【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
複数の光ファイバを束ねた光ファイバ束の外周上に少なくとも3本のバンドル材を巻き付けて光ファイバユニットを製造する方法であって、前記光ファイバ束を送出方向に送り出すこと、前記光ファイバ束の外側で少なくとも3本の前記バンドル材を送り出すこと、及び、第1方向に並ぶ2本の前記バンドル材を外側から挟み込んで接合することと、前記第1方向とは異なる第2方向に並ぶ2本の前記バンドル材を外側から挟み込んで接合することとを交互に繰り返すことによって、前記光ファイバ束の外周上で前記バンドル材の巻き付き方向を交互に反転させながら、前記光ファイバ束の長手方向に沿って前記バンドル材を巻き付けること、を行う光ファイバユニット製造方法が明らかとなる。このような製造方法によれば、バンドル材の巻き付け方向の反転箇所の接合を容易に実現することができる。
【0014】
前記送出方向の所定の位置において、前記光ファイバ束が、少なくとも3本の前記バンドル材を結ぶ多角形の内部に配置されていることが望ましい。これにより、2本のバンドル材を最短経路にて接近させても、2本のバンドル材の間に光ファイバ束が挟み込まれずに済む。
【0015】
前記第1方向に並ぶ2本の前記バンドル材を接合した後に前記光ファイバ束及び前記バンドル材を送出方向に送り出すことによって、前記第1方向に並ぶ2本の前記バンドル材が離間するとともに、前記第2方向に並ぶ2本の前記バンドル材を結ぶ線が、前記光ファイバ束の外側に位置し、前記第2方向に並ぶ2本の前記バンドル材を接合した後に前記光ファイバ束及び前記バンドル材を送出方向に送り出すことによって、前記第2方向に並ぶ2本の前記バンドル材が離間するとともに、前記第1方向に並ぶ2本の前記バンドル材を結ぶ線が、前記光ファイバ束の外側に位置することが望ましい。これにより、第1方向に並ぶ2本のバンドル材の接合と、第2方向に並ぶ2本のバンドル材の接合とを交互に繰り返して行うことが可能である。
【0016】
2本の前記バンドル材の外側から加熱することによって、2本のバンドル材を融着接合することが望ましい。これにより、2本のバンドル材の接触点を両側から加熱することができるため、接触点に短時間で十分な熱量を伝えることができる。
【0017】
非加熱部及び加熱部を有する非円形ローラーを前記バンドル材の外側で回転させて、前記非加熱部によって2本の前記バンドル材を接近させるとともに、前記加熱部によって2本の前記バンドル材を融着させることが望ましい。これにより、バンドル材を送出方向に送り出しながら、2本のバンドル材の接近や融着を行っても、非円形ローラーとバンドル材との摩擦を抑制できる。
【0018】
前記第1方向に並ぶ2本の前記バンドル材が接合される際に、前記光ファイバ束の反対側において、前記第1方向に並ぶ別の2本のバンドル材が接合され、前記第2方向に並ぶ2本の前記バンドル材が接合される際に、前記光ファイバ束の反対側において、前記第2方向に並ぶ別の2本のバンドル材が接合されることが望ましい。これにより、バンドル材に引っ張り力が加わっても、光ファイバ束6の蛇行を抑制できる。
【0019】
===第1実施形態===
<光ファイバユニット2等の構成>
図1Aは、光ファイバユニット2を有する光ファイバケーブル1の断面図である。光ファイバケーブル1は、複数の光ファイバユニット2と、外被3とを有する。光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8をバンドル材10で束ねた構造である。光ファイバユニット2の詳しい構造については、後述する。ここでは、光ファイバケーブル1は、3本の光ファイバユニット2を有する。3本の光ファイバユニット2は押え巻きテープ5によって覆われており、その外側を外被3で被覆されている。外被3には、テンションメンバ4Aやリップコード4Bが埋設されている。
【0020】
図1Bは、第1実施形態の光ファイバユニット2の斜視図である。光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8の束(光ファイバ束6)をバンドル材10で束ねた構造である。バンドル材10は、光ファイバ束6の外周上に巻き付けられており、これにより複数の光ファイバ8が束ねられてバラバラにならないようになっている。ここでは、光ファイバ束6は、複数枚の間欠固定型の光ファイバテープ7を束ねて構成されている。
【0021】
図2は、間欠固定型の光ファイバテープ7の説明図である。
