(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明が適用されたセンサシステム100の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すセンサシステム100は、例えば車両に搭載されるものであり、複数の超音波センサ1a〜1d、及び監視用ECU2を備えている。
【0014】
複数の超音波センサ1a〜1d、及び監視用ECU2は、1本のシリアル通信の信号線3によって例えばバス型接続されている。言い換えると、複数の超音波センサ1a〜1d、及び監視用ECU2は、マスタースレーブ方式を採用した例えばLIN(Local Interconnect. Network)などの通信プロトコルに準拠した車載LANで各々接続されている。一例として、データ転送レートは19.2kbpsであるものとする。ここで、複数の超音波センサ1a〜1dがスレーブであり、監視用ECU2がマスターとする。また、複数の超音波センサ1a〜1d、及び監視用ECU2は、信号線3を介して信号の送受信を行う。
【0015】
超音波センサ1a〜1dは、例えば
図2に示すように、車両後部のリヤバンパに設置される。超音波センサ1a〜1dが請求項のセンサに相当する。一例として、車両後部の右コーナから左コーナにかけて、超音波センサ1a、超音波センサ1b、超音波センサ1c、超音波センサ1dの順に設置される。超音波センサ1a〜1dは、超音波を送波し、その反射波を受信することで障害物を検知したり、障害物までの距離を検知したりする測距のための送受信兼用の超音波センサである。
【0016】
超音波センサ1a〜1dは、監視用ECU2から送信される送受波指示を受けて検知動作を行う。この送受波指示が請求項の検知動作指示に相当する。以降では、超音波センサ1a〜1dを区別しない場合には、超音波センサ1と呼ぶ。超音波センサ1は、機能ブロックとして、
図3に示すように、超音波マイク11、送波回路部12、受信回路部13、制御演算回路部14、記憶部15、及び通信部16を備えている。
【0017】
送受波指示で送波が指示されていた超音波センサ1では、送波回路部12が、制御演算回路部14からの指示に応じて超音波マイク11を駆動して超音波を送波させる。また、送受波指示で受信が指示されていた超音波センサ1では、反射波を超音波マイク11が受信した場合に、受信回路部13で反射波を増幅して制御演算回路部14に出力する。制御演算回路部14は、超音波の送信タイミングと反射波の受信タイミングとの時間差から障害物までの距離を演算し、演算結果としての距離データを記憶部15に格納する。
【0018】
超音波センサ1での、超音波を送波したり、反射波を受信して障害物までの距離を演算して距離データを記憶部15に格納したりすることが、超音波センサ1の検知動作に該当する。つまり、検知のための超音波送受動作が検知動作に該当する。検知動作は、後述の応答のための演算や通信といった動作は含まない、検知のための動作と言い換えることもできる。
【0019】
また、信号線3及び通信部16を介して監視用ECU2からの計測結果送信指示を受けた超音波センサ1では、制御演算回路部14が記憶部15から距離データを読み出す。読み出された距離データは、通信部16が信号線を介して監視用ECU2へ送信する。この距離データが請求項の検知結果に相当し、通信部16が請求項の検知結果送信部に相当する。例えば、制御演算回路部14は、マイクロコンピュータやロジックICとし、記憶部15は、制御演算回路部14に内蔵されるRAMやEEPROM等のメモリとすればよい。
【0020】
監視用ECU2は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。監視用ECU2が請求項の制御装置に相当する。
図1に示すように、監視用ECU2は、機能ブロックとして、検知動作指示送信部21、結果送信指示送信部22、及び障害物距離特定部23を備えている。
【0021】
検知動作指示送信部21は、信号線3を介して超音波センサ1に送受波指示を送信する。検知動作指示送信部21は、一定の待ち時間を空けて超音波センサ1から順番に超音波が送波されるように、超音波センサ1に送受波指示を送信する。ここで言うところの待ち時間とは、検知動作中の超音波センサ1がこの検知動作が完了するまでは次の検知動作を開始できないことから必要となる時間である。この待ち時間は、超音波センサ1の検知動作中の時間と言い換えることもできる。この待ち時間は、超音波センサ1の所望する検知範囲から定まるものであって、超音波センサ1の所望する検知範囲に応じて予め設定されているものとする。
【0022】
一例として、本実施形態では、以下のような順番で検知動作を行うものとする。1番目には、超音波センサ1bから超音波を送波し、超音波センサ1a〜1cで反射波を受信する。2番目には、超音波センサ1cから超音波を送波し、超音波センサ1b〜1dで反射波を受信する。3番目には、超音波センサ1aと超音波センサ1dとから超音波を送波し、超音波センサ1aについての反射波は超音波センサ1a及び1bで、超音波センサ1dについての反射波は超音波センサ1c及び1dで受信する。そして、この1〜3番目までの検知動作を1セットとして、複数セット分繰り返す。上述した検知動作の順番は、予め監視用ECU2のプログラムに設定済みであるものとする。
