(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像形成装置に着脱可能であり、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非磁性一成分トナーを収容し、かつ前記非磁性一成分トナーを保持して搬送する現像手段を備えることを特徴とする
プロセスカートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、「X〜Y」との記載は、XからYの間の範囲だけでなく、その両端であるX及びYも含む範囲を表す。例えば、「X〜Y」が数値範囲であれば、数値の大小に応じて「X以上Y以下」又は「X以下Y以上」を表す。
【0010】
1.非磁性一成分トナー
本実施形態の非磁性一成分トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子を含有し、前記結着樹脂が、結晶性樹脂を含み、前記トナー母粒子の表面に樹脂粒子が一部露出した状態で埋まっており、前記樹脂粒子の前記トナー母粒子に埋まっている部分の最大径が、前記トナー母粒子表面に露出している部分の最大径よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
非磁性一成分現像方式により連続して印字、特に低画像密度印字がなされ現像ロール上のトナーが消費及び入れ換わりが無くなった場合、トナー帯電分布が拡大し、現像又は転写されない高帯電トナーが現像ロール上に残留する。ここに新たに供給されたトナーとの帯電差及び相互帯電により搬送不良及び現像不良が発生し、結果として濃度ムラが発生することを本発明者らは見いだした。
また、二成分現像方式では、キャリアを介して現像ロールにトナーが搬送される。キャリアは磁気的反発力により現像ロールから脱離され、新たなキャリアとトナーとが供給されるため、トナーの帯電が安定し、当該濃度ムラが発生するという問題は生じ得ず、非磁性一成分現像方式特有の問題である。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子を含有し、前記結着樹脂が、結晶性樹脂を含み、前記トナー母粒子の表面に樹脂粒子が一部露出した状態で埋まっており、前記樹脂粒子の前記トナー母粒子に埋まっている部分の最大径が、前記トナー母粒子表面に露出している部分の最大径よりも大きい非磁性一成分トナーとすることにより、濃度ムラの少ない画像を得ることができることを本発明者らは見いだした。
【0012】
その詳細な機構は明らかではないが、トナー表面に露出した結晶性樹脂部に選択的に樹脂粒子が埋没するので、従来の処方と比較して樹脂粒子の分散がよく(ドメインが小さく)帯電活性サイトが多く存在するので所望の帯電レベルを得ることができると共に、トナー表面での分極を抑制できシャープな帯電分布となると推定される。また、他のトナー構成材料と比較して電荷漏洩性が高い結晶性樹脂が帯電サイトとして機能する樹脂粒子近傍に存在することにより、連続出力時、特に低画像密度の連続出力時のように現像ロール上でトナーの入れ替えが無い場合であっても、過度な高帯電トナーの生成を抑制でき、現像/転写され難い高帯電トナーが生成されず、例えば、低画像密度の連続出力後に画像密度の高いハーフトーン画像を出力しても画像濃度低下を生じることがなく、本実施形態の非磁性一成分トナーを用いることにより、濃度ムラの少ない画像を得ることができると推定される。
【0013】
(トナー母粒子)
(1)結着樹脂
トナー母粒子が含有する結着樹脂としては、結晶性樹脂を少なくとも含有していれば、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、更にはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0014】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は適宜組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
【0015】
これらの中でも、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
本実施形態に使用されるポリエステル樹脂は、ポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。更に、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
三価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は、エチレン性不飽和二重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0016】
多価アルコール成分としては、二価の多価アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
【0017】
本実施形態のトナーは、トナー母粒子中の結着樹脂として、結晶性樹脂を少なくとも含む。トナー母粒子が結晶性樹脂と一部が表面に露出し埋没した状態の樹脂粒子とを有することにより、電荷漏洩性の高い結晶性樹脂と帯電サイトとして機能する上記樹脂粒子とが協奏的に作用し、連続出力時、特に低画像密度の連続出力時のように現像ロール上でトナーの入れ替えが無い場合であっても、過度な高帯電トナーの生成を抑制でき、現像/転写され難い高帯電トナーが生成されず、濃度ムラの少ない画像を得ることができると推定される。
また、本実施形態のトナーにおいて、トナー母粒子表面の非結晶性樹脂の部分に比べ、トナー母粒子表面の結晶性樹脂の部分に多く樹脂粒子の一部が表面に露出し埋没していることが好ましい。
トナー母粒子中の結着樹脂における結晶性樹脂の含有量は、結着樹脂の全重量に対し、5〜30重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましく、10〜15重量%であることが更に好ましい。上記態様であると、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
【0018】
結晶性樹脂としては、帯電性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0019】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
多価カルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、粒子の埋没形態制御性、耐トナーブロッキング性、画像保存性。及び、低温定着性に優れる。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、粒子の埋没形態制御性、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
【0021】
本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度Tmは、50〜100℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、粒子の埋没形態制御性、剥離性及び低温定着性に優れ、更にオフセットが低減できるので好ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とみなす。
【0022】