間欠固定型光ファイバテープ7は、複数(ここでは12本)の光ファイバ8を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープ7である。隣接する2心の光ファイバ8は、連結部9Aによって連結されている。隣接する2心の光ファイバ8間には、複数の連結部9Aが長手方向に間欠的に配置されている。また、間欠固定型光ファイバテープ7の複数の連結部9Aは、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。隣接する2心の光ファイバ8間の連結部9A以外の領域は、非連結部9Bになっている。非連結部9Bでは、隣接する2心の光ファイバ8同士は拘束されていない。これにより、間欠固定型光ファイバテープ7を丸めて筒状(束状)にしたり、折り畳んだりすることが可能になり、多数の光ファイバ8を高密度に束ねることが可能になる。
【0022】
なお、光ファイバ束6を構成する間欠固定型光ファイバテープ7は、図に示したものに限られるものではない。例えば、連結部9Aの配置を変更しても良い。また、間欠固定型光ファイバテープ7を構成する光ファイバ8の数を変更しても良い。また、光ファイバ束6は、間欠固定型の光ファイバテープ7で構成されていなくても良く、例えば複数の単心光ファイバ8を束ねて構成されていても良い。
【0023】
バンドル材10は、複数の光ファイバ8を束ねる部材である。バンドル材10は、複数の光ファイバ8を結束可能な糸状、紐状又はテープ状の部材である。バンドル材10は、光ファイバ束6の外周上に巻き付けられている。図中の光ファイバユニット2は、4本のバンドル材10によって光ファイバ束6を束ねているが、光ファイバユニット2のバンドル材10は、後述するように4本以上でも良い。
【0024】
バンドル材10は所定の色で着色されており、識別部材としても機能する。各光ファイバユニット2のバンドル材10は、それぞれ異なる色に着色されており、識別可能である。図中のように各光ファイバユニット2が2本のバンドル材10を有する場合、バンドル材10の色の組み合わせによって、各光ファイバユニット2を識別することも可能である。また、バンドル材10を着色する代わりに、バンドル材10の表面に識別マークを印刷しても良い。
【0025】
図3は、バンドル材10の断面構造について説明する図である。バンドル材10は、コア部11と、被覆部12とを有する。コア部11は、光ファイバユニット2の長手方向に伸びる部材であり、バンドル材10は複数本のコア部11を有する。被覆部12は、コア部11の外周を被覆し、コア部11の融点より低い融点を有する部材である。光ファイバユニット2を束ねる2本のバンドル材10は、被覆部12が融点以上に加熱されることにより発現する接着性により、両者の交点において熱融着されることになる。コア部11の融点と被覆部12の融点の差は20℃以上あることが好ましい。コア部11の融点は200〜230℃が好ましく、被覆部12の融点は150〜180℃が好ましい。また、被覆部12には、加熱して溶けても光ファイバ8と接着しないか或いは接着してもその接着力が低く、しかも光ファイバ8の被覆層を劣化させないことが望ましい。
【0026】
コア部11及び被覆部12のそれぞれには、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高融点樹脂、またはポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維(登録商標であるナイロン等)、ポリエステル繊維(PET繊維等)等の高融点繊維、またはPET、PP等の高融点テープ或いはフィルムに対して加熱・冷却により軟化・固化を可逆的に繰り返すことが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)のような低融点のもの、または熱可塑性樹脂やゴムをベースとし、加熱・冷却により軟化・固化を可逆的に繰り返すことが可能な、いわゆる加熱融解型(ホットメルト)の接着剤で覆ったもの等が使用できる。
【0027】
なお、バンドル材10は、
図3に示されるような高融点材料(コア部11)と低融点材料(被覆部12)との複合材ではなく、単一材料によって構成されるのであってもよい。例えば、高融点材料もしくは低融点材料のいずれかによって構成されていてもよいし、2本のバンドル材10の材質が異なってもよい。
【0028】
バンドル材10の幅は、1mm以上2mm以下であることが望ましい。バンドル材10の幅が1mmよりも狭い場合、融着時に破断するおそれがある。また、バンドル材10の幅が2mmよりも広い場合、熱が十分に伝わらずに、融着し難くなる。本実施形態では、1.8〜1.9mmの幅(厚さ0.1mm)のバンドル材10が用いられている。
【0029】
図4は、バンドル材10の巻き付け方を説明するための説明図である。以下、
図1Bも参照しながら、光ファイバ束6に対するバンドル材10の巻き付け方について説明する。なお、以下の説明では、バンドル材10に添字(A〜D)を付けて、それぞれのバンドル材10を区別して説明することがある。また、以下の説明では、接合点15に2本のバンドル材10の両方の添字を付けることによって、それぞれの接合点15を区別して説明することがある。例えば、バンドル材10Aとバンドル材10Bの接合点15には、添字ABを付けている。
