【文献】
三島 圭一, 加藤 直行, 廣川 佐千男,初等幾何推論の多面的表示方式,1999年度 人工知能学会全国大会(第13回)論文集,1999年,第81-83頁
【文献】
IBM 数学ラボ・シリーズ 平面幾何編 GeoBlock,日本アイ・ビー・エム株式会社,1992年 5月,第42,46,94-96頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態の一例を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0011】
[構成]
図1は、本実施の形態における表示端末1の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、本実施の形態における表示端末1は、表示部21と、入力部22と、記憶媒体読取部23と、記憶部24と、CPU25等とを備えて構成されている。
【0012】
表示部21は、ディスプレイ210を備えており、CPU25から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ210に表示するようになっている。なお、本実施の形態におけるディスプレイ210は、いわゆるタッチパネル221と一体的に形成されており、ユーザによるタッチ操作を受け付け可能となっている。
【0013】
入力部22は、キー群220や上述のタッチパネル221を備えており、押下されたキーの種類やタッチパネル221の位置に対応する信号をCPU25に出力するようになっている。
【0014】
記憶媒体読取部23は、SDカード等の外部記憶媒体23aから情報を読み出したり、当該外部記憶媒体23aに情報を記録したりするようになっている。
【0015】
記憶部24は、表示端末1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するとともに、CPU25の作業領域として機能するメモリである。本実施の形態においては、記憶部24は、本発明に係る図形表示プログラム240と、教材データベース241等とを記憶している。
【0016】
図形表示プログラム240は、後述の図形表示処理(
図2参照)をCPU25に実行させるためのプログラムである。
教材データベース241は、複数の教材のデータを記憶している。
【0017】
CPU25は、表示端末1の各部を中央制御する。具体的には、CPU25は、記憶部24に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0018】
[図形表示処理]
続いて、表示端末1によって実行される図形表示処理について、
図2を参照しつつ説明する。
【0019】
図2は、図形表示処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、この図形表示処理は、ユーザにより入力部22を介して図形表示処理の実行指示が入力されると、記憶部24から図形表示プログラム240が読み出されて適宜展開される結果、当該図形表示プログラム240とCPU25との協働によって実行される。
【0020】
この図に示すように、図形表示処理においては、まずCPU25は、幾何の図形問題に関する教材を指定する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS1)。
【0021】
このステップS1において図形に関する教材を指定する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS1;Yes)には、CPU25は、ディスプレイ210に図形エリア210aとテキストエリア210bとを形成するとともに、これらの手前側に教材表示ウィンドウWを表示させた後(
図4(a)参照)、指定された教材(以下、指定教材とする)を教材データベース241から読み出して教材表示ウィンドウWに表示させ(ステップS2)、ステップS1に移行する。
【0022】
また、ステップS1において図形に関する教材を指定する旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS1;No)には、CPU25は、図形を描画する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS3)。
【0023】
このステップS3において図形を描画する旨のユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS3;Yes)には、CPU25は、指定教材を解くためにユーザ操作に応じて描画される図形(以下、ユーザ描画図形とする)を図形エリア210aに表示させた後(ステップS4)、ステップS1に移行する。なお、ユーザ描画図形には、交点や頂点、円の中心など、図形中の特徴点の符号が含まれており、CPU25は各符号の記載位置に最も近い特徴点を、当該符号の対象として認識するようになっている。
【0024】
また、ステップS3において図形を描画する旨のユーザ操作が行われないと判定した場合(ステップS3;No)には、CPU25は、指定教材の図形(以下、教材図形とする)についての仮定式を入力する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS11)。
【0025】
