【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) コンクリートにより形成された構造体に穿孔穴を形成し、前記穿孔穴に挿入された固化剤入りカプセルを破砕しながら棒状体を挿入する接着系アンカ施工装置であって、
前記構造体において、接着系アンカが取り付けられる施工面の所定位置に固定され、前記施工面に直交する方向に延びるガイド部を有する台座と、
前記ガイド部にスライド自在に取り付けられ、その先端側が前記施工面に近接又は離間可能な穿孔工具と、
前記穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、前記穿孔工具の駆動力により回転し、前記施工面から前記構造体に、所定深さの前記穿孔穴を形成するビットと、
前記穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、前記棒状体の後端と係合する変換部と、を備え、
前記ビットにより前記構造体に前記穿孔穴を形成した後、前記穿孔穴に前記カプセルを挿入し、前記ビットを前記穿孔工具の先端から取り外して、前記穿孔工具の先端に前記変換部を取り付け、前記変換部に前記棒状体の後端を係合させ、前記穿孔工具により前記変換部及び前記棒状体を回転させながら、前記穿孔工具を先端側に移動させ、前記棒状体を前記穿孔穴に挿入し、前記カプセルを破砕するとともに、前記固化
剤を攪拌する接着系アンカ施工装置。
【0008】
(1)の発明によれば、接着系アンカ施工装置は、コンクリートにより形成された構造体に穿孔穴を形成し、前記穿孔穴に挿入された固化剤入りカプセルを破砕しながら棒状体を挿入し、台座と、穿孔工具と、ビットと、変換部と、を備える。
台座は、構造体において、接着系アンカが取り付けられる施工面の所定位置に固定され、施工面に直交する方向に延びるガイド部を有する。
穿孔工具は、ガイド部にスライド自在に取り付けられ、その先端側が施工面に近接又は離間可能である。
ビットは、穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、穿孔工具の駆動力により回転し、施工面から構造体に、所定深さの穿孔穴を形成する。
変換部は、穿孔工具の先端に、着脱自在に取り付けられ、棒状体の後端と係合する。
そして、接着系アンカ施工装置は、以下のように使用される。
まず、施工者は、例えば、穿孔工具の先端が、接着系アンカの取り付け位置にくる所定位置に台座を固定する。
そして、ビットにより構造体に穿孔穴を形成した後、穿孔穴にカプセルを挿入し、ビットを穿孔工具の先端から取り外して、穿孔工具の先端に変換部を取り付け、変換部に棒状体の後端を係合させ、穿孔工具により変換部及び棒状体を回転させながら、穿孔工具を先端側に移動させ、棒状体を穿孔穴に挿入し、カプセルを破砕するとともに、固化
剤を攪拌する。
【0009】
これにより、施工者は、1回の芯出しにより台座を固定した後は、1台の穿孔工具の先端に取り付けたビットにより穿孔穴を形成し、その後、ビットを取り外し、変換部を取り付けることで、棒状体を穿孔穴に回転しながら挿入できる。
また、穿孔工具をガイド部に沿って先端側に移動させ、棒状体を穿孔穴に挿入することができるため、穿孔穴に対して真っ直ぐに棒状体を挿入できるので、施工精度が向上する。
また、ビットを取り外し、変換部を取り付けるだけで、穿孔穴に対して真っ直ぐに棒状体を挿入できるので、棒状体の打ち込みに時に、豊富な経験に基づく施工技術による調整が不要となるので、施工性が向上し、作業時間を短縮できる。
また、穿孔穴の形成と、棒状体の回転しながらの挿入と、が1台の穿孔工具で可能となるので、例えば、穿孔穴の形成のためのドリルと、棒状体の回転しながらの挿入のためのハンマドリルと、をそれぞれ備える場合に比べ、接着系アンカ施工装置の重量を軽量化することができる。
したがって、接着系アンカの施工において、1回の芯出しで施工できるとともに、作業効率を向上できる。
【0010】
(2) 前記変換部は、
前記穿孔工具の先端に取り付けられる穿孔工具係合部と、
前記穿孔工具係合部の先端に着脱自在に取り付けられ、前記棒状体の後端と係合する棒状体係合部と、を備え、
前記棒状体係合部は、前記棒状体の太さに応じて複数種類有り、
前記変換部は、前記穿孔工具係合部に取り付けられる前記棒状体係合部の種類を変えることで、前記棒状体係合部の種類に応じた太さの前記棒状体と係合可能である(1)に記載の接着系アンカ施工装置。
【0011】
(2)の発明によれば、変換部は、穿孔工具係合部と、棒状体係合部と、を備える。
穿孔工具係合部は、穿孔工具の先端に取り付けられる。
棒状体係合部は、穿孔工具係合部の先端に着脱自在に取り付けられ、棒状体の後端と係合し、棒状体の太さに応じて複数種類有する。
そして、変換部は、穿孔工具係合部に取り付けられる棒状体係合部の種類を変えることで、棒状体係合部の種類に応じた太さの棒状体と係合可能である。
【0012】
ここで、接着系アンカの棒状体(例えば、アンカーボルト等)は、接着系アンカに要求される強度に応じて、複数種類の太さがある。
このような場合、棒状体の太さに応じた変換部が必要となるが、本発明によれば、穿孔工具の先端に取り付けられる穿孔工具係合部を共通とし、棒状体の太さに応じて棒状体係合部だけを変えるだけで、多様な太さの棒状体と係合可能となる。
よって、棒状体の太さに応じた変換部全体を多数揃える場合に比べ、穿孔工具係合部を共通とし、棒状体係合部だけを棒状体の太さに応じた種類揃えることで、施工時に運搬する接着系アンカ施工装置の重量を更に軽量化することができる。