特許第6163693号(P6163693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163693
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】宇宙環境試験装置
(51)【国際特許分類】
   B64G 7/00 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   B64G7/00 B
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-63304(P2014-63304)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-182717(P2015-182717A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】宮井 玲
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−274393(JP,A)
【文献】 特開2004−053068(JP,A)
【文献】 実開昭61−156864(JP,U)
【文献】 特開平10−250700(JP,A)
【文献】 特開平10−260115(JP,A)
【文献】 実開平04−075800(JP,U)
【文献】 特開平04−258103(JP,A)
【文献】 特開昭60−028224(JP,A)
【文献】 特開平05−001857(JP,A)
【文献】 米国特許第03224277(US,A)
【文献】 特開昭62−090910(JP,A)
【文献】 特開2007−137301(JP,A)
【文献】 特開2003−137200(JP,A)
【文献】 特開2010−154698(JP,A)
【文献】 特開2013−258139(JP,A)
【文献】 特開2012−022130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 7/00
G01M 13/00−13/04
G01M 99/00
F25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に延在すると共に、気密された真空容器と、
前記真空容器内に収容され、両端が開放端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第1のシュラウドと、
前記第1のシュラウドに配置され、該第1のシュラウドを冷却する冷媒が流れる冷媒用配管と、
前記第1のシュラウド内に収容され、両端が閉塞端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第2のシュラウドと、
前記第2のシュラウド内に配置され、被試験体が載置される被試験体載置台と、
前記第2のシュラウドを介して、前記被試験体を冷却するコールドヘッドを有する冷凍機と、を備え、
前記第1のシュラウドと、前記第2のシュラウドとの間の熱移動を抑制する空間を設けるように、前記第2のシュラウドが、前記第1のシュラウド内に収容されるとともに、前記空間に前記コールドヘッドが設けられており、
前記冷凍機が、前記第2のシュラウドに支持されることを特徴とする宇宙環境試験装置。
【請求項2】
前記第2のシュラウドの上部に装着され、上面に前記コールドヘッドが接続されるヘッド接続面を有し、前記第2のシュラウドに前記コールドヘッドの冷熱を伝導させる接続部材を有することを特徴とする請求項1記載の宇宙環境試験装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記第2のシュラウドを貫通し、該第2のシュラウドの内側に突出する突出部を有することを特徴とする請求項2記載の宇宙環境試験装置。
【請求項4】
前記接続部材は、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項2または3記載の宇宙環境試験装置。
【請求項5】
前記第2のシュラウドは、シュラウド支持部材を介して、前記第1のシュラウドに支持されており、
前記シュラウド支持部材は、断熱部材を介して、前記第2のシュラウドを支持することを特徴とする請求項ないし4のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置。
【請求項6】
前記断熱部材は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項5記載の宇宙環境試験装置。
【請求項7】
前記第2のシュラウドの外周面に設けられ、前記所定の方向に複数配置されたリング状部材と、
前記リング状部材の下部に設けられ、前記断熱部材が配置される一対の切り欠き部と、
を有することを特徴とする請求項5または6記載の宇宙環境試験装置。
【請求項8】
前記冷凍機は、冷凍機本体と、該冷凍機本体の下方に延在するディスプレーサと、該ディスプレーサの下端に配置された前記コールドヘッドと、を含み、
前記真空容器は、その上部に前記ディスプレーサを挿入させるための第1の貫通部を有し、
前記第1のシュラウドは、その上部に前記第1の貫通部と対向配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための第2の貫通部を有し、
前記第2のシュラウドは、その上部に前記第2の貫通部と対向配置され、前記接続部材が装着される第3の貫通部を有することを特徴とする請求項2ないし7のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置。
【請求項9】
前記第1の貫通部に配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための貫通穴を有し、前記真空容器に固定された第1のベローズ取付用部材と、
前記冷凍機本体に取り付けられた第2のベローズ取付用部材と、
前記第1のベローズ取付用部材と前記第2のベローズ取付用部材との間に配置され、一端が前記第1のベローズ取付用部材と接続され、他端が前記第2のベローズ取付用部材と接続されたベローズと、
を有し、
前記冷凍機本体は、前記ベローズを介して、前記第2のシュラウドに支持されていることを特徴とする請求項8記載の宇宙環境試験装置。
【請求項10】
所定の方向に延在すると共に、気密された真空容器と、
前記真空容器内に収容され、両端が開放端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第1のシュラウドと、
前記第1のシュラウドと接続され、該第1のシュラウドを冷却する冷媒が流れる冷媒用配管と、
前記第1のシュラウド内に収容され、両端が閉塞端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第2のシュラウドと、
前記第2のシュラウド内に配置され、被試験体が載置される被試験体載置台と、
前記第2のシュラウドと断熱されたコールドヘッドを有する冷凍機と、
一端が前記被試験体と接触し、該被試験体に前記コールドヘッドの冷熱を伝導させる金属ワイヤと、を備え、
前記第1のシュラウドと、前記第2のシュラウドとの間の熱移動を抑制する空間を設けるように、前記第2のシュラウドが、前記第1のシュラウド内に収容されるとともに、前記空間に前記コールドヘッドが設けられており、
前記冷凍機が、前記第2のシュラウドに支持されることを特徴とする宇宙環境試験装置。
【請求項11】
前記金属ワイヤは、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項10記載の宇宙環境試験装置。
【請求項12】
一部が前記第2のシュラウドの内側に配置されるように、第1の断熱部材を介して、前記第2のシュラウドの上部に装着され、上面に前記コールドヘッドが接続されるヘッド接続面を含む接続部材を有し、
前記金属ワイヤの他端は、前記第2のシュラウドの内側に配置された前記接続部材の一部と接続させることを特徴とする請求項10または11記載の宇宙環境試験装置。
【請求項13】
前記接続部材は、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項12記載の宇宙環境試験装置。
