特許第6163569号(P6163569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163569
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
   A63F7/02 304D
【請求項の数】2
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2016-1618(P2016-1618)
(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公開番号】特開2017-121351(P2017-121351A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2016年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000161806
【氏名又は名称】京楽産業.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直幸
【審査官】 堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−125471(JP,A)
【文献】 特開2010−051414(JP,A)
【文献】 特開2015−211759(JP,A)
【文献】 特開2015−221080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき、スピーカを含む所定の演出手段を用いて所定の演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、
前記判定手段の判定結果を示唆する示唆演出を実行可能であるとともに、前記示唆演出を実行しているときにおいて、当該示唆演出に対応する示唆演出音を前記スピーカから出力可能であり、
前記示唆演出を実行する前に、前記特別遊技が実行される可能性があることを示唆する事前演出音を前記スピーカから出力可能にするとともに、前記事前演出音を前記示唆演出の実行開始後においても継続して出力可能にし、
前記示唆演出を実行する際に前記事前演出音が出力されているときには、前記事前演出音よりも小さい音量で前記示唆演出音を出力する、又は、前記示唆演出音を出力しない
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記演出実行手段は、前記示唆演出を実行する際に前記事前演出音が出力されているか否かに関わらず、同じ内容の演出を前記示唆演出として実行可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機(パチンコ遊技機)の一種では、始動条件の成立に基づいて大当たり抽選(当たり判定)を行い、大当たりに当選した場合、特別遊技の一種として、大入賞口の開放を伴う大当たり遊技を行う。大入賞口に遊技球を入賞させることで多数の賞球を得ることができる。大当たり抽選の結果は、図柄表示手段上において、図柄の変動表示を経たのちの図柄の停止態様によって遊技者に示される。
【0003】
この種の遊技機では、画像表示部を用いた映像表示やスピーカからの音の出力などによる様々な演出を行うことで、遊技に面白みを与えると共に、特別遊技の実行可能性などを示唆するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−337259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音を利用した演出として様々な演出があるが、今までに無いような斬新な音の出力制御を行うことで、遊技の興趣向上が期待される。遊技機において、遊技への飽きを抑制して楽しんで遊技を行ってもらうために、新たな演出及び方法の導入が重要であることは言うまでもない。
【0006】
そこで本発明は、音に関連して遊技の興趣向上に寄与する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遊技機は、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定を行う判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき、スピーカを含む所定の演出手段を用いて所定の演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、前記演出実行手段は、前記判定手段の判定結果を示唆する示唆演出を実行可能であるとともに、前記示唆演出において所定の示唆演出音を前記スピーカから出力可能であり、前記示唆演出を実行する前に、前記特別遊技が実行される可能性があることを示唆する事前演出音を前記スピーカから出力可能にするとともに、前記事前演出音を前記示唆演出の実行開始後においても継続して出力可能にし、前記事前演出音が出力されているときには、前記事前演出音よりも小さい音量で前記示唆演出音を出力する、又は、前記示唆演出音を出力しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、音に関連して遊技の興趣向上に寄与する遊技機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る遊技機の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る遊技機の、制御に関わる部分のブロック図である。
図3】遊技機の主制御部にて実行される処理の一部を列記した図である。
図4】遊技機の主制御部における特図当たり判定テーブルの説明図である。
図5】遊技機の演出制御部にて実行される処理の一部を列記した図である。
図6】本発明の実施形態に係る大当たりの種類を示す図である。
図7】演出の分類図である。
図8】変動期間、変動演出、及び、変動演出中の出力音の説明図である。
図9】リーチ演出を含む変動演出の流れを示す図である。
図10】リーチ演出を含まない変動演出の流れを示す図である。
図11】演出制御部によるコマンド受信処理のフローチャートである。
図12】保留画像の表示例を示す図である。
図13】本実施形態で想定される状況(α)を示す図である。
図14】本実施形態で想定される状況(α)下における、通常変動音と事前演出音の関係例(第1〜第3パターン)を示す図である。
図15】本実施形態で想定される状況(α)下における、通常変動音と事前演出音の関係例(第4及び第5パターン)を示す図である。
図16】事前演出音の出力中において事前演出音が変化しうることを説明するための図である。
図17】複数の事前演出音の関係図である。
図18】各変動演出の内容が事前演出音の出力有無に依存しないことを示す図である。
図19】本発明の第1実施例に係る特図変動パターンテーブルを示す図である。
図20】選択された特図変動パターンと、実行されるリーチ演出と、事前演出音の出力確率との関係図である。
図21】本発明の第1実施例に係る保留増加処理のフローチャートである。
図22】本発明の第1実施例に係る演出開始処理のフローチャートである。
図23】本発明の第1実施例に係る演出終了処理のフローチャートである。
図24】本発明の第1実施例に係る音制御処理のフローチャートである。
図25】本発明の第1実施例に係る事前演出音出力可否判定テーブルを示す図である。
図26】本発明の第1実施例に係る事前演出音変化可否判定テーブルを示す図である。
図27】本発明の第1実施例に係る他の事前演出音変化可否判定テーブルを示す図である。
図28】本発明の第1実施例に係る事前演出音変化タイミング設定テーブルを示す図である。
図29】本発明の第1実施例に係る他の事前演出音変化タイミング設定テーブルを示す図である。
図30】本発明の第2実施例に係る保留増加処理のフローチャートである。
図31】本発明の第2実施例に係る事前演出音変化タイミング設定テーブルを示す図である。
図32】本発明の第2実施例に係る他の事前演出音変化タイミング設定テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
【0011】
本発明に係る遊技機に好適な実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係る遊技機を、旧第一種に属する遊技機(所謂デジパチ)に適用している。
【0012】
<<遊技機の基本構成>>
図1は、本実施形態に係る遊技機100の正面図である。図1を参照して遊技機100の基本構成を説明する。遊技機100は、遊技盤101を含む他、図1に示された各構成部材を備える。尚、上下左右とは、特に記述無き限り、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者から見た上下左右を指す。上下方向も左右方向も遊技盤101の盤面に平行である。上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向に平行である。また特に記述無き限り、前方とは、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者に対して近い方を指し、後方は、特に記述無き限り、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者に対して遠い方を指す。
【0013】
遊技機100は、パチンコ遊技機であって、遊技施設に配置された島構造体に取り付けられる外枠10と、外枠10に対して開閉自在に取り付けられる内枠11と、内枠11に対して開閉自在に取り付けられる扉枠12と、を備える。扉枠12には、後述する遊技領域103のほぼ全域を前方(遊技者側)から視認することができるように、透明性を有するガラス板が嵌め込まれて成る窓部12aが形成されている。遊技盤101は内枠11に対して着脱可能に取り付けられる。遊技盤101の下部位置には、遊技球を発射するための発射部が配置されている(発射部の詳細構造は図示せず)。
【0014】
発射部の駆動により上方に発射された遊技球は、レール102a及び102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技盤101に形成された遊技領域103内を落下(流下)するようになっている。遊技領域103には、複数の釘(不図示)が設けられており、この釘によって遊技球は不特定な方向に移動方向を変化させながら落下する。また、遊技盤101において、遊技領域103における遊技球の落下経路には、遊技球の落下方向を変化させる風車(不図示)や、第1始動口105、第2始動口106、電動チューリップ107、ゲート108、大入賞口111及び普通入賞口112が設置される。遊技盤101の略中央部分には、装飾図柄を含む各種の演出画像を表示可能な、液晶ディスプレイパネル等から成る画像表示部104が配置される。
【0015】
始動口105及び106は、画像表示部104の下方に設置され、夫々に遊技球が通過可能(入賞可能)な始動領域を形成する。所定の第1始動条件又は第2始動条件が成立することによって特図判定(大当たり遊技を行うか否か等の判定)を受けるための権利が取得される。第1、第2始動条件は、夫々、始動口105、106に遊技球が入賞することによって成立する。また、遊技機100は、始動口105又は106に入賞した遊技球を検出すると、所定個数(例えば3個)の遊技球を払い出す。始動口105、106、大入賞口111又は普通入賞口112に対する遊技球の入賞に起因して払い出される遊技球を賞球とも呼ぶ。尚、入賞を入球と読み替えても良い。
【0016】
第2始動口106の近傍に、電動チューリップ107が設けられる。電動チューリップ107は、遊技球を第2始動口106へ入賞し難くさせる閉状態(閉口した状態)と、閉状態よりも遊技球を第2始動口106へ入賞しやすくさせる開状態(開放した状態)の内の、どちらかの状態をとる。実質的には、電動チューリップ107が閉状態であるとき、遊技球の第2始動口106への入賞は不可能であり、電動チューリップ107が開状態であるときにのみ、遊技球の第2始動口106への入賞が可能となる。電動チューリップ107が開状態となることを、電動チューリップ107の開放とも言う。電動チューリップ107は、画像表示部104の右側に配置されたゲート108を遊技球が通過したことにより行われる普図判定の結果に基づいて開放される。
【0017】
第1始動口105及び第2始動口106の右側には大入賞口111が設けられる。大入賞口111も、電動チューリップ107のように開閉動作が可能となっており、遊技球を大入賞口111へ入賞し難くさせる閉状態(閉口した状態)と、閉状態よりも遊技球を大入賞口111へ入賞しやすくさせる開状態(開放した状態)の内の、どちらかの状態をとる。実質的には、大入賞口111が閉状態であるとき、遊技球の大入賞口111への入賞は不可能であり、大入賞口111が開状態であるときにのみ、遊技球の大入賞口111への入賞が可能となる。大入賞口111が開状態となることを、大入賞口111の開放とも言う。大入賞口111は、通常、閉鎖されており、大当たりに当選した場合に、所定条件(例えば、30秒経過又は遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態となるラウンド遊技を所定回数(例えば16回)だけ繰り返す。遊技機100は、大入賞口111に入賞した遊技球を検出すると、所定個数(例えば14個)の賞球を払い出す。
【0018】
画像表示部104の側方や下方などには、1以上の普通入賞口112が設置される。遊技機100は、普通入賞口112への入賞を検出した場合には所定個数(例えば5個)の賞球を払い出す。遊技領域103の最下部には、第1始動口105、第2始動口106、大入賞口111及び普通入賞口112の何れにも入賞しなかった遊技球を回収する回収口113が設けられている。遊技盤101の右下部分には情報表示部114が設けられている。尚、遊技盤101上の各構成部品の設置位置を任意に変更可能である。
【0019】
扉枠12において、その外周部分には、任意の演出に用いられるスピーカ115(スピーカ115a、115b及び115cを含む)、演出ライト部116及び枠可動役物117が組み込まれている。演出に用いられる可動役物は、遊技盤101上にも設けられている。本実施形態において遊技盤101上には盤可動役物130が設けられる。また、扉枠12において、右下位置には操作ハンドル119が配置されている。操作ハンドル119は遊技者側に突出するような形状を有しており、その外周部には発射指示部材120が設けられている。発射指示部材120は、操作ハンドル119により回転可能に支持されている。遊技者は遊技球を発射させる場合、発射指示部材120を時計回りに回転させる。このとき、発射指示部材120を回転させる角度により、遊技者は遊技球の発射強度を調整できるようになっている。扉枠12において遊技領域103の下方には、演出ボタン121及び十字キー122の他、遊技球の収容及び送出に利用される上皿(打球供給皿)123、上皿レバー124、下皿(余剰球受皿)125及び下皿レバー126などが設けられている。演出ボタン121及び十字キー122は、遊技者からの操作の入力を受ける操作入力部(操作受付部又は操作部と呼んでも良い)を構成している。
【0020】
特図判定の結果は特別図柄によって示され、普図判定の結果は普通図柄によって示される。特別図柄として第1及び第2特別図柄が存在する。第1始動条件の成立に基づく特図判定の権利は所定数(ここでは4とする)を上限として保留され、その保留された権利の個数を保留情報数U1と呼ぶ。第2始動条件の成立に基づく特図判定の権利は所定数(ここでは4とする)を上限として保留され、その保留された権利の個数を保留情報数U2と呼ぶ。遊技球がゲート108を通過したことによる普図判定の権利は、所定数(ここでは4とする)を上限として保留され、その保留された権利の個数を保留情報数U3と呼ぶ。
【0021】
情報表示部114は、第1及び第2特別図柄を表示する特別図柄表示部、普通図柄を表示する普通図柄表示部、保留情報数U1〜U3を表示する保留表示部、ラウンド数表示部及び右打ち表示部を備えており、各表示部をLED(Light Emitting Diode)表示器にて形成することができる。
【0022】
<<遊技機の基本動作>>
次に、遊技機100の基本動作について説明する。遊技機100は、第1又は第2始動条件の成立により特図判定用情報を取得し、特図判定用情報に基づいて特図判定を行う。特図判定用情報の取得は、特図判定の権利の取得に相当する。特図判定は、大当たりに当選したか否か(大当たりに当選したか、或いはハズレであるか)の判定を含む。尚、大当たりの当選を大当たりの発生と表現することがある(後述の小当たりについても同様)。また、或る特図判定用情報が大当たりに当選していることを、当該特図判定用情報が大当たりであるなどと表現することもある(後述の小当たりについても同様)。第1、第2始動条件の成立により取得された特図判定用情報に基づく特図判定を行うと、遊技機100は、夫々、第1、第2特別図柄を所定時間だけ変動表示させた後、特図判定の結果を示す態様で第1、第2特別図柄を停止表示させる。
【0023】
遊技機100は、特別図柄(第1又は第2特別図柄)を変動表示させると、それに合わせて画像表示部104上で装飾図柄を変動表示させ、特別図柄の停止表示に合わせて装飾図柄を停止表示させる。画像表示部104に表示される装飾図柄は、第1〜第3装飾図柄を含み、各装飾図柄には数値又は記号等が対応付けられている。例えば、大当たりが発生して大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させた場合には、大当たりを示す態様で(例えば「7・7・7」といった所謂ゾロ目)で第1〜第3装飾図柄を停止表示させる。この際、発生した大当たりの種類に応じ、停止表示される第1〜第3装飾図柄の組み合わせが異なっていて良い。特図判定の結果がハズレの場合(即ち、大当たりに当選していない場合)、第1〜第3装飾図柄を、例えば、ハズレを示す所謂バラケ目で停止させる。バラケ目とは、第1〜第3装飾図柄の内の2つ又は3つが、互いに非共通の図柄とされている状態を指す。
