特許第6164163号(P6164163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164163
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】半導体レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   H01S5/022
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-122144(P2014-122144)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-4800(P2016-4800A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】西 亮祐
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/100448(WO,A1)
【文献】 特開2010−102049(JP,A)
【文献】 特開2007−25256(JP,A)
【文献】 特開平6−342334(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0305946(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力する複数のレーザダイオードと、
前記複数のレーザダイオードの各々のレーザダイオードのレーザ光を透過及び反射させるものであって、前記複数のレーザダイオードを分割した複数の第1グループに対応して設けられた複数の第1透過反射部、各々の第1グループの中から互いに異なる1つのレーザダイオードを抽出してグループ化した複数の第2グループに対応して設けられた複数の第2透過反射部と、
前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第2透過反射部の各々の透過反射部で反射されたレーザ光を検出するものであって、第2グループ毎に各々の第1透過反射部で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する複数の第1レーザ検出部、第1グループ毎に各々の第2透過反射部で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する複数の第2レーザ検出部と、
前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第2透過反射部の各々の透過反射部で透過されたレーザ光を合成する光結合部と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記複数の第1レーザ検出部及び前記複数の第2レーザ検出部は、検出出力に基づき前記レーザダイオードの故障の判定又は絞込みを行うことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記複数のレーザダイオードは、行列状に配置され、前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第1レーザ検出部は、行状に配置され、前記複数の第2透過反射部及び前記複数の第2レーザ検出部は、列状に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記複数のレーザダイオードは、1つ以上の円周上に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第2透過反射部の各々の透過反射部は、互いに異なる反射率を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第2透過反射部の各々の透過反射部は、ビームスプリッタ、ミラー、レンズ、光ファイバ、回折格子、偏光子のいずれか1つからなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の半導体レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ加工の分野を始めとして、レーザの高出力化が望まれている。扱いが容易で高効率な半導体レーザを用いた高出力レーザ光源としては、複数のレーザダイオード(LD)の光を多重化する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。この方法では、レーザダイオードを増やすことで、容易に高出力化が可能となる。
【0003】
一方、レーザ装置は、多数のレーザダイオードを備えるため、一部のレーザダイオードが故障した場合、そのレーザダイオードを特定することが困難であった。レーザダイオードの突発的な故障は回避が困難であり、レーザダイオードの故障は、レーザ光の出力低下原因となる。出力が低下した場合には、意図した性能が発揮されないため、レーザダイオードを交換する必要がある。この場合、故障したレーザダイオードを特定する必要がある。
【0004】
この問題を解決する方法として、各レーザダイオードに対してフォトダイオードPDを1つずつ設置して、各々の出力を検出する方法が知られている。
【0005】
しかしながら、この方法では、複数のレーザダイオードに対してフォトダイオードを配置しなければならないため、レーザ装置が高コスト化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−23878号公報
【特許文献2】特開2013−048159号公報
【特許文献3】特開2001−352122号公報
【特許文献4】特開2004−214225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レーザ装置の出力低下原因の一つに、突発的なレーザダイオードの故障がある。この場合には、レーザダイオードの故障を特定するためにレーザ装置の大がかりな分解と検査が必要になる。
