【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1の半導体レーザ装置の構成図である。
図1(a)は半導体レーザ装置の正面図、
図1(b)は、
図1(a)に示すA−A´断面図、
図1(c)は
図1(a)に示すB−B´断面図である。
【0016】
半導体レーザ装置は、複数のレーザダイオードLDと、光結合素子10とを備えている。複数のレーザダイオードLDは、M行N列に配置されたM×N個のレーザダイオードからなり、各々のレーザダイオードがレーザ光を出力する。
図1に示す複数のレーザダイオードLDは、例えば、3行4列に配置されている。光結合素子10は、本発明の光合成部に対応し、複数のレーザダイオードLDから放出されたレーザ光を合成して高出力レーザ光を得る。
【0017】
半導体レーザ装置は、レーザダイオード故障検知機構を有し、3行4列に配置された3×4個のレーザダイオードLDの出力をそれぞれ検出する。レーザダイオード故障検知機構は、4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4と、3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3と、3個のフォトダイオードPDH1〜PDH3、4個のフォトダイオードPDV1〜PDV4を備えている。ビームスプリッタは、本来の目的である高出力化に影響を及ぼさない反射率・光量ロスのものを使用する。
【0018】
4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4は、3行4列に配置されたレーザダイオードLDを4列のグループ(本発明の複数の第1グループに対応)に分割して4列のグループに対応して設けられた4個の第1透過反射部に対応する。
【0019】
4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4は、
図1(b)に示すように、複数のレーザタイオードLDと光結合素子10との間で且つ複数のレーザタイオードLDからのレーザ光に対して略45度に配置されるとともに略3行分のレーザタイオードLDの長さを有する。
【0020】
各々のビームスプリッタBSH1〜BSH4は、複数のレーザタイオードLDからのレーザ光を透過反射し、透過されたレーザ光を光結合素子10に出力し、反射されたレーザ光をフォトダイオードPDH1〜PDH3に出力する。
【0021】
フォトダイオードPDH1〜PDH3は、各々の行毎に各々のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する3個の第1レーザ検出部に対応する。
【0022】
フォトダイオードPDH1は、1行目のレーザタイオードLDのレーザ光が4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDH2は、2行目のレーザタイオードLDのレーザ光が4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDH3は、3行目のレーザタイオードLDのレーザ光が4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射されたレーザ光を検出する。
【0023】
即ち、1行分の4個のレーザ光をビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射させて、一つの光軸上に集め、その光を一つのフォトダイオードでまとめて観察する。即ち、3行分のレーザ光を3個のフォトダイオードPDH1〜PDH3で観測することにより、出力の低いレーザ光の“行”を検知する。
【0024】
また、3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3は、4列のグループの中から互いに異なる1つのレーザダイオードを抽出してグループ化した3行のグループ(本発明の複数の第2グループに対応)に対応して設けられた3個の第2透過反射部に対応する。
【0025】
3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3は、
図1(c)に示すように、複数のレーザタイオードLDと光結合素子10との間で且つ複数のレーザタイオードLDからのレーザ光に対して略45度に配置されるとともに4列分のレーザタイオードLDの長さを有する。
【0026】
各々のビームスプリッタBSV1〜BSV3は、複数のレーザタイオードLDからのレーザ光を透過反射し、透過されたレーザ光を光結合素子10に出力し、反射されたレーザ光をフォトダイオードPDV1〜PDV4に出力する。