一方、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30℃以上であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、使用状態においてガラス状態であるため、画像形成時に受ける熱や圧力によってトナー粒子が凝集することがなく、機内に付着堆積することがなく、長期間にわたって安定した画像形成能が得られる。
ここで、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
【0023】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10,000〜60,000であることが好ましく、15,000〜45,000であることがより好ましく、20,000〜30,000であることが更に好ましい。
また、非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜90,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、それぞれ上記の数値の範囲内であると、画像強度と定着性が両立されるので好ましい。上記の重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で得られる。樹脂の分子量はTHF可溶物をTSK−GEL(GMH(東ソー(株)製))等を使用して、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出される。
【0024】
前記結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、1〜50mgKOH/gであることが好ましく、5〜50mgKOH/gであることがより好ましく、8〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲であると、定着特性及び帯電安定性に優れるので好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0025】
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。また、金属触媒やブレンステッド酸触媒等の重縮合触媒を使用することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造してもよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価や分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0026】
結着樹脂のガラス転移温度は、40℃以上80℃以下の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲であることにより、最低定着温度が維持されやすくなる。
トナー母粒子における結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全重量に対して、10〜95重量%であることが好ましく、25〜90重量%であることがより好ましく、45〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、帯電特性等に優れる。
【0027】
(2)着色剤
本実施形態において、得られる画像の着色を目的として、トナー母粒子は着色剤を含有する。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性等の観点から任意に選択すればよい。
着色剤は、染料であっても顔料であってもよいが、耐光性や耐水性の観点から、顔料であることが好ましい。また、着色剤は有色着色剤に限定されるものではなく、白色着色剤、金属色を呈する着色剤であってもよい。
【0028】
例えばシアントナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などが用いられる。
マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同70、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同185、同202、同206、同207、同209、同238等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同93、同97、同128、同155、同180、同185、同139等のイエロー顔料などが用いられる。
また、ブラックトナーにおいては、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などが用いられる。また、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー顔料を混合して、ブラックトナーとしてもよい。
着色剤としては、表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用してもよい。上記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等のカラートナーが調製される。
【0029】
着色剤の使用量は、特に制限はないが、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
【0030】
なお、本実施形態において、着色剤を含有しないクリアトナー(透明トナー)を含むトナーセットとしてカラー画像を形成してもよい。光沢付与が望まれるカラートナー像に対し、その上ないし周辺に転写定着することで良好な光沢画像を得るためのクリアトナーとして好適に使用される。
【0031】
(3)離型剤
本実施形態において、トナー母粒子は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0032】
離型剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、3〜15重量%であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0033】
(4)その他の成分
本実施形態において、トナー母粒子は上記の成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、帯電制御剤、無機粒子、有機粒子、滑剤、研磨剤等が例示される。
【0034】
(樹脂粒子)
本実施形態の非磁性一成分トナーは、トナー母粒子の表面に樹脂粒子が一部露出した状態で埋まっており、前記樹脂粒子の前記トナー母粒子に埋まっている部分の最大径が、前記トナー母粒子表面に露出している部分の最大径よりも大きいトナーである。
図1は、本実施形態の非磁性一成分トナーにおけるトナー母粒子の表面に樹脂粒子が一部露出した状態で埋まっている状態の一例を示す模式図である。
図1において、本実施形態の非磁性一成分トナーにおけるトナー母粒子110の表面102には、樹脂粒子104が結着樹脂106に一部露出した状態で埋まっている。樹脂粒子104は、トナー母粒子110に埋まっている部分104aの最大径L1が、トナー母粒子表面102に露出している部分104bの最大径L2よりも大きい。
また、トナー母粒子110への樹脂粒子104の埋没深さがL3である。
なお、結着樹脂106の部分には、着色剤(不図示)や離型剤(不図示)等のトナー成分が含まれていてもよいことは言うまでもない。
【0035】
樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の最大径や樹脂粒子のトナー母粒子表面に露出している部分の最大径は、エポキシ樹脂などの包埋剤でトナーを包埋し、ダイヤモンドナイフなどで包埋品の表面をカットし、トナーの断面が十分に確保できる場所まで、カットを続け、測定用サンプルとし、トナー母粒子表面近傍にある埋没している樹脂粒子の最大径を100粒子以上測定し、粒径が大きい側30%の粒子を抽出して、平均値をとるものとする。
具体的には、次のような測定方法を好ましく例示できる。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(例えば、LEICAウルトラミクロトーム((株)日立ハイテクノロジーズ製))を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(例えばS−4800形電界放出型走査電子顕微鏡((株)日立製))により倍率20,000倍前後でトナーの断面を観察する。トナー母粒子表面近傍にある埋没している樹脂粒子の最大径を100粒子以上測定し、粒径が大きい側30%の粒子を抽出して、樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の最大径及び樹脂粒子のトナー母粒子表面に露出している部分の最大径をそれぞれ測定し、平均値を計算する。
【0036】
樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の最大径(平均最大径)は、樹脂粒子の粒径(平均一次粒径)に対し、80〜100%の長さであることが好ましく、90〜100%の長さであることがより好ましく、95〜100%の長さであることが更に好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子がトナー母粒子表面に十分埋没しており、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
また、樹脂粒子のトナー母粒子表面に露出している部分の最大径(平均最大径)は、樹脂粒子の粒径(平均一次粒径)に対し、5〜50%の長さであることが好ましく、10〜50%の長さであることがより好ましく、20〜50%の長さであることが更に好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子がトナー母粒子表面に十分露出しており、トナー全体の帯電分布がより狭くなり、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
【0037】
更に、樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の深さ(平均深さ)は、樹脂粒子の粒径(平均一次粒径)に対し、30〜95%の長さであることが好ましく、40〜90%の長さであることがより好ましく、50〜90%の長さであることが更に好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子がトナー母粒子表面に十分埋没かつ露出しており、トナー全体の帯電分布がより狭くなり、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の深さは、例えば、
図1に示すようなトナー断面においては、樹脂粒子表面とトナー母粒子表面とが接する2点を結ぶ直線と、トナー母粒子に埋没した樹脂粒子の最深部を通る当該直線と平行な直線との距離を測定し求められる。また、樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の深さ(平均深さ)は、樹脂粒子のトナー母粒子に埋まっている部分の最大径や樹脂粒子のトナー母粒子表面に露出している部分の最大径と同様な方法により測定される。
【0038】
樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、例えば、ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、アゾ染料を分散した樹脂等の窒素原子含有樹脂などが挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル樹脂、又は、窒素原子含有樹脂が好ましく、側鎖にシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂がより好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが更に好ましい。
【0039】
また、樹脂粒子は、正帯電性を有する樹脂粒子であることが好ましい。上記態様であると、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
更に、樹脂粒子が正帯電性を有する樹脂粒子である場合、トナー母粒子の結着樹脂は、ポリエステル樹脂であることが好ましい。上記態様であると、トナー表面における分極が抑制され、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
正帯電性を有する樹脂粒子の材質としては、例えば、窒素原子含有樹脂や(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
また、樹脂粒子の帯電性の制御は、公知の方法により、樹脂粒子を表面処理することにより行ってもよい。
【0040】
樹脂粒子の平均一次粒径としては、10〜500nmであることが好ましく、20〜400nmであることがより好ましく、40〜300nmであることが更に好ましく、40〜100nmであることが特に好ましい。上記範囲であると、トナー母粒子表面おける樹脂粒子の埋まり具合の制御が容易であり、濃度ムラのより少ない画像が得られる。
また、樹脂粒子の形状は、特に制限はなく、球状、針状、紡錘状、不定形等、種々の形状であってもよいが、球状であることが好ましい。
樹脂粒子の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造すればよいが、スプレードライ法が好ましく例示される。
【0041】
(外添剤)
本実施形態において、非磁性一成分トナーは、外添剤とを含有することが好ましい。
外添剤としては特に限定されず、公知の外添剤から適宜選択すればよく、無機粒子及び有機粒子が例示されるが、無機粒子であることが好ましい。
【0042】
無機粒子の材質としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好ましい。
有機粒子の材質としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等の粒子が挙げられる。
また、これらの無機粒子の表面はトナー流動性及び帯電性などを付与するために予め疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理は、疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等の処理法が挙げられる。疎水化処理剤は特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
外添剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、特に限定されないが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましい。