【0030】
図4に示すように光ファイバユニット2を長手方向の一方側から見たとき、バンドル材10は、光ファイバユニット2の長手方向に沿って1/4周分(90度分)の円弧を描くようにして、光ファイバ束6の外周上に巻き付けられて配置されている。また、バンドル材10は、光ファイバ束6の外周上で、巻き付き方向を交互に反転させながら、光ファイバ束6の長手方向に沿って巻き付けられており、巻き付き方向の反転箇所において、別のバンドル材10と接合されている。例えば、バンドル材10Aは、光ファイバ束6の外周上を反時計回りに巻き付き(
図4上図参照)、接合点15ABにおいてバンドル材10Bと接合され(
図4上図参照)、巻き付き方向が反転して光ファイバ束6の外周上を時計回りに巻き付き(
図4中央図参照)、接合点15ADにおいてバンドル材10Dと接合され(
図4中央図参照)、再び光ファイバ束6の外周上を反時計回りに巻き付き(
図4下図(又は
図4上図)参照)、これを繰り返す。同様に、他のバンドル材10も、隣接するバンドル材10と接合点15において接合されるとともに、別の隣接するバンドル材10と接合点15において接合されており、2つの接合点15において光ファイバ束6に対する巻き付き方向が反転する。これにより、
図1Bに示すように、4本のバンドル材10が、それぞれ光ファイバ束6に対してSZ状に巻き付けられている。
【0031】
接合点15の接合強度は、接合点15が不意には破壊されず、その一方、作業者の手で容易に分離できる程度であることが望ましい。バンドル材10の接合点15の分離に必要な力は、バンドル材10の切断に要する力よりも小さいことが望ましいため、バンドル材10の接合強度は、バンドル材10の破断強度以下であることが望ましい。また、2本のバンドル材10は、中間分岐作業で光ファイバ8を取り出した後に、ヒーターで加熱したり、接着剤を塗布したりすることによって、再度接合することが可能であることが望ましい。
【0032】
図10Aは、第1比較例の光ファイバユニット2’の説明図である。第1比較例では、1本のバンドル材10が光ファイバ束6の外周上で一方向に螺旋状に巻き付けられている。第1比較例では、光ファイバユニット2から光ファイバ8を取り出す際に、バンドル材10を螺旋状に手繰ったり、バンドル材10を切断したりする必要が生じ、光ファイバ8を取り出す作業に手間がかかってしまう。つまり、第1比較例では、螺旋状に巻き付けられたバンドル材10を解くのに作業時間がかかってしまう。これに対し、
図1Bに示す本実施形態の光ファイバユニット2のように、バンドル材10が光ファイバ束6に対してSZ状に巻き付けられている場合には、反転箇所における接合点15を分離すれば、光ファイバ束6の外周を網状に覆っているバンドル材10を開くことができ、光ファイバユニット2から光ファイバ8を取り出すことができる。すなわち、バンドル材10がSZ状に巻き付けられた光ファイバユニット2では、作業者が端末で各バンドル材10を引っ張ると容易に分離できるため、第1比較例と比べると、作業時間を短縮化できる。このため、本実施形態では、例えば中間分岐作業時に光ファイバ8を取り出す作業が容易になる。
【0033】
図10Bは、第1比較例のバンドル材10に長手方向の引っ張り力が加わったときの説明図である。バンドル材10に長手方向の引っ張り力が加わると、バンドル材12が最短距離を通過するように変形しようとし、この結果、バンドル材10が直線に近づくように変形しようとする。この結果、
図10Bに示すように、光ファイバ束6が蛇行し、光信号の伝送損失の増加が発生する。
【0034】
図11A及び
図11Bは、第2比較例の光ファイバユニット2’の説明図である。
図11Aに示すように、第2比較例では、2本のバンドル材10が光ファイバ束6に対してSZ状に巻き付けられている。このため、第2比較例では、光ファイバユニット2から光ファイバ8を取り出す作業が容易になる。但し、第2比較例においても、バンドル材10に長手方向の引っ張り力が加わると、バンドル材10が直線に近づくように変形しようとする。このとき、第2比較例では、或る接合点15(
図11Aにおいて見える側の接合点15)の長手方向の位置が、その接合点15から見て光ファイバ束6の反対側の接合点15(
図11Aで見えない側の接合点15)の長手方向の位置と異なっている。この結果、
図11Bに示すように、バンドル材10に長手方向の引っ張り力が加わると、光ファイバ束6が蛇行し、光信号の伝送損失の増加が発生する。
【0035】
一方、本実施形態の光ファイバユニット2では、接合点15ADと接合点15BCが長手方向のほぼ同じ位置にあるとともに(
