【実施例】
【0037】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0038】
<実施例1>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをロータリーキルンのレトルトに入れ、ロータリーキルンのレトルト内に10L/minの流量で窒素を流しながら、600℃の温度で1時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を40rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き425μm及び850μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が693μmのシリカ粉末を得た。
【0039】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、これを電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を1.5mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、これを雰囲気炉に入れ、雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1350℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.0%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が328μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が485μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が713μm、かさ密度1.50g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0040】
<実施例2>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.0kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を40rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き224μm及び630μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が510μmのシリカ粉末を得た。
【0041】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を1.1mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1350℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.6mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.5%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が178μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が357μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が533μm、かさ密度1.31g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0042】
<実施例3>
先ず、比表面積が90m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水2.3kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を20℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を60rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き120μm及び400μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が303μmのシリカ粉末を得た。
【0043】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1195℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.4mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.9%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が94μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が212μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が347μm、かさ密度1.13g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0044】
<実施例4>
先ず、四塩化珪素170gに対して、超純水3.0kgを準備した。この超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を10℃に保持して攪拌、混合しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌、混合を継続して、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で24時間乾燥、脱塩素させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.25mm、ロール回転数90rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き85μm及び315μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が250μmのシリカ粉末を得た。
【0045】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で900℃の温度で6時間、その後1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で36時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.8%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が65μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が175μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が282μm、かさ密度1.07g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0046】
<実施例5>
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールをテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を100rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を、気流分級機を用いて、ベーン角25°、ブロワー風量6m
3/minで分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が177μmのシリカ粉末を得た。
【0047】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、真空炉に入れ、圧力1Paで1200℃の温度で12時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が1.2%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が94μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が124μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が247μm、かさ密度0.91g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0048】
<実施例6>
先ず、
図3に示すように、回転する複数の突片54を有する連続混練装置50の容器51に、比表面積200m
2/gのヒュームドシリカを3kg/時間の速度で供給するとともに、15℃のイオン交換水を7kg/時間の速度で供給して混合し、シリカ質のスラリーを生成させた。上記連続混練装置50は、底板51aを有し上面が開放された円筒状の容器51と、この底板51aの中央に鉛直方向に延びて挿通され上端が容器51内の上部に位置するように回転可能に設けられた回転軸52と、この回転軸52の上端に固着された円板状の回転板53と、この回転板53の下面に半径方向及び円周方向にそれぞれ所定の間隔をあけ、かつ下方に向って突設された複数の円柱状の突片54とを備える。底板51aと回転軸52との間には、容器51内のスラリー55の漏れを阻止するシール部材56と、回転軸52を底板51aに対して回転可能に保持する一対の軸受57,57とが介装される。また
図3中の符号58は容器51内のスラリー55を排出するための排出管である。更に
図3中の符号59は排出管58に設けられた開閉弁であり、この開閉弁59が開くと、容器51内のスラリー55が排出管58を通って排出されるようになっている。この実施例6において、上記回転板53の回転速度は500rpmに設定してシリカ質のスラリーを調製した。
【0049】
次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量でアルゴンを流しながら、250℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を150rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き28μm及び140μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が103μmのシリカ粉末を得た。
【0050】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1190℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1280℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が1.8%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が21μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が72μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が121μm、かさ密度0.75g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0051】
<実施例7>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを乾燥用テフロン(登録商標)製の容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を45rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き125μm及び425μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が323μmのシリカ粉末を得た。
【0052】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.4mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が232μmのシリカ粉末を得た。
【0053】
続いて、
図4に示す装置30を用いて球状化処理を行った。この装置30は、プラズマを発生させるプラズマトーチ31と、このプラズマトーチ31の下部に設けられた反応筒であるチャンバ32と、このチャンバ32の下部に設けられた処理後の粉末を回収する回収部33とを備える。プラズマトーチ31は、チャンバ32に連通する頂部が封止された石英管34と、この石英管34を巻回する高周波誘導コイル36を有する。石英管34の上部には原料供給管37が貫通して設けられ、かつガス導入管38が接続される。チャンバ32の側方にはガス排気口39が設けられる。プラズマトーチ31では、高周波誘導コイル36に通電するとプラズマ40を発生し、ガス導入管38から石英管34にアルゴン、酸素等のガスが供給される。原料粉末は原料供給管37を介してプラズマ40中に供給される。また、チャンバ32内のガスは、チャンバ32側方に設けられたガス排気口39から排気される。
【0054】
