(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164290
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】外科用工具装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20170710BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20170710BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B17/29
A61B17/94
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-509323(P2015-509323)
(86)(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公表番号】特表2015-519109(P2015-519109A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013001151
(87)【国際公開番号】WO2013164067
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】102012008970.8
(32)【優先日】2012年5月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512111500
【氏名又は名称】ジョイマックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リース,ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】クラウセマン,アヒム
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−069003(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0112359(US,A1)
【文献】
米国特許第06196967(US,B1)
【文献】
独国特許出願公開第19533856(DE,A1)
【文献】
特表2011−510794(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0244806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
A61B 17/29
A61B 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業チャネル(2.1)を有する内視鏡(2)、案内部分(3)、案内カニューレ(4)、および、工具部分(5)を備える外科用工具装置(1)であって、
前記内視鏡(2)の作業チャネル(2.1)内には案内部分(3)のデフレクタパイプ(3.1)が配置され、
前記案内カニューレ(4)が、前記デフレクタパイプ(3.1)内にスライド可能に装着され、
前記工具部分(5)は、遠位端部に回転工具(5.3)を備える工具軸(5.1)を有し、前記工具部分(5)は前記案内カニューレ(4)内へと挿入され、
前記案内カニューレ(4)は、前記工具部分(5)と共に前記案内部分(3)内に収容可能であり、
前記案内部分(3)の遠位端部と、前記工具部分(5)の遠位端部とが同時に遠位作業領域に向かって移動するように、前記案内部分(3)と前記工具部分(5)とが前記作業チャネル(2.1)内をスライド可能に配置されており、
周回溝(2.7)が前記内視鏡(2)の近位端部の外周に設けられており、
前記周回溝(2.7)に係合するよう構成されたノーズ(3.13)が前記案内部分(3)に可動に支承されており、
前記ノーズ(3.13)は、シーソー形のレバー(3.7)の遠位端部に形成されており、
前記案内カニューレ(4)はその近位端部に移行部分(4.2)を有し、
前記周回溝(2.7)と前記ノーズ(3.13)とが一致する軸方向位置に達するまで前記デフレクタパイプ(3.1)を前記内視鏡(2)に押し込むとき、前記レバー(3.7)の近位ノーズ(3.7a)が前記移行部分(4.2)の周面によって半径方向に持ち上げられる、または外側に向かって押圧されることによって、前記ノーズ(3.13)が前記周回溝(2.7)に係合することにより、前記案内部分(3)が前記内視鏡(2)に対して軸方向に強固に固定される、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記案内カニューレ(4)と前記工具部分(5)とは軸方向に固定であるが、互いに相対的に回転可能に相互に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