特許第6164400号(P6164400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000002
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000003
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000004
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000005
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000006
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000007
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000008
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000009
  • 特許6164400-エンジン駆動式空調装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164400
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】エンジン駆動式空調装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/00 20060101AFI20170710BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   F25B27/00 B
   F24F11/02 P
   F24F11/02 102Q
   F24F11/02 105Z
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-38678(P2013-38678)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167355(P2014-167355A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 知晃
(72)【発明者】
【氏名】土浦 雅人
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−264678(JP,A)
【文献】 特開2012−013348(JP,A)
【文献】 特開昭60−239898(JP,A)
【文献】 特開2013−029302(JP,A)
【文献】 特開2010−139161(JP,A)
【文献】 特開2003−042520(JP,A)
【文献】 特開平05−071785(JP,A)
【文献】 特開2002−276516(JP,A)
【文献】 特開2009−236417(JP,A)
【文献】 特開平11−072262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 27/00
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン駆動式空調装置であって、
エンジンと、
前記エンジンの駆動力により空調する空調ユニットと、
前記エンジンの駆動力により発電し、発電した電力を前記空調ユニットの各電気駆動部品に供給する発電機と、
前記発電機により発電された電力を蓄えるバッテリと、
外部電源からの電力供給が可能な通常時に外部電源から電力供給されることにより前記エンジン駆動式空調装置の状態を報知するように構成された第1報知装置と、
外部電源からの電力供給が不可能な非通常時に前記エンジン駆動式空調装置に異常が発生したことによって前記エンジンが停止しているときに前記バッテリから電力供給されることによって前記エンジン駆動式空調装置の状態を報知するように構成された第2報知装置と、
前記非通常時であって前記エンジンが停止しているときに前記バッテリから電力供給されることにより作動する電力供給制御装置と、を備え
前記第2報知装置は、ユーザが操作可能なリセットスイッチを備え、
前記電力供給制御装置は、前記非通常時であって前記エンジン駆動式空調装置に異常が発生したことによって前記エンジンが停止しているときに、前記第2報知装置が前記バッテリから電力供給されることによってその異常を報知するように、前記バッテリの電力供給を制御し、且つ、前記第2報知装置が異常を報知しているときにユーザにより操作された前記リセットスイッチの操作回数が予め定められた上限回数未満である場合には、ユーザが前記リセットスイッチを操作したときに前記第2報知装置による異常の報知が解除され、前記第2報知装置が異常を報知しているときにユーザにより操作された前記リセットスイッチの操作回数が前記上限回数以上である場合には、ユーザが前記リセットスイッチを操作しても前記第2報知装置による異常の報知が解除されないように、前記バッテリの電力供給を制御する、エンジン駆動式空調装置。
【請求項2】
請求項に記載のエンジン駆動式空調装置において、
前記通常時であって前記エンジンが停止しているときに外部電源から電力供給されて駆動することにより前記エンジンを始動させるスタータモータを備え、
前記電力供給制御装置は、前記非通常時であって前記エンジンが停止しているときに前記スタータモータが前記バッテリから電力供給されて駆動することにより前記エンジンが始動するように、前記バッテリの電力供給を制御する、エンジン駆動式空調装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエンジン駆動式空調装置において、
前記電力供給制御装置は、前記非通常時に前記第2報知装置が前記エンジン駆動式空調装置の異常を報知してから所定の時間が経過した場合に、前記バッテリから前記第2報知装置への電力供給を遮断して前記第2報知装置による異常の報知が終了するように、前記バッテリの電力供給を制御する、エンジン駆動式空調装置。
【請求項4】
請求項に記載のエンジン駆動式空調装置において、
前記電力供給制御装置は不揮発性メモリを備え、前記非通常時に前記第2報知装置が前記エンジン駆動式空調装置の異常を報知してから所定の時間が経過した場合に、その異常に関する情報を前記不揮発性メモリに記憶するとともに、自身への前記バッテリからの電力供給を遮断し、その後に前記バッテリから電力供給されたときに、前記不揮発性メモリに記憶された異常に関する情報に基づいて前記第2報知装置が再度異常を報知するように、前記バッテリの電力供給を制御する、エンジン駆動式空調装置。
【請求項5】
請求項に記載のエンジン駆動式空調装置において、
前記電力供給制御装置は、前記第2報知装置が異常を報知していないときには前記バッテリから前記スタータモータへの電力供給を許可し、前記第2報知装置が異常を報知しているときには前記バッテリから前記スタータモータへの電力供給を禁止するように、前記バッテリの電力の供給を制御する、エンジン駆動式空調装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエンジン駆動式空調装置において、
前記第2報知装置は第1異常報知部と第2異常報知部とを備え、