このステップS11において仮定式を入力する旨のユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS11;Yes)には、CPU25は、ユーザ操作に応じて入力される仮定式を所定の色(ここでは赤色)でテキストエリア210bに識別表示させるとともに、当該仮定式の対応部分をユーザ描画図形内で検知する(ステップS12)。なお、このステップS12においてユーザは、図形中の部分(辺や角など)についての比の式(以下、比式という)を、仮定式として入力しても良い。
【0026】
次に、CPU25は、対応図形部分エラー判断処理を行う(ステップS13)。
具体的には、
図3に示すように、この対応図形部分エラー判断処理においてCPU25は、仮定式の対応部分がユーザ描画図形に存在するか否か、より具体的には仮定式内の各符号がユーザ描画図形内で定義されているか否かを判定し(ステップT1)、対応部分が存在する(各符号が定義されている)と判定した場合(ステップT1;Yes)には後述のステップT3に移行する。
【0027】
また、ステップT1において仮定式の対応部分がユーザ描画図形に存在しない(各符号が定義されていない)と判定した場合(ステップT1;No)には、CPU25は、その旨のエラーメッセージ(以下、図形定義エラーメッセージM1とする。
図5(a)参照)をディスプレイ210に表示させるとともに、未定義の符号の対応部分をユーザ操作に応じてユーザ描画図形内に形成する(ステップT2)。
【0028】
次に、CPU25は、ユーザ描画図形内の合同図形部分または相似図形部分における少なくとも2つの角について仮定式が入力されており、かつ、当該仮定式内で、これらの角を表すための符号の並び順が逆であるか否かを判定し(ステップT3)、角についての仮定式が入力されていない場合や、符号の並び順が逆でない場合(ステップT3;No)には対応図形部分エラー判断処理を終了する。
【0029】
また、ステップT3において合同図形部分または相似図形部分の少なくとも2つの角について仮定式が入力されており、かつ、当該仮定式内で、これらの角を表すための符号の並び順が逆であると判定した場合(ステップT3;Yes)には、CPU25は、その旨のエラーメッセージ(以下、符号順序エラーメッセージM2とする。
図6(a)参照)と、当該並び順を訂正するか否かの質問メッセージM3とをディスプレイ210に表示させ、訂正する旨のユーザ操作に応じて並び順を訂正した後(ステップT4)、対応図形部分エラー判断処理を終了する。なお、ステップT4においてCPU25は、ユーザが並び順を訂正しない旨の操作を行った場合には、並び順を訂正せずに対応図形部分エラー判断処理を終了する。
【0030】
以上のステップS13における対応図形部分エラー判断処理が終了したら、
図2に示すように、次にCPU25は、仮定式の対応部分をユーザ描画図形内で改めて検知し、当該対応部分を当該仮定式に合致するよう変形するとともに、当該仮定式で表される内容をユーザ描画図形中に図示して仮定式と同じ色(ここでは赤色)で識別表示し(ステップS14)、上述のステップS1に移行する。なお、このステップS14と、後述のステップS24,S34とにおいて、式が比式である場合には、CPU25は、ユーザ描画図形における比式の対応部分を、当該比式に合致するよう変形するとともに、当該比式の各項の数値をユーザ描画図形における対応部分に比式毎のマーク(○▽等)内に図示するようになっている。
【0031】
また、上述のステップS11において仮定式を入力する旨のユーザ操作が行われないと判定した場合(ステップS11;No)には、CPU25は、教材図形についての証明過程式を入力する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS21)。
【0032】
このステップS21において証明過程式を入力する旨のユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS21;Yes)には、CPU25は、ユーザ操作に応じて入力される証明過程式を所定の色(ここでは青色)でテキストエリア210bに識別表示させるとともに、当該証明過程式の対応部分をユーザ描画図形内で検知した後(ステップS22)、上述のステップS13と同様の対応図形部分エラー判断処理を行う(ステップS23)。なお、ステップS22においてユーザは、図形中の部分についての比式を、証明過程式として入力しても良い。また、ステップS23の対応図形エラー判断処理においてCPU25は、仮定式の代わりに証明過程式を用いる。
【0033】
そして、ステップS23における対応図形部分エラー判断処理が終了したら、次にCPU25は、証明過程式の対応部分をユーザ描画図形内で改めて検知し、当該対応部分を当該証明過程式に合致するよう変形するとともに、当該証明過程式で表される内容をユーザ描画図形中に図示して証明過程式と同じ色(ここでは青色)で識別表示し(ステップS24)、上述のステップS1に移行する。
【0034】
また、上述のステップS21において証明過程式を入力する旨のユーザ操作が行われないと判定した場合(ステップS21;No)には、CPU25は、教材図形についての結論式を入力する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS31)。
【0035】