記案内部分(3)と前記案内カニューレ(4)は、互いに回動不能に接続可能である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記案内カニューレ(4)は近位に軸平行の外側溝(4.4)を有し、前記案内部分(3)は、近位の接続部分内に、軸平行に配列されたピン(3.10)を前記溝(4.4)と共同作用するために有する、ことを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記案内部分(3)の前記デフレクタパイプ(3.1)が、前記レバー(3.7)及び前記レバー(3.7)のレバーホルダである円筒状外套(3.6)に対して相対的に、バネ(3.11)の作用に抗して軸方向に可動である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記工具部分(5)は、回転駆動部の駆動軸と連結可能である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記案内部分は、その遠位端部においてその軸(X)に対して側方に湾曲された案内区間を具備するデフレクタとして構成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記案内カニューレ(4)も前記工具部分(5)も、それらの遠位端部領域においてフレキシブルに構成されている、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を備える外科用工具装置に関するものであり、前記内視鏡の作業チャネルを通して、案内部分と該案内部分内に案内された工具部分の遠位端部とが遠位作業領域に向かってスライド可能であり、前記工具部分は、回転工具を備える工具軸を有する。
【背景技術】
【0002】
この種の外科用工具装置は、組織、とりわけ脊椎領域のような骨組織において、たとえばそこで神経に当たる組織、椎間板組織をも除去する作業に、しかしまた2つの椎骨を固定するような安定化のための前提条件を遂行する作業に用いられる。使用される工具は、たとえばドリルまたはフライスのような回転駆動工具である。取り込みは、微少侵襲性かつ内視鏡的に行われる。工具装置を微少侵襲性かつ内視鏡的に作業個所に導入すること、すなわちこの作業個所が導入チャネルと、または工具装置の軸とも、この経路上で脆弱な器官、血管または神経が脅かされるにしても、一列に並ぶように導入することは、しばしば非常に困難であるか、または不可能である。したがって、作業チャネルの端部にある作業個所が作業チャネルの並びの外となり、これにより工具軸もこれに対してオフセットされるように作業チャネルを選択することが望まれ、または必要でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の基礎とする課題は、組織、とりわけ骨組織の処理を工具の軸ないし導入チャネルの並びの外で行うことができる、回転駆動工具を具備する外科用工具装置を創成することである。その際に、オフセットが1つの方向で可能であるだけでなく、配向によって工具装置の軸の全周囲に亘り可能であるというフレキシビリティが存在すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば前記課題は、上位概念記載の工具装置において、案内部分が内視鏡と軸方向に強固に接続可能であることによって解決される。
【0005】
したがって案内部分は、導入および取り出しのために、とりわけ作業配置位置において内視鏡と強固に接続可能であり、しかし再び解離することができる。ここで好ましい形態では、周回溝が内視鏡の近位端部に設けられており、かつ、この周回溝に係合するよう構成され、可動に支承されたノーズが案内部分に設けられており、このノーズはシーソー形のレバーの遠位端部に形成されており、および/または内視鏡の周回溝と案内部分のノーズとが軸方向に一致して配置されるときに、案内カニューレの移行部分の作用の下で、前記ノーズは、内視鏡とデフレクタを軸方向に固定するために前記周回溝への押し込みが可能である。本発明により、一方では確実な、他方では容易に製造可能であり、かつ容易に脱着可能な−オキシド−結合が、内視鏡と、少なくとも案内部分および工具部分からの作業機器軸との間で形成される。この場合、工具部分の工具ヘッドが、この工具ヘッドをさしあたり完全に包囲する案内部分の外套領域から遠位方向に引き出されていると、内視鏡と案内部分との確実な接続が存在することが特に保証され、この接続は、工具ヘッドが案内部分の周囲の外套に引き込まれると、簡単に解離することができる。
【0006】