前記電力供給制御装置は、前記非通常時にユーザにより復旧可能な異常が前記エンジン駆動式空調装置に発生したことによって前記エンジンが停止しているときに前記第1異常報知部が前記バッテリから電力供給されることによって異常を報知し、前記非通常時にユーザにより復旧不可能な異常が前記エンジン駆動式空調装置に発生したことによって前記エンジンが停止しているときに前記第2異常報知部が前記バッテリから電力供給されることによって異常を報知するように、前記バッテリの電力供給を制御する、エンジン駆動式空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動式空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンと、このエンジンの駆動力により空調する空調ユニットとを備えるエンジン駆動式空調装置は知られている。また、例えば特許文献1に示すような自立型エンジン駆動式空調装置も知られている。この自立型エンジン駆動式空調装置は、エンジンの駆動力により空調する空調ユニットと、エンジンの駆動力により発電する発電機とを備える。発電機で発電された電力は、電力で駆動する空調ユニットの構成部品(電気駆動部品)に供給される。このため、自立型エンジン駆動式空調装置は商用電源などの外部電源から電力供給されることなく自立して空調運転することができる。したがって、外部電源からの電力の供給が可能な通常時のみならず、停電時等の外部電源からの電力の供給が不可能な非通常時であっても、空調運転を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−301343号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
一般に、エンジン駆動式空調装置は、室内機リモコンを備える。この室内機リモコンは、エンジン駆動式空調装置の異常の発生や温度設定の状態等の、各種の状態を報知する機能や、ユーザの操作指示を入力する機能を有する。自立型エンジン駆動式空調装置においては室内機リモコンに発電機から電力を供給することは難しいので、室内機リモコンには外部電源から電力供給される。つまり、自立型エンジン駆動式空調装置であっても、室内機リモコンを作動させるためには外部電源からの電力を頼らざるを得ない。このため、停電時等の外部電源からの電力供給が不可能な非通常時に自立型エンジン駆動式空調装置が空調運転しているときは、室内機リモコンでその状態を報知することができず、それ故、ユーザは自立型エンジン駆動式空調装置の状態を確認することができない。特に、非通常時の空調運転中に異常が発生してエンジン駆動式空調装置の運転が停止された場合に室内機リモコンで異常を報知することができないので、ユーザは異常により運転が停止したのか、それとも正常に運転が停止したのか、認識することができない。
【0005】
本発明は、商用電源などの外部電源からの電力供給が不可能な非通常時でも、ユーザがその状態を確認することができる自立型エンジン駆動式空調装置を提供することを目的とする。
【0006】
(課題を解決するための手段)
本発明は、エンジン駆動式空調装置であって、エンジンと、エンジンの駆動力により空調する空調ユニットと、エンジンの駆動力により発電し、発電した電力を空調ユニットの各電気駆動部品に供給する発電機と、発電機により発電された電力を蓄えるバッテリと、外部電源からの電力供給が可能な通常時に外部電源から電力供給されることによりエンジン駆動式空調装置の状態を報知するように構成された第1報知装置と、外部電源からの電力供給が不可能な非通常時にバッテリから電力供給されることによってエンジン駆動式空調装置の状態を報知するように構成された第2報知装置と、非通常時であってエンジンが停止しているときにバッテリから電力供給されることにより作動する電力供給制御装置と、を備え、第2報知装置は、ユーザが操作可能なリセットスイッチを備え、電力供給制御装置は、非通常時であってエンジン駆動式空調装置に異常が発生したことによってエンジンが停止しているときに、第2報知装置がバッテリから電力供給されることによってその異常を報知するように、バッテリの電力供給を制御し、且つ、第2報知装置が異常を報知しているときにユーザにより操作されたリセットスイッチの操作回数が予め定められた上限回数未満である場合には、ユーザがリセットスイッチを操作したときに第2報知装置による異常の報知が解除され、第2報知装置が異常を報知しているときにユーザにより操作されたリセットスイッチの操作回数が上限回数以上である場合には、ユーザがリセットスイッチを操作しても第2報知装置による異常の報知が解除されないように、バッテリの電力供給を制御する、エンジン駆動式空調装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、商用電源などの外部電源からの電力供給が不可能な非通常時、特に非通常時であってエンジンの停止時に、第2報知装置がバッテリから電力供給されることにより作動してエンジン駆動式空調装置の異常等の状態を報知する。このためユーザは、非通常時、特に非通常時であってエンジン駆動式空調装置に異常が発生してエンジンが停止しているときに、エンジン駆動式空調装置の異常の有無等の状態を確認することができる。
【0009】
また、本発明のエンジン駆動式空調装置は、通常時であってエンジンが停止しているときに外部電源から電力供給されて駆動することによりエンジンを始動させるスタータモータを備え、電力供給制御装置は、非通常時であってエンジンが停止しているときにスタータモータがバッテリから電力供給されて駆動することによりエンジンが始動するように、バッテリの電力供給を制御するとよい。
【0010】
自立型エンジン駆動式空調装置において、エンジンの始動時は発電機が発電していないので、エンジンを始動させるためのスタータモータに発電機から電力を供給することができない。したがって、通常時にはスタータモータは外部電源から電力供給されて駆動して、エンジンが始動される。しかし、停電時等の非通常時には外部電源を用いてスタータモータを駆動させることができない。これに対し、本発明によれば、非通常時であってエンジンが停止しているときに、スタータモータがバッテリから電力供給されて駆動することによりエンジンが始動するように、電力供給制御装置がバッテリの電力供給を制御する。このため非通常時であってエンジンが停止している場合に、バッテリからの電力供給によってエンジン駆動式空調装置の運転を開始することができる。
【0011】
また、電力供給制御装置は、非通常時に第2報知装置がエンジン駆動式空調装置の異常を報知してから所定の時間が経過した場合に、バッテリから第2報知装置への電力供給を遮断して第2報知装置による異常の報知が終了するように、バッテリの電力供給を制御するのがよい。これによれば、第2報知装置が異常を報知している時間が制限されるので、第2報知装置がバッテリから電力供給を受けて異常を報知するための電力消費を抑えることができる。よって、バッテリ上がりを防止することができる。
【0012】
この場合において、電力供給制御装置は不揮発性メモリを備えるのがよい。そして、電力供給制御装置は、非通常時に第2報知装置がエンジン駆動式空調装置の異常を報知してから所定の時間が経過した場合に、その異常に関する情報を不揮発性メモリに記憶するとともに、自身へのバッテリからの電力供給を遮断し、その後にバッテリから電力供給されたときに、不揮発性メモリに記憶された異常に関する情報に基づいて第2報知装置が再度異常を報知するように、前記バッテリの電力供給を制御するのがよい。これによれば、第2報知装置がエンジン駆動式空調装置の異常を報知してから所定時間経過時に電力供給制御装置が自身へのバッテリからの電力供給を遮断するので、電力供給制御装置を作動させるための電力消費を抑えることができる。また、電力供給の遮断後に電力供給制御装置にバッテリから電力供給されたときに不揮発性メモリに記憶しておいた異常に関する情報を読み出して、第2報知装置により再度異常が報知されるので、ユーザはエンジン駆動式空調装置の異常をいつでも確認することができる。
【0013】
また、第2報知装置は、ユーザが操作可能なリセットスイッチを備える。そして、電力供給制御装置は、第2報知装置が異常を報知しているときにユーザにより操作されたリセットスイッチの操作回数が予め定められた上限回数未満である場合には、ユーザがリセットスイッチを操作したときに第2報知装置による異常の報知が解除され、第2報知装置が異常を報知しているときにユーザにより操作されたリセットスイッチの操作回数が上限回数以上である場合には、ユーザがリセットスイッチを操作しても第2報知装置による異常の報知が解除されないように、バッテリの電力供給を制御する。この場合において、電力供給制御装置は、第2報知装置が異常を報知していないときにはバッテリからスタータモータへの電力供給を許可し、第2報知装置が異常を報知しているときにはバッテリからスタータモータへの電力供給を禁止するように、バッテリの電力供給を制御するとよい。