このステップS31において結論式を入力する旨のユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS31;Yes)には、CPU25は、ユーザ操作に応じて入力される結論式を所定の色(ここでは緑色)でテキストエリア210bに識別表示させるとともに、当該結論式の対応部分をユーザ描画図形内で検知した後(ステップS32)、上述のステップS13と同様の対応図形部分エラー判断処理を行う(ステップS33)。なお、ステップS32においてユーザは、図形中の部分についての比式を、結論式として入力しても良い。また、ステップS33の対応図形エラー判断処理においてCPU25は、仮定式の代わりに結論式を用いる。
【0036】
そして、ステップS33における対応図形部分エラー判断処理が終了したら、次にCPU25は、結論式の対応部分をユーザ描画図形内で改めて検知し、当該対応部分を当該結論式に合致するよう変形するとともに、当該結論式で表される内容をユーザ描画図形中に図示して結論式と同じ色(ここでは緑色)で識別表示し(ステップS34)、上述のステップS1に移行する。
【0037】
また、上述のステップS31において結論式を入力する旨のユーザ操作が行われないと判定した場合(ステップS31;No)には、CPU25は、仮定式、証明過程式、及び結論式の少なくとも1つとして比式が入力されており、かつ、この比式内の数値を整理する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS41)。
【0038】
このステップS41において比式が入力されており、かつ、数値を整理する旨のユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS41;Yes)には、CPU25は、比式が複数入力されているか否かを判定し(ステップS42)、複数入力されていないと判定した場合(ステップS42;No)にはステップS1に移行する。
【0039】
また、ステップS42において比式が複数入力されていると判定した場合(ステップS42;Yes)には、CPU25は、比式の間で数値の整理が可能であるか否か、より具体的には、入力済みの複数の比式のうち、少なくとも2つの比式で、図形中の部分を表す項が共通するか否かを判定する(ステップS43)。
【0040】
このステップS43において入力済みの複数の比式における何れの2つの比式でも、図形中の部分を表す項が共通しないと判定した場合(ステップS43;No)には、CPU25は、ステップS1に移行する。
【0041】
また、ステップS43において入力済みの複数の比式のうち、少なくとも2つの比式で、図形中の部分を表す項が共通すると判定した場合(ステップS43;Yes)には、CPU25は、ユーザ操作に応じて比の項の数値を整理して、図形エリア210aにおける比の項の数値を更新した後(ステップS44)、ステップS1に移行する。ここで比の項の数値を整理するとは、関係する各比式の各項の数値を、共通の比式中の項の数値(たとえば後述の
図9(b)では、AD:GF:EG:BC=x:y:z:wとなるx,y,z,w)とするように比式中の項の各数値を整数倍することをいう。具体的には
図9(b)中のAD:GF=4:3に合わせて、ADの比の項の数値が4に設定される。次にAD:BC=1:2よりBCの比の項の数値が8に設定される。さらにEG:BC=1:4よりEGの比の項の数値が2に設定される。これらの各値は、共通の比式の値(共通の比式「AD:GF:EG:BC=4:3:2:8」の各値「4,3,2,8」)として、○で囲った数値で図形中の対応する各位置に表示される。
【0042】
また、上述のステップS41において比式が入力されていないと判定した場合や、比式内の項の数値を整理する旨のユーザ操作が行われないと判定した場合(ステップS41;No)には、CPU25は、他の処理を実行する旨のユーザ操作が行われるか否かを判定する(ステップS51)。
【0043】
そして、このステップS51において他の処理を実行する旨のユーザ操作が行われないと判定した場合(ステップS51;No)には、CPU25は、ステップS1に移行する一方、行われたと判定した場合(ステップS51;Yes)には他の処理へ移行する。
【0044】
[動作例]
続いて、図面を参照しつつ、上述した表示端末1の動作を具体的に説明する。但し、以下の動作例で参照する図では、赤色で表示されている文字や図形部分を白抜きして実線で図示している。同様に、青色で表示されている文字や図形部分を白抜きして破線で図示しており、緑色で表示されている文字や図形部分を、中抜きして実線で図示するとともに、内部に斜線のハッチングを施している。
【0045】
(動作例1)
まず図形の証明問題の教材を指定する旨の操作をユーザが行うと(ステップS1;Yes)、
図4(a)に示すように、ディスプレイ210に図形エリア210aとテキストエリア210bとが形成されるとともに、これらの手前側に教材表示ウィンドウWが表示され、この教材表示ウィンドウWに指定教材が表示される(ステップS2)。
【0046】
次に、図形を描画する旨の操作をユーザが行うと(ステップS3;Yes)、ユーザ操作に応じて描画されるユーザ描画図形が図形エリア210aに表示される(ステップS4)。なお、このユーザ描画図形は、厳密には教材表示ウィンドウW内の教材図形とは形が異なっていても良い。
【0047】
