(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示層の解像度よりも低い解像度で前記上位構成要素と前記下位構成要素を処理するステップと、前記上位構成要素と下位構成要素の貢献度の値を結合する前に前記表示層の解
像度に合わせるために前記上位構成要素と前記下位構成要素の解像度をアップ・サンプリングするステップとをさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
前記複数の光源を含んでなる光源層の実効輝度パターンを前記表示層の解像度よりも低い第1の空間解像度に決定するステップと、前記実効輝度パターンの前記空間解像度を前記表示層の解像度に対応する第2の空間解像度まで上げるステップとをさらに備える、請求項4に記載の方法。
前記点広がり関数の値の集合の下位構成部分の実効輝度パターンの貢献度の値を、前記点広がり関数の値の上位構成部分のサポートの面積の内側と外側で異なる解像度をもって決定する、請求項10に記載の方法。
半径Rの外側で前記点広がり関数の上位構成部分の値が0となるように半径Rを決定することによって、点広がり関数の値のうちの上位構成部分についてのサポートの面積を特定する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面に示す実施形態は、説明のためのものであって本発明を制限するものではない。
下記の説明全体を通して、特定の詳細な説明は、本発明をよりよく理解してもらうためのものである。しかし、本発明はこれらの詳細な説明によらなくても実行することができる。他の例の場合には、本発明が不必要に分かりにくくなるのを避けるために、周知の要素は詳細に図示してもいないし、説明もしていない。それ故、本明細書および図面は例示としてのものであると見なすべきであり、本発明を制限するものと見なすべきではない。
【0011】
本発明は、少なくともその一部が画像データにより決まる光のパターンを生成し、画像を生成するために光のパターンを変調することにより画像が表示される広い範囲の用途に適用することができる。光のパターンは、任意の適当な装置により生成することができる
。以下にいくつかの例を示す。
【0012】
・光源の明るさを変化することができる駆動回路により駆動される複数の光源。
・光源からの光を変調する反射型または透過型の変調器と結合している固定または可変光源。
【0013】
以下に、発光ダイオードのアレイによりLCDパネルの一方の面上に光のパターンが生成され、LCDパネルが見ることができる画像を生成する目的で光のパターンの光を変調するために制御される、例示としての実施形態について説明するが、この説明は本発明を制限するものではない。この例の場合には、LEDのアレイを、第1の変調器を構成するものと見なすことができ、LCDパネルは第2の変換装置を構成している。
【0014】
一般的に、LED/LCD層ディスプレイ上に表示するための画像フレームまたはフレーム・セットのレンダリングは、下記の計算ステップを含む。
1.画像データを入手するステップ(スクリーン全体またはスクリーンの一部の画像データであってもよい)。
【0015】
2.画像データから第1の変調器の各LEDに対する適当な駆動値を入手し、当業者であれば周知の適当な技術(例えば、強度および色のような要因をベースとすることができる最近傍補間)を使用するステップ。
【0016】
3.LED駆動値をLED層に適用した場合に、LCD層上に表示される実効輝度パターンを決定するために、入手したLED駆動値、およびLED層上のLEDの点広がり関数、およびLED層とLCD層との間の任意の層の特性を使用するステップ。
【0017】
4.次に、LCD層に対する生の変調データを入手するために、画像データにより定義した画像を実効輝度パターンにより分割するステップ。
5.ある場合には、LEDまたはLCD層内に発生する非線形性または他のアーティファクトのような問題を解決するために生の変調データを修正するステップ。これらの問題は、当業者であれば周知の適当な技術(例えば、スケーリング、ガンマ補正、値置換演算等)を使用して処理することができる。例えば、修正変調データの生成は、LCD層のガンマ補正曲線または他の特定の特性を合わせるために生の変調データを変更するステップを含むことができる。
【0018】
6.LCD(生の変調データまたは修正変調データであってもよい)に対する最終変調データ、およびLEDに対する駆動データを、所望の画像を生成する目的でLCDおよびLED層を駆動するために適用するステップ。
【0019】
画像を表示する際に使用するための最終変調データの計算コストを低減するための(すなわち、スピードアップするための)種々の方法について本明細書で説明する。これらの方法は、
