(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する予測システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、実施形態に係る予測システムについて、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るケーブルの断線予測方法を示す図である。
図1に示すように、導電部材であるケーブルは、関節で回転自在に連結された第一のリンク部材および第二のリンク部材上に、それぞれ、第一の固定具および第二の固定具で固定される。
【0012】
ケーブルの第一の固定具および第二の固定具を両端とする部位は、関節の動きによる第一のリンク部材および第二のリンク部材の動作を妨げないための余裕の長さを有するたわみ部位である。固定具はリンク部材に対して繰り返し取り付け/取り外し可能に構成されており、固定具を一旦取り外し、たわみ部位の長さを調整した後に固定具を再度取り付けてケーブルを固定することができる。そして、第一のリンク部材と第二のリンク部材との相対角度が変位した場合、たわみ部位には屈曲や捩れによる応力がかかる。なお、
図1に示す固定具の位置やたわみ部位の形状は一例である。
【0013】
たわみ部位にかかる屈曲や捩れによる応力は、一度のリンク部材の動きによるものは小さくても、リンク部材が繰り返して運動をするうちにたわみ部位に疲労として蓄積され、最終的に破断によるケーブル断線が引き起こされる。そこで、実施形態の予測システムでは、リンク部材の動きに伴ってケーブルのたわみ部位が破断、断線するまでの寿命、すなわちケーブルが断線するまでの寿命を十分な時間の余裕をもって予測することとした。
【0014】
ここで、たわみ部位の疲労破断までの寿命を予測するために、たわみ部位に加わる応力を直接測定して使用してもよいが、測定が容易な電気抵抗値を応力に変換することがより好ましい。屈曲や捩れによる応力がかかった状態のたわみ部位は、加えられた応力に応じて長さや断面積が変化し、これに伴い電気抵抗値も変化するためである。よって、実施形態にかかる予測システムでは、たわみ部位を含むケーブルの電気抵抗値の変化を計測し(ステップS1)、この電気抵抗値を応力に変換する(ステップS2)。
【0015】
実施形態のように材料がワイヤー状の場合、たわみ部位の長手方向に加わる応力と、同部位の長手方向の電気抵抗値とはほぼ正比例の関係となる。したがって、測定された電気抵抗値をもとに求められた同部位に加わる応力の変化の振動幅を用いて、後に述べるたわみ部位の寿命評価を行う。なお、応力の変化の振動幅は、電気抵抗値の変化の振動幅を変換してもよいし、変換された応力の変化の振動幅を算出してもよい。
【0016】
全く疲労していないケーブルが取り付けられてから屈曲や捩れによる疲労の蓄積によってたわみ部位が破断するまでの寿命は、リンク部材の一定の動作の繰り返しが可能な回数として見積もることができる。しかしながら、これに限らず、リンク部材の一定の動作にかかる時間から変換される、ケーブルの使用可能な時間等として見積もることとしてもよい。
【0017】
このように、実施形態にかかる予測システムでは、相対的に可動なリンク部材間に設けられたケーブルのたわみ部位の変形による電気抵抗値を、たとえば、応力の変化の振動幅に変換する。これにより、疲労していないケーブルのたわみ部位がリンク部材に取り付けられてから、疲労蓄積によって破断するまでの寿命が見積もられる。すなわち、応力からケーブルの寿命を予測する(ステップS3)。
【0018】
また、電気抵抗値をもとに予測された寿命は、ケーブル寿命の保証値である閾値と比較される。予測された寿命が閾値以上の場合、ケーブルについて保証された寿命は確保されており、たわみ部位を有するリンク部材は、この状態で差支えなく使用される。一方で、予測された寿命が閾値より小さい場合は、たわみ部位にかかる応力を小さくし、寿命を延ばす必要が生じる。
【0019】
ここで、たわみ部位のケーブル長さと、同部位にかかる応力との関係について説明する。同一の電気抵抗値の変化を生じせしめるたわみ部位の変位に対して、同部位が長いほど同部位に加わる応力は小さくなる。したがって、同一の関節の運動に対してたわみ部位を長くすれば同部位にかかる応力が小さくなり、疲労破断までの寿命が延びる。また、たわみ部位のケーブル長さ調整が、現実的に最も簡便な寿命の調節方法の一つと考えられる。
【0020】
たわみ部位のケーブル長さを調整するための調整長をもつ調整部位は、たわみ部位を固定する一組の固定具の外側に設けられる。予測されたたわみ部位の寿命が閾値に満たない場合、調整部位を利用して、たわみ部位の長さを追増する。なお、一定の電気抵抗値において、たわみ部位のケーブル長さと、同部位にかかる応力とは、ほぼ反比例する。この関係を利用して、測定時にたわみ部位にかかった応力と、上記した閾値で同部位にかかる応力との差である、減少させるべき応力の量から追増すべき調整長が見積もられる。すなわち、たわみ部位の長さが最適化される(ステップS4)。
