特許第6163977号(P6163977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6163977自動販売機用商品情報表示装置及び商品情報表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163977
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】自動販売機用商品情報表示装置及び商品情報表示方法
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/02 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   G07F9/02 105
   G07F9/02 B
   G07F9/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-179500(P2013-179500)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-49590(P2015-49590A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】江守 朗
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−9110(JP,A)
【文献】 特開平3−131999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/02
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機用商品情報表示装置であって、
通信部と、記憶部と、制御部と、第一の商品情報表示部と、第二の商品情報表示部と、センサー部と、電源部と、を有し、
通信部は、外部機器との間で商品情報の送受信を行うもので、
記憶部は、受信した商品情報を記憶するもので、
制御部は、第一の商品情報表示部の表示を制御するもので、
第一の商品情報表示部は電気的に書き換え可能で、任意の情報を表示するもので、
第二の商品情報表示部は複数の表示面から選択された表示面を表示するもので、
センサー部は第二の商品情報表示部の表示内容を判別するもので、
電源部は前記各構成部に電力を供給するもので、
制御部は、記憶部に記憶された商品情報と、センサー部によって判別された第二の商品情報表示部の表示内容とを比較し、これらの情報が不一致の場合に第一の商品情報表示部に第二の商品情報表示部の表示内容の表示変更を表示して注意喚起することを特徴とする自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項2】
前記第一の商品情報表示部が、電気泳動表示体であることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項3】
前記第二の商品情報表示部は、複数の異なる情報が印刷された表示面を有し、その表示面は取り外し可能な強磁性体で形成され、その強磁性体は磁力により保持されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項4】
前記第二の商品情報表示部は、複数の異なる情報が印刷された表示面を有し、その表示面は屈曲可能な無端帯状素材で形成され、その無端帯状素材は回転自在に支持する支持部で支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項5】
前記第二の商品情報表示部は、その表示面が円筒面または多角柱面であって、その周方向に複数の異なる情報が印刷され、さらに表示面が回転自在に支持される支持部材によって支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項6】
前記第一の商品情報表示部は、情報の更新が頻繁な商品の価格、商品名、在庫数、販売履歴、作業者への注意喚起、現在の商品庫の温度のいずれかを選択して表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項7】
前記第二の商品情報表示部の複数の前記表示面は、つめたい、あったかい、常温の商品の温度情報を表示する表示面を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項8】