【請求項14】
前記第1の断熱部材は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項12または13記載の宇宙環境試験装置。
【請求項15】
前記第2のシュラウドは、シュラウド支持部材を介して、前記第1のシュラウドに支持されており、
前記シュラウド支持部材は、第2の断熱部材を介して、前記第2のシュラウドを支持することを特徴とする請求項1ないし14のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置。
【請求項16】
前記第2の断熱部材は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項15記載の宇宙環境試験装置。
【請求項17】
前記第2のシュラウドの外周面に設けられ、前記所定の方向に複数配置されたリング状部材と、
前記リング状部材の下部に設けられ、前記第2の断熱部材が配置される一対の切り欠き部と、
を有することを特徴とする請求項15または16記載の宇宙環境試験装置。
【請求項18】
前記冷凍機は、冷凍機本体と、該冷凍機本体の下方に延在するディスプレーサと、該ディスプレーサの下端に配置された前記コールドヘッドと、を含み、
前記真空容器は、その上部に前記ディスプレーサを挿入させるための第1の貫通部を有し、
前記第1のシュラウドは、その上部に前記第1の貫通部と対向配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための第2の貫通部を有し、
前記第2のシュラウドは、その上部に前記第2の貫通部と対向配置され、前記接続部材が装着される第3の貫通部を有することを特徴とする請求項12ないし17のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置。
【請求項19】
前記第1の貫通部に配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための貫通穴を有し、前記真空容器に固定された第1のベローズ取付用部材と、
前記冷凍機本体に取り付けられた第2のベローズ取付用部材と、
前記第1のベローズ取付用部材と前記第2のベローズ取付用部材との間に配置され、一端が前記第1のベローズ取付用部材と接続され、他端が前記第2のベローズ取付用部材と接続されたベローズと、
を有し、
前記冷凍機本体は、前記ベローズを介して、前記第2のシュラウドに支持されていることを特徴とする請求項18記載の宇宙環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙空間を模擬して宇宙環境を再現させて、被試験体の試験を行うための宇宙環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙環境試験装置は、高真空に排気された真空容器の内部に、宇宙の冷暗黒を模擬するため、内面を黒色に塗装され、液体窒素等の冷媒で100K以下に冷却されるシュラウドと呼ばれる熱吸収壁(以下、単に「シュラウド」という)を有する。
【0003】
特許文献1には、供試体を固定する温調プレートが真空容器内に設けられた宇宙環境試験装置において、温調プレートを回転させる回転軸が真空容器を貫通して設けられ、回転軸を回転させる駆動部が真空容器の外側に設けられた宇宙環境試験装置が開示されている。
また、特許文献1には、真空容器内に収容されたシュラウド(内部に被試験体が配置される温調プレートを収容する宇宙環境試験装置の構成要素)を液体窒素等の冷媒で冷却することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、宇宙環境を模擬する円筒状真空容器の軸方向端部にヒンジによって開閉可能に支持された扉を有し、真空容器本体の内部に本体部シュラウドを、扉の内部に扉部シュラウドをそれぞれ有する宇宙環境試験装置において、扉部シュラウドを冷却するための液化窒素が流れる本体側冷媒配管と、扉部シュラウドから扉の外側に引き出されたシュラウド側冷媒配管と、をヒンジ側に設けた接続用冷媒配管で接続し、該接続用冷媒配管の一部を屈曲自在な可撓性断熱配管で形成するとともに、扉開閉時における可撓性断熱配管の屈曲変形を許容するようにして該可撓性断熱配管を保持する配管保持手段を有する宇宙環境試験装置が開示されている。
また、特許文献2には、本体部シュラウドを冷却する際に、液化窒素を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−137301号公報
【特許文献2】特開2003−137200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、シュラウドを10K以下まで冷却させて、10K以下とされた模擬宇宙空間において、被試験体の試験を行いたいという要望がある。
しかしながら、上記特許文献1,2に開示された宇宙環境試験装置では、真空容器内に収容された1つのシュラウド(特許文献2の場合は、本体部シュラウド)を液体窒素のみで冷却させていたため、80〜100K程度までしかシュラウドを冷却させることができなかった。
つまり、特許文献1,2に開示された宇宙環境試験装置では、10Kよりも温度の高い80〜100K程度の模擬宇宙空間でしか被試験体の試験を行うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、10K以下の温度とされた模擬宇宙空間において、被試験体の試験を行うことの可能な宇宙環境試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、所定の方向に延在すると共に、気密された真空容器と、前記真空容器内に収容され、両端が開放端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第1のシュラウドと、前記第1のシュラウドに配置され、該第1のシュラウドを冷却する冷媒が流れる冷媒用配管と、前記第1のシュラウド内に収容され、両端が閉塞端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第2のシュラウドと、前記第2のシュラウド内に配置され、被試験体が載置される被試験体載置台と、前記第2のシュラウドを介して、前記被試験体を冷却するコールドヘッドを有する冷凍機と、を備え、前記第1のシュラウドと、前記第2のシュラウドとの間の熱移動を抑制する空間を設けるように、前記第2のシュラウドが、前記第1のシュラウド内に収容されるとともに、前記空間に前記コールドヘッドが設けられており、前記冷凍機が、前記第2のシュラウドに支持されることを特徴とする宇宙環境試験装置が提供される。
【0009】
また、請求項2に係る発明によれば、前記第2のシュラウドの上部に装着され、上面に前記コールドヘッドが接続されるヘッド接続面を有し、前記第2のシュラウドに前記コールドヘッドの冷熱を伝導させる接続部材を有することを特徴とする請求項1記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0010】
また、請求項3に係る発明によれば、前記接続部材は、前記第2のシュラウドを貫通し、該第2のシュラウドの内側に突出する突出部を有することを特徴とする請求項2記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0011】
また、請求項4に係る発明によれば、前記接続部材は、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項2または3記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0012】
また、請求項5に係る発明によれば、前記第2のシュラウドは、シュラウド支持部材を介して、前記第1のシュラウドに支持されており、前記シュラウド支持部材は、断熱部材を介して、前記第2のシュラウドを支持することを特徴とする請求項ないし4のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0013】