【0024】
大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させると、遊技機100は、大当たり遊技状態となる。大当たり遊技状態では、大入賞口111を開放させるラウンド遊技を、当選した大当たりの種類に応じたラウンド分(例えば16ラウンド分)実行する大当たり遊技が行われる。大入賞口111の開放中に遊技球が大入賞口111へ入賞すると、遊技機100は所定個数の賞球を払い出す。大当たり遊技状態は、大当たり遊技が終了することによって終了する。大入賞口111の開放を伴う遊技(大当たり遊技を含み、後述の小当たり遊技を含みうる)は、大入賞口111への遊技球の入賞によって賞球を得られる機会が与えられるため、大入賞口111の開放を伴わない遊技(例えば通常遊技状態における遊技)よりも遊技者にとって有利である、と言える。ここにおける有利とは、大入賞口111の開放に伴い、遊技者がより多くの賞球を得やすい(得られる賞球の期待値が大きい)ことを意味する。
【0025】
大当たり遊技中において特図判定は行われない。大当たり遊技状態では、右打ちによって遊技が行われる。右打ちとは、遊技領域103の内、遊技領域103を左右に分断する中心線の右側の遊技領域に遊技球が打ち出されることを指す。これに対し、左打ちとは、遊技領域103の内、上記中心線の左側の遊技領域に遊技球が打ち出されることを指す。左打ちでは、第1始動口105に対して遊技球を入賞させることができるが、第2始動口106及び大入賞口111に対して遊技球を入賞させることができないように遊技盤101が形成されている。右打ちでは、第2始動口106及び大入賞口111に対して遊技球を入賞させることができるが、第1始動口105に対して遊技球を入賞させることができないように遊技盤101が形成されている。また、ゲート108は、遊技領域103における右側領域であって、且つ、大入賞口111の上方に配置されている。故に、左打ちでは、ゲート108に対して遊技球を通過させることができず、右打ちによる遊技球のみがゲート108を通過しうる。
【0026】
大当たり遊技の終了後、遊技機100は特図判定を行う状態へ復帰する。この際、遊技機100の遊技状態が変更されうる。
【0027】
<<遊技機の遊技状態>>
遊技機100は、大入賞口111の開放を伴う遊技状態(大当たり遊技状態を含む)を除いて、低確率非電サポ遊技状態(通常遊技状態)、低確率電サポ遊技状態、高確率非電サポ遊技状態、及び、高確率電サポ遊技状態の内の何れかの遊技状態をとり得て良い。遊技機100の初期状態における遊技状態は、低確率非電サポ遊技状態である。遊技盤101の背面に設けられたRAMクリアスイッチを用いて遊技機100の遊技情報を初期化することで、遊技機100は初期状態となる。
【0028】
低確率非電サポ遊技状態及び低確率電サポ遊技状態は低確率遊技状態に属する。高確率非電サポ遊技状態及び高確率電サポ遊技状態は高確率遊技状態に属する。特図判定にて大当たりに当選したと判定される確率は、低確率遊技状態においてよりも高確率遊技状態においての方が高い。故に、大当たりの当選し易さ(大当たり遊技の行われ易さ)に関して高確率遊技状態は低確率遊技状態よりも遊技者に有利である。
【0029】
低確率電サポ遊技状態及び高確率電サポ遊技状態は、電サポ遊技状態に属する。電サポ遊技状態において、遊技機100は、電動チューリップ107の開閉を伴う遊技サポート機能(以下「電サポ」という)を付与する(即ち電サポを発動させる)。電サポが付与されたとき、そうでない時と比べて、普通図柄の変動時間の短縮、普図判定における普図当たりの当選確率の増加(従って、電動チューリップ107の開放頻度の増加)、及び、電動チューリップ107の開放時間の増加が図られ、結果、電サポ遊技状態では、電サポが付与されない非電サポ遊技状態に比べて、第2始動口106へ遊技球が入賞しやすくなる。電サポ遊技状態では、上述した右打ちによって遊技が行われ、特図判定の契機は主として第2始動口106への入賞となる。
【0030】
低確率非電サポ遊技状態及び高確率非電サポ遊技状態は、電サポが付与されない非電サポ遊技状態に属する。非電サポ遊技状態では、上述した左打ちによって遊技が行われ、特図判定の契機は主として第1始動口105への入賞となる。上述の説明からも理解されるように、電サポ遊技状態は非電サポ遊技状態よりも相対的に始動条件(第2始動条件)が成立しやすい遊技状態である。従って、始動条件の成立しやすさに関して電サポ遊技状態は非電サポ遊技状態よりも遊技者に有利である。
【0031】
<<遊技機の内部構成>>
図2を参照して、遊技機100の内部構成を説明する。図2は、遊技機100内の、制御に関わる部分のブロック図である。図2に示す如く、遊技機100に設けられた制御部400は、遊技の進行を制御する主制御部401と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部402と、演出内容を制御する演出制御部403とを備えている。制御部400の他、図2に示される各構成要素が遊技機100に設けられる。
【0032】
[1.主制御部]
主制御部401は、メインCPU(Central Processing Unit)411と、メインROM(Read Only Memory)412と、メインRAM(Random Access Memory)413を備える。メインROM412には、テーブルTAt、TZt、THt及びDKtを含むテーブル群などが格納され、メインRAM413には、記憶領域413a及び413bを含む記憶領域群などが設けられている。
【0033】
また、主制御部401には、遊技球を検出する各種スイッチ(以下「SW」と略すことがある)が接続されている。具体的には図2に示すように、主制御部401には、第1始動口105、第2始動口106、大入賞口111、普通入賞口112へ入賞した遊技球を検出する第1始動口SW414a、第2始動口SW414b、大入賞口SW416、普通入賞口SW417と、ゲート108を通過した遊技球を検出するゲートSW415とが接続されており、各SWの検出結果を示す検出信号が主制御部401へ送られる。
【0034】
また、主制御部401には、遊技盤101上の電動役物を駆動させる各種ソレノイドが接続されている。具体的には図2に示すように、主制御部401には、電動チューリップ107を開閉動作させる電動チューリップソレノイド420と、大入賞口111を開閉動作させる大入賞口ソレノイド421が接続されている。主制御部401は、普図判定の結果に基づき電動チューリップソレノイド420を用いて電動チューリップ107の開閉動作を実現し、特図判定の結果に基づき大入賞口ソレノイド421を用いて大入賞口111の開閉動作を実現する。また、主制御部401には、情報表示部114が接続される。主制御部401は、特図判定の結果、普図判定の結果並びに保留情報数U1、U2及びU3に基づき情報表示部114の表示制御を行う。
【0035】
[1−1.メイン処理]
図3に、主制御部401が行う主だった処理を列記する。遊技機100へ電力が供給されると、メインCPU411によりメイン処理が実行される。メイン処理では、主制御部401内の各種デバイスの初期設定処理及びバックアップ情報の生成処理などを行い、それらの処理結果をメインRAM413に記憶させる。
【0036】
[1−2.タイマ割込処理]
メインCPU411は、メイン処理にて設定された周期(例えば数ミリ秒又はそれ以下の周期)で、メイン処理に対しタイマ割込処理を割り込み実行する(図3参照)。タイマ割込処理において、メインCPU411は、乱数更新処理、スイッチ処理、特別図柄処理、普通図柄処理、電動役物制御処理、賞球処理及び出力処理を順次実行する。
【0037】
[1−2−1.乱数更新処理]
主制御部401には、特図当たり乱数をカウントする特図当たり乱数カウンタC1、特図図柄乱数をカウントする特図図柄乱数カウンタC2、特図変動パターン乱数をカウントする特図変動パターン乱数カウンタC3、普図当たり乱数をカウントする普図当たり乱数カウンタC4及び普図図柄乱数をカウントする普図図柄乱数カウンタC5が設けられており、乱数更新処理においては、各乱数カウンタのカウント値に「1」を加算することで各乱数カウンタのカウント値を更新する。乱数カウンタC1〜C5の夫々において、カウンタのカウント値が所定の上限値を超えたときには、当該カウンタのカウント値を「0」に戻し、その後、同様のカウントアップを行う。尚、本実施形態における任意の乱数は、特に記述無き限り、整数値のみをとる。
【0038】
[1−2−2.スイッチ処理]
スイッチ処理を説明する(図3参照)。スイッチ処理において、メインCPU411は、始動口スイッチ処理、ゲートスイッチ処理、大入賞口スイッチ処理及び普通入賞口スイッチ処理を順次実行する。
【0039】
始動口スイッチ処理において、メインCPU411は、始動口SW414a及びSW414bを用い、始動口105又は106への遊技球の入賞が検出されたタイミング(即ち、第1又は第2始動条件の成立タイミング)でカウンタC1〜C3のカウント値を取得し、取得したカウンタC1〜C3のカウント値を特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数として含んだ特図判定用情報を特図判定用情報記憶領域413aに記憶させる。記憶領域413aは、第1始動条件の成立に基づく特図判定用情報及び第2始動条件の成立に基づく特図判定用情報の夫々を、所定数を上限として記憶することができる。ここでは、その所定数が4であるとする。従って、記憶領域413aは、最大8つまでの特図判定用情報を記憶することができる。記憶領域413a内における、第1、第2始動条件の成立を契機とした特図判定用情報の個数が、夫々、上記の保留情報数U1、U2に相当する。また、記憶領域413aに記憶された各特図判定用情報に対し、特図判定を受けるための優先順位が設定されている。基本的に、時間的に先に取得された特図判定用情報に対しより高い優先順位が設定される。但し、第1始動条件の成立によって取得された特図判定用情報と比べ、第2始動条件の成立によって取得された特図判定用情報に対し、より高い優先順位が設定されるものとする。始動口スイッチ処理の中で実行される事前判定処理については後述する。
【0040】
ゲートスイッチ処理において、メインCPU411は、ゲート108への遊技球の通過が検出されたタイミングでカウンタC4及びC5のカウント値を取得し、取得したカウンタC4及びC5のカウント値を普図当たり乱数及び普図図柄乱数として含んだ普図判定用情報を普図判定用情報記憶領域413bに記憶させる。記憶領域413bは、普図判定用情報を所定数を上限として記憶することができる。ここでは、その所定数が4であるとする。記憶領域413b内における普図判定用情報の個数が上記の保留情報数U3に相当する。記憶領域413bに記憶された各普図判定用情報に対し普図判定を受けるための優先順位が設定されている。時間的に先に取得された普図判定用情報に対しより高い優先順位が設定される。
【0041】
大入賞口スイッチ処理において、メインCPU411は、大入賞口111に入賞した遊技球を大入賞口SW416により検出する。普通入賞口スイッチ処理において、メインCPU411は、普通入賞口112に入賞した遊技球を普通入賞口SW417により検出する。
【0042】
[1−2−3.特別図柄処理]
特別図柄処理において、メインCPU411は、特図判定用情報記憶領域413aに記憶されている特図判定用情報の内、優先順位が最も高く設定された特図判定用情報を判定対象TTとして取得し、判定対象TTに対して特図判定を実行する。この際、判定対象TTとなった特図判定用情報は記憶領域413aから消去される。特図判定は特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定から成る。そして、特別図柄処理では、特図変動パターン判定により選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す態様で特別図柄を停止させる。特図判定の結果をメインRAM413に記憶させることができる。尚、特別図柄処理において、記憶領域413aに特図判定用情報が記憶されていない場合には、特図判定が行われることなく特別図柄処理を終える。また、特別図柄の変動表示が行われているとき及び大入賞口111の開放を伴う遊技が行われているときにも、特図判定は行われない。
【0043】
メインCPU411は、特別図柄の変動表示を開始する際、特図判定の結果を含む変動開始コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行開始を指示し、特別図柄の変動を停止する際、変動停止コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行終了を指示する。RAM413に設定されたこれらのコマンドは、後述の出力処理(図3参照)において演出制御部403に出力される。
【0044】
図4を参照し、低確率特図当たり判定テーブルTAt1及び高確率特図当たり判定テーブルTAt2を含む特図当たり判定テーブルTAtを用いて、特図当たり判定が行われる。テーブルTAt1及びTAt2の夫々は、大当たりに対応付けられた所定の判定値を有して構成される。メインCPU411は、特図当たり判定時に、高確率遊技フラグがOFFに設定されていた場合にはテーブルTAt1を用いて特図当たり判定を行い、高確率遊技フラグがONに設定されていた場合にはテーブルTAt2を用いて特図当たり判定を行う。そして、メインCPU411は、判定対象TTの特図当たり乱数が大当たりに対応づけられた判定値と一致した場合には大当たりに当選したと判定し、そうでない場合にはハズレである(即ち大当たりに当選していない)と判定する。遊技機100の遊技状態は、高確率遊技フラグがONであるときに高確率遊技状態であり、高確率遊技フラグがOFFであるときに低確率遊技状態である。ここでは、大当たりの当選確率(即ち大当たり遊技を行うと判定される確率)が、低確率遊技状態、高確率遊技状態において、夫々、1/300、1/30となるように、特図当たり判定テーブルTAtが形成されているものとする。
【0045】
また、小当たりが発生し得るように遊技機100が形成されていても良く、この場合、メインCPU411は特図当たり判定において小当たりの当落も判定する。小当たりは、大当たりではなく、通常のハズレ(小当たり以外のハズレ)とは異なる態様の特別図柄で表される特定のハズレである。メインCPU411は、判定対象TTの特図当たり乱数が小当たりに対応づけられた判定値と一致した場合に小当たりに当選したと判定する。例えば、高確率遊技フラグのON/OFFに依存せず、小当たりの当選確率を1/300とすることができる。
【0046】
特図図柄判定において、メインCPU411は、特図図柄判定テーブルTZtと判定対象TTの特図図柄乱数とを比較し、比較結果に基づいて、特別図柄をどのような図柄で停止させるかを判定する。大当たりには複数の種類が存在し、大当たりの当選時においては、当該比較結果に基づいて大当たりの種類が判定されることになる。
【0047】
特図変動パターン判定において、特図変動パターンテーブルTHtと判定対象TTの特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数とに基づき、判定対象TTに対する特図変動パターンを判定する。特図変動パターンの判定は特図変動パターンの選択又は設定と同義である。特図変動パターンテーブルTHtには複数の特図変動パターンが含まれており、特図変動パターン判定において判定対象TTに対する1つの特図変動パターンが選択される。各特図変動パターンは、特別図柄の変動態様を定義したものであり、例えば、特別図柄の変動時間(特別図柄の変動表示が行われる時間の長さ)を定義している。
【0048】
[始動口スイッチ処理の中の事前判定処理]
また、始動口スイッチ処理の中でメインCPU411は事前判定処理を実行する(図3参照)。事前判定処理において、メインCPU411は、特図判定用情報記憶領域413aに記憶されて保留されることとなる特図判定用情報を事前判定対象として設定し、事前判定対象に対して特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定を順次実行する。事前判定対象に対する特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定(これらの判定を総称して事前判定とも称する)の方法は、判定対象TTに対するそれらの方法と同じである。事前判定の結果はメインRAM413に記憶される。事前判定の結果は保留増加コマンド(事前判定コマンドとも称される)に含められ、保留増加コマンドがメインRAM413に設定されて、後述の出力処理にて演出制御部403に送信される。保留増加コマンドには、事前判定の結果の他、保留情報数U1及びU2のどちらが増加したのかを示す情報が含まれる。或る特図判定用情報に対する事前判定処理は、その特図判定用情報が取得された時に、それが記憶領域413aに記憶される前に始動口スイッチ処理の中で実行される。故に、任意の特図判定用情報に対する事前判定は、その特図判定用情報に対して特図判定が実行される前に実行される。
【0049】
[1−2−4.普通図柄処理]
普通図柄処理(図3参照)を説明する。普通図柄処理において、メインCPU411は、普図判定用情報記憶領域413b内で最も優先順位を高く設定された普図判定用情報を普図判定対象FFとして取得して、メインROM412内の普図判定用テーブルと普図判定対象FFなどに基づき、普図当たり判定、普図図柄判定及び普図変動パターン判定から成る普図判定を実行し、普図判定の結果に基づいて普通図柄の変動表示及び停止表示を行わせる。普図判定対象FFとなった普図判定用情報は記憶領域413bから消去される。尚、普通図柄処理において、記憶領域413bに普図判定用情報が記憶されていない場合には、普図判定が行われることなく普通図柄処理を終える。また、普通図柄の変動表示が行われているとき及び電動チューリップ107を開放させる遊技(補助遊技)が行われているときにも、普図判定は行われない。普図当たり判定では、普図当たりに当選したか否かが判定される。普図当たりに当選した場合、普図図柄判定により普図当たりの種類が判定される。普図当たりには、長開放当たりと短開放当たりとがある。電動チューリップ107が開状態とされる時間は、長開放当たりの方が短開放当たりよりも長い。メインCPU411は、普図変動パターン判定の結果に基づく変動時間だけ普通図柄の変動表示を行った後、普図当たり判定及び普図図柄判定の結果を示す態様で普通図柄を停止表示させる。