次に、仮定式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS11;Yes)、
図4(b)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される仮定式「∠BPA=∠AQC=90°(仮定)」が赤色でテキストエリア210bに識別表示される(ステップS12)。なお、本動作例では、ユーザが式を入力すると、その式の番号が自動的に式の末尾に付加されるようになっている。
【0048】
そして、仮定式「∠BPA=∠AQC=90°(仮定)」の対応部分「∠BPA」,「∠AQC」がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該仮定式に合致するよう変形されるとともに、当該仮定式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて赤色で識別表示される。具体的には、図形中の∠BPAの部分と∠AQCの部分とに□(直角マーク)が赤色で識別表示され、等角記号がそれぞれの□(直角マーク)に付される(ステップS14)。
【0049】
次に、仮定式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS11;Yes)、
図5(a)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される仮定式「∠a=90°(仮定)」が赤色でテキストエリア210bに識別表示されるとともに、当該仮定式の対応部分「∠a」がユーザ描画図形内で検知される(ステップS12)。
【0050】
次に、仮定式「∠a=90°(仮定)」の対応部分がユーザ描画図形に存在しない(仮定式内の符号「a」が定義されていない)と判定され(ステップT1;No)、図形定義エラーメッセージM1がディスプレイ210に表示されるとともに、
図5(b)に示すように、未定義の符号「a」の対応部分がユーザ操作に応じてユーザ描画図形内に形成される(ステップT2)。なお、本動作例においては、図形定義エラーメッセージM1や符号順序エラーメッセージM2と、式中のエラー箇所とは、同一色(例えば黄色など)でマーカ表示されるようになっている。
【0051】
そして、仮定式「∠a=90°(仮定)」の対応部分「∠a」がユーザ描画図形内で改めて検知され、当該対応部分が当該仮定式に合致するよう変形されるとともに、当該仮定式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて赤色で識別表示される(図中の直角記号を参照。ステップS14)。なお、本動作例では、「∠a」がユーザ描画図形内で改めて描画されたときに、「∠a」と「∠BAC」とが同じ部分であることが検知されるため、仮定式「∠a=90°(仮定)」内に「=∠BAC」が追加されている。
【0052】
次に、仮定式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS11;Yes)、ユーザ操作に応じて入力される仮定式「BA=CA(仮定)」が赤色でテキストエリア210bに識別表示される(ステップS12)。
【0053】
そして、仮定式「BA=CA(仮定)」の対応部分「BA」,「CA」がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該仮定式に合致するよう変形されるとともに、当該仮定式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて赤色で識別表示される。具体的には辺BA、辺CAが赤色で識別表示され等長記号が表示される(ステップS14)。
【0054】
次に、証明過程式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図6(a)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される証明過程式「∠PBA=∠CAQ」が青色でテキストエリア210bに識別表示されるとともに、当該証明過程式の対応部分がユーザ描画図形内で検知される(ステップS22)。
【0055】
次に、ユーザ描画図形内の相似図形部分(△ABPと△CAQ)における2つの角「∠PBA」,「∠CAQ」について証明過程式が入力されており、かつ、当該証明過程式「∠PBA=∠CAQ」内で、これらの角を表すための符号の並び順が逆であると判定され(ステップT3;Yes)、符号順序エラーメッセージM2と、訂正するか否かの質問メッセージM3とがディスプレイ210に表示される。
【0056】
次に、訂正する旨の操作をユーザが行うと、
図6(b)に示すように、「∠CAQ」の符号の並び順が「∠QAC」に訂正される(ステップT4)
【0057】
そして、証明過程式「∠PBA=∠QAC」の対応部分がユーザ描画図形内で改めて検知され、当該対応部分が当該証明過程式に合致するよう変形されるとともに、当該証明過程式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて青色で識別表示される。具体的には、図形中の∠PBAの部分と∠QACの部分とに等角記号が付されて青色で識別表示される(ステップS24)。
【0058】