【0008】
また、装置内部のレーザダイオードを修理・交換するためには、事前に故障したレーザダイオードの位置や数を特定する必要がある。多数のレーザダイオードを2次元に配置する場合には特に難しい作業になる。
【0009】
また、特許文献4では、レーザダイオードを同時に検査するために、レーザダイオードと同数のフォトダイオードを用いているため、レーザ装置が大型化及び高コスト化してしまう。
【0010】
本発明の課題は、少数のフォトダイオードで効率良くレーザダイオードの故障を検知することができる半導体レーザ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体レーザ装置は、上記課題を解決するために、レーザ光を出力する複数のレーザダイオードと、前記複数のレーザダイオードの各々のレーザダイオードのレーザ光を透過及び反射させるものであって、前記複数のレーザダイオードを分割した複数の第1グループに対応して設けられた複数の第1透過反射部、各々の第1グループの中から互いに異なる1つのレーザダイオードを抽出してグループ化した複数の第2グループに対応して設けられた複数の第2透過反射部と、前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第2透過反射部の各々の透過反射部で反射されたレーザ光を検出するものであって、第2グループ毎に各々の第1透過反射部で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する複数の第1レーザ検出部、第1グループ毎に各々の第2透過反射部で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する複数の第2レーザ検出部と、前記複数の第1透過反射部及び前記複数の第2透過反射部の各々の透過反射部で透過されたレーザ光を合成する光結合部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少数のフォトダイオードで効率良くレーザダイオードの故障を検知することができる半導体レーザ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1の半導体レーザ装置の構成図である。
図2】本発明の実施例1の半導体レーザ装置に設けられた各々のフォトダイオードPDにおける検出値を示す図である。
図3図2に示す検出値が得られた場合に具体的に予想されるレーザダイオードLDの故障個所を示す図である。
図4】本発明の実施例2の半導体レーザ装置の構成図である。
図5】本発明の実施例3の半導体レーザ装置をより具体的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の半導体レーザ装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、レーザ光の出力をフォトダイオードにより検出し、検出したフォトダイオードの出力に基づきレーザダイオードの故障や不具合を検知する。また、本発明は、各レーザダイオードに対して、フォトダイオードを一つずつ配置する方法ではなく、各レーザ光(各レーザダイオード)を光学系によりグループ化し、フォトダイオードで検出する方法を採用する。レーザ光(各レーザダイオード)をいくつかのグループに重複してグループ化し、出力を検出することにより、故障したレーザダイオードの特定又は絞込みを行う。以下、具体的な実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1の半導体レーザ装置の構成図である。図1(a)は半導体レーザ装置の正面図、図1(b)は、図1(a)に示すA−A´断面図、図1(c)は図1(a)に示すB−B´断面図である。
【0016】
半導体レーザ装置は、複数のレーザダイオードLDと、光結合素子10とを備えている。複数のレーザダイオードLDは、M行N列に配置されたM×N個のレーザダイオードからなり、各々のレーザダイオードがレーザ光を出力する。図1に示す複数のレーザダイオードLDは、例えば、3行4列に配置されている。光結合素子10は、本発明の光合成部に対応し、複数のレーザダイオードLDから放出されたレーザ光を合成して高出力レーザ光を得る。
【0017】
半導体レーザ装置は、レーザダイオード故障検知機構を有し、3行4列に配置された3×4個のレーザダイオードLDの出力をそれぞれ検出する。レーザダイオード故障検知機構は、4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4と、3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3と、3個のフォトダイオードPDH1〜PDH3、4個のフォトダイオードPDV1〜PDV4を備えている。ビームスプリッタは、本来の目的である高出力化に影響を及ぼさない反射率・光量ロスのものを使用する。
【0018】
4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4は、3行4列に配置されたレーザダイオードLDを4列のグループ(本発明の複数の第1グループに対応)に分割して4列のグループに対応して設けられた4個の第1透過反射部に対応する。
【0019】
4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4は、図1(b)に示すように、複数のレーザタイオードLDと光結合素子10との間で且つ複数のレーザタイオードLDからのレーザ光に対して略45度に配置されるとともに略3行分のレーザタイオードLDの長さを有する。
【0020】
各々のビームスプリッタBSH1〜BSH4は、複数のレーザタイオードLDからのレーザ光を透過反射し、透過されたレーザ光を光結合素子10に出力し、反射されたレーザ光をフォトダイオードPDH1〜PDH3に出力する。
【0021】
