(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第一挿入片の上記第一スリットに対する挿入方向に沿った方向においての長さであって、上記外側パネルでの第一係止手段の位置から上記第二係止手段が係止する位置までの長さと、上記内側パネルでの第二係止手段の位置から第一係止手段が係止する位置までの長さとが同じとされていて、
第一挿入片を第一スリットに挿入し第二挿入片を第二スリットに挿入したときに、第一係止手段による上記第一スリットへの係止と、第二係止手段による上記第二スリットへの係止とが同時となる構成を有している請求項1に記載のカートン。
上記収納部は、板紙シートを被収納物の縦周りに巻き付け、この被収納物の一面側で前記板紙シートの一方の端部とした外側パネルを他方の端部とした内側パネルに重ね合わせ、外側パネルと内側パネルとを連結して筒状に形成してなるものであり、外側パネルと内側パネルとの前記連結により被収納物を保持する請求項1または2に記載のカートン。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数本の容器を列にして並べた形態の被収納物をその縦周りで包み込めるように筒状体の収納部を主体とする巻き付け式のカートンがある。このカートンは、被収納物の縦周りの面に対応して長方形の上面板と前面板と底面板と後面板とを折り部を介して連接した板紙シートからなり、この板紙シートで筒状の収納部を形成している。そして、上述したように被収納物を、ボトル入り清涼飲料水や缶ビール、缶ジュースなどの複数本の容器を列にして並べた状態で纏めたものとし、これを小売店舗などでの店員による手作業で包装できるようにしたものがある。
【0003】
手作業による包装では、板紙シートの一方の端部と他方の端部とを連結する際、糊を用いて貼り合わせたり粘着テープを一方の端部から他方の端部に亘るように貼り付けたりすると、その包装作業が煩雑になる。そのため板紙シートの一方の端部に設けた挿入片を他方の端部に切り込み形成したスリットに差し入れて、両端部を連結するカートンが採用されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、板紙シートの一方の端部と他方の端部とに折り起こす手掛け板を設けるとともに、一方の端部と他方の端部とのそれぞれに被収納物の上面に重ねる舌片を形成し、一方の端部側の舌片中に切り込み形成した挿入片を、他方の端部側の舌片中に切り込み形成したスリットに差し入れて、上下に重なり合う舌片を連結した点が示されている。
【0005】
特許文献2でも、板紙シートの一方の端部に挿入片を突設して、この挿入片を他方の端部に切り込みしたスリットに挿入するようにし、さらに前記スリットの一部分を凸型として小挿入片を設けるとともに、この小挿入片が挿入できる小スリットを前記挿入片に切り込んで形成している技術が示されていて、挿入片のスリットへの挿入と小挿入片の小スリットへの挿入を行ないながら、小スリットの両脇の部分が前記小挿入片の基部上面に重ね乗るようにした点も示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示されている技術のように、板紙シートの一方の端部の挿入片を他方の端部のスリットに挿入することで、板紙シートの端部同士の連結を図る巻き付け式のカートンでは、挿入片が抜ける方向に移動し易いために、板紙シートによる被収納物の巻き締めの度合いが甘くなるという不具合がある。
【0008】
また、この特許文献1では一方の端部に対にして並設された挿入片それぞれの外方側基部に切り欠き状の係止部分を設けて、その係止部分それぞれをスリットの外方側の部分に係止させるようにした構成も示されている。しかし、挿入片の挿入方向においては挿入片とスリットとの係止箇所が一箇所であるため、やはり挿入片の抜けを抑え難く、その挿入片の抜けを確実に防止しようとすると係止部分の形状を大きなものとする必要があり、その場合、手作業による挿入片の挿入作業が困難になる問題を招いてしまう。
【0009】
また、特許文献2の技術は、上述したように小挿入片を小スリットに挿入した部分で、挿入片のスリットに対する抜けを抑止することを図ったものである。しかしながら、小挿入片と小スリットとは共に形状が小さいものであり、挿入片の抜けを抑止する機構を小挿入片と小スリットとに形成していて、その機構が細かな構造となってしまう。そのため手作業で小挿入片を小スリットに挿入していたのでは正確な係止状態を作り難く、そして、小挿入片を小スリットに入れる細かな手作業を行なっているときに逆に挿入片の抜けを招き易く、この板紙シートによる簡易な包装を専用機器を用いて行なう必要がある。