【0023】
検知動作指示送信部21は、上述した順番で検知動作が行われるように、超音波センサ1に送受波指示を送信する。具体例としては、1番目には、超音波センサ1bには超音波の送波と反射波の受信を指示し、超音波センサ1a及び1cには反射波の受信を指示する送受波指示を送信する。2番目には、超音波センサ1cには超音波の送波と反射波の受信を指示し、超音波センサ1b及び1dには反射波の受信を指示する送受波指示を送信する。3番目には、超音波センサ1a及び1dには超音波の送波と反射波の受信を指示し、超音波センサ1b及び1cには反射波の受信を指示する送受波指示を送信する。
【0024】
なお、上述した検知動作の順番はあくまで一例であり、これに限らないのは言うまでもない。また、検知動作指示送信部21から信号線を介して超音波センサ1に送信する送受波信号は、特許文献1に開示されているように、複数の超音波センサ1への送受波指示を1つのフレームにまとめることが好ましい。これによれば、複数の超音波センサ1ごとに別のフレームで送受波指示を送信する構成に比べて、超音波センサ1の検知周期をより短縮することが可能になる。
【0025】
結果送信指示送信部22は、信号線3を介して超音波センサ1に計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示は、超音波センサ1の検知動作の結果として記憶部15に格納された距離データの送信を指示するものである。計測結果送信指示が請求項の結果送信指示に相当する。
【0026】
結果送信指示送信部22は、超音波センサ1の現在の検知動作(以下、新規検知動作)中において、前回に検知動作を行っていた1つの超音波センサ1に計測結果送信指示を送信する。より好ましくは、新規検知動作中でない超音波センサ1がある場合、新規検知動作中に、新規検知動作中でなく且つ前回に検知動作を行っていた1つの超音波センサ1に計測結果送信指示を送信する。この計測結果送信指示を受けた超音波センサ1の通信部16は、新規検知動作中に距離データを記憶部15から読み出して監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0027】
本実施形態では、新規検知動作中でない超音波センサ1がある場合、新規検知動作中に、新規検知動作中でなく且つ前回に検知動作を行っていた1つの超音波センサ1に、計測結果送信指示を送信する場合を例に挙げて説明を行う。この構成によれば、新規検知動作中の超音波センサ1において距離データを読み出して送信するための工夫を必要としないため、より容易に実現できる利点がある。
【0028】
検知動作中の超音波センサ1と検知動作中でない超音波センサ1とは、前述した検知動作の順番によって予め定まっている。よって、新規検知動作中でない上、前回に検知動作を行っていた1つの超音波センサ1に結果送信指示送信部22が計測結果送信指示を送信するように、予め監視用ECU2のプログラムに設定済みとする構成とすればよい。検知動作中でない超音波センサ1が請求項の非検知動作センサに相当する。
【0029】
ここで、センサシステム100における監視用ECU2での送受波指示の送信から超音波センサ1での応答までの流れについて、
図4を用いて説明を行う。
図4では、便宜上、前述の1〜3番目までの検知動作が1セット分終了している場合を例に挙げて説明を行う。
【0030】
図4に示すように、まず、監視用ECU2が、超音波センサ1bには超音波の送波と反射波の受信とを指示し、超音波センサ1a及び1cには反射波の受信を指示する送受波指示を送信し、1番目の検知動作を開始させる。
【0031】
1番目の検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、前回の3番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中でない超音波センサ1dに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1dでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0032】
1番目の検知動作の待ち時間が経過した後には、前回の3番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1aに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1aでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0033】
続いて、前回の3番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1bに対しても、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1bでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0034】
さらに、前回の3番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1cに対しても、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1cでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0035】