【0050】
[1−2−5.電動役物制御処理]
電動役物制御処理(図3参照)では、大入賞口処理及び電チュー処理が順次実行される。大入賞口処理では、特図判定の結果が大当たりの当選を示しているときに、大当たりの種類に応じた大入賞口開放パターンを用いて大入賞口111が開閉動作される。大入賞開放パターンテーブルDKtには、大入賞口111の開放態様を定義した大入賞口開放パターンが大当たりの種類ごとに格納されている。小当たりが発生し得るように遊技機100が形成されている場合、小当たり用の大入賞口開放パターンも大入賞開放パターンテーブルDKtに格納され、特図判定の結果が小当たりの当選を示しているときには小当たり用の大入賞口開放パターンを用いて大入賞口111が開閉動作される。メインCPU411は、テーブルDKtを参照して大入賞口処理を実現する。
【0051】
大入賞口111の開放を伴う大当たり遊技は、大当たりを示す態様で特別図柄が停止表示された後に開始される。大当たり遊技では、大入賞口111の開放時間が規定最大開放時間(所定時間;例えば30秒)に達するまで又は大入賞口111への遊技球の入賞数が所定値(例えば10個)に達するまで大入賞口111を開放させるラウンド遊技が、所定のインターバル期間(換言すればインターバル時間)を隔ててRmax回実行される。従って、大当たり遊技はRmax分のラウンド遊技を含んで構成されると考えることができる。Rmaxは、大当たりの種類に応じたラウンド数を表す。そして、最後のラウンド遊技が終了してから所定のエンディング期間(換言すればエンディング時間;例えば5秒)が経過すると、特図判定が実行可能な遊技状態に復帰する。
【0052】
また、大当たり遊技の実行中又は大当たり遊技の後、大入賞口処理の中で遊技状態設定処理(図3参照)が実行される。遊技状態設定処理において、メインCPU411は、メインRAM413に記憶された、高確率遊技フラグ及び電サポ遊技フラグを含む各種遊技フラグの状態を設定する。上述したように、遊技機100の遊技状態は、高確率遊技フラグがONであるときに高確率遊技状態であり、高確率遊技フラグがOFFであるときに低確率遊技状態である。遊技機100の遊技状態は、電サポ遊技フラグがONであるときに電サポ遊技状態であり、電サポ遊技フラグがOFFであるときに非電サポ遊技状態である。大当たりの発生に応答して実行される大入賞口処理中の遊技状態設定処理では、大当たり発生時の遊技状態や発生した大当たりの種類などに応じて、高確率遊技フラグ及び電サポ遊技フラグのON/OFFが設定される他、高確率遊技状態が維持される特別図柄の残りの変動回数を示す高確率遊技残回数X及び電サポ遊技状態が維持される特別図柄の残りの変動回数を示す電サポ遊技残回数JがメインRAM413に設定される。
【0053】
遊技状態設定処理にて設定された高確率遊技残回数Xは、“X≧1”であるとき特図判定が1回実行されるごとに“1”だけ減算され、“X=0”となると高確率遊技フラグにOFFが設定されて遊技機100の遊技状態は低確率遊技状態となる。遊技状態設定処理にて設定された電サポ遊技残回数Jは、“J≧1”であるとき特図判定が1回実行されるごとに“1”だけ減算され、“J=0”となると電サポ遊技フラグにOFFが設定されて遊技機100の遊技状態は非電サポ遊技状態となる。遊技機100の初期状態において、高確率遊技フラグ及び電サポ遊技フラグはOFFであり且つ回数X及びJには“0”が設定されている。
【0054】
尚、小当たりに当選した場合も、大入賞口111の開放を伴う遊技(これを小当たり遊技という)が実行されるが、主制御部401は、小当たりの当選を契機として遊技機100の遊技状態(大当たりの当選確率及び電サポ付与の有無)を変化させない。つまり、小当たりの当選の前後間で遊技機100の遊技状態(大当たりの当選確率及び電サポ付与の有無)は変化しない。小当たり遊技では、例えば、大入賞口111のショート開放時間(例えば0.2秒)による開放が複数回繰り返される。
【0055】
電チュー処理において、メインCPU411は、普図判定の結果に基づき電動チューリップ107を開閉動作させる。普図当たりに当選した場合に、所定時間、電動チューリップ107が開状態とされる。
【0056】
[1−2−6.賞球処理]
賞球処理において、メインCPU411は、第1始動口105、第2始動口106、大入賞口111、普通入賞口112の各入賞口への入賞に対して所定個数の賞球を払い出させるための払い出し指示を賞球コマンドとしてメインRAM413に設定する。
【0057】
[1−2−7.出力処理]
出力処理において、メインCPU411は、メインRAM413に記憶又は設定された情報(上述の各コマンドを含む)などを、主制御部401に接続された各制御部(賞球制御部402及び演出制御部403を含む)に対して出力する。賞球に関するコマンドは賞球制御部402に出力され、演出に関するコマンドは演出制御部403に出力される。出力処理において、メインCPU411は自身が認識又は保持している任意の情報(例えば、電サポ遊技フラグ及び高確率遊技フラグの状態を示す情報)を演出制御部403に伝達できて良い。出力処理の終了によってタイマ割込処理も終了し、タイマ割込処理の終了によってメインCPU411が実行する処理はメイン処理に戻る(図3参照)。
【0058】
また、図2に示すように、主制御部401には盤用外部情報端子基板491が接続されており、主制御部401は、メインRAM413内の記憶内容を示す情報を、基板491を通じて外部(例えば遊技施設のホールコンピュータ)に出力することができる。
【0059】
[2.賞球制御部]
賞球制御部402(図2参照)は、CPU、ROM及びRAMを備えて構成され、主制御部401からの払い出し指示(賞球コマンド)に基づき、払出部429を用いて賞球の払い出しを行う。賞球制御部402には、遊技球を検出する各種SWが接続されている。具体的には図2に示すように、賞球制御部402には、所定位置の遊技球を検出する定位置検出SW424と、払い出した遊技球を検出する払出球検出SW425と、上皿123内に遊技球があるかを検出する球有り検出SW426と、上皿123及び下皿125が遊技球で満たされていることを夫々に検出する満タン検出SW427が接続されており、各SWの検出結果を示す検出信号が賞球制御部402へ送られる。賞球制御部402は、主制御部401から出力された払い出し指示や、SW424〜427から入力される検出信号に基づき、賞球を払い出したり、賞球の払い出しをやめたりする。また、賞球制御部402はSW424〜427からの検出信号を主制御部401へ出力しても良い。
【0060】
また、賞球制御部402には、発射部428が接続される。賞球制御部402は、発射部428に対する遊技球の発射の操作(遊技者による操作)を検出して遊技球の発射を制御する。発射部428は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える。賞球制御部402は、発射部428のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を打ち出す。また、賞球制御部402には枠用外部情報端子基板492が接続されており、賞球制御部402が取り扱う各種情報を、基板492を通じて外部に出力することができる。
【0061】
[3.演出制御部]
演出制御部403は、サブCPU431、サブROM432及びサブRAM433を備えて構成される(図2参照)。演出制御部403は、画像表示部104の表示制御やスピーカ115の音声出力制御を行う画像/音声制御部(不図示)と、演出ライト部116及び遊技盤101上の盤ランプ135の点灯制御並びに枠可動役物117及び盤可動役物130の駆動制御を行うランプ制御部(不図示)などを備える。また、演出制御部403には、遊技者からの操作を受け付ける演出ボタン121及び十字キー122が接続されている。演出制御部403は、演出ボタン121及び十字キー122に対する遊技者からの入力操作内容に応じた演出を行うことができる。
【0062】
演出制御部403は、変動演出を含む任意の演出を、演出実現要素(演出手段)を用いて実現する。即ち、演出制御部403は、演出実現要素を制御することで演出実現要素に所望の演出を行わせる(この表現における演出の主体は演出実現要素であるが、本実施形態の説明では、主として、演出制御部403が演出の主体であると捉える)。演出実現要素は、画像表示部104、スピーカ115、演出ライト部116、枠可動役物117、演出ボタン121、盤ランプ135及び盤可動役物130の全部又は一部を含む。変動演出は、特別図柄の変動表示中、変動開始時及び変動終了時において演出制御部403により実行される演出を指し、特図判定の判定結果を示唆する演出を含む。尚、演出による示唆、報知、告知又は通知等は、特に記述無き限り、遊技者に対するものと考えて良い。また、特に記述無き限り、演出制御部403の制御による任意の画像及び図柄(装飾図柄等)の表示は、画像表示部104におけるそれらの表示を指し、音、音声の出力とはスピーカ115からの音、音声の出力を指す。
【0063】
図5に、演出制御部403が行う主だった処理を列記する。演出制御部403へ電力が供給されると、サブCPU431により演出メイン処理が実行される。演出メイン処理では、演出制御部403内の各種デバイスの初期設定などを行って設定結果をサブRAM433に記憶させる。サブCPU431は、演出メイン処理にて設定された周期で、演出メイン処理に対し演出タイマ割込処理を割り込み実行する。演出タイマ割込処理において、サブCPU431は、演出用乱数更新処理、コマンド受信処理及び操作受付処理を順次実行する。
【0064】
演出制御部403には、演出用乱数をカウントする演出用乱数カウンタが設けられており、演出用乱数更新処理においては、演出用乱数カウンタのカウント値に「1」を加算することで演出用乱数カウンタのカウント値を更新する。演出用乱数カウンタにおいて、カウント値が所定の上限値を超えたときには、当該カウント値を「0」に戻し、その後、同様のカウントアップを行う。演出用乱数カウンタのカウント値を、各種演出で利用される演出用乱数の値として参照することができる。
【0065】
コマンド受信処理において、サブCPU431は、特図演出処理、普図演出処理及び当たり演出処理を実行する。
【0066】
特図演出処理は、演出開始処理及び演出終了処理を含む。サブCPU431は、主制御部401からの変動開始コマンドの受信に応答して演出開始処理を実行することで変動演出を開始した後、主制御部401からの変動停止コマンドの受信に応答して演出終了処理を実行することで変動演出を終了する。演出開始処理には変動演出内容決定処理が内包される。変動演出内容決定処理において、サブCPU431は、演出用乱数や主制御部401より受信したコマンド等に基づき変動演出の内容を決定する。具体的には例えば、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターン(特図変動演出パターン)を含む変動演出パターンテーブル(特図変動演出パターンテーブル)が予めサブROM432に格納されており、変動演出内容決定処理において、変動開始コマンド等に基づき、当該変動演出パターンテーブルから1つの変動演出パターンを選択及び判定することで変動演出の内容を決定する。
【0067】
また、サブCPU431は、主制御部401から保留増加コマンドを受信したとき、コマンド受信処理において、保留増加コマンドに基づく情報をサブRAM433に記憶すると共に保留増加処理を行う。保留増加処理では、事前判定対象に対応する保留画像を画像表示部104に追加表示する。事前判定対象に対応する保留画像は、後に、その事前判定対象が判定対象TTとなって変動開始コマンドが受信された際に、画像表示部104から消去される又は特定の表示位置にシフトされる。サブCPU431は、保留増加コマンドに基づき、事前判定対象についての先読み予告演出を行うこともできる。
【0068】
普図演出処理(図5参照)は、主制御部401から普通図柄に関するコマンドが受信された場合に、サブCPU431により実行される。普通図柄の変動開始時及び終了時において主制御部401から普通図柄に関するコマンドが演出制御部403に送信される。普図演出処理では、普通図柄の変動時における普図演出が実行される。
【0069】
当たり演出処理(図5参照)は、主制御部401から当たり演出に関するコマンドが受信された場合にサブCPU431により実行される。即ち例えば、判定対象TTが大当たり又は小当たりに当選していて大当たり又は小当たりを示す態様で特別図柄及び装飾図柄の停止表示が行われると、当たり演出に関するコマンドが主制御部401から演出制御部403に送信され、サブCPU431は該コマンドの受信結果に基づき大当たり遊技中又は小当たり遊技中に行われるべき当たり演出を実行する。
【0070】
操作受付処理(図5参照)において、サブCPU431は、演出ボタン121又は十字キー122からの信号に基づき、遊技者による演出ボタン121又は十字キー122への操作状態(操作の入力有無及び操作の内容)を認識する。演出制御部403は、認識された操作状態に応じた演出を行うことができる。
【0071】
<<大当たりの種類>>
図6は、本実施形態で想定される大当たりの種類を示す図である。本実施形態では、大当たりの種類として特A、特B、通A、特C、特D及び通Bがある。特A、通A、特C及び通Bのラウンド数は8であり、特B及び特Dのラウンド数は16である。ラウンド数が大きいほど、大当たり遊技において大入賞口111への入賞により得ることのできる賞球数が多いため、遊技者により有利である。故に、特B及び特Dの各大当たり遊技は、特A、特C、通A及び通Bの各大当たり遊技よりも、遊技者に有利である。第1特別図柄についての特図当たり判定において(第1始動条件の成立に基づく特図当たり判定において)、大当たりに当選したとき、その大当たりが、特A、特B、通Aとなる割合は、夫々、60%、5%、35%である。第2特別図柄についての特図当たり判定において(第2始動条件の成立に基づく特図当たり判定において)、大当たりに当選したとき、その大当たりが、特C、特D、通Bとなる割合は、夫々、30%、35%、35%である。第1、第2特別図柄についての大当たりの種類が上述した割合で定まるように、特図図柄判定テーブルTZtが形成される。
【0072】
特A〜特Dの何れかの大当たり遊技の終了後、メインCPU411は、遊技機100の遊技状態を高確率電サポ遊技状態に設定し、その後、次回の大当たり(即ち、直前に発生した大当たりから見て次の大当たり)が発生することなく、特別図柄の変動回数(即ち特別図柄が変動表示を介して変動停止した回数)が高確率付与回数以上且つ電サポ付与回数以上になると、遊技機100の遊技状態を低確率非電サポ遊技状態に設定する。
【0073】
高確率付与回数とは、高確率遊技状態が維持される特別図柄の変動回数を指す。つまり、或る大当たりに関し、大当たり遊技の終了後において、特別図柄がi回分だけ変動する間、遊技状態が高確率遊技状態とされ且つ特別図柄がi回分だけ変動した後は低確率遊技状態とされるとき、当該大当たりに対応する高確率付与回数はi回である(iは整数)。低確率遊技状態と比べて高確率遊技状態では大当たりが発生しやすくなるため、高確率付与回数が多いほど遊技者にとって有利である。
電サポ付与回数とは、電サポ遊技状態が維持される特別図柄の変動回数を指す。つまり、或る大当たりに関し、大当たり遊技の終了後において、特別図柄がi回分だけ変動する間、遊技状態が電サポ遊技状態とされ且つ特別図柄がi回分だけ変動した後は非電サポ遊技状態とされるとき、当該大当たりに対応する電サポ付与回数はi回である(iは整数)。非電サポ遊技状態と比べて電サポ遊技状態では始動条件が成立し易くなるため、電サポ付与回数が多いほど遊技者にとって有利である。
【0074】
特A〜特Dの大当たりに対する高確率付与回数及び電サポ付与回数は共に10000回である(図6参照)。故に、特A〜特Dの何れかの大当たり遊技の終了後、他の大当たりが発生することなく、特別図柄の変動回数が10000回に達すると(換言すれば特図判定が10000回行われると)、遊技機100の遊技状態は高確率電サポ遊技状態から低確率非電サポ遊技状態に移行せしめられる。但し、高確率遊技状態における大当たりの当選確率は “1/30”であるため、特A〜特Dの何れかの大当たり遊技の終了後は、実質的に、次回の大当たりの当選まで高確率電サポ遊技状態が維持されると言える。
【0075】
通A又は通Bの大当たり遊技の終了後、メインCPU411は、特別図柄が所定の電サポ付与回数分だけ変動するまで、遊技機100の遊技状態を低確率電サポ遊技状態に設定し、特別図柄が所定の電サポ付与回数分だけ変動した後は、遊技機100の遊技状態を低確率非電サポ遊技状態(即ち通常遊技状態)に設定する。但し、通A又は通Bの大当たり遊技の終了後、次回の大当たりに当選した場合には、その次回に当選した大当たりの種類に応じ、次回の大当たり遊技の終了後の遊技状態が設定される。例えば、通A又は通Bの大当たり遊技の終了後、特別図柄の第1変動目で特Aの大当たりに当選したならば、特Aの大当たり遊技の終了後、遊技機100の遊技状態は高確率電サポ遊技状態に設定される。通A及び通Bの大当たりに対する電サポ付与回数は20回である。また、通A又は通Bの大当たり遊技後は高確率遊技状態とならずに低確率電サポ遊技状態とされるのであるから、通A及び通Bの大当たりに対する高確率付与回数は0回である。
【0076】
特A、特B、特C又は特Dの大当たりに伴う遊技状態設定処理では、高確率遊技フラグ及び電サポ遊技フラグが共にONとされ且つ高確率遊技残回数X及び電サポ遊技残回数Jに共に「10000」が設定される。
通A又は通Bの大当たりに伴う遊技状態設定処理では、高確率遊技フラグがOFFとされる一方で電サポ遊技フラグがONとされ且つ高確率遊技残回数Xに「0」が設定される一方で電サポ遊技残回数Jに「20」が設定される。