また、請求項6に係る発明によれば、前記断熱部材は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項5記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0014】
また、請求項7に係る発明によれば、前記第2のシュラウドの外周面に設けられ、前記所定の方向に複数配置されたリング状部材と、前記リング状部材の下部に設けられ、前記断熱部材が配置される一対の切り欠き部と、を有することを特徴とする請求項5または6記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0015】
また、請求項8に係る発明によれば、前記冷凍機は、冷凍機本体と、該冷凍機本体の下方に延在するディスプレーサと、該ディスプレーサの下端に配置された前記コールドヘッドと、を含み、前記真空容器は、その上部に前記ディスプレーサを挿入させるための第1の貫通部を有し、前記第1のシュラウドは、その上部に前記第1の貫通部と対向配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための第2の貫通部を有し、前記第2のシュラウドは、その上部に前記第2の貫通部と対向配置され、前記接続部材が装着される第3の貫通部を有することを特徴とする請求項2ないし7のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0016】
また、請求項9に係る発明によれば、前記第1の貫通部に配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための貫通穴を有し、前記真空容器に固定された第1のベローズ取付用部材と、前記冷凍機本体に取り付けられた第2のベローズ取付用部材と、前記第1のベローズ取付用部材と前記第2のベローズ取付用部材との間に配置され、一端が前記第1のベローズ取付用部材と接続され、他端が前記第2のベローズ取付用部材と接続されたベローズと、を有し、前記冷凍機本体は、前記ベローズを介して、前記第2のシュラウドに支持されていることを特徴とする請求項8記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0017】
また、請求項10に係る発明によれば、所定の方向に延在すると共に、気密された真空容器と、前記真空容器内に収容され、両端が開放端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第1のシュラウドと、前記第1のシュラウドと接続され、該第1のシュラウドを冷却する冷媒が流れる冷媒用配管と、前記第1のシュラウド内に収容され、両端が閉塞端とされ、前記所定の方向に延在する筒状の第2のシュラウドと、前記第2のシュラウド内に配置され、被試験体が載置される被試験体載置台と、前記第2のシュラウドと断熱されたコールドヘッドを有する冷凍機と、一端が前記被試験体と接触し、該被試験体に前記コールドヘッドの冷熱を伝導させる金属ワイヤと、を備え、前記第1のシュラウドと、前記第2のシュラウドとの間の熱移動を抑制する空間を設けるように、前記第2のシュラウドが、前記第1のシュラウド内に収容されるとともに、前記空間に前記コールドヘッドが設けられており、前記冷凍機が、前記第2のシュラウドに支持されることを特徴とする宇宙環境試験装置が提供される。
【0018】
また、請求項11に係る発明によれば、前記金属ワイヤは、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項10記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0019】
また、請求項12に係る発明によれば、一部が前記第2のシュラウドの内側に配置されるように、第1の断熱部材を介して、前記第2のシュラウドの上部に装着され、上面に前記コールドヘッドが接続されるヘッド接続面を含む接続部材を有し、前記金属ワイヤの他端は、前記第2のシュラウドの内側に配置された前記接続部材の一部と接続させることを特徴とする請求項10または11記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0020】
また、請求項13に係る発明によれば、前記接続部材は、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項12記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0021】
また、請求項14に係る発明によれば、前記第1の断熱部材は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項12または13記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0022】
また、請求項15に係る発明によれば、前記第2のシュラウドは、シュラウド支持部材を介して、前記第1のシュラウドに支持されており、前記シュラウド支持部材は、第2の断熱部材を介して、前記第2のシュラウドを支持することを特徴とする請求項1ないし14のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0023】
また、請求項16に係る発明によれば、前記第2の断熱部材は、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項15記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0024】
また、請求項17に係る発明によれば、前記第2のシュラウドの外周面に設けられ、前記所定の方向に複数配置されたリング状部材と、前記リング状部材の下部に設けられ、前記第2の断熱部材が配置される一対の切り欠き部と、を有することを特徴とする請求項15または16記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0025】
また、請求項18に係る発明によれば、前記冷凍機は、冷凍機本体と、該冷凍機本体の下方に延在するディスプレーサと、該ディスプレーサの下端に配置された前記コールドヘッドと、を含み、前記真空容器は、その上部に前記ディスプレーサを挿入させるための第1の貫通部を有し、前記第1のシュラウドは、その上部に前記第1の貫通部と対向配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための第2の貫通部を有し、前記第2のシュラウドは、その上部に前記第2の貫通部と対向配置され、前記接続部材が装着される第3の貫通部を有することを特徴とする請求項12ないし17のうち、いずれか1項記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【0026】
また、請求項19に係る発明によれば、前記第1の貫通部に配置され、前記ディスプレーサを挿入させるための貫通穴を有し、前記真空容器に固定された第1のベローズ取付用部材と、前記冷凍機本体に取り付けられた第2のベローズ取付用部材と、前記第1のベローズ取付用部材と前記第2のベローズ取付用部材との間に配置され、一端が前記第1のベローズ取付用部材と接続され、他端が前記第2のベローズ取付用部材と接続されたベローズと、を有し、前記冷凍機本体は、前記ベローズを介して、前記第2のシュラウドに支持されていることを特徴とする請求項18記載の宇宙環境試験装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の宇宙環境試験装置によれば、10K以下の温度に冷却された模擬宇宙空間において、被試験体の試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る宇宙環境試験装置の概略構成を模式的に示す図(その1)であり、具体的には、宇宙環境試験装置の構成要素のうち、真空容器、第1のシュラウド、第2のシュラウド、被試験体載置台、及びリング状部材等の一部の構成要素を断面で図示した図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る宇宙環境試験装置の概略構成を模式的に示す図(その2)であり、具体的には、図1に示すA−A線断面と、図1に示す宇宙環境試験装置の構成要素のうち、冷凍機、台座、キャスター、及び図1に図示していない観察用窓部をB視した図と、を同一の図面に図示した図である。