続いて、監視用ECU2が、超音波センサ1cには超音波の送波と反射波の受信とを指示し、超音波センサ1b及び1dには反射波の受信を指示する送受波指示を送信し、2番目の検知動作を開始させる。
【0036】
2番目の検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、前回の1番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中でない超音波センサ1aに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1aでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0037】
2番目の検知動作の待ち時間が経過した後には、前回の1番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1bに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1bでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0038】
続いて、前回の1番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1cに対しても、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1cでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0039】
続いて、監視用ECU2が、超音波センサ1a及び超音波センサ1dには超音波の送波と反射波の受信とを指示し、超音波センサ1b及び1cには反射波の受信を指示する送受波指示を送信し、3番目の検知動作を開始させる。
【0040】
3番目の検知動作の待ち時間中には、前回の2番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中でない超音波センサ1がないので、計測結果送信指示を送信しない。
【0041】
3番目の検知動作の待ち時間が経過した後には、前回の2番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1bに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1bでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0042】
続いて、前回の2番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1cに対しても、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1cでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0043】
さらに、前回の2番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、新規検知動作中であった超音波センサ1dに対しても、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1dでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0044】
図1に戻って、障害物距離特定部23は、複数の超音波センサ1の通信部16から送信されてきた距離データと、複数の超音波センサ1の設置間隔とから、公知の計算方法によって自車と障害物との最短距離を算出する。そして、算出した最短距離を自車から障害物までの距離と特定する。特定した自車から障害物までの距離は、障害物の存在を報知する運転支援等に用いる構成とすればよい。
【0045】
ここで、実施形態1の構成における作用効果について、具体的に
図5及び
図6を用いて説明を行う。
図5及び
図6では、便宜上、前回の3番目の検知動作に続く1番目の検知動作中の場合を抜き出して説明を行っている。
【0046】
図5に示すように、従来の技術では、検知動作中には、監視用ECU2から超音波センサ1への計測結果送信指示の送信も、超音波センサ1から監視用ECU2への応答も行われない。これに対して、
図6に示すように、実施形態1の構成では、1番目の検知動作中に、前回の3番目の検知動作を行っていた超音波センサ1のうち、検知動作中でない超音波センサ1dに監視用ECU2が計測結果送信指示を送信する。また、1番目の検知動作中に、計測結果送信指示を受信した超音波センサ1dが距離データを監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0047】
このように、実施形態1の構成によれば、超音波センサ1の新規検知動作中において、前回に検知動作を行った超音波センサ1から、監視用ECU2が距離データ(つまり、検知結果)を受信することが可能となる。よって、超音波センサ1の新規検知動作中に検知結果を受信した分だけ、超音波センサ1の1セット分の検知動作に要する検知周期を短縮することができる。
