特許第6163940号(P6163940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6163940-無菌充填機 図000002
  • 特許6163940-無菌充填機 図000003
  • 特許6163940-無菌充填機 図000004
  • 特許6163940-無菌充填機 図000005
  • 特許6163940-無菌充填機 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163940
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】無菌充填機
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/24 20060101AFI20170710BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B65B55/24
   B65B55/04 N
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-153541(P2013-153541)
(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公開番号】特開2015-24825(P2015-24825A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 晋輔
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−338765(JP,A)
【文献】 特開2005−225526(JP,A)
【文献】 実開昭63−134903(JP,U)
【文献】 特開平10−218128(JP,A)
【文献】 特開昭63−178926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/24
B65B 55/04
B65B 9/00− 9/24
B65B 47/00−47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品や飲料を無菌空間内で容器に充填する無菌充填機であって、
容器挿入部と、バキューム部と、殺菌部と、乾燥部と、充填部と、シール部と、排出部と、がこの順に備えられており
キューム部は、容器挿入部と殺菌部の間に設けられ、無菌空間の外側に設けられた容器挿入部から供給された容器内の空気を吸引した後に、容器を殺菌部に送り込むもので、更に、
バキューム部は無菌エアーを外部から送り込まれ陽圧とされた第一の無菌空間内に設けられ、
殺菌部と、乾燥部と、充填部と、シール部と、は無菌エアーを外部から送り込まれ陽圧とされた第二の無菌空間内に設けられ、
前記第二の無菌空間は前記第一の無菌空間よりも陽圧として第二の無菌空間内の汚染を防ぎ、
容器は、バキューム部、殺菌部、乾燥部、充填部、シール部を水平に流れることを特徴とする無菌充填機。
【請求項2】
バキューム部と殺菌部との間の仕切りにより、第一の無菌空間と第二の無菌空間とが隔てられていることを特徴とする請求項1に記載の無菌充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品や飲料を容器に充填する無菌充填機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の無菌充填機には、一般的に、充填空間を外気から遮断した無菌空間が備わって
いる。
【0003】
食品や飲料を無菌充填する際には充填する製品及び容器を殺菌している。無菌充填を達成するためには無菌空間内を無菌状態に保つとともに、容器を無菌状態に保つ必要がある。そのために、無菌空間および容器をそれぞれ別々に殺菌するための空間殺菌装置および容器殺菌装置が無菌充填機に備えられている。
【0004】
例えば、紙やプラスチックの容器に液体を充填する場合に、内容物が腐敗しないように無菌充填が行なわれる。無菌充填は予め容器本体と蓋材とに対してそれぞれ過酸化水素を噴霧してその酸化力によって殺菌処理を行なうようにしている。そして噴霧された過酸化水素を乾燥させることにより容器および蓋材をそれぞれ無菌化するようにしている。そして無菌化された充填室内において上記無菌化された容器に内容物を無菌充填するようにし、この後に上記蓋材によってシールしている。
【0005】
また無菌充填する際は空間内部を無菌化状態に保つ必要が有るため、空間内は無菌化された空気で陽圧に保たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−77837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1は無菌充填機の一例を示す図である。図1に示される充填機は一般的に多く用いられているロータリー式充填機であるが、説明のため平面で各部を示す。内容物が充填される容器1は容器挿入部5から無菌空間に供給される。先ず、殺菌部6で容器内に殺菌ガス2(例えば過酸化水素ガス)を噴霧して容器を滅菌する。その後乾燥部7、充填部8、更に蓋材3をシールするシール部9を経て排出部10から排出される。
【0008】
図2に示すように上記殺菌部6において殺菌ガスを殺菌ノズル6aから噴霧する際に、容器内の空気4が殺菌ガス2によって空間内に押し出されてしまい、空間内を殺菌されていない空気で汚染する不具合がある。即ち、無菌空間に外気が容器内の空間を媒体として持ち込まれてしまう。
【0009】
この場合、殺菌部6、乾燥部7、充填部8の内圧が、充填部8>乾燥部7>殺菌部6となるように充填部8の圧力(陽圧)を高くできればよいが、ロータリー式充填機は特に無菌空間の陽圧を上記のような理想的な形で取ることが構造的に難しい。尚、図2に示される符号11はリテーナーであってプラスチック製あるいは金属製のものであって、埃を発生しない材料で作製されたもので、空の容器を内部にセットするものである。
【0010】
そこで本発明は、充填機の外から運ばれる容器内に存在する汚染された空気を充填機の空間内に放出されることを防ぐ無菌充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明の請求項1に係る発明は、