外添剤の体積平均粒径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、5〜120nmであることが更に好ましい。
外添剤の添加量としては、トナー母粒子100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましく、0.5〜5重量部であることが更に好ましい。
【0044】
(トナーの製造方法及びトナー物性)
<トナー物性>
トナーの体積平均粒径は、2μm以上12μm以下が好ましく、2.5μm以上10μm以下がより好ましく、3μm以上9μm以下が更に好ましい。トナーの体積平均粒径が上記範囲であると、流動性に優れ、また、高解像度な画像が得られる。
なお、トナー、トナー母粒子等の粒子の平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用いて好適に測定される。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定される。粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積D
50v、数D
50pと定義する。体積平均粒径はD
50vとして算出され、数平均粒径はD
50pとして算出される。
【0045】
トナー母粒子の形状係数SF1が、125以上140以下が好ましく、125以上135以下がより好ましく、130以上135以下が更に好ましい。
トナー母粒子の形状係数SF1は、下記式により求められる。
・式:形状係数SF1=(ML
2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナー母粒子の絶対最大長、Aはトナー母粒子の投影面積を各々示す。
形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡(SEM)画像を、画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナー母粒子の光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナー母粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0046】
<トナーの製造方法>
本実施形態において、トナー母粒子の製造方法は、結着樹脂として少なくとも結晶性樹脂を使用する以外に特に制限はなく、公知の方法により製造すればよい。
例えば、結着樹脂、着色剤、必要に応じて、離型剤、帯電制御剤等の成分を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練し、この後、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂を乳化させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;結着樹脂を得るための単量体、着色剤、及び、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂、着色剤、及び、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等;が使用される。また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造を形成する製造方法を行ってもよい。
これらの中でも、本実施態様における非磁性一成分トナー(トナー母粒子)は、混練粉砕法又は乳化凝集法を用いて製造されたトナーであることが好ましい。
【0047】
トナー母粒子に樹脂粒子を一部露出した状態で埋没させる方法としては、トナー母粒子と樹脂粒子とを混合した状態で、衝撃、圧力、剪断等のような機械的な力を与える機械的処理により行う工程を含む方法が好ましい。また、前記機械的処理は、機械的乾式処理であることがより好ましい。
前記機械的乾式処理に使用する装置としては、オングミル(ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリタイゼイション((株)奈良機械製作所製)、クリプトロン((株)アーステクニカ製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)が特に好適に挙げられる。また、撹拌羽根の周速、撹拌時間、トナー母粒子及び樹脂粒子のガラス転移温度と撹拌時の装置内温度を制御することで本実施形態のトナーを得ることができる。
【0048】
外添剤をトナー母粒子へ外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には例えば、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて乾式でトナー母粒子表面に付着する方法、外添剤を液体に分散させた後、スラリー状態のトナーに添加し乾燥させ表面に付着する方法、又は、湿式方法として、乾燥トナーにスラリーをスプレーしながら乾燥する方法が挙げられる。
【0049】
2.静電荷像現像剤
本実施形態の静電荷像現像剤は、本実施形態の非磁性一成分トナーを少なくとも含有すする。必要に応じて、他の公知の成分を含有していてもよい。
また、本実施形態の静電荷像現像剤は、非磁性一成分現像剤であり、非磁性一成分接触現像方式による静電荷像現像剤として好適に用いることができ、また、クリーナレス(現像同時クリーニング)方式を用いた画像形成装置に用いることが特に好ましい。
【0050】
3.プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置
本実施形態の画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像ロール上に現像剤層を形成し、前記像保持体に接触して静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に前記トナー像を定着する定着工程と、を含み、前記トナーが本実施形態の非磁性一成分トナー、又は、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とする。
また、本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記像保持体の表面に静電潜像を形成させる露光手段と、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を被転写体の表面に転写する転写手段と、前記被転写体の表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の非磁性一成分トナー、又は、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とする。
【0051】
前記各工程及び各手段は、それ自体一般的であり、例えば、特開2012−203369号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0052】
前記潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
被記録媒体としては、公知のものを使用することができ、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程を有していてもよいが、クリーニング工程を有しないことが好ましい。
【0053】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0054】