フォトダイオードPDH1〜PDH3は、各々の行毎に各々のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する3個の第1レーザ検出部に対応する。
【0022】
フォトダイオードPDH1は、1行目のレーザタイオードLDのレーザ光が4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDH2は、2行目のレーザタイオードLDのレーザ光が4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDH3は、3行目のレーザタイオードLDのレーザ光が4個のビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射されたレーザ光を検出する。
【0023】
即ち、1行分の4個のレーザ光をビームスプリッタBSH1〜BSH4で反射させて、一つの光軸上に集め、その光を一つのフォトダイオードでまとめて観察する。即ち、3行分のレーザ光を3個のフォトダイオードPDH1〜PDH3で観測することにより、出力の低いレーザ光の“行”を検知する。
【0024】
また、3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3は、4列のグループの中から互いに異なる1つのレーザダイオードを抽出してグループ化した3行のグループ(本発明の複数の第2グループに対応)に対応して設けられた3個の第2透過反射部に対応する。
【0025】
3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3は、図1(c)に示すように、複数のレーザタイオードLDと光結合素子10との間で且つ複数のレーザタイオードLDからのレーザ光に対して略45度に配置されるとともに4列分のレーザタイオードLDの長さを有する。
【0026】
各々のビームスプリッタBSV1〜BSV3は、複数のレーザタイオードLDからのレーザ光を透過反射し、透過されたレーザ光を光結合素子10に出力し、反射されたレーザ光をフォトダイオードPDV1〜PDV4に出力する。
【0027】
フォトダイオードPDV1〜PDV4は、各々の列毎に各々のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射された全てのレーザダイオードのレーザ光を検出する4個の第2レーザ検出部に対応する。
【0028】
フォトダイオードPDV1は、1列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDV2は、2列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDV3は、3列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。フォトダイオードPDV4は、4列目のレーザタイオードLDのレーザ光が3個のビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射されたレーザ光を検出する。
【0029】
即ち、1列分の3個のレーザ光をビームスプリッタBSV1〜BSV3で反射させて、一つの光軸上に集め、その光を一つのフォトダイオードでまとめて観察する。即ち、4列分のレーザ光を4個のフォトダイオードPDV1〜PDV4で観測することにより、出力の低いレーザ光の“列”を検知する。
【0030】
ここで、便宜的に、行方向のフォトダイオードをそれぞれ正面から見て左上から、PDH1、PDH2、…,PDHm,…PDHMと名付け(m=1,2,…M)、列方向のフォトダイオードをそれぞれ正面から見て左上から、PDV1、PDV
2、…,PDVn,…PDVNと名付け(n=1,2,…N)、正面から見てm行n列のレーザダイオードをLDmnと名付ける。
【0031】
このとき、一箇所のレーザダイオードが故障していた場合には、各フォトダイオードにおいてそれぞれフォトダイオードPDHiとフォトダイオードPDVjの出力が小さく検出される。このため、レーザダイオードLDijが故障していると判断する。
【0032】
但し、複数のレーザダイオードLDが故障していた場合には、上記の方法で故障個所を特定できる場合と、故障個所を特定はできないが、故障個所が絞り込める場合とに分けることができる。
【0033】
複数のレーザダイオードLDが故障しており、特定はできないが、故障個所が絞り込める場合について説明する。一例として、図1に示すフォトダイオード群において、図2に示すような出力が得られた場合を考える。なお、図2に示す例では、フォトダイオードPDに入力されるレーザダイオードLD一つ当たりの出力をp(mW)としている。
【0034】
図3において、レーザダイオードLDに一つも不具合がない場合には、PDHmは4p(mW)、PDVnは3p(mW)の出力が得られる。この値を基準値とすると、図2では、PDH1とPDH2において基準値よりも1p(mW)低い出力が得られているため、1行目と2行目とのレーザダイオードLDにそれぞれ一つずつレーザダイオードLDに故障が発生していると考えられる。
【0035】
また、同様に、PDV1とPDV3において基準値よりも1p(mW)低い出力が得られているため、1列目と3列目とのレーザダイオードLDにそれぞれ一つずつレーザダイオードLDに故障が発生していると考えられる。これにより、レーザダイオードLDの故障は、2箇所と判明し、レーザダイオードLDの故障個所は図3(a)(b)に示すような2通りの組み合わせが考えられる。従って、故障したレーザダイオードLDの数と、その故障個所が絞り込めるため、複数のレーザダイオードLDの分解検査、修理作業が容易になる。
【0036】
このように実施例1に係る半導体レーザ装置によれば、行と列とに分けた出力の検出によって、レーザ装置を分解することなくレーザダイオードLDの故障又は劣化したレーザダイオードの特定又は絞込みを行うことができるため、複数のレーザダイオードLDの分解検査、修理作業が容易になる。
【0037】