【0048】
実施形態1の構成では、超音波センサ1での検知動作中に通信を実施するため、通信によるノイズが検知動作に影響を与える可能性がある。よって、超音波センサ1を以下のような構成とすることが好ましい。
【0049】
1つ目としては、超音波マイク11で受信した反射波の信号を増幅して制御演算回路部14に出力する受信回路部13を、
図7や
図8に示すように、オペアンプへの入力にローパスフィルタ(以下、LPF)とハイパスフィルタ(以下、HPF)とを持つ差動増幅回路とすればよい。超音波マイク11が請求項のセンサ素子に相当し、制御演算回路部14が請求項の演算回路に相当し、受信回路部13が請求項の差動増幅回路に相当する。
【0050】
図7及び
図8では、便宜上、超音波マイク11及び受信回路部13のみを示している。
図7のR1〜R4、
図8のR5〜R6が抵抗、
図7のC1〜C4、
図8のC5〜C6がコンデンサ、
図7及び
図8のAMPがオペアンプを示している。
図7や
図8に示す構成によれば、通信によるノイズが超音波マイク11に与える影響を、差動増幅回路を用いることで低減することが可能になる。
【0051】
2つ目としては、一例として
図9に示すような構成とすればよい。
図9の17は多層基板であって、この多層基板17は、送波回路部12、受信回路部13、及び制御演算回路部14が設けられた第1基板17aと、通信部16が設けられた第2基板17bと、第1基板17aと第2基板17bとに挟まれたグランド層17cとからなっている。記憶部15は、例えば第2基板17bに設けられる構成としてもよいし、第1基板17aに設けられる構成としてもよい。一例として、送波回路部12、受信回路部13、制御演算回路部14、及び記憶部15が、第1基板17a上にICチップとして設けられる構成とすればよい。
【0052】
超音波マイク11は、第1基板17a上の接続部17dを介して、受信回路部13ひいては制御演算回路部14と電気的に接続されている。また、一例として、超音波マイク11は、
図9に示すように多層基板17とは離れて設けられている。第1基板17a上の制御演算回路部14と第2基板17b上の通信部16とは、スルーホールによって電気的に接続されている。
【0053】
以上の構成によれば、超音波マイク11との接続部17dが位置する第1基板17aと、通信部16が位置する第2基板17bとの間にグランド層17cが設けられているので、通信部16での通信によるノイズが超音波マイク11に与える影響を、このグランド層17cで低減することができる。
【0054】
また、第1基板17a上の接続部17dの位置と、第2基板17b上の通信部16が設けられた位置とが、多層基板17の面方向における位置関係でお互いが離間するように設けられていることが好ましい。一例としては、多層基板17の形状が矩形の板状である場合には、
図9に示すように、多層基板17の面方向における対角線上のそれぞれ別端側にお互い位置するようにすることが好ましい。
【0055】
以上の構成によれば、通信部16と接続部17dとの距離をより離すことができ、通信部16での通信によるノイズが超音波マイク11に与える影響をより低減することができる。
【0056】
なお、実施形態1では、一例として、センサシステム100にセンサとして複数の超音波センサ1のみを含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、超音波センサ1以外のセンサも1本のシリアル通信の信号線3に接続されている構成(以下、変形例1)としてもよい。
【0057】
変形例1の構成の一例として、
図10に示すセンサシステム100aのように、監視用ECU2と複数の超音波センサ1と温度センサ4とが1本のシリアル通信の信号線3に接続されている構成としてもよい。この場合、超音波センサ1の検知動作中に、監視用ECU2から温度センサ4へ計測結果送信指示を送信し、温度センサ4から検知結果を受信する構成とすればよい。他にも、温度センサ4の検知動作中に、監視用ECU2から超音波センサ1へ計測結果送信指示を送信し、超音波センサ1から検知結果を受信する構成としてもよい。温度センサ4が請求項のセンサに相当する。
【0058】
(実施形態2)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態2について図面を用いて説明を行うなお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
実施形態2のセンサシステム100は、監視用ECU2の結果送信指示送信部22、及び超音波センサ1の通信部16の処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1のセンサシステム100と同様である。
【0060】
ここで、実施形態2のセンサシステム100における監視用ECU2での送受波指示の送信から超音波センサ1での応答までの流れについて、
図11を用いて説明を行う。
図11では、便宜上、実施形態1で説明した1〜3番目までの検知動作が1セット分終了している場合を例に挙げて説明を行う。
【0061】
図11に示すように、まず、監視用ECU2が、超音波センサ1bには超音波の送波と反射波の受信とを指示し、超音波センサ1a及び1cには反射波の受信を指示する送受波指示を送信し、1番目の検知動作を開始させる。