図4中央図参照)、接合点15ABと接合点15CDが長手方向のほぼ同じ位置にある(
図4上図及び
図1B参照)。言い換えると、本実施形態の光ファイバユニット2では、光ファイバ束6を挟んで反対側に接合点15ADと接合点15BCが形成されているとともに、光ファイバ束6を挟んで反対側に接合点15ABと接合点15CDが形成されている。これにより、仮にバンドル材10に長手方向の引っ張り力が加わっても、光ファイバ束6の蛇行を抑制でき、光信号の伝送損失を抑制できる。
【0036】
<光ファイバユニット2の製造方法>
まず2本のバンドル材10の接合方法について説明し、その後に、4本のバンドル材10を光ファイバ束6の外周上にそれぞれSZ状に巻き付けながら接合する方法(すなわち
図1Bに示す光ファイバユニット2の製造する方法)を説明する。
【0037】
・2本のバンドル材10の接合方法
図5A〜
図5Cは、2本のバンドル材10の接合時の様子の説明図である。ここでは、バンドル材10Aとバンドル材10Bとの接合について説明する。
【0038】
バンドル材10Aとバンドル材10Bは、それぞれ送出方向に沿って送出装置21(送出装置21A及び送出装置21B)から送り出されている。バンドル材10Aとバンドル材10Bは、送出方向とは交差する所定方向(第1方向)に並びながら、送出方向に送り出されている。
【0039】
図5Aに示すように、バンドル材10Aとバンドル材10Bの並び方向(第1方向)の外側には、一対の接合部材22ABが配置されている。接合部材22ABは、2本のバンドル材10を外側から挟み込んで接合する部材である。ここでは、接合部材22ABは、非加熱部221と加熱部222とを備えた非円形ローラーであり、回転軸を中心にして回転可能である。
【0040】
図5A及び
図5Bに示すように、接合部材22ABである非円形ローラーを回転させると、非加熱部221によって2本のバンドル材10が外側から挟み込まれて、バンドル材10A及びバンドル材10Bが接近する。また、接合部材22ABである非円形ローラーを回転させて、バンドル材10A及びバンドル材10Bが接触したときに、加熱部222によってバンドル材10A及びバンドル材10Bが融着される。これにより、接合点15ABが形成される。
【0041】
本実施形態では、一対の加熱部222が2本のバンドル材10(バンドル材10A及びバンドル材10B)を外側から挟み込んで加熱している。これにより、2本のバンドル材10の接触点を両側から加熱することができるため、接触点に十分な熱量を伝えることができ、接触点において十分な融着接合を行うことができる。また、短時間で十分な熱量を伝えることができるため、光ファイバ束6やバンドル材10の送り出し速度(線速)を早めても、十分な融着接合を行うことができる。なお、仮に2本のバンドル材10の片側から加熱した場合には、十分な熱量を伝えにくいため、接合が不十分になるおそれがある。
【0042】
また、本実施形態では、接合部材22ABを回転させて、非加熱部221によって2本のバンドル材10(バンドル材10A及びバンドル材10B)を接近させるとともに、加熱部222によって2本のバンドル材10を融着させている。これにより、バンドル材10を送出方向に送り出しながら、2本のバンドル材10の接近や融着を行っても、接合部材22とバンドル材10との摩擦を抑制できるため、バンドル材10の損傷を抑制できる。
【0043】
図5Cに示すように、バンドル材10A及びバンドル材10Bの接合後も、2本のバンドル材10は送出方向に送り出されている。このため、接合点15ABが送出方向の下流側に移動することになる。この結果、接合部材22ABの位置において、バンドル材10A及びバンドル材10Bが並び方向(第1方向)に離間することになる。なお、本実施形態では、2本バンドル材10の送出装置21の間隔L(詳しくは、送出装置21の送出口の間隔)は、光ファイバ束6(
図5Dの点線参照)の直径Dよりも離れている。これにより、バンドル材10A及びバンドル材10Bの接合後に2本のバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、バンドル材10A及びバンドル材10Bを光ファイバ束6の直径よりも離間させることが可能になる。
【0044】
・4本のバンドル材10の接合方法
図6A〜
図6Dは、4本のバンドル材10の接合方法の説明図である。
図7A〜
図7Dは、接合点15の形成時の様子の説明図である。なお、
図7Aの点線で示す平面は、送出方向の所定位置における平面(送出方向に垂直な平面)であり、
図6A〜
図6Dには、この平面での光ファイバ束6及びバンドル材10の断面が示されている。
図6Aには、前述の接合部材22が記載されている。以下の説明では、接合部材22には、接合対象となる2本のバンドル材10の両方の添字を付けることによって、それぞれの接合部材22を区別して説明することがある。なお、