つまり、或る大当たりに伴って実行される遊技状態設定処理にて設定される高確率遊技残回数X及び電サポ遊技残回数Jは、夫々、当該大当たりに対応する高確率付与回数及び電サポ付与回数(図6参照)と一致している。
【0077】
図6から分かるように、第2始動条件の成立による特図図柄判定は、第1始動条件の成立による特図図柄判定よりも遊技者にとって相対的に有利なものとなっている(即ち、より多くの賞球を得やすい)。ここにおける相対的に有利とは、第2始動条件の成立に基づき実行される大当たり遊技において大入賞口111への入賞により得られる賞球数の期待値が、第1始動条件の成立に基づき実行される大当たり遊技において大入賞口111への入賞により得られる賞球数の期待値よりも大きいことを意味する。“大当たり遊技において大入賞口111への入賞により得られる賞球数の期待値”を、大当たり遊技におけるラウンド数の期待値、又は、大当たり遊技における大入賞口111の総開放時間の最大値の期待値に読み替えても良い。
【0078】
<<各種演出の内容及び流れの説明>>
次に、演出制御部403が行うことのできる幾つかの演出や、演出内容に絡めた遊技機100の動作について説明する。尚、以下では、遊技機100の遊技状態が低確率非電サポ遊技状態であって且つ判定対象TTは第1始動条件の成立に基づいて取得された特図判定用情報であると想定する。但し、遊技機100の遊技状態が低確率非電サポ遊技状態と異なる場合においても、また判定対象TTが第2始動条件の成立に基づいて取得された特図判定用情報である場合においても、以下に示す各種演出を実行可能である。
【0079】
図7に示す如く、演出制御部403が行うことのできる演出は、音以外の演出である非音響演出と、音の出力による演出である音響演出と、に大別される。音の出力、非出力とは、特に記述無き限り、スピーカ115からの音の出力、非出力を指す。非音響演出は、画像表示部104での表示による演出、盤可動役物130及び枠可動役物117を用いた演出、演出ライト部116及び盤ランプ135の発光による演出など、音の出力以外の全ての演出を含む。
【0080】
図8(a)〜(d)を参照する。図8(a)は、特別図柄の変動期間と演出との対応関係を示す。1変動期間とは、1回の特図判定の結果に基づく1回分の特別図柄の変動表示が行われる期間を指す。各変動期間において、対応する特図判定の結果に基づき該特図判定の結果を示唆する変動演出が実行される。各変動演出も、非音響演出と音響演出に分けることができる。変動演出を形成する音響演出における出力音を、通常変動音と称する(図8(b)及び(c)参照)。
【0081】
図8(d)に示す如く、或る変動演出にてリーチ演出が行われないとき、その変動演出での通常変動音は、基本変動音を含むがリーチ用変動音を含まない。或る変動演出にてリーチ演出が行われるとき、その変動演出での通常変動音は、基本変動音とリーチ用変動音とを含む。基本変動音は、リーチ演出が実行されていない期間中に出力される所定音(任意のリズム音、楽曲など)である。リーチ用変動音は、リーチ演出が実行されている期間中に出力される所定音(リーチ演出用の楽曲など)であり、基本変動音とは異なる。
【0082】
通常変動音は、基本変動音及びリーチ用変動音に分類されない音を含み得るが、ここでは、説明の簡略化及び明確化のため、通常変動音の構成要素として基本変動音及びリーチ用変動音のみに注目する。
【0083】
図9に、リーチ演出を含む変動演出の流れを示す。リーチ演出を含む変動演出では、まず、所定の前段演出が行われた後にリーチ演出が行われる。前段演出が実行されている期間中に出力される音が基本変動音であり、リーチ演出が実行されている期間中に出力される音がリーチ用変動音である。前段演出及びリーチ演出の夫々も音響演出と非音響演出から成る。基本変動音は、前段演出を形成する音響演出による出力音であり、リーチ用変動音は、リーチ演出を形成する音響演出による出力音である。
【0084】
演出制御部403は、変動演出において、特別図柄の変動表示の開始に同期して第1〜第n装飾図柄の変動表示を開始した後、特別図柄の変動表示の停止に同期して判定対象TTの特図判定の結果に応じた態様で第1〜第n装飾図柄の変動表示を停止させる。ここでnは、通常、2以上の任意の整数であるが、“n=1”でありうる。以下では、特に記述無き限り、n=3であるとする。
【0085】
リーチ演出を含む変動演出では、第1〜第3装飾図柄(図9のSZL、SZR、SZCに相当)の変動表示の開始後、リーチ演出と異なる任意の演出(上述の前段演出に相当)を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図9では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させ、その後、所定のリーチ演出を行う。リーチ演出では、例えば、遊技上の課題(主人公キャラクタが遊技上の敵キャラクタを倒す課題など)が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が、非音響演出及び音響演出により実行される。リーチ演出が行われる前において、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄にて仮停止させる際、遊技者が第1及び第2装飾図柄を視認しやすいように第1及び第2装飾図柄が所定の大サイズで仮停止される。リーチ演出の実行中には、リーチ演出を見やするするために共通の図柄にて揃えられた小サイズの第1及び第2装飾図柄が、例えば画像表示部104の左上隅及び右上隅で仮停止せしめられる(小サイズは上記大サイズよりも小さい)。リーチ演出の実行中、画像表示部104内の任意の表示領域で第3装飾図柄を小サイズで変動表示(第1及び第2装飾図柄よりも高速な変動表示)させるようにしても良い。
【0086】
判定対象TTが何れかの大当たりに当選している場合、遊技上の課題が達成される様子を表す演出(例えば主人公キャラクタが敵キャラクタに勝利する様子を表す動画像の表示)が行われると共に大サイズの第1〜第3装飾図柄がゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示され、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1〜第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。これに対し、判定対象TTがハズレである場合、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(例えば主人公キャラクタが敵キャラクタに敗北する様子を表す動画像の表示)が行われると共に大サイズの第1〜第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示され、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1〜第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。
【0087】
装飾図柄の仮停止とは、厳密には装飾図柄を停止させていないが、遊技者に対しては、装飾図柄が停止したと認識させることが可能な態様で装飾図柄を画像表示部104上で微変動させる装飾図柄の変動表示態様である。具体的には例えば、第i装飾図柄を数字“2”が記された図柄にて仮停止させるとは、第i装飾図柄が数字“2”が記された図柄であることを遊技者が認識できるように、数字“2”が記された図柄を第i装飾図柄として画像表示部104における所定表示領域内で振動させつつ所定時間以上継続表示させること
【0088】
ゾロ目とは、所定の有効ライン上において第1〜第3装飾図柄が共通の数字図柄で揃えられている状態を指す。ゾロ目による第1〜第3装飾図柄の停止表示は、任意の大当たり又は特定の大当たりの告知に相当する。非ゾロ目とは、所定の有効ライン上において第1〜第3装飾図柄が共通の数字図柄で揃えられていない状態を指す。非ゾロ目による第1〜第3装飾図柄の停止表示は、原則としてハズレの告知に相当する。
【0089】
リーチ演出は、判定対象TTに対する大当たり遊技の実行の期待度が所定期待度KTREFよりも高いことを示唆する演出である。大当たり遊技の実行の期待度(以下、大当たりの期待度とも言う)とは、注目した1つの特図判定用情報(ここでは判定対象TT)が大当たりに当選している確率(可能性)を表す。注目した1つの特図判定用情報に対して特定の演出が行われるのであれば、当該特図判定用情報に対する大当たりの期待度は、その特定の演出に対する大当たりの期待度(その特定の演出が割り当てられた特図判定用情報が大当たりに当選している確率)とも言える。所定期待度KTREFは、予め定められた0以上且つ1未満の期待度であれば良く、例えば、大当たりの当選確率として予め定められた確率OTKを示す、又は、その確率OTKよりも大きな所定値(例えば、確率OTKの5倍)を示す。確率OTKは、特図判定が低確率遊技状態で行われたならば“1/300”であり、特図判定が高確率遊技状態で行われたならば“10/300”である(図4参照)。変動演出において、リーチ演出の実行は、リーチ演出の非実行よりも判定対象TTの大当たりの期待度が高いことを示唆している、と考えても良い。尚、本実施形態において、単に大当たり又は大当たり遊技といった場合、それは、特A〜特D、通A及び通Bの何れかの大当たり又は大当たり遊技を指すと考えて良い。
【0090】
図10に、リーチ演出を含まない変動演出の流れを示す。リーチ演出を含まない変動演出では、第1〜第3装飾図柄(図10のSZL、SZR、SZCに相当)の変動表示の開始後、リーチ演出とは異なる任意の演出が行われた後、特図判定の結果を示す態様で第1〜第3装飾図柄が仮停止表示され、変動停止コマンドを受信すると特図判定の結果を示す態様で第1〜第3装飾図柄で停止表示される。リーチ演出を含まない変動演出が行われるときの変動期間中、基本変動音を継続出力することができる。
【0091】
[大当たりの期待度(信頼度)]
或る1つの特図判定用情報Qに対して実行される演出Qは、大当たりの期待度を示唆しうる。任意の1つの特図判定用情報Qに関して、特図当たり判定の結果が“ハズレ”であって且つ特図判定用情報Qに対して演出Qが実行される確率を“r”で表し、特図当たり判定の結果が“大当たり”であって且つ特図判定用情報Qに対して演出Qが実行される確率を“v”で表す。そうすると、演出Qが示唆する大当たりの期待度は、期待度算出式“(100×v/(r+v))[%]”にて表される。
【0092】
演出Qは、特図判定用情報Qに対する特図判定の結果に基づき、特図判定用情報Qに対応する特別図柄の変動中に行われる当該予告演出でありうるし、特図判定用情報Qに対する事前判定の結果に基づき、特図判定用情報Qに対応する特別図柄の変動開始前に行われる先読み予告演出でありうる。また、大当たりの期待度は、大当たりの信頼度又は単に信頼度と称されることもある。
【0093】
[コマンド受信処理のフローチャート]
図11を参照して、演出制御部403によるコマンド受信処理を説明する。図11は、コマンド受信処理の内容を示すフローチャートである。コマンド受信処理において、演出制御部403は、まず、主制御部401から保留増加コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS111)。
【0094】
保留増加コマンドを受信していなければ(ステップS111のN)、ステップS114へ直接移行する。保留増加コマンドを受信していれば(ステップS111のY)、演出制御部403は、保留増加コマンドに基づき、ステップS112にて保留増加コマンドに含まれる事前判定の結果を示す事前判定結果情報をサブRAM433内に記憶すると共に、ステップS113にて保留増加処理を行ってからステップS114に進む。保留増加処理では、特図判定用情報が特図判定用情報記憶領域413aに記憶されていることを示す保留画像が画像表示部104に追加表示される。例えば、記憶領域413aに記憶されている特図判定用情報の個数が2から3に増加したとき、図12に示す如く、画像表示部104に表示される保留画像の個数が2から3に増加する。この他、保留増加処理の詳細例については後述される。
【0095】
ステップS114において、演出制御部403は、主制御部401から変動開始コマンドを受信したか否かを判定する。変動開始コマンドを受信していなければ(ステップS114のN)、ステップS116へ直接移行する。変動開始コマンドを受信していれば(ステップS114のY)、演出制御部403は、変動開始コマンドに対応する変動演出を開始させるための演出開始処理を行ってから(ステップS115)、ステップS116へ移行する。演出開始処理では、判定対象TTの特図判定の結果に応じた変動演出を開始させるが、詳細については後述する。
【0096】
ステップS116において、演出制御部403は、主制御部401から変動停止コマンドを受信したか否かを判定する。変動停止コマンドを受信していなければ(ステップS116のN)、ステップS118へ直接移行する。変動停止コマンドを受信していれば(ステップS116のY)、演出制御部403は、実行中の変動演出を終了させる演出終了処理を行ってから(ステップS117)、ステップS118へ移行する。演出終了処理では、変動開始コマンド又は変動停止コマンドにて示される特図判定の結果を表す態様にて第1〜第3装飾図柄の変動停止が行われるが、詳細については後述する。
【0097】
ステップS118において、演出制御部403は、主制御部401から普通図柄コマンドを受信したか否かを判定する。普通図柄コマンドとして、主制御部401の普通図柄処理において設定される普図変動開始コマンド及び普図変動停止コマンドがある。普通図柄コマンドを受信していなければ(ステップS118のN)、ステップS120へ直接移行する。普通図柄コマンドを受信していれば(ステップS118のY)、演出制御部403は、普図演出処理を行ってから(ステップS119)、ステップS120へ移行する。詳細は割愛するが、普図演出処理では、例えば、普図変動開始コマンドの受信に伴って普図変動開始コマンドに依存する普図演出の実行を開始した後、普図変動停止コマンドの受信に伴って普図演出を停止させる。
【0098】
ステップS120において、演出制御部403は、主制御部401からオープニングコマンドを受信したか否かを判定する。オープニングコマンドを受信していなければ(ステップS120のN)、ステップS122へ直接移行する。オープニングコマンドを受信していれば(ステップS120のY)、演出制御部403は、当たり演出を実行するための当たり演出処理を開始し(ステップS121)、ステップS122へ移行する。
【0099】
ステップS122において、演出制御部403は、主制御部401からエンディングコマンドを受信したか否かを判定する。エンディングコマンドを受信していなければ(ステップS122のN)、そのままコマンド受信処理を終了する。エンディングコマンドを受信している場合(ステップS122のY)、演出制御部403は、実行中の当たり演出処理を停止する一方で、所定のエンディング演出を実行するためのエンディング演出処理を行い(ステップS123)、コマンド受信処理を終了する。
【0100】
尚、主制御部401は、大当たりを示す態様で特別図柄を停止させたとき、大当たり遊技を形成する1番目のラウンド遊技を開始する前にオープニングコマンドを演出制御部403に送信し、その後、大当たり遊技を形成する最後のラウンド遊技が終了するとエンディングコマンドを演出制御部403に送信する。
【0101】
[状況α]
次に、本実施形態にて特徴的な動作を説明するべく、以下のような状況αを想定する。
【0102】
図13は、状況αを示す図である。タイミングTより前のタイミングから特図判定用情報J0を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が行われていて且つ該タイミングにおいて特図判定用情報J1及びJ2が特別判定用情報記憶領域413aに記憶されていたものとする。この状態では、特図判定用情報J1及びJ2が記憶領域413aに記憶されていることを示す保留画像として、夫々、保留画像H1及びH2が画像表示部104の所定表示領域に表示される。
【0103】
その後、特図判定用情報J0を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が行われている期間中のタイミングTにおいて、始動口(始動口105又は106であるが、ここでは始動口105であると考える)に遊技球が入球することで特図判定用情報J3が取得されて記憶領域413aに追加記憶されたとする。タイミングTでは、情報J1、J2及びJ3が記憶領域413aに記憶されていることを示す保留画像として、夫々、保留画像H1、H2及びH3が画像表示部104の所定表示領域に表示される。
【0104】
その後、特図判定用情報J0を判定対象TTとした特別図柄の変動が停止し、タイミングTにて、特図判定用情報J1を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が開始される。その後、特図判定用情報J1を判定対象TTとした特別図柄の変動が停止し、タイミングTにて、特図判定用情報J2を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が開始される。その後、特図判定用情報J2を判定対象TTとした特別図柄の変動が停止し、タイミングTにて、特図判定用情報J3を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が開始される。タイミングT以後且つタイミングTに至る前では、情報J2及びJ3が記憶領域413aに記憶されていて保留画像H2及びH3が画像表示部104の所定表示領域に表示される。タイミングT以後且つタイミングTに至る前では、情報J3が記憶領域413aに記憶されていて保留画像H3が画像表示部104の所定表示領域に表示される。
【0105】