・もっと低い精度の領域で計算の少なくともいくつかの部分を行うステップ(例えば、16ビット領域でではなく、8ビット領域で計算することにより)と、
・本明細書に記載する実効輝度パターンを効率的に確立するために、オプションのうちの1つまたは複数を実施するステップと、
を含む。
【0020】
これらの技術は個々に実施することもできるが、本明細書に記載する技術の任意の適当な組合せも使用することができる。
(実効輝度パターンの決定)
LED層内の各LEDの点広がり関数は、LEDの形状により決まる。LED層の全実効輝度パターンを決定するための簡単な技術の場合には、最初に、各LEDの点広がり関数(特に、LEDが放射し、LED層およびLCD層の間のすべての光学構造を通過する光の点広がり関数)に、LCD層上の各ピクセルに対するその駆動値に対するLEDの実効輝度貢献度を入手するために、選択したLED駆動値、および適当なスケーリング・パラメータが掛けられる。
【0021】
このようにして、選択した駆動値をLED層に適用した場合に生成されるLCD層上の全実効輝度パターンを入手するために、LED層内の各LEDの輝度貢献度を決定し、合計することができる。しかし、これらの乗算および加算を計算するには非常に高いコストがかかる(すなわち、時間がかかる)。何故なら、上記ステップ4の除算を容易にするために、実効輝度パターンをLCD層と同じ空間解像度に決定しなければならないからである。
【0022】
LEDの点広がり関数が非常に幅の広い「サポート」を有している場合には、計算コストが特に高くなる。LEDの点広がり関数の「サポート」は、LEDにより無視できない量で照明されるLCDピクセルの数である。サポートは、LEDの点広がり関数が観察者の知覚に影響を与えなくなるほど小さくなるLCD層ピクセル内で測定した半径により指定することができる。サポートは、各LEDにより有意の量で照明される多数のLCDピクセルに対応する。
【0023】
例えば、各LEDの中心がLCD層のピクセルの50個に等しい距離だけ直接隣接するLEDから離れている六角形のLEDアレイについて考えてみよう。各LEDが、150個のLCDピクセルのサポートを有する点広がり関数を有している場合には、LCD層の中心部分内の各ピクセルは、約35個のLEDからの光により照射される。それ故、この例の実効輝度パターンを計算するには、各関連するLEDにより各ピクセルに貢献する光を考慮するために、LCD層の各ピクセルについて35回演算を行わなければならない。LCD層が高い空間解像度を有している場合には、そのため計算コストが非常に高くなる(すなわち、時間がかかる)。
(解像度の低減)
LCD上に生成された実効輝度パターンを決定するために必要な時間は、LCD層上に表示される高い解像度の画像の空間解像度より低い低減した空間解像度で、実効輝度パターンを計算することにより低減することができる。このことは実際に行うことができる。何故なら、個々の光源の点広がり関数は、通常、滑らかに変化するからである。それ故、実効輝度パターンは、LCDの解像度で比較的ゆっくりと変化する。それ故、有意なアーティファクトを導入することなく、もっと低い解像度で実効輝度パターンを計算し、その後、所望のもっと高い解像度まで実効輝度パターンをスケーリングすることができる。
【0024】
スケーリングは、適当な線形、ガウスまたは他の補間技術により行うことができる。このような空間解像度の低減により、実効輝度パターンを確立するための計算コストをほぼ直線的に低減することができる。低い解像度で計算した実効輝度パターンをスケーリングアップするために使用することができる多くの入手可能な補間方法の計算コストは、LCDまたは他の第2の光変調器の解像度での実効輝度パターンの計算コストより安い。
【0025】
上記例を使用して、幅および高さ両方向の解像度を1/10に低減すると、計算コストが約1/100に低減する。それは、低減した解像度の画像内のピクセルの全数が、LCD層の上に表示される高い解像度の画像内のピクセルの全数の1/100になるからである。低減した解像度の画像内の各ピクセルは、依然として35個のLEDから受光し、ピクセル当たり35回の計算を必要とするが、これらの演算は、LCD層上に表示される実際の高い解像度の画像内の各ピクセルに対して計算を別々に行う場合と比較すると、1/
100のピクセルに対して行われる。
(点広がり関数の分解)