また、故障検知に必要なフォトダイオードセンサーの数がレーザ装置に組み込まれるレーザダイオードLDの数よりも少なくて済むため、低コスト化が期待できる。従来では、フォトダイオードPDを用いて故障検知を行うためにレーザダイオードLDの数だけフォトダイオードPDが必要であったが、実施例1では、レーザ光をグループ化し纏めて検出するため、必要なフォトダイオードPD数はグループの個数となる。このため、故障検知用のフォトダイオードPDの大幅な削減が可能となる。
【実施例2】
【0038】
図4は、本発明の実施例2の半導体レーザ装置の構成図である。図4に示す実施例2の半導体レーザ装置は、複数のレーザダイオードLDが円周上に配置されていることを特徴とする。
【0039】
この例では、6個のレーザダイオードLD1〜LD6が円周上に配置されている。6個のレーザダイオードLD1〜LD6を3個ずつのレーザダイオードLD1,LD5,LD6と、レーザダイオードLD2,LD3,LD4の2つのグループに分ける(本発明の第1のグループに対応)。
【0040】
フォトダイオードPDA1は、レーザダイオードLD1,LD5,LD6のレーザ光を検出する。フォトダイオードPDA2は、レーザダイオードLD2,LD3,LD4のレーザ光を検出する。
【0041】
また、2つのグループの中から互いに異なる1つのレーザダイオードLDを抽出してグループ化して6個のレーザダイオードLD1〜LD6を2個ずつレーザダイオードLD2,LD5と、レーザダイオードLD6,LD3と、レーザダイオードLD1,LD4との3つのグループ(本発明の第2のグループに対応)に分ける。
【0042】
フォトダイオードPDB1は、レーザダイオードLD5とレーザダイオードLD2とを結ぶ直線上に配置され、レーザダイオードLD5のレーザ光とレーザダイオードLD2のレーザ光とを検知する。フォトダイオードPDB2は、レーザダイオードLD6とレーザダイオードLD3とを結ぶ直線上に配置され、レーザダイオードLD6のレーザ光とレーザダイオードLD3のレーザ光とを検出する。フォトダイオードPDB3は、レーザダイオードLD1とレーザダイオードLD4とを結ぶ直線上に配置され、レーザダイオードLD1のレーザ光とレーザダイオードLD4のレーザ光とを検出する。
【0043】
以上の構成によれば、フォトダイオードPDA1,PDA2,フォトダイオードPDB1〜PDB3の検出出力に基づき、故障したレーザダイオードLDが1個の場合には、そのレーザダイオードLDを特定できる。また、故障したレーザダイオードLDが2個以上の場合には、そのレーザダイオードLDを特定又は絞込みできる。
【実施例3】
【0044】
実施例3の半導体レーザ装置は、実施例1の半導体レーザ装置に対して、各ビームスプリッタの反射率を変化させることで、各レーザ光に重み付けを行い、故障個所を判別し易くしたことを特徴とする。
【0045】
実施例3の半導体レーザ装置の構成は、図1に示す実施例1の半導体レーザ装置と略同じであり、図1に示すビームスプリッタBSH1〜BSH4,BSV1〜BSV3の反射率を変化させている。
【0046】
例えば、図3の場合において、ビームスプリッタBSH1のフォトダイオードPDへの反射出力がp(mW)のとき、ビームスプリッタBSH2〜BSH4の反射出力をそれぞれ2p,3p,4p(mW)となるように反射率を設定する。
【0047】
同様に、ビームスプリッタBSV1のフォトダイオードPDへの反射出力がp(mW)のとき、ビームスプリッタBSV2,BSV3の反射出力をそれぞれ2p,3p(mW)となるように反射率を設定する。このとき、図3(a)において、レーザダイオードLD11,LD23が故障していた場合の各フォトダイオードPDの想定出力を図5(a)(b)に示す。
【0048】
図5(a)は、ビームスプリッタBSH1〜BSH4に重み付けを行った際のフォトダイオードPDHの検出値を示す。図5(b)は、ビームスプリッタBSV1〜BSV3に重み付けを行った際のフォトダイオードPDVの検出値を示す。
【0049】
反射率の重み付けを行ったため、レーザダイオードLDに一つも不具合がない場合には、フォトダイオードPDHmでは10p(mW)、フォトダイオードPDVnでは6p(mW)の出力が得られる。この値を基準値とすると、図5(a)では、フォトダイオードPDH1において基準値よりも1p(mW)低い出力が得られる。このため、1行目の1列目のレーザダイオードLD11に故障が発生していると考えられる。一つのフォトダイオードPDで故障個所を特定できる。
【0050】
また、同様に、図5(a)では、フォトダイオードPDH2において、基準値よりも3p(mW)低い出力が得られている。このため、2行目の1列目・2列目の2箇所又は2行目の3列目の1箇所にレーザダイオードLDの故障が発生していると考えられる。
【0051】
これだけでは、2行目のレーザダイオードLD故障個所は特定できないため、図5(b)に示すフォトダイオードPDVn群の検出値を確認すると、フォトダイオードPDV3において基準値より2p(mW)低い出力が得られている。このため、2行目3列目のレーザダイオードLD23に故障が発生していると特定できる。以上のことから、レーザダイオードLDの故障は2箇所であり、故障したレーザダイオードLDは、レーザダイオードLD11とレーザダイオードLD23であると特定できる。
【0052】
このように実施例3の半導体レーザ装置によれば、ビームスプリッタの重み付けを行うことで、故障個所をより精度よく判別し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る半導体レーザ装置は、レーザ加工機、レーザ照明機器、レーザ分析計測機器などに利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 光結合素子
LD,LD1〜LD6 レーザダイオード
BSH1〜BSH4,BSV1〜BSV3 ビームスプリッタ
PDH1〜PDH3,PDV1〜PDV4 フォトダイオード
図1
図2
図3
図4
図5