次に、証明過程式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、ユーザ操作に応じて入力される証明過程式「△PBA=△QAC」が青色でテキストエリア210bに識別表示されるとともに、当該証明過程式の対応部分がユーザ描画図形内で検知される(ステップS22)。
【0059】
そして、証明過程式「△PBA≡△QAC」の対応部分「△PBA」,「△QAC」がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該証明過程式に合致するよう変形されるとともに、当該証明過程式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて青色で識別表示される。具体的には、△PBAと△PBAとの内側に、合同を示すひとまわり小さな三角形が描画され青色で識別表示される(ステップS24)。
【0060】
同様に、証明過程式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図7(a)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される証明過程式「PA=QC」,「PB=QA」が青色でテキストエリア210bに識別表示されるとともに、当該証明過程式の対応部分がユーザ描画図形内で検知される(ステップS22)。
【0061】
そして、証明過程式「PA=QC」,「PB=QA」の対応部分がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該証明過程式に合致するよう変形されるとともに、当該証明過程式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて青色で識別表示される。具体的には、辺PAと辺QCとに等長記号△が付され、辺PBと辺QAとに等長記号※が付され、それぞれ青色で識別表示される(ステップS24)。
【0062】
次に、結論式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS31;Yes)、
図7(b)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される結論式「PQ=PB+QC(結論)」が緑色でテキストエリア210bに識別表示される。
【0063】
そして、結論式「PQ=PB+QC(結論)」の対応部分がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該結論式に合致するよう変形されるとともに、当該結論式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて緑色で識別表示される。具体的には、辺PQの近傍に横縞模様の太線が描画され、対応関係にある辺PBと辺QCの近傍に斜め縞模様の太線が描画されて、それぞれ緑色で識別表示される(ステップS34)。
【0064】
(動作例2)
まず図形の計算問題の教材を指定する旨の操作をユーザが行うと(ステップS1;Yes)、
図8(a)に示すように、ディスプレイ210に図形エリア210aとテキストエリア210bとが形成されるとともに、これらの手前側に教材表示ウィンドウWが表示され、この教材表示ウィンドウWに指定教材が表示される(ステップS2)。
【0065】
次に、図形を描画する旨の操作をユーザが行うと(ステップS3;Yes)、ユーザ操作に応じて描画されるユーザ描画図形が図形エリア210aに表示される(ステップS4)。
【0066】
次に、仮定式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS11;Yes)、
図8(b)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される仮定式「AD:BC=1:2(仮定)」,「AE:EB=1:3(仮定)」が赤色でテキストエリア210bに識別表示される(ステップS12)。なお、本動作例では、ユーザが式を入力すると、その式の番号が「イ」,「ロ」,…に変換されて自動的に式の末尾に付加されるようになっている。
【0067】
そして、仮定式「AD:BC=1:2(仮定)」,「AE:EB=1:3(仮定)」の対応部分「AD」,「BC」,「AE」,「EB」がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該仮定式に合致するよう変形されるとともに、当該仮定式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて赤色で識別表示される。具体的には、「AD:BC=1:2」に対応して辺AD、辺BCに、同じ比式を示す○マーク内に各項の数値「1」、「2」を記載して赤色で識別表示される。また「AE:EB=1:3」に対応して辺AE、辺EBに、同じ比式を示す□マーク内に各項の数値「1」、「3」を記載して赤色で識別表示される(ステップS14)。
【0068】
次に、証明過程式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、
図9(a)に示すように、ユーザ操作に応じて入力される証明過程式「△AEG∽△ABC」,「EG:BC=1:4」,「△CFG∽△CDA」,「AD:GF=4:3」が青色でテキストエリア210bに識別表示されるとともに、当該証明過程式の対応部分がユーザ描画図形内で検知される(ステップS22)。