【0014】
リセットスイッチの操作によって異常の報知が解除されることによって第2報知装置が異常を報知していないときは、バッテリからスタータモータへの電力供給が許可されるので、エンジン駆動式空調装置のエンジンは始動可能である。この場合において、異常が本質的に解消されていればエンジンの始動は成功するが、異常が本質的に解消されていなければ、その異常が原因でエンジンの始動は失敗する。非通常時におけるエンジンの始動時にはバッテリからスタータモータに電力が供給されるので、本質的に異常が解消されていないまま始動が何度も試みられた場合、バッテリに蓄えられている電力が多大に且つ無駄に消費される。これに対し、本発明においてはリセット回数が上限回数以上であるときにはリセットスイッチを操作しても異常の報知が解除されない。そのためリセットスイッチを操作しても第2報知装置が異常を報知したままの状態とされる。第2報知装置が異常を報知しているときはバッテリからスタータモータへの電力の供給は禁止されるためにスタータモータが駆動せず、エンジンは始動しない。すなわち本発明によれば、異常解除後のエンジンの始動回数に上限が設定される。このため、何度もエンジンの始動が試みられることによるバッテリ電力の多大且つ無駄な消費を抑えることができ、ひいてはバッテリ上がり(バッテリの完全放電)を効果的に防止できる。
【0015】
また、第2報知装置は第1異常報知部と第2異常報知部とを備えるのがよい。そして、電力供給制御装置は、非通常時にユーザにより復旧可能な異常がエンジン駆動式空調装置に発生したことによってエンジンが停止しているときに第1異常報知部がバッテリから電力供給されることによって異常を報知し、非通常時にユーザにより復旧不可能な異常がエンジン駆動式空調装置に発生したことによってエンジンが停止しているときに第2異常報知部がバッテリから電力供給されることによって異常を報知するように、バッテリの電力供給を制御するのがよい。これによれば、ユーザは、非通常時に第1異常報知部が異常を報知した場合にユーザ自身によって復旧可能な異常が発生したことを認識でき、非通常時に第2異常報知部が異常を報知した場合にユーザでは復旧不可能な異常が発生したことを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るエンジン駆動式空調装置の構成を示す概略図である。
図2】外部装置を示す図である。
図3】通常時において、エンジン駆動式空調装置を運転させる場合における運転開始ルーチンを示す図である。
図4】コントローラが実行するエンジン停止処理ルーチンを示すフローチャートである。
図5】コントローラが実行する非通常時復帰処理ルーチンを示すフローチャートである。
図6】コントローラが実行する非通常時異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。
図7】コントローラが実行する非通常時異常フラグ分類処理ルーチンを示すフローチャートである。
図8】コントローラが実行する非通常時異常報知処理ルーチンを示すフローチャートである。
図9】コントローラが実行する異常ランプ復元処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るエンジン駆動式空調装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、このエンジン駆動式空調装置1は、ガスエンジン10と、空調ユニット20と、室内機リモコン28と、発電機30と、バッテリ40と、外部装置50と、コントローラ60と、スタータモータ70とを備える。
【0018】
ガスエンジン10はガス配管11からガス燃料の供給を受けて駆動する。このガスエンジン10は出力軸12を備え、出力軸12からガスエンジン10の駆動力が外部に取り出される。ガスエンジン10は、スタータモータ70によって始動するように構成される。
【0019】
空調ユニット20は、コンプレッサ21と、冷媒配管22と、室内熱交換器23と、室外熱交換器24と、膨張弁25と、四方切換弁26と、アキュムレータ27とを備える。室内熱交換器23、室外熱交換器24、膨張弁25、四方切換弁26は冷媒配管22の途中に介装される。冷媒配管22内を冷媒が流通する。
【0020】
コンプレッサ21は、ガスエンジン10の出力軸12に動力伝達可能に連結した入力軸211を有し、ガスエンジン10の駆動力によって駆動される。コンプレッサ21は吸入口21aおよび吐出口21bを有する。コンプレッサ21が駆動した場合、吸入口21aから冷媒配管22中の低圧ガス冷媒を吸入し、吸入した低圧ガス冷媒を内部で圧縮するとともに、圧縮にした高圧ガス冷媒を吐出口21bから冷媒配管22に吐出する。
【0021】
室内熱交換器23および室外熱交換器24は、それぞれ冷媒配管22内の冷媒を導入するとともに、導入した冷媒と周囲空気とを熱交換させる。図1からわかるように、室内熱交換器23と室外熱交換器24とをつなぐ冷媒配管22の途中に膨張弁25が介装される。膨張弁25は冷媒配管22内の冷媒を膨張させる。
【0022】
四方切換弁26にはそれぞれ独立した2つの通路が内部に形成される。この四方切換弁26は、暖房接続状態と冷房接続状態とを選択的に切り換えることができるように構成される。四方切換弁26が暖房接続状態であるときは、コンプレッサ21の吐出口21bと室内熱交換器23とが四方切換弁26に形成された一方の通路で連通され、コンプレッサ21の吸入口21aと室外熱交換器24とが四方切換弁26に形成された他方の通路で連通される。一方、四方切換弁26が冷房接続状態であるときは、コンプレッサ21の吐出口21bと室外熱交換器24とが四方切換弁26に形成された一方の通路で連通され、コンプレッサ21の吸入口21aと室内熱交換器23とが四方切換弁26に形成された他方の通路で連通される。暖房運転時に四方切換弁26は暖房接続状態とされ、冷房運転時に四方切換弁26は冷房接続状態とされる。
【0023】
空調ユニット20の暖房運転および冷房運転について簡単に説明する。まず、暖房運転について説明する。コンプレッサ21がガスエンジン10により駆動されると、吸入口21aから低圧ガス冷媒がコンプレッサ21に吸入されるとともに吸入された低圧ガス冷媒が圧縮される。そして圧縮された高圧ガス冷媒が吐出口21bから吐出される。吐出口21bから吐出された高圧ガス冷媒は四方切換弁26を経由して室内熱交換器23に導入される。室内熱交換器23に導入された高圧ガス冷媒は室内熱交換器23内を流通する間に室内空気に熱を吐き出して凝縮する。このとき高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内暖房される。
【0024】
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化して室内熱交換器23から排出される。そして、膨張弁25で膨張することにより低圧化された後に室外熱交換器24に導入される。室外熱交換器24に導入された冷媒は室外熱交換器24内を流通する間に外気の熱を奪って一部蒸発する。
【0025】
外気の熱を奪って一部蒸発した冷媒は室外熱交換器24から排出され、四方切換弁26を経由してアキュムレータ27に供給される。アキュムレータ27では冷媒が液冷媒と低圧のガス冷媒とに分離される。そして、低圧ガス冷媒のみがコンプレッサ21の吸入口21aからコンプレッサ21に帰還する。
【0026】
次に、冷房運転について説明する。コンプレッサ21がガスエンジン10により駆動されると、コンプレッサ21の吐出口21bから高圧ガス冷媒が吐出される。吐出口21bから吐出された高圧ガス冷媒は四方切換弁26を経由して室外熱交換器24に導入される。室外熱交換器24に導入された高圧ガス冷媒は室外熱交換器24内を流通する間に外気に熱を吐き出して凝縮する。
【0027】
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化して室外熱交換器24から排出される。そして、膨張弁25で膨張することにより低圧化された後に室内熱交換器23に導入される。室内熱交換器23に導入された冷媒は室内熱交換器23内を流通する間に室内空気の熱を奪って一部蒸発する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内冷房される。