画像レンダリングの計算コストは、また各光源(例えば、各LED)の点広がり関数を、すべての構成要素の再結合がもとの点広がり関数となるようにいくつかの構成要素に分解することにより(例えば、ガウス分解を行うことにより)低減することができる。次に、実効輝度パターンを、各構成要素に対して別々に決定することができる。各構成要素に対して実効輝度パターンを決定すると、全実効輝度パターンを生成するために、これらの実効輝度パターンを結合することができる。この結合は、例えば、合計することにより行うことができる。
【0026】
構成要素により貢献を受けた実効輝度パターンの計算は、上記のように、LCD層の解像度で、または低減した解像度で行うことができる。
LCD層の解像度で各構成要素に対して実効輝度パターンを計算した場合でも、速度の利益を得ることができる。何故なら、特に標準点広がり関数(例えば、ガウスの点広がり関数)に基づいて高速計算を行うことができるハードウェア構成要素が市販されているからである。このようなハードウェア構成要素は、ディスプレイのLED層内の実際のLEDの非標準点広がり関数用には通常市販されていないので、汎用プロセッサを使用するかなり遅い計算技術を使用する必要がある。
【0027】
各構成要素に対する実効輝度パターンを決定するために上記の解像度低減技術を使用すると、もっと大きな速度の利点を達成することができる。さらに、より大きな速度の利点を達成するために点広がり関数の異なる構成要素に、異なる空間解像度を適用することができる。例えば、
図1(実線)は、急峻な中央部分10および幅の広い尾部12を有する例示としてのLEDの点広がり関数を示す。この場合、図に示すように、実際の点広がり関数を、幅の狭い基部ガウス構成要素14Aとおよび幅の広い基部ガウス構成要素14Bに分解することができる。
【0028】
幅の広い基部ガウス構成要素14B(点線)は、幅の狭い基部ガウス・セグメント14A(鎖線)と比較すると、比較的小さな画像強度に貢献する。さらに、幅の広い基部ガウス構成要素14Bは、幅の狭い基部ガウス構成要素14Aよりゆっくりと変化する。それ故、幅の狭い基部ガウス構成要素14Aに対する実効輝度パターンは、やや高い空間解像度で決定することができ、一方、幅の広い基部ガウス構成要素14Bに対する実効輝度パターンは、かなり低い空間解像度で計算することができる。これにより、幅の狭い基部ガウス構成要素14A内に含まれている画像強度情報のかなりの部分を保存し、依然として比較的高速を維持することができる。何故なら、幅の狭い基部ガウス・セグメントの実効サポートが小さく、そのため数個のLCDピクセルがこの構成要素によりカバーされるからである。対照的に、幅の広い基部ガウス構成要素14Bは、比較的小さな画像強度情報を含んでいるので、各構成要素に対して入手したパターンを結合することにより形成した全実効輝度パターンの解像度をほとんど劣化しないで、この構成要素を低い解像度で比較的高速で処理することができるからである。
(8ビット切り出し)
画像データは、通常、16ビット語の形で供給される。ハイエンド(すなわち、もっと高価な)グラフィック・プロセッサは、通常、16ビット領域で計算を行う。このようなプロセッサは、16ビット演算を高速で行うことができる専用の16ビットまたは浮動小数点演算装置を有することができる。実効輝度パターンを8ビット領域で計算することにより、16ビット演算を高速で行うことができるハイエンド・プロセッサはそれほど必要ではなくなる。このような計算は、もっと安価なプロセッサによりかなり高速で行うことができる。
【0029】
各LEDの点広がり関数は、LEDの中心に対する強度対距離の二次元関数である。こ
のような点広がり関数は、複数の16ビット・データ語により特徴付けることができる。点広がり関数をルックアップ・テーブルで表す場合には、点広がり関数を定義するために多くの16ビット値が必要になる。例えば、1つの値を、LEDを中心とする円上または円内に位置し、点広がり関数のサポートに対応する半径を有する各LCDピクセルに対して供給することができる。
【0030】
これら各16ビット・データ語は、8ビットの上位バイト構成要素および8ビットの下位バイト構成要素を有する(任意の16ビット値Aは、A=B*28+Cになるように、2つの8ビット値BおよびCに分割することができる。ここで、Bは「上位バイト」であり、Cは「下位バイト」である)。好適には、8ビット値は、入力16ビット・データにすべての必要なスケーリングおよび操作を行った後でだけ抽出することが好ましい。
図2Aは、16ビット点広がり関数を示す。
図2Bおよび
図2Cは、それぞれ
図2Aの16ビット点広がり関数の8ビットの上位および下位バイト構成要素を示す。
【0031】
16ビット・データ語は、2
0−1から2
16−1まで(すなわち、0〜65535)の整数値を表すことができる。8ビット・バイトは、2
0−1から2