【0021】
このように、実施形態にかかる予測システムによれば、対象とするケーブルのたわみ部位の間にある関節をケーブルの設置時に少なくとも一回運動させて、同部位を含むケーブルの電気抵抗値を測定するだけで同部位の疲労破断に対する寿命が予測される。また、予測された寿命をケーブル寿命の保証値である閾値と比較することで、同部位の長さ等の設置の妥当性が判断される。予測された寿命がケーブル寿命の閾値を満たさない場合、測定された電気抵抗値から予測される応力をもとにケーブルのたわみ部位の調整すべき長さが見積もられる。
【0022】
これにより、実施形態にかかる予測システムによれば、対象とするケーブルのたわみ部位の間にある関節をケーブルの設置時に少なくとも一回運動させて、同部位を含むケーブルの電気抵抗値を測定するだけで同部位の長さ等の設置の最適化を図ることができる。従来、ケーブルのたわみ部位の長さは、作業者の経験や勘により設定されていたため、同部位の寿命が、ケーブルの保証値より短かかったり、一定しなかったりする等の問題があった。一方で、実施形態にかかる予測システムによれば、これらの問題が解消され、作業者によらず一定の寿命が保証されたケーブルの取り付けが可能となる。
【0023】
続いて、実施形態に係る予測システム50を有するロボットシステム1について、
図2を用いて説明する。
図2は、ロボットシステムの構成を示す図である。
図2に示すように、ロボットシステム1は、ロボット10、溶接タイマー20およびロボットコントローラ30を備える。ロボット10は、複数の関節により相対的に可動な可動部材からなる多軸構造を有する多関節ロボットであり、先端にエンドエフェクタである溶接ガン19を備える。溶接ガン19は、ワークを挟持して溶接するための挟み込み部位19aを有し、ベース部材19cを介して、ロボットアーム10bに取り付けられる。また、ベース部材19cには溶接トランス19bが取り付けられる。
【0024】
溶接タイマー20から溶接ガン19へ伸びる溶接電源ケーブル401、および、ロボットコントローラ30からロボット10へ伸びる給電および信号ケーブル402は、ロボット10のベース部10aに設けられた分線盤102aの挿通部を基端とするケーブル40としてまとめられる。ケーブル40は、ロボット10の各関節に、たわみ部位を有して取り付けられ、他端は溶接トランス19bに接続される。
【0025】
溶接タイマー20は、溶接ガン19にてなされる溶接の通電時間や電流量の制御等、溶接条件の制御を行う。ロボットコントローラ30は、溶接ガン19の挟み込み部位19aを図示しないワーク上の溶接点に合致させる動きをロボット10に指示する。また、ロボットコントローラ30は、予測システム50を有する。なお、予測システム50の詳細については、
図5を用いて後述する。
【0026】
続いて、ロボット10について説明する。
図3は、6軸ロボットにおける各軸の説明図である。ロボット10はベース部10aを介して床面などに固定される。また、ロボット10は複数のロボットアーム10bを有しており、ロボットアーム10bは、図示しないサーボモーターにより駆動される関節を介して他のロボットアーム10bと接続される。
【0027】
なお、
図3に示す関節には、「円」で示したものと、「菱形」で示したものとがあるが、両者は、単に回転軸の向きの違いをあらわす。たとえば、「円」で示した関節部は、両側のロボットアーム10bのなす角を変化させるように回転する。また、「菱形」で示した関節部は、両側のロボットアーム10bのなす角を保持したまま回転する。
図3に示すように、各関節の回転軸は、設置基準面から順に、軸S、軸L、軸U、軸R、軸Bおよび軸Tである。
【0028】
また、実施形態において、B軸およびT軸以外の各軸に対応する関節は、ケーブル40の各たわみ部位の両端の固定点の間に一つずつ存在し、B軸およびT軸にそれぞれ対応する関節は、両端の固定点の間に存在する。すなわち、両端の固定点の間には、B軸およびT軸なる二つの軸が存在する。この点については、
図8にて後述する。また、各関節はそれぞれ独立して動くことができる。
【0029】
続いて、ロボット10の各軸に設けられた、ケーブル40の各たわみ部位の電気抵抗値の測定方法について説明する。
図4は、溶接タイマーからみたケーブルの等価回路を示す図である。溶接トランス19bおよび交流電源である溶接タイマー20は、ケーブル40により接続され閉回路を形成する。ただし、
図4に示すケーブル40は、溶接電源ケーブル401を指すものとする。
【0030】
