態では、ダイナミックダンパ装置31を中間部材54に固定し、ダイナミックダンパ装置31とタービンハブ17との間に振動を抑えるための内周側トーションスプリング55を配置している。この内周側トーションスプリング55の作用によって、低トルク領域(
図12に示すねじりトルクT1=ねじり角度θ1までの領域)では、
図13に示すように、より効果的に回転速度変動を抑えることができる。
図13において、特性C1は、従来のロックアップ装置における回転速度変動を示している。特性C2はダイナミックダンパ装置をタービンハブに装着し、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材(トーションスプリング)がない場合の変動を示している。また、特性C3は本実施形態のように、ダイナミックダンパ装置を中間部材に装着し、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材(内周側トーションスプリング55)を設けた場合の変動を示している。
【0088】
図13の特性C2と特性C3とを比較して明らかなように、ダイナミックダンパ装置の出力側に弾性部材を設けた場合は、回転速度変動のピークが低くなり、かつエンジン回転数の常用域においても回転速度変動が抑えることができる。すなわち、本実施形態では、ねじりトルクT1までの低トルク領域では、回転速度変動を効果的に抑えることができる。
【0089】
[特徴]
(1)フロントカバー2側の第1蓋部材73は小さい内径を有している。すなわち、径方向の幅が比較的大きい。したがって、第1蓋部材73の慣性量を大きくすることができる。
【0090】
(2)トルクコンバータ本体6側の第2蓋部材74は大きい内径を有する。このため、タービン4との干渉を避けて、軸方向寸法の短縮化を図ることができる。また、軸方向の厚みを厚く形成しているので、内径が大きいにもかかわらず慣性量を大きく確保することができる。
【0091】
(3)1対のイナーシャリング72をダンパプレート52の両側に配置してダイナミックダンパ装置31を構成しているので、1対のイナーシャリング72をプレート部材で形成することができる。したがって、イナーシャリングを鋳造品や鍛造品で形成する場合に比較して製造コストを抑えることができる。
【0092】
(4)第1及び第2蓋部材73,74によってコイルスプリング75がイナーシャリング72のスプリング収納部72aから飛び出るのを禁止している。このため、イナーシャリング72にコイルスプリング75の飛び出しを規制するための突起等を設ける必要がない。また、2つの蓋部材73,74をイナーシャとして利用することができる。
【0093】
(5)ダンパプレート71及びイナーシャリング72の内部にコイルスプリング75を収容しているので、特に、軸方向におけるダイナミックダンパ装置31の占有スペースをコンパクトにすることができる。
【0094】
(6)イナーシャリング72を軸方向に分割しているので、ダンパプレート71の差し込み、及びコイルスプリング75の組付が容易になる。
【0095】
(7)中間部材54にダイナミックダンパ装置31を装着し、ダイナミックダンパ装置31の出力側に内周側トーションスプリング55を設けているので、より効果的に回転速度変動を抑えることができる。
【0096】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0097】
(a)第1及び第2蓋部材の別の実施形態を
図14に示している。この実施形態の蓋部材81,82は、外周端部が軸方向外側に折り曲げられている。具体的には、第1蓋部材81の外周端部は、エンジン側に折り曲げられ、第2蓋部材82はトランスミッション側に折り曲げられ、それぞれ突出部81a,82aが形成されている。このような構成では、各蓋部材81,82の慣性量をより大きくすることができる。
【0098】
なお、各蓋部材の外周部の軸方向の厚みを、他の部分よりも厚く形成することによって慣性量を大きくするようにしてもよい。
【0099】
(b)前記実施形態では、第2蓋部材74と第1蓋部材73の形状を変えたが、イナーシャリングの形状を変えてもよい。具体的には、タービン側のイナーシャリングの内径をフロントカバー側のイナーシャリングの内径より大きくし、タービン側のイナーシャリングの厚みをフロントカバー側のイナーシャリングの厚みより厚くしてもよい。特に、イナーシャ部材として、蓋部材がなくイナーシャリングのみが設けられるような装置の場合は、このような構成によって前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
(c)前記実施形態では、イナーシャ部材が1対のイナーシャリング72と2つの蓋部材73,74とで構成されている場合について説明したが、イナーシャ部材の構成はこれに限定されない。例えば、蓋部材のないイナーシャリングのみで構成されている場合であってもよい。この場合も、イナーシャリングの慣性量は、中間部材54の慣性量の0.5倍以上4.0倍以下が望ましい。また、同様に、イナーシャリングの慣性量は、ハブフランジ30の慣性量の0.5倍以上4.0倍以下が望ましい。
【0101】
(d)前記実施形態では、1対のイナーシャリングの形状を同じにしたが、蓋部材と併せて別の形状にしたり、径や軸方向厚みを別寸法にしたりしてもよい。
【0102】
(e)前記実施形態では、ダンパプレートを中間部材の第2プレートの外周部に形成したが、ダンパプレートを別部材として設けてもよい。
【0103】
(f)前記実施形態では、クラッチ部を多板型のクラッチとしたが、クラッチ部の構成はこれに限定されない。