【0028】
室内空気の熱を奪って一部蒸発した冷媒は室内熱交換器23から排出され、四方切換弁26を経由してアキュムレータ27に供給される。そして、低圧ガス冷媒のみがコンプレッサ21の吸入口21aからコンプレッサ21に帰還する。
【0029】
上記の説明のように、暖房時においても冷房時においても、空調ユニット20はガスエンジン10の駆動力により空調する。
【0030】
空調ユニット20は、上記の構成以外にも様々な構成部品、例えば室内熱交換器用ファン231や、室外熱交換器用ファン241、を有する。室内熱交換器用ファン231、室外熱交換器用ファン241は、電力の供給を受けることにより駆動される。また、四方切換弁26も電力の供給を受けることにより切換作動する。さらに、膨張弁25の開度も電力の供給を受けることにより調整される。以下の説明において、空調ユニット20の構成部品であって電力の供給を受けることにより駆動する部品を電気駆動部品と呼ぶ。
【0031】
発電機30は、ガスエンジン10の出力軸12に動力伝達可能に連結した入力軸31を有し、ガスエンジン10の駆動力によって発電する。発電機30は上述した電気駆動部品、、バッテリ40およびコントローラ60に電気的に接続される。バッテリ40は発電機30で発電された電力を蓄える。このバッテリ40は、外部装置50、コントローラ60、およびスタータモータ70に電気的に接続され、これらに電力を供給することができるように構成される。
【0032】
外部装置(第2報知装置)50はバッテリ40、コントローラ60および商用電源Cに電気的に接続される。外部装置50は、後述する非通常時にバッテリ40から供給される電力を用いて作動し、非通常時におけるユーザからの運転指令を入力する機能や、非通常時におけるエンジン駆動式空調装置1の運転状態、特に非通常時にエンジン駆動式空調装置1に異常が発生していることを報知する機能等を有する。図2は外部装置50を示す図である。図2に示すように、外部装置50には、起動スイッチ51、停止スイッチ52、リセットスイッチ53、第1異常ランプ(第1異常報知部)54および第2異常ランプ(第2異常報知部)55が設けられている。起動スイッチ51、停止スイッチ52およびリセットスイッチ53はユーザが押圧操作可能な押しボタン式スイッチである。非通常時にエンジン駆動式空調装置1の運転を開始する場合に、ユーザは起動スイッチ51を押圧操作(オン操作)する。また、非通常時にエンジン駆動式空調装置1の運転を停止する場合に、ユーザは停止スイッチを押圧操作(オン操作)する。第1異常ランプ54および第2異常ランプ55は例えばLEDにより構成されており、非通常時にエンジン駆動式空調装置1に異常が発生した場合に点灯する。この外部装置50は、例えば家屋に設けられている分電盤から分岐して家屋内に設置されていてもよい。
【0033】
図1に示すように、室内機リモコン(第1報知装置)28は商用電源(外部電源)Cに電気的に接続されており、商用電源Cから電力が供給されることによって作動する。この室内機リモコン28は、エンジン駆動式空調装置1の運転の開始および停止の指示や、空調条件等の設定を行うことができるように構成される。そして、設定された条件がコントローラ60に受信できるように、室内機リモコン28がコントローラ60と通信可能に構成される。また、室内機リモコン28は、後述する通常時にエンジン駆動式空調装置1に異常が発生した場合に、その異常を表すコード(異常コード)を表示して異常を報知する機能を有する。
【0034】
スタータモータ70は上述したようにバッテリ40に電気的に接続されるとともに、商用電源Cにも電気的に接続される。したがってスタータモータ70は、商用電源Cあるいはバッテリ40から電力供給されて駆動して、ガスエンジン10を始動させる。なお、商用電源Cとバッテリ40の双方から電力供給が可能であるときは、スタータモータ70は商用電源Cからの電力供給されて駆動する。
【0035】
コントローラ60は、発電機30、バッテリ40、外部装置50および商用電源Cに電気的に接続される。コントローラ60は、室内機リモコン28で設定された条件や、エンジン駆動式空調装置1に備えられている各種センサからの情報に基づいてエンジン駆動式空調装置1を制御するとともに、バッテリ40に蓄えられた電力の供給を制御する。また、コントローラ60は、不揮発性メモリ61を有している。コントローラ60は、エンジン駆動式空調装置1の運転中は発電機30から電力供給されて作動する。エンジン駆動式空調装置1の運転停止中(ガスエンジン10の停止中)は、商用電源Cによる電力供給が可能なときには商用電源Cから電力の供給を受けて作動し、商用電源Cによる電力供給が不可能なときにはバッテリ40から電力供給されて作動する。
【0036】
ここで、商用電源Cによる電力供給が可能な状態を通常状態、商用電源Cによる電力供給が可能な時を通常時と呼ぶ。一方、商用電源Cによる電力供給が不可能な状態、例えば停電状態を非通常状態、商用電源Cによる電力供給が不可能な時、例えば停電時を非通常時と呼ぶ。
【0037】
図3は、通常時にエンジン駆動式空調装置1の運転を開始する場合におけるフローチャートを示す図である。通常時にエンジン駆動式空調装置1の運転を開始させる場合、まず、図3のステップ(以下、Sと略記する)1に示すように、ユーザが室内機リモコン28の起動スイッチを押圧操作(オン操作)して、起動信号をコントローラ60に送信する。すると、商用電源Cから電力供給を受けて起動しているコントローラ60はスタータモータ70に駆動信号を出力する。通常時にスタータモータ70が駆動信号を受けた場合、商用電源Cからスタータモータ70に電力供給される(S2)。スタータモータ70は商用電源Cから電力供給されることにより駆動する。スタータモータ70の駆動によってガスエンジン10が始動する(S3)。ガスエンジン10が一旦始動すれば、後はガス燃料の供給により駆動が継続されるため、スタータモータ70を駆動させる必要はない。よって、商用電源Cからスタータモータ70への電力供給が停止する(S4)。
【0038】
S3にてガスエンジン10が始動されると、ガスエンジン10に動力伝達可能に連結されたコンプレッサ21が駆動される(S5)。コンプレッサ21が駆動することによって、冷媒配管22中を冷媒が流れて空調運転が開始される。また、S3にてガスエンジン10が始動されると、ガスエンジン10に動力伝達可能に連結された発電機30も駆動して発電する(S6)。発電機30で発電された電力は、バッテリ40に蓄電されるとともに各電気駆動部品に供給される(S7)。また、コントローラ60への供給電源が商用電源Cから発電機30に切り換わり、発電機30からコントローラ60に電力供給される(S8)。発電機30から各電気駆動部品やコントローラ60に電力供給することで、エンジン駆動式空調装置1の空調運転が継続される。つまり、通常時には、ガスエンジン10の始動にのみ商用電源Cから電力供給され、始動後は発電機30がエンジン駆動式空調装置1の運転に必要な電力を賄う。なお、通常時には、商用電源Cから電力供給が可能であるので、ガスエンジン10が始動して発電機30で発電されているときであっても、商用電源Cからコントローラ60や各電気駆動部品に電力供給してもよい。
【0039】
通常時にエンジン駆動式空調装置1が空調運転しているとき、あるいは通常時にエンジン駆動式空調装置1の運転を開始するときに、エンジン駆動式空調装置1に異常が発生した場合には、ガスエンジン10の駆動が停止されるとともに、商用電源Cから電力供給されている室内機リモコン28に異常コードが表示される。異常コードの表示によって、ユーザに異常が報知される。
【0040】
また、上述のようにしてエンジン駆動式空調装置1が空調運転を開始した後は、発電機30の電力によって空調運転に必要な電力が賄われるので、例えば停電等によって商用電源Cからの電力供給が途絶えた場合であっても空調運転を継続することはできる。しかしながら、商用電源Cからの電力供給が途絶えた場合には、何らかの異常が生じている可能性がある。したがって、本実施形態に係るエンジン駆動式空調装置1は、商用電源Cからの電力供給が可能な通常時から不可能な非通常時に変化した際にガスエンジン10を緊急停止させるように構成される。ガスエンジン10の停止処理は、通常時にコントローラ60が図4に示すエンジン停止処理ルーチンを実行することにより達成される。このルーチンは、通常時の空調運転中に所定の微小間隔で繰り返し実行される。