情報J0〜J2は全てハズレであるとし、且つ、情報J0〜J2に対する各変動演出においてリーチ演出は行われないものとする。情報J3に対する変動演出においてリーチ演出が行われるものとし、該リーチ演出はタイミングTより後のタイミングT3Rから行われるものとする。また、情報J0、J1、J2、J3を判定対象TTとした特別図柄の変動期間(換言すれば、情報J0、J1、J2、J3を判定対象TTとした変動演出が行われる期間)を、夫々、P0、P1、P2、P3にて表す。
【0106】
[事前演出音を利用した先読み予告演出]
上述のような状況αにおいて、特図判定用情報J3を先読み対象とし、事前演出音を利用した先読み予告演出を行うことができる。
【0107】
図14及び図15を参照し、これについて説明する。図14には、第1〜第3パターンが示されている。図15には、第4及び第5パターンが示されている。
【0108】
第1パターンは、事前演出音を利用した先読み予告演出が行われないパターンである。第1パターンでは、変動期間P0〜P3中の全期間において、通常変動音が所定の基準音量にて出力され且つ事前演出音は非出力とされる(即ち出力されない)。
【0109】
第2及び第3パターンは、事前演出音を利用した先読み予告演出が行われるパターンであって、タイミングTから事前演出音の出力が開始されるパターンである。
【0110】
第2及び第3パターンにおいて、タイミングTから開始された事前演出音の出力は、変動期間P3の途中まで継続して該途中にて終了する。より具体的には例えば、第2及び第3パターンにおいて、タイミングTからタイミングT3Rまで事前演出音が出力され、タイミングT3R以後は(即ちリーチ演出が行われている期間には)事前演出音が非出力とされる。
【0111】
第2及び第3パターンにおいて、変動期間P0〜P3の内、事前演出音が出力されていない期間(タイミングTの直前までの期間とタイミングT3R以後の期間)では、通常変動音が所定の基準音量にて出力される。
第2パターンにおいて、変動期間P0〜P3の内、事前演出音が出力されている期間(タイミングTからタイミングT3Rの直前までの期間)では、通常変動音が所定の低音量にて出力される。
第3パターンにおいて、変動期間P0〜P3の内、事前演出音が出力されている期間(タイミングTからタイミングT3Rの直前までの期間)では、通常変動音が非出力とされる(即ち出力されない)。
【0112】
このため、第2及び第3パターンにおいて、タイミングTにて事前演出音の出力を開始した後、変動期間P3中のリーチ演出が行われる前までは事前演出音の出力が継続される一方で通常変動音が所定の低音量にて出力され又は非出力とされ、変動期間P3中のリーチ演出の開始後には事前演出音が非出力とされる一方で通常変動音が所定の基準音量にて出力される。
【0113】
尚、状況αが変形され、特図判定用情報J3に対する変動演出がリーチ演出を含まないとしたならば、第2及び第3パターンにおいて事前演出音の出力は変動期間P3の途中の所定タイミング(例えば、第1〜第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で仮停止表示されるタイミング)まで継続されて該途中にて終了する(変動期間P3の終了時点まで継続されて変動期間P3の終了と共に終了しても良い)。
【0114】
第4及び第5パターンは、事前演出音を利用した先読み予告演出が行われるパターンであって、タイミングTから事前演出音の出力が開始されるパターンである。
【0115】
第4及び第5パターンにおいて、タイミングTから開始された事前演出音の出力は、変動期間P3の途中まで継続して該途中にて終了する。より具体的には例えば、第4及び第5パターンにおいて、タイミングTからタイミングT3Rまで事前演出音が出力され、タイミングT3R以後は(即ちリーチ演出が行われている期間には)事前演出音が非出力とされる。
【0116】
第4及び第5パターンにおいて、変動期間P0〜P3の内、事前演出音が出力されていない期間(変動期間P0とタイミングT3R以後の期間)では、通常変動音が所定の基準音量にて出力される。
第4パターンにおいて、変動期間P0〜P3の内、事前演出音が出力されている期間(タイミングTからタイミングT3Rの直前までの期間)では、通常変動音が所定の低音量にて出力される。
第5パターンにおいて、変動期間P0〜P3の内、事前演出音が出力されている期間(タイミングTからタイミングT3Rの直前までの期間)では、通常変動音が非出力とされる(即ち出力されない)。
【0117】
このため、第4及び第5パターンにおいて、タイミングTにて事前演出音の出力を開始した後、変動期間P3中のリーチ演出が行われる前までは事前演出音の出力が継続される一方で通常変動音が所定の低音量にて出力され又は非出力とされ、変動期間P3中のリーチ演出の開始後には事前演出音が非出力とされる一方で通常変動音が所定の基準音量にて出力される。
【0118】
尚、状況αが変形され、特図判定用情報J3に対する変動演出がリーチ演出を含まないとしたならば、第4及び第5パターンにおいて事前演出音の出力は変動期間P3の途中の所定タイミング(例えば、第1〜第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で仮停止表示されるタイミング)まで継続されて該途中にて終了する(変動期間P3の終了時点まで継続されて変動期間P3の終了と共に終了しても良い)。
【0119】
演出制御部403は、特図判定用情報J3の取得及び記憶に関わる保留増加コマンドを受信したとき、その保留増加コマンドに含まれる特図判定用情報J3の事前判定結果情報に基づいて第1〜第5パターンの何れかを選択し、選択したパターンによる音の出力制御を行うことができる。
【0120】
尚、第4及び第5パターンにおいて、タイミングTよりも後であって且つタイミングTよりも前のタイミング(例えばタイミングT)から事前演出音の出力が開始されることがあっても良い。
【0121】
[音量について]
【0122】
“通常変動音が低音量にて出力される”若しくは“通常変動音を低音量とする”又はそれらに類する表現は、事前演出音の音量よりも小さな音量で通常変動音が出力されることを意味する。また例えば、“通常変動音が低音量にて出力される”若しくは“通常変動音を低音量とする”又はそれらに類する表現は、通常変動音が基準音量にて出力されるときよりも小さな音量で通常変動音が出力されることをも意味している、と考えても良い。
【0123】
音量とは、例えば、人間の可聴帯域に含まれる所定周波数帯域での音の大きさ(ラウドネス)、音圧レベル又は音の強さ(音響パワー)である。より具体的には例えば、或る音の音量とは、その音を所定時間出力したときにおける、上記周波数帯域での音の大きさ(ラウドネス)、音圧レベル又は音の強さ(音響パワー)の平均値であると解して良い。或る第1の音を第1の音量で出力すると同時に或る第2の音を第2の音量で出力したときに、第1の音が第2の音よりも遊技者にとって大きく聞こえるならば、第1の音の音量は第2の音の音量よりも大きいと言える。
【0124】
[事前演出音について]
事前演出音は、通常変動音と異なる所定音であれば、どのような音でも良い。例えば、通常変動音が所定のリズム音である場合、事前演出音は、ラジオ番組で放送されるようなBGM(バックグラウンドミュージック;以下、ラジオBGMと称する)であっても良いし、ラジオBGMとは異なる所定の楽曲(声楽曲等)であっても良い。
【0125】
事前演出音が出力されるとき、事前演出音として互いに異なる複数の事前演出音の何れかが選択的に出力される。
【0126】
図16(a)及び(b)を参照し、ここでは、上記複数の事前演出音に含まれ且つ互いに異なる事前演出音Zo1及びZo2について注目する。タイミングTSTは、事前演出音の出力開始タイミングであって、図14及び図15に示す状況αではタイミングT又はTに相当する。タイミングTENDは、事前演出音の出力終了タイミングであって、図14及び図15に示す状況αではタイミングT3Rに相当する。タイミングTMIDは、タイミングTST及びTEND間の任意のタイミングであり、図14及び図15に示す状況αでは、タイミングT、又は、タイミングTより後であってタイミングT3Rよりも前の所定タイミングでありうるし、タイミングTよりも前の所定タイミング(例えばタイミングT)でもありうる。
【0127】
演出制御部403は、先読み対象に対する事前判定の結果に基づき、タイミングTSTにて、事前演出音として事前演出音Zo1を出力開始することができ、その後、先読み対象に対する特図判定の結果又は事前判定の結果に基づき、出力中の事前演出音を、タイミングTMIDにて事前演出音Zo1から事前演出音Zo2に変化させる(切り替える)ことができる。出力される事前演出音の変化(Zo1及びZo2に注目すれば事前演出音Zo1から事前演出音Zo2への変化)を、以下、“事前演出音変化”と称することがある。事前演出音変化が行われないときには、タイミングTST及びTEND間にて事前演出音Zo1が継続出力される一方、事前演出音変化が行われるときには、タイミングTST及びTMID間にて事前演出音Zo1が出力され且つタイミングTMID及びTEND間にて事前演出音Zo2が出力されることになる。
【0128】
図17(a)を参照し、事前演出音がラジオBGMである場合、事前演出音Zo2は、所定のラジオBGM音響信号そのものにて表される音を指す。一方、事前演出音Zo1は、そのラジオBGM音響信号に、ラジオBGMにとってノイズ(雑音)となる所定のノイズ音響信号を足し合わせて得た音響信号にて表される音を指す。そうすると、事前演出音Zo2が出力されたときには、ラジオBGM音響信号によるラジオBGMが明瞭に聴こえるが、事前演出音Zo1が出力されたときには、ラジオBGM音響信号によるラジオBGMがノイズの影響で事前演出音Zo2の出力時よりも不明瞭に聴こえる。サブROM432にラジオBGM音響信号及びノイズ音響信号を格納しておき、演出制御部403にて、それらの音響信号を足し合わせることで事前演出音Zo1を生成しても良いし、事前演出音Zo1及びZo2を示す2つの音響信号を予めサブROM432に格納しておいても良い。
【0129】
図17(b)を参照し、事前演出音が楽曲である場合、事前演出音Zo1は所定の第1の楽曲を表す音であって、且つ、事前演出音Zo2は第1の楽曲と異なる所定の第2の楽曲を表す音である。そうすると、事前演出音変化が実行されることで、出力される事前演出音としての楽曲が、第1の楽曲から第2の楽曲へと変化することになる。
【0130】
尚、上述の事前演出音変化は、事前演出音の内容変化を伴っているが、事前演出音変化は、事前演出音の出力音量の変化(例えば増大)であっても良い。
【0131】
事前演出音の出力は、先読み対象(状況αにおいて特図判定用情報J3)が大当たりである可能性があること(即ち、先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる可能性があること)を示唆している。
【0132】
以下のようにも言える。先読み対象についての特別図柄の変動開始前における事前演出音の出力は、事前演出音の非出力よりも、先読み対象が大当たりである可能性が高いこと(即ち、先読み対象の大当たりの期待度が高いこと)を示唆している。状況αに注目して換言すれば、特図判定用情報J3についての特別図柄の変動開始前(即ちタイミングT前)において特図判定用情報J3を先読み対象とした事前演出音の出力が行われたとき(第2〜第5パターンの何れかによる音の出力制御が行われたとき)、事前演出音の出力が行われないときよりも(第1パターンによる音の出力制御が行われたときよりも)、特図判定用情報J3が大当たりである確率(特図判定用情報J3に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる確率)が高い。
【0133】
これを実現するためには、状況αにおいては例えば以下のようにすれば良い。
特図判定用情報J3を先読み対象に設定した第2〜第5パターンの何れかによる音の出力制御が行われるときの、特図判定用情報J3の大当たりの期待度(情報J3が大当たりである確率)KT1は“KT1=(100×v/(r+v))[%]”にて表し、
特図判定用情報J3に対して第1パターンによる音の出力制御が行われるときの、特図判定用情報J3の大当たりの期待度(情報J3が大当たりである確率)KT2は“KT2=(100×v/(r+v))[%]”にて表したとき、
“KT1>KT2”が成立するように、特図判定用情報J3に対する事前判定結果情報に基づき、演出用乱数等を適宜用いて、第1〜第5パターンの何れの音の出力制御を行うのかを決定すれば良い。
は、特図判定用情報J3がハズレであって且つ特図判定用情報J3を先読み対象に設定した第2〜第5パターンの何れかによる音の出力制御が行われる確率を表し、
は、特図判定用情報J3が大当たりであって且つ特図判定用情報J3を先読み対象に設定した第2〜第5パターンの何れかによる音の出力制御が行われる確率を表し、
は、特図判定用情報J3がハズレであって且つ特図判定用情報J3に対し第1パターンによる音の出力制御が行われる確率を表し、
は、特図判定用情報J3が大当たりであって且つ特図判定用情報J3に対し第1パターンによる音の出力制御が行われる確率を表す。
【0134】
また例えば、事前演出音の出力は、先読み対象(状況αにおいて特図判定用情報J3)の大当たりの期待度(即ち、先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる確率)が所定期待度KTREF’よりも高いことを示唆する、と考えても良い。状況αにおいて、これを実現するためには、 “KT1>KTREF’”が成立するように、特図判定用情報J3に対する事前判定結果情報に基づき、演出用乱数等を適宜用いて、第1〜第5パターンの何れの音の出力制御を行うのかを決定すれば良い。所定期待度KTREF’は、予め定められた0以上且つ1未満の期待度であれば良く、例えば、大当たりの当選確率として予め定められた確率OTKを示す、又は、その確率OTKよりも大きな所定値(例えば、確率OTKの5倍)を示す。期待度KTREF’は、リーチ演出が示唆する上述の期待度KTREFとは異なる(但し一致していても良い)。
【0135】
そして、本実施形態では、事前演出音が出力されているとき、上述の如く通常変動音の音量が事前演出音の音量よりも小さくされる又は通常変動音が非出力とされる。このため、大当たりへの期待感を持てる事前演出音が聞き取りやすくなり、事前演出音による気分の高揚効果(大当たりへの期待感を高める効果)が促進される。また、事前演出音の出力に伴って通常変動音の音量を事前演出音よりも小さくする又は通常変動音を非出力にするという、今までに無い斬新な演出形態により、遊技の興趣向上が図られる。遊技機において、遊技への飽きを抑制して楽しんで遊技を行ってもらうために、新たな演出及び方法の導入が重要であることは言うまでもない。
【0136】
また、演出制御部403は、先読み対象に対する事前判定の結果に基づき、タイミングTSTにて、事前演出音として事前演出音Zo1の出力を開始した後、先読み対象に対する特図判定の結果又は事前判定の結果に基づき、出力中の事前演出音を、タイミングTMIDにて事前演出音Zo1から事前演出音Zo2に変化させる制御と、事前演出音Zo1から変化させずにタイミングTENDまで事前演出音Zo1の出力を継続する制御の何れかを行う。
【0137】
この際、事前演出音変化が行われる場合と事前演出音変化が行われない場合とで、先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる確率が互いに異なっていると良い。これにより、事前演出音の出力開始後、遊技者は、事前演出音の変化が生じるのか否かに高い興味をもちつつ、演出を楽しむことができる。事前演出音の変化が生じるか否かで大当たりへの期待度が異なるという斬新な演出形態により遊技の興趣向上が図られると共に、演出の幅が増えて飽きの生じにくい遊技機100を構成することができる。
【0138】
具体的には、事前演出音変化が行われる場合には、事前演出音変化が行われない場合よりも、先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる確率が高いと良い。これを実現するためには、状況αにおいては例えば以下のようにすれば良い。
特図判定用情報J3を先読み対象に設定した第2〜第5パターンの何れかによる音の出力制御が行われるときにおいて、先読み対象が大当たりであるときには先読み対象がハズレであるときよりも高い確率で事前演出音変化が行われるように、且つ、先読み対象がハズレであるときには先読み対象が大当たりであるときよりも高い確率で事前演出音変化が行われないように、先読み対象に対する特図判定の結果又は事前判定の結果に基づき、演出用乱数等を適宜用いて、事前演出音変化の実行有無を決定及び制御すれば良い。
【0139】
逆に、事前演出音変化が行われる場合には、事前演出音変化が行われない場合よりも、先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる確率が低くなるように変形することも可能ではある。これを実現するためには、状況αにおいては例えば以下のようにすれば良い。
特図判定用情報J3を先読み対象に設定した第2〜第5パターンの何れかによる音の出力制御が行われるときにおいて、先読み対象がハズレであるときには先読み対象が大当たりであるときよりも高い確率で事前演出音変化が行われるように、且つ、先読み対象が大当たりであるときには先読み対象がハズレであるときよりも高い確率で事前演出音変化が行われないように、先読み対象に対する特図判定の結果又は事前判定の結果に基づき、演出用乱数等を適宜用いて、事前演出音変化の実行有無を決定及び制御すれば良い。
【0140】
[変動演出は事前演出音の有無に依存せず]
また、演出制御部403は、変動演出を実行する際、事前演出音が出力されているか否かに関わらず、スピーカ115の出力音の相違を除き、同じ内容の演出を変動演出として実行することができる。即ち、或る特図判定用情報に対する特別図柄の変動時において、事前演出音が出力されているときに実行される変動演出の内容と、事前演出音が出力されていないときに実行される変動演出の内容とを、スピーカ115の出力音の相違を除き(スピーカ115からの音の出力による演出を除き)、互いに同じにすることができる。
【0141】