【0069】
そして、これらの証明過程式の対応部分がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該証明過程式に合致するよう変形されるとともに、当該証明過程式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて青色で識別表示される。具体的には、「△AEG∽△ABC」に対応して△AEG、△ABCの内側に、相似を示すひとまわり小さな三角形が描画され青色で識別表示される。また「EG:BC=1:4」に対応して辺EG、辺BCに、同じ比式を示す△マーク内に各項の数値「1」、「4」を記載して青色で識別表示される。また「△CFG∽△CDA」に対応して△CFG、△CDAの内側に、相似を示すひとまわり小さな三角形が描画され青色で識別表示される。また「AD:GF=4:3」に対応して辺AD、辺GFに、同じ比式を示す▽マーク内に各項の数値「4」、「3」を記載して青色で識別表示される(ステップS24)。
【0070】
次に、比式の数値を整理する旨の操作をユーザが行うと(ステップS41;Yes)、比式が複数入力されていると判定された後(ステップS42;Yes)、入力済みの複数の比式のうち、2つの比式「AD:BC=1:2(仮定)」,「EG:BC=1:4」,「AD:GF=4:3」で、図形中の部分を表す項「AD」,「BC」が共通すると判定され(ステップS43;Yes)、比の値を整理して良いか確認する旨のメッセージM4が表示される。
【0071】
次に、比の値を整理する旨の操作をユーザが行うと、
図9(b)に示すように、
図形エリア210aにおける比の数値が更新される(ステップS44)。
【0072】
次に、結論式を入力する旨の操作をユーザが行うと(ステップS31;Yes)、
図9(b)に示すように関係する各比式の各辺の値が共通の比式中の値(たとえばAD:GF:EG:BC=x:y:z:wとなるx,y,z,w)となるように比の整理処理が行われる。具体的には図中のAD:GF=4:3に合わせて、ADの比の数値が4に設定される。次にAD:BC=1:2よりBCの比の数値が8に設定される。さらにEG:BC=1:4よりEGの比の数値が2に設定される。これらの各値は、共通の比式の値(共通の比式「AD:GF:EG:BC=4:3:2:8」の各値「4,3,2,8」)として、同じ比式を示す○マークで囲った数値で図形中の対応する各位置に表示される。その後ユーザ操作に応じて入力される結論式「AD:EF=4:5(結論)」が緑色でテキストエリア210bに識別表示される。
【0073】
そして、結論式「AD:EF=4:5(結論)」の対応部分がユーザ描画図形内で検知され、当該対応部分が当該結論式に合致するよう変形されるとともに、当該結論式で表される内容がユーザ描画図形中に図示されて緑色で識別表示される。具体的には「AD:EF=4:5」に対応して辺AD、辺EFが緑色で識別表示される(ステップS24)。
【0074】
以上、本実施の形態によれば、
図2のステップS14,S24,S34や
図4〜
図9等に示したように、ユーザ操作に応じて図形についての式が入力されると、当該式に合致するよう式の対応部分が変形されるとともに、当該式で表される内容が図形中に図示して識別表示されるので、表示される図形と、ユーザに入力される式との対応関係を容易に理解させることができる。従って、従来と比較して学習効果を向上させることができる。
【0075】
また、
図3のステップT3〜T4や
図8等に示したように、図形内の合同図形部分または相似図形部分における少なくとも2つの角について式が入力された場合に、当該式内で、これらの角を表すための符号の並び順が逆であるか否かが判定され、並び順が逆であると判定された場合に、その旨のエラーメッセージと、当該並び順を訂正するか否かの質問メッセージとが表示され、並び順を訂正する旨のユーザ操作に応じて、当該並び順が訂正されるので、符号の並び順を間違って式を入力した場合であっても、簡易な操作で並び順を訂正することができる。
【0076】
また、
図3のステップT1〜T2や
図5等に示したように、式の対応部分が図形中に存在しない場合に、その旨のエラーメッセージが表示され、ユーザ操作に応じて当該式の対応部分が当該図形中に形成されるので、図形中で未だ定義されていない部分について式を入力した場合であっても、式の各対応部分を確実に図形中に形成することができる。
【0077】
また、
図2のステップS14,S24,S34や
図8〜
図9等に示したように、図形中の部分について比式が入力されると、当該比式に合致するよう、図形における比式の対応部分が変形されるとともに、比式を示すマークと比式の比の数値とを対応箇所に付加することで当該比式で表される内容が図形中に図示されるので、表示される図形と、ユーザに入力される式との対応関係を容易に理解させることができる。従って、従来と比較して学習効果を向上させることができる。
【0078】
また、
図2のステップS42〜S44や
図9等に示したように、比式が複数入力されており、かつ、これら複数の比式のうち少なくとも2つの比式で、図形中の部分を表す項が共通する場合に、ユーザ操作に応じて比の値が整理されて、改めて当該比式に合致するよう図形における比式の対応部分が変形されるとともに、当該比式で表される内容が図形中に図示されるので、図形内の線同士、角同士の大きさの関係を、容易に把握することができる。従って、いっそう学習効果を向上させることができる。