【0062】
1番目の検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、新規検知動作中か否かに関わらず、前回の3番目の検知動作を行っていた超音波センサ1の全てに対して、計測結果送信指示を順次送信する。また、計測結果送信指示を受信した各超音波センサ1は、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0063】
実施形態2の例では、
図11に示すように、まず、監視用ECU2から超音波センサ1aに計測結果送信指示を送信し、計測結果送信指示を受信した超音波センサ1aが応答を行う。そして、監視用ECU2から超音波センサ1bへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1bからの応答、監視用ECU2から超音波センサ1cへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1cからの応答、監視用ECU2から超音波センサ1dへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1dからの応答を順次行う。
【0064】
続いて、監視用ECU2が、超音波センサ1cには超音波の送波と反射波の受信とを指示し、超音波センサ1b及び1dには反射波の受信を指示する送受波指示を送信し、2番目の検知動作を開始させる。
【0065】
2番目の検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、新規検知動作中か否かに関わらず、前回の1番目の検知動作を行っていた超音波センサ1の全てに対して、計測結果送信指示を順次送信する。また、計測結果送信指示を受信した各超音波センサ1は、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0066】
実施形態2の例では、
図11に示すように、まず、監視用ECU2から超音波センサ1aに計測結果送信指示を送信し、計測結果送信指示を受信した超音波センサ1aが応答を行う。そして、監視用ECU2から超音波センサ1bへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1bからの応答、監視用ECU2から超音波センサ1cへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1cからの応答を順次行う。
【0067】
続いて、監視用ECU2が、超音波センサ1a及び超音波センサ1dには超音波の送波と反射波の受信とを指示し、超音波センサ1b及び1cには反射波の受信を指示する送受波指示を送信し、3番目の検知動作を開始させる。
【0068】
3番目の検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、新規検知動作中か否かに関わらず、前回の2番目の検知動作を行っていた超音波センサ1の全てに対して、計測結果送信指示を順次送信する。また、計測結果送信指示を受信した各超音波センサ1は、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0069】
実施形態2の例では、
図11に示すように、まず、監視用ECU2から超音波センサ1bに計測結果送信指示を送信し、計測結果送信指示を受信した超音波センサ1bが応答を行う。そして、監視用ECU2から超音波センサ1cへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1cからの応答、監視用ECU2から超音波センサ1dへの計測結果送信指示の送信と超音波センサ1dからの応答を順次行う。
【0070】
実施形態2では、新規検知動作中に、前回に検知動作を行っていた全ての超音波センサ1から計測結果送信指示に対する応答を受ける。この構成を実現するためには、例えば、超音波センサ1の制御演算回路部14として処理能力の高いものを用いるとともに、超音波センサ1の記憶部15に、前回の検知動作で得られた距離データを格納するためのメモリ領域と、新規検知動作で得られた距離データを格納するためのメモリ領域とを備える構成とすればよい。他にも、超音波センサ1の制御演算回路部14として、処理能力の高いものを用いることによって、新規検知動作で得られた距離データで上書きされる前に、前回の検知動作で得られた距離データを読み出す構成とすればよい。
【0071】
実施形態2の構成によれば、超音波センサ1の新規検知動作中において、前回に検知動作を行った全ての超音波センサ1から、監視用ECU2が距離データ(つまり、検知結果)を受信することが可能となる。よって、実施形態1の構成を採用した場合よりもさらに、超音波センサ1の1セット分の検知動作に要する検知周期を短縮することができる。
【0072】
また、実施形態1の構成は、検知周期を短縮する効果は実施形態2の構成よりも小さいものの、超音波センサ1の制御演算回路部14として処理能力があまり高くない安価なものを用いても、検知周期を短縮することができるという利点がある。
【0073】
また、センサシステム100において、センサとして超音波センサ1を2つ用いる場合には、以下のような構成(以下、変形例2)としてもよい。ここでは、便宜上、2つの超音波センサ1の一方を超音波センサ1a、他方を超音波センサ1dとした場合を例に挙げて説明を行う。