【0010】
そこで本発明では、被収納物の縦周りに巻き付ける板紙シートの一方の端部に第一の挿入片を設け、他方の端部に第一の挿入片を挿入する第一のスリットを設けているとともに、第一の挿入片中に切り込みによる第二のスリットを設け、前記他方の端部の第一のスリットの一部分で第二のスリットに挿入する第二の挿入片を設けて、第一の挿入片を第一のスリットに挿入し、第二の挿入片を第二のスリットに挿入して、板紙シートの一方の端部と他方の端部とが重ね合わされた状態で連結するようにしたカートンにおいて、第一の挿入片の第一のスリットからの抜け、及び第二の挿入片の第二のスリットからの抜けを生じなせないようにすることを課題とし、人手で板紙により被包装物を包み込む作業に適していて、前記重ね合わせ部分での一方の端部と他方の端部との連結を簡易に行なえるカートンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、被収納物を収納する収納部の一面で外側パネルと内側パネルとを重ね合わせたカートンであり、
前記外側パネルは、前記内側パネルに切り込んでなる第一スリットに挿入する第一挿入片を有するとともに、この第一挿入片を切り込んでなる第二スリットを有し、
前記内側パネルは、前記第一スリットの一部を凸型にして形成された舌片であって前記第二スリットに挿入する第二挿入片を有していて、
第一挿入片を第一スリットに挿入し第二挿入片を第二スリットに挿入して前記外側パネルと内側パネルとが重ね合わせられて連結されているカートンにおいて、
前記第一挿入片の側部に、前記第一スリットに係止してこの第一スリットからの第一挿入片の抜けを規制する第一係止手段が設けられているとともに、
前記第二挿入片の側部に、前記第二スリットに係止してこの第二スリットからの第二挿入片の抜けを規制する第二係止手段が設けられて
おり、
前記第一挿入片の側部の近傍位置に、この第一挿入片の基端位置の端部である前記第一係止手段の挿入片中心側の端部から第一挿入片の先端に向けて折り部が設けられていて、第一挿入片での前記折り部からの側部折り曲げにより、第一挿入片の前記第一スリットへの挿入方向に直交する方向での片幅が、第一スリットに挿入容易となる片幅寸法に可変とされていることを特徴とするカートンを提供して、上記課題を解消するものである。
【0012】
(請求項2の発明)
また、本発明では、上記第一挿入片の上記第一スリットに対する挿入方向に沿った方向においての長さであって、上記外側パネルでの第一係止手段の位置から上記第二係止手段が係止する位置までの長さと、上記内側パネルでの第二係止手段の位置から第一係止手段が係止する位置までの長さとが同じとされていて、
第一挿入片を第一スリットに挿入し第二挿入片を第二スリットに挿入したときに、第一係止手段による上記第一スリットへの係止と、第二係止手段による上記第二スリットへの係止とが同時となる構成を有していることが良好である。
【0014】
(請求項
3の発明)
また、本発明では、上記収納部は、板紙シートを被収納物の縦周りに巻き付け、この被収納物の一面側で前記板紙シートの一方の端部とした外側パネルを他方の端部とした内側パネルに重ね合わせ、外側パネルと内側パネルとを連結して筒状に形成してなるものであり、外側パネルと内側パネルとの前記連結により被収納物を保持することが良好である。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、第一挿入片自体に、この第一挿入片が挿入されている第一スリットからの抜けを規制する第一係止手段が設けられているとともに、第一スリット側で形成された第二挿入片自体にも、この第二挿入片が挿入されている第二スリットからの抜けを規制する第二係止手段が設けられており、二つの挿入片それぞれに係止手段を設けていることから、係止手段の構造も簡易なものとすることができる。よって、第一挿入片、第一スリット、第二挿入片、第二スリットそれぞれの形状を複雑なものとせず、手作業で挿入片それぞれのスリットへの挿入がスムーズに行なえるという優れた効果を奏するものである。
そして、第一挿入片の第一スリットへの挿入作業が頗る簡単になるという効果も奏する。
