【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、一般的な滅菌コンテナ槽において、前記底部が、前記据置平面に対して傾斜していると共に前記流体集積エリアと流体接続している、流体を前記コンテナ壁の方向に排水するための流体排水表面を含むという点で成就される。
【0009】
本発明による前記滅菌コンテナ槽内に、前記据置平面に対して傾斜している排水表面が設けられる。特にこのことは、前記排水表面が前記据置平面内に在るのではなく、前記据置平面に対して平行に整列しているのでもないという意味と理解すべきである。前記排水表面により、流体は前記流体集積エリア内に、より具体的には、前記滅菌コンテナ槽の前記コンテナ壁の方向に案内することができる。このことにより、特に前記滅菌工程中に形成される凝縮液等の流体を、具体的に言うと前記コンテナ壁の方向で前記底部の中心から離れる方へと、前記流体集積エリア内へ案内することが可能になる。このようにして、前記排水表面により排水される前記流体の前記コンテナ壁からの距離が低減される。前記コンテナ壁への接近により流体の蒸発が促進されるため、このことにより、例えば前記滅菌工程に続く乾燥段階中に、前記コンテナ壁の残留熱を従来の滅菌コンテナ槽内におけるよりも効果的に利用することが可能になる。前記流体排水表面を経由して前記コンテナ壁の方向に流体を排水し、この流体を前記流体集積エリア内に集積することによっても、前記流体を前記滅菌コンテナ槽から、上述の前記滅菌コンテナでとは異なる仕方で除去することができる。そうするために、例えば貫通開口を設けることができる。貫通開口は前記コンテナ壁内に形成されるのであり、貫通開口に前記貫通開口を開閉するための出口弁が配置される。本事例において、前記出口弁が開いている際、前記コンテナ壁の方向に排水される流体は、前記滅菌コンテナ槽から前記コンテナ壁を通る側で退出することができる。流体が下方に排水されるという、上述した滅菌コンテナの欠点は、このようにして大いに回避可能である。
【0010】
特に、前記滅菌コンテナ槽の、貫通開口が前記コンテナ壁内に形成される、最後に説明した実施形態において、前記底部が前記流体集積エリアに貫通開口を含まないことが好都合である。このことにより、前記流体集積エリアにて前記底部により滅菌バリアを形成することができ、前記滅菌コンテナ槽からの漏出を回避することができる。
【0011】
好ましくは、前記底部は貫通開口を含まず、前記流体集積エリアの外側にも貫通開口を含まない。これによって前記底部全体は滅菌バリアを形成することができ、前記滅菌コンテナ槽からの漏出が回避される。
【0012】
有利な滅菌コンテナ槽の実施において、前記流体排水表面の寸法が、底部表面の少なくとも10%であり、好ましくは前記底部表面の少なくとも20%であり、より一層好適には前記底部表面の少なくとも30%であることが好都合であると分かる。
【0013】
例えば前記滅菌コンテナ槽の好適な実施形態において、前記流体排水表面の寸法が前記底部表面の約3分の1であることが好都合であると分かる。
【0014】
異なる有利な実施形態において、前記流体排水表面の寸法が前記底部表面の約40%〜約50%であることが好都合であると分かった。
【0015】
実務における前記滅菌コンテナ槽の実施において、便宜上、前記底部の構造的高さを低くするために、前記据置平面に対する前記流体排水表面の傾斜は10°未満であることが好都合であると分かる。前記据置平面に対する前記流体排水表面の傾斜が5°未満であることが好適であり、2°未満であることがより一層好適であると分かった。
【0016】
本発明による前記滅菌コンテナ槽の有利な実施形態において、前記据置平面に対する前記流体排水表面の傾斜が約1.5°であることが好都合であると分かった。
【0017】
前記流体集積エリアは、好ましくは前記底部内の窪みにより形成される。このことにより、前記滅菌コンテナ槽を構造的に単純な構成にすることが可能になる。
【0018】
前記滅菌コンテナ槽が、前記底部を形成する底壁を含み、前記底壁が前記流体排水表面及び/又は前記流体集積エリアを形成することが有利である。このことにより、構造的に単純な構成の前記滅菌コンテナ槽を達成することができる。これによって、特に前記滅菌コンテナ槽の底壁上に位置決め可能な底部挿入部を無しで済ますことができる。