前記第二の商品情報表示部の複数の前記表示面は、おすすめ、特価、値下げ、SALEの商品ピーアール情報を表示する表示面を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項9】
前記電源部が、乾電池、リチウム電池、ボタン電池、小型二次電池、燃料電池、太陽電池、から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項10】
前記通信部は、商品情報の送受信を赤外線通信、または電波通信、または音響通信の内少なくとも1種で行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項11】
前記センサー部は、光の遮断有無を検知するセンサー、または導体の接触を検知するセンサーから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置を用いて商品情報表示を行うことを特徴とする商品情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機用商品情報表示装置に関し特に、視認性の向上、省スペース化、及びコストダウンを図った自動販売機用商品情報表示装置及び商品情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、缶、瓶、PETボトルなどに入れられた飲料水などの商品を販売する自動販売機が屋内外に多数設置され運用されている。これらの自動販売機は一般的に自動販売機本体の前面に商品の外観を模したサンプルが陳列され、それぞれのサンプルの下に価格及び「つめたい」または「あったかい」といった冷温表示があり、さらに表示価格を超える金額が自動販売機に投入された時のみ機能する購入ボタンが配置された構成をとっている。特に、冷温表示においては寒色系の色で「つめたい」を、暖色系の色で「あったかい」を印刷することにより視認性を高め、購入者が即座に商品が冷却状態で提供されるのか加温状態で提供されるのかを判別できるように工夫がされている。
【0003】
価格や冷温表示が変更されるのは季節の切り替わりにおける商品の入れ替え時期に多く、このときの作業は、
(1)自動販売機のコラム内に残った製品の取り出し
(2)新しい製品の補充
(3)冷却・加温設定の切り替え
(4)サンプルの交換
(5)価格表示カードの変更
(6)冷温表示カードの変更
と多岐にわたり、特に価格表示カードと冷温表示カードの変更は商品毎に10円単位で価格が異なったり、おなじ商品を冷却販売と加温販売の2種類実施したりなど非常に煩雑で間違えやすい作業となっている。
【0004】
これらの作業の効率化や表示内容の間違い防止等の目的で特許文献1には、透光性のあるフィルムに価格と冷温表示を印刷したものを無端状に繋ぎ、二つのローラーで保持する構造とすることで、ローラーを回転してフィルムを送ることによって表示内容を変化させることができる表示装置が開示されている。また、特許文献2では円筒状の回転体表面に価格や冷温表示を印刷しておき、コラムに設けた温度センサーによって冷却・加温状態を判断し、モーターなどの動力で自動的に表示内容を変化させることができる表示装置が開示されている。
【0005】
このような表示装置の採用によって、印刷表示による視認性の高さを保ったまま、商品入れ替え時における価格及び冷温表示カードの変更作業を短時間で実施する事ができるようになった。しかしながら、これらの表示装置にも課題がある。商品の冷却・加温状態の変更は季節の変わり目など限られた時期の実施で、さらにその表示内容も「つめたい」、「あったかい」のほかには「常温」がある程度で数種類の準備でよいが、価格表示に関しては10円単位で異なった価格を複数種類用意する必要があることと、変更のタイミングも商品の売れ行きによって一日のうちに数回予定する場合も考えられる。そのため、この要求に対応するためには、予め印刷した表示部を多く用意する必要があり表示装置が大きくなり、さらに複雑化もする。また、機械式の稼動部を持つこれらの表示装置では表示切り替え回数が多くなると稼動部に負荷がかかり、安定して運用するためには定期的にメンテナンスをするなど新たな作業負担が生じる可能性が考えられる。
【0006】