【0016】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、第一挿入片を第一スリットに挿入して第一係止手段での係止と、第二挿入片を第二スリットに挿入して第二係止手段での係止とが同時に行なわれるようにしているので、第一挿入片を第一スリットに挿入し第二挿入片を第二スリットに挿入するときに、第一係止手段と第二係止手段との内のいずれか一方の係止手段のスリットに対する係止関係を成立させながら他方の係止手段のスリットに対する係止関係が成立しないままで、板紙シートの一方の端部と他方の端部との連結作業を終了するということがなくなり、両係止手段を共にスリットに適正に係止させることができるという効果を奏する。
【0018】
(請求項
3の発明の効果)
請求項
3の発明によれば、被収納物をその縦周りに板紙シートを巻き付け、被収納物の一面側で相対した板紙シートの一方の端部と他方の端部とを重ね合わせて連結して、被収納物を収納する収納部を構成しているので、板紙シートを巻き付けて外側パネルと内側パネルとを重ね合わせ連結するという簡易な操作で、被収納物を板紙シートで巻き締めて保持する構成とすることが可能であり、被収納物を確実に保持した包装形態のカートンが手作業にて簡単に形成できる。そして、板紙シートの形状も頗る簡単になり、安価なカートンとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに本発明を
図1から
図8に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は板紙シートにより被収納物を縦周りに取り囲むように筒状形態に形成された巻き付け式のカートンである。図示の実施例において収納する被収納物は、小型の樹脂製広口容器に飲料などを充填して蓋材で封止したボトル製品を三本にして並べ設けられたものが一纏まりとなった形態の物であるが、これに限定されるものではなく、缶ビールのごとくの缶容器が複数並び設けてこれを纏めたものであってもよく、本発明は、これらを一つの商品として販売する場合に用いるカートンに関するものである。
【0021】
本カートン1は、
図1、2に示されているように被収納物の縦周りに対応した筒状形態としてその筒状形態での左右面が開放された筒状の収納部2を備えている。被収納物の上面と前面と底面と後面とに対応するように収納部2は上面部と前面部と底面部と後面部との四方の面を有する角筒状であり、組み上げて巻き付け式のカートン1となる板紙シート3は、以下に示すように収納部2の各面を得るための面板が折り部を介して連接したものである。そして、被収納物を縦周りに巻いてその被収納物の後面側となる部分で、前記板紙シート3の一方の端部を板紙シート3の他方の端部の外面側に重ね合わせて、この一方の端部と他方の端部とを連結することにより、巻き締め状態で被収納物を保持する収納部2を得ている。
【0022】
(板紙シート)
図3は組み上げることで巻き付け式のカートン1となる一枚の板紙シート3をブランクの形態で示している。板紙シート3は、図示されているように後面外側パネル4と上面パネル5と前面パネル6と底面パネル7と後面内側パネル8とを折り部9を介して連接して帯状としたものである。前記後面外側パネル4は、板紙シート3の一方の端部であって被収納物の後面でパネルを重ね合わせしたときに外側とする面板であり、また、前記後面内側パネル8は、板紙シート3の他方の端部であって被収納物の後面でパネルを重ね合わせしたときに内側とする部分がある面板である。
【0023】
(第一挿入片)
上記後面外側パネル4での折り部9とは反対側であって、収納部2の形態においてカートン底部側となる外側辺には、外方(折り部9とは反対側)に向けて突出するように延設された第一挿入片10が設けられている。第一挿入片10は突出先端部11を直線状の端縁にして平頭とされているとともに、突出方向と直交する方向で対向する側部12それぞれの端縁が突出方向に向けて傾斜させている。
【0024】
(第一係止手段)
また、第一挿入片10では、図示されているように側部12での第一挿入片10の基端側が切り欠かれていて、この切り欠きにより、第一挿入片10の基端位置の両端それぞれから挿入片突出方向に向けて起きる傾斜とした端縁(板紙シートの切断端縁)からなる第一係止手段13が設けられており、第一挿入片10の側部12それぞれの基端側に前記第一係止手段13を備えているものとしている。
【0025】
(第一挿入片の片幅可変)
さらに、第一挿入片10では、この第一挿入片10の突出方向(後述の挿入方向)に直交する方向での幅、即ち片幅が、上記第一係止手段13の最外端間の寸法より小さくすることができるように設けられている。この実施の形態の例では、側部12の近傍であって、第一挿入片10の基端位置の端部(第一係止手段13の挿入片中心側の端部)から突出先端部11に向けて折り部14が位置しており、この折り部14から第一係止手段13をも含めて側部12が挿入片中心側に向けて折り畳みでき、第一挿入片10の片幅の寸法が小となるように可変とされているものである。