8−1まで(すなわち、0〜255)の整数値を表すことができる。8ビットの上位バイト構成要素を特徴とする点広がり関数の「サポート」(すでに定義した)は、点広がり関数全体のサポートよりも遥かに小さい(狭い)。それは、全点広がり関数を特徴付ける16ビット・データ語が65535の可能な値のその範囲から値255に達した場合に、8ビット上位バイト構成要素が、その255の可能な値の最低値(ゼロ)に達したからである。残りの255の値は、ゼロに等しい上位バイト構成要素の値を含む下位バイト構成要素により供給される。それ故、画像強度情報をほとんど喪失しないで、幅の狭い基部8ビット上位バイト構成要素に対応する実効輝度パターンを高速で決定することができる。解像度の低減または上記他の技術あるいはその両方は、8ビット上位バイト構成要素に対する実効輝度パターンの決定をさらにスピードアップするのに使用することができる。
【0032】
8ビット下位バイト構成要素を特徴とする点広がり関数のサポートは、比較的幅が広い。より詳細に説明すると、8ビット下位バイト構成要素は、255の可能な値しか有していないが、これらの値は255から(点広がり関数全体に対する65535の値から)0に低減し、これら255の値は255の最も低い強度レベル(すなわち、上位バイト構成要素の値がゼロに等しくなるレベル)に対応する。これら255レベルは、その周辺部材の点広がり関数の値を表す。
【0033】
下位バイト構成要素は、2つの領域に分割することができる。上位バイト構成要素を特徴とする点広がり関数がゼロになる境界内に位置する中央領域はゼロになる。中央領域においては、もとの16ビット点広がり関数がほぼ平滑な場合には、下位バイト構成要素は、通常、不規則な鋸歯パターンで変化する(
図3に示す)。それは、中央領域においては、下位バイト構成要素を特徴とする点広がり関数の一部が、上位バイト構成要素を特徴とする点広がり関数の一部を増大するからである。
【0034】
例えば、16ビット値10239から16ビット値9728への遷移を考えてみよう。16ビット値10239は、39の上位バイト構成要素値および255(すなわち、39*256+255=10239)の下位バイト構成要素値を有する。それ故、下位バイト構成要素の点広がり関数への貢献度は、最初は255であり、上位バイト構成要素の貢献度は最初は39である。上位バイト構成要素の貢献度の値は39のままであるが、下位バイト構成要素の貢献度の値は255からもとの16ビット点広がり関数が値9984(すなわち、39*256+0になる)を有する点0に滑らかに減少する。次に、点広がり関数への上位バイト構成要素の貢献度の値は39から38に滑らかに変化するが、この変化は、点広がり関数に対する下位バイト構成要素の貢献度の値の(0から255への)急激
な変化を伴う。
【0035】
図4を見れば分かるように、もとの点広がり関数の半径Rの内側(および点広がり関数への上位バイト構成要素の貢献度の値がゼロでない所)においては、点広がり関数への下位バイト構成要素の貢献度の結果としての鋸歯パターンは、もとの点広がり関数の特徴である。半径Rの外側では、点広がり関数への上位バイト構成要素の貢献度の値はゼロになり、下位バイト構成要素の貢献度の値は滑らかに変化する。
【0036】
点広がり関数の下位バイト構成要素からの貢献度は、望ましくないアーティファクトを避けるために、2つの領域(すなわち、半径Rの内部および外部の領域)内で異なる方法で処理することができる。例えば、半径Rの内側の領域内に含まれている画像強度情報のかなりの部分を保存するために、好適には、その領域に対する実効輝度パターンを、すでに説明したように、点広がり関数への上位バイト構成要素の貢献度に対する実効輝度パターンを決定するために使用した同じ比較的高い解像度により決定することが好ましい。対照的に、半径Rの外側の領域に対する実効輝度パターンは、画像強度情報をほとんど喪失しないで遥かに低い解像度により決定することができる。
【0037】
3つの点広がり関数セグメント(すなわち、上位バイト構成要素、半径Rの内側の下位バイト構成要素の領域、および半径Rの外側の下位バイト構成要素の領域)を上記のように処理した後で、LCD層の解像度と合わせるように結果が個々にアップ・サンプリングされ、次に、適用する適当な拡大・縮小率(scaling factor)により再結合される。再結合は、通常、上位バイト構成要素の値に256を掛けた後の、2つの下位バイト構成要素領域の値、および上位バイト構成要素の値の合計を含む。
(補間)