球状化処理の条件は、高周波周波数5MHz、高周波出力90kW、アルゴンガス流量55L/min、酸素流量70L/minとした。具体的には、先ず、装置30のガス供給管38から作動ガスのアルゴンを導入して、高周波をプラズマトーチ31に印加させ、プラズマを発生させた。プラズマが安定した後に、酸素を徐々に導入して、アルゴン−酸素プラズマを発生させた。上記得られたシリカ粉末を、原料供給管37からアルゴン−酸素プラズマ中に投入して、シリカ粉末を溶融させ、融体となった粒子を落下させて、落下した粒子を回収部33で回収することにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.9%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が98μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が226μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が361μm、かさ密度1.38g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0055】
<実施例8>
先ず、比表面積が90m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水2.3kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を20℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを、ディスク式アトマイザーのスプレードライヤーで、ディスク直径100mm、ディスク回転数10000rpm、乾燥ガス温度250℃の条件にて造粒、乾燥することにより、乾燥粉を得た。この乾燥粉を目開き95μm及び375μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が272μmのシリカ粉末を得た。
【0056】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1195℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.6mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1310℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.9%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が77μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が203μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が326μm、かさ密度1.35g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0057】
<比較例1>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをロータリーキルンのレトルトに入れ、ロータリーキルンのレトルト内に10L/minの流量で窒素を流しながら、600℃の温度で1時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を70rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き80μm及び402μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が299μmのシリカ粉末を得た。
【0058】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が2.1%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が64μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が209μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が347μm、かさ密度1.08g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0059】
<比較例2>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを乾燥用テフロン(登録商標)製の容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.85mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き450μm及び850μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が753μmのシリカ粉末を得た。
【0060】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を1.6mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1380℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を1.1mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.0%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が346μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が527μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が746μm、かさ密度1.53g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0061】
<比較例3>
先ず、実施例6で使用した
図3に示す連続混練装置50の容器51に、比表面積200m
2/gのヒュームドシリカを3kg/時間の速度で供給するとともに、15℃のイオン交換水を7kg/時間の速度で供給して混合し、シリカ質のスラリーを生成させた。この比較例3において、上記回転板53の回転速度は500rpmに設定してシリカ質のスラリーを調製した。
【0062】
次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量でアルゴンを流しながら、250℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を150rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き48μm及び132μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が87μmのシリカ粉末を得た。
【0063】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1190℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1270℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.1mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が1.4%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が35μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が61μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が118μm、かさ密度0.84g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0064】
<比較例4>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを乾燥用テフロン(登録商標)製の容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.8mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き450μm及び850μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が753μmのシリカ粉末を得た。
【0065】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を1.6mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1380℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を1.1mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.0%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が355μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が527μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が738μm、かさ密度1.48g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0066】
<比較例5>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを乾燥用テフロン(登録商標)製の容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を90rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き60μm及び400μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が311μmのシリカ粉末を得た。
【0067】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を25rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.5%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が46μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が218μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が353μm、かさ密度1.08g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0068】
<比較例6>
先ず、四塩化珪素170gに対して、超純水3.0kgを準備した。この超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を10℃に保持して攪拌、混合しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌、混合を継続して、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で24時間乾燥、脱塩素させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数80rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き65μm及び425μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が317μmのシリカ粉末を得た。
【0069】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で900℃の温度で6時間、その後1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で36時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.4%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が52μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が222μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が369μm、かさ密度1.09g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0070】
<比較例7>
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールをテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を90rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を、気流分級機を用いて、ベーン角25°、ブロワー風量6m3/minで分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が289μmのシリカ粉末を得た。
【0071】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、真空炉に入れ、圧力1Paで1200℃の温度で12時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が1.0%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が37μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が202μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が335μm、かさ密度1.05g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0072】