図18を参照し、この方法を状況αに当てはめて説明する。図18では、タイミングTにて取得された特図判定用情報J3(図13も参照)に対する事前判定の結果に基づき、第1パターンによる音制御が実行されるケースCS1での演出の流れと、第4又は第5パターンによる音制御が実行されるケースCS2での演出の流れと、が示されている。図14及び図15を参照して説明したように、ケースCS1に対応する第1パターンでは変動期間P1〜P3において事前演出音が出力されず、ケースCS2に対応する第4又は第5パターンでは変動期間P1及びP2の全部と変動期間P3の前半側において事前演出音が出力される。
【0142】
変動期間P1〜P3において実行される各変動演出の内容は、スピーカ115の出力音に関しての差異はあるものの、それ以外の画像表示部104の表示内容などの非音響演出に関しては、ケースCS1及びCS2間で差は無く同じとなっている。
【0143】
このような方法を採用することにより、遊技機100としては、単に事前演出音の出力有無と通常変動音の音量制御又は出力有無を管理するだけで、事前演出音を利用した先読み予告演出を実現できるため、処理の負担が軽くて済む。また、画像表示内容等は同じなのに音だけが異なるという目新しい先読み予告演出の導入により、演出の幅が増えて飽きの生じにくい遊技機100を構成することができる。
【0144】
尚、図18では、タイミングTから事前演出音が出力されるケースをケースCS2として想定しているが、タイミングTから事前演出音が出力されるケース(即ち第2又は第3パターンによる音制御が実行されるケース)がケースCS2であっても良い。この場合、変動期間P1〜P3と同様、タイミングT及びT間において実行される変動演出の内容も、スピーカ115の出力音に関しての差異はあるものの、それ以外の画像表示部104の表示内容などの非音響演出に関しては、ケースCS1及びCS2間で差は無く同じとされる。
【0145】
上述した遊技機100の構成及び動作等を、便宜上、基本実施例と称する。以下、複数の実施例の中で、遊技機100の更なる詳細構成及び動作などを説明する。特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、基本実施例に記載の事項が後述の各実施例に適用され、各実施例において基本実施例と矛盾する事項については、各実施例での記載が優先される。また矛盾無き限り、以下に述べる複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0146】
<<第1実施例>>
遊技機100の第1実施例を説明する。第1実施例では、先読み対象に対する先読み予告演出として事前演出音を出力した場合に行われ得る事前演出音変化のタイミングTMID図16(b)参照)が、先読み対象に対する特別図柄の変動開始時(状況αではタイミングT)又はそれ以降とされる。
【0147】
図19は、特図変動パターンテーブルTHtに含められた特図変動パターンテーブルTHt_aを示している。第1実施例では、テーブルTHt_aを用いて特図変動パターン判定が行われるものとする。
【0148】
特図変動パターンテーブルTHt_aは、特図変動パターンTHp_a11〜THp_a15を含む。特図変動パターンTHp_a11〜THp_a15にて定義される特別図柄の変動時間は、夫々、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒である。
【0149】
判定対象TTに対する特図判定の結果がハズレを示す場合、特図変動パターン乱数等を用い、特図変動パターンTHp_a11〜THp_a15が、夫々、90%、8.6%、1%、0.3%、0.1%の確率で選択されるように、且つ、
判定対象TTに対する特図判定の結果が特A〜特D、通A又は通Bの大当たりを示す場合、特図変動パターン乱数等を用い、特図変動パターンTHp_a13、THp_a14、THp_a15が、夫々、20%、30%、50%の確率で選択されるように、テーブルTHt_aが形成されている。
【0150】
演出制御部403は、特図判定の結果を示す情報を含んだ変動開始コマンドを受信すると、その情報に基づいて変動演出の内容を決定し、決定した内容の変動演出を実行する。具体的には例えば、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターン(特図変動演出パターン)を含む変動演出パターンテーブル(特図変動演出パターンテーブル)が予めサブROM432に格納されており、変動開始コマンド等に基づき、当該変動演出パターンテーブルから1つの変動演出パターンを選択及び判定することで変動演出の内容を決定する。
【0151】
図19には、各特図変動パターンに対応する変動演出にてリーチ演出が実行されるか否かが、便宜上、示されている。
【0152】
判定対象TTに対し特図変動パターンTHp_a11〜THp_a13が選択されているとき、演出制御部403は、当該判定対象TTに対する変動演出においてリーチ演出を行わない。判定対象TTに対し特図変動パターンTHp_a14、THp_a15が選択されているとき、演出制御部403は、当該判定対象TTに対する変動演出において、夫々、弱リーチ演出、強リーチ演出を行う。
【0153】
弱及び強リーチ演出の夫々はリーチ演出の一種であって、大当たりの期待度(特A〜特D、通A及び通Bの何れかの大当たり遊技が実行される可能性)が高いことを示唆する演出として機能する。図19に示すテーブルと上記期待度算出式から導かれるように、強リーチ演出が示唆する大当たりの期待度KTの方が、弱リーチ演出が示唆する大当たりの期待度KTよりも高い。
【0154】
図20に、選択される特図変動パターンと、事前演出音の出力確率との関係を示す。弱リーチ演出は判定対象TTに対し特図変動パターンTHp_a14が選択されたときに実行されるため、弱リーチ演出が示唆する大当たりの期待度KTは、特図変動パターンTHp_a14に対応付けられた大当たりの期待度(特図変動パターンTHp_a14が選択された特図判定用情報が大当たりである確率)KTでもある。同様に、強リーチ演出が示唆する大当たりの期待度KTは、特図変動パターンTHp_a15に対応付けられた大当たりの期待度(特図変動パターンTHp_a15が選択された特図判定用情報が大当たりである確率)KTでもある。また、KTは、特図変動パターンTHp_a13に対応付けられた大当たりの期待度(特図変動パターンTHp_a13が選択された特図判定用情報が大当たりである確率)を表す。図19に示すテーブルと上記期待度算出式から導かれるように、“0<KT<KT<KT<1”である。
【0155】
演出制御部403は、或る特図判定用情報(状況αでの情報J3)に対する事前判定の結果が、特図変動パターンTHp_a11又はTHp_a12の選択を示しているとき、その特図判定用情報(状況αでの情報J3)を先読み対象に設定した事前演出音の出力を行わず、且つ、特図変動パターンTHp_a13、THp_a14、THp_a15の選択を示しているとき、例えば、演出用乱数等を用いて、夫々、第1、第2、第3の確率で、その特図判定用情報(状況αでの情報J3)を先読み対象に設定した事前演出音の出力を行う。ここで、第2の確率を第1の確率よりも高くし且つ第3の確率を第2の確率よりも更に高くすると良い。
【0156】
特図変動パターンTHp_a13、THp_a14又はTHp_a15の選択時に大当たりとなりうるため、事前演出音の出力は、先読み対象が大当たりである可能性があること(即ち、先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が行われる可能性があること)を示唆している、と言える。また、特図変動パターンTHp_a11及びTHp_a12はハズレ時にのみ選択され、先読み対象となりうる特図判定情報に対して特図変動パターンTHp_a11又はTHp_a12が選択された時には、その特図判定用情報を先読み対象とした事前演出音の出力が行われることは無い。このため、先読み対象についての特別図柄の変動開始前における事前演出音の出力は、事前演出音の非出力よりも、先読み対象が大当たりである可能性が高いこと(即ち、先読み対象の大当たりの期待度が高いこと)を示唆することになる。また、第2の確率を第1の確率よりも高くし且つ第3の確率を第2の確率よりも更に高くすれば、先読み対象に対する事前判定において、大当たりの期待度がより高い特図変動パターンが選択されたときほど、事前演出音が出力され易くなる。
【0157】
―――保留増加処理―――
図21は、第1実施例に係る保留増加処理のフローチャートである。図21に示すステップS211〜S222の処理から成る保留増加処理を、図11のステップS113における保留増加処理として用いることができる。保留増加処理は、図11のステップS112で記憶された事前判定結果情報を参照して行われる。図21の保留増加処理では、まずステップS211の処理が行われる。
【0158】
ステップS211において、演出制御部403は、先読みフラグがONであるか否かを確認し、先読みフラグがONであればステップS222に進む一方で先読みフラグがOFFであればステップS212に進む。先読みフラグ、並びに、後述の事前演出音出力フラグ、出力予約フラグ及び変化フラグは、演出制御部403が管理するフラグであって、夫々に、ON又はOFFに設定される。遊技機100の初期状態及び起動時において、それらのフラグは全てOFFとされている。
【0159】
今回受信した保留増加コマンドに対応する特図判定用情報(記憶領域413aに新たに記憶された特図判定用情報)を、新規保留と称する。これに対し、新規保留が取得及び記憶される前から記憶領域413aに記憶されていた特図判定用情報を、先行保留と称する。先行保留は1、2又は3つ存在する場合もあるし、1つも存在しない場合もある。
【0160】
ステップS212では先行保留の存否が確認され、1以上の先行保留がある場合にはステップS213に進むが、そうでない場合にはステップS222に進む。
【0161】
ステップS213において、演出制御部403は、判定対象TT及び先行保留の中に大当たりを示すものがあるか否かを確認すると共に判定対象TT及び先行保留の変動演出においてリーチ演出が行われるか否かを確認する。演出制御部403は、判定対象TTについての特図判定結果情報及び先行保留についての事前判定結果情報に基づき、これらの確認が可能である。尚、ステップS213において、現在、判定対象TTに対する変動演出が行われていない場合には先行保留のみに注目して上記確認が行われる。
【0162】
具体的には、判定対象TT及び先行保留の中に大当たりを示すものがある場合、現在変動演出が実行されているならば当該変動演出中にリーチ演出が行われる場合、又は、何れかの先行保留に対して選択されている特図変動パターンがリーチ演出の実行に対応する特図変動パターン(THp_a14又はTHp_a15)である場合には、ステップS213からステップS222に進む。判定対象TT及び先行保留の中に大当たりを示すものがなく、且つ、現在変動演出が実行されているならば当該変動演出中にリーチ演出が行われず、且つ、存在する全ての先行保留について選択されている特図変動パターンがリーチ演出の実行に対応する特図変動パターンでない場合に限り、ステップS214に進む。
【0163】
ステップS214において、演出制御部403は、新規保留を先読み対象とした事前演出音の出力を行うか否かを判定するための事前演出音出力可否判定処理を行い(判定方法については後述)、ステップS215に進む。事前演出音を出力すると判定した場合には(ステップS215のY)ステップS216に進んでステップS216〜S218の処理を行う一方、そうでない場合には(ステップS215のN)ステップS222に進む。
【0164】
ステップS216及びS217において、演出制御部403は、新規保留を先読み対象に設定し、先読みフラグにONを設定する。
【0165】
続くステップS218において、演出制御部403は、事前演出音の出力開始タイミングを判定及び設定する。この判定及び設定は、上述の第2又は第3パターンを用いるのか(即ち次回の特別図柄の変動開始を待たずに即時に事前演出音の出力を開始するのか)、或いは、上述の第4又は第5パターンを用いるのか(即ち次回の特別図柄の変動開始時から事前演出音の出力を開始するのか)を決定することで実現される。第2又は第3パターンを用いると決定した場合(ステップS219のY)にはステップS220に進み、ステップS220にて事前演出音出力フラグにONを設定してからステップS222に進む一方、第4又は第5パターンを用いると決定した場合(ステップS219のN)にはステップS221に進み、ステップS221にて出力予約フラグにONを設定してからステップS222に進む。
【0166】
尚、先読み対象が大当たりであるときには第2又は第3パターンが第4又は第5パターンよりも用いられる確率が高くなるように且つ先読み対象がハズレであるときには第2又は第3パターンが第4又は第5パターンよりも用いられる確率が低くなるように、或いは、その逆となるように、ステップS218の処理を行うようにしても良い。これにより、事前演出音の出力開始タイミングが第2又は第3パターンであるときと第4又は第5パターンであるときとで、先読み対象の大当たりの期待度(先読み対象に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行される確率)が異なってくることになり、故に、事前演出音の出力開始タイミングによって該期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0167】
ステップS222において、演出制御部403は、新規保留についての保留画像を画像表示部104に追加表示し、保留増加処理を終える。保留画像の表示態様として、互いに異なる複数の表示態様があって良く、新規保留についての事前判定結果情報に基づき、新規保留の保留画像の表示態様を決定しても良い。
【0168】
―――演出開始処理―――
図22は、第1実施例に係る演出開始処理のフローチャートである。図22に示すステップS231〜S242の処理から成る演出開始処理を、図11のステップS115における演出開始処理として用いることができる。図22の演出開始処理では、まずステップS231の処理が行われる。
【0169】
ステップS231において、演出制御部403は、変動開始コマンドに含まれる特図判定の結果を表す情報を特図判定結果情報として取得し、ステップS232に進む。演出開始処理において、ステップS232以降の処理は、ステップS231で取得した特図判定結果情報を適宜参照して行われる。
【0170】
ステップS232において、演出制御部403は、ステップS231で取得した特図判定結果情報に基づき判定対象TTに対する変動演出の内容を決定し、ステップS233に進む。
【0171】
ステップS233において、先読みフラグがONに設定されているか否かが確認され、先読みフラグがONである場合にはステップS234に進む一方で、そうでない場合にはステップS241に進む。
【0172】
ステップS234において、出力予約フラグがONに設定されているか否かが確認される。ステップS234において出力予約フラグがONである場合には、ステップS235に進んで事前演出音出力フラグにONを設定し且つ出力予約フラグにOFFを設定してからステップS236に進む。一方、ステップS234において出力予約フラグがOFFである場合には、ステップS236に直接進む。
【0173】
ステップS236において、今回の判定対象TTが保留増加処理にて設定された先読み対象であるか否かが確認され、今回の判定対象TTが先読み対象である場合にはステップS237に進む一方で、そうでない場合にはステップS241に進む。
【0174】
ステップS237において、演出制御部403は、事前演出音変化を行うか否かを判定するための事前演出音変化可否判定処理を行い(判定方法については後述)、ステップS238に進む。事前演出音変化を行うと判定した場合には(ステップS238のY)ステップS239及びS240の処理を行ってからステップS241に進む一方、そうでない場合には(ステップS238のN)ステップS241に直接進む。
【0175】
ステップS239において変化フラグにONが設定され、ステップS240において、事前演出音変化を行うタイミングである変化タイミングが設定される。この変化タイミングは、図16(b)のタイミングTMIDに相当する。変化タイミングの設定方法の詳細については後述するが、例えば、変動演出の開始タイミング(従って特別図柄及び装飾図柄の変動表示の開始タイミング)、又は、それ以降のタイミングを、変化タイミングとして設定することができる。
【0176】
ステップS241において、演出制御部403は、表示されている保留画像の表示位置をシフトする又は表示されている保留画像を消去するための保留画像シフト処理を行い、ステップS242に進む。
【0177】
ステップS242において、演出制御部403は、ステップS232にて決定された内容による変動演出を開始する。尚、変動演出を形成する音響演出での音の出力制御については、後述の音制御処理に従う。演出開始処理において、先読みフラグ、事前演出音出力フラグ及び出力フラグの状態等に関係なく、ステップS232にて変動演出の内容が決定されることからも理解されるように、実行される変動演出の内容は、事前演出音の出力有無に依存しない(但し音を除く)。
【0178】
―――演出終了処理―――
図23は、第1実施例に係る演出終了処理のフローチャートである。図23に示すステップS251〜S253の処理から成る演出終了処理を、図11のステップS117における演出終了処理として用いることができる。図23の演出終了処理では、まずステップS251の処理が行われる。
【0179】
ステップS251において、先読みフラグがONであって且つ今回の判定対象TTが先読み対象であったのかが確認される。先読みフラグがONであって且つ今回の判定対象TTが先読み対象であった場合にはステップS252にて先読みフラグにOFFを設定してからステップS253に進む一方、そうでない場合には、直接、ステップS253に進む。
【0180】
ステップS253にて、演出制御部403は、今回の判定対象TTに対する特図判定の結果を示す態様で第1〜第3装飾図柄を停止表示させることで変動演出を終了させ、これを以って演出終了処理を終える。