【0027】
フォトダイオードPDV1〜PDV4は、各々の列毎に各々のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する4個の第2レーザ検出部に対応する。
【0028】
フォトダイオードPDV1は、1列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDV2は、2列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDV3は、3列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDV4は、4列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。
【0029】
即ち、1列分の3個のレーザ光をビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射させて、一つの光軸上に集め、その光を一つのフォトダイオードでまとめて観察する。即ち、4列分のレーザ光を4個のフォトダイオードPDV1〜PDV4で観測することにより、出力の低いレーザ光の“列”を検知する。
【0030】
ここで、便宜的に、行方向のフォトダイオードをそれぞれ正面から見て左上から、PDH1、PDH2、…,PDHm,…PDHMと名付け(m=1,2,…M)、列方向のフォトダイオードをそれぞれ正面から見て左上から、PDV1、PDV
2、…,PDVn,…PDVNと名付け(n=1,2,…N)、正面から見てm行n列のレーザダイオードをLDmnと名付ける。
【0031】
このとき、一箇所のレーザダイオードが故障していた場合には、各フォトダイオードにおいてそれぞれフォトダイオードPDHiとフォトダイオードPDVjの出力が小さく検出される。このため、レーザダイオードLDijが故障していると判断する。
【0032】
但し、複数のレーザダイオードLDが故障していた場合には、上記の方法で故障個所を特定できる場合と、故障個所を特定はできないが、故障個所が絞り込める場合とに分けることができる。
【0033】
複数のレーザダイオードLDが故障しており、特定はできないが、故障個所が絞り込める場合について説明する。一例として、
図1に示すフォトダイオード群において、
図2に示すような出力が得られた場合を考える。なお、
図2に示す例では、フォトダイオードPDに入力されるレーザダイオードLD一つ当たりの出力をp(mW)としている。
【0034】
図3において、レーザダイオードLDに一つも不具合がない場合には、PDHmは4p(mW)、PDVnは3p(mW)の出力が得られる。この値を基準値とすると、
図2では、PDH1とPDH2において基準値よりも1p(mW)低い出力が得られているため、1行目と2行目とのレーザダイオードLDにそれぞれ一つずつレーザダイオードLDに故障が発生していると考えられる。
【0035】
また、同様に、PDV1とPDV3において基準値よりも1p(mW)低い出力が得られているため、1列目と3列目とのレーザダイオードLDにそれぞれ一つずつレーザダイオードLDに故障が発生していると考えられる。これにより、レーザダイオードLDの故障は、2箇所と判明し、レーザダイオードLDの故障個所は
図3(a)(b)に示すような2通りの組み合わせが考えられる。従って、故障したレーザダイオードLDの数と、その故障個所が絞り込めるため、複数のレーザダイオードLDの分解検査、修理作業が容易になる。
【0036】
このように実施例1に係る半導体レーザ装置によれば、行と列とに分けた出力の検出によって、レーザ装置を分解することなくレーザダイオードLDの故障又は劣化したレーザダイオードの特定又は絞込みを行うことができるため、複数のレーザダイオードLDの分解検査、修理作業が容易になる。
【0037】
また、故障検知に必要なフォトダイオードセンサーの数がレーザ装置に組み込まれるレーザダイオードLDの数よりも少なくて済むため、低コスト化が期待できる。従来では、フォトダイオードPDを用いて故障検知を行うためにレーザダイオードLDの数だけフォトダイオードPDが必要であったが、実施例1では、レーザ光をグループ化し纏めて検出するため、必要なフォトダイオードPD数はグループの個数となる。このため、故障検知用のフォトダイオードPDの大幅な削減が可能となる。
【実施例2】
【0038】
図4は、本発明の実施例2の半導体レーザ装置の構成図である。
図4に示す実施例2の半導体レーザ装置は、複数のレーザダイオードLDが円周上に配置されていることを特徴とする。
【0039】