図3図2に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Cで囲まれた部分を拡大した断面図である。
図4図2に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Dで囲まれた部分を拡大した図である。
図5図2に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Eで囲まれた部分を拡大した図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る宇宙環境試験装置の概略構成を模式的に示す図であり、宇宙環境試験装置の一部の構成要素を断面で図示した図である。
図7図6に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Fで囲まれた部分を拡大した図である。
図8】経過時間に対する実施例の宇宙環境試験装置の第1及び第2のシュラウドの上部及び下部の温度の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の宇宙環境試験装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る宇宙環境試験装置の概略構成を模式的に示す図(その1)であり、具体的には、宇宙環境試験装置の構成要素のうち、真空容器、第1のシュラウド、第2のシュラウド、被試験体載置台、及びリング状部材等の一部の構成要素を断面で図示した図である。
図1において、X方向は、真空容器15、第1のシュラウド31、及び第2のシュラウド42の延在方向を示しており、Z方向は、鉛直方向を示している。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る宇宙環境試験装置の概略構成を模式的に示す図(その2)であり、具体的には、図1に示すA−A線断面と、図1に示す宇宙環境試験装置の構成要素のうち、冷凍機、台座、キャスター、及び図1に図示していない観察用窓部をB視した図と、を同一の図面に図示した図である。
図2において、Y方向は、真空容器15、第1のシュラウド31、及び第2のシュラウド42の半径方向を示している。
【0032】
図1及び図2を参照するに、第1の実施の形態の宇宙環境試験装置10は、台座13と、真空容器15と、キャスター16と、観察用窓部17−1,17−2と、真空排気用ライン18,24と、ターボ分子ポンプ21と、油回転ポンプ23と、クライオポンプ26と、ヘリウム圧縮機28と、第1のシュラウド31と、冷媒導入部33と、冷媒供給ライン35と、冷媒導出ライン36と、冷媒供給源38と、第2のシュラウド42と、被試験体載置台45と、リング状部材47と、シュラウド支持部材49と、断熱部材51と、第1のベローズ取付用部材53と、貫通用円筒部材54と、冷凍機56と、第2のベローズ取付用部材58と、接続部材61と、接続部材固定用部材63と、ベローズ65と、ボルト66と、ナット67と、ヘリウムガス供給ライン68と、ヘリウムガス供給源69と、ヘリウムガス戻りライン73と、を有する。
【0033】
台座13は、その上部において、真空容器15の底部を支持している。
真空容器15は、X方向(所定の方向)に延在しており、気密されている。真空容器15は、両端が塞がれた円筒状の部材である。真空容器15のうち、X方向の端部を構成する部分は、開閉可能な構成とされており、蓋体として機能する。
真空容器15は、冷凍機56の配設領域に対応する部分に設けられた第1の貫通部15Aを有する。第1の貫通部15Aは、冷凍機56を構成するディスプレーサ56−2を挿入させるための穴である。
【0034】
キャスター16は、台座13の下端に複数配置されている。これにより、真空容器15を支持する台座13は、床面11を移動することができる。
観察用窓部17−1は、真空容器15のうち、X方向に位置する部分に設けられている。観察用窓部17−2は、真空容器15のうち、Y方向に位置する部分に設けられている。観察用窓部17−2は、第2のシュラウド42内に収容された被試験体14の様子を観察するためのものである。
【0035】
真空排気用ライン18は、一端が真空容器15と接続されており、他端がターボ分子ポンプ21と接続されている。
ターボ分子ポンプ21は、真空容器15の外部に配置されている。油回転ポンプ23は、ターボ分子ポンプ21を介して、真空排気用ライン18と接続されている。
ターボ分子ポンプ21、及び油回転ポンプ23は、真空容器15内を真空引きするためのポンプである。
【0036】
真空排気用ライン24は、一端が真空容器15と接続されており、他端がクライオポンプ26と接続されている。
クライオポンプ26は、真空容器15の外部に配置されている。ヘリウム圧縮機28は、クライオポンプ26を介して、真空排気用ライン24と接続されている。
クライオポンプ26、及びヘリウム圧縮機28は、真空容器15内を真空引きするためのポンプである。
【0037】
上記ターボ分子ポンプ21、油回転ポンプ23、クライオポンプ26、及びヘリウム圧縮機28を用いることで、真空容器15内の真空度は、例えば、1×10−4Pa程度とされる。
なお、第1の実施の形態の宇宙環境試験装置10において、クライオポンプ26及びヘリウム圧縮機28を構成要素から除き、ターボ分子ポンプ21及び油回転ポンプ23のみを用いて真空引きを行ってもよい。この場合の真空容器15内の真空度は、例えば、1×10−3Pa程度にすることができる。
【0038】
第1のシュラウド31は、X方向に延在する二重円筒構造とされており、第1の円筒部材(図示せず)と、隙間を介在させた状態で該第1の円筒部材の外側に配置された第2の円筒部材(図示せず)と、第1の円筒部材と第2の円筒部材との間に配置され、かつ冷媒(例えば、液体窒素)が充填された筒状空間(図示せず)と、を有する。
第1のシュラウド31の外径R2(言い換えれば、第2の円筒部材(図示せず)の外径)は、真空容器15の内径R1よりも小さくなるように構成されている。
第1のシュラウド31は、例えば、その中心軸(図示していないX方向に延在する中心軸)が真空容器15のX方向に延在する中心軸(図示せず)と一致するように、真空容器15内に収容されている。
【0039】
第1のシュラウド31は、第1のシュラウド31と真空容器15との間に配置された支持部材(図示せず)を介して、真空容器15に支持されている。
第1のシュラウド31は、第1の貫通部15Aと対向する位置に設けられた第2の貫通部31Aを有する。第2の貫通部31Aは、冷凍機56を構成するディスプレーサ56−2を挿入させるための穴である。
【0040】
第1のシュラウド31のX方向に位置する両端は、開放端とされている。これにより、第1のシュラウド31内に形成された空間(円柱形状とされた空間)の真空度は、真空容器15内の真空度と略等しくなる。
第1のシュラウド31は、筒状空間に充填された冷媒(例えば、液体窒素)により、80K程度の温度まで冷却される。これにより、第1のシュラウド31内に形成された空間も80K程度の温度まで冷却される。
【0041】
真空容器15の内径R1が50cmの場合、第1のシュラウド31の外径R2は、例えば、42.7cmとすることができる。このとき、第1のシュラウド31の厚さは、例えば、27mmとすることができる。
また、第1のシュラウド31の材料としては、100K以下の温度において、熱伝導率が80W/(m・K)以上を有する材料が好ましい。このように、第1のシュラウド31の材料として、100K以下の温度において、熱伝導率が80W/(m・K)以上を有する材料を用いることで、筒状空間に充填された冷媒の量が減少した場合でも第1のシュラウド31全体を均一に冷却することができる。このような材料としては、例えば、銅やアルミニウム等を用いることができる。
【0042】
冷媒導入部33は、冷媒導入部本体33−1と、冷媒導入部33−2と、冷媒導出部33−3と、を有する。