LCD層の解像度より低い解像度を使用して実効輝度パターン値を決定した場合には、LCD層の解像度に合わせるその値をアップ・サンプリングする必要がある。低い解像度の画像を高い解像度の画像にアップ・サンプリングするための補間技術は周知のものであり、線形およびガウス両方をベースとする技術が通常使用される。このような従来技術の技術は上記の技術と一緒に使用することができるが、特定の表示構成に対して最適化される補間技術を使用することにより、精度または速度あるいはその両方を改善することができる。最適化装置のもっと高い解像度の画像圧縮により、望ましくない補間アーティファクトの導入が最小限度に低減し、画像レンダリング時間が短縮する。極端な場合には、LED層の解像度と合わせるために、実効輝度パターンの解像度を低減するために補間技術を使用することができる。
【0038】
従来技術の補間技術は、多くの場合、特定の予備補間データとの使用、または特定の補間関数との使用に制限される。実効輝度パターンの解像度をLCDディスプレイの解像度に合わせるために使用する補間技術は、選択した補間関数との予備補間データのコンボルーションが、実際の実効輝度パターンに適当に類似している実効輝度パターンを形成するならば、このような制限に適合する必要はない。
【0039】
必要な類似性の程度は表示用途により異なる。異なる用途は異なる程度の類似性を必要とする。ある用途の場合には、比較的小さなズレが観察者を我慢できないほど混乱させるが、一方、他の用途(比較的大きなズレが、それでも大部分の観察者が我慢できる品質の画像を形成するテレビジョンまたはコンピュータ・ゲームの画像を含む用途など)の場合には、もっと大きなズレも許容することができる。それ故、実際のLED駆動値、または実際のLEDの点広がり関数に直接補間技術を適用する必要はない。
【0040】
例えば、
図5は、LED層の解像度と合わせる目的で実効輝度パターンの解像度を低減するために、反復入手補間技術により入手した結果を示す。LED層の解像度でのピクセ
ル値は、LED駆動値ではなく、このピクセル値は補間前の実効輝度パターンの輝度値である。補間関数は、標準反復法および無作為開始条件により決定することができる。
図5に示すように、実効輝度パターン値を含む反復入手補間関数のコンボルーションは、実際の実効輝度パターンにかなり近い結果を生じる。
【0041】
多くの異なる補間技術を使用することができる。選択した補間関数とその関数と一緒に使用するために選択した入力パラメータが、実際の実効輝度パターンにかなり近い結果を生じるなら、補間関数とLEDの点広がり関数、LED駆動値、またはディスプレイの任意の他の特性との間に相互関係は全然なくてもよい。
(例示としての実施形態)
図6は、本発明のある例示としての実施形態である。
図6は、変調された光源層32および表示層34からなるディスプレイ30を示す。光源層32は、例えば、下記のものを備えることができる。
【0042】
・LEDのような制御可能な光源のアレイ。
・一定の強度の光源および光源からの光の強度を空間的に変調するように配置されている光変調器。
【0043】
・これらのある組合せ。
図の実施形態の場合には、光源層32はLED33のアレイを備える。
表示層34は、光源層32から表示層34上に入射する光の強度をさらに空間的に変調する光変調器を備える。表示層34は、例えば、LCDパネルまたは他の透過型の光変調器を備えることができる。表示層34は、通常、光源層32の解像度より高い解像度を有する。光源層32から表示層34へ光を運ぶのに適している光学構造36を光源層32と表示層34の間に設置することができる。光学構造36は、開放空間、光拡散装置、コリメータ等のような要素を含むことができる。
【0044】
図の実施形態の場合には、データ・プロセッサ42、および光源層32を制御するための適切なインタフェース電子回路44A、および表示層を制御するための適切なインタフェース電子回路44Bを備えるコントローラ40が、ディスプレイ30上に表示する画像を指定する画像データ46を受信する。コントローラ40は、見ている1人または複数の人が見るための所望の画像を生成するために、光源層34の光エミッタ(例えば、LED33)および表示層34のピクセル35を駆動する。プロセッサ42にアクセスすることができるプログラム記憶装置46は、プロセッサ42が実行した場合に、プロセッサ42に本明細書に記載する方法を実行させるソフトウェア命令を含む。
【0045】
コントローラ40は、画像データ48が指定する画像を表示するために、光源層32および表示層34を制御するための適当なソフトウェア/ハードウェア・インタフェースを有する適切にプログラムしたコンピュータを備えることができる。
【0046】
図7は、
図6に示す一般的なタイプのディスプレイ上に画像データを表示するための方法50を示す。方法50は、ブロック52で画像データ48を受信した場合に開始する。ブロック54においては、光源層32に対する第1の駆動信号が画像データ48から入手される。ブロック54においては、第1の駆動信号を入手するために適当な周知の方法を適用することができる。