ここで、ケーブル等の材料の引張歪と電気抵抗値の関係について説明する。一般に、筒状の材料に両端から引張り力が加わると材料の内部に応力が発生し、同応力に正比例して引張りひずみが生じる。引張りひずみが発生すると、材料の断面積は減少し、長さは増加するので、材料の引張り方向の電気抵抗値は増加する。実施形態のように材料がワイヤー状の場合、材料の長手方向の引張に伴って内部に発生する応力および材料の引張り方向の電気抵抗値は正比例の関係にある。したがって、同関係に基づいた計算により、ケーブル40の各たわみ部位の電気抵抗を同部位の内部に発生する応力に変換することが可能である。
【0031】
ケーブル40のたわみ部位の電気抵抗値の測定方法を具体的に述べる。ケーブル40における複数のたわみ部位のうち、1つのたわみ部位を選択する。そして、選択したたわみ部位の間に存在するロボット10の軸のみを動かして、同軸が動作中の閉回路の電気抵抗値の変化を測定する。続いて、得られた電気抵抗値の変化から、動かした軸の回転に伴い屈曲または伸長するケーブル40にかかる応力を算出する。同応力の最大値と最小値の差を2で除した数値を応力振幅σnとする。応力振幅σnに基づくたわみ部位の寿命の予測については後述する。
【0032】
以下、ロボット10のB軸およびT軸を同時に動かす手首運動を例にして説明する。他の軸についても本例示と同様の方法で、寿命を見積もりたいケーブル40のたわみ部位の応力振幅σnを求めることができる。また、電気抵抗値の測定方法は、たとえば、作業者がテスターを用いて各たわみ部位毎に測定したり、ロボットシステム1に組み込んで自動的に測定したりする等、形態は問わない。
【0033】
図4において、電源である溶接タイマー20の交流電圧をV(V)、周波数をf(Hz)、溶接トランス19bのコイルのインダクタンスをL(H)、リアクタンスをXL(Ω)(=2πfL)とする。また、応力が加わっていない状態のケーブル40の閉回路上の抵抗の総和であるR0(Ω)が、B軸およびT軸が運動をした際に最大の電気抵抗値R1max(Ω)をとったとする。
【0034】
ケーブル40の閉回路に流れる電流をI(A)とすると、抵抗R0にかかる電圧VR(V)=I×R0、および、溶接トランス19bのコイルにかかる電圧VL(V)=I×XL、となる。コイルでは、電流の位相が電圧よりπ/2遅れているため、両者の合成電圧Vtot(V)=(VR
2+VL
2)
0.5=(R0
2+XL
2)
0.5×Iとなる。これにより、インピーダンスZ0(Ω)=(R0
2+XL
2)
0.5が導かれる。同様に、電気抵抗値R1max(Ω)の際のインピーダンスZ1(Ω)=(R1max
2+XL
2)
0.5となる。
【0035】
これより、B軸およびT軸の運動に伴うケーブル40の電気抵抗値の増分である、R1max−R0=(Z1
2−XL
2)
0.5−(Z0
2−XL
2)
0.5(Ω)が導かれる。すなわち、B軸およびT軸を動かした際のケーブル40のインピーダンス変化から、ケーブル40の電気抵抗値の変化の振動の幅が算出される。
【0036】
続いて、予測システム50について説明する。
図5は、予測システムの構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、予測システム50がロボットコントローラ30に内蔵されているが、別体でもよく、ロボット10に内蔵されてもよい。
【0037】
予測システム50は、ロボットコントローラ30に、ロボット制御部31と共に内蔵される。ロボット制御部31はロボット10に所定の動作を実行させる実行部31aを有する。予測システム50は、通信部51、演算部52、および、記憶部53を備える。通信部51は、電気抵抗値の計測部60、演算部52、および、報知部70間のデータ送受信を行うLANボードなどの通信デバイスである。また、記憶部53は、不揮発メモリや、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される。
【0038】
計測部60は溶接タイマー20に内蔵されるが、別体でもよく、ロボット10やロボットコントローラ30に内蔵されてもよい。報知部70は、後に
図6を用いて詳細に説明するプログラミングペンダント32に内蔵されるが、別体でもよく、ロボット10、溶接タイマー20、およびロボットコントローラ30に内蔵されてもよい。
【0039】
演算部52は、取得部52a、第一の変換部52b、予測部52c、比較部52d、第二の変換部52e、および、残寿命算出部52fを備える。記憶部53は、ジョブ情報53a、第一の変換情報53b、予測情報53c、閾値情報53d、第二の変換情報53e、および、履歴情報53fを記憶する。
【0040】
