特許第6163510号(P6163510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163510
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】接着系アンカ施工装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/14 20060101AFI20170703BHJP
   E04B 1/41 20060101ALI20170703BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B28D1/14
   E04B1/41 503C
   E04G21/12 105Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-82712(P2015-82712)
(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2016-199020(P2016-199020A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】515039650
【氏名又は名称】有限会社日向栄進産業
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瑞穂
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−062751(JP,A)
【文献】 特開平10−245897(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3070767(JP,U)
【文献】 米国特許第04652193(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/14
E04B 1/41
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートにより形成された構造体に穿孔穴を形成し、前記穿孔穴に挿入された固化剤入りカプセルを破砕しながら棒状体を挿入する接着系アンカ施工装置であって、
前記構造体において、接着系アンカが取り付けられる施工面の所定位置に固定され、前記施工面に直交する方向に延びるガイド部を有する台座と、
前記ガイド部にスライド自在に取り付けられ、その先端側が前記施工面に近接又は離間可能な穿孔工具と、
前記穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、前記穿孔工具の駆動力により回転し、前記施工面から前記構造体に、所定深さの前記穿孔穴を形成するビットと、
前記穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、前記棒状体の後端と係合する変換部と、を備え、
前記ビットにより前記構造体に前記穿孔穴を形成した後、前記穿孔穴に前記カプセルを挿入し、前記ビットを前記穿孔工具の先端から取り外して、前記穿孔工具の先端に前記変換部を取り付け、前記変換部に前記棒状体の後端を係合させ、前記穿孔工具により前記変換部及び前記棒状体を回転させながら、前記穿孔工具を先端側に移動させ、前記棒状体を前記穿孔穴に挿入し、前記カプセルを破砕するとともに、前記固化を攪拌する接着系アンカ施工装置。
【請求項2】
前記変換部は、
前記穿孔工具の先端に取り付けられる穿孔工具係合部と、
前記穿孔工具係合部の先端に着脱自在に取り付けられ、前記棒状体の後端と係合する棒状体係合部と、を備え、
前記棒状体係合部は、前記棒状体の太さに応じて複数種類有り、
前記変換部は、前記穿孔工具係合部に取り付けられる前記棒状体係合部の種類を変えることで、前記棒状体係合部の種類に応じた太さの前記棒状体と係合可能である請求項1に記載の接着系アンカ施工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着系アンカ施工装置に関し、詳しくは、コンクリートにより形成された構造体に穿孔穴を形成し、穿孔穴に挿入された固化剤入りカプセルを破砕しながら棒状体を挿入する接着系アンカ施工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートにより形成された構造体にボルトや異形棒鋼等の棒状体を取り付ける接着系アンカが知られている。この接着系アンカの施工は、構造体に穿孔する穿孔工具を用いて、構造体に棒状体の一部を挿入する穿孔穴を形成し、穿孔穴内を清掃する。
次に、エポキシ系樹脂等の主剤、硬化剤及び骨材が一定配合比率で封入されたカプセルを、形成した穿孔穴に挿入する。
そして、棒状体の先端を穿孔穴の入口へ挿入し、ハンマドリル等により、棒状体に打撃を与えつつ回転させて、挿入したカプセルを破碎しながら所定深さまで押込む。