【0026】
(第二スリット)
第一挿入片10の基端の中央部分には、基端位置を端部とし挿入片突出方向(第一挿入片の挿入方向)に凸の円弧状とした切り込みが入れられていて、この切り込みにより第二スリット15が切り込み形成されている。図示されているように第二スリット15の端部それぞれから挿入片基端の両端にかけて折り部16が入れられており、この折り部16から第一挿入片10を傾斜させるように折ることで前記第二スリット15の位置に開口が形成され、後述する挿入片(第二挿入片)の挿入が容易になるようにしている。
【0027】
なお、折り部16からの第一挿入片10の折りは後述のスリット(第一スリット)への手作業による挿入、及び第二スリットへの後述の第二挿入片の挿入が容易になるように僅かな隙間を形成するためのものであって、前記折り部16の位置からこの第一挿入片10を深く折り曲げることはない。
【0028】
(第一スリット)
カートン1の収納部2の形態では、紙板シート3の他方の端部である上記後面内側パネル8に対して、この後面内側パネル8の外面全面ではなく上部側での外面に上記後面外側パネル4が重ね合わされている。そして、後面内側パネル8には、後面外側パネル4の上記第一挿入片10を挿入する第一スリット17が切り込みにて形成されている。
【0029】
第一スリット17の位置は、第一挿入片10をこの第一挿入片10の基端位置まで挿入したときに、被収納物を巻き締め状態で保持する収納部2が形成される位置となるように設けられている。そして、図示されているようにこの第一スリット17は、パネル連接方向と直交する方向に離間した対の直線部18、18と、その直線部18、18それぞれの外端部に連続して後面内側パネル8の外端辺とは反対側(折り部9側)にして斜め外方に向けて傾斜している傾斜部19、19と、前記対の直線部18、18の内端部に連続して、後面内側パネル8の外端辺に向けて凸となる弧状部20、20とを備えている。
【0030】
この第一スリット17において、パネル連接方向と直交する方向に沿った方向(折り部長手方向)での幅は、勿論、第一挿入片10が挿入できる寸法幅とされているが、その幅は無用に広いものではなく、第一挿入片10の挿入に際して上記第一係止手段13の部分がこの第一スリット17に入り込むときに第一挿入片10が折り部長手方向にぶれない幅としている。
【0031】
(第一挿入片と第一スリットとの係止)
図4から
図6で示すように、収納部2の後面での後面外側パネル4と後面内側パネル8とを重ね合わせてなる収納部後面での形態において、第一スリット17の傾斜部19、19が第一挿入片10の上記第一係止手段13、13に対応した位置としており、板紙シート3の端縁である傾斜した前記第一係止手段13の傾斜と、前記傾斜部19の傾斜とが一致している。そして、第一スリット17に挿入した第一挿入片10の前記第一係止手段13が、切り込んで形成された切断端縁からなる傾斜部19に係止し、第一挿入片10が第一スリット17から抜けないようにしている。
図4、
図5で図示の矢印は第一挿入片10の挿入方向を表わしている。
【0032】
特に、上述したように第一係止手段13の傾斜と傾斜部19の傾斜とが一致していることから、両者の端縁は一点で当接する状態とはならず、両者の端縁が当接して交差する部分にある程度の長さを持った状態となる。そのため、第一挿入片10が第一スリット17に挿入されて前記第一係止手段13と傾斜部19とが係止し合っている状態で本巻き付け式カートン1を取り扱う際に、第一挿入片10を抜く方向となる引っ張り力が加わることがあったとしても、両端縁の当接し合う部分が或る程度の長さを有するので、その当接し合う部分に応力が集中せず、第一係止手段13や傾斜部19での変形や潰れが抑えられ、第一挿入片10の第一スリット17に対する係止が解けないように図られ、第一挿入片10の抜けを規制している。
【0033】
第一挿入片10を第一スリット17に差し入れる際、上記折り部14から両側部12を折り曲げて上記第一係止手段13を一時的に第一挿入片10の中心側に位置させ、この第一挿入片10の片幅を小さくして第一スリット17に挿入すれば、その挿入操作が簡単になる。なお、側部12を折り畳んで挿入した後にはその折り部の復元力で側部12が開いて元の形状になり、第一係止手段13と上記傾斜部19とが係止するようになる。