そこで、これらの課題に対して、表示装置の表示画面に液晶シャッター(特許文献3)や電気泳動表示体(特許文献4)を用いたものが開示されている。これらの表示装置では電気的に画像を書き換える事が可能であり、表示内容が多くなっても表示装置のサイズが大きくなる事も構造が複雑化することも無い。しかしながら、これらの表示装置にも課題がある。液晶シャッターを用いた表示装置(特許文献3)では表示画面を3つの領域に分割し、それぞれの領域で背面に設置した照明の光を透過・遮断し表示を行う。上段には寒色系の色で「つめたい」の冷温表示が、中段には暖色系の色で「あったかい」の冷温表示が印刷されており、液晶シャッターによりどちらかの領域にのみ照明の光が透過するようにすることで、冷却・加温状態を表示するようになっている。また、下段には3桁の7セグメントディスプレイが構成され価格を表示するようになっている。
【0007】
このような構成の表示装置の場合、屋外などの日中に明るくなる場所に設置した自動販売機では外光の影響により表示が見難くなる問題が有る。これに対し照明を強力にする事で視認性を改善することはできるがエネルギー消費の面では好ましくない。また、液晶には画像保持性が無いため表示を維持するためには電力を必要とし、稀にしか表示内容を変更しない冷温表示に使用するにはエネルギー消費上好ましくない。
【0008】
一方、表示画面に電気泳動表示体を使用した(特許文献4)では、反射型表示であること、及び電源を切っても表示がそのまま残る画像保持性があることから、明るい環境での視認性と省エネルギー性がある。特許文献4では電気泳動表示体として無色または染料で着色した分散媒に酸化チタンからなる白色泳動粒子とアクリルコポリマーを主成分とし顔料(黒色、赤色、青色、緑色、黄色、茶色等)の何れか一色を内包した着色泳動粒子を用い、背景色である白色に顔料の各色で画像を表示できるようになっている。そのため、自動販売機の商品情報表示の場合には、冷温表示と価格表示を行う画面の構成では、表示画面を3つの領域に分割し、冷却表示領域では青色泳動粒子と白色泳動粒子による表示とし、加温表示領域では赤色泳動粒子と白色泳動粒子による表示、価格表示領域では黒色泳動粒子と白色泳動粒子による表示とすることで、視認性が良く画像保持性のある表示とすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、表示色が異なる場合には前述するように別々の表示領域が必要となり表示画面が大きくなる課題がある。また、同じ表示領域において複数色を表示するにはカラーフィルタを用いた方式などが考えられるが、電気泳動表示体にカラーフィルタを組み合わせた構成では鮮やかな色が表現できるものは実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3998876号公報
【特許文献2】特開平9−245235号公報
【特許文献3】特開2010−218134号公報
【特許文献4】特開2008−9110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、自動販売機の価格・冷温情報表示においてコラムの冷却・加温設定と冷温情報表示内容の不一致を商品交換作業者に伝えることで表示間違いの訂正を促すことができ、日中の明るい環境においても視認性が良く、しかも省電力で安価な自動販売機用商品情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明の請求項1に記載の発明は、
自動販売機用商品情報表示装置であって、
通信部と、記憶部と、制御部と、第一の商品情報表示部と、第二の商品情報表示部と、センサー部と、電源部と、を有し、
通信部は、外部機器との間で商品情報の送受信を行うもので、
記憶部は、受信した商品情報を記憶するもので、
制御部は、第一の商品情報表示部の表示を制御するもので、
第一の商品情報表示部は電気的に書き換え可能で、任意の情報を表示するもので、
第二の商品情報表示部は複数の表示面から選択された表示面を表示するもので、
センサー部は第二の商品情報表示部の表示内容を判別するもので、
電源部は前記各構成部に電力を供給するもので、
制御部は、記憶部に記憶された商品情報と、センサー部によって判別された第二の商品情報表示部の表示内容とを比較し、これらの情報が不一致の場合に第一の商品情報表示部に第二の商品情報表示部の表示内容の表示変更を表示して注意喚起することを特徴とする自動販売機用商品情報表示装置である。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、