【0019】
滅菌バリアを形成すると共に前記滅菌コンテナ槽からの漏出を回避するために、前記底壁は好ましくは少なくとも前記流体集積エリアにあり、完全に好都合なやり方においては、底壁が開口を含まない。
【0020】
前記流体集積エリアが前記底部上で中心から外れて配置されることが有利である。特に、このことは、前記流体集積エリアが前記底部の中心から距離をおいていることを意味すると解釈することができる。このことにより、前記流体排水表面によって排水される流体を、前記コンテナ壁の極力近くに排水することができる。
【0021】
前記流体集積エリアは、好ましくは前記コンテナ壁と直接流体接続している。このことにより、流体を前記コンテナ壁に直接排水することが可能になる。例えば、前記コンテナ壁の区域が、前記流体集積エリアの壁を形成する。
【0022】
例えば、前述した好適な実施形態を形成するために、前記流体集積エリアが前記コンテナ壁の区域に沿って延びることが有利であると分かる。これは、特に、前記流体集積エリアが前記コンテナ壁の区域に沿って配置される及び/又は前記流体集積エリアが前記コンテナ壁の区域に隣接しているという意味と理解される。特に、このことは、前記流体集積エリアが前記コンテナ壁の区域と直接流体接続しているという意味と理解することができる。
【0023】
前記滅菌コンテナ槽が、前記コンテナ壁を形成する4つの側壁を備えた矩形又は略矩形の断面を有し、流体を前記側壁の方向に排水するために、前記流体排水表面が前記側壁のうちの1つの方向に傾斜していることが好都合である。「前記側壁のうちの一方の方向に傾斜している」とは、特に、前記据置平面からの前記流体排水表面の距離が、前記流体排水表面の前記側壁を向く区域では、前記流体排水表面の前記側壁から離れる方を向く区域でよりも少ないという意味と理解することができる。この実施形態において、前記側壁のうちの一方の方向に流体を排水することが可能である。この側壁内には、特に出口弁により閉鎖可能であると共に、前記流体集積エリア内に集積される流体が前記滅菌コンテナ槽からそれを通って退出することのできる貫通開口が形成されることを実現することができる。
【0024】
前記流体集積エリアは、好ましくは、前記側壁、ここで該側壁の方向に前記流体排水表面が流体を排水するために傾斜している、に隣接している。これによって、流体を前記排水表面から、前記側壁の極力近くに案内することを確実にすることができる。本事例において、「隣接して」とは特に前記流体集積エリアが前記側壁に沿って延び、特に前記コンテナ壁と直接流体接続しているという意味と理解することができる。
【0025】
有利なことに、前記流体排水表面が、前記コンテナ壁の前記側壁のうちの一方のみの方向に傾斜している結果、流体は極力、前記側壁のうちの実質一方の方向にのみ排水されることが実現される。
【0026】
前記コンテナ壁が2つの長手方向側壁及び2つの交差方向側壁を含み、前記流体排水表面が、流体を前記交差方向側壁の方向に排水するために、1つの交差方向側壁の方向に傾斜していることが有利であると分かる。この実施形態において、流体を交差方向側の方向に、従って前記滅菌コンテナ槽の狭い側の方向に排水することが可能である。このことにより、前記流体集積エリアは、特に前記交差方向側壁に沿って配置される際又は前記交差方向側壁に隣接している際、よりコンパクトな構成にすることが可能になる。前記交差方向側壁内には、出口弁により閉鎖可能であると共に、流体が前記滅菌コンテナ槽からそれを通って退出することのできる貫通開口を形成することができる。
【0027】
前記流体排水表面が、好ましくは前記底部の中心を越えて延びる結果、流体を前記底部の中心から前記コンテナ壁の方向に排水することもできる。例えば矩形の滅菌コンテナ槽では、前記流体排水表面が、長手方向に沿って前記底部の約60%〜約70%にわたって、交差方向では前記底部表面の約45%〜約55%にわたって、その中心を越えて延びることを実現することができる。
【0028】
構造的に単純な構成のために、前記流体排水表面が平面的な構成を有すると好都合であると分かる。更に、流体を前記平面的な流体排水表面を介して前記流体集積エリア内へ確実に排水することができる。