【0041】
エンジン停止処理ルーチンが起動すると、コントローラ60は、まず図4のS11にて、商用電源Cからの電力供給が不可能であるか否かを判断する。この判断は、例えば室内機リモコン28が商用電源Cからの電力の供給を受けて作動可能な状態であるか否か、あるいはコントローラ60自身が商用電源Cからの電力供給により作動しているか否か、に基づいてなされてもよい。
【0042】
S11にて商用電源Cからの電力供給が可能である、すなわち通常状態であると判断されたとき(S11:No)は、コントローラ60は停電フラグF1を0に設定する(S15)。そして、このルーチンを一旦終了する。一方、S11にて商用電源Cからの電力供給が不可能であると判断されたとき(S11:Yes)は、コントローラ60は停電フラグF1を1に設定する(S12)。続いて、ガスエンジン10を緊急停止させる(S13)。なお、ガスエンジン10の停止により発電機30による発電も停止されるので、コントローラ60への発電機30からの電力供給も遮断されるが、ガスエンジン10の停止と同時にコントローラ60にはバッテリ40から電力供給される。そのためコントローラ60の作動は継続される。次いで、コントローラ60は、バッテリ40が外部装置50に電力供給することによって外部装置50が作動するように、バッテリ40の電力供給を制御する(S14)。その後、このルーチンを一旦終了する。なお、S13にてガスエンジン10が停止した場合に、外部装置50が自動的にバッテリ40から電力供給されるように構成されている場合は、S14の処理は必要ない。
【0043】
停電フラグF1は、商用電源Cによる電力供給が可能か否かを表すフラグであり、F1が0に設定されている場合は商用電源Cによる電力供給が可能であることを表し、F1が1に設定されている場合は商用電源Cによる電力供給が不可能であることを表す。
【0044】
上記のように、商用電源Cからの電力供給が可能な通常状態から不可能な非通常状態に変化したときは、ガスエンジン10が緊急停止するため、エンジン駆動式空調装置1による空調運転も停止する。ユーザは、エンジン駆動式空調装置1を点検し、異常が発生していないことを確認した上で、空調運転を再開させる。この場合において、非通常時には室内機リモコン28が商用電源Cから電力供給されないので、室内機リモコン28の起動スイッチを操作しても、起動信号がコントローラ60に送信されない。したがって、ユーザは、外部装置50に設けられている起動スイッチ51を押圧操作(オン操作)する。外部装置50はコントローラ60に電気的に接続されているので、外部装置50の起動スイッチ51の押圧操作はコントローラ60に認識される。コントローラ60は、起動スイッチ51が押圧操作されたことを確認した後に、非通常時復帰処理ルーチンを実行することにより、非通常時における空調運転を再開させる。
【0045】
図5は、コントローラ60が実行する非通常時異常復帰処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、非通常時であり、バッテリ40からコントローラ60に電力供給されており、且つガスエンジン10が停止中であるときに、外部装置50の起動スイッチ51が押圧操作(オン操作)されることにより起動する。非通常時異常復帰処理ルーチンが起動すると、コントローラ60は、まず図5のS21にて、異常ランプ(第1異常ランプ54または第2異常ランプ55)が消灯しているか否か、すなわちこれらの異常ランプが点灯して異常が報知されていないか否か、を判断する。異常ランプが点灯している場合(S21:No)、エンジン駆動式空調装置1を空調運転させずにこのルーチンを終了する。一方、異常ランプが点灯していない場合(S21:Yes)、コントローラ60はS22に処理を進め、バッテリ40からスタータモータ70に電力が供給されるように、バッテリ40の電力供給を制御する。これによりスタータモータ70が駆動して、ガスエンジン10を始動させる。
【0046】
非通常時にガスエンジン10が始動されると、ガスエンジン10に動力伝達可能に連結された発電機30も作動して発電する。発電機30で発電された電力は、バッテリ40に蓄電されるとともに各電気駆動部品に供給される。また、コントローラ60への供給電源もバッテリ40から発電機30に切り換わる。発電機30から各電気駆動部品およびコントローラ60に電力を供給することで、エンジン駆動式空調装置1の空調運転が継続される。つまり、非通常時には、ガスエンジン10の始動にのみバッテリ40からの電力の供給を受け、始動後は発電機30がエンジン駆動式空調装置1の運転に必要な電力を賄う。
【0047】
S21にてバッテリ40からスタータモータ70に電力を供給させた後に、コントローラ60は、S23にて、ガスエンジン10の始動が成功したか否かを判断する。始動が成功している場合(S23:Yes)、それ以降はガスエンジン10はガス燃料の供給によって駆動を継続するため、スタータモータ70への電力供給は必要ない。このためコントローラ60はS24にてバッテリ40からスタータモータ70への電力の供給が停止されるように、バッテリ40の電力供給を制御する。
【0048】
一方、例えば停電時等にガス配管11の流量調整弁111が閉弁した場合などは、ガスエンジン10にガス燃料が供給されないのでガスエンジン10は始動しない。このような始動失敗時(S23:No)はコントローラ60はS25に処理を進め、後述する異常フラグF2を1に設定する。その後、このルーチンを一旦終了する。なお、始動が成功したか否かは、例えばガスエンジン10の回転数を監視することでコントローラ60に認識される。
【0049】
上記のように、非通常時であってガスエンジン10が停止しているときにユーザが外部装置50の起動スイッチ51を押圧操作(オン操作)した場合、コントローラ60は、非通常時復帰処理ルーチンの実行により、スタータモータ70がバッテリ40からの電力供給を受けて駆動してガスエンジン10が始動するように、バッテリ40のスタータモータ70への電力供給を制御する。こうして非通常時に運転されたエンジン駆動式空調装置1の運転を停止する場合には、ユーザが外部装置50の停止スイッチ52を押圧操作(オン操作)する。停止スイッチ52の押圧操作によって、エンジン駆動式空調装置1の運転が停止される。
【0050】
また、コントローラ60は、非通常時復帰処理の実行によりガスエンジン10の駆動を開始するとともに、非通常時異常検出処理を所定の微小間隔ごとに実行する。図6は、コントローラ60が実行する非通常時異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。非通常時異常検出処理ルーチンが起動すると、コントローラ60は、まず図6のS31にて、停電フラグF1が1に設定されているか否かを判断する。停電フラグF1が1に設定されていない場合(S31:No)、すなわち通常状態である場合は、このルーチンを終了する。一方、停電フラグF1が1に設定されている場合(S31:Yes)、すなわち非通常状態である場合は、コントローラ60はS32に処理を進め、エンジン駆動式空調装置1に異常が発生していないか否かを、エンジン駆動式空調装置1の各所に備えられているセンサから入力される情報に基づいて判断する。異常が発生していないと判断した場合(S32:No)、コントローラ60はS36に処理を進めて異常フラグF2を0に設定し、その後このルーチンを一旦終了する。一方、異常が発生していると判断した場合(S32:Yes)、コントローラ60はS33に処理を進めて異常フラグF2を1に設定する。ここで、異常フラグF2は、非通常時にエンジン駆動式空調装置1に異常が発生したか否かを表すフラグであり、0に設定されているときは異常が発生していないことを表し、1に設定されているときは異常が発生していることを表す。
【0051】
