(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラベル部分の周囲から前記タブ部分の先端までの距離(L)と前記筋状の凹部の長さ(W)との比(L/W)は、0.5〜2.0である、請求項3に記載の自己粘着フィルム。
【背景技術】
【0002】
自動販売機は、配列状に配置した複数の商品見本をディスプレイスペースに展示した状態で設置され、購入者は、透明なフロントカバー(透過性を有する板ガラスや板状のプラスチック、以下、透明フロントカバーという)を介して、商品見本を見ながら、希望の商品見本に対応する購入ボタンを操作して、商品を購入する。
【0003】
購入者の商品への購買意欲を高めるために、POP広告(Point of purchase advertising)として、ラベルのような自己粘着フィルムが透明フロントカバーのような被貼部材の表面(透明フロントカバーのディスプレイスペースとは反対側の面)又は裏面に貼られる。被貼部材の表面に貼られた自己粘着フィルムは、常時、雨風に晒され易い状態、かつ、購入者に触れられ易い状態に置かれるので、自己粘着フィルムの自己粘着層は、そのような状態によっては剥がれないような粘着力を有している必要がある(貼付状態維持性)。また、被貼部材の裏面に貼られる自己粘着フィルムは、鏡像印刷される。
【0004】
購入者が商品を購入する際に、自己粘着フィルムは購入者と商品見本との間に位置するので、対象となる商品見本及びその周囲の商品見本の外観に施されたデザインによる宣伝効果が十分に発揮されるように、自己粘着フィルムを透明フロントカバーに貼る。自己粘着フィルムは、例えば、対象となる商品見本の頂部のほぼ正面の位置、すなわち、対象となる商品見本及びその周囲の商品見本が自己粘着フィルムの陰になりにくい位置に貼られる(貼付位置厳格性)。
【0005】
しかし、自動販売機に商品を補充する作業者が、商品補充の合間に、自己粘着フィルムを透明フロントカバーに貼ることが多く、適切な位置に正確に貼ることは難しい。
【0006】
また、自動販売機の商品の売れ行きに応じて、対象となる商品見本を撤去する際には、対応する自己粘着フィルムを透明フロントカバーから速やかに剥がす必要がある(剥離容易性)。
【0007】
また、自動販売機の商品の売れ行きに応じて、商品見本の位置をディスプレイスペース内で移動させる際には、対応する自己粘着フィルムを速やかに透明フロントカバーから剥がす(剥離容易性)と共に、新たな位置に自己粘着フィルムを貼る貼り直し作業をする必要がある(再貼付性)。
【0008】
粘着フィルムを被貼部材の表面から剥がしやすくする(剥離容易性)ために、基材層の形状を、ラベル部分と、ラベル部分の周囲から延在するタブ部分とで構成した粘着フィルムが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本発明に係る自己粘着フィルム10は、被貼部材100の表面101に貼られる自己粘着フィルムであって、表面21及び裏面22を有するフィルム状の基材層20と、基材層20の裏面22に形成され、被貼部材100の表面101に貼られる自己粘着層30とを備え、基材層20は、ラベル部分20aと、ラベル部分20aの周囲から延在するタブ部分20bとを有し、タブ部分20bは、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いているものである。以下、本発明の自己粘着フィルム10及びその製造方法の実施の形態を説明する。
【0021】
(基材層)
基材層20は、表面21及び裏面22を有するフィルム状の層である。基材層20の表面21のうち、ラベル部分20aの表面は、POP広告の図柄を印刷することが可能な広さを有する。
基材層20としては、例えば、印刷用基材(単層)、及びインクを受理する受理層を形成した基材(複層)であることが好ましく、気密性を有する弾性体の基材であることが好ましい。
基材層20としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル等があげられる。これらの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度、寸法安定性、ガラス飛散防止性及び透明性に優れる点で好ましい。
基材層20の引張弾性率は、0.5〜6.0GPaであることが好ましく、1.0〜5.0GPaであることがより好ましく、1.5〜4.5GPaであることがさらに好ましい。