【0047】
ブロック56において、方法50は実効輝度パターンを計算する。実効輝度パターンは、第1の駆動信号、および光源層32の光源に対する周知の点広がり関数から計算することができる。ブロック56においては、表示層34の解像度より低い解像度で実効輝度パターンの計算が行われる。例えば、ブロック56においては、4の約数である解像度、ま
たは表示層34の解像度より各次元においてもっと小さい解像度(ある実施形態の場合には、各次元において4〜16の範囲だけ小さい約数)で実効輝度パターンを計算することができる。
【0048】
ブロック58においては、ブロック56で計算した実効輝度パターンが、表示層34の解像度にアップサンプリングされる。このことは、例えば、任意の適切な補間技術により行うことができる。ブロック62において、表示層のための第2の駆動信号が、アップサンプリングした実効輝度パターンおよび画像データから決定される。第2の駆動信号も、表示層の既知の特性および任意の所望の画像修正、色修正等を考慮に入れることができる。
【0049】
ブロック64において、見るための画像を表示するために、ブロック54で入手した第1の駆動信号が光源層に適用され、ブロック62の第2の駆動信号が表示層に適用される。
【0050】
図8は、実効輝度パターンを計算するための方法70である。方法70は、方法50のブロック56内で適用することができるし、または他の所で使用することができる。方法70は、光源層32の光源に対する点広がり関数の各構成要素に対するELPを計算することにより開始する(ブロック72A、72Bおよび72C、総称ブロック72)。ブロック72は、任意の順序で実行することがもきるし、相互に並列に実行することもできる。
図8は、3つのPSF構成要素73A、73Bおよび73C、および3つの対応するブロック72を示す。この方法は、2つまたは3つのPSF構成要素73により実行することができる。
【0051】
点広がり関数(PSF)の構成要素は、通常、予め定められている。各構成要素の表示は、プロセッサ42にアクセスすることができる場所に記憶される。各ブロック72は、光源層32の各光源に対して、点広がり関数の構成要素を定義する値に光源の輝度を表す値を掛けるステップを含むことができる。ブロック74において、ブロック72で決定した実効輝度パターンが、光源層32に第1の駆動信号を適用することにより得られる実効輝度パターンの全体の推定値を入手するために、例えば加算により結合される。
【0052】
図9は、実効輝度パターンを計算するために適用することができる方法80を示す。方法80は、下記のステップに適用することができる。
・方法50のブロック56で実効輝度パターンを計算するステップ、または、
・方法70のブロック72で点広がり関数の個々の構成要素に対する実効輝度パターンを計算するステップ、または
・他の用途に適用するステップ。
【0053】
方法80は、光源層32の光源に対する点広がり関数(またはPSF構成要素)を特徴付けるデータ、および第1の駆動信号の制御の下で光源がどんな強度で動作しているのかを示すデータによりブロック82から開始する。方法80は、種々の空間内位置で実効輝度パターンへの光源の貢献度を特徴付ける一組の値を入手するために、これらの値を結合する(例えば、一緒に掛け合わせることにより)。
【0054】
ブロック84において、結果として得られる値の高次および低次の構成要素が入手される。ある実施形態の場合には、結果として得られる値は、16ビット語であり、高次の構成要素は8ビット・バイトであり、低次の構成要素は8ビット・バイトである。
【0055】
ELPへの貢献度は、ブロック86および88において、高次構成要素および低次構成要素に対して別々に決定される。各光源に対して、86の高次貢献度内に値を含んでいる
サポートの面積は、通常、ブロック88の低次貢献度内に値を含んでいるサポートの面積よりかなり小さい。
【0056】
ブロック88においては、通常、高次貢献度(ブロック90)のサポートの面積内に位置する点に対する低次貢献度が、高次貢献度(ブロック92)のサポートの面積の外側に位置する点に対するものとは別々に計算される。ブロック86、90および92は、任意の順序でまたは同時に実行することができる。
【0057】