【0034】
(第二挿入片)
第一スリット17の上記弧状部20は第一挿入片10に切り込み形成された上記第二スリット15に対応する部分であって、弧状部20における折り部9側の切断端縁の位置を外端辺とする第二挿入片21が設けられている。この第二挿入片21は弧状部20の部分で後面内側パネル8の外側端に向けて凸の舌片として形成されたものであり、前記第二スリット15に挿入するものである。
【0035】
(第二係止手段)
上記第二挿入片21と第二スリット15との位置関係は、第一挿入片10を第一スリット17に挿入し終えたときに同時にこの第二挿入片21が第二スリット15に挿入し終えるようにした位置関係として設けられている。そして、第二挿入片21を第二スリット15に挿入し終えた時に、この第二挿入片21の後述する一部分が第二スリット15の端部近傍位置での板紙内側面に乗り上げるようにして係止し、この第二挿入片21が第二スリット15から自然に抜け出ることのないように図られている。
【0036】
第二挿入片21の上記抜けを規制するために、第二挿入片21の基端両端を切り欠く形にした切り込みを入れていて、前記切り欠きによりなる第二係止手段22を、第二挿入片21の基端両端に備えている。第二係止手段22は、第二挿入片21の基端位置の両端それぞれからこの第二挿入片21の凸の方向に向けて起きる傾斜とした切断端縁からなるものである。
【0037】
本実施の形態では、上記第二スリット15において、折り部9に沿った方向での幅は、上述のように第二挿入片21の片幅と同じ寸法幅、或いは僅かなら第二挿入片21の片幅より小さい寸法幅としているが、第二挿入片21の挿入に際し、上記第二係止手段22の部分の板紙自体が有する弾性変形をしてその第二スリット15の端部近くの部分を通過するように設けられている。
【0038】
(第二挿入片と第二スリットとの係止)
図4から
図6とで示すように、収納部2の後面での後面外側パネル4と後面内側パネル8とを重ね合わせてなる収納部後面での形態において、上述したように後面外側パネルの内側面であって第二スリット15の端部それぞれの近接位置とされた近傍部23は、第二挿入片21の上記第二係止手段22と対応した位置としている。そして、前記第二スリット15に挿入した第二挿入片21の第二係止手段22が、第二スリット15の端部側の前記近傍部23に乗り上げるようにして係止していて、第二挿入片21が第二スリット15から抜けないように規制している。
【0039】
(後面外側パネルと後面内側パネルの連結)
被収納物の後面側で板紙シート3の後面外側パネル(外側パネル)4と後面内側パネル(内側パネル)8とを重ね合わせ、第一挿入片10を第一スリット17に挿入させるとともに、第二挿入片21を第二スリット15に挿入させ、第一挿入片10を第一スリット17に挿入し終えたときには同時に第二挿入片21も第二スリット15に挿入し終えて、この状態で板紙シート3の後面外側パネル4と後面内側パネル8とが重ね合わせられて連結し、被収納物を板紙シート3で巻き締めた収納部2によりこの被収納物を保持する。
【0040】
本実施の形態では、上記第一挿入片10の挿入方向に沿った方向においての距離であって、後面外側パネル4での、第一挿入片10の第一係止手段13の位置から、上記第二挿入片21の第二係止手段22が係止する位置(第二スリット15の端部それぞれの近傍部23の位置)までの最小の距離24と、後面内側パネル8での、第二挿入片21の第二係止手段22の位置から、第一挿入片10の第一係止手段13が係止する位置(第一スリット17の傾斜部19の位置)までの最小の距離25とが同じとされている。
【0041】
なお、上述したように本実施の形態では、後面外側パネル4において、第二スリット15の端部は第一挿入片10の基端の位置にあり、後面内側パネル8において、第一スリット17の傾斜部19は第二挿入片21の基端と直線部18の位置で揃えられているので、上記最小の距離24と最小の距離25とは共に実質的に0である。
【0042】
これによって本実施の形態において、第一挿入片10を第一スリット17に挿入し第二挿入片21を第二スリット15に挿入したときに、第一係止手段13による第一スリット17の傾斜部19への係止と、第二係止手段22による第二スリット15の近傍部23への係止とが同時となるように設けられているものである。このように第一挿入片10の第一スリット17への係止と第二挿入片21の第二スリット15への係止とが同時となるようにしているので、第一係止手段13と第二係止手段22との内のいずれか一方の係止手段のスリットに対する係止関係が成立しながらも他方の係止手段のスリットに対する係止関係が成立しないままで、後面外側パネル4と後面内側パネル8との連結作業を終了するということがないなど、優れた効果がある。