工具装置がデフレクタと回転駆動される工具部分とを具備し、前記デフレクタがその遠位端部領域には側方に湾曲した案内面を有し、前記工具部分が同様にその遠位端部領域においては、本来の工具または工具ヘッドの近位方向に直前でフレキシブルに構成されている工具装置の本発明による改善形態によって、デフレクタを通して挿入される際に、工具部分がそのフレキシブルな端部領域において前記案内面によって片側に湾曲され、これにより工具ヘッドは、デフレクタおよび工具部分の軸の並びから外されるようになる。これによって、軸に対してオフセットされた所望の得ようとする作業が可能となり、ないし軸の並びの外で作業することが可能になる。
【0007】
ここで改善形態では、工具部分は、その遠位端部領域において工具の直ぐ近位に螺旋体を有する。
【0008】
好ましい形態では、工具部分を収容する案内カニューレを設けることができ、この案内カニューレは工具部分と共に案内部分内に収容されている。
【0009】
案内部分が湾曲したデフレクタとして構成されている場合のように、工具部分の案内部分と案内カニューレとを互いに、適切に固定された周囲側の配向にもたらすことが望まれる場合、またはそれが必要な場合、好ましい形態では、案内カニューレは近位側に軸平行の外側溝を有し、案内部分は近位側の接続部分内に、軸平行に配列されたピンを溝との共同作用のために有する。ここではとりわけ、案内部分のパイプが、その連結部分に向かって相対的に、バネの作用に抗して軸方向に可動である。
【0010】
本発明のさらなる好ましい形態では、案内カニューレと工具部分とが軸方向に固定であるが、しかし互いに相対的に回転可能に接続されており、および/または工具部分は、回転駆動部の駆動軸と連結可能である。
【0011】
既に述べたように、案内部分を、その遠位端部においてその軸に対して側方に湾曲された案内区間を備えるデフレクタとして構成することができる。改善形態では、案内カニューレも工具部分も、それらの遠位端部領域においてフレキシブルに構成されている。
【0012】
案内カニューレの好ましくは遠位端部領域には、周囲の一部分にだけ亘って伸張するスリットが設けられており、スリットはとりわけ200°から300°に亘って伸張している。これにより簡単に、案内カニューレのフレキシビリティがその端部領域において同様に可能になる。
【0013】
とりわけ案内カニューレの前記具体的形態においてそのフレキシビリティは等方性ではなく、その端部領域は好ましくはスリットの存在する方向に向かって(またはそれに対向する方向にも向かって)可撓性であるから、デフレクタと案内カニューレとを上記のように、周囲で固定された配向に互いにもたらすことが必要である。すなわちとりわけ、スリットが、デフレクタの案内面に対向するカニューレの側に配置されるようにすることが必要である。
【0014】
全体として本発明により、執刀医が簡単かつ確実に必要な作業、とりわけ脊椎のような骨物質の切削除去作業または脊髄領域での組織除去を行うことのできる外科用工具装置が提供される。
【0015】
本発明のさらなる利点および特徴は、請求項および本発明の実施例が図面に基づき詳細に説明された以下の記述から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の工具ユニットの好ましい実施形態の、
図2のA−Aによる縦断面図である。
【
図2】
図1の本発明による装置を、矢印IIの方向で見た平面図である。
【
図3】本発明による工具ユニットのデフレクタの形態にある案内部分の側面図である。
【
図4】近位接続部分が縦断面で表されたデフレクタを示す図である。
【
図6】本発明による工具ユニットのシャフトと工具を具備する工具部分、および案内カニューレを並置して示す図である。
【
図7】案内カニューレの側面を拡大し、部分的に切り開いて示す図である。
【
図8】本発明による工具ユニットの縦断面図であり、
図1と共に本発明の工具を使用するための準備順序で示してある。
【
図9】本発明による工具ユニットの縦断面図であり、
図1と共に本発明の工具を使用するための準備順序で示してある。
【
図10】本発明による工具ユニットの縦断面図であり、
図1と共に本発明の工具を使用するための準備順序で示してある。
【
図11】本発明による工具ユニットの縦断面図であり、
図1と共に本発明の工具を使用するための準備順序で示してある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による外科用工具装置1は、図示の実施形態では、内視鏡2、デフレクタ3の形態の案内部分3、案内カニューレ4および工具部分5を有する。
【0018】