ブロック94においては、EPL全体を入手するために、ブロック86、90および92からの貢献度が結合される。ブロック86、80および92での計算は、高次および低次構成要素が8ビット・バイトまたはもっと小さなバイトである場合には、8ビット領域で(すなわち、8ビット・オペランド上の8ビット演算により)主としてまたは全体的に行うことができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様は、プロセッサに本発明の方法を実行させるソフトウェア命令を実行するコンピュータ・プロセッサを備える。例えば、コンピュータまたは他の表示コントローラ内の1つまたは複数のプロセッサは、プロセッサにアクセスすることができるプログラム・メモリ内のソフトウェア命令を実行することにより、
図7、
図8または
図9の方法を実施することができる。本発明は、プログラム製品の形で提供することもできる。プログラム製品は、データ・プロセッサが実行した場合、データ・プロセッサに本発明の方法を実行させる、命令を含む一組のコンピュータ読み取り可能信号を運ぶ任意の媒体を含むことができる。本発明によるプログラム製品は、種々様々な形のうちの任意の形をとることができる。プログラム製品は、例えば、フロッピー・ディスケット、ハード・ディスク・ドライブを含む磁気データ記憶媒体のような物理媒体、CD ROM、DVDを含む光データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAM等を含む電子データ記憶媒体、またはデジタルまたはアナログ通信リンクのような通信タイプの媒体を備えることができる。プログラム製品上のコンピュータ読み取り可能信号は、そうしたい場合には、圧縮または暗号化することができる。
【0059】
構成要素(例えば、部材、部品、組立体、デバイス、プロセッサ、コントローラ、コリメータ、回路等)が上記のように呼ばれる場合には、別段の指示がない限り、その構成要素(「手段」への言及を含む)への言及は、この構成要素の等価のものとして、本発明の図示の例示としての実施形態で機能を実行する開示の構造に構造的に等価でない構成要素を含む、上記構成要素の機能を実行する(すなわち、機能的に等価な)任意の構成要素を含むものと解釈すべきである。
【0060】
当業者であれば上記説明を読めば理解することができるように、本発明の精神または範囲から逸脱することなしに、本発明を実行する際に種々の変更および修正を行うことができる。例えば、
・光源層は、相互に異なる点広がり関数を有する多数の異なるタイプの光源を備えることができる。
【0061】
・ディスプレイはカラー・ディスプレイを備えることができ、上記計算を多数の各カラーに対して別々に行うことができる。
第1の例によると、ディスプレイにおける実効輝度パターンを判定するための方法において、前記ディスプレイは、変調された表示層を照明すべく光を発するように設けられた変調された光源層を備え、前記実効輝度パターンは前記表示層上の前記光源層からの光の分布を示し、前記方法は、前記変調された光源層の光の複数の発生源について、
複数の点広がり関数の構成要素に対応する複数の実効輝度パターンを判定するステップであって、
第1のサポート半径を有した第1の点広がり関数の複数の構成要素を、複数の光の発生源にわたって加算することによって第1の実効輝度パターンを得るステップと、
前記第1のサポート半径とは異なる第2のサポート半径を有した第2の点広がり関数の複数の構成要素を、複数の光の発生源にわたって加算することによって第2の実効輝度パターンを得るステップとを少なくとも備える、複数の実効輝度パターンを判定するステップと、
前記複数の実効輝度パターンを結合することによって全実効輝度パターンを判定するステップとを備える、方法を要旨とする。
【0062】
第2の例は、第1の例において、複数の実効輝度パターンを結合することは、前記複数の実効輝度パターンを加算することを含んでなる。第3の例は、第1又は第2の例において、前記複数の構成要素のうちの2つ以上の構成要素は、互いに異なる空間解像度によって示される。第4の例は、第2の例において、前記第1のサポート半径は前記第2のサポート半径よりも大きく、前記第1の実効輝度パターンを得るには第1の空間解像度を用い、前記第2の実効輝度パターンを得るには第2の空間解像度を用い、前記第1の空間解像度は前記第2の空間解像度よりも低いことを要旨とする。第5の例は第4の例において、前記表示層は一定の表示層空間解像度を有し、前記第2の空間解像度は前記表示層空間解像度と等しいことを要旨とする。第6の例は第4の例において、前記表示層は一定の表示層空間解像度を有し、前記全実効輝度パターンは前記表示層空間解像度よりも低い空間解像度を有し、前記方法は、前記全実効輝度パターンの空間解像度を前記表示層空間解像度まで増加するステップをさらに備える。第7の例は第3〜6の例のいずれかにおいて、前記複数の実効輝度パターンを結合する前に、前記複数の実効輝度パターンの空間解像度を共通の空間解像度に調節するステップをさらに備える。