ロボット10は、実行部31aにより指示された第一の運動を行う。第一の運動は、対象とするたわみ部位を動かす関節の動作を含んだロボット10の動作であればよい。すなわち、対象とするたわみ部位が含む関節のみを動かす動作であってもよいし、ロボット10が実際に作業を行う際の動作であってもよい。また、さらに厳しい条件で寿命を予測するために、対象とするたわみ部位が含む関節の可動範囲の両端まで動かす動作とすることも可能である。このように、ロボット10の動作は、寿命評価の目的や状況に合わせて適宜、設定を変更することが可能である。
【0041】
例えば、出荷試験のようにロボット10の周囲に十分なスペースがある場合には、各たわみ部位が含む関節を1つずつ動かす動作や、各関節の可動範囲の両端まで動かす動作を行い、最も短い寿命予測を採用するようにしてもよい。また、生産ラインにて実際に作業を行う際の動作を行って寿命予測を行ってもよい。
【0042】
一方で、出荷後に新しいケーブルに交換したり、後述する作業の変更が行われた際のように、ロボット10が生産ラインに配置された後であれば、ロボット10が周辺の物体に干渉しないように実際に作業を行う際の動作によって寿命予測を行うようにしてもよい。第一の運動や作業用の動作は「ジョブ」と呼称され、あらかじめジョブ情報53aとして記憶されており、各々に一意に与えられた番号やジョブ名によって識別される。実行部31aは、ジョブ情報53aから読み出されたジョブをロボット10に動作させる。
【0043】
計測部60は、ロボット10の第一の運動に伴って変化するケーブル40の電気抵抗値を計測する。この電気抵抗値は、第一の運動をロボットに一回だけ行わせて計測しても良く、あるいは第一の運動をロボットに複数回行わせて計測してもよい。第一の運動を複数回行う場合には、その間の電気抵抗値の変化の振幅の最大値を採用してもよいし、複数回計測した際の電気抵抗値の変化の振幅の平均値を採用してもよい。いずれにしてもロボット10が実際に作業を行っている間に、常に電気抵抗値を計測する必要はない。
【0044】
計測された電気抵抗値は、通信部51により取得部52aに伝達される。取得部52aにて取得された電気抵抗値は、第一の変換部52bにて、第一の変換情報53bを用いて、対象とするたわみ部位に加わる応力に変換される。
【0045】
第一の変換部52bにて変換された応力の変化の振動の幅である応力振幅σ1をもとに、予測情報53cを用いて、対象とするたわみ部位が、全く疲労していない状態から疲労の蓄積により破断するまでの寿命が予測される。ここで、ロボットアーム10bの動きにより、ケーブル40のたわみ部位に加わる荷重が、ケーブル40の降伏点以下、すなわち弾性域に収まる場合について考える。
【0046】
一般的に、弾性域での繰り返し荷重による疲労による破断は、破断までの繰り返し数が10
4回以上の高サイクル疲労となり、破断までの寿命は、たとえば、以下の式(1)を用いて予測される。式(1)は、ケーブル40のたわみ部位に加わる応力振幅σ1、および、ケーブル40のたわみ部位が疲労破断するまでの繰り返し数N1の関係を示している。
σ1・N1
a1=C ・・・(1)
式(1)から、応力振幅σ1によりケーブル40のたわみ部位が疲労により断線するまでの、ロボット10の第一の運動の繰り返し数N1を予測することができる。a1およびCは、あらかじめケーブル40について実験を行うことで定められる定数(実数)である。式(1)から求めたN1が整数ではない場合には、整数に近似した値をN1とする。
【0047】
このようにして求められたN1は、ロボット10の第一の運動を行うことが可能な回数として第一の寿命としてもよいし、一回のロボット10の第一の運動にかかる時間からN1を時間に変換して第一の寿命としてもよい。
【0048】
予測部52cで予測された、ロボット10の第一の運動に対するケーブル40の第一の寿命は、比較部52dにて、閾値情報53dと比較される。閾値情報53dは、たとえば、ケーブル40の寿命の保証値である。第一の寿命が閾値情報53dに満たない場合、第一の寿命のデータは第二の変換部52eに送られる。
【0049】
第二の変換部52eでは、ケーブル40に加わる応力振幅σ1を、第二の変換情報53eを用いて、ケーブル40のたわみ部位の追増すべき調整長さに変換する。変換して算出された調整長さは、通信部51を介して、報知部70にて作業者に報知される。
【0050】
第一の寿命が、閾値情報53dを満たす場合、第一の寿命のデータは残寿命算出部52fおよび通信部51を介して、報知部70にて作業者に報知される。ここで、残寿命算出部52fについて説明する。残寿命算出部52fは、取得した第一の寿命のデータから、ロボット制御部31から取得したロボット10の稼働情報を累積した履歴情報53fを減算した値を、ケーブル40の第一の残寿命として通信部51に送る。
【0051】
また、実際の生産ラインにおいては、生産ラインの組み替えなどによってロボット10が行う作業の内容が、当初の作業(第一の運動)と異なる別の作業(第二の運動)に変更になる場合がある。ロボット10の運動が、第一の運動から第二の運動に変更になる場合の、ケーブル40の電気抵抗値の計測と寿命の予測を考える。