【0079】
なお、上記の実施の形態における表示端末1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0080】
例えば、本発明に係る図形表示装置を表示端末1として説明したが、本発明が適用可能なものは、このような製品に限定されず、関数電卓、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの電子機器全般に適用可能である。また、本発明に係る図形表示プログラム240は、表示端末1に対して着脱可能なメモリカード、CD等に記憶されることとしてもよい。
【0081】
また、比式が入力された場合には、当該比式の数値がユーザ描画図形における各項の対応部分に図示されることとして説明したが、例えば
図10に示すように、等長記号や等角記号を複数並べることで図示されても良い。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
図形を表示する図形表示手段と、
ユーザ操作に応じて前記図形についての仮定の式を入力する仮定式入力手段と、
前記図形における前記仮定の式の対応部分を、当該仮定の式に合致するよう変形するとともに、当該仮定の式で表される内容を前記図形中に図示して識別表示する図形仮定部分識別表示手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項2>
請求項1記載の図形表示装置において、
前記図形は、証明問題の図形であり、
当該図形表示装置は、
ユーザ操作に応じて、前記図形についての証明過程の式を入力する証明過程式入力手段と、
前記証明過程の式で表される内容を前記図形中に図示して識別表示する図形証明過程部分識別表示手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項3>
請求項2記載の図形表示装置において、
ユーザ操作に応じて、前記図形についての証明の結論の式を入力する結論式入力手段と、
前記結論の式で表される内容を前記図形中に図示して識別表示する図形結論部分識別表示手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項4>
請求項1〜3の何れか一項に記載の図形表示装置において、
前記図形内の合同図形部分または相似図形部分における少なくとも2つの角について前記式が入力された場合に、当該式内で、これらの角を表すための符号の並び順が逆であるか否かを判定する正逆検知手段と、
前記正逆検知手段により並び順が逆であると判定された場合に、その旨のエラーメッセージと、当該並び順を訂正するか否かの質問メッセージとを表示する並び順エラー報知手段と、
前記並び順を訂正する旨のユーザ操作に応じて、当該並び順を訂正する並び順訂正手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項5>
請求項1〜4の何れか一項に記載の図形表示装置において、
前記式の対応部分が前記図形中に存在しない場合に、その旨のエラーメッセージを表示する対応エラー報知手段と、
前記式の対応部分が前記図形中に存在しない旨のエラーメッセージが前記対応エラー報知手段により表示された場合に、ユーザ操作に応じて当該式の対応部分を当該図形中に形成する図形訂正手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項6>
図形を表示する図形表示手段と、
ユーザ操作に応じて前記図形中の部分についての比式を入力する比式入力手段と、
前記図形における前記比式の対応部分を、当該比式に合致するよう変形するとともに、当該比式で表される内容を前記図形中に図示する比情報表示手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項7>
請求項6記載の図形表示装置において、
前記比式が複数入力されており、かつ、これら複数の比式のうち少なくとも2つの比式で、前記図形中の部分を表す項が共通するか否かを判定する比式判定手段と、
前記比式判定手段により前記比式が複数入力されており、かつ、これら複数の比式のうち少なくとも2つの比式で、前記図形中の部分を表す項が共通すると判定された場合に、ユーザ操作に応じて比の値を整理して前記比情報表示手段による表示内容を更新する比情報更新手段と、
を備えることを特徴とする図形表示装置。
<請求項8>
コンピュータに、
図形を表示する図形表示機能と、
ユーザ操作に応じて前記図形についての仮定の式を入力する仮定式入力機能と、
前記図形における前記仮定の式の対応部分を、当該仮定の式に合致するよう変形するとともに、当該仮定の式で表される内容を前記図形中に図示して識別表示する図形仮定部分識別表示機能と、
を実現させることを特徴とする図形表示プログラム。
<請求項9>
コンピュータに、
図形を表示する図形表示機能と、
ユーザ操作に応じて前記図形中の部分についての比式を入力する比式入力機能と、
前記図形における前記比式の対応部分を、当該比式に合致するよう変形するとともに、当該比式で表される内容を前記図形中に図示する比情報表示機能と、
を実現させることを特徴とする図形表示プログラム。