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して該像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体の表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーを含む現像剤は、本実施形態の静電荷像現像トナーを含むことが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段を少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
【0055】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
【0056】
非磁性一成分現像剤を用いて現像する画像形成装置の一例について、
図2及び
図3を用いて以下に説明する。
図2は、本実施の形態の画像形成方法により画像を形成するための、タンデム方式の画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置100は、ハウジング50内において4つの電子写真感光体(像保持体)1Y、1M、1C、1Kが中間転写ベルト20に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体1K、1C、1M、1Yは、例えば、電子写真感光体1Yがイエロー、電子写真感光体1Mがマゼンタ、電子写真感光体1Cがシアン、電子写真感光体1Kがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
【0057】
電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール2Y、2M、2C、2K、現像装置4Y、4M、4C、4K、1次転写ロール5Y、5M、5C、5K、が配置されている。この場合には、それぞれの電子写真感光体と現像装置が同一のユニットすなわち、プロセスカートリッジとして装着できるように構成されている。1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ中間転写ベルト20を介して電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kに当接している。
更に、ハウジング50内の所定の位置には露光装置3が配置されており、露光装置3から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写の各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト20上に重ねて転写される。
ここで、帯電ロール2Y、2M、2C、2Kは、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を印加し、感光体表面を予め定められた電位に帯電させるものである(帯電工程)。なお、本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム又は帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン又はスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
【0058】
露光装置3としては、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
現像装置4Y、4M、4C、4Kには、後述する非磁性一成分トナー又は非磁性一成分現像剤を接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、非磁性一成分トナー又は非磁性一成分現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。一次転写工程では、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kに、像保持体上のトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像保持体から中間転写ベルト20へ各色のトナーが順次1次転写される。
【0059】
中間転写ベルト20は駆動ロール22、バックアップロール24により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール26は、中間転写ベルト20を介してバックアップロール24と当接するように配置されている。
2次転写ロール26に、中間転写ベルト20上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト20から被記録媒体Pへトナーが2次転写される。バックアップロール24と2次転写ロール26との間を通った中間転写ベルト20は、例えば駆動ロール22の近傍に配置されたクリーニングブレードを有するクリーニングユニット30或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング50内の所定の位置にはトレイ(被記録媒体トレイ)40が設けられており、トレイ40内の紙などの被記録媒体Pが移送ロール30により中間転写ベルト20と2次転写ロール26との間、更には相互に当接する2個の定着ロール28の間に順次移送された後、ハウジング50の外部に排紙される。また、本実施形態の画像形成装置は、クリーニングユニット30を有しない装置がより好適に挙げられる。
【0060】
次に、現像装置について詳述する。
図3に示すように、現像装置4は、不図示の駆動源によって矢印A方向に回転可能な像保持体1と当接するように配置され、像保持体(感光体)1の回転に伴い矢印B方向に従動回転可能な現像ロール52と、現像ロール52に接続されたバイアス電源54と、現像ロール52の回転方向において現像ロール52と像保持体1との当接部よりも下流側の位置に、現像ロール52に圧接するように配置され、現像ロール52の回転に対して逆行するように矢印C方向に回転可能な現像剤かき取り部材56と、現像ロール52の回転方向において、現像ロール52と現像剤かき取り部材56との圧接部よりも下流側且つ現像ロール52と像保持体1との当接部の上流側の位置に、現像ロール52に当接するように配置されたトナー層規制部材58と、現像ロール52の像保持体1が配置された側と反対側に位置し、現像ロール52が配置された側に開口部を有する筐体62と、筐体62内に配置されたアジテーター60とから構成される。
【0061】
なお、トナー層規制部材58は、筐体62の開口部を閉鎖するように、その一旦が筐体62の開口部に固定されている。また、筐体62の開口部のトナー層規制部材58が取り付けられている側(開口部上側)と反対側(開口部下側)は、現像ロール52や現像剤かき取り部材56の下側を覆うように構成されている。ここで、現像剤(静電荷像現像剤)64は、筐体62の下側に堆積するように配置されており、現像ロール52の下側と筐体62の開口部下側との間の空間を隙間なく満たすと共に、現像剤かき取り部材56を覆うように堆積している。また、現像剤64は筐体62内に設けられたアジテーター60により、適宜、筐体62内部から、現像ロール1が配置された筐体62開口部側へと供給されるようになっている。
【0062】