【0043】
なお、本実施の形態で上記距離24、25は小さいものであるが、挿入片形状の変更、スリット形状の変更、係止手段位置の変更、傾斜部と近傍部の位置の変更により、この距離24、25に或る程度の長さがあるものとすることが可能である。
【0044】
(被収納物の保持)
本カートン1では、上述したように板紙シート3で被収納物を縦周りに巻き締めることとなり、収納部2が被収納物を保持するが、板紙シート3で巻き締めした状態で被収納物が移動することのないように以下の工夫が施されている。
【0045】
本実施の形態において、被収納物が上述したようにボトル容器を並べ設けてなるものとしており、一方、収納部2の縦断面方向の形状は矩形としていることから、板紙シート3の巻き締めを行なった収納部2内で被収納物が単独で移動することのないように、被収納物の丸味のある角部を逃げて保持し易くするための切り欠き孔26aが、底面パネル7から前面パネル6と後面内側パネル8とのそれぞれにかけて開口している。また、図示されているように前面パネル6の上部においても、被収納物の丸味のある角部を逃げるための開口26bや可動片26cが切り込みを行なって形成されている。図において、符号27は前面パネル6に設けられたカートン開封用のファスナを示している。
【0046】
(他の例
図8)
上記実施の形態では、カートン1を被収納物の縦周りに帯状の板紙シートを巻き付けて角筒状の収納部2を備えるものとしているが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
図8はその一例を示していて、板紙シート3を折り起こしてなるカートン1では、収納部2が上記実施の形態で角筒状としているのとは相違し、上面と下面、そして胴部周りの四側面との六面を有する略直方体の形態となるようにしているものである。そしてブランクとしての前記板紙シート3は六面を有する直方体状の収納部2が得られるように複数のパネルが折り部を介して連接されている。
【0047】
図8に示されたカートン1の略直方体状とした収納部2では、上面部分で上面外側パネル28と上面内側パネル29との二枚のパネルが重ね合わされていて、この上面外側パネル28と上面内側パネル29とを連結することで、被収納物を収納した収納部2が閉じられている。そして、上面外側パネル28には上述した実施の形態での後面外側パネル4と同様に上面外側パネル28の外側端縁から第一挿入片10が延設され、上面内側パネル29には上述した実施の形態での後面内側パネル8と同様に前記第一挿入片10に対応してこの第一挿入片10が挿入される第一スリット17を切り込み形成している。
【0048】
さらに上記上面外側パネル28の第一挿入片10には、この上面外側パネル28の基端の位置を端部とする第二スリット15が切り込みにより形成され、上面内側パネル29での第一スリット17においても上述した実施の形態の場合と同様にして、直線部18と傾斜部19と弧状部20とからなるものとし、弧状部19での端縁を外側端縁として第二挿入片21を形成し、この第二挿入片21が前記第二スリット15に挿入される。
【0049】
そして、この
図8に示す例での第一、第二挿入片10、21と、第一、第二スリット17、15の係止関係を形成するための構成も上記実施の形態と同じであって、上面外側パネル28の第一挿入片10の側部に、上面内側パネル29の第一スリット17に係止して第一スリット17からの前記第一挿入片10の抜けを規制する第一係止手段13が設けられ、上面内側パネル29の前記第二挿入片21の側部に、上面外側パネル28の第一挿入片10に切り込み形成された前記第二スリット15に係止してこの第二スリット15からの第二挿入片21の抜けを規制する第二係止手段22が設けられている。
【0050】
加えて、第一挿入片10を第一スリット17に挿入し第二挿入片21を第二スリット15に挿入したときに、第一係止手段13による第一スリット17への係止と、第二係止手段22による第二スリット15への係止とを同時とする構成についても、上述した実施の形態と同じとされているものである。即ち、上述した実施の形態と
図8に示す形態とでは収納部2の形状のみが相違するだけであって、それ以外の被収納物の一面側で重ね合わされる外側パネルと内側パネルとの連結構成などについては同一とすればよく、これによって同様の作用効果を奏するものすることができる。