第8の例は第1〜7の例のいずれかにおいて、前記第1及び第2の点広がり関数のそれぞれの構成要素はガウス構成要素であることを要旨とし、第9の例は第8の例において、前記第1及び第2の実効輝度パターンを得るステップは、標準的なガウス関数の点広がり関数に基づく高速計算を行うことに適したハードウェア構成要素を用いた演算処理によって行う。第10の例は第1〜9の例のいずれかにおいて、前記複数の実効輝度パターンを判定するステップは、前記光の複数の発生源について対応する追加の点広がり関数構成要素を加算することによって1つ以上の追加の実効輝度パターンを得るステップをさらに含んでなり、前記全実効輝度パターンを判定するステップは第1および第2の前記追加の実効輝度パターンを結合するステップを含んでなることを要旨とする。第11の例は第10の例において、前記点広がり関数はすべての前記複数の構成要素の合計である。第12の例は、第1〜11の例のいずれかにおいて、前記光源層は反射型変調器と結合している可変の光源を含んでなる。第13の例は、第1〜11の例のいずれかにおいて、前記光源層は光源の明るさを変化することができる駆動回路により駆動される複数の光源を含んでなることを要旨とする。第14の例は第1〜13の例のいずれかにおいて、前記光源層を少なくとも部分的に画像データに基づいて制御するステップをさらに備える。第15の例はプロセッサによって実行されたときに第1〜14の例のいずれかの方法をプロセッサに行わせる、コンピュータ実行可能命令を記録した、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を要旨とする。
【0063】
第16の例では、変調された表示層を照明すべく光を発するように設けられた変調された光源層を備えるディスプレイを制御するための装置において、前記装置は前記表示層上の前記光源層からの光の分布を示す実効輝度パターンを判定するためのコントローラを含んでなり、前記判定は、前記変調された光源層の光の複数の発生源について、
複数の点広がり関数の構成要素に対応する複数の実効輝度パターンを判定するステップであって、
画像データからの光の複数の発生源に関する駆動値を判定するステップと、
第1のサポート半径を有した第1の点広がり関数の複数の構成要素を、複数の光の発生源にわたって加算することによって第1の実効輝度パターンを得るステップと、
前記第1のサポート半径とは異なる第2のサポート半径を有した第2の点広がり関数の複数の構成要素を、複数の光の発生源にわたって加算することによって第2の実効輝度パターンを得るステップとを少なくとも備える、複数の点広がり関数構成要素に対応する複数の実効輝度パターンを判定するステップと、
前記複数の実効輝度パターンを結合することによって全実効輝度パターンを判定するステップとによって行う、装置を要旨とする。
【0064】
第17の例では、第16の例において、前記コントローラは、少なくとも前記画像データと前記全実効輝度パターンとに基づく、前記表示層の第2の駆動値をさらに判定する。第18の例は第16の例において、前記光源層に前記第1の駆動値を適用する、前記光源層に接続可能な第1のインタフェースと、前記表示層に前記第2の駆動値を適用する、前記表示層に接続可能な第2のインタフェースとをさらに備える。第19の例は、第18の例において、前記第2のインタフェースに接続している表示層を備える。第20の例は、第16〜19の例のいずれかにおいて、前記光源層は反射型変調器と結合している可変の光源を含んでなることを要旨とする。第21の例は第16〜21の例のいずれかにおいて、前記光源層は光源の明るさを変化することができる駆動回路により駆動される複数の光源を含んでなる。第22の例は第16〜19の例のいずれかにおいて、前記コントローラは前記全実効輝度パターンを画成するデータに補間を行うことによって、前記全実効輝度パターンの前記空間解像度を増加することを要旨とする。第23の例は第16〜22の例のいずれかにおいて、前記コントローラにアクセス可能であり、かつ前記複数の光の発生源についての前記点広がり関数の複数の構成要素を画成する情報を記憶しているデータ記憶部をさらに備えるものである。第24の例では第23の例においてそれぞれの前記構成要素はガウス構成要素である。第25の例は第24の例において前記ガウス構成要素を直接に処理する関数を与えるハードウェア・プロセッサをさらに備える。
【0065】
多数の例示としての態様および実施形態について説明してきたが、当業者であればそのいくつかの修正、置換、追加およびサブ組合せを思い付くことができるだろう。それ故、添付の特許請求の範囲およびその後の特許請求の範囲は、その真の範囲内にこのようなすべての修正、置換、追加およびサブ組合せを含むものと解釈すべきである。