【0052】
ロボット10の第二の運動への変更に伴い、第一の運動の場合と同様に、計測部60にてロボット10の第二の運動に伴って変化するケーブル40の電気抵抗値を計測する。取得された電気抵抗値は、対象とするたわみ部位に加わる応力に変換される。ケーブル40のたわみ部位に加わる応力振幅がσ2になるとすれば、式(2)が成り立つ。
σ2・N2
a1=C ・・・(2)
【0053】
式(2)は、応力振幅σ2が加わる条件において、ケーブル40のたわみ部位が、全く疲労していない状態から疲労破断するまでの繰り返し数である第二の寿命N2を表す。式(2)から求めたN2が整数ではない場合には、整数に近似した値をN2とする。ところで、ケーブル40に加わる応力振幅が、σ1でN11回加えられた後、σ2に変更になったとすると、変更後は、ケーブル40が疲労破断するまでに式(3)を満たすN21max回の繰り返しが可能である。
N11/N1+N21max/N2=1 ・・・(3)
【0054】
よって、予測部52cで予測されたロボット10の第二の運動に対するケーブル40の第二の寿命N2が、比較部52dで、閾値情報53dを満たす場合、残寿命算出部52fでは、以下の式(4)を用いて第二の運動に変更されてからの最大の寿命であるN21maxが算出される。
N21max=(1−N11/N1)×N2 ・・・(4)
式(4)で計算されたN21maxは、ロボット10の第二の運動のN21までの履歴情報53fを減じて更新され、ケーブル40の第二の残寿命として通信部51を介して、報知部70へ送られる。式(4)から求めたN21maxについても、整数でない場合には、整数に近似した値をN21maxとする。
【0055】
予測部52cで予測された、ロボット10の第二の運動に対するケーブル40の第二の寿命N2が、比較部52dで、閾値情報53dを満たさない場合は、第一の運動の場合と同様にして、たわみ部位の長さを追増し、式(4)におけるN21maxの算出以降の演算を行う。
【0056】
また、ロボット10の運動の変更が3度以上行われる場合について考える。例えばn−1回(nは4以上の整数)の変更後の運動による寿命Nnは、式(5)を満たすように決められる。寿命Nnは、ケーブル40の対象とするたわみ部位の、全く疲労していない状態から疲労によって破断するまでの寿命である。
σn・Nn
a1=C ・・・(5)
【0057】
寿命Nnが比較部52dで閾値情報53dを満たす場合、残寿命算出部52fでは、以下の式(6)により、ロボット10の最新の変更の前までの稼働時間を減じた残寿命Nn1maxが算出される。式(6)から求めたNn1maxについても、整数でない場合には、整数に近似した値をNn1maxとする。
Nn1max=(1−Σ(Ni1/Ni))×Nn
(i=1〜n−1) ・・・(6)
【0058】
また、ロボット10の運動の変更後の寿命が、比較部52dにおいて閾値情報53dを満たさない場合、たわみ部位の長さを追増して式(5)による疲労破断の寿命を満たしたうえで、式(6)の演算を行う。
【0059】
このように、予測システム50によれば、ケーブル40のたわみ部位が設置されたロボット10の関節を所定の動作で少なくとも一回動作させれば、同たわみ部位の調整量の算出、および、ロボット10の稼働履歴を反映した残寿命を自動で算出することができる。
【0060】
また、ロボット10の動作が変更された場合も、それまでにケーブル40が稼働した全ての履歴を減じる演算を行い、動作の変更時からの寿命を予測することでケーブル40の取り替えるべき時期を知ることができる。さらに、各たわみ部位について残寿命が報知されるようにすれば、最も早く疲労破断するたわみ部位の断線に伴いケーブル40の取り替えるべき時期を知ることができる。
【0061】
続いて、
図6を用いてプログラミングペンダント32について説明する。
図6は、プログラミングペンダントを示す図である。プログラミングペンダント32は、ロボット10にプログラムを教示、または、ロボット10を動作させることのできる携帯用の操作盤であり、ケーブル300を介してロボットコントローラ30と接続される。
【0062】
プログラミングペンダント32は、GUI(Graphical User Interface)32a、SUI(Solid User Interface)32b、および、Safety−SUI(Safety- Solid User Interface)32cからなる3つのモジュール部を有する。GUI32aとは、液晶ディスプレイの表示やタッチスイッチなどのグラフィックなHMI(Human Machine Interface)である。SUI32bは、人の意志を機械に伝える押しボタンスイッチ、セレクタスイッチや、機械の状態を人に知らせる発光ダイオード表示灯などの、機械的・物理的部品によって構成されるHMIである。Safety−SUI32cは、非常停止押しボタンスイッチやイネーブルスイッチなど、安全に直結するSUIである。