【0074】
変形例2では、検知動作指示送信部21が、2つの超音波センサ1のうちの検知動作を行っていない超音波センサ1に対して、もう一方の超音波センサ1の新規検知動作中に、送受波指示を送信する。
【0075】
ここで、変形例2のセンサシステム100における監視用ECU2での送受波指示の送信から超音波センサ1での応答までの流れについて、
図12を用いて説明を行う。
図12では、便宜上、超音波センサ1dから超音波を送波し、超音波センサ1dで反射波を受信する検知動作が終了している場合を例に挙げて説明を行う。
【0076】
図12に示すように、まず、監視用ECU2が、超音波センサ1dについての検知動作の待ち時間中に、超音波センサ1aへ超音波の送波と反射波の受信とを指示する送受波指示を送信し、超音波センサ1aについての検知動作を開始させる。
【0077】
超音波センサ1aについての検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、前回に検知動作を行っていた超音波センサ1dに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1dでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0078】
続いて、監視用ECU2が、超音波センサ1aについての検知動作の待ち時間中に、超音波センサ1dに超音波の送波と反射波の受信とを指示する送受波指示を送信し、超音波センサ1dについての検知動作を開始させる。
【0079】
超音波センサ1dについての検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、前回に検知動作を行っていた超音波センサ1aに対して、計測結果送信指示を送信する。計測結果送信指示を受信した超音波センサ1aでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0080】
変形例2の構成によれば、超音波センサ1の新規検知動作中において、次回に検知動作を行う超音波センサ1への送受波指示を送信するので、超音波センサ1の1セット分の検知動作に要する検知周期をさらに短縮することができる。
【0081】
なお、センサとして超音波センサ1を2つ用いる場合を例に挙げて変形例2についての説明を行ったが、2つのセンサとして超音波センサ1以外を用いる構成としてもよい。
【0082】
また、前述の実施形態1、2では、センサシステム100のネットワークトポロジーとしてバス型接続を採用する場合を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、デイジーチェーンなどの他のネットワークトポロジーを採用する構成としてもよい。
【0083】
(実施形態3)
本発明は上述の実施形態1、2に限定されるものではなく、次の実施形態3も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態3について図面を用いて説明を行うなお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
実施形態3のセンサシステム100bは、監視用ECU2の処理が異なる点、及び超音波センサ1を1つだけ備える点を除けば、実施形態1のセンサシステム100と同様である。センサシステム100bは、
図13に示すように、超音波センサ1e及び監視用ECU2を備えている。超音波センサ1eは、前述の超音波センサ1a〜1dと同様の超音波センサ1である。
【0085】
ここで、センサシステム100bにおける監視用ECU2での送受波指示の送信から超音波センサ1eでの応答までの流れについて、
図14を用いて説明を行う。
図14では、便宜上、超音波センサ1eから超音波を送波し、超音波センサ1eで反射波を受信する検知動作が1回分終了している場合を例に挙げて説明を行う。
【0086】
図14に示すように、まず、監視用ECU2が、超音波センサ1eに超音波の送波と反射波の受信とを指示する送受波指示を送信し、超音波センサ1eの新規検知動作を開始させる。
【0087】
超音波センサ1eの新規検知動作の待ち時間中には、監視用ECU2が、超音波センサ1eに対して、前回の検知動作の結果として記憶部15に格納された距離データの送信を指示する計測結果送信指示を送信する。この計測結果送信指示を受信した超音波センサ1eでは、記憶部15に格納してあった距離データを読み出し、監視用ECU2に送信する応答を行う。
【0088】
実施形態3の構成によれば、超音波センサ1eの新規検知動作中において、監視用ECU2が、超音波センサ1eでの前回の検知動作時に計測した距離データ(つまり、検知結果)を受信することが可能となる。よって、超音波センサ1eの新規検知動作中に検知結果を受信した分だけ、超音波センサ1の1セット分の検知動作に要する検知周期を短縮することができる。
【0089】
実施形態3では、センサとして超音波センサ1eを1つ用いる場合を例に挙げて説明を行ったが、超音波センサ1e以外のセンサを用いる構成としてもよい。
【0090】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。