<比較例8>
先ず、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水1.9kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを乾燥用テフロン(登録商標)製の容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を70rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き53μm及び400μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が293μmのシリカ粉末を得た。
【0073】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1200℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が232μmのシリカ粉末を得た。
【0074】
続いて、実施例7で使用した
図4に示す装置30を用いて球状化処理を行った。球状化処理の条件は、高周波周波数5MHz、高周波出力90kW、アルゴンガス流量55L/min、酸素流量70L/minとした。具体的には、先ず、装置30のガス供給管38から作動ガスのアルゴンを導入して、高周波をプラズマトーチ31に印加させ、プラズマを発生させた。プラズマが安定した後に、酸素を徐々に導入して、アルゴン−酸素プラズマを発生させた。上記得られたシリカ粉末を、原料供給管37からアルゴン−酸素プラズマ中に投入して、シリカ粉末を溶融させ、融体となった粒子を落下させて、落下した粒子を回収部33で回収することにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が1.0%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が41μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が205μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が339μm、かさ密度1.37g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0075】
<比較例9>
先ず、比表面積が90m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水2.3kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を20℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーを、ディスク式アトマイザーのスプレードライヤーで、ディスク直径100mm、ディスク回転数10000rpm、乾燥ガス温度250℃の条件にて造粒、乾燥することにより、乾燥粉を得た。この乾燥粉を目開き53μm及び400μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が307μmのシリカ粉末を得た。
【0076】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1195℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1300℃の温度で48時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.9%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が45μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が215μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が351μm、かさ密度1.34/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0077】
<比較例10>
先ず、比表面積が90m
2/gのヒュームドシリカ1kgに対して、超純水2.3kgを準備した。準備した超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を20℃に保持して攪拌、混合しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、100℃の温度で12時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を60rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き120μm及び400μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が312μmのシリカ粉末を得た。
【0078】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で1160℃の温度で3時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.7mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.5%の酸素を流しながら、1050℃の温度で36時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.4mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.9%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が108μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が250μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が408μm、かさ密度0.63g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0079】
<比較例11>
先ず、四塩化珪素170gに対して、超純水3.0kgを準備した。この超純水をテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を10℃に保持して攪拌、混合しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌、混合を継続して、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で24時間乾燥、脱塩素させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.25mm、ロール回転数90rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き85μm及び315μmの振動フルイを用いて分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が250μmのシリカ粉末を得た。
【0080】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、電気炉に入れ、大気雰囲気中で500℃の温度で6時間、その後800℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1000℃の温度で36時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が0.9%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が78μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が210μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が338μm、かさ密度0.66g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0081】
<比較例12>
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールをテフロン(登録商標)製の容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌、混合を継続し、シリカ質のスラリーを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のスラリーをテフロン(登録商標)製の乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を100rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を、気流分級機を用いて、ベーン角25°、ブロワー風量6m
3/minで分級することにより、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が177μmのシリカ粉末を得た。
【0082】
続いて、これらシリカ粉末を溶融石英容器に入れて、真空炉に入れ、圧力1Paで850℃の温度で24時間加熱することにより一次焼成を行った。一次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を10rpmに調整して行った。更にこのシリカ粉末を、再び溶融石英製の容器に入れて、雰囲気炉に入れた。雰囲気炉内に、5L/minの流量で純度99.9995%の高純度酸素を流しながら、1050℃の温度で12時間加熱することにより二次焼成を行った。二次焼成後のシリカ粉末を、溶融石英製の容器から取り出し、これをロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.3mm、ロール回転数を15rpmに調整して行った。これにより、体積基準の45μm以下の粒子の累積頻度が1.4%、体積基準の粒度分布の累積頻度10%の粒径D
V10が113μm、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50が271μm、体積基準の粒度分布の累積頻度90%の粒径D
V90が443μm、かさ密度0.67g/cm
3の合成非晶質シリカ粉末を得た。
【0083】
<評価及び比較試験>
実施例1〜8及び比較例1〜12で得られた粉末の不純物濃度を以下の方法により分析又は測定した。また、実施例1〜8及び比較例1〜12の粉末を用いて石英ルツボを作成し、単位体積当たりの気泡含有量を評価した。これらの結果を次の表1に示す。また、
図1に、実施例3で得られた合成非晶質シリカ粉末の粒度分布を示す。
【0084】
(i) C:粉末に助燃剤として鉄、タングステン、すずを添加し、酸素雰囲気にて高周波炉燃焼−赤外線吸収法(堀場製作所社製 型式名:EMIA−920V)にて分析を行った。
【0085】
(ii) Cl:合成非晶質シリカ粉末に超純水を混合し、超音波下にてClを浸出させる。遠心分離機により合成非晶質シリカ粉末と浸出液を分離して、浸出液をイオンクロマトグラフィー(日本ダイオネクス社製 型式名:DX−500)により分析を行った。
【0086】
(iii) OH:フーリエ変換型赤外線分光分析計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 型式名:Nicolet4700FT−IR)により、3660cm
-1付近のピーク高さにより測定した。
【0087】
(iv) 気泡含有量:直径16インチの石英ルツボ製造用モールドの内面に沿って天然石英粉を約8mm、実施例1〜8及び比較例1〜12で得られた粉末をそれぞれ約2.5mm充填した。モールドの中心軸上であって、モールドの底面より400mm上方の位置(モールド上端面と同一レベル)に電極先端部が配置されるようにアーク電極を設置した。モールドを所定の速度で回転させながら、アーク電極に200kwの電力で5分間通電して石英粉を溶融した。次いでアーク電極を200mm降下し、同じ電力で8分間通電してモールド内の底部中央付近の石英を重点的に加熱し、通電中にモールド側より6分間減圧した。
【0088】
得られた石英ルツボを幅3cmに短冊状に切断し、5.0×10
2Pa真空雰囲気下で1600℃の温度で48時間の熱処理を行った。熱処理後、石英ルツボ上端から10cm〜15cmの部分を切り出し、断面研磨行い、実施例1〜8及び比較例1〜12で得られた粉末が溶融した部分の単位体積当たりに発生する気泡含有量を評価した。
【0089】
【表1】
【0090】
表1から明らかなように、実施例1〜8と比較例1〜12を比較すると、体積基準の粒度分布の累積頻度50%の粒径D
V50、体積基準の粒径45μm以下の粒子の累積頻度、(D
V90−D
V10)/D
V50の値、かさ密度が所望の値に制御された実施例1〜8の合成非晶質シリカ粉末では、これらの数値のいずれかが所定の条件を満たさない比較例1〜12に比べて、石英ルツボにおける気泡含有量が大幅に低減されている。また、球状化処理を行っていない実施例1等でも、球状化処理を行った実施例7と比べて比較的良好な結果が得られたことが判る。また、出発原料に比表面積50〜200m
2/gのヒュームドシリカを用いた実施例1〜3,6〜8では、炭素濃度、塩素濃度、水酸基濃度のいずれもが所定値未満に低減されていることが判る。
【0091】
このことから、本発明の合成非晶質シリカ粉末は、気泡の発生又は膨張の低減効果が非常に高く、合成シリカガラス製品のための原料に適していることが確認された。