前記第一の商品情報表示部が、電気泳動表示体であることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0014】
本発明の請求項3に記載の発明は、
前記第二の商品情報表示部は、複数の異なる情報が印刷された表示面を有し、その表示面は取り外し可能な強磁性体で形成され、その強磁性体は磁力により保持されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0015】
本発明の請求項4に記載の発明は、
前記第二の商品情報表示部は、複数の異なる情報が印刷された表示面を有し、その表示面は屈曲可能な無端帯状素材で形成され、その無端帯状素材は回転自在に支持する支持部で支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0016】
本発明の請求項5に記載の発明は、
前記第二の商品情報表示部は、その表示面が円筒面または多角柱面であって、その周方向に複数の異なる情報が印刷され、さらに表示面が回転自在に支持される支持部材によって支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0017】
本発明の請求項6に記載の発明は、
前記第一の商品情報表示部は、情報の更新が頻繁な商品の価格、商品名、在庫数、販売履歴、作業者への注意喚起、現在の商品庫の温度のいずれかを選択して表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0018】
本発明の請求項7に記載の発明は、
前記第二の商品情報表示部の複数の前記表示面は、つめたい、あったかい、常温の商品の温度情報を表示する表示面を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0019】
本発明の請求項8に記載の発明は、
前記第二の商品情報表示部の複数の前記表示面は、おすすめ、特価、値下げ、SALEの商品ピーアール情報を表示する表示面を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか
に記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0020】
本発明の請求項9に記載の発明は、
前記電源部が、乾電池、リチウム電池、ボタン電池、小型二次電池、燃料電池、太陽電池、から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0021】
本発明の請求項10に記載の発明は、
前記通信部は、商品情報の送受信を赤外線通信、または電波通信、または音響通信の内少なくとも1種で行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0022】
本発明の請求項11に記載の発明は、
前記センサー部は、光の遮断有無を検知するセンサー、または導体の接触を検知するセンサーから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置である。
【0023】
本発明の請求項12に記載の発明は、
請求項1〜11のいずれかに記載の自動販売機用商品情報表示装置を用いて商品情報表示を行うことを特徴とする商品情報表示方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、自動販売機の価格・冷温情報表示機においてコラムの冷却・加温設定と冷温情報表示内容の不一致を商品交換作業者に伝えることで表示間違いの訂正を促すことができ、日中の明るい環境においても視認性が良く、しかも省電力で安価な表示装置が提供される。
【0025】
請求項1によれば、少なくとも、商品情報の送受信を行う通信部と、商品情報を記憶する記憶部と、商品情報の表示を制御する制御部と、画像保持性のある反射型表示体による第一の商品情報表示部と、複数の表示面から選択された表示面を選択して表示する第二の商品情報表示部と、第二の商品情報表示部の表示状態を検知するセンサー部と、電力を供給するための電源部と、を有している。これにより、第一の商品情報表示部である反射型表示体に任意の情報を表示することができ、第二の商品情報表示部の表示状態はセンサー部により判別され、通信部により受信した商品情報の内の第二の商品情報表示部で表示する内容と比較することで表示すべき内容と表示状態が合っているかを判定し、間違っている場合には第一の商品情報表示部に第二の商品情報内容の表示変更を表示して注意喚起することで、商品交換作業者に伝えることができる。また、第一の商品情報表示部と第二の商品情報表示部の表示体が前記構成となっているため、表示内容を変更する場合の作業量を削減することが出来る。