S33にて異常フラグF2を1に設定した後は、コントローラ60はガスエンジン10が駆動中であるか否かを判断する(S34)。ガスエンジン10が駆動している場合(S34:Yes)、つまり非通常時の空調運転中に異常が発生した場合、コントローラ60はS35に処理を進め、ガスエンジン10を緊急停止させる。その後、このルーチンを一旦終了する。一方、ガスエンジン10が駆動していない場合(S34:No)、例えばガスエンジン10の始動失敗などの異常が発生している場合、S35の処理を飛ばしてこのルーチンを一旦終了する。このような非通常時異常検出処理をコントローラ60が実行することによって、非通常時に異常が発生したときは、ガスエンジン10が緊急停止する(またはガスエンジン10が始動しない)とともに、異常フラグF2が1に設定される。
【0052】
また、コントローラ60は、非通常時異常検出処理で異常が発生していると判断した場合(S32:Yes)、非通常時異常フラグ分類処理を実行する。図7は、コントローラ60が実行する非通常時異常フラグ分類処理ルーチンを示すフローチャートである。非通常時異常フラグ分類処理ルーチンが起動すると、コントローラ60は、まず、図7のS41にて、発生した異常がユーザにより復旧可能な異常であるか否かを判断する。この場合において、コントローラ60は、各種センサからの入力情報に基づいて、どのような異常が発生しているかを分析し、分析した結果に基づいて、その異常がユーザにより復旧可能な異常であるのか、専門業者でないと復旧できない異常(つまりユーザにより復旧不可能な異常)であるのかを判断する。
【0053】
発生した異常がユーザにより復旧可能な異常である場合(S41:Yes)、コントローラ60は第1異常フラグF21を1に設定する(S42)。その後、このルーチンを終了する。一方、発生した異常がユーザにより復旧不可能な異常であると判断された場合(S41:No)、コントローラ60は第2異常フラグF21を1に設定する(S43)。その後、このルーチンを終了する。ここで、第1異常フラグF21は、ユーザにより復旧可能な異常が発生しているか否かを表すフラグであり、0に設定されているときはユーザにより復旧可能な異常が発生していないことを表し、1に設定されているときはユーザにより復旧可能な異常が発生していることを表す。第2異常フラグF22は、ユーザにより復旧不可能な異常が発生しているか否かを表すフラグであり、0に設定されているときはユーザにより復旧不可能な異常が発生していないことを表し、1に設定されているときはユーザにより復旧不可能な異常が発生していることを表す。
【0054】
また、コントローラ60は、非通常時異常フラグ分類処理を実行した後に、非通常時異常報知処理を実行する。図8は、コントローラ60が実行する非通常時異常報知処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、コントローラ60は、まず図8のS51にて、第1異常フラグF21が1に設定されているか否かを判断する。第1異常フラグF21が1に設定されている場合(S51:Yes)、すなわちユーザにより復旧可能な異常が発生している場合、コントローラ60は第1異常信号を外部装置50に出力する(S52)。また、第1異常フラグF21が0に設定されている場合(S51:No)、第2異常フラグF22が1に設定されているということであるので、コントローラ60は第2異常信号を外部装置50に出力する(S53)。
【0055】
S52にてコントローラ60が第1異常信号を外部装置50に出力した場合、外部装置50の第1異常ランプ54にバッテリ40の電力が供給されて、第1異常ランプ54が点灯する。つまり、コントローラ60は、非通常時にユーザにより復旧可能な異常がエンジン駆動式空調装置1に発生してガスエンジン10が停止しているときに、第1異常ランプ54がバッテリ40から電力供給されて点灯することによってユーザにより復旧可能な異常が発生していることを報知するように、バッテリ40の電力供給を制御する。
【0056】
一方、S53にてコントローラ60が第2異常信号を外部装置50に出力した場合、外部装置50の第2異常ランプ55にバッテリ40の電力が供給されて、第2異常ランプ55が点灯する。つまり、コントローラ60は、非通常時にユーザにより復旧不可能な異常がエンジン駆動式空調装置1に発生してガスエンジン10が停止しているときに、第2異常ランプ55がバッテリ40から電力供給されて点灯することによってユーザにより復旧不可能な異常が発生していることを報知するように、バッテリ40の電力供給を制御する。
【0057】
したがって、ユーザは、第1異常ランプ54が点灯しているときには、ユーザにより復旧可能な異常が発生していることを認識することができ、第2異常ランプ55が点灯しているときには、ユーザにより復旧不可能な異常が発生していることを認識できる。第1異常ランプ54が点灯している場合は、ユーザ自身がエンジン駆動式空調装置1を点検して異常を解消する。一方、第2異常ランプ55が点灯している場合は、ユーザは専門業者に連絡する。そして、連絡を受けた専門業者が異常を解消する。
【0058】
S52またS53にて第1異常信号または第2異常信号を出力した後は、コントローラはS54に処理を進め、タイマーによる時間計測を開始する。次いで、タイマーによる計測時間Tが基準時間T0未満であるか否かを判断する(S55)。基準時間T0は、例えばコントローラ60が有する不揮発性メモリ61に設定されたスイッチなどによって、あるいはユーザが入力することによって、任意に設定できる。基準時間T0は例えば5分に設定できる。S55の判断時に計測時間Tが基準時間T0に達していない場合(S55:Yes)は、コントローラ60はS56に処理を進め、外部装置50のリセットスイッチ53が押圧操作(オン操作)されたか否かを判断する。このリセットスイッチ53は、ユーザあるいは専門業者が異常を解消したときに、異常ランプ(第1異常ランプ54または第2異常ランプ)を消灯させるために押圧操作する。
【0059】
S56にてリセットスイッチ53が押圧操作されていないと判断した場合(S56:No)、コントローラ60はS55に処理を戻す。一方、S56にてリセットスイッチ53が押圧操作されたと判断した場合(S56:Yes)、コントローラ60はS57に処理を進める。S57では、コントローラ60は、予め定められた設定時間Ts以内にリセットスイッチ53が押圧操作(オン操作)された回数(累積リセット回数)Nが上限回数N0未満であるか否かを判断する。設定時間Tsおよび上限回数N0は、発生した異常の種類に応じて様々に設定することができる。この場合、例えばコントローラ60に、異常の種類と設定時間Tsおよび上限回数N0との対応テーブルを予め記憶させておいてもよい。設定時間Tsが例えば5分であり、上限回数N0が例えば3回であった場合、S57では、直近の5分以内にリセットスイッチ53が押圧操作された回数が3回未満であるか否かを判断する。
【0060】
S57にて累積リセット回数Nが上限回数N0未満であると判断された場合(S57:Yes)、コントローラ60はS58に処理を進め、異常フラグを初期化する。すなわち、異常フラグF2、第1異常フラグF21および第2異常フラグF22が全て0に設定される。次いで、異常解除信号を外部装置50に出力する(S59)。外部装置50は異常解除信号を入力した場合、点灯している異常ランプ(第1異常ランプ54または第2異常ランプ55)を消灯する。つまり、コントローラ60は、累積リセット回数Nが上限回数N0未満であるときは、S59の処理を実行することにより、第1異常ランプ54または第2異常ランプ55による異常の報知が解除されるように、バッテリ40の電力の供給を制御する。その後、コントローラ60はこのルーチンを終了する。
【0061】