冷媒導入部本体33−1は、真空容器15上に配置された第1の部分と、第1の部分の下端に配置され、真空容器15を貫通することで、第1のシュラウド31と接続された第2の部分と、を有する。
【0043】
冷媒導入部33−2は、一部が冷媒導入部本体33−1から上方に突出しており、残りの部分が冷媒導入部本体33−1内に配置されている。冷媒導入部33−2は、その一端が冷媒供給ライン35と接続されており、他端が冷媒用配管(図示せず)の一端と接続されている。
冷媒導出部33−3は、一部が冷媒導入部本体33−1から上方に突出しており、残りの部分が冷媒導入部本体33−1内に配置されている。冷媒導出部33−3は、その一端が冷媒導出ライン36と接続されており、他端が冷媒用配管(図示せず)の他端と接続されている。
【0044】
冷媒供給ライン35は、その一端が冷媒供給源38と接続されている。冷媒供給ライン35は、冷媒用配管(図示せず)を介して、冷媒供給源38から供給された冷媒を第1のシュラウド31の筒状空間(図示せず)に供給する。
冷媒導出ライン36は、その一端が冷媒導出部33−3と接続されている。冷媒導出ライン36は、冷媒導出部33−3を介して、第1のシュラウド31の冷却に寄与した冷媒を真空容器15の外に導出するためのラインである。
冷媒供給源38は、第1のシュラウド31を冷却する冷媒を供給する。該冷媒としては、例えば、液体窒素を用いることができる。
【0045】
第2のシュラウド42は、X方向に延在する円筒状部材42−1と、一対の閉塞用板部42−2と、を有する。一対の閉塞用板部42−2は、開放端とされた円筒状部材42−1の両端に配置されている。これにより、第2のシュラウド42内は、気密されている。
つまり、第2のシュラウド42は、両端が閉塞端とされた部材である。
第2のシュラウド42の外径R3は、第1のシュラウド31の内径R4(言い換えれば、第1の円筒部材(図示せず)の内径)よりも小さくなるように構成されている。
第2のシュラウド42は、例えば、その中心軸(図示していないX方向に延在する中心軸)が第1のシュラウド31のX方向に延在する中心軸(図示せず)と一致するように、第1のシュラウド31内に収容することができるが、これに限定されない。
X方向における第2のシュラウド42の長さは、X方向における第1のシュラウド31の長さよりも短くなるように構成されている。
【0046】
例えば、真空容器15、第1のシュラウド31、及び第2のシュラウド42は、同心円状に配置することができる。この場合、第2のシュラウド42の外周面の周方向において、第1のシュラウド31と第2のシュラウド42との間隔は等しい。
この場合、第1のシュラウド31と第2のシュラウド42との間隔は、例えば、9.4cmとすることができる。
第2のシュラウド42のX方向に位置する両端は、閉塞端とされている。これにより、第2のシュラウド42内に形成された空間(円柱形状とされた空間)の真空度は、真空容器15内の真空度と略等しくなる。
【0047】
第2のシュラウド42を構成する円筒状部材42−1は、第2の貫通部31Aと対向する位置に設けられた第3の貫通部42Aを有する。
第3の貫通部42Aは、冷凍機56を構成するコールドヘッド56−と接続される接続部材61が装着される穴である。
第2のシュラウド42は、コールドヘッド56−により、第1のシュラウド31の温度(具体的には、80K程度の温度)よりも低い温度(具体的には、10K)まで冷却される。
【0048】
第1のシュラウド31の内径R4が40cmの場合、第2のシュラウド42を構成する円筒状部材42−1の外径R3は、例えば、30.6cmとすることができる。このとき、第2のシュラウド42の厚さは、例えば、6mmとすることができる。
また、第2のシュラウド42の材料としては、100K以下の温度において、熱伝導率が80W/(m・K)以上となるような材料が好ましい。このように、第2のシュラウド42の材料として、100K以下の温度において熱伝導率が80W/(m・K)以上となるような材料を用いることで、第2シュラウド42全体を均一に冷却することができる。このような材料としては、例えば、銅やアルミニウム等を用いることができる。
【0049】
被試験体載置台45は、第2のシュラウド42内に収容されている。被試験体載置台45は、複数の脚部45−1と、平板部45−2と、を有する。
複数の脚部45−1は、その下端が第2のシュラウド42の底部に固定されている。平板部45−2は、複数の脚部45−1の上端と接続されている。平板部45−2は、被試験体14が固定されるステージである。
【0050】
図3は、図2に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Cで囲まれた部分を拡大した断面図である。図3において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0051】
図1図3を参照するに、リング状部材47は、第2のシュラウド42を構成する円筒状部材42−1の外周面に配置されている。リング状部材47は、X方向に対して所定の間隔で複数(図1の場合、4つ)配置されている。
これにより、複数のリング状部材47は、円筒状部材42−1の外周面から離間する円筒状部材42−1の半径方向に突出している。
【0052】
リング状部材47は、一対の切欠き部47Aを有する。一対の切欠き部47Aは、リング状部材47の下部(具体的には、リング状部材47の下部のうち、被試験体載置台45の下方に位置する部分)に配置されている。
一対の切欠き部47Aは、第2のシュラウド42に到達しないように設けられている。 一対の切欠き部47Aは、断熱部材51が配置される部分である。第2のシュラウド42は、複数のリング状部材47に設けられた一対の切欠き部47Aに配置された断熱部材51、及び断熱部材51と接触するシュラウド支持部材49を介して、第1のシュラウド31に支持されている。
【0053】
このように、第2のシュラウド42の外周面のX方向に対して複数のリング状部材47を配置し、複数のリング状部材47の下部に、第2のシュラウド42を支持する際に使用する一対の切欠き部47Aを設けることで、第2のシュラウド42と断熱部材51を接触させることなく、の厚さを部分的に薄くすることなく、第2のシュラウド42を断熱部材51の上部に設けることが可能となる。
このように、第1のシュラウド31と第2のシュラウド42とが直接接触しない構造とすることで、第1のシュラウド31から第2のシュラウド42への熱的な影響を抑制することができる。
【0054】
円筒状部材42−1の外径R3が30.6cmの場合、リング状部材47の内径とリング状部材47の外径との差(言い換えれば、リング状部材47の突出量)は、例えば、29mmとすることができる。このとき、X方向におけるリング状部材47の厚さは、例えば、6mmとすることができる。
また、リング状部材47の材料としては、例えば、第2のシュラウド42を構成する材料と同様な材料を用いることが可能であり、好ましくは、第2のシュラウド42を構成する材料と同一の材料を用いることが好ましい。
このように、第2のシュラウド42を構成する材料と同一の材料を用いてリング状部材47を構成することで、極低温となるように第2のシュラウド42を冷却した際、第2のシュラウド42及びリング状部材47の熱的性質が同一であるため、第2のシュラウド42が変形することを抑制できる。
【0055】
なお、図1では、一例として、X方向に4つのリング状部材47を配置させた場合を例に挙げたが、X方向に配置するリング状部材47の数は、X方向における第2のシュラウド42の長さ(言い換えれば、円筒状部材42−1の長さ)や第2のシュラウド42の重さに応じて、適宜選択することができ、4つに限定されない。
また、一対の切欠き部47を配設位置や形状についても、図1に示す一対の切欠き部47を配設位置や形状に限定されない。
【0056】
図2及び図3を参照するに、シュラウド支持部材49は、Z方向において切欠き部47Aと対向するように、第1のシュラウド31の内面に固定されている。
シュラウド支持部材49は、その角部(断熱部材51と接触する角部)が切欠き部47Aの角部(角度が90度とされた角部)よりも外側に位置するように配置されている。シュラウド支持部材49は、第1のシュラウド31のX方向に延在して配置されている。