【0026】
請求項2によれば、請求項1記載の自動販売機用商品情報表示装置において、前記画像保持性のある反射型表示体が電気泳動表示体であることにより、電圧の印加により反射率の異なる電気泳動粒子の位置を変化させ外光の反射率を画素単位で変えることで画像を表示し、電圧の印加を止めても電気泳動粒子がその場に留まることで画像を保持することで、日中の明るい環境においても視認性が良く省電力な商品情報を表示することが出来る。
【0027】
請求項3によれば、第二の商品情報表示部は、複数の異なる情報が印刷された表示面を強磁性体とし、その強磁性体は磁力により保持されるため表示面の保持に電力を必要とせず、反射型で視認性の良い表示をし、さらに表示部材の表と裏をセンサーで判別することが出来る。
【0028】
請求項4によれば前記第二の商品情報表示部は、屈曲可能な素材で無端帯状に形成され、回転自在な支持体で支持されているので、回転することによって印刷された複数の印刷情報から目視したい印刷を選択することが出来る。
【0029】
請求項5によれば、第二の商品情報表示部の表示面は回転自在に支持される支持部材によって支持される円筒面や多角柱面であるので表面周方向に異なる情報が複数印刷された回転体を周方向に回転させることで、外部から目視可能な位置にある情報を変えることで表示の保持に電力を必要とせず、反射型で視認性の良い表示をすることが出来る。
【0030】
請求項6によれば、前記第一の商品情報表示部が、商品の価格、商品名、在庫数、販売履歴、作業者への注意喚起、現在の商品庫の温度、等の情報の更新が頻繁な商品情報を表示する。これにより、機械的な稼動部を持たない電気的に書き換え可能な第一の商品情報表示部で情報の更新を頻繁に行う必要がある情報を表示することで、消費電力が少なく稼動による部品の劣化の心配が少ない自動販売機用商品情報表示装置とすることが出来る。
【0031】
請求項7によれば、前記第二の商品情報表示部が、「つめたい」、「あったかい」、「常温」、等の商品の温度情報を表示する。これにより、情報の更新が年に数回程度である商品の保管温度情報を、情報の変更及び保持に一切電力を必要とせず安価な構成の第二の商品情報表示部に表示することで、視認性が良く、低コストな自動販売機用商品情報表示装置とすることが出来る。
【0032】
請求項8によれば、前記第二の商品情報表示部が、「おすすめ」、「特価」、「値下げ」、「SALE」、等の商品ピーアール情報を表示する。これにより、彩度の高い赤色で表示することで購買意欲を高める自動販売機用商品情報表示装置とすることが出来る。
【0033】
請求項9によれば、前記電源部が、乾電池、リチウム電池、ボタン電池、小型二次電池、燃料電池、太陽電池、から選ばれる少なくとも1種から構成されることにより、外部からの電源用の配線を必要とせず任意の位置に取り付けが可能な自動販売機用商品情報表示装置とすることが出来る。
【0034】
請求項10によれば、前記商品情報の送受信が、赤外線通信、電波通信、音響通信から選ばれる少なくとも1種で行われる。これにより、無線通信により商品情報の送受信が可能となり、情報伝達用の通信線を必要とせず任意の位置に取り付けが可能な自動販売機用商品情報表示装置とすることが出来る。
【0035】
請求項11によれば、前記センサー部が、光の遮断有無を検知するセンサー、導体の接触を検知するセンサーから選ばれる少なくとも1種で構成される。これにより、表示部材の端部や回転体の軸に設けた光センサーの光路を遮断する板や導電板の有無によって表示部材や回転体の表示内容を判別することができる自動販売機用商品情報表示装置とすることが出来る。
【0036】
請求項12によれば、商品を収納する保温庫の設定状態を示す情報と、第二の商品情報表示部の表示状態を示す情報とを比較し、これらの情報が不一致の場合に第一の商品情報表示部に第二の商品情報表示部の表示内容の変更を促す注意喚起情報を表示することで作業者に伝えることが出来、作業ミスによる商品情報の誤表示を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の自動販売機用商品情報表示装置を適用する自動販売機の斜視図。
図2】自動販売機のディスプレイ面内部を拡大した正面図。
図3】自動販売機のキャビネット内部を示す斜視図。