この例では、6個のレーザダイオードLD1〜LD6が円周上に配置されている。6個のレーザダイオードLD1〜LD6を3個ずつのレーザダイオードLD1,LD5,LD6と、レーザダイオードLD2,LD3,LD4の2つのグループに分ける(本発明の第1のグループに対応)。
【0040】
フォトダイオードPDA1は、レーザダイオードLD1,LD5,LD6のレーザ光を検出する。フォトダイオードPDA2は、レーザダイオードLD2,LD3,LD4のレーザ光を検出する。
【0041】
また、2つのグループの中から互いに異なる1つのレーザダイオードLDを抽出してグループ化して6個のレーザダイオードLD1〜LD6を2個ずつレーザダイオードLD2,LD5と、レーザダイオードLD6,LD3と、レーザダイオードLD1,LD4との3つのグループ(本発明の第2のグループに対応)に分ける。
【0042】
フォトダイオードPDB1は、レーザダイオードLD5とレーザダイオードLD2とを結ぶ直線上に配置され、レーザダイオードLD5のレーザ光とレーザダイオードLD2のレーザ光とを検知する。フォトダイオードPDB2は、レーザダイオードLD6とレーザダイオードLD3とを結ぶ直線上に配置され、レーザダイオードLD6のレーザ光とレーザダイオードLD3のレーザ光とを検出する。フォトダイオードPDB3は、レーザダイオードLD1とレーザダイオードLD4とを結ぶ直線上に配置され、レーザダイオードLD1のレーザ光とレーザダイオードLD4のレーザ光とを検出する。
【0043】
以上の構成によれば、フォトダイオードPDA1,PDA2,フォトダイオードPDB1〜PDB3の検出出力に基づき、故障したレーザダイオードLDが1個の場合には、そのレーザダイオードLDを特定できる。また、故障したレーザダイオードLDが2個以上の場合には、そのレーザダイオードLDを特定又は絞込みできる。
【実施例3】
【0044】
実施例3の半導体レーザ装置は、実施例1の半導体レーザ装置に対して、各ビームスプリッタの反射率を変化させることで、各レーザ光に重み付けを行い、故障個所を判別し易くしたことを特徴とする。
【0045】
実施例3の半導体レーザ装置の構成は、
図1に示す実施例1の半導体レーザ装置と略同じであり、
図1に示すビームスプリッタBSH1〜BSH4,BSV1〜BSV3の反射率を変化させている。
【0046】
例えば、
図3の場合において、ビームスプリッタBSH1のフォトダイオードPDへの反射出力がp(mW)のとき、ビームスプリッタBSH2〜BSH4の反射出力をそれぞれ2p,3p,4p(mW)となるように反射率を設定する。
【0047】
同様に、ビームスプリッタBSV1のフォトダイオードPDへの反射出力がp(mW)のとき、ビームスプリッタBSV2,BSV3の反射出力をそれぞれ2p,3p(mW)となるように反射率を設定する。このとき、
図3(a)において、レーザダイオードLD11,LD23が故障していた場合の各フォトダイオードPDの想定出力を
図5(a)(b)に示す。
【0048】
図5(a)は、ビームスプリッタBSH1〜BSH4に重み付けを行った際のフォトダイオードPDHの検出値を示す。
図5(b)は、ビームスプリッタBSV1〜BSV3に重み付けを行った際のフォトダイオードPDVの検出値を示す。
【0049】
反射率の重み付けを行ったため、レーザダイオードLDに一つも不具合がない場合には、フォトダイオードPDHmでは10p(mW)、フォトダイオードPDVnでは6p(mW)の出力が得られる。この値を基準値とすると、
図5(a)では、フォトダイオードPDH1において基準値よりも1p(mW)低い出力が得られる。このため、1行目の1列目のレーザダイオードLD11に故障が発生していると考えられる。一つのフォトダイオードPDで故障個所を特定できる。
【0050】
また、同様に、
図5(a)では、フォトダイオードPDH2において、基準値よりも3p(mW)低い出力が得られている。このため、2行目の1列目・2列目の2箇所又は2行目の3列目の1箇所にレーザダイオードLDの故障が発生していると考えられる。
【0051】
これだけでは、2行目のレーザダイオードLD故障個所は特定できないため、
図5(b)に示すフォトダイオードPDVn群の検出値を確認すると、フォトダイオードPDV3において基準値より2p(mW)低い出力が得られている。このため、2行目3列目のレーザダイオードLD23に故障が発生していると特定できる。以上のことから、レーザダイオードLDの故障は2箇所であり、故障したレーザダイオードLDは、レーザダイオードLD11とレーザダイオードLD23であると特定できる。
【0052】
このように実施例3の半導体レーザ装置によれば、ビームスプリッタの重み付けを行うことで、故障個所をより精度よく判別し易くなる。