【0063】
GUI32aを、実施形態に係る予測システム50の報知部70とすることが、操作性とコストの面から好ましい。
図7は、報知部の操作画面を示す図である。以下に、
図7に例示した報知部70を用いて、実施形態に係る予測システム50の操作を説明する。
【0064】
報知部70であるGUI32aは、ジョブ番号表示部位321、ジョブ実行指示部位322、電気抵抗値であるインピーダンス値表示部位323、残寿命表示部位326、寿命判定表示部位327、および、ケーブル調整長表示部位328を有する。ロボット10は、ジョブ番号表示部位321に表示されたジョブを、作業者によりジョブ実行指示部位322に入力される指示により実行する。
【0065】
インピーダンス値表示部位323は、ロボット10の動作に伴うケーブル40の最小のインピーダンス値を表示する部位324および最大のインピーダンス値を表示する部位325を有する。また、テスター等により手動でインピーダンス値の測定を行う場合は、インピーダンス値をSUI32bにより入力する。
【0066】
入力されたインピーダンス値をもとに変換された応力の変化の振幅を用いて予測されたケーブル40の寿命が、閾値情報53dより大きい場合は、寿命判定表示部位327に「OK」等の、現在のケーブル40のたわみ部位の長さ等の設置状況を肯定する表示がなされる。また、寿命の予測値から履歴情報53fを減じた、ケーブル40の残寿命は、残寿命表示部位326に、たとえば、時間単位で表示される。また、残寿命表示部位326には、常に、履歴情報53fを用いて残寿命算出部52fで更新される最新の値が表示される。
【0067】
また、ケーブル40の寿命の予測値が閾値情報53dより小さい場合は、寿命判定表示部位327に「NG」等の否定的な表示がなされる。さらに、電気抵抗値の計測時の応力の変化の振幅から変換されるケーブル40のたわみ部位の調整すべき長さが、たとえば、cm単位でケーブル調整長表示部位328に表示される。作業者は、この時点で、ケーブル40のたわみ部位の長さを再調整し、ロボット10の運動(ジョブ)の呼び出しから始まる一連の作業を、寿命判定表示部位327に「OK」等の肯定的な表示が出るまで繰り返す。
【0068】
このように、報知部70をプログラミングペンダント32が有するGUI32aとすることで、特別な装置を追加することなく、既存のインターフェース装置を用いて予測システム50を操作することができる。
【0069】
続いて、ロボット10の手首部位のケーブル40の取り回しについて説明する。
図8は、ロボットの手首部位へのケーブルの取り付けを示す図である。まず、ロボット10の手首部位の構成から説明する。
【0070】
円筒形の上部アーム11に円筒形の第一の手首基台12が、R軸に対して回転自在に取り付けられる。第一の手首基台12および円筒形の第二の手首基台14は、関節である手首揺動体13を介してB軸回りに回転自在に取り付けられる。なお、第一の手首基台12がR軸回りに回転しても、上部アーム11は回転しない。
【0071】
第二の手首基台14の先端には手首フランジ15がT軸に対して回転自在に取り付けられる。手首フランジ15には第一のフランジ16が取り付けられ、第一のフランジ16および第二のフランジ18は、一組の接続部材17によって連結される。一組の接続部材17は、軸Tに関して退避した位置に取り付けられる。
【0072】
第二のフランジ18には、ベース部材19cを介してエンドエフェクタである溶接ガン19が取り付けられる。また、溶接トランス19bがベース部材19cに底部を取り付けられ、第二のフランジ18および溶接ガン19に囲まれる空間に備えられる。溶接ガン19は、先端にワークを挟持するための、挟み込み部位19aを有する。
【0073】
以上のように構成されたロボット10のアームには、ケーブル40が取り付けられる。ケーブル40は、第一の手首基台12と共に回転運動するように、クランプ40aにて第一の手首基台12上に固定される。また、手首の先端方向に伸びる部分は、第一のフランジ16、一組の接続部材17、および、第二のフランジ18により囲まれるガイド空間100を挿通して、ベース部材19cに設置された溶接トランス19bに接続される。
【0074】
また、ケーブル40は、ガイド空間100と溶接トランス19bの間において、クランプ40bにてベース部材19cに固定される。ケーブル40のクランプ40aおよびクランプ40bに挟まれた部分は、ロボット10の手首部位が、B軸およびT軸回りに回転運動しても突っ張らないように長さに余裕を設けられたたわみ部位となる。
【0075】