これにより、カプセル内の主剤、硬化剤及び骨材が攪拌され、所定時間経過後、固化して、棒状体が構造体に固着する。
【0003】
このような接着系アンカを打設する装置として、床面へ定置可能な本体と、本体前面へタテ横位置調節可能に装着され中心軸を軸支した軸受筒と、同中心軸へ固着され同一円周上に等角度複数のピン孔が穿たれた回転板と、軸受筒外縁に附設され上記ピン孔へ挿入可能なピンとピン押圧用ばねとを備えたピン筒と、回転板のピン孔と対応して軸線を同一円周上等間隔に回転板へ配列固着した諸工具用ホルダと、各ホルダへ工程順に装着されたドリル、清掃ノズル、ハンマドリル等の諸工具とから成り、ハンマドリル工程前に孔へアンカボルトを挿入しておくようにしたケミカルアンカボルト打設装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1のケミカルアンカボルト打設装置によれば、割出回転可能な円板上に、各ユニットを工程順に装着することで、回転板を回転させるだけで、工具ユニットの交換と位置決めができ、1回芯出ししておけば、以後はユニットの持替えも、その都度の芯出しも不要なものとなり、カプセル挿入などで多少施工者の介添えを必要とするが、施工者の労力を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−318457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、接着系アンカは、例えば、1日に複数箇所打設する場合があり、このような場合、接着系アンカを取り付ける装置を、ある打設箇所から次ぎの打設箇所に運搬し、各箇所毎に芯出しし、設置する必要がある。
しかしながら、特許文献1のケミカルアンカボルト打設装置は、ドリル、ハンマドリル等が一体となっており、その重量から運搬、芯出し、設置に手間がかかり、作業効率が低下してしまう場合があった。
【0006】
本発明は、接着系アンカの施工において、1回の芯出しで施工できるとともに、作業効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) コンクリートにより形成された構造体に穿孔穴を形成し、前記穿孔穴に挿入された固化剤入りカプセルを破砕しながら棒状体を挿入する接着系アンカ施工装置であって、
前記構造体において、接着系アンカが取り付けられる施工面の所定位置に固定され、前記施工面に直交する方向に延びるガイド部を有する台座と、
前記ガイド部にスライド自在に取り付けられ、その先端側が前記施工面に近接又は離間可能な穿孔工具と、
前記穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、前記穿孔工具の駆動力により回転し、前記施工面から前記構造体に、所定深さの前記穿孔穴を形成するビットと、
前記穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、前記棒状体の後端と係合する変換部と、を備え、
前記ビットにより前記構造体に前記穿孔穴を形成した後、前記穿孔穴に前記カプセルを挿入し、前記ビットを前記穿孔工具の先端から取り外して、前記穿孔工具の先端に前記変換部を取り付け、前記変換部に前記棒状体の後端を係合させ、前記穿孔工具により前記変換部及び前記棒状体を回転させながら、前記穿孔工具を先端側に移動させ、前記棒状体を前記穿孔穴に挿入し、前記カプセルを破砕するとともに、前記固化を攪拌する接着系アンカ施工装置。
【0008】
(1)の発明によれば、接着系アンカ施工装置は、コンクリートにより形成された構造体に穿孔穴を形成し、前記穿孔穴に挿入された固化剤入りカプセルを破砕しながら棒状体を挿入し、台座と、穿孔工具と、ビットと、変換部と、を備える。
台座は、構造体において、接着系アンカが取り付けられる施工面の所定位置に固定され、施工面に直交する方向に延びるガイド部を有する。
穿孔工具は、ガイド部にスライド自在に取り付けられ、その先端側が施工面に近接又は離間可能である。
ビットは、穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、穿孔工具の駆動力により回転し、施工面から構造体に、所定深さの穿孔穴を形成する。
変換部は、穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、棒状体の後端と係合する。
そして、接着系アンカ施工装置は、以下のように使用される。
まず、施工者は、例えば、穿孔工具の先端が、接着系アンカの取り付け位置にくる所定位置に台座を固定する。
そして、ビットにより構造体に穿孔穴を形成した後、穿孔穴にカプセルを挿入し、ビットを穿孔工具の先端から取り外して、穿孔工具の先端に変換部を取り付け、変換部に棒状体の後端を係合させ、穿孔工具により変換部及び棒状体を回転させながら、穿孔工具を先端側に移動させ、棒状体を穿孔穴に挿入し、カプセルを破砕するとともに、固化を攪拌する。
【0009】