【0029】
上述のように、本発明による前記滅菌コンテナ槽の好適な実施形態において、前記コンテナ壁内に貫通開口が形成され、前記滅菌コンテナ槽が、前記貫通開口を開閉可能である出口弁を含むか、若しくは、このような出口弁が前記滅菌コンテナ槽に固定されることが実現される。前記流体集積エリアに案内される流体は、前記貫通開口を通って前記滅菌コンテナ槽から退出することができる。この目的で、前記流体集積エリアは、好ましくは前記コンテナ壁の前記貫通開口を含む区域に隣接している又はこの区域に沿って延びる。
【0030】
前記滅菌コンテナ槽が、前記流体集積エリアから前記出口弁までの流体接続を提供すると共に流体を前記流体集積エリアから前記出口弁まで上昇させるための流体上昇装置を含むか、若しくは、このような流体上昇装置が前記滅菌コンテナ槽に固定されることが有利であると分かる。好都合なことには、前記出口弁は前記コンテナ壁上で前記底部から距離をおいて配置される。前記流体上昇装置により、集積した流体を前記出口弁へ上昇させることが可能になる結果、流体は前記滅菌コンテナ槽から退出することができる。例えば、前記流体上昇装置は前記流体集積エリアを流体入口開口に係合させる流体チャネルを含む。前記流体チャネルは、例えば前記出口弁の上昇流側に配置される又はこの上昇流側に向けられる流体出口開口を含むことができる。前記出口弁が開放すると前記貫通開口を通る流れが形成することができ、流体はこの流れの作用下に前記流体チャネルを通って前記出口弁へ上昇し、前記滅菌コンテナ槽から退出することができる。
【0031】
上述のように、前記流体排水表面は、好ましくは前記滅菌コンテナ槽の1つの側壁のみの方向に傾斜しており、この側壁の方向に流体を排水することができる。このことは、例えば前記底部が対称な構成を有することにより達成することができる。
【0032】
概して、前記据置平面に対して垂直に配列されると共に前記底部がそれに関して非対称的に構成される槽中心平面を前記滅菌コンテナ槽が規定することが有利である。例えば、前記非対称面から距離をおいて配置された前記流体集積エリアまで流体を案内するために、前記流体排水表面は前記底部の中心を越えて延び、これによってこの非対称面と交差することができる。
【0033】
特に前記流体集積エリアは、前記非対称面に関して非対称的である。
【0034】
別法として又は付加的に、前記据置平面に対して垂直に配列されると共に前記底部がそれに関して対称的に構成される槽中心平面を前記滅菌コンテナ槽が規定することを実現することができる。このことにより、前記滅菌コンテナ槽を構造的に簡素化することが可能になる。前記底部の対称面は、特に前記底部の前述した非対称面に対して、垂直に整列させることができる。
【0035】
前記底部が、前記滅菌コンテナ槽が据置要素を外側に有するエリアに窪みを含む又は形成し、前記据置要素が前記据置平面を規定することが有利であると分かる。前記底部内に前記窪みが形成されるおかげで、特に、前記滅菌コンテナ槽の前記外側に隆起部を形成することができる。隆起部は、前記据置平面を規定するのであり、前記滅菌コンテナ槽が据置表面にそれを介して接触することのできる据置要素として作用することができる。これによって、前記外側から前記底部に接続される別の据置要素は無しで済ますことができる。この実施形態において、前記底部が底壁により形成されることが有利であると分かる。
【0036】
前記窪みが、前記流体排水表面が傾斜している方向で前記コンテナ壁の区域に隣接し、前記流体集積エリアの一部を形成することが好都合である。このことにより、前記滅菌コンテナ槽を構造的に簡素化することができる。前記窪みは、前記流体排水表面から前記コンテナ壁の方向に排水される流体を保持し、これによって前記流体集積エリアの一部を形成することができる。
【0037】
前記流体上昇装置の、前述した流体チャネルが前記窪みのうちの1つに係合する結果、集積した流体が前記流体チャネルに入ることができることを実現することができる。
【0038】