図6B〜
図6Dでは接合部材22の記載は省略している。また、
図7A〜
図7Dにおいても接合部材22の記載は省略している。
【0045】
製造装置20は、
図6Aでは不図示の送出装置と、接合部材22とを備えている。不図示の送出装置は、光ファイバ束6を送出方向に送り出すとともに、
図5Cに示すように光ファイバ束6の外側でバンドル材10を送り出している。
【0046】
図6Aに示すように、送出方向の所定位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において、光ファイバ束6の外側で4本のバンドル材10が送出方向に送り出されている。
図6Aに示すように、送出方向の所定位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において4本のバンドル材10を結ぶと四角形(ここでは正方形)が形成され、その四角形の内部に光ファイバ束6が配置されている。
図6Aに示すように、送出方向の所定位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において、バンドル材10Aとバンドル材10Bは、第1方向に並んでいる。同様に、バンドル材10Cとバンドル材10Dも、第1方向に並んでいる。また、バンドル材10Aとバンドル材10Dは、第1方向と異なる方向である第2方向に並んでいる。同様に、バンドル材10Bとバンドル材10Cも、第2方向に並んでいる。
【0047】
また、
図6Aに示すように、一対の接合部材22が4組配置されている。接合部材22ABは、第1方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Bを外側から挟み込んで接合する部材である。接合部材22BCは、第2方向に並ぶバンドル材10B及びバンドル材10Cを外側から挟み込んで接合する部材である。接合部材22CDは、第1方向に並ぶバンドル材10C及びバンドル材10Dを外側から挟み込んで接合する部材である。接合部材22ADは、第2方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Dを外側から挟み込んで接合する部材である。なお、一対の接合部材22の構成は、既に説明した通りである(
図5A〜
図5C参照)。
つまり、バンドル材10ごとに、第1方向に並ぶ別のバンドル材10に接近させて接合させるための接合部材22と、第2方向に並ぶ別のバンドル材10に接近させて接合させるための別の接合部材22とが設けられている。例えば、バンドル材10Aには、第1方向に並ぶバンドル材10Bに接近させて接合させるための接合部材22ABと、第2方向に並ぶバンドル材10Dに接近させて接合させるための接合部材22ADとが設けられている。
【0048】
図6A及び
図7Aに示すように、接合部材22ABを回転させると、接合部材22AB(詳しくは、接合部材22ABの非加熱部221)は、第1方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Bを外側から挟み込み、バンドル材10A及びバンドル材10Bを互いに接近させる。また、バンドル材10A及びバンドル材10Bが接触したときに、接合部材22AB(詳しくは接合部材22ABの加熱部222)は、第1方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Bを外側から挟み込み、2本のバンドル材10の接触点を両側から加熱して融着する。これにより、
図7Bに示すように、接合点15ABが形成される。
また、
図6A及び
図7Aに示すように、接合部材22ABとともに接合部材22CDを回転させることによって、接合部材22CDは、第1方向に並ぶバンドル材10C及びバンドル材10Dを外側から挟み込み、互いに接近させて接触させ、バンドル材10C及びバンドル材10Dを融着し、接合点15CDが形成される。接合点15ABが形成される際に接合点15CDを形成することによって、接合点15CDは、接合点15ABから見て光ファイバ束6の反対側に形成されることになる。
【0049】
接合点15AB(及び接合点15CD)の形成後、接合点15が送出方向の下流側に移動すると、接合部材22の位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において、融着された2本のバンドル材10が第1方向に離間することになる。つまり、光ファイバ束6とともにバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、
図6Bに示すように、バンドル材10A及びバンドル材10Bが第1方向に離間するとともに、バンドル材10C及びバンドル材10Dが第1方向に離間する。そして、