図4】(a)及び(b)は、本発明の自動販売機用商品情報表示装置の実施例の一例を示すものであり、(a)は自動販売機用商品情報表示装置の外観を示す斜視図、(b)は内部構造を示す概略図である。
図5】(a)及び(b)は、電気泳動型の表示部の構造を示すものであり、(a)は電気泳動型の表示部の縦断面を示す図、(b)は電気泳動層を構成する電子インクの断面を示す図。
図6】(a)及び(b)は、本発明の自動販売機用商品情報表示装置の第二の表示部の第一の実施形態を示すものであり、(a)はその斜視図、(b)は取り外し可能な表示部を示す斜視図。
図7】(a)〜(c)は、本発明の自動販売機用商品情報表示装置の第二の表示部の第二の実施形態を示すものであり、(a)はその側断面を示す図、(b)は上面断面を示す図、(c)は無端帯状の表示部材を示す斜視図。
図8】(a)及び(b)は、本発明の自動販売機用商品情報表示装置の第二の表示部の第三の実施形態を示すものであり、(a)はその側断面を示す図、(b)は円筒状の回転体を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳しく説明する。
【0039】
図1は本発明の自動販売機用商品情報表示装置を適用する自動販売機の斜視図である。自動販売機1は前面が開口した本体キャビネット2と、当該本体キャビネット2の開口部に例えばヒンジ3などにより開閉可能に設置された前面扉4とを有している。
【0040】
前面扉4の上部側には、缶飲料などの商品5を購入する購入者が購入時に正対するディスプレイ面6が形成されている。このディスプレイ面6は前面が透明なガラスもしくはプラスチックで構成され内部が目視可能になっている。ディスプレイ面6の内部には、各商品5に対応するサンプル7が展示され、サンプル7の下方には、各サンプル7に対応する商品情報表示装置8が、さらに下方には商品選択ボタン9がそれぞれ設けられている。図2は自動販売機のディスプレイ面の一部を拡大した正面図である。また、このディスプレイ面6の内部にはサンプル7や商品情報表示装置8を照らす照明(図示せず)と、商品情報表示装置8及び商品交換作業者の持つハンディターミナルと情報を送受するための通信部(図示せず)を有する。商品情報表示装置8は第一の商品情報表示部20と第二の商品情報表示部21で構成されている。
【0041】
また、前面扉4の中間部には、商品の料金を投入するための硬貨投入口10と、投入した金額を表示する投入金額表示機11と、料金を返金させるための返金レバー12と、つり銭もしくは投入硬貨が払い出される硬貨返却口13などが設けられている。また、前面扉4の下部には、購入された商品が排出される商品取出し口14がある。
【0042】
図3は自動販売機1の前面扉4を開けた状態を示す斜視図である。本体キャビネット2内には、商品5を所定の本数収容可能なコラム15を複数備えている。コラムに収容された商品をコラムごともしくはブロックごとに所望の温度に加温もしくは冷却する温度制御ユニット(図示せず)と、各コラムの温度を測定する温度センサー(図示せず)などがある。前面扉4の裏面には自動販売機1の各種設定を行ったり、当該設定状態を表示したりする表示部16と、入力キー17とを備えた入力設定部18が設けられている。また、自動販売機1には商品の冷温状態の制御や商品ごとの在庫数及び販売数の記録など自動販売機の運用を行う制御部を持つ。この制御部が扱う情報を必要に応じて通信部から商品情報表示装置8及び商品交換作業者の持つハンディターミナルや外部サーバーに送信する。
【0043】
図4(a)は商品情報表示装置8を示す斜視図、(b)は内部構造を示す概略図である。
本実施形態の商品情報表示装置8は、図4(a)に示すように、合成樹脂性の商品情報表示装置本体19の表面部に、情報の更新頻度の高い商品情報を表示するための電気泳動型の表示体による第一の商品情報表示部20と、彩度の高いカラー表示を複数種類定型文として印刷した表示体から選択して表示する第二の商品情報表示部21と、商品情報の送受信を行う通信部22がある。また、図4(b)に示すように、商品情報表示装置本体19の内部には電気泳動型の表示体を駆動等するための電力を供給するための電源部23と、電源部23より供給された電力の電圧を上昇させる昇圧部24と、電気泳動型の表示体の表示を制御する制御部25と、商品情報を記憶する記憶部26と、商品情報の送受を行う通信部22と、第二の商品情報表示部21の表示状態を検知するセンサー部27とを有する構成となっている。