これにより、施工者は、1回の芯出しにより台座を固定した後は、1台の穿孔工具の先端に取り付けたビットにより穿孔穴を形成し、その後、ビットを取り外し、変換部を取り付けることで、棒状体を穿孔穴に回転しながら挿入できる。
また、穿孔工具をガイド部に沿って先端側に移動させ、棒状体を穿孔穴に挿入することができるため、穿孔穴に対して真っ直ぐに棒状体を挿入できるので、施工精度が向上する。
また、ビットを取り外し、変換部を取り付けるだけで、穿孔穴に対して真っ直ぐに棒状体を挿入できるので、棒状体の打ち込みに時に、豊富な経験に基づく施工技術による調整が不要となるので、施工性が向上し、作業時間を短縮できる。
また、穿孔穴の形成と、棒状体の回転しながらの挿入と、が1台の穿孔工具で可能となるので、例えば、穿孔穴の形成のためのドリルと、棒状体の回転しながらの挿入のためのハンマドリルと、をそれぞれ備える場合に比べ、接着系アンカ施工装置の重量を軽量化することができる。
したがって、接着系アンカの施工において、1回の芯出しで施工できるとともに、作業効率を向上できる。
【0010】
(2) 前記変換部は、
前記穿孔工具の先端に取り付けられる穿孔工具係合部と、
前記穿孔工具係合部の先端に着脱自在に取り付けられ、前記棒状体の後端と係合する棒状体係合部と、を備え、
前記棒状体係合部は、前記棒状体の太さに応じて複数種類有り、
前記変換部は、前記穿孔工具係合部に取り付けられる前記棒状体係合部の種類を変えることで、前記棒状体係合部の種類に応じた太さの前記棒状体と係合可能である(1)に記載の接着系アンカ施工装置。
【0011】
(2)の発明によれば、変換部は、穿孔工具係合部と、棒状体係合部と、を備える。
穿孔工具係合部は、穿孔工具の先端に取り付けられる。
棒状体係合部は、穿孔工具係合部の先端に着脱自在に取り付けられ、棒状体の後端と係合し、棒状体の太さに応じて複数種類有する。
そして、変換部は、穿孔工具係合部に取り付けられる棒状体係合部の種類を変えることで、棒状体係合部の種類に応じた太さの棒状体と係合可能である。
【0012】
ここで、接着系アンカの棒状体(例えば、アンカーボルト等)は、接着系アンカに要求される強度に応じて、複数種類の太さがある。
このような場合、棒状体の太さに応じた変換部が必要となるが、本発明によれば、穿孔工具の先端に取り付けられる穿孔工具係合部を共通とし、棒状体の太さに応じて棒状体係合部だけを変えるだけで、多様な太さの棒状体と係合可能となる。
よって、棒状体の太さに応じた変換部全体を多数揃える場合に比べ、穿孔工具係合部を共通とし、棒状体係合部だけを棒状体の太さに応じた種類揃えることで、施工時に運搬する接着系アンカ施工装置の重量を更に軽量化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接着系アンカの施工において、1回の芯出しで施工できるとともに、作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1の概要を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る変換部40を説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1による、接着系アンカの施工方法について説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1による、接着系アンカの施工方法について説明する図である。
図5】本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1による、接着系アンカの施工方法について説明する図である。
図6】本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1による、接着系アンカの施工方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明において、同様に構成には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略する。
図1は、本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1の概要を説明する図である。
接着系アンカ施工装置1は、接着系アンカを施工するための装置であり、コンクリートにより形成された構造体100に穿孔穴110を形成し、穿孔穴110に挿入された固化剤入りカプセル200を破砕しながら棒状体300を挿入する。
また、接着系アンカ施工装置1は、台座10と、穿孔工具20と、ビット30と、変換部40と、を備える。
【0016】
ここで、本実施形態において、カプセル200は、固化剤としての、主材であるエポキシアクリレート樹脂、硬化剤及び骨材である珪石が、ガラス管に収容されている。なお、カプセル200は、接着系アンカとして使用可能であれば任意の材料を使用できる。