また、S54にてタイマーTの計測が開始された後にリセットスイッチ53が押圧操作されないまま計測時間Tが基準時間T0に達したときは、S55の判断結果がNoとなって、コントローラ60はS55からS60に処理を進める。また、基準時間T0以内にリセットスイッチ53が押圧操作された場合(S56:Yes)であってもS57で累積リセット回数Nが上限回数N0以上と判断されたとき(S57:No)は、コントローラ60は処理をS55に戻す。このため、やがて計測時間Tが基準時間T0に達し、S55の判断結果がNoとなって、コントローラ60はS55からS60に処理を進める。S60では、コントローラ60は、内部の不揮発性メモリ61に異常フラグ(異常フラグF2、第1異常フラグF21、第2異常フラグF22)の現在の設定状態を記録する。その後、コントローラ60は、バッテリ40からの外部装置50およびコントローラ60への電力供給が遮断されるように、バッテリ40の電力の供給を制御する(S61)。これによりコントローラ60自身への電力供給が遮断される。また外部装置50への電力供給も遮断されるので、点灯していた異常ランプも消灯する。このようにしてバッテリ40からの電力供給が遮断された場合は、S59にて異常解除信号が出力されていない。したがって、第1異常ランプ54または第2異常ランプ55による異常の報知は解除されていない。つまり、異常の報知が解除されないまま、第1異常ランプ54または第2異常ランプ55が電源喪失によって強制的に消灯される。これにより、異常ランプが長時間点灯していることによるバッテリ40からの電力供給量の増大を抑えることができる。
【0062】
上述の非通常時異常報知処理によれば、第1異常ランプ54または第2異常ランプ55が点灯してから基準時間T0以内にリセットスイッチ53が押圧操作され且つ累積リセット回数Nが上限回数N0未満であるときに限り、異常フラグ(F2、F21、F22)が初期化されるとともに、異常の報知が解除されて点灯していた異常ランプが消灯する。こうして異常ランプが消灯しているときに、ユーザが外部装置50の起動スイッチ51を押圧操作(オン操作)してコントローラ60が図5に示す非通常時復帰処理を実行した場合、図5のS21の判断結果がYesとなるので、次のS22にてバッテリ40からスタータモータ70に電力供給される。つまり、コントローラ60は、異常ランプが消灯していて、異常ランプにより異常が報知されていないときに、バッテリ40からスタータモータ70への電力供給を許可するようにバッテリ40の電力供給を制御する。これによりエンジン駆動式空調装置1が空調運転を開始する。
【0063】
一方、累積リセット回数Nが上限回数N0以上であるときは、図8のS57からS55に処理が戻されるためにS58およびS59が処理が行われない。このため異常フラグが初期化されず、且つ、異常の報知も解除されない(すなわち異常ランプが消灯されない)。つまり、コントローラ60は、累積リセット回数Nが上限回数N0異常であるときは、S59の処理を実行しないことにより、第1異常ランプ54または第2異常ランプ55による異常の報知が解除されないように、バッテリ40の電力の供給を制御する。この状態、すなわち異常ランプが点灯した状態でユーザが外部装置50の起動スイッチ51を押圧操作(オン操作)した場合にも、コントローラ60は図5に示す非通常時復帰処理を実行するが、図5のS21の判定結果がNoであるので、バッテリ40からスタータモータ70に電力が供給されない。つまり、コントローラ60は、異常ランプが点灯していて異常ランプにより異常が報知されているときに、バッテリ40からスタータモータ70への電力供給を禁止するようにバッテリ40の電力供給を制御する。このためエンジン駆動式空調装置1が空調運転を開始しない。これにより、異常が解消されていないことによってガスエンジン10が駆動しないにもかかわらずに、バッテリ40からスタータモータ70に電力供給されてスタータモータ70が駆動することによる無駄な電力消費が抑えられる。
【0064】
ところで、例えば異常ランプ(第1異常ランプ54または第2異常ランプ55)が点灯してから基準時間T0を経過する前にユーザが外部装置50を確認した場合には、異常ランプが点灯しているため異常によってエンジン駆動式空調装置1が停止したことを認識できる。しかし、異常ランプが点灯してから基準時間T0の経過後にユーザが外部装置50を確認した場合には、外部装置50への電力供給が遮断されて異常ランプが消灯するため、ユーザは、エンジン駆動式空調装置1が異常停止したのか正常停止したのか判断できない。この場合、ユーザは、外部装置50の起動スイッチ51を押圧操作(オン操作)する。正常終了している場合には、起動スイッチ51の押圧操作(オン操作)によってガスエンジン10が始動して、エンジン駆動式空調装置1が運転される。ところが、異常終了している場合には、単にバッテリ40からの電力供給が遮断されたことによって異常ランプが消灯しているだけである。本実施形態では、異常停止であるのにもかかわらず(つまりS59にて異常の報知が解除されないまま)バッテリ40からの電力供給が遮断されて異常ランプが消灯しているときに外部装置50の起動スイッチ51が押圧操作された場合に、バッテリ40から外部装置50およびコントローラ60に電力が供給されるように構成されている。そして、このようにして再度電力がコントローラ60に供給されたときに、コントローラ60が異常ランプ復元処理を実行して、バッテリ40からの電力供給が遮断される直前に点灯していた異常ランプを再度点灯させるようにしている。
【0065】
図9は、コントローラ60が実行する異常ランプ復元処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、電力供給が遮断されている外部装置50の起動スイッチが押圧操作されて、それに基づいてバッテリ40から外部装置50およびコントローラ60に電力が供給されたときに実行される。
【0066】
異常ランプ復元処理ルーチンが起動すると、コントローラ60は、まず図9のS71にて、不揮発性メモリ61に記憶されている異常フラグ(F2、F21、F22)を読み出す。次いで、読み出した第1異常フラグF21が1に設定されているか否かを判断する(S72a)。第1異常フラグF21が1に設定されている場合(S72a:Yes)、コントローラ60は第1異常信号を外部装置50に出力する(S73)。一方、第1異常フラグF21が1に設定されていない場合(S72a:No)、コントローラ60はS72bに処理を進め、第2異常フラグF22が1に設定されているか否かを判断する。第2異常フラグF22が1に設定されていない場合(S72b:No)、コントローラ60はこのルーチンを終了する。一方、第2異常フラグF22が1に設定されている場合(S72b:Yes)、コントローラ60は第2異常信号を外部装置50に出力する(S74)。
【0067】
S73にてコントローラ60が第1異常信号を外部装置50に出力した場合、電力供給の遮断により消灯していた外部装置50の第1異常ランプ54が再点灯する。一方、S74にてコントローラ60が第2異常信号を外部装置50に出力した場合、電力供給の遮断により消灯していた外部装置50の第2異常ランプ55が再点灯する。つまり、コントローラ60は、不揮発性メモリ61に記憶された異常フラグに基づいて、第1異常ランプ54または第2異常ランプ55がバッテリ40から電力供給されて再点灯するように、バッテリ40の電力供給を制御する。したがって、ユーザは、起動スイッチ51を押圧操作した後に第1異常ランプ54が点灯した場合には、ユーザにより復旧可能な異常が発生していることを認識することができる。また、起動スイッチ51を押圧操作した後に第2異常ランプ55が点灯した場合には、ユーザにより復旧不可能な異常が発生していることを認識できる。
【0068】
コントローラ60は、S73またはS74にて第1異常信号または第2異常信号を出力した後は、S75に進む。S75〜S82の処理は、図8のS54〜S61の処理と同一であるのでその具体的説明は省略する。
【0069】
以上のように、本実施形態のエンジン駆動式空調装置1は、ガスエンジン10と、ガスエンジン10の駆動力により空調する空調ユニット20と、ガスエンジン10の駆動力により発電し、発電した電力を空調ユニット20の各電気駆動部品に供給する発電機30と、発電機30により発電された電力を蓄えるバッテリ40と、商用電源Cからの電力供給が可能な通常時に商用電源Cから電力供給されることによりエンジン駆動式空調装置1の異常等の状態を報知するように構成された室内機リモコン28と、商用電源Cからの電力供給が不可能な非通常時であってエンジン駆動式空調装置1に異常が発生したことによってガスエンジン10が停止しているときにバッテリ40から電力供給されることによってエンジン駆動式空調装置1の異常を報知するように構成された外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)と、を備える。