【0181】
―――音制御処理―――
図24は、演出制御部403による音制御処理のフローチャートである。音制御処理は、遊技機100の起動後、コマンド受信処理の周期的な実行と並行して、継続的に実行される。
【0182】
音制御処理では、まずステップS271において、事前演出音出力フラグがONであるかが確認され、事前演出音出力フラグがONである場合はステップS272に進む一方で、事前演出音出力フラグがOFFである場合はステップS282に進む。
【0183】
ステップS272において、現時点での演出内容が確認され、現時点が先読み対象を判定対象TTとしたリーチ演出の実行開始時点であるか或いは該リーチ演出の実行中であればステップS279に進む一方で、そうでない場合にはステップS273に進む。
【0184】
ステップS273において、先読み対象を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が終了しているかが確認され、先読み対象を判定対象TTとした特別図柄の変動表示が終了している場合にはステップS279に進む一方で、そうでない場合にはステップS274に進む。
【0185】
ステップS274において、変化フラグの状態が確認される。変化フラグがONであればステップS275に進む一方で、変化フラグがOFFであればステップS277に進む。
【0186】
ステップS275において、現時点を、設定された変化タイミング(図22のステップS240参照)と比較する。現時点が、設定された変化タイミングより後であればステップS276に進む一方で、そうでなければステップS277に進む。
【0187】
ステップS276では事前演出音として事前演出音Zo2を出力し、ステップS277では事前演出音として事前演出音Zo1を出力する(図16(a)及び(b)参照)。ステップS276又はS277の後、ステップS278にて、通常変動音を低音量で出力する又は非出力とする。その後、ステップS271に戻る。
【0188】
ステップS279において、事前演出音出力フラグがOFFに設定される。ステップS279に続くステップS280において変化フラグの状態が確認される。変化フラグがONであれば(ステップS280のY)ステップS281にて変化フラグにOFFを設定してからステップS271に戻り、変化フラグがOFFであれば(ステップS280のN)そのままステップS271に戻る。
【0189】
ステップS282では、事前演出音が非出力とされる。ステップS282に続くステップS283において、現在、特別図柄の変動中であるか否かが確認される(即ち、変動開始コマンドを受信した後、対応する変動停止コマンドを受信する前であるか否かが確認される)。特別図柄の変動中であればステップS284にて通常変動音を基準音量で出力し、ステップS271に戻る一方、特別図柄の変動中でなければ通常変動音を出力せずにステップS271に戻る。
【0190】
状況αにおいて、先読みフラグ、事前演出音出力フラグ、出力予約フラグ及び変化フラグが全てOFFであるときに特図判定用情報J3が取得され、且つ、該取得時における判定対象TT及び先行保留(即ち特図判定用情報J0〜J2)が全てハズレであって、且つ、判定対象TT及び先行保留の各変動演出がリーチ演出を含まないことを想定して、図21図24の処理の流れを説明する。
【0191】
上記の想定の下、演出制御部403おいて、情報J3に係る保留増加コマンドが受信されると、図21の保留増加処理にてステップS214に進む。ステップS214にて事前演出音を出力すると判定されなかった場合、図24の音制御処理にて事前演出音が非出力とされると共に特別図柄の変動中には通常変動音が基準音量にて出力される制御が行われる(ステップS282〜S284)。つまり、第1パターン(図14参照)による音の出力制御が行われる。
【0192】
他方、情報J3に係る保留増加コマンドの受信に応答した保留増加処理にて、事前演出音を出力すると判定された場合(図21のステップS215のY)、情報J3が先読み対象に設定されて先読みフラグがONとされる(ステップS216、S217)。そして、事前演出音の出力開始タイミングの設定により事前演出音出力フラグ及び出力予約フラグの何れか一方がONとされる(ステップS218〜S221)。
保留増加処理の中で事前演出音出力フラグがONとされるケースでは、音制御処理により、即時に、事前演出音Zo1の出力が開始されると共に通常変動音が低音量又は非出力とされる(図24のステップS271〜S274を経由してステップS277及びS278;即ち第2又は第3パターンが採用される)。
保留増加処理の中で出力予約フラグがONとされるケースでは、次回の特別図柄の変動表示の開始時に演出開始処理で事前演出音出力フラグがONとされることを通じ(図22のS231〜S235)、音制御処理により、事前演出音Zo1の出力が開始されると共に通常変動音が低音量又は非出力とされる(図24のステップS271〜S274を経由してステップS277及びS278;即ち第4又は第5パターンが採用される)。
【0193】
情報J3が先読み対象に設定された後、演出開始処理にて事前変化音変化を行うと判定されなかった場合には(図22のステップS238のN)、事前演出音Zo1の出力開始後、先読み対象の変動演出にてリーチ演出が行われるまで又は先読み対象についての特別図柄の変動表示が終了するまで事前演出音Zo1が継続出力され且つ事前演出音Zo1の出力時には通常変動音が低音量又は非出力とされる(図24のステップS271〜S274を経由してステップS277及びS278)。
【0194】
情報J3が先読み対象に設定された後、演出開始処理にて事前変化音変化を行うと判定された場合には(図22のステップS238のY)、変化フラグがONとされると共に変化タイミングが設定される(図22のステップS239及びS240)。そして、事前演出音Zo1の出力開始後、設定された変化タイミングが到来するまでは事前演出音Zo1を継続出力すると共に通常変動音を低音量又は非出力とする(図24のステップS271〜S275を経由してステップS277及びS278)。事前演出音Zo1の出力開始後、設定された変化タイミング以降では、出力される事前演出音が事前演出音Zo2とされる(図24のステップS276)。
【0195】
―――事前演出音出力可否判定テーブル―――
図25に、事前演出音出力可否判定テーブルTB1を示す。図21のステップS214における事前演出音出力可否判定処理は、テーブルTB1に基づき実行される。テーブルTB1に基づく事前演出音出力可否判定処理では、新規保留(状況αでは情報J3)に対する事前判定にて選択された特図変動パターンが参照され、演出用乱数を利用しつつ、その特図変動パターンがTHp_a11、THp_a12、THp_a13、THp_a14、THp_a15であるとき、夫々、0%、0%、10%、20%、30%の確率で事前演出音を出力すると判定し、従って、夫々、100%、100%、90%、80%、70%の確率で事前演出音を出力しないと判定する。これにより、事前判定結果情報にて示される選択特図変動パターンが大当たりの期待度がより高いものであるほど、事前演出音を出力すると判定される確率が高まる。
【0196】
―――事前演出音変化可否判定テーブル―――
図26に、事前演出音変化可否判定テーブルTB2を示す。図22のステップS237における事前演出音変化可否判定処理は、テーブルTB2に基づき実行される。テーブルTB2に基づく事前演出音変化可否判定処理では、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特図判定結果情報が参照され、演出用乱数を利用しつつ、その先読み対象がハズレ、大当たりであるときには、夫々、20%、70%の確率で事前演出音変化を実行すると判定し、従って、夫々、80%、30%の確率で事前演出音変化を実行しないと判定する。これにより、先読み対象としての判定対象TT(状況αでは情報J3)が大当たりであるときにはハズレである場合よりも、事前演出音変化の実行確率が高くなる(但し、それと逆になるようにテーブルTB2を変形すること可能である)。即ち、事前演出音変化の有無により大当たりの期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0197】
図27に、他の事前演出音変化可否判定テーブルTB2’を示す。図22のステップS237における事前演出音変化可否判定処理を、テーブルTB2’を用いて行うようにしても良い。テーブルTB2’に基づく事前演出音変化可否判定処理では、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特図判定により選択された特図変動パターンが参照され、演出用乱数を利用しつつ、その特図変動パターンがTHp_a13、THp_a14、THp_a15であるとき、夫々、10%、40%、70%の確率で事前演出音変化を実行すると判定し、従って、夫々、90%、60%、30%の確率で事前演出音変化を実行しないと判定する。尚、パターンTHp_a11又はTHp_a12の選択時にはそもそも事前演出音の出力が行われない(図25参照)。これにより、特図判定結果情報にて示される選択特図変動パターンが大当たりの期待度がより高いものであるほど、事前演出音変化を実行すると判定される確率が高まる(但し、それと逆になるようにテーブルTB2’を変形すること可能である)。即ち、事前演出音変化の有無により大当たりの期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0198】
―――事前演出音変化タイミング設定テーブル―――
図28に、事前演出音変化タイミング設定テーブルTB3を示す。図22のステップS240における変化タイミングの設定処理は、テーブルTB3に基づき実行される。テーブルTB3に基づく変化タイミングの設定処理では、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特図判定結果情報が参照され、演出用乱数を利用しつつ、先読み対象がハズレ、大当たりであるときには、夫々、40%、70%の確率で変化タイミングを変動開始時のタイミングに設定し、夫々、60%、30%の確率で変化タイミングを変動開始後のタイミングに設定する。これにより、先読み対象としての判定対象TT(状況αでは情報J3)が大当たりであるときにはハズレである場合よりも、事前演出音変化の実行タイミングが変動開始時のタイミングとなる確率が高くなる(但し、それと逆になるようにテーブルTB3を変形すること可能である)。即ち、事前演出音の変化タイミングにより大当たりの期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0199】
変化タイミングとしての“変動開始時のタイミング”とは、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特別図柄の変動表示の開始時(厳密には、先読み対象が判定対象TTとなったときの装飾図柄の変動表示の開始時(変動演出の開始時))を指す。
状況αにおいて情報J3が先読み対象として設定された場合、変化タイミングとしての“変動開始時のタイミング”とは、タイミングTを表す。
【0200】
変化タイミングとしての“変動開始後のタイミング”とは、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特別図柄の変動表示の開始後、当該変動表示が行われている期間中の所定タイミングであり、当該変動表示が行われているときにリーチ演出が行われる場合においては該リーチ演出の実行前のタイミングである。例えば、リーチ演出の実行前の擬似連演出(第1〜第3装飾図柄を非ゾロ目の態様で仮停止表示した後、第1〜第3装飾図柄の変動表示を再開させる演出)の実行タイミングが、“変動開始後のタイミング”であって良い。
状況αにおいて情報J3が先読み対象として設定された場合、変化タイミングとしての“変動開始後のタイミング”とは、タイミングTより後であって且つタイミングT3Rよりも前のタイミングを表す。
【0201】
図29に、他の事前演出音変化タイミング設定テーブルTB3’を示す。図22のステップS240における変化タイミングの設定処理を、テーブルTB3’を用いて行うようにしても良い。テーブルTB3’に基づく変化タイミングの設定処理では、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特図判定により選択された特図変動パターンが参照され、演出用乱数を利用しつつ、その特図変動パターンがTHp_a13、THp_a14、THp_a15であるとき、夫々、30%、50%、70%の確率で変化タイミングを変動開始時のタイミングに設定し、夫々、70%、50%、30%の確率で変化タイミングを変動開始後のタイミングに設定する。尚、パターンTHp_a11又はTHp_a12の選択時にはそもそも事前演出音の出力が行われない(図25参照)。これにより、特図判定結果情報にて示される選択特図変動パターンが大当たりの期待度がより高いものであるほど、事前演出音変化の実行タイミングが変動開始時となる確率が高くなる(但し、それと逆になるようにテーブルTB3’を変形すること可能である)。即ち、事前演出音の変化タイミングにより大当たりの期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0202】
―――変形等―――
尚、図21のステップS212において、先行保留の数がゼロであっても、その時に特別図柄の変動表示が行われているときにはステップS213に進むようにしても良い。但し、この場合においてステップS218に進んだ場合、常に、ステップS219を経由してステップS220に進むようにすると良い(つまり、第2又は第3パターンを採用して、次回の特別図柄の変動開始を待たずに即時に事前演出音の出力を開始すると良い)。
【0203】
また、図21のステップS213において、現在、変動演出が行われていて且つ当該変動演出にてリーチ演出が行われる場合であっても、判定対象TT及び先行保留の中に大当たりを示すものがなく、且つ、存在する全ての先行保留について選択されている特図変動パターンがリーチ演出の実行に対応する特図変動パターンでないならば、ステップS214に進むようにしても良い。但し、この場合においてステップS218に進んだ場合、常に、ステップS219を経由してステップS221に進むようにすると良い(つまり、第4又は第5パターンを採用して、次回の特別図柄の変動開始時から事前演出音の出力を開始すると良い)。現在行われているリーチ演出のリーチ用変動音を、いきなり低音量又は非出力とすることは好ましくないからである。
【0204】
また、事前演出音変化を実行する際、常に一定のタイミングが、変化タイミングとして設定されるようにしても良い。例えば、先読み対象(状況αでは情報J3)が判定対象TTとなったときの特別図柄の変動表示の開始タイミング(厳密には、先読み対象が判定対象TTとなったときの装飾図柄の変動表示の開始タイミング(変動演出の開始タイミング))を常に変化タイミングとして設定するようにしても良いし、或いは、その変動表示が行われているときにおいて所定の非音響演出(擬似連演出など)が行われるタイミングを常に変化タイミングとして設定するようにしても良い。
【0205】
<<第2実施例>>
遊技機100の第2実施例を説明する。上述の第1実施例では、先読み対象に対する先読み予告演出として事前演出音を出力した場合に行われ得る事前演出音変化のタイミングTMID図16(b)参照)が、先読み対象に対する特別図柄の変動開始時(状況αではタイミングT)又はそれ以降に限定されるが、先読み対象に対する特別図柄の変動開始前に事前演出音変化が行われるように第1実施例を変形しても良い(第2実施例は、この変形を第1実施例に適用した実施例である)。
【0206】
この場合、図21の保留増加処理において、ステップS220又はS221の後、図22のステップS237〜S240の処理に対応する処理を行ってから、ステップS222に進むようにすれば良い。
【0207】
図30に、図22のステップS237〜S240に対応するステップS237a〜S240aの処理が挿入された、第2実施例に係る保留増加処理のフローチャートを示す。図30の保留増加処理を、図11のステップS113における保留増加処理として用いることができる。ステップS237a〜S240aの処理の存否を除き、図30の保留増加処理は図21のそれと同様であるので、それらの相違部分のみを説明する。
【0208】
図30の保留増加処理では、ステップS220又はS221の後、ステップS237aに進む。ステップS237aにおいて、演出制御部403は、事前演出音変化を行うか否かを判定するための事前演出音変化可否判定処理を行い、ステップS238aに進む。事前演出音変化を行うと判定した場合には(ステップS238aのY)ステップS239a及びS240aの処理を行ってからステップS222に進む一方、そうでない場合には(ステップS238aのN)ステップS222に直接進む。
【0209】
ステップS239aにおいて変化フラグにONが設定され、ステップS240aにおいて、事前演出音変化を行うタイミングである変化タイミングが設定される。この変化タイミングは、図16(b)のタイミングTMIDに相当する。
【0210】
保留増加処理にステップS237a〜S240aの処理を設けたことに伴い、第2実施例において図22の演出開始処理を用いる場合、その演出開始処理からステップS237〜S240の処理が削除され、演出開始処理においてステップS236に至った際には常に直接ステップS241に移行すると良い。
【0211】
ステップS237aにおける事前演出音変化可否判定処理は、第1実施例で示した事前演出音変化可否判定処理と同様のものである。但し、ステップS237aの実行段階では先読み対象(状況αでは情報J3)が未だ判定対象TTとなっていないため、ステップS237aの事前演出音変化可否判定処理においては、先読み対象(状況αでは情報J3)に対する特図判定結果情報の代わりに、先読み対象に対する事前判定結果情報に基づき、先読み対象が大当たりであるか否かに応じて、又は、先読み対象に対して選択されている特図変動パターンに応じて、事前演出音変化を実行するか否かを判定すると良い。