図6Cに示すように、第1方向に離間した2本のバンドル材10が、光ファイバ束6の直径よりも離間する。
【0050】
次に、接合部材22AD(
図6A参照)を回転させると、
図6C及び
図7Cに示すように、接合部材22ADは、第2方向に並ぶバンドル材10A及び
図10Dを外側から挟み込み、バンドル材10A及びバンドル材10Dを互いに接近させる。また、バンドル材10A及びバンドル材10Dが接触したときに、接合部材22AD(詳しくは接合部材22ADの加熱部222)は、第2方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Dを外側から挟み込み、2本のバンドル材10の接触点を両側から加熱して融着する。これにより、
図7Dに示すように、接合点15ADが形成される。
また、接合部材22ADとともに接合部材22BC(
図6A参照)を回転させることによって、
図6C及び
図7Cに示すように、接合部材22BCは、第2方向に並ぶバンドル材10B及びバンドル材10Cを外側から挟み、互いに接近させて接触させ、バンドル材10B及びバンドル材10Cを融着する(なお、
図7Dで接合点15BCは不図示)。接合点15ADが形成される際に接合点15BCを形成することによって、接合点15BCは、接合点15ADから見て光ファイバ束6の反対側に形成されることになる。
【0051】
接合点15AD(及び接合点15BC)の形成後、接合点15が送出方向の下流側に移動すると、接合部材22の位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において、融着された2本のバンドル材10が第2方向に離間することになる。つまり、光ファイバ束6とともにバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、
図6Dに示すように、バンドル材10A及びバンドル材10Dが第2方向に離間するとともに、バンドル材10B及びバンドル材10Cが第2方向に離間する。第2方向に離間した2本のバンドル材10が光ファイバ束6の直径よりも離間すると、バンドル材10は、再び
図6Aに示すように、光ファイバ束6の外側に配置されることになる。そこで、上記の接合部材22の動作(
図6A〜
図6Dに示す動作)が繰り返し行われる。
【0052】
上記の製造方法によれば、光ファイバ束を送出方向に送り出すとともに、光ファイバ束6の外側で4本のバンドル材を送り出している(
図6A及び
図7A参照)。そして、第1方向に並ぶ2本のバンドル材10(例えばバンドル材10A及びバンドル材10B)を外側から挟み込んで接合することと(
図6A、
図6B、
図7A及び
図7B参照)、第2方向に並ぶ2本のバンドル材10(例えばバンドル材10A及びバンドル材10D)を外側から挟み込んで接合すること(
図6C、
図6D、
図7C、
図7D参照)とを交互に繰り返している。これにより、
図1Bに示すように、光ファイバ束6の外周上でバンドル材10の巻き付き方向を交互に反転させながら、光ファイバ束6の長手方向に沿ってバンドル材10をSZ状に巻き付けた光ファイバユニットを製造することができる。本実施形態では、一対の接合部材22が2本のバンドル材10を挟み込んで接合しているので、バンドル材10の巻き付け方向の反転箇所における接合を容易に実現できる。仮に光ファイバ束6の外周上でバンドル材10を螺旋方向に巻き付けながらバンドル材10を送り出すこととし、接合後にバンドル材10の巻き付け方向を逆転させてバンドル材10を送り出すこととした場合には、バンドル材10の送り出し動作やバンドル材10の接合動作が複雑になってしまうのに対し、本実施形態では簡易な方法でバンドル材10の反転箇所を接合できるため、光ファイバ束6やバンドル材10の送り出し速度(線速)を早めることが可能になる。
【0053】
また、本実施形態によれば、
図6Aに示すように、送出方向の所定位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において、光ファイバ束6が、4本のバンドル材10を結ぶ四角形(多角形)の内部に配置されている。これにより、2本のバンドル材10を外側から挟み込んで接合する際に、2本のバンドル材10を最短経路で接近させても、2本のバンドル材10の間に光ファイバ束6が挟み込まれずに済むので、接合機構22を簡易な構成にできる。仮に光ファイバ束6の一部が複数のバンドル材10を結ぶ多角形から外部に出ているとすると、2本のバンドル材10の間に光ファイバ束6が挟み込まれないように光ファイバ束6の外周を回り込ませながらバンドル材10を接近させる必要が生じるため、本実施形態と比べて接合機構の構造が複雑化してしまう。
【0054】
また、本実施形態によれば、