食品や飲料を無菌空間内で容器に充填する無菌充填機であって、
容器挿入部と、バキューム部と、殺菌部と、乾燥部と、充填部と、シール部と、排出部と、がこの順に備えられており
キューム部は、容器挿入部と殺菌部の間に設けられ、無菌空間の外側に設けられた容器挿入部から供給された容器内の空気を吸引した後に、容器を殺菌部に送り込むもので、
更に、
バキューム部は無菌エアーを外部から送り込まれ陽圧とされた第一の無菌空間内に設けられ、
殺菌部と、乾燥部と、充填部と、シール部と、は無菌エアーを外部から送り込まれ陽圧とされた第二の無菌空間内に設けられ、
前記第二の無菌空間は前記第一の無菌空間よりも陽圧として第二の無菌空間内の汚染を防ぎ、
容器は、バキューム部、殺菌部、乾燥部、充填部、シール部を水平に流れることを特徴とする無菌充填機である。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、
バキューム部と殺菌部との間の仕切りにより、第一の無菌空間と第二の無菌空間とが隔てられていることを特徴とする請求項1に記載の無菌充填機である。
【発明の効果】
【0013】
容器内の空間に存在する空気を吸引することによって、容器内を無菌空間内の空気で置換して無菌化することにより、空間内を汚染された空気で汚すことがなくなる。その結果、無菌状態で充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】無菌充填装置の一例を示す図。
図2】従来の無菌充填装置の殺菌部において殺菌ガスを噴霧する際の不具合を示す図。
図3】本発明の参考形態の無菌充填機の概略構成図。
図4図3に示される無菌充填機のバキューム部の内部の空気の様子を示す図。
図5】本発明の無菌充填機の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る無菌充填機を実施するための形態を説明する。
【0016】
図3は本発明の参考形態の無菌充填機の概略構成図である。図3に示される無菌充填機は、容器挿入部15と、バキューム部21と、殺菌部16と、乾燥部17と、充填部18と、シール部19と、排出部20と、が容器の流れ方向にこの順に備えられている。
【0017】
バキューム部21と、殺菌部16と、乾燥部17と、充填部18と、シール部19と、は無菌エアーを外部から送り込まれ陽圧とされた1つの無菌空間内に設けられている。バキューム部21は、容器挿入部15と殺菌部16の間に設けられ、無菌空間の外側に設けられた容器挿入部15から供給された容器1内の空気を吸引した後に、容器を殺菌部16に送り込む。
【0018】
また、無菌空間には無菌エアー供給部23、24によって無菌エアーが送り込まれ、外気よりも陽圧となっている。
【0019】
図4はこの場合のバキューム部21の内部の空気の様子を示す図である。バキューム部21では、図示しないバキュームポンプに繋がれたバキュームノズル21aによって容器1内の空気が吸引される。同時に吸引された空気に代わって無菌空間の無菌エアーが容器内に満たされる。このようにバキューム部21を設けることによって容器内の空気が無菌空間に放出されることなく、無菌空間は空気で汚されることはない。符号11はリテーナーである。
【0020】
バキューム部21で内部の空気が無菌エアーで置換された容器は殺菌部16に送られ、
殺菌ガスとして例えば過酸化水素ガス2を噴霧して容器を滅菌する。その後無菌化された乾燥エアーによって乾燥部17で乾燥された後、充填部18で内容物が充填される。その後蓋材3がシール部19でシールされ、最後に排出部20で排出される。この場合、蓋材3は予め殺菌されている。
【0021】
図5は本発明の無菌充填機の概略構成図である。図5に示される無菌充填機は、容器挿入部15と、バキューム部21と、殺菌部16と、乾燥部17と、充填部18と、シール部19と、排出部20と、がこの順に備えられている。
【0022】
バキューム部21は、容器挿入部15と殺菌部16の間に設けられ、無菌空間の外側に設けられた容器挿入部15から供給された容器内の空気を吸引した後に、容器を殺菌部16に送り込むものである。
【0023】
バキューム部21は第一の無菌空間13a内に設けられている。また殺菌部16と、乾燥部17と、充填部18と、シール部19と、は第二の無菌空間13b内に設けられている。第一の無菌空間13a内には無菌エアー供給部22によって無菌エアーが外部から送り込まれている。また第二の無菌空間13b内には無菌エアー供給部23、24によって無菌エアーが外部から送り込まれている。
【0024】
また、前記第二の無菌空間は前記第一の無菌空間よりも陽圧となるように無菌エアー供給部22、23、24から送り込む無菌エアー量は調整される。その結果、第一の無菌空間から第二の無菌空間にエアーの移動はない。
【0025】
図5に示される無菌充填機は、第一の無菌空間13aではバキューム部で空気を吸引し、容器内の空気を無菌化されたエアーで置換し、更に第二の無菌空間は前記第一の無菌空間よりも陽圧となるように調整されているため、第二の無菌空間13b内を確実に無菌化することが出来、図3に示される無菌充填機よりもさらに確実に無菌空間内の汚染を防ぐことが出来る。
【0026】
このように本発明の無菌充填機によれば、容器内部に存在していた空気を吸引し、無菌化されたエアーで置換するため、容器内部に存在していた空気による無菌空間内の汚染を防ぐことが出来、その結果、無菌状態で内容物を充填することが出来る。
【符号の説明】
【0027】
1・・・容器
2・・・殺菌ガス(過酸化水素ガス)
3・・・蓋材
4・・・容器内の空気
5・・・容器挿入部
6・・・殺菌部
6a・・・殺菌ノズル
7・・・乾燥部
8・・・充填部
9・・・シール部
10・・・排出部
11・・・リテーナー
13a・・・第一の無菌空間
13b・・・第二の無菌空間
15・・・容器挿入部
16・・・殺菌部
17・・・乾燥部
18・・・充填部
19・・・シール部
20・・・排出部
21・・・バキューム部
21a・・・バキュームノズル
22、23、24・・・無菌エアー供給部
図1
図2
図3
図4
図5