シュラウド支持部材49は、切欠き部47Aに配置された断熱部材51と接触している。シュラウド支持部材49は、断熱部材51及びリング状部材47を介して、第2のシュラウド42を支持している。
【0057】
このように、切欠き部47Aが設けられた位置のみで、第2のシュラウド42を支持することで、第1のシュラウド31よりも低い温度まで冷却される第2のシュラウド42の冷熱が第2のシュラウド42以外の他の部材に逃げることを抑制可能となる。
これにより、第2のシュラウド42内に形成される模擬宇宙空間の温度が10K以下となるように、第2のシュラウド42を安定して冷却することができる。
【0058】
さらに、切欠き部47Aに配置された断熱部材51を介して、シュラウド支持部材49が第2のシュラウド42を支持することで、第2のシュラウド42の冷熱がシュラウド支持部材49に伝わりにくくなるため、第2のシュラウド42をさらに安定して冷却することができる。
【0059】
シュラウド支持部材49の材料としては、例えば、第1のシュラウド31を構成する材料と同様な材料を用いることが可能であり、好ましくは、第1のシュラウド31を構成する材料と同一の材料を用いるとよい。
このように、シュラウド支持部材49の材料として、第1のシュラウド31を構成する材料と同一の材料を用いることで、シュラウド支持部材49及び第1のシュラウド31の熱的性質が同一となるため、極低温となるように第1のシュラウド31を冷却した際、第1のシュラウド31が変形することを抑制できる。
【0060】
断熱部材51は、先に説明したように切欠き部47Aに配置されている。断熱部材51の形状は、シュラウド支持部材49の角部に対応した形状であると共に、シュラウド支持部材49とリング状部材47とが接触しないような形状とされている。
断熱部材51の材料としては、例えば、100K以下の温度において、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下となるような材料が好ましい。このように、断熱部材51の材料として熱伝導率が0.4W/(m・K)以下となるような材料を用いることで、第1のシュラウド31から第2のシュラウド42への熱的影響を抑制できる。このような材料としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂を用いることができる。
【0061】
図4は、図2に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Dで囲まれた部分を拡大した図である。図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0062】
図1図2、及び図4を参照するに、第1のベローズ取付用部材53は、第1の貫通部15Aに配置されており、真空容器15に固定されている。第1のベローズ取付用部材53は、ベローズ65を構成する第1のフランジ部71を固定するための板状の部材(例えば、フランジ)である。第1のベローズ取付用部材53は、その中央部に冷凍機56のディスプレーサ56−2を挿入させるための貫通穴(図示せず)を有する。
【0063】
貫通用円筒部材54は、下方(Z方向)に延在しており、第1のシュラウド31に設けられた第2の貫通部31Aを貫通している。貫通用円筒部材54の外周側面は、第1のシュラウド31に設けられた第2の貫通部31Aを区画する第1のシュラウド31と接続されている。
貫通用円筒部材54の内径は、貫通用円筒部材54内に収容されるディスプレーサ56−2の外径よりも大きくなるように構成されている。これにより、貫通用円筒部材54とディスプレーサ56−2との間には、円筒状の空間が形成されている。
【0064】
冷凍機56は、冷凍機本体56−1と、ディスプレーサ56−2と、コールドヘッド56−3と、を有する。
冷凍機本体56−1は、真空容器15の外側に配置されている。冷凍機本体56−1は、ヘリウムガスが導入されるヘリウムガス導入口56−1Aと、ヘリウムガスが導出されるヘリウムガス導出口56−1Bと、を有する。
ディスプレーサ56−2は、その一端(上端)が冷凍機本体56−1と接続されている。ディスプレーサ56−2は、その一部が第1のベローズ取付用部材53に設けられた貫通穴(図示せず)、及び貫通用円筒部材54内に収容されている。
コールドヘッド56−3は、ディスプレーサ56−2の他端(下端)に固定されている。コールドヘッド56−3は、接続部材61を介して、第2のシュラウド42と接続されている。
【0065】
上記構成とされた冷凍機56は、接続部材61及び第2のシュラウド42を介して、第2のシュラウド42内に収容された被試験体14を冷却する。
冷凍機56としては、接続部材61及び第2のシュラウド42を介して、第2のシュラウド42内の模擬宇宙空間を10K以下(言い換えれば、被試験体14を10K以下)まで)まで冷却することが可能なものであればよい。
具体的には、冷凍機56としては、例えば、パルスチューブ冷凍機、GM冷凍機(ギフォード・マクマホン冷凍機)、及びGM−JT冷凍機等を用いることができるが、パルスチューブ冷凍機が好ましい。
パルスチューブ冷凍機は、他の冷凍機と比較して振動が小さく、振動要求が厳しい被試験体に好適である。
【0066】
第2のベローズ取付用部材58は、冷凍機本体56−1の下端に固定されている。第2のベローズ取付用部材58は、ベローズ65を構成する第2のフランジ部72が固定される板状の部材(例えば、フランジ)である。
第2のベローズ取付用部材58は、ボルト66の雄ねじ部(図4参照)と螺合される複数の雌ねじ部(図示せず)を有する。
【0067】
図5は、図2に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Eで囲まれた部分を拡大した図である。図5において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0068】
図1図2、及び図5を参照するに、接続部材61は、板状部61Aと、突出部61Bと、を有する。
板状部61Aは、第3の貫通部を塞ぐように、円筒状部材42−1上に配置されている。つまり、板状部61Aは、第2のシュラウド42の外側に配置されている。板状部61Aは、コールドヘッド56−3が接続される平坦なヘッド接続面61a(上面)を有する。
上記説明したように、コールドヘッド56−3は、接続部材61を介して、第2のシュラウド42と接触し、冷凍機56は、第2のシュラウド42により支持されている。
【0069】
ヘッド接続面61a、及びヘッド接続面61aと対向するコールドヘッド56−3の面には、インジウム層(図示せず)を配置させるとよい。このように、該インジウム層を介して、板状部61Aのヘッド接続面61aにコールドヘッド56−3を接続させることで、均一で高い熱伝導性を得ることが可能となり、第2のシュラウド42を効率良く冷却することができる。
上記インジウム層は、例えば、コールドヘッド56−3に直接塗布することで形成することが可能である。該インジウム層の厚さは、例えば、0.1mmとすることができる。
【0070】
突出部61Bは、板状部61Aの下端の中央部から下方に突出している。これにより、突出部61Bは、第3の貫通部42Aを貫通し、第2のシュラウド42の内側に突出している。突出部61Bは、板状部61Aと一体に構成されている。突出部61Bの形状は、円柱形状とされている。突出部61Bの直径は、第3の貫通部42Aの直径よりも僅かに小さくなるように構成されている。
【0071】
突出部61Bの外周部のうち、第3の貫通部42Aよりも下方に位置する部分には、雄ねじ部(図示せず)が設けられている。
突出部61Bの外周側面のうち、第2のシュラウド42と接触する部分には、インジウム層(図示せず)を配置させるとよい。このように、突出部61Bの外周側面のうち、第2のシュラウド42と接触する部分にインジウム層(図示せず)を配置させることで、均一で高い熱伝導性を得ることが可能となるので、第2のシュラウド42を効率良く冷却することができる。
【0072】