図5Cに示すように、2本のバンドル材10を接合した後に光ファイバ束6及びバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、接合部材22の位置(
図7Aの点線で示す平面の位置)において、融着された2本のバンドル材10が離間することになる。そして、本実施形態では、
図6Cに示すように、第1方向に並ぶ2本のバンドル材10(例えばバンドル材10A及びバンドル材10B)が離間した後、第2方向に並ぶ2本のバンドル材(例えばバンドル材10A及びバンドル材10D)を結ぶ線が、光ファイバ束6の外側に位置している。これにより、第1方向に並ぶ2本のバンドル材10を接合した後、第2方向に並ぶ2本のバンドル材10を接合することが可能になる。同様に、本実施形態では、
図6D及び
図6Aに示すように、第2方向に並ぶ2本のバンドル材10(例えばバンドル材10A及びバンドル材10D)が離間した後、第1方向に並ぶ2本のバンドル材(例えばバンドル材10A及びバンドル材10B)を結ぶ線が、光ファイバ束6の外側に位置している。これにより、再び第1方向に並ぶ2本のバンドル材10を接合することが可能になる。
【0055】
また、本実施形態によれば、
図6A及び
図6Bに示すように、第1方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Bが接合される際に、光ファイバ束6の反対側において、第1方向に並ぶ別の2本のバンドル材(バンドル材10C及びバンドル材10D)が接合されている。これにより、接合点15ABと接合点15CDが長手方向のほぼ同じ位置に形成される。また、本実施形態によれば、
図6C及び
図6Dに示すように、第2方向に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Dが接合される際に、光ファイバ束6の反対側において、第2方向に並ぶ別の2本のバンドル材(バンドル材10B及びバンドル材10C)が接合されている。これにより、接合点15ADと接合点15BCが長手方向のほぼ同じ位置に形成される。このように光ファイバ束6を挟んで反対側に2つの接合点15を形成することによって、仮にバンドル材10に長手方向の引っ張り力が加わっても、光ファイバ束6の蛇行を抑制でき、光信号の伝送損失を抑制できる。
【0056】
===第2実施形態===
上記の第1実施形態では、接合部材22が非加熱部221及び加熱部222を有する非円形ローラーであった。但し、接合部材22は、これに限られるものではない。
【0057】
図8A〜
図8Cは、第2実施形態の接合部材22の説明図である。前述の実施形態と同様に、一対の接合部材22が、2本のバンドル材10の外側に配置されている。第2実施形態の接合部材22は、加熱部222を有しており、第1方向に沿って往復移動可能である。一対の接合部材22を接近させることによって、2本のバンドル材10が外側から挟み込まれて接合される。
【0058】
接合部材22の端部(バンドル材10と接する側の端部)には、加熱部222が設けられている。これにより、一対の加熱部222が2本のバンドル材10を外側から挟み込んで、バンドル材10の接触点を加熱できる。
【0059】
第2実施形態では、バンドル材10を送出方向に送り出しながら2本のバンドル材10を接合すると、接合部材22とバンドル材10との摩擦が生じてしまう。但し、第2実施形態においても、
図1Bに示すように、光ファイバ束6の外周上でバンドル材10の巻き付き方向を交互に反転させながら、光ファイバ束6の長手方向に沿ってバンドル材10をSZ状に巻き付けた光ファイバユニットを製造することができる。また、第2実施形態においても、一対の接合部材22が2本のバンドル材10を挟み込んで接合しているので、バンドル材10の巻き付け方向の反転箇所における接合を容易に実現できる。
【0060】
===第3実施形態===
前述の実施形態では、光ファイバ束6に巻き付けられるバンドル材10の数が4本であった。但し、1つの光ファイバユニット2に向けられるバンドル材10の数は、4本に限られるものではないし、偶数本に限られるものでもない。ここでは、3本のバンドル材10を光ファイバ束6の外周にSZ状に巻き付ける方法について説明する。
【0061】
図9A〜
図9Fは、第3実施形態のバンドル材10の接合方法の説明図である。なお、前述の
図6A〜
図6Dと同様に、
図9A〜
図9Fには送出方向の所定位置における光ファイバ束6及びバンドル材10の断面が示されている。
【0062】
図9Aに示すように、送出方向の所定位置において、光ファイバ束6の外側で3本のバンドル材10が送出方向に送り出されている。
図9Aに示すように、送出方向の所定位置において、バンドル材10Aとバンドル材10Bは、第1方向に並んでいる。また、バンドル材10Aとバンドル材10Cは、第1方向と異なる方向である第2方向に並んでいる。