また、本実施形態において、棒状体300は、先端が片面カット又は両面カットされ、後端側にボルトが螺合した全ネジボルトで構成されているが、これに限らず、接着系アンカとして使用可能であれば、例えば、異形棒鋼等であってもよい。
【0017】
台座10は、構造体100において、接着系アンカが取り付けられる施工面120の所定位置に固定されるベース11と、ベース11に固定され、施工面120に直交する方向に延びるガイド部12と、を有する。
具体的には、台座10は、穿孔工具の先端が、接着系アンカの取り付け位置Pにくる所定位置に固定される。
【0018】
穿孔工具20は、ガイド部12にスライド自在に取り付けられ、ガイド部12に沿って、その先端側が施工面120に近接又は離間可能である。穿孔工具20は、例えば、ダイヤモンドコアドリルで構成され、本体21と、接続部22と、ハンドル23と、を備える。
なお、穿孔工具20は、ダイヤモンドコアドリルに限らず、コンクリートにより形成された構造体100の施工面120に穿孔穴110を形成できれば、例えば、振動ドリル等で構成することができる。
【0019】
本体21は、駆動力を発生し、ガイド部12にスライド自在に取り付けられている。
接続部22は、本体21の先端に設けられ、後述するビット30又は変換部40が着脱自在に取り付けられ、本体21が発生した駆動力により回転する。
ハンドル23は、本体21に設けられ、施工者に把持され、回転されることで、本体21が、ガイド部12に沿って先端側又は後端側に移動し、構造体100の施工面120に近接又は離間する。
【0020】
ビット30は、穿孔工具20の先端に設けられた接続部22に、着脱自在に取り付けられ、穿孔工具20の駆動力により回転し、施工面120から構造体100に、所定深さの穿孔穴110を形成する。
本実施形態において、ビット30は、ダイヤモンドコアビットで構成されているが、コンクリートにより形成された構造体100の施工面120に穿孔穴110を形成できれば、例えば、振動ドリルビット等で構成することができる。
【0021】
変換部40は、穿孔工具20の先端に設けられた接続部22に、着脱自在に取り付けられ、棒状体300の後端と係合する。
図2は、本発明の実施形態に係る変換部40を説明する図である。
変換部40は、穿孔工具係合部41と、棒状体係合部42と、を備える。
【0022】
穿孔工具係合部41は、穿孔工具20の先端に設けられた接続部22(図1参照)に、取り付けられる。
詳細には、穿孔工具係合部41は、穿孔工具係合部本体410と、螺合穴411と、欠き込み412と、突出部413と、ピン受け穴414と、を備える。
【0023】
穿孔工具係合部本体410は、先端後端方向に延びる棒状に形成されている。
螺合穴411は、穿孔工具係合部本体410の後端側に形成され穴であり、接続部22と螺合する。
【0024】
欠き込み412は、穿孔工具係合部本体410の側面に形成され、互いに対向する係合面を有し、例えば、変換部40を接続部22に取り付けるときに使用される締め付け用レンチ(図示無し)と係合可能である。
【0025】
突出部413は、穿孔工具係合部本体410の先端側から突出し、四角柱形状に形成され、棒状体係合部42と係合する。
【0026】
ピン受け穴414は、突出部413の側面に形成され、突出部413が延びる方向に直交する方向に延びる穴である。突出部413と棒状体係合部42とが係合した状態で、棒状体係合部42を貫通したピン(図示無し)がピン受け穴414に挿入されることで、穿孔工具係合部41と棒状体係合部42とが離間するのを防止できる。
【0027】
棒状体係合部42は、穿孔工具係合部41の先端に着脱自在に取り付けられ、棒状体300の後端と係合する。
詳細には、棒状体係合部42は、棒状体係合部本体420と、後端穴421と、溝422と、先端穴423と、ピン貫通孔424と、を備える。
【0028】
棒状体係合部本体420は、先端後端方向に延びる棒状に形成されている。
後端穴421は、棒状体係合部本体420の後端側に形成された四角柱形状の穴であり、穿孔工具係合部41の突出部413が挿入される。
【0029】
溝422は、穿孔工具係合部本体410の後端側の側面に形成され、後端穴421に穿孔工具係合部41の突出部413が挿入された状態で、環形状に形成され、内側に突出すピン(図示無し)を有するOリング(図示無し)と係合する。
【0030】
先端穴423は、棒状体係合部本体420の先端側に形成された六角柱形状の穴であり、棒状体300のナット302が挿入される。
棒状体300は、先端が片面カットされた全ネジボルト301と、全ネジボルト301の後端に螺合するナット302がダブルナットで設けられている。また、全ネジボルト301には、ナット302の先端と接し、ナット302の供回りを防止するストッパ303が設けられている。
【0031】
ピン貫通孔424は、溝422の側面に形成され、棒状体係合部本体420が延びる方向に直交する方向に延びる孔である。