実施形態においては、クランプ40bはベース部材19cに固定される。一方で、手首揺動体13よりアームの先端方向にあれば、第二の手首基台14、手首フランジ15、第一のフランジ16、一組の接続部材17、第二のフランジ18、および、溶接ガン19の上等、クランプ40bの設置の場所は問わない。クランプ40aおよびクランプ40bにより形成されるケーブル40のたわみ部位が手首揺動体13を挟んだ状態であれば、運動するアームの動きにケーブル40が追従できるからである。
【0076】
ガイド空間100はケーブル40の挿通方向に対する断面が、縦横共にケーブル40の直径以上であり、ロボット10の手首運動に伴って動くケーブル40の線方向の動きを拘束しない。また、一組の接続部材17が、T軸に対して退避した位置に配置されるのは、ケーブル40と一組の接続部材17との干渉を避けて、手首フランジ15のT軸回りの動作範囲を確保するためである。
【0077】
なお、クランプ40aおよびクランプ40bは、ケーブル40を挿通して締め付け固定保持するため、一旦設定されたクランプ40aおよびクランプ40bの間のケーブル40のたわみ部位の長さは、ロボット10の動作によって変化しない。
【0078】
図示しないケーブル40の調整部位が、たとえば、クランプ40bと溶接トランス19bの間に設けられる。同調整部位を用いて、クランプ40aおよびクランプ40bの間のケーブル40、すなわちたわみ部位の長さが調整される。
【0079】
ケーブル40がロボット10に設置された状態で、ケーブル40のたわみ部位の間に存在する関節、たとえば、B軸およびT軸を動かしてケーブル40の電気抵抗値の変化を計測すれば、同たわみ部位の寿命を予測できる。電気抵抗値の変化の計測のためのB軸およびT軸の動作は、実際にワークに溶接をする場合のロボット10のジョブであることが寿命予測を精度良く行うために好ましい。また、さらに厳しい条件で寿命予測を行うためにB軸およびT軸の可動範囲の一端から他端までの動作としてもよい。
【0080】
続いて、S軸回りのケーブル40のたわみ部位について
図9を用いて説明する。
図9は、ロボットのベース部に内蔵されたケーブルの取り回しを示す図である。なお、説明を解りやすくする観点から、ベース部10aおよびロボット胴体10dの一部またはすべてを透視して示す。
【0081】
ベース部10aは、底板100a、ロボット据付ベース101a、および、分線盤102aを備え、底板100aは、図示しないボルト等で床等に固定される。ロボット胴体10dは、図示しない回転軸受を介して、ベース部10aにS軸回りに回転自在に取り付けられる。ロボット胴体10dは、旋回軸100b内に減速機を備える。
【0082】
溶接電源ケーブル401、および、給電および信号ケーブル402は、分線盤102aの挿通部に設けられたクランプ40cで固定され、たとえば、被覆線で一本のケーブル40としてまとめられる。ケーブル40は、ロボット据付ベース101aの内側に引き入れられ、ケーブル支持部材40eに取り付けられる。孔40hを有する複数の橋絡板片40fを、図中において上下一対の接続ピボット40gのまわりに回動自在に連結した板状連絡帯の間に支持した形態であるケーブル支持部材40eは、橋絡板片40fの長さ方向に対して直行する面内で屈曲自在である。
【0083】
ケーブル40は、ケーブル支持部材40eの各橋絡板片40fの孔40hに挿通される。ケーブル支持部材40eは、基点をロボット据付ベース101aの内側に固定具40i、および、他端を旋回軸100bに固定具40jにより固定される。ケーブル40は、旋回軸100bにクランプ40dで固定され、ロボット胴体10dの上方に通される。
【0084】
実施形態では、ロボット胴体10dがS軸の周りに回転すれば、固定具40jに固定されたケーブル支持部材40eおよびクランプ40dに固定されたケーブル40は、旋回軸100bにつれ回されて回転する。これに伴い、ケーブル支持部材40eがロボット据付ベース101aの内部周辺部と旋回軸100bの外周との間の空間において屈曲伸縮する。
【0085】
この際の、クランプ40cおよび40dの間のケーブル40の電気抵抗値の変化を計測すれば、計測された電気抵抗値に基づいて同部位の寿命を予測できる。電気抵抗値の変化の計測のためのS軸の動作は、実際にワークに溶接をする場合のロボット10のジョブであることが、寿命予測を精度良く行うために好ましい。また、さらに厳しい条件で見るためにS軸の可動範囲の一端から他端までの動作としてもよい。
【0086】
ところで、
図10のように、疲労破断におけるケーブル40の電気抵抗値は、時刻Ttから指数関数的に上昇する。
図10は、スポット溶接時間に対するケーブルの電気抵抗値の経時変化を示す図である。電気抵抗値を常に監視する従来の方法では、断線を予測できる閾値である電気抵抗値R1をケーブル40が呈する時刻T1においてはじめて、断線と定義された電気抵抗値Rtになる時刻Tfが予測される。この場合、ケーブル40の断線が予測されてから、実際に断線するまでの時間、すなわち、Tf−T1は短く、時間に余裕を持った予測は不可能であった。