【0070】
また、エンジン駆動式空調装置1は、非通常時であってガスエンジン10が停止しているときにバッテリ40から電力供給されることにより作動するコントローラ60を備える。このコントローラ60は、非通常時であってエンジン駆動式空調装置1に異常が発生したことによってガスエンジン10が停止しているときに、外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)がバッテリ40から電力供給されることによってその異常を報知するように、バッテリの電力供給を制御する。
【0071】
本実施形態によれば、商用電源Cからの電力供給が不可能な非通常時であってガスエンジン10の停止時に外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)がバッテリ40から電力供給されることにより作動してエンジン駆動式空調装置1の異常を報知する。このためユーザは、非通常時、特に非通常時であってエンジン駆動式空調装置1に異常が発生してガスエンジン10が停止しているときに、エンジン駆動式空調装置1の異常の有無を確認することができる。
【0072】
また、本実施形態のエンジン駆動式空調装置1は、通常時であってガスエンジン10が停止しているときに商用電源Cから電力供給されて駆動することによりガスエンジン10を始動させるスタータモータ70を備え、コントローラ60は、非通常時であってガスエンジン10が停止しているときにスタータモータ70がバッテリ40から電力供給されて駆動することによりガスエンジン10が始動するように、バッテリ40の電力供給を制御する。このため非通常時であってガスエンジン10が停止している場合に、商用電源Cに頼らずバッテリ40からの電力供給によってエンジン駆動式空調装置1の運転を開始することができる。
【0073】
また、コントローラ60は、非通常時に外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)がエンジン駆動式空調装置1の異常を報知してから基準時間T0が経過した場合に、バッテリ40から外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)への電力供給を遮断して外部装置50による異常の報知が終了するように、バッテリ40の電力供給を制御する。電力供給の遮断によって外部装置50が異常を報知している時間が制限されるので、外部装置50がバッテリ40から電力供給を受けて異常を報知するための電力消費を抑えることができる。よって、外部装置50が長時間異常を報知していることによるバッテリ上がりを防止することができる。
【0074】
また、コントローラ60は不揮発性メモリ61を備える。そして、コントローラ60は、非通常時に外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)がエンジン駆動式空調装置1の異常を報知してから基準時間T0が経過した場合に、現在設定されている異常フラグ(F2、F21、F22)を不揮発性メモリ61に記憶するとともに、自身へのバッテリ40からの電力供給を遮断する。その後にバッテリ40から電力供給されたときには、コントローラ60は不揮発性メモリ61に記憶された異常フラグに基づいて外部装置50が再度異常を報知するように、バッテリ40の電力供給を制御する。このように異常の報知の開始から基準時間T0経過時にコントローラ60が自身へのバッテリ40からの電力供給を遮断することで、コントローラ60を作動させるための電力消費をも抑えることができる。また、電力供給の遮断後にコントローラ60にバッテリ40から電力供給されたときに、遮断前に外部装置50で報知していた異常が再度報知されるので、ユーザはエンジン駆動式空調装置1の異常をいつでも確認することができる。
【0075】
また、外部装置50は、ユーザが操作可能なリセットスイッチ53を備える。そして、コントローラ60は、外部装置50(第1異常ランプ54、第2異常ランプ55)が異常を報知しているときにユーザにより操作されたリセットスイッチ53の設定時間Ts内における操作回数(累積リセット回数)Nが上限回数N0未満である場合には、ユーザがリセットスイッチ53を操作したときに外部装置50による異常の報知が解除され、累積リセット回数Nが上限回数N0以上である場合には、ユーザがリセットスイッチ53を操作しても外部装置50による異常の報知が解除されないように、バッテリ40の電力供給を制御する。また、コントローラ60は、外部装置50が異常を報知していないときにはバッテリ40からスタータモータ70への電力供給を許可し、外部装置50が異常を報知しているときにはバッテリ40からスタータモータ70への電力供給を禁止するように、バッテリ40の電力の供給を制御する。
【0076】
これによれば、累積リセット回数Nが上限回数N0以上であるときにはリセットスイッチ53を操作しても異常の報知が解除されず、外部装置50が異常を報知したままの状態とされる。この状態ではバッテリ40からスタータモータ70への電力の供給は禁止されるためにスタータモータ70が駆動せず、ガスエンジン10は始動しない。このため、何度もガスエンジン10の始動が試みられることによるバッテリ電力の多大な消費を抑えることができ、ひいてはバッテリ上がりを効果的に防止できる。
【0077】
また、外部装置50は第1異常ランプ54と第2異常ランプ55とを備える。そして、コントローラ60は、非通常時にユーザにより復旧可能な異常がエンジン駆動式空調装置1に発生したことによってガスエンジン10が停止しているときに第1異常ランプがバッテリ40から電力供給されることによって点灯して異常を報知し、非通常時にユーザにより復旧不可能な異常がエンジン駆動式空調装置1に発生しことによってガスエンジンが停止しているときに第2異常ランプ55がバッテリ40から電力供給されることによって点灯して異常を報知するように、バッテリ40の電力供給を制御する。このためユーザは、非通常時に第1異常ランプが点灯している場合にユーザ自身によって復旧可能な異常が発生したことを認識でき、非通常時に第2異常ランプが点灯している場合にユーザでは復旧不可能な異常が発生したことを認識できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。上記実施形態においては、外部装置50が非通常時におけるエンジン駆動式空調装置1の異常を報知するように構成したが、外部装置50が非通常時におけるエンジン駆動式空調装置1の空調設定状態、エンジン駆動式空調装置1が運転停止してからの経過時間や停止時刻などを報知することができるように構成してもよい。また、上記実施形態では、外部装置50の第1異常ランプ54または第2異常ランプ55が点灯することによって異常が報知される例について説明したが、例えば音や文字等によって異常を報知するように構成してもよい。また、上記実施形態では外部電源として商用電源Cを示したが、その他の電源でもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…エンジン駆動式空調装置、10…ガスエンジン(エンジン)、20…空調ユニット、21…コンプレッサ、22…冷媒配管、23…室内熱交換器、24…室外熱交換器、25…膨張弁、26…四方切換弁、27…アキュムレータ、28…室内機リモコン(第1報知装置)、30…発電機、40…バッテリ、50…外部装置(第2報知装置)、51…起動スイッチ、52…停止スイッチ、53…リセットスイッチ、54…第1異常ランプ(第1異常報知部)、55…第2異常ランプ(第2異常報知部)、60…コントローラ(電力供給制御装置)、61…不揮発性メモリ、70…スタータモータ、231…室内熱交換器用ファン(電気駆動部品)、241…室外熱交換器用ファン(電気駆動部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9