また、基材層20の裏面22にコロナ放電処理を施したり、易接着層を設けたりすることによって、基材層20と自己粘着層30との密着性を向上させたものも好適に用いられる。
基材層20の厚さとしては、タブ部分20bが、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾く状態を維持する観点から、好ましくは、25μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは、100μm以上であり、また、タブ部分20bの被貼部材100の表面101への接着性の観点から、好ましくは350μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
基材層20としては、例えば、商品名「ルミラー125EC01」(東レ株式会社)、商品名「コスモシャイン125A4100」(東洋紡株式会社)、商品名「クリスパー125K2323」(東洋紡績株式会社)を用いることができる。
【0022】
(自己粘着層)
自己粘着層30は、基材層20の裏面22に形成され、被貼部材100の表面101に貼られる層である。
自己粘着層30は、押圧することなく、フィルムの自重で素早く被着体に貼着するものであり、当該性質がゆえに、自己粘着性フィルムは貼着時の作業性に優れている。
自己粘着性フィルム10は、再貼付性の観点から、接着層をガラス面に貼り合わせて、23℃で30分経過後の接着力が、0.15N/25mm以下であることが好ましく、0.06N/25mm以下であることがより好ましく、0.04N/25mm以下であることがさらに好ましい。
自己粘着層30は、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−極性モノマー共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート及びポリエチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂から形成することができ、単独で、あるいはこれらの樹脂は2種以上を混合して用いることができる。
また、自己粘着層30は、必要に応じて、可塑剤を含有することが好ましい。
自己粘着層30の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、10〜75μmであることがより好ましく、15〜50μmであることがさらに好ましい。5μm以上とすることにより被着体に対し十分な粘着力を確保でき、100μm以下とすることにより、塗工工程の溶剤乾燥プロセスで速度を上げやすく、塗布面状も平滑にしやすく、抜き加工及びスリット加工のときに糊のはみ出しを抑制できる。
自己粘着層30としては、例えば、商品名「US−902」(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)、商品名「US−1353」(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)を用いることができる。
【0023】
(ラベル部分、タブ部分)
基材層20は、ラベル部分20aと、タブ部分20bとを有する。
基材層20の裏面22において、タブ部分20bの裏面の面積a2は、ラベル部分20aの裏面の面積a1より小さいことが好ましく、タブ部分20bの裏面の面積a2は、ラベル部分20aの裏面の面積a1の20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
【0024】
タブ部分20bは、
図1(a)に示すように、ラベル部分20aの周囲から距離Lだけ延在し、また、
図1(b)に示すように、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いている。つまり、タブ部分20bがラベル部分20aに対して基材層20の表面21側に傾くように、板状の基材層20を、ラベル部分20aとなる部分と、タブ部分20bとなる部分との間で塑性変形させている。
このため、自己粘着フィルム10を被貼部材100の表面101に貼った際に、タブ部分20bの先端と被貼部材100の表面101との間に隙間sが形成される。ここで、隙間sは、タブ部分20bがラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いている程度を表すパラメータといえる。隙間sは、距離Lが大きくなるほど、また、タブ部分20bの傾きが大きいほど、大きくなる。