ピン貫通孔424は、後端穴421に穿孔工具係合部41の突出部413が挿入された状態で、穿孔工具係合部41のピン受け穴414と重なる位置に形成されている。これにより、後端穴421に穿孔工具係合部41の突出部413が挿入された状態で、溝422に上述のOリング(図示無し)を係合させ、Oリングのピンをピン貫通孔424を貫通させ、ピン受け穴414に挿入されることで、穿孔工具係合部41と棒状体係合部42とが離間するのを防止できる。
【0032】
また、棒状体係合部42は、棒状体300の太さ(全ネジボルト301の太さやナット302の大きさ)に応じた内径で先端穴423が形成され、棒状体300の太さ毎に用意されてもよい。
これにより、変換部40は、穿孔工具係合部41に取り付けられる棒状体係合部42の種類を変えることで、棒状体係合部42の種類に応じた太さの棒状体300と係合可能となる。
【0033】
次に、接着系アンカ施工装置1による、接着系アンカの施工方法について説明する。
図3から図6は、本発明の実施形態に係る接着系アンカ施工装置1による、接着系アンカの施工方法について説明する図である。
【0034】
まず、施工者は、構造体100の施工面120において、穿孔工具20の先端が、接着系アンカの取り付け位置Pにくる所定位置に台座10を固定する。そして、穿孔工具20の接続部22にビット30を取り付ける。これにより、図3に示す状態となる。
【0035】
次に、施工者は、図3に示す状態からビット30を回転させながら、ハンドル23を操作して、穿孔工具20をガイド部12に沿って先端側に移動させ、ビット30の先端を構造体100の施工面120に当接させる。これにより、図4に示すように、構造体100に穿孔穴110が形成される。
【0036】
次に、施工者は、穿孔穴110内の清掃を行い、穿孔穴110にカプセル200を挿入し、ビット30(図3参照)を穿孔工具20の接続部22から取り外して、穿孔工具20の接続部22に変換部40を取り付け、変換部40に棒状体300の後端のナット302を係合させる。
【0037】
次に、施工者は、穿孔工具20により変換部40及び棒状体300を回転させながら、ハンドル23を操作して、穿孔工具20をガイド部12に沿って先端側に移動させ、穿孔工具20を先端側に移動させ、棒状体300を穿孔穴110に挿入し、カプセル200を破砕するとともに、固化を攪拌する。これにより、図5に示す状態となる。
【0038】
そして、施工者は、穿孔工具20による変換部40及び棒状体300の回転を止め、ハンドル23を操作して、穿孔工具20をガイド部12に沿って後端側に移動させ、棒状体300と変換部40とを離間させる。これにより、図6に示す状態となり、接着系アンカの取り付け位置Pに形成された穿孔穴110内において、棒状体300が攪拌された固化に埋設され、接着系アンカの施工が完了する。
【0039】
本実施形態に係る接着系アンカ施工装置1によれば、以下の作用効果を奏する。
接着系アンカ施工装置1によれば、施工者は、1回の芯出しにより台座10を固定した後は、1台の穿孔工具20の先端に取り付けたビット30により穿孔穴110を形成し、その後、ビット30を取り外し、変換部40を取り付けることで、棒状体300を穿孔穴110に回転しながら挿入できる。
また、穿孔工具20をガイド部12に沿って先端側に移動させ、棒状体300を穿孔穴110に挿入することができるため、穿孔穴110に対して真っ直ぐに棒状体300を挿入できるので、施工精度が向上する。
また、ビット30を取り外し、変換部40を取り付けるだけで、穿孔穴110に対して真っ直ぐに棒状体300を挿入できるので、棒状体300の打ち込みに時に、豊富な経験に基づく施工技術による調整が不要となるので、施工性が向上し、作業時間を短縮できる。
また、穿孔穴110の形成と、棒状体300の回転しながらの挿入と、が1台の穿孔工具20で可能となるので、例えば、穿孔穴110の形成のためのドリルと、棒状体300の回転しながらの挿入のためのハンマドリルと、をそれぞれ備える場合に比べ、接着系アンカ施工装置1の重量を軽量化することができる。
したがって、接着系アンカの施工において、1回の芯出しで施工できるとともに、作業効率を向上できる。
【0040】
また、接着系アンカ施工装置1によれば、棒状体300の太さに応じた変換部40全体を多数揃える場合に比べ、穿孔工具係合部41を共通とし、棒状体係合部42だけを棒状体300の太さに応じた種類揃えることで、施工時に運搬する接着系アンカ施工装置1の重量を更に軽量化することができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 接着系アンカ施工装置
10 台座
12 ガイド部
20 穿孔工具
30 ビット
40 変換部
100 構造体
110 穿孔穴
120 施工面
200 カプセル
300 棒状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6