【0063】
また、
図9Aに示すように、一対の接合部材22が3組配置されている。接合部材22ABは、所定方向(第1方向)に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Bを外側から挟み込んで接合する部材である。接合部材22ACは、所定方向とは異なる方向(第2方向)に並ぶバンドル材10A及びバンドル材10Cを外側から挟み込んで接合する部材である。同様に、接合部材22BCは、バンドル材10B及びバンドル材10Cを外側から挟み込んで接合する部材である。なお、一対の接合部材22の構成は、前述の
図5A〜
図5Cに示す接合部材22と同様である。
つまり、第3実施形態においても、バンドル材10ごとに、所定方向(第1方向)に並ぶ別のバンドル材10に接近させて接合させるための接合部材22と、所定方向とは異なる方向(第2方向)に並ぶ別のバンドル材10に接近させて接合させるための別の接合部材22とが設けられている。例えば、バンドル材10Aには、バンドル材10Bに接近させて接合させるための接合部材22ABと、バンドル材10Cに接近させて接合させるための接合部材22ACとが設けられている。
【0064】
まず、
図9Aに示すように、接合部材22ABが、バンドル材10A及びバンドル材10Bを外側から挟み込み、互いに接近させて接触させ、バンドル材10A及びバンドル材10Bを融着し、接合点15ABが形成される。
図9Bに示すように、接合点15ABの形成後、光ファイバ束6及びバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、融着されたバンドル材10A及びバンドル材10Bが離間する。
【0065】
次に、
図9Cに示すように、接合部材22ACが、バンドル材10A及びバンドル材10Cを外側から挟み込み、互いに接近させて接触させ、バンドル材10A及びバンドル材10Cを融着し、接合点15ACが形成される。
図9Dに示すように、接合点15ACの形成後、光ファイバ束6及びバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、融着されたバンドル材10A及びバンドル材10Cが離間する。
【0066】
次に、
図9Eに示すように、接合部材22BCが、バンドル材10B及びバンドル材10Cを外側から挟み込み、互いに接近させて接触させ、バンドル材10B及びバンドル材10Cを融着し、接合点15BCが形成される。
図9Fに示すように、接合点15BCの形成後、光ファイバ束6及びバンドル材10を送出方向に送り出すことによって、融着されたバンドル材10B及びバンドル材10Cが離間する。これにより、3本のバンドル材10は、再び
図9Aに示すように光ファイバ束6の外側に配置されることになる。そこで、上記の接合部材22の動作(
図9A〜
図9Fに示す動作)が繰り返し行われる。
【0067】
なお、第3実施形態では、光ファイバ束6を挟んで反対側に接合点15が形成されないため、仮にバンドル材10に引っ張り力が加わると、光ファイバ束6が蛇行するおそれがある。但し、光ファイバユニット2を長手方向の一方側から見たときの光ファイバ束6の外周上の接合点15の数は、
図11A及び
図11Bに示す第2比較例では2箇所であるのに対し、第3実施形態では3箇所に増えている。このため、第3実施形態では、第2比較例と比べると、光ファイバ束6の蛇行は抑制される。
【0068】
また、第3実施形態においても、光ファイバ束6の外周上でバンドル材10の巻き付き方向を交互に反転させながら、光ファイバ束6の長手方向に沿ってバンドル材10をSZ状に巻き付けた光ファイバユニットを製造することができる。また、第3実施形態においても、一対の接合部材22が2本のバンドル材10を挟み込んで接合しているので、バンドル材10の巻き付け方向の反転箇所における接合を容易に実現できる。
【0069】
===その他の実施形態===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0070】
<バンドル材10の数について>
上述の実施形態では、光ファイバ束6に巻き付けられるバンドル材10の数が4本又は3本であった。但し、1つの光ファイバユニット2に設けられるバンドル材10の数は、4本や3本に限られるものではない。例えば、6本以上でもよい。
【0071】
<接合について>
前述の実施形態では、接合機構22が加熱部222を有しており、2本のバンドル材10が加熱部222からの加熱によって融着接合されていた。但し、2本のバンドル材10を外側から挟み込むことによって接合できれば、接合方法は融着に限られるものではない。例えば、一対の接合機構22が、2本のバンドル材10の外側から挟み込んで圧迫して、2本のバンドル材10を圧接接合しても良い。