自己粘着フィルム10が被貼部材100の表面101に貼られている状態において、タブ部分20bの先端は、隙間sだけ浮いているので、タブ部分20bの先端を被貼部材100の表面101に貼り付けようとすると、基材層20の弾性力により浮き上がり力がタブ部分20bに発生する。
浮き上がり力は、自己粘着フィルム10が被貼部材100の表面101に貼られている状態において、タブ部分20bが被貼部材100の表面101から、わずかな距離である距離sだけ浮き上がるような力であることが好ましい。
【0025】
(凹部)
ラベル部分20aとタブ部分20bとの間に筋状の凹部40が形成されていることが好ましい。筋状の凹部40は、筋状の凸部を基材層20の表面21に押し付けて形成したり、基材層20の表面21が内側になるように、ラベル部分20aとタブ部分20bとの間で基材層20を折り曲げたりして形成してもよい。
上述の距離Lと筋状の凹部40の長さWとの比(L/W、タブ部分の縦横比Kと記載することがある)は、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることがよりさらに好ましい。
また、剥離容易性を確保する観点から、縦横比Kは、2.0以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0026】
(貼付作業)
タブ部分20bは、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いているので、自己粘着フィルム10が被貼部材100の表面101に貼られると、タブ部分20bは、被貼部材100の表面101から浮き上がろうとする。他方、自己粘着層30は、浮き上がろうとする力と同程度の粘着力を発揮する低タック性の粘着剤で形成されている。
このため、浮き上がり力は、タブ部分20bにおける自己粘着層30の粘着力とは互いに打ち消すように作用し、かつ、浮き上がり力の大きさと自己粘着層30の粘着力の大きさとは同程度であるので、浮き上がり力と自己粘着層30の粘着力との合力である、タブ部分20bに作用する貼付力は、作用していない状態(浮き上がり力が自己粘着層30の粘着力より大きい状態)か、又は、小さい状態(浮き上がり力が自己粘着層30の粘着力よりわずかに小さい状態)になる。つまり、ラベル部分20aと被貼部材100の表面101との間の貼付力(粘着力と浮き上がり力との合力)は、タブ部分20bと被貼部材100の表面101との間の粘着力より小さい。このため、タブ部分20bは被貼部材100の表面101から浮いた状態であり、また、仮にタブ部分20bが被貼部材100の表面101に貼り付いていても、作業者がタブ部分20bを被貼部材100の表面101から容易に剥がすことができる状態であり、作業者がタブ部分20bを容易に摘むことができる。このため、自己粘着フィルム10を被貼部材100の表面101から剥がすことができるので、自己粘着フィルム10は、貼付状態維持性を有しつつ、剥離容易性と再貼付性とを有する。
【0027】
また、自己粘着フィルム10を被貼部材100の表面101に貼る際に生じた、被貼部材100の表面101と自己粘着層30との間にある空気が押し出されるように、自己粘着フィルム10は被貼部材100の表面101に貼られるので、自己粘着フィルム10のうち、ラベル部分20aは、自己粘着層30を介して被貼部材100の表面101に吸着して、ラベル部分20aと被貼部材100の表面101との間を真空に近い状態になり、吸着力が自己粘着フィルム10のラベル部分20aの全体に亘り発揮される。しかし、タブ部分20bは、タブ部分20bと被貼部材100の表面101との間を真空に近い状態になるが、タブ部分20bの裏面の面積a2はラベル部分20aの裏面の面積a1より小さいので、タブ部分20bの吸着力は、ラベル部分20aの吸着力に比べて非常に小さく、無視できる。つまり、タブ部分20bにおいては、吸着力がほとんど発揮されないので、タブ部分20bの吸着力はタブ部分20b合成力にはほとんど影響しない。このため、ラベル部分20aにおいては、吸着力により、貼付状態維持性を十分に維持しつつ、作業者がタブ部分20bを容易に摘むことができ、自己粘着フィルム10を被貼部材100の表面101から剥がすことができるので、自己粘着フィルム10は、貼付状態維持性を有しつつ、剥離容易性と再貼付性とを有する。
【0028】
(剥離作業)
タブ部分20bがラベル部分20aに対して基材層20の表面21側に傾くように自己粘着フィルム10が被貼部材100の表面101に貼られているので、タブ部分20bは、タブ部分20bの裏面に形成された自己粘着層30が被貼部材100の表面101から剥がれるような浮き上がり力を受けている。