【0044】
電気泳動型の表示体による第一の商品情報表示部20は、電気的に書き換えが可能な表示部であり、表示の切り替え時にのみ電力を消費するものである。この第一の商品情報表示部20への表示内容としては、例えば、商品の価格、商品名、在庫数、販売履歴、作業者への注意喚起、現在の商品庫の温度、等の情報の更新が頻繁な内容が挙げられ、本実施の形態では、120円を表示している。この電気泳動型の表示体から構成される第一の商品情報表示部20は、図5(a)に示すように、PETフィルムなどの透明樹脂フィルムやガラスなど光透過性を有する基材28にITOなどの光透過性を有する電極29が形成された前面板30と電極としてTFTなどの能動素子が形成された背面板31の間に、電気泳動粒子と透明な分散媒が封入された透明なマイクロカプセル33を複数配列させた電気泳動層32で構成されている。
【0045】
本実施例では、図5(b)に示すように、電気泳動粒子にはプラスの電荷に帯電した白色粒子である酸化チタン34とマイナスの電荷に帯電した黒色粒子であるカーボンブラック35を用い、透明な分散媒としてはシリコーンオイル36を用いた。TFTなどの能動素子が形成された背面板31に画像に応じた電圧を印加することで、白色粒子及び黒色粒子が泳動し観察側となる透明電極29側に泳動した白色粒子及び黒色粒子の配列で画像が表示される。このとき、電圧の印加を止めても泳動した粒子はその場に留まることで画像が保持される。
【0046】
図6(a)及び(b)は商品情報表示装置の第二の商品情報表示部21の第一の実施形態を示すもので、図6(a)は商品情報表示装置の斜視図、図6(b)は第二の商品情報表示部21の取り外し可能な表示部材を示す斜視図である。本商品情報表示装置の第一の実施形態では、第二の商品情報表示部21は、図6(a)に示すように、樹脂製の商品情報表示装置本体19の表示部材保持部50にアルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石などの磁石39が埋め込まれ、鉄、コバルト、ニッケルの少なくとも何れか一つを含む強磁性体で形成された取り外し可能な表示部材38を磁力によって固定できるようになっている。また、取り外し可能な表示部材38は図6(b)に示すように、表面に「あったかい」、裏面に「つめたい」と、表裏に異なる内容が印刷されており、どちらかの面を観察側に向けて樹脂製の商品情報表示装置本体19の表示部材保持部50に取り付けることができるようになっている。このとき、取り外し可能な表示部材38の形状が表向きと裏向きで異なるようになっており、表向きで取り付けた場合、取り外し可能な表示部材38に設けた突起部40が表示部材保持部50に設けた溝41に入り、内部に設置した赤外線などの入射有無を検知する光学センサー27の光路を遮る。一方、裏向きで取り付けた場合、取り外し可能な表示部材38に設けた突起部40が表示部材保持部50に設けた溝41に入らず、内部に設置した赤外線などの入射有無を検知する光学センサー27の光路を遮らない。これにより、取り外し可能な表示部材38の表裏を判別することができ、例えば、自動販売機1のコラム15の加温・冷却設定とそのコラム15の商品5に対応する商品情報表示装置8の第二の商品情報表示部の表示が「つめたい」か「あったかい」かの表示が異なっている場合には、第一の商品情報表示部20に表示に誤りがあることを説明する注意喚起情報を表示したり、商品交換作業者の持つハンディターミナルに注意喚起情報を表示したりして、第二の商品情報表示部21の表示の訂正を促すことができる。
【0047】
図7(a)及び(b)及び(c)は商品情報表示装置の第二の商品情報表示部21の第二の実施形態を示すもので、図7(a)は商品情報表示装置の第二の商品情報表示部21の第二の実施形態を示す側断面図、図7(b)は上部断面図、図7(c)は無端帯状の表示部材である。本商品情報表示装置の第二の実施形態の第二の商品情報表示部21は、図7(c)に示すように、第二の商品情報表示部の表示部材が、表面に「つめたい」及び「あったかい」と印刷された樹脂フィルム、紙、金属箔などの屈曲可能な素材による無端帯状の構造となっている。この無端帯状の表示部材42の「つめたい」及び「あったかい」のどちらの面が観察面側に向いているかを光学センサー27で判別するために、光学センサー27の光路を遮る突起43が設けてある。この無端帯状の表示部材42を図7(b)に示すように、樹脂製の商品情報表示装置本体19の内部に設けたローラー44に渡し、周方向に移動させることで観察面側に「つめたい」または「あったかい」の一方の印刷領域が現れるようになっている。