現像に際しては、まず、筐体62内の現像剤64が、アジテーター60から現像剤かき取り部材56により現像ロール52表面に供給される。次に、現像ロール52表面に付着した現像剤64が、トナー層規制部材58によって、現像ロール52表面に均一な厚みのトナー層を形成するように付着する。続いて、静電潜像(不図示)が形成された像保持体1表面と、バイアス電源54によりバイアス電圧が印加された現像ロール52との間の電位差に応じて、現像ロール52表面に付着している現像剤64中の非磁性一成分トナーが、像保持体1側に移着し、静電潜像が現像される。なお、現像を終えた後の現像ロール52表面に残留している現像剤64は、現像剤かき取り部材56によってかき取られる。
【0063】
また、本実施形態において、像保持体の外添剤を、現像ロールを介して現像装置に回収するクリーニング工程を更に含むことが好ましい。
図3を参照して説明すれば、本実施形態において転写工程後に像保持体1に残留する外添剤(不図示)は、像保持体1と現像ロール52との接触により、現像ロール52へと移行し、現像装置4に回収されることが好ましい。これにより、像保持体のクリーニング手段やクリーニング工程を別途設けることなく、像保持体の転写残トナーがクリーニングされる。
なお、上記のクリーニング工程において、感光体上の転写残トナーも現像ロールを介して現像装置に回収されることが好ましい。
【0064】
本実施形態において、像保持体と現像ロールとは
図3に示すように、順方向に回転しながら接触することが好ましい。順方向に回転しながら接触することにより、接触時間をより多くすることができる。
また、このとき、像保持体に対する現像ロールの相対速度が1.1倍〜2.5倍であることが好ましい。すなわち、像保持体の回転速度を1としたとき、現像ロールの回転速度が1.1〜2.5であることが好ましい。現像ロールの回転速度を像保持体の回転速度よりも速くすることにより、現像量(感光体に移行する非磁性一成分トナーの量)を増やすことができるので好ましい。
像保持体に対する現像ロールの相対速度は、1.1倍〜2.5倍であることが好ましく、1.15倍〜2.0倍であることがより好ましく、1.2倍〜1.8倍であることが更に好ましい。
【0065】
本実施形態において、画像形成装置は、プロセスカートリッジを備えることが好ましい。すなわち、それぞれの電子写真感光体と現像装置がプロセスカートリッジとして装着できるように構成されていることが好ましい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱され、本実施形態の静電荷像現像剤を収容し、かつ像保持体の表面に形成された静電潜像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備えることを特徴とする。
【実施例】
【0066】
以下に実施例を参照して本実施態様について更に説明するが、本実施態様はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を表す。
【0067】
<トナー及びトナー母粒子の体積平均粒径の測定方法>
トナー及びトナー母粒子の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、まず、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000とした。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、重量又は体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径をそれぞれ重量平均粒径又は体積平均粒径と定義する。
【0068】
<分子量の測定>
分子量の測定には、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×10
4
数平均分子量Mn=13.7×10
4
となることにより確認することができる。
また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いた。
【0069】
<分散液中の粒子及び樹脂粒子の平均粒径の測定>
分散液中の粒子や樹脂粒子の平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)により測定した。
【0070】
<樹脂分散液中の樹脂粒子、又は、樹脂のガラス転移点の測定>
樹脂のガラス転移温度Tgの測定には、示差走査熱量計((株)島津製作所製、DSC50)を用いた。
【0071】
(実施例1)
<樹脂粒子1の作製>
アニオン製活性剤ダウファックス(ダウケミカル(株)製)0.2重量部をイオン交換水50重量部に溶解したものをフラスコ中に収容し、メタクリル酸シクロヘキシル100重量部を添加して分散し乳化して、10分間ゆっくりと撹拌・混合しながら過硫酸アンモニウム0.6重量部を溶解したイオン交換水5重量部を投入した。次いで系内を十分窒素で置換した後、フラスコを撹拌しながら、オイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、乳化重合を行った。得られた樹脂分散液を濾過し、凍結乾燥を行うことでポリメタクリル酸シクロヘキシルを得た。
ポリメタクリル酸シクロヘキシル10部を、トルエン90部に溶解しスプレードライにより噴霧し、平均一次粒径が70nmである樹脂粒子1を得た。
【0072】
<非結晶性ポリエステル樹脂の作製>
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:10モル%
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:40モル%
テレフタル酸:50モル%
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、精留塔を備えたフラスコに上記組成比のモノマーを仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内がばらつきなく撹拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドの1.0重量%を投入した。更に生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃で更に2.5時間脱水縮合反応を継続し、ガラス転移温度が62℃、重量平均分子量(Mw)35,000である非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0073】
<結晶性ポリエステル樹脂1の作製>
セバシン酸50モル%、1,6−ヘキサンジオール50モル%、ジブチル錫オキサイド0.3重量%とをフラスコ内で混合し、減圧雰囲気下で240℃に加熱して6時間脱水縮合し結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
【0074】
<トナー1の作製>
非結晶性ポリエステル樹脂:76部
結晶性ポリエステル樹脂1:12部
カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名#25B):6部
パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、商品名HNP9):6部
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級した。
熱風球形化装置「サーフュージングシステムSFS−3型」(日本ニューマチック工業(株)製)にて熱風処理を行い、体積平均粒径D
50が7.2μmのトナー母粒子1を得た。