【0029】
このため、上述したように、タブ部分20bと被貼部材100との間の粘着力は、浮き上がり力により相殺され、ラベル部分20aと被貼部材100との間の粘着力より小さくなっているので、タブ部分20bを被貼部材100の表面101から剥がしやすい。
【0030】
また、タブ部分20bは被貼部材100の表面101から浮いた状態であり、また、仮にタブ部分20bが被貼部材100の表面101に貼り付いていても、作業者がタブ部分20bを被貼部材100の表面101から容易に剥がすことができる状態であり、作業者がタブ部分20bを容易に摘むことができる。
【0031】
そこで、作業者が、剥がされたタブ部分20bを引っ張ることにより、ラベル部分20aは、凹部40の近傍から徐々に剥がれていくことになる。
【0032】
このとき、上述したように、ラベル部分20aと被貼部材100の表面101との間の空気が押出だされることにより強く密着する吸着力が発揮するように、ラベル部分20aの全面が被貼部材100の表面101に貼られているが、ラベル部分20aの凹部40の近傍が被貼部材100の表面101から剥がされることにより、被貼部材100の表面101との間に空気が入り込み、吸着力がほとんどなくなる。これにより、ラベル部分20aと被貼部材100の表面101とは、自己粘着層30の粘着力で貼りついている状態になる。しかし、自己粘着層30は低タック性であるので、作業者は、自己粘着フィルム10にほとんど傷つけずに容易に剥がすことができる。
【0033】
本発明に係る自己粘着フィルム10の製造方法は、タブ部分20bがラベル部分20aに対して基材層20の表面21側に傾くように、基材層20を塑性変形させる工程を有する。
基材層20を塑性変形させる方法としては、筋状の凸部を基材層20の表面21に押し付けて筋状の凹部40を形成することで、基材層20を塑性変形させる方法、及び、基材層20の表面21が内側になるように、ラベル部分20aとタブ部分20bとの間で基材層20を折り曲げることで、基材層20を塑性変形させる方法が挙げられる。
【0034】
具体的には、自己粘着フィルム10は、以下のようにして製造することができる。
図2に示すように、ポリエステルフィルムのような弾性体で形成されている離型フィルム50と、自己粘着層30’及び基材層20’で形成されたシール層10’とが積層されてシール材60を形成する(シール材形成工程)。
離型フィルム50は、離型処理されたセパレータフィルムが好ましい。ただし、使用する自己粘着層により、未処理フィルムも使用しても良い。
離型フィルム50としては、例えば、商品名「セラピール50BX8A」(東レフィルム加工株式会社)、商品名「SK-4」(大槻工業株式会社)を用いることができる。
シール材60としては、例えば、ゲルポリ(登録商標)(パナック株式会社製、品名「ゲルポリクリア125UV−IJ」(品番「GPH125B23J11」、品名「ゲルポリクリア50UV−IJ」(品番「GPH50B23J11」)、品名「ゲルポリホワイト125UV−IJ」(品番「GPH125FJ」))を用いることができる。
【0035】
次に、シール材60の表面、すなわち、基材層20の表面に、複数のPOP広告用の印刷を行う(印刷工程)。基材層20のうち、POP広告が印刷された部分は、後の工程で基材層20のラベル部分20aとなる。
図2(a)に示すように、シール材60の表面の上方に、プレスカッター200を配置し、
図2(b)に示すように、プレスする。
図2(b)に示すように、プレスカッター200は、カッター基台201に形成された型抜きカッター202と筋押し部204とを有する。型抜きカッター202の刃先は、基材層20の形状と同じ所定形状を有する。
シール材60の表面に配置したプレスカッター200を強く押圧することにより、型抜きカッター202の刃先が、離型フィルム50の表面51に向けて進み、基材層20、自己粘着層30を切断し、離型フィルム50の表面51を凹ませる位置まで進む。
このとき、カッター基台201から型抜きカッター202の刃先までの距離dは、カッター基台201から筋押し部204の先端までの距離eは、略同一であることが好ましい。距離dと距離eが略同一であることにより、型抜きカッター202が自己粘着フィルム10を切り出すと同時に、筋押し部204が自己粘着フィルム10を強く押圧する。これにより、シール層10’から自己粘着フィルム10が切り出されると共に、基材層20のうち、筋押し部204に押圧された基材層20及び自己粘着層30の部分は塑性変形し、基材層20に凹部40が形成される。ラベル部分20aとタブ部分20bとの間の凹部40が塑性変形することにより、タブ部分20bは、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾く。