有利なことに前記滅菌コンテナ槽が、前記コンテナ壁及び前記滅菌コンテナ槽の隅エリアにある窪みを形成する4つの側壁を備えた矩形又は略矩形の断面を有し、前記流体排水表面が、前記側壁のうちの1つの方向に傾斜しており、前記側壁に隣接している前記窪みのうちの少なくとも1つが、前記流体集積エリアの一部を形成することを実現することができる。前記滅菌コンテナ槽の前記隅エリアにある前記4つの窪みのうちの少なくとも1つ、好ましくは2つが、例えば前記流体排水表面がその方向に傾斜している前記側壁に沿って延びる前記流体集積エリアの一部を形成することができる。
【0039】
前記底部は、好ましくは、前記流体集積エリアに、前記据置平面に対して平行に配列されると共に前記流体排水表面に前記コンテナ壁から距離をおいて接続される底部区域を有する。この好適な実施形態において、前記流体排水表面は前記コンテナ壁に至るまで直接延びるのではなく、前記据置平面に対して平行に配列される底部区域に至るまで延びる。結果として、傾斜している前記流体排水表面は前記底壁に至るまで延びる必要がない。このことにより、前記底部の構造的高さを低くすることが可能になる。
【0040】
前記据置平面に対して平行に配列される前記底部区域は、前記底部内の前述した窪みのうちの1つ以上の中へ続くことができる。この窪みは、前記流体集積エリアの一部を形成する。
【0041】
前記底部区域が、前記流体排水表面から前記コンテナ壁に至る又はほぼ至るまで延びることが好都合であると分かる。例えば、前記底部区域は、前記流体排水表面から離れる方を向く前記側で前記コンテナ壁に接続することができる。
【0042】
本発明による前記滅菌コンテナ槽の、最後に記載した有利な実施形態の変形例において、前記流体排水表面が、前記コンテナ壁に至るまで直接延びることを実現することができる。
【0043】
前記底部が、外科用器具用の容器を支持するための支持要素を含む又は形成し、前記支持要素が、前記据置平面に対して平行に配列される支持平面を規定することが好都合である。前記支持要素上には、器具用の容器、特に外科用スクリーンバスケットを位置決めすることができる。前記支持平面により、前記容器の信頼できる位置決め、それ故に信頼できる支持が可能になる。
【0044】
前記支持平面の前記据置平面からの距離は、好ましくは、前記流体排水表面の前記据置平面からの距離と同じである又はこの距離よりも大きい。特に、このことは、前記流体排水表面が、前記滅菌コンテナ槽により規定される受入空間内へ前記支持平面を越えて突出するのではないという意味と理解することができる。一方で、このことは、外科用器具用の前記容器の前記支持要素上での信頼できる位置決めを可能にする。他方で、流体は前記容器の下に排水することができる。
【0045】
構造的に単純な構成において、前記支持要素が平面的な構成を有することが好都合である。例えば前記支持要素は、前記底部の区域、特に前記滅菌コンテナ槽の底壁の区域とすることができる。区域は、前記据置平面に対して平行に延びる。
【0046】
前記底部が、前記滅菌コンテナ槽の互いから距離をおいて配置された2つの側壁に沿って延びる2つの支持要素を有し、前記流体排水表面が前記支持要素の間に配置されることが好都合である。結果として、前記容器を前記好ましくは平面的な支持要素上の前記外側に据置くことができる。凝縮液等の流体は、前記流体排水表面から前記容器の下に排水することができる。前記支持要素は、好ましくは前記滅菌コンテナ槽の長手方向で前記コンテナ壁の長手方向側に沿って延びる底部区域であり、前記流体排水表面はその交差方向で前記支持要素間に配置される。前記流体排水表面は、好都合なことに前記コンテナ壁の交差方向側壁の方向に傾斜している。
【0047】
冒頭で言及したように、本発明は外科用滅菌コンテナにも関する。滅菌コンテナ槽と、前記滅菌コンテナ槽上に着脱可能に嵌合されるように適合されている滅菌コンテナ蓋とを含む冒頭で言及した種類の外科用滅菌コンテナにおいて、冒頭で言及した目的は、本発明によれば、前記滅菌コンテナが上述した種類の滅菌コンテナ槽を含むという点で成就される。
【0048】
本発明による前記滅菌コンテナ槽と合わせて上で言及した利点は、本発明による前記滅菌コンテナを用いれば、上で行った説明に関して参照できるように達成することができる。
【0049】
本発明の好適な実施形態の以下の記載は、図面と合わせると本発明をより詳細に説明するように働く。