【0075】
<樹脂粒子被覆>
トナー母粒子1:100部
樹脂粒子1:20部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し予備分散母粒子1を得た。
その後、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)装置内温度を45℃に保ちつつ、3,000rpmで10分撹拌して樹脂粒子被覆トナー母粒子1を得た。
【0076】
<トナーの作製>
樹脂粒子被覆トナー母粒子1:100部
シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名RA200H):0.8部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー1を得た。
得られたトナー1を、以下に示す評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0077】
<樹脂粒子状態評価方法>
樹脂粒子被覆トナー母粒子(又はトナー)を包埋して切片を作製し、その断面を観察し、トナー母粒子表面近傍にある埋没している樹脂粒子の最大径を100粒子測定し、粒径が大きい側の30個抽出し、樹脂粒子の前記トナー母粒子に埋まっている部分の最大径、トナー母粒子表面に露出している部分の最大径、及び、トナー母粒子表面から樹脂粒子の埋没深さをそれぞれ測定し、平均値を算出した。
【0078】
<画像濃度ムラ評価方法>
評価は、画像形成装置として、非磁性一成分接触現像方式かつ現像同時クリーニング方式を採用した富士ゼロックス(株)製DocuPrint P300dを用い評価を行った。
上記画像形成装置により、温度15℃、湿度15%の環境にて、画像密度1.0%のA4画像を3,000枚連続プリントした直後に全面ハーフトーン画像(画像密度30%)をプリントした。
このときのハーフトーン画像の上部及び下部の濃度を測定し、その濃度差(Δ濃度)の値で判断した。
◎:Δ濃度の値が0.1以下
○:Δ濃度の値が0.1を超え0.2以下
△:Δ濃度の値が0.2を超え0.3以下
×:Δ濃度の値が0.3より大きい
【0079】
(比較例1)
<トナー2の作製>
トナー母粒子1の作製において、非結晶性ポリエステル樹脂を88部、結晶性樹脂を0部に変更した以外は同様の製法により、体積平均粒径D
50が7.4μmのトナー母粒子2を得た。
トナー母粒子1の代わりにトナー母粒子2を用いた以外は、トナー1と同様の方法により、トナー2を作製した。
得られたトナー2を、前述した評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0080】
(実施例2)
樹脂粒子1の代わりに樹脂粒子2(ポリメタクリル酸シクロヘキシル粒子、平均一次粒径:30nm)を用いた以外は、トナー1と同様の方法により、トナー3を作製した。
得られたトナー3を、前述した評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0081】
(実施例3)
樹脂粒子1の代わりに樹脂粒子3(ポリメタクリル酸シクロヘキシル粒子、平均一次粒径:350nm)を用いた以外は、トナー1と同様の方法により、トナー4を作製した。
得られたトナー4を、前述した評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0082】
(比較例2)
樹脂粒子1の代わりに樹脂粒子3(ポリメタクリル酸シクロヘキシル粒子、平均一次粒径:350nm)を用いた以外は、トナー2と同様の方法により、トナー5を作製した。
得られたトナー5を、前述した評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0083】
<樹脂粒子2の作製>
樹脂粒子1のメタクリル酸ヘキシル100重量部をメタクリル酸ヘキシル80質量部及びメチルメタクリレート20質量部に変更する以外は同様の作製法で平均一次粒径が100nmである樹脂粒子2を得た。
【0084】
(実施例4)
<トナー6の作製>
トナー母粒子1の作製において、非結晶性ポリエステル樹脂を84部、結晶性樹脂を4部に変更した以外は同様の製法により、体積平均粒径D
50が7.4μmのトナー母粒子を得た。
更に、
トナー母粒子:100部
樹脂粒子2:10部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し予備分散母粒子を得た。
その後、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)装置内温度を40℃に保ちつつ、3,000rpmで10分撹拌して樹脂粒子被覆トナー母粒子を得た。
その後、
樹脂粒子被覆トナー母粒子:100部
シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名RA200H):0.8部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー6を得た。
【0085】
(実施例5)
<トナー7の作製>
トナー6の作製において、非結晶性ポリエステル樹脂を80部、結晶性樹脂を8部に変更した以外は同様の製法により、体積平均粒径D
50が7.3μmのトナー母粒子を得た。トナー6の樹脂微粒子処理及びシリカ粒子処理を行いトナー7を得た。
【0086】
(実施例6)
<トナー8の作製>
トナー6の作製において、非結晶性ポリエステル樹脂を76部、結晶性樹脂を12部に変更した以外は同様の製法により、体積平均粒径D
50が7.2μmのトナー母粒子を得た。トナー6の樹脂微粒子処理及びシリカ粒子処理を行いトナー8を得た。
【0087】
(実施例7)
<トナー9の作製>
トナー6の作製において、非結晶性ポリエステル樹脂を72部、結晶性樹脂を16部に変更した以外は同様の製法により、体積平均粒径D
50が7.5μmのトナー母粒子を得た。トナー6の樹脂微粒子処理及びシリカ粒子処理を行いトナー9を得た。
【0088】
(実施例8)
<トナー10の作製>
トナー6の作製において、非結晶性ポリエステル樹脂を70部、結晶性樹脂を20部に変更した以外は同様の製法により、体積平均粒径D
50が7.1μmのトナー母粒子を得た。トナー6の樹脂微粒子処理及びシリカ粒子処理を行いトナー10を得た。
【0089】
(比較例3)
<トナー11の作製>
トナー8の作製にて得られた母粒子に
トナー母粒子1:100部
樹脂粒子2:10部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し予備分散母粒子を得た。
その後、
予備分散粒子被覆トナー母粒子1:100部
シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名RA200H):0.8部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー11を得た。
【0090】
(比較例4)
<トナー12の作製>
トナー8の作製において、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)装置内温度を50℃に変更する以外は同様の作製法でトナー12を得た。
【0091】
(比較例5)
<トナー13の作製>
非結晶性ポリエステル樹脂:66部
結晶性ポリエステル樹脂1:12部
樹脂粒子2:10部
カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名#25B):6部
パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、商品名HNP9):6部
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級した。
熱風球形化装置「サーフュージングシステムSFS−3型」(日本ニューマチック工業(株)製)にて熱風処理を行い、体積平均粒径D
50が7.3μmのトナー母粒子を得た。その後、
トナー母粒子1:100部
シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名RA200H):0.8部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー13を得た。
【0092】
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製>
結晶性ポリエステル樹脂1:50部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製):2部
イオン交換水:200部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が180nmになったところで回収した。このようにして固形分20重量%の結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液1を得た。
【0093】
<非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製>
前記非結晶性ポリエステル樹脂を溶融状態にて、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm
2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分20重量%の非結晶性ポリエステル樹脂分散液1を得た。
【0094】
<着色剤分散液の調製>
カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名#25B):20部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製):2部
イオン交換水:80部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、(株)スギノマシン製)により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20重量%の着色剤粒子分散液を得た。
【0095】
<ワックス分散液の調製>
パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、商品名HNP9):20部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製):2部
イオン交換水:80部
上記の成分を混合し、100℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径200nm、固形分20重量%の離型剤分散液を得た。
【0096】
<トナー母粒子4の作製>
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:12部
非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:76部
着色剤分散液:6部
ワックス分散液:6部
イオン交換水:80部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に入れて、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.4部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。更に加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら50℃まで加熱した。50℃で3時間保持した。
その後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。次いで真空乾燥を12時間実施し体積平均粒径D
50が6.8μmのトナー母粒子4を得た。
【0097】
<トナー母粒子5の作製>
トナー母粒子4の作製において以下に変更した以外は同様の製法により体積平均粒径D
50が6.6μmのトナー母粒子5を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:6部
非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:82部
着色剤分散液:6部
ワックス分散液:6部
イオン交換水:80部
【0098】
<トナー母粒子6の作製>
トナー母粒子4の作製において以下に変更した以外は同様の製法により体積平均粒径D
50が6.9μmのトナー母粒子6を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:0部
非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1:88部
着色剤分散液:6部
ワックス分散液:6部
イオン交換水:80部
【0099】
(実施例9)
<トナー14の作製>
トナー母粒子4:100部
樹脂粒子1:25部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し予備分散母粒子を得た。
その後、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)装置内温度を40℃に保ちつつ、3,000rpmで10分撹拌して樹脂粒子被覆トナー母粒子を得た。
その後、
樹脂粒子被覆トナー母粒子:100部
シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名RA200H):0.8部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー14を得た。
【0100】
(実施例10)
<トナー15の作製>
トナー母粒子5:100部
メラミン樹脂粒子(エポスター−S:(株)日本触媒製):15部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し予備分散母粒子を得た。
その後、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)装置内温度を50℃に保ちつつ、3,000rpmで10分撹拌して樹脂粒子被覆トナー母粒子を得た。
その後、
樹脂粒子被覆トナー母粒子:100部
シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名RA200H):0.8部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー15を得た。
【0101】
(比較例6)
<トナー16の作製>
トナー15の作製方法においてトナー母粒子5をトナー母粒子6に変更した以外は同様の製法によりトナー16を得た。
【0102】
【表1】
【0103】
なお、表1中における「樹脂粒子の埋没した部分の最大径」とは詳しくは「樹脂粒子におけるトナー母粒子に埋まっている部分の最大径」のことであり、「樹脂粒子の表面露出部分の最大径」とは詳しくは「樹脂粒子におけるトナー母粒子表面に露出している部分の最大径」のことである。