接続部材固定用部材63は、ナット状の部材であり、雌ねじ部(図示せず)を有する。接続部材固定用部材63は、突出部61Bに設けられた雄ねじ部(図示せず)に螺合されている。これにより、接続部材61は、第2のシュラウド42に固定されている。
【0073】
上記説明した接続部材61、及び接続部材固定用部材63の材料としては、例えば、100K以下の温度において、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料が好ましい。
このように、接続部材61、及び接続部材固定用部材63の材料として、100K以下の温度において、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料を用いることで、コールドヘッド56−3の冷熱を第2のシュラウド42に効率良く伝導させることが可能となるので、第2のシュラウド42を効率良く冷却することができる。このような材料としては、例えば、銅やアルミニウム等を用いることができる。
【0074】
図4を参照するに、ベローズ65は、第1のフランジ部71と、第2のフランジ部72と、ベローズ本体74と、ボルト76と、第1のナット81と、第2のナット82と、第3のナット83と、を有する。
第1のフランジ部71は、円形板状の部材であり、ボルト76を構成する雄ねじ部(雄ねじを有する軸部)と螺合される雌ねじ部(図示していない雌ねじが形成された穴)を複数有する。第1のフランジ部71は、第1のベローズ取付用部材53上に固定されている。
【0075】
第2のフランジ部72は、円形板状の部材であり、ボルト76を構成する雄ねじ部を貫通させる複数の貫通穴72Aと、複数の貫通穴72Aの内側に配置された複数の雌ねじ部(図示せず)と、を有する。
貫通穴72Aは、第1のフランジ部71を構成する雌ねじ部(図示せず)と対向するように配置されている。貫通穴72Aの直径は、ボルト76を構成する雄ねじ部(雄ねじを有する軸部)の直径よりも大きくなるように構成されている。つまり、貫通穴72Aは、ボルト76を構成する雄ねじ部(雄ねじを有する軸部)と接触していない。
【0076】
第2のフランジ部72を構成する複数の雌ねじ部は、第2のベローズ取付用部材58の下方に位置する第2のフランジ部72に設けられている。
第2のフランジ部72を構成する雌ねじ部、及び第2のベローズ取付用部材58を構成する雌ねじ部には、ボルト66が挿入されており、該ボルト66の下端(具体的には、第2のフランジ部72よりも下方に突出したボルト66)にはナット86が締結されている。
これにより、第2のフランジ部72は、第2のベローズ取付用部材58に固定されている。
【0077】
ベローズ本体74は、蛇腹状の筒状部材であり、第1のフランジ部71と第2のフランジ部72との間に配置されている。ベローズ本体74は、その一端が第1のフランジ部71と接続されており、他端が第2のフランジ部72と接続されている。
ボルト76は、第1のフランジ部71の下側から第1のフランジ部71の雌ねじ部に螺合されており、第1のフランジ部71の上方に配置された第2のフランジ部72の貫通穴72Aを貫通している。
【0078】
第1のナット81は、第1のフランジ部71の上面と接触するように、ボルト76の雄ねじ部(図示せず)に螺合されている。これにより、第1のフランジ部71に対して、ボルト76が固定されている。
第2のナット82は、第2のフランジ部72と第1のナット81との間に位置するボルト76の雄ねじ部に螺合されている。第2のナット82は、第2のフランジ部72と接触しないように配置されている。
第1のシュラウド31と第2のシュラウド42とが室温の状態において、第2のフランジ部72と第2のナット82との間隔は、例えば、4mmとすることができる。
【0079】
第3のナット83は、第2のフランジ部72よりも上方であって、かつ第2のフランジ部72と接触しないように、ボルト76の雄ねじ部に螺合されている。
第1のシュラウド31と第2のシュラウド42とが室温の状態において、第2のフランジ部72と第3のナット83との間隔は、例えば、4mmとすることができる。
上記第2及び第3のナット82,83の外径は、貫通穴72Aよりも大きくなるように構成されている。貫通穴72Aの直径が12mmの場合、第2及び第3のナット82,83の外径は、例えば、14mmとすることができる。
【0080】
上記説明したように、ベローズ65を介して、第1のベローズ取付用部材53に冷凍機56を接続させることで、真空容器15に冷凍機56が固定されていない状態となるため、コールドヘッド56−3の冷熱により第2のシュラウド42が熱収縮した場合や、第2のシュラウド42の冷却を停止することで、第2のシュラウド42の温度が上昇して膨張した場合に、Z方向(上下方向)に冷凍機56を移動させることが可能となる。
これにより、第2のシュラウド42の熱収縮や熱膨張により、接続部材61とコールドヘッド56−3との接続部分が破損することを防止できる。
【0081】
図1及び図2を参照するに、ヘリウムガス供給ライン68は、その一端がヘリウムガス供給源69と接続されており、他端がヘリウムガス導入口56−1Aと接続されている。
ヘリウムガス供給源69は、ヘリウムガス供給ライン68、及びヘリウムガス導入口56−1Aを介して、ヘリウムガスを冷凍機56に供給する。
ヘリウムガス戻りライン73は、その一端がヘリウムガス導出口56−1Bと接続されている。ヘリウムガス戻りライン73は、冷凍機56内において、不要となったヘリウムガスを冷凍機56に戻すためのラインである。
【0082】
第1の実施の形態の宇宙環境試験装置によれば、真空容器15内に収容され、両端が開放端とされ、X方向に延在し、かつ内部に冷媒が充填されることで80K程度まで冷却される第1のシュラウド31と、第1のシュラウド31内に収容され、両端が閉塞端とされ、X方向に延在する円筒状の第2のシュラウド42と、第2のシュラウド42内に配置され、被試験体14が載置される被試験体載置台45と、第1のシュラウド31よりも内側に配置され、第2のシュラウド42を介して、被試験体14を冷却するコールドヘッド56−3を含む冷凍機56と、を有することで、コールドヘッド56−3の冷熱により、第2のシュラウド42内に区画された模擬宇宙空間を10K以下の温度にすることが可能となる。
これにより、10K以下の温度とされた模擬宇宙空間において、被試験体14の試験を行うことができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る宇宙環境試験装置の概略構成を模式的に示す図であり、宇宙環境試験装置の一部の構成要素を断面で図示した図である。図6において、図2に示す第1の実施の形態の宇宙環境試験装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
図7は、図6に示す宇宙環境試験装置のうち、領域Fで囲まれた部分を拡大した図である。図7において、図6に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0084】
図6及び図7を参照するに、第2の実施の形態の宇宙環境試験装置90は、第1の実施の形態の宇宙環境試験装置10の構成に、さらに、金属ワイヤ91、及び断熱部材92(第1の断熱部材)を有すること以外は、宇宙環境試験装置10と同様に構成される。
なお、第2の実施の形態では、断熱部材51が「第2の断熱部材」に相当する。
【0085】
金属ワイヤ91は、第2のシュラウド42内に収容されており、一端が被試験体14と接触し、他端が接続部材61を構成する突出部61Bの下面61bと接続されている。
金属ワイヤ91は、接続部材61を介して、コールドヘッド56−3の冷熱を直接被試験体14に伝導させるための部材である。
このように、接続部材61を介して、コールドヘッド56−3の冷熱を直接被試験体14に伝導させる金属ワイヤ91を有することで、被試験体14の冷却を効率良く行うことができる。
【0086】
金属ワイヤ91は、例えば、100K以下の温度において、熱伝導率が80W/(m・K)以上の材料で構成するとよい。このような材料としては、例えば、銅たアルミニウム等を用いることができる。
金属ワイヤ91を銅で構成する場合、金属ワイヤ91の直径は、例えば、3〜6mmの範囲内とすることができる。
【0087】