【0048】
図8(a)及び(b)は商品情報表示装置の第二の商品情報表示部21の第三の実施形態を示すもので、図8(a)はその側断面図、図8(b)は回転体を示す斜視図である。商品情報表示装置の第二の商品情報表示部21の第三の実施形態の商品情報表示装置は、図8(b)に示すように、第二の商品情報表示部21の表示部材が、表面に「つめたい」及び「あったかい」と印刷された円筒状の回転体45となっている。この円筒状の回転体45の「つめたい」及び「あったかい」のどちらの面が観察面側に向いているかを光学センサー27で判別するために、回転体の軸に光学センサー27の光路を遮る突起48が設けてある。この円筒状の回転体45を図8(a)に示すように、樹脂製の商品情報表示装置本体19の内部に設けた軸受け46に固定し、周方向に回転させることで観察面側に「つめたい」または「あったかい」の一方の印刷領域が現れるようになっている。
【0049】
次に、商品情報表示装置本体19内の電気泳動型の表示体及び通信部やセンサー部などを駆動するための電力を供給するための電源部23としては、例えば、マンガン電池、アルカリ(マンガン)電池、ニッケル系一次電池などの乾電池、アルカリボタン電池、酸化銀電池、空気(亜鉛)電池などのボタン電池、あるいはリチウム電池などの一次電池を用いることができ、また、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池(ポリマー電池を含む)などの二次電池を用いることもできる。さらに、燃料電池や太陽電池を用いることもできる。
【0050】
本発明に係る電気泳動型の表示部20は、上述のように、表示の切り替え時にのみ電力を消費する画像保持性の有る表示装置であり、また、情報の更新頻度が低い第二の表示部21には、印刷した表示体から選択して表示する構成とすることとし、表示内容をセンサー27で検知して判別することにより、上記の小型の電源部23を用いることができ、商品情報表示装置を小型化することができ既存の自動販売機に既設の商品情報表示と置き換えが容易となる。
【0051】
商品情報の送受信を行う通信部22には、電線や光ケーブルなどの導線を用いた有線通信により行うこともできるが、自動販売機用商品情報表示装置の設置場所の制約を受けにくく、また、移動が容易になることから、無線通信が好ましい。無線通信としては、赤外線、可視光線など(レーザー、LED等)を用いた光無線通信や、300〜3000MHzの電磁波を用いた電波通信や、可聴音や超音波などの非可聴音を用いた音響通信を挙げることができる。本実施形態では、赤外線を用いた光無線通信で行うものであり、商品情
報表示装置8の表面部に赤外線受光部が設けられている。
【0052】
第二の商品情報表示部の表示内容を判別するセンサー27は、赤外線などの光線の発光部と受光部からなり、発光部と受光部の間の光路の遮断の有り無しをON・OFF信号として検出する光学センサーを用いるのが好ましいが、電導体の接触により電流の流路が形成されることを利用してON・OFFを検出する所謂スイッチとしても良い。
【0053】
第一の商品情報表示部の表示体としてはTFTなどの能動基板を背面板として用いたドットマトリクスタイプの電気泳動表示体を用いるのが好ましいが、表示する情報が金額や定型文など予め決められた内容であれば、背面板にセグメントタイプの電極を用いることも可能である。
【0054】
このように本発明によれば、自動販売機の価格・冷温情報表示においてコラムの冷却・加温設定と冷温情報表示内容の不一致を商品交換作業者に伝えることで表示間違いの訂正を促すことができる。また、表示変更に伴う作業者の負荷を減らすことが出来、更に日中の明るい環境においても視認性が良く、しかも省電力で安価な自動販売機用商品情報表示装置を提供することが出来る。
【符号の説明】
【0055】
8・・・商品情報表示装置
20・・・第一の商品情報表示部(電気泳動表示体)
21・・・第二の商品情報表示部
22・・・通信部
23・・・電源部
24・・・昇圧部
25・・・制御部
26・・・記憶部
27・・・センサー部
38・・・取り外し可能な表示体
39・・・磁石
42・・・無端帯状の表示体
45・・・回転体
49・・・画素電極
50・・・表示部材保持部
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8