【0087】
一方で、実施形態に係る予測システム50によれば、ロボット10にケーブル40が取り付けられた時点、すなわち、時刻T0においてケーブル40の断線と定義された時刻Tfを予測できる。なお、ケーブル40の断線を予測するためのロボット10の動作(ジョブ)は、実生産に前もって行うことが可能である。
【0088】
続いて、実施形態の予測システム50によって実行される処理手順について
図11を用いて説明する。
図11は、予測システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、実行部31aは、ロボット10の対象とするケーブル40のたわみ部位の間に存在する関節の動作を開始し(ステップS101)、計測部60は、同動作に伴って変化するケーブル40の電気抵抗値を計測する(ステップS102)。
【0089】
通信部51を経て、取得部52aから第一の変換部52bに送られた電気抵抗値は、応力に変換されて(ステップS103)予測部52cに送られる。予測部52cにおいて、変換された応力の変化の振動の幅からケーブル40の対象とするたわみ部位の寿命が予測される(ステップS104)。予測された寿命は、比較部52dにおいて、寿命の閾値情報53d以上か否かを判定される(ステップS105)。
【0090】
予測された寿命が、寿命の閾値情報53d以上の場合は(ステップS105,Yes)、残寿命算出部52fにて履歴情報53fを更新して処理を終了する(ステップS106)。なお、この寿命の予測値の詳細な更新手順については、
図12を用いて後述する。予測されたケーブル40の寿命が、寿命の閾値情報53dより小さい場合は(ステップS105,No)、第二の変換部52eにおいて、ケーブル40の変換された応力の変化の振動の幅をケーブル40の対象とするたわみ部位の調整すべき長さに変換する(ステップS107)。作業者は、変換された調整長さに従い、対象とするたわみ部位のケーブル長さを調整し(ステップS108)、再度ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0091】
次に、
図11のステップS106に示した、ケーブル40のたわみ部位の寿命の予測値更新の詳細な処理手順について
図12を用いて説明する。
図12は、予測値更新の処理手順を示すフローチャートである。
【0092】
残寿命算出部52fは、比較部52dから該当するケーブル40のたわみ部位の寿命の予測値を読み出す(ステップS201)。続いて、ロボット10のジョブの変更があるか否かを判断し(スッテプS202)、変更があった場合(スッテプS202,Yes)、以前のジョブによりロボット10が稼働した履歴情報53fを、ケーブル40のたわみ部位の寿命の予測値から減ずる(ステップS203)。つづいて、最新のジョブでロボット10が稼働した履歴情報53fを、さらに減じてケーブル40の予測値を更新する(ステップS204)。ステップS202で、Noの場合、ステップS203を省略してステップS204に進む。
【0093】
上述してきたように、実施形態に係る予測システムは、取得部と、実行部と、予測部とを備える。取得部は、関節を介して相対的に回転可能な一対のリンク部材にそれぞれ固定具で固定されたケーブルの電気抵抗値を取得する。実行部は、所定の動作を関節に実行させる。予測部は、実行部によって関節が所定の動作を行っている期間内に取得部によって取得された電気抵抗値の変化に基づいてケーブルの寿命を予測する。
【0094】
したがって、実施形態に係る予測システムによれば、特別に装備を設けてケーブルの電気抵抗値を常時監視することなく、十分な時間的余裕をもってケーブルの断線を予測することができる予測システムを提供することができる。
【0095】
なお、実施形態に係る予測システムの説明において取り上げたロボットのエンドエフェクタは、溶接用に限らず、塗装、シーリング、研磨、ハンドリング等、多くの用途に適用可能である。すなわち、エンドエフェクタは塗装用スプレーガン、シーリング用ノズル、研磨工具あるいはメカニカルハンド等であってもよい。
【0096】
また、実施形態に係る予測システムは、ロボットのアームに設置されたケーブルに限らず、ヒンジ、フレキシブルジョイントおよびユニバーサルジョイント等の関節を介して相対的に可動な部材に取り付けられたケーブルに使用される。各種産業機械、工作機械、移動機器、輸送機器、および、電子機器等の開閉、引出し、および、押し込み等の運動を行う部位に広く使用される。例えば、自動車のドアを開閉するヒンジを介した配線や、電子機器の装置本体と表示パネルを連結するヒンジを介した配線等が挙げられる。
【0097】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。