【0036】
このように、本発明に係る自己粘着フィルム10によれば、タブ部分20bは、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いているので、貼付状態維持性を有しつつ、剥離容易性と再貼付性とを有する。
また、本発明に係る自己粘着フィルム10によれば、ラベル部分20aとタブ部分20bとの境は、切り込みのない筋状の凹部40で形成されているので、強度が維持され、タブ部分20bを作業者が引っ張っても、ラベル部分20aとタブ部分20bが乖離してしまうことがない。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で得られた自己粘着性フィルムについて下記の評価を行った。
【0038】
[評価方法]
自己粘着フィルムについて、以下の評価を行った。
【0039】
<貼付状態維持性の評価方法>
自己粘着フィルムを平滑なガラス板の表面に自重にて貼合させ、貼付の状態を評価した。
A:自己粘着フィルムが被貼部材の表面に張り付いている状態
B:自己粘着フィルムが被貼部材の表面から一部剥がれた状態
C:自己粘着フィルムが被貼部材の表面から完全に剥がれ落ちた状態
【0040】
<剥離容易性の評価方法>
貼付状態維持性の評価方法の貼付状態において、人差し指で自己粘着フィルムを被貼部材の表面からの剥がし易さを評価した。測定は、5人がそれぞれ10回行い、評価した。
A:剥がし易い
B:どちらともいえない
C:剥がしにくかった
【0041】
<再貼付性の検証方法>
貼付状態維持性の評価方法の貼付状態から剥がした自己粘着フィルムを、再度、貼付工程を行い、再貼付直後の貼付状態を評価した。評価は、貼付状態維持性の評価方法の評価と同じとした。
【0042】
[評価材料]
評価材料は、以下のものを用いた。
【0043】
<シール材>
シール材1:パナック株式会社製、ゲルポリ(登録商標)、「ゲルポリクリア125UV−IJ」(品番「GPH125B23J11」、自己粘着層:0.03N/25mm、ベースフィルムの引張弾性率:4GPa。
【0044】
<プレスカッター>
プレスカッター1は、楕円形状のラベル部分と、ラベル部分の周囲から延在する矩形状のタブ部分とが一体形状となった形状の刃先を有し、その刃先の内側に筋押し部が設けられており、
図2における距離eが、距離dと略同一である。
プレスカッター2は、筋押し部がないこと以外は、プレスカッター1と同じである。
【0045】
[実施例1]
<自己粘着性フィルム>
シール材1をプレスカッター1でプレスして、自己粘着性フィルムを得た。得られた自己粘着性フィルムのラベル部分とタブ部分との間に筋状の凹部の深さを測定した。また、得られた自己粘着性フィルムを被貼部材の表面に貼り、そのときのタブ部分の先端と被貼部材の表面との間の隙間sとタブ部分の縦横比Kとを測定した。
貼付状態維持性、剥離容易性、再貼付性の評価をした。測定及び評価結果を表1に示す。
【0046】
[実施例2〜3、比較例1]
実施例2〜3、比較例1は、シール材1及びプレスカッター1を表1に示すものに代えたこと以外は、実施例1と同じにして、自己粘着性フィルムを得た。得た自己粘着性フィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価をした。測定及び評価結果を表1に示す。
【0047】
[評価]
【表1】
【0048】
表1の結果から明らかなように、隙間sがある実施例1〜3は、タブ部分20bがラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いていて、貼付状態維持性、剥離容易性、再貼付性が共に良好である。一方、隙間sがない比較例1は、貼付状態維持性は良好であったが、剥離容易性が良好ではなかった。比較例1は、剥離容易性が良好でなかったために、剥離する際に自己粘着フィルムの端部が乱れたり、裂けたりしてしまったので、再貼付直後の貼付状態としては一部剥がれた状態となり、再貼付性が良好ではなかった。
【解決手段】自己粘着フィルム10は、表面21及び裏面22を有するフィルム状の基材層20と、基材層20の裏面22に形成され、被貼部材100の表面101に貼られる自己粘着層30とを備える。タブ部分20bは、ラベル部分20aに対して、基材層20の表面21側に傾いている。