内視鏡2は伸張した作業チャネル2.1を有し、この作業チャネルは、これと面一の近位開口部2.2を工具の導入のために備える。さらに内視鏡2は、ここに詳細には図示しないが、角度の付された照明インレット2.3と、これに対して平行に延在する観察アウトレット2.4とを有し、これらは相応の光透明チャネルと接続している。ここで前者には照明ユニットを、後者には観察ユニット、たとえばカメラを接続することができ、このカメラを介して画面を接続することができる。最後に洗浄インレットと洗浄アウトレット2.5,2.6が設けられており、これらの少なくとも1つを作業チャネルに接続することができ、間欠的に洗浄および吸引を行う場合には両方を接続することもできる。通常、内視鏡は、既に述べたように、作業チャネルの他にさらなるチャネルを、たとえば光学的伝送および/または洗浄のために有する。これらは図面には分かりやすくするため詳細に図示されていない。なぜならこれらは本発明の対象にとって個別には重要でないからである。
【0019】
内視鏡2の作業チャネル2.1内には、案内部分3のデフレクタパイプ3.1が配置されている。デフレクタパイプ3.1は遠位開口部3.2を有する。デフレクタパイプ3.1は、遠位開口部から突き出ていて、デフレクタパイプ3.1ないし案内部分3の軸Xに対して軽く湾曲した片側の案内区間3.3を有し、この案内区間は実質的に軸方向の伸長部を備える。この案内区間は、デフレクタパイプ3.1の壁側から側方に弓状に次のような半径方向位置にまで達している。すなわちこの半径方向位置は、案内区間3.3の出口側に直径方向で対向するデフレクタパイプ3.1の側内にあり、かつこの側とほぼ面一である。ここでこの区間3.3はスプーン状に構成されている。
【0020】
案内パイプ3の接続部分3.5は、円筒状外套3.6を有し、この円筒状外套はシーソー形のレバー3.7に対するレバーホルダとして機能する。このレバーによってデフレクタ3を内視鏡2にしっかり固定することができる。円筒状外套3.6の遠位端部には、その内側にスリーブ3.8が、たとえば接着、溶接またはネジ留めによって固定されている。このスリーブは外套3.6とワンピースに作製することもできる。
【0021】
デフレクタパイプ3.1は、スリーブ3.8を通して滑らかに貫通案内され、一方の側でリングディスク3.9に強固に結合されている。リングディスク3.9はさらに、デフレクタパイプ3.1とは反対の側に、半径方向にオフセットされているが軸Xに対して平行に伸張するピン3.10を有する。このピンの機能については以下にさらに説明する。
【0022】
スリーブ3.8とリングディスク3.9との間にはコイルバネ3.11が配置されており、バネ3.11とそれぞれスリーブ3.8およびリングディスク3.9との間には、それぞれ1つの金属製、好ましくはステンレス製の(下敷き)ディスクが配置されており、その材料はバネ3.11と同じである。
【0023】
したがってデフレクタパイプ3.1は、バネ3.11の作用に抗して遠位方向にスライドすることができ、負荷から解放されると、制限された範囲内でバネによって近位方向にスライドされる。
【0024】
案内カニューレ4は、一方の側に金属製シャフト4.1を、他方の側の近位端部に移行部分4.2(
図6)を有する。この移行部分は
図7に明確に示されている。
【0025】
シャフト4.1の遠位端部領域では片側に、平行の半径面内にある複数のスリット4.3が設けられており、これらのスリットはシャフトの半周以上に亘って、すなわち約200°から270°に亘って伸張している。これによりシャフト4.1の端部領域は、スリットの側に向かって撓むことができる(
図9、10)。
【0026】
デフレクタ3の湾曲したスプーン形の端部領域の経過によって規定される方向への撓みを保証しなければならないから、案内カニューレ4がデフレクタパイプ3.1内に正しい配向で装着されることを保証しなければならない。
【0027】
そのために一方では既に述べたデフレクタ3のピン3.10が、他方では案内パイプ4の移行部分4.2に形成された軸平行の長手溝4.4が用いられる。この長手溝には、シャフト4.1をデフレクタパイプ3.1に押し込み、かつ移行部分4.2を案内部分3の外套3.6に押し込む際にピン3.10が係合し、これにより案内カニューレ4のデフレクタ3への押し込みは、これによって規定された角度配向でのみ行うことができる。
【0028】
さらに
図6は、実質的に固定の工具軸5.1と、近位連結部分5.2と、フライスヘッドのような工具5.3とを備える工具部分5を示す。ここでは回転性に使用される他の工具も考えられる。
【0029】
工具軸5.1は、その遠位端部領域において同様にフレキシブルに構成されている。すなわち、図には暗示的にのみ示された、とりわけコイルバネの形態の螺旋体5.4によってフレキシブルに構成されており、このコイルバネでは個々のターンが直接互いに当接する。
【0030】
本発明の工具ユニットを使用するために、工具部分5は工具軸5.1と共に案内パイプ4に押し込まれる。この様子がたとえば