断熱部材92は、接続部材61、及び接続部材固定用部材63と第2のシュラウド42との間に配置されている。
このように、接続部材61、及び接続部材固定用部材63と第2のシュラウド42との間に断熱部材92を配置することで、コールドヘッド56−3の冷熱が第2のシュラウド42に伝導されにくくなるので、被試験体14の冷却にコールドヘッド56−3の冷熱を効率良く用いることができる。
【0088】
断熱部材92の材料としては、100K以下の温度において、熱伝導率が0.4W/(m・K)以下となる材料が好ましい。このように、リング状部材47の材料として熱伝導率が0.4W/(m・K)以下となる材料を用いることで、コールドヘッド56−3の冷熱が第2のシュラウド42に伝導されにくくすることができる。このような材料としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂を用いることができる。
また、断熱部材92の厚さは、例えば、5mmとすることができる。
【0089】
第2の実施の形態の宇宙環境試験装置によれば、X方向に延在すると共に、気密された真空容器15と、真空容器15内に収容され、両端が開放端とされ、X方向に延在し、かつ内部に冷媒が充填されることで80K程度まで冷却される第1のシュラウド31と、第1のシュラウド31内に収容され、両端が閉塞端とされ、X方向に延在する円筒状の第2のシュラウド42と、第2のシュラウド42内に配置され、被試験体14が載置される被試験体載置台45と、第1のシュラウド31よりも内側に配置され、第2のシュラウド42とは断熱されたコールドヘッド56−3を含む冷凍機56と、一端が被試験体14と接触し、被試験体14にコールドヘッド56の冷熱を伝導させる金属ワイヤ91と、を有することで、金属ワイヤ91を介して、コールドヘッド56−3の冷熱を直接被試験体14に伝導させることが可能となる。
【0090】
これにより、被試験体14の周囲に位置する模擬宇宙空間の温度を10K以下の温度にすることが可能となるので、10K以下の温度とされた模擬宇宙空間において、被試験体14の試験を行うことができる。
また、金属ワイヤ91を介して、コールドヘッド56−3の冷熱を直接被試験体14に伝導させることで、短時間の装置の駆動で効率良く試験環境を形成することができる。
さらに、図1に示す宇宙環境試験装置10を用いた場合よりも被試験体14の温度を低温にした上で、被試験体14の試験を行うことができる。
【0091】
なお、図6では、金属ワイヤ91と被試験体14との接続の一例として、金属ワイヤ91の一端を被試験体14の上面に接触(接続)させた場合を例に挙げて説明したが、例えば、金属ワイヤ91の長さを長くして、該金属ワイヤ91を被試験体14の周囲に巻回させてもよい。
【0092】
このように、被試験体14の周囲に金属ワイヤ91を巻回させることで、金属ワイヤ91を介して、コールドヘッド56−3に冷却される被試験体14内の温度勾配を小さくすることができる。言い換えれば、被試験体14を均一に冷却することができる。
また、この場合、金属ワイヤ91の一端を被試験体14の上面に接触させた場合と比較して、短時間で、模擬宇宙空間の温度を10Kに到達させることができる。
【0093】
また、図6では、接続部材61と被試験体14とを接続する金属ワイヤ91を1本のみ図示したが、接続部材61と被試験体14とを接続するように、複数の金属ワイヤ91を配置してもよい。
このように、接続部材61と被試験体14とを接続する複数の金属ワイヤ91を設けることで、より短時間で被試験体14を冷却することができる。
また、複数の金属ワイヤ91を設ける場合には、被試験体14の周囲にも金属ワイヤ91を接続(接触)させてもよい。これにより、複数の金属ワイヤ91を介して、コールドヘッド56−3に冷却される被試験体14内の温度勾配を小さくすることができる。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0095】
以下、実施例について説明する。
【0096】
(実施例)
実施例では、図1及び図2に示す宇宙環境試験装置10を用いた。
このとき使用した宇宙環境試験装置10の主要な構成要素の条件、窒素ガス及びヘリウムガスの流量、及び真空度等については、下記条件を用いた。
第1のシュラウド31としては、アルミニウム(A5052)製のシュラウドを用いた。第1のシュラウド31は、外径R2を85.4cm、厚さを27mm、X方向の長さを120cmとした。
【0097】
第2のシュラウド42としては、アルミニウム(A1050)製のシュラウドを用いた。第2のシュラウド42は、外径R3を61.2cm、厚さを6mm、X方向の長さを110cmとした。
第1及び第のシュラウド31,42の上部及び下部には、それぞれ図示していない温度センサ(Lake Shore Cryogenic製のSillcon 600 Series Cu Puckage)を配置した。
【0098】
冷凍機56としては、銅製のパルスチューブ冷凍機である住友重機工業株式会社製のRP−082を用いた。
リング状部材47としては、アルミニウム(A1050)製のリング状部材を用いた。リング状部材47のZ方向の厚さは、29mmとし、X方向の厚さは、6mmとした。
シュラウド支持部材49としては、アルミニウム(A5052)製の支持部材を用いた。断熱部材51の材料としては、ガラスエポキシ樹脂を用いた。
【0099】
冷媒供給ライン35を介して供給する液体窒素の供給量は、100リットル/日(バッチ式)とした。冷凍機本体56−1の冷凍能力は、4.2Kで1Wとした。真空容器15内の真空度は、1.33×10−4Pa(1×10−6Torr)とした。
【0100】
上記条件を用いて、実験開始から63時間経過後までの間、宇宙環境試験装置10を運転させ、その時の温度センサ(図示せず)のデータを取得し、グラフ化した。
この結果を、図8に示す。
【0101】
図8は、経過時間に対する実施例の宇宙環境試験装置の第1及び第2のシュラウドの上部及び下部の温度の推移を示すグラフである。
【0102】
図8を参照するに、58時間経過以降において、第2のシュラウド42の上部及び下部の温度は、ほとんど差がなく、かつ安定して10Kの温度を維持できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、温度が10K以下とされた模擬宇宙空間において、被試験体の試験を行うことの可能な宇宙環境試験装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
10,90…宇宙環境試験装置、11…床面、13…台座、14…被試験体、15…真空容器、15A…第1の貫通部、16…キャスター、17−1,17−2…観察用窓部、18,24…真空排気用ライン、21…ターボ分子ポンプ、23…油回転ポンプ、26…クライオポンプ、28…ヘリウム圧縮機、31…第1のシュラウド、31A…第2の貫通部、33…冷媒導入部、33−1…冷媒導入部本体、33−2…冷媒導入部、33−3…冷媒導出部、35…冷媒供給ライン、36…冷媒導出ライン、38…冷媒供給源、41A…第3の貫通部、42…第2のシュラウド、42A…第3の貫通部、42−1…円筒状部材、42−2…閉塞用板部、45…被試験体載置台、45−1…脚部、45−2…平板部、47…リング状部材、47A…切欠き部、49…シュラウド支持部材、51,92…断熱部材、53…第1のベローズ取付用部材、54…貫通用円筒部材、56…冷凍機、56−1…冷凍機本体、56−1A…ヘリウムガス導入口、56−1B…ヘリウムガス導出口、56−2…ディスプレーサ、56−3…コールドヘッド、58…第2のベローズ取付用部材、61…接続部材、61a…ヘッド接続面、61b…下面、61A…板状部、61B…突出部、63…接続部材固定用部材、65…ベローズ、66,76…ボルト、67…ナット、68…ヘリウムガス供給ライン、69…ヘリウムガス供給源、71…第1のフランジ部、72…第2のフランジ部、72A…貫通穴、73…ヘリウムガス戻りライン、74…ベローズ本体、81…第1のナット、82…第2のナット、83…第3のナット、91…金属ワイヤ、R1,R4…内径、R2,R3…外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8