【0212】
図31に、事前演出音変化タイミング設定テーブルTB3aを示す。図30のステップS240aにおける変化タイミングの設定処理は、テーブルTB3aに基づき実行される。テーブルTB3aに基づく変化タイミングの設定処理では、先読み対象(状況αでは情報J3)に対する事前判定結果情報が参照され、演出用乱数を利用しつつ、先読み対象がハズレであるときには20%、30%、50%の確率で変化タイミングを、夫々、“先読み対象の変動開始前のタイミング”、“先読み対象の変動開始時のタイミング”、“先読み対象の変動開始後のタイミング”に設定し、且つ、先読み対象が大当たりであるときには50%、30%、20%の確率で変化タイミングを、夫々、“先読み対象の変動開始前のタイミング”、“先読み対象の変動開始時のタイミング”、“先読み対象の変動開始後のタイミング”に設定する。
【0213】
これにより、変化タイミングが“先読み対象の変動開始前のタイミング”であるときにおける先読み対象の大当たりの期待度(以下、変動前変化期待度と称する)、変化タイミングが“先読み対象の変動開始時のタイミング”であるときにおける先読み対象の大当たりの期待度(以下、変動時変化期待度と称する)、及び、変化タイミングが“先読み対象の変動開始後のタイミング”であるときにおける先読み対象の大当たりの期待度(以下、変動後変化期待度と称する)の内、変動前変化期待度が最も高くなり、変動後変化期待度が最も低くなる(但し、それらの期待度の高低関係が逆になるようにテーブルTB3aを変形すること可能である)。即ち、事前演出音の変化タイミングにより大当たりの期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0214】
変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始時のタイミング”とは、先読み対象が判定対象TTとなったときの特別図柄の変動表示の開始時(厳密には、先読み対象が判定対象TTとなったときの装飾図柄の変動表示の開始時(変動演出の開始時))を指す。
【0215】
変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始後のタイミング”とは、先読み対象が判定対象TTとなったときの特別図柄の変動表示の開始後、当該変動表示が行われている期間中の所定タイミングであり、当該変動表示が行われているときにリーチ演出が行われる場合においては該リーチ演出の実行前のタイミングである。例えば、リーチ演出の実行前の擬似連演出(第1〜第3装飾図柄を非ゾロ目の態様で仮停止表示した後、第1〜第3装飾図柄の変動表示を再開させる演出)の実行タイミングが、“先読み対象の変動開始後のタイミング”であって良い。
【0216】
変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始前のタイミング”とは、“先読み対象の変動開始時のタイミング”よりも前であって、且つ、事前演出音の出力開始タイミングよりも後の任意のタイミングである。
【0217】
例えば、状況αにおいて情報J3を先読み対象として第2又は第3パターンにより事前演出音が出力される場合(図14参照)、変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始時のタイミング”はタイミングTであり、変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始後のタイミング”はタイミングTより後であって且つタイミングT3Rより前のタイミングであり、変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始前のタイミング”はタイミングTより後であって且つタイミングTより前のタイミング(例えばタイミングT又はT)である。
【0218】
但し、変化タイミングとしての“先読み対象の変動開始前のタイミング”を事前演出音の出力開始タイミングと一致させるようにしても良い。この場合、状況αにおいて、情報J3を先読み対象として第2又は第3パターンにより事前演出音が出力されるならば、事前演出音として事前演出音Zo1が出力されることなくタイミングTから事前演出音Zo2が出力されることになり(図14参照)、情報J3を先読み対象として第4又は第5パターンにより事前演出音が出力されるならば(図15参照)、事前演出音として事前演出音Zo1が出力されることなくタイミングTから事前演出音Zo2が出力されることになる。
【0219】
図32に、他の事前演出音変化タイミング設定テーブルTB3a’を示す。図30のステップS240aにおける変化タイミングの設定処理を、テーブルTB3a’を用いて行うようにしても良い。テーブルTB3a’に基づく変化タイミングの設定処理では、先読み対象(状況αでは情報J3)に対する事前判定にて選択された特図変動パターンが参照され、演出用乱数を利用しつつ、
その特図変動パターンがTHp_a13であるときには10%、40%、50%の確率で変化タイミングを、夫々、先読み対象の変動開始前のタイミング、先読み対象の変動開始時のタイミング、先読み対象の変動開始後のタイミングに設定し、且つ、
その特図変動パターンがTHp_a14であるときには50%、30%、20%の確率で変化タイミングを、夫々、先読み対象の変動開始前のタイミング、先読み対象の変動開始時のタイミング、先読み対象の変動開始後のタイミングに設定し、且つ、
その特図変動パターンがTHp_a15であるときには70%、20%、10%の確率で変化タイミングを、夫々、先読み対象の変動開始前のタイミング、先読み対象の変動開始時のタイミング、先読み対象の変動開始後のタイミングに設定する。
尚、パターンTHp_a11又はTHp_a12の選択時にはそもそも事前演出音の出力が行われない。
【0220】
これにより、先読み対象にて選択された特図変動パターンが大当たりの期待度がより高いものであるほど、事前演出音変化の実行タイミングが“先読み対象の変動開始時のタイミング”となる確率が“先読み対象の変動開始後のタイミング”となる確率よりも高くなり、且つ、事前演出音変化の実行タイミングが“先読み対象の変動開始前のタイミング”となる確率が“先読み対象の変動開始時のタイミング”となる確率よりも更に高くなる(但し、それらの確率の高低関係が逆になるようにテーブルTB3a’を変形すること可能である)。即ち、事前演出音の変化タイミングにより大当たりの期待度の高低を示唆することが可能となる。
【0221】
<<第3実施例>>
遊技機100の第3実施例を説明する。音響演出を除けば事前演出音が出力されているか否かに関わらず同じ内容の変動演出を実行できる(即ち、音響演出を除き事前演出音の出力時における変動演出の内容と事前演出音の非出力時における変動演出の内容とを互いに同じにできる)ことを上述したが、ここにおける同じとは、実質的に同じであることをも包含する意味と解される。例えば、事前演出音の出力時には所定の付加画像(文字“事前演出音出力中”を示す画像等)を画像表示部104の隅などに表示する一方、事前演出音の非出力時には該付加情報を表示しないといったことも可能であり、事前演出音の出力時における非音響演出と事前演出音の非出力時における非音響演出との間で、該付加情報の有無以外に差が無い状態は、上記の“実質的に同じ”状態に属すると解される。
【0222】
<<第4実施例>>
遊技機100の第4実施例を説明する。事前演出音の出力時において事前演出音を変化させる際、その変化の回数は2以上であることがあっても良い。この場合には例えば、事前演出音として、互いに異なる事前演出音Zo1、Zo2及びZo3を用意しておき、事前演出音変化可否判定処理にて、先読み対象の特図判定結果情報又は事前判定結果情報に基づき、事前演出音変化を実行するのか否かを判定すると共に実行するのであれば事前演出音変化の実行回数を設定し、それらの判定及び設定結果に従って、事前演出音変化の実行/非実行及び実行回数を制御すれば良い。事前演出音変化の実行回数が2回に設定された場合には、変化タイミングの設定処理において、1回目の変化タイミングとしての第1変化タイミングと、2回目の変化タイミングとしての第2変化タイミングを設定する。当然であるが、第1及び第2変化タイミングは、事前演出音が出力されている期間中の2つのタイミングである。
【0223】
事前演出音変化の実行回数が2回であるならば、事前演出音の出力開始タイミングから事前演出音Zo1の出力を開始した後、出力される事前演出音を第1変化タイミングにて事前演出音Zo1から事前演出音Zo2に変化させ、その後の第2変化タイミングにて、出力される事前演出音を事前演出音Zo2から事前演出音Zo3に変化させる。
【0224】
例えば、状況αにおいて特図判定用情報J3を先読み対象とした第2又は第3パターンによる事前演出音の出力を行う場合、タイミングTよりも後であって且つタイミングT3Rより前の期間中の2つのタイミングが第1及び第2変化タイミングに設定される。例えば、第1変化タイミングはタイミングTであると共に第2変化タイミングはタイミングTより後であって且つタイミングT3Rよりも前のタイミングであって良い。或いは例えば、第1変化タイミングはタイミングTであると共に第2変化タイミングはタイミングTであって良い。尚、タイミングTを第1変化タイミングに設定しても良く、この場合、事前演出音として事前演出音Zo1が出力されることなくタイミングTから事前演出音Zo2が出力され、その後の第2変化タイミングにて、出力される事前演出音が事前演出音Zo2から事前演出音Zo3に変化することになる。
【0225】
先読み対象が大当たりである場合に先読み対象がハズレである場合よりも事前演出音変化の実行回数が多くなる確率が高まるように、或いは、その逆となるように、先読み対象の特図判定結果情報又は事前判定結果情報に基づき、事前演出音変化の実行回数を設定しても良い。これにより、事前演出音が何回変化したのかによって先読み対象の大当たりの期待度を示唆することが可能となる。
【0226】
<<発明の考察>>
上述の実施形態にて具現化された発明について考察する。
【0227】
本発明の一側面に係る遊技機Wは、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの判定(例:特図判定、事前判定)を行う判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき、スピーカを含む所定の演出手段を用いて所定の演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、前記演出実行手段は、前記判定手段の判定結果を示唆する示唆演出(例:変動演出)を実行可能であるとともに、前記示唆演出において所定の示唆演出音(例:通常変動音)を前記スピーカから出力可能であり、前記示唆演出を実行する前に、前記特別遊技が実行される可能性があることを示唆する事前演出音を前記スピーカから出力可能にするとともに、前記事前演出音を前記示唆演出の実行開始後においても継続して出力可能にし、前記事前演出音が出力されているときには、前記事前演出音よりも小さい音量で前記示唆演出音を出力する、又は、前記示唆演出音を出力しないことを特徴とする。
【0228】
これにより、特別遊技の実行に対して期待感を持てる事前演出音が聞き取りやすくなり、事前演出音による気分の高揚効果(特別遊技実行への期待感を高める効果)が促進される。また、事前演出音の出力に伴って示唆演出音の音量を事前演出音よりも小さくする又は示唆演出音を非出力にするという、今までに無い斬新な演出形態により、遊技の興趣向上が図られる。遊技機において、遊技への飽きを抑制して楽しんで遊技を行ってもらうために、新たな演出及び方法の導入が重要であることは言うまでもない。
【0229】
また例えば、前記遊技機Wにおいて、前記演出実行手段は、前記示唆演出を実行する際に前記事前演出音が出力されているか否かに関わらず、同じ内容の演出を前記示唆演出として実行可能であると良い(より詳細には例えば、前記スピーカの出力音の相違を除き、同じ内容の演出を前記示唆演出として実行可能であると良い)。
【0230】
これにより、遊技機としては、単に事前演出音の出力有無と示唆演出音の音量制御又は出力有無を管理するだけで、事前演出音を利用した演出を実現できるため、処理の負担が軽くて済む。また、示唆演出の内容は同じなのに音だけが異なるという目新しい演出の導入により、演出の幅が増えて飽きの生じにくい遊技機を構成することができる。
【0231】
本発明の他の側面に係る遊技機Wは、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定(例:特図判定)を行う特別遊技判定手段と、前記特別遊技判定が行われる前に、前記特別遊技を実行するか否かの事前判定を行う事前判定手段と、スピーカを含む所定の演出手段を用いて所定の演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、前記演出実行手段は、前記特別遊技判定の結果に基づいて前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出(例:変動演出)を実行可能であり、前記示唆演出を実行する前に、前記事前判定の結果に基づいて前記特別遊技が実行される可能性があることを示唆する事前演出音を所定期間にわたって前記スピーカから出力可能にし、前記事前演出音を出力したとき、前記事前演出音を所定のタイミング(例:TMID)で変化させるときと変化させないときとがあり、前記事前演出音が変化したときと変化しなかったときとで、前記特別遊技が実行される確率が互いに異なることを特徴とする。
【0232】
これにより、事前演出音の出力開始後、遊技者は、事前演出音の変化が生じるのか否かに高い興味をもちつつ、演出を楽しむことができる。事前演出音の変化が生じるか否かで特別遊技が実行される確率が異なるという斬新な演出形態により遊技の興趣向上が図られると共に、演出の幅が増えて飽きの生じにくい遊技機を構成することができる。
【0233】
また例えば、前記遊技機Wにおいて、前記演出実行手段は、前記示唆演出を実行する際に前記事前演出音が出力されているか否かに関わらず、同じ内容の演出を前記示唆演出として実行可能であると良い(より詳細には例えば、前記スピーカの出力音の相違を除き、同じ内容の演出を前記示唆演出として実行可能であると良い)。
【0234】
これにより、遊技機としては、単に事前演出音の出力有無と示唆演出音の音量制御又は出力有無を管理するだけで、事前演出音を利用した演出を実現できるため、処理の負担が軽くて済む。また、示唆演出の内容は同じなのに音だけが異なるという目新しい演出の導入により、演出の幅が増えて飽きの生じにくい遊技機を構成することができる。
【0235】
また例えば、前記遊技機Wにおいて、前記演出実行手段は、前記示唆演出において、所定の示唆演出音(通常変動音)を前記スピーカから出力可能であり、前記事前演出音が出力されているときには、前記事前演出音よりも小さい音量で前記示唆演出音を出力する、又は、前記示唆演出音を出力しないと良い。
【0236】
これにより、特別遊技の実行に対して期待感を持てる事前演出音が聞き取りやすくなり、事前演出音による気分の高揚効果(特別遊技実行への期待感を高める効果)が促進される。また、事前演出音の出力に伴って示唆演出音の音量を事前演出音よりも小さくする又は示唆演出音を非出力にするという、今までに無い斬新な演出形態により、遊技の興趣向上が図られる。遊技機において、遊技への飽きを抑制して楽しんで遊技を行ってもらうために、新たな演出及び方法の導入が重要であることは言うまでもない。
【0237】
遊技機W又はWにおける判定手段、特別遊技判定手段、事前判定手段は、遊技機100においては例えば主制御部401により実現される。
遊技機W及びWにおける演出実行手段は、遊技機100においては例えば演出制御部403により実現される、或いは、演出制御部403及び演出実現要素(演出手段)により実現される。
【0238】
特別遊技は特別入賞口の開放を伴う遊技を含む。特別入賞口は大入賞口111であって良く、従って特別遊技は大入賞口111の開放を伴う遊技(例えば大当たり遊技)であって良い。この場合、判定手段における判定、特別遊技判定手段における特別遊技判定及び事前判定手段における事前判定の夫々は、特図当たり判定を含み、更に特図図柄判定及び特図変動パターン判定を含みうる。
【0239】
尚、上述の各実施形態の説明においては、始動口105又は106へ遊技球が入球(入賞)することが第1始動条件又は第2始動条件の成立と捉えられていることがあるが、厳密には以下のように考えても良い。即ち、始動口105又は106へ遊技球が入球すること(詳細には当該入球が始動口SW414a又は414bにより検知されること)が所定の取得条件の成立に相当し、取得条件の成立によって特図判定用情報が取得される。その後、取得された特図判定用情報が特別図柄処理にて特図判定用情報記憶領域413aから判定対象TTとして読み出される状態に至ることが始動条件の成立に相当し、始動条件が成立したとき当該特図判定用情報に対し特図判定が行われる。
【0240】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0241】
上述の遊技機100は、特定の大当たりに当選した場合、次回の大当たりに当選するまで高確率遊技状態が完全に又は実質的に維持されるループ機に属するが、遊技機100は、他のタイプの遊技機(例えばST機、VST機又はVループ機に分類される遊技機、或いは、旧一種二種混合機に分類される遊技機)として構成されていても良い。
【0242】
また、本発明を、パチンコ遊技機に分類されない、スロットマシンなどの他の遊技機に適用しても良い。パチンコ遊技機では、遊技媒体として遊技球が用いられるが、スロットマシンではコインが遊技媒体として用いられる。
【符号の説明】
【0243】
100 遊技機
105、106 始動口
111 大入賞口
115 スピーカ
401 主制御部(判定手段、特別遊技判定手段、事前判定手段)
403 演出制御部(演出実行手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32