図1に示されている。その際、本来の工具5.3は案内パイプ4のシャフト4.1の遠位端部を遠位方向に突き出る。すなわちシャフト4.1から突出する。工具部分5と案内パイプ4は軸方向に、しかし回動不能に互いに接続されており、場合により半径方向ピン(図示せず)によって直接接続される。この半径方向ピンは、連結部分5.2の遠位端部にあるリング溝に突入する移行部分4.2を介して固定されている。この位置で工具部分5と案内パイプ4は互いに軸方向には固定されるが、部分4.2、5.2の近位領域内で互いに相対的に回転可能に連結される。この連結は、とりわけ回転駆動部を有するハンドグリップを介しても行うことができ、ハンドグリップは、図示しないが、ロック接続部によって案内パイプ4の接続部分4.2と軸方向に回動不能に接続されている。一方、工具部分5の連結5.2は回動不能であり、接続部分4.2の接続を介してハンドグリップと、そしてハンドグリップにある駆動部の工具軸とも軸方向に接続されている。
【0031】
内視鏡2とデフレクタパイプ3.1とを接続するために、デフレクタパイプが先ず内視鏡2に、デフレクタ3にあるレバー3.7のノーズ3.13が、内視鏡の把持部分2aにある周回溝2.7と一致する軸方向位置に達するまで押し込まれる。レバー3.7の近位ノーズ3.7aは溝4.4より幅広である。これにより、レバー3.7がその近位ノーズ3.7aと共に移行部分4.2の上にスライドされると直ちに、レバー3.7の近位ノーズ3.7aが、移行部分4.2の周面によって半径方向に持ち上げられ、または外側に向かって押圧され、これによりレバー3.7の遠位ノーズ3.13が、内視鏡2のグリップ部分2.5にある溝2.7に押し込まれる(
図8から
図9へ移行)。そして両者はこれにより軸方向に強固に連結される(
図9)。
【0032】
本発明の工具ユニットは好ましくは、脊柱の脊椎での骨物質を切削するような処理に使用される。導入チャネルを最小侵襲性に形成し、内視鏡を対応の骨、とりわけ脊椎にある作業領域まで導入した後、さらに、まずはデフレクタ3が、案内パイプ4の完全に押し込まれたデフレクタパイプ3.1と共に、とりわけバネ3.11の負荷無しで押し込まれる。たとえば、
図1に示した相対位置から、
図8から分かる部材の相対位置に押し込まれる。
【0033】
引き続き案内パイプ4が、移行部分4.2がリングディスク3.9に当接するまで(同様にまだバネ3.11を張力下に置かずに)スライドされる。これが
図9に示されている。このときデフレクタパイプ3.1は、内視鏡2内部のその遠位開口部2.2までに留まる。
【0034】
これに対し、案内パイプ4はスリット4.3の設けられたフレキシブルな端部領域をもって、工具部分5も螺旋体5.4によりフレキシブルなその端部領域をもって突き出る。両方のフレキシブルな端部領域は、デフレクタ3のスプーン形の案内区間3.3内で当接し、この案内区間によって片側に湾曲され、案内区間により本来の工具5.3も湾曲され、さらにこの工具はデフレクタ3のスプーン形の案内区間3.3の先端部3.4から遠位方向に突き出る。これによって工具5.3は回転駆動部のスイッチオン後に自由に作動することができ、たとえば脊椎の骨物質内にくり抜きを形成することができる。
【0035】
軸方向の送り運動および工具の軸方向の準備作業は、駆動部のハンドグリップを介して工具部分5を案内パイプ4と共に、バネ作用に抗してバネ3.11を圧縮しながら遠位方向に、内視鏡2に対して相対的に運動すること(
図9から
図10への移行)により行われる。ここではデフレクタパイプ3.1もリングディスク3.9を介して連行される。
【0036】
作業の終了後、デフレクタとして構成された案内部分3は、
図9から
図8への移行時に内視鏡2から再び解離される。この解離は、案内カニューレの引き出しの際にその移行部分4.2がレバー3.7の近位ノーズ3.7aを再び解放し、これにより遠位ノーズ3.13が内視鏡2の周回溝2.7から再び解離されることによって行われ、これにより内視鏡2と案内部分3(デフレクタ)を分離することができる。
【0037】
前記の明細書および図面にも示された個々の構成または個々の特長は、他の個々の構成または個々の特長と関連してのみ本発明の実現に対して重要であるだけでなく、それらの文言的関連で説明した他の個々の特徴または個々の構成との必要な関連性がなくても、個別にも重要である。
【符号の説明】
【0038】
1 外科用工具装置
2 内視鏡
2a 2の把持部分
2.1 作業チャネル
2.2 開口部
2.3 照明インレット
2.4 観察アウトレット
2.5 洗浄インレット
2.6 洗浄アウトレット
2.7 周回溝
3 案内部分、とりわけデフレクタ
3.1 3のパイプ
3.2 3.1の遠位開口部
3.3 案内区間
3.4 先端部
3.5 接続部分
3.6 外套
3.7 レバー
3.7a 3.7の近位ノーズ
3.8 スリーブ
3.9 リングディスク
3.10 ピン
3.11 バネ
3.13 3.7の遠位ノーズ
4 案内カニューレ
4.1 シャフト
4.2 移行部分
4.3 スリット
4.4 溝
5 工具部分
5.1 工具軸
5.2 連結部分
5.3 工具
5.4 螺旋体
X 軸