(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の茎葉部は引き抜かれた作物の上方にも落下するので、作業者が茎葉部を掴んで作物を引き抜く際に切断された茎葉部が邪魔になり、作業能率が低下する問題がある。
【0005】
先行特許文献2に記載の作業機は、切断された茎葉部の上部を機体の左右一側に搬送して排出する茎葉搬送装置を備えており、作物を挟持して搬送する引抜搬送装置の搬送終端部から引き継ぐ構成としている。
【0006】
しかしながら、引抜搬送装置の搬送終端部は機体の左右方向中央部に位置しているので、茎葉搬送装置の搬送距離が長くなり、その分構成部品が大型化し、重量やコストが増大する問題がある。
【0007】
また、引抜搬送装置の搬送終端部と茎葉搬送装置の搬送始端部とが離間しているので、引抜搬送装置から茎葉搬送装置に茎葉部を引き継ぐ際、茎葉部が引き継がれずに落下してしまい、機体上に茎葉部が溜まり、作業者が取り除かねばならず、作業能率が低下する問題や、茎葉部が引抜搬送装置の駆動部や走行車体の走行輪等に絡み付き、負荷による作業の中断の原因となる問題がある。
【0008】
よって、上記問題を解決した根菜類収穫機を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、圃場を走行する走行装置と、この走行装置を構成する左右の駆動輪間に作物を圃場から掘り起こして茎葉部を搬送する掘起し搬送装置(40)と、この掘起し搬送装置(40)で搬送中の作物の茎葉部を切断する切断装置(70)と、この切断装置(70)で切断した茎葉部を機外に排出搬送する茎葉搬送装置(90)とを備える根菜類収穫機において、前記掘起し搬送装置(40)の搬送終端部(T)を、前記掘起し搬送装置(40)の搬送始端部(S)を通る機体前後軸の左右一側に配置すると共に、前記茎葉搬送装置(90)の搬送始端部(X)を、前記掘起し搬送装置(40)の作物搬送軌跡の上方に配置し、
前記茎葉搬送装置(90)の搬送終端部(Y)を、左右一側に設けた走行装置側と
し、さらに、作物の茎葉部を引き起して、前記掘起し装置(40)に案内する掻込装置(50、51)を設け、前記掘起し搬送装置(40)の後方に備えたミッションケース(3)に、左右の伝動ケース(4,4)を設け、左右の前記伝動ケース(4、4)には、前記掻込装置(50、51)及び前記切断装置(70)に対する駆動力を分岐する分岐伝動機構を設け、前記切断装置(70)は、前記掘起し搬送装置(40)の搬送終端部(T)よりも機体前側に配置し、切断刃(71)を上下させる上下動作機構を設けると共に、前記切断刃(71)の上下操作レバー(74)を、前記ミッションケース(3)の上方に設けた操縦部材(13)の側方に設け、前記切断刃(71)の上下動作機構と、前記上下操作レバー(74)とを上下連繋機構(75)により接続し、前記切断刃(71)の駆動機構を備えた切断刃保持ケース(72)を設け、この切断刃保持ケース(72)の左右一側部には、前記切断刃(71)の回転駆動力の伝動機構を設けた切断伝動ケース(73)を設け、前記切断刃保持ケース(72)の左右他側部には、前記上下連繋機構(75)を接続したことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、
前記切断刃保持ケース(72)を、この切断刃保持ケース(72)の水平軸心を中心に前記切断伝動ケース(73)に対して回動させる構成を、前記切断刃(71)の上下動作機構とすると共に、前記切断刃保持ケース(72)に固着した接続プレート(76)と、前記上下連繋機構(75)を構成する切替アーム(77)との連結を解除したときに、前記切断刃保持ケース(72)が回動自在になると共に、前記接続プレート(76)の回動動作を規制する係止部材(78)により、前記切断刃保持ケース(72)の回動が規制されることを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機である。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、
前記掘起し搬送装置(40)を、複数のプーリに掘起し無端体(44)を巻き回した、一対の掘起し周回無端帯機構(45、45)により構成すると共に、前記茎葉搬送装置(90)を、複数のプーリに茎葉搬送無端帯(93)を巻き回した、一対の茎葉搬送周回無端帯機構(94、94)により構成し、前記左右の伝動ケース(4、4)からの駆動力を、前記掘起し搬送装置(40)を駆動する、左右の掘起し駆動プーリ(41、41)と、
前記茎葉搬送装置(90)を駆動する、左右の搬送駆動プーリ(91、91)とに、それぞれ伝動し、左右一側の前記掘起し駆動プーリ(41)と、左右一側の前記搬送駆動プーリ(91)とを同軸に配置すると共に、左右他側の前記掘起し駆動プーリ(41)と、左右他側の前記搬送駆動プーリ(91)とを同軸に配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の根菜類収穫機である。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、
前記茎葉搬送装置(90)を構成し、前記搬送駆動プーリ(91、91)から駆動力を受けると共に、左右一側に設けた前記走行装置側の搬送従動プーリ(92、92)のうち、機体前側に位置するものを、機体後側に位置するものよりも機体内側に配置し、前記茎葉搬送装置(90)の搬送終端部(Y)を、前記走行装置の駆動輪の軸心よりも前側に配置したことを特徴とする請求項3に記載の根菜類収穫機である。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、
前記掘起し搬送装置(40)と前記茎葉搬送装置(90)を、走行装置の左右の駆動輪間であり、且つ、走行装置の左右の駆動輪のどちらか一側に偏倚する位置に配置し、更に走行装置を構成する駆動輪の左右間隔を調節する間隔調節装置(20)を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機である。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、
機体フレーム(8)から前記掘起し搬送装置(40)上方に向けて支持アーム(60)を設け、この支持アーム(60)を機体前後方向に段階的に回動可能に装着すると共に、この支持アーム(60)の上端部に照明装置(61)を配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の根菜類収穫機である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、掘起し搬送装置(40)の搬送終端部(T)を、掘起し搬送装置(40)の搬送始端部(S)を通る機体前後軸の左右一側に配置することにより、切断装置(70)で切り離された茎葉部を搬送する茎葉搬送装置(90)の長さを短くすることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0018】
また、茎葉搬送装置(90)の搬送始端部(X)を掘起し搬送装置(40)の作物搬送軌跡の上方に配置したことにより、切り離された茎葉部が確実に茎葉搬送装置(90)に引き継がれるので、圃場に残した作物に、切り離された茎葉部が落下することが防止され、圃場に残した作物の回収前に茎葉部を拾う作業をする必要がなく、作業能率が向上する。
【0019】
そして、茎葉搬送装置(90)の搬送終端部(Y)を、左右一側に設けた走行装置側としたことにより、茎葉部は左右一側の走行装置が通過する箇所の周囲に落下する。この点でも、圃場に残した作物に茎葉部が落下することが防止され、圃場に残した作物の回収前に茎葉部を拾う作業をする必要がなく、作業能率が向上する。
加えて、切断装置(70)の切断刃(71)の上下位置を、操縦部材(13)の側方に設けた上下操作レバー(74)により変更することができるので、作物の生育状況や圃場条件に合わせて茎葉部の切断位置を変更する必要が生じた際、作業者は切断装置(70)の近傍まで移動して切断高さの調節を行う必要がないので、作業能率が向上する。また、上下操作レバー(74)を操作により、容易に切断刃(71)の上下位置を変更できるので、調節作業時に工具等を用意する必要がなく、作業能率が一層向上する。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、
上下連繋機構(75)の連結を外すと切断刃保持ケース(72)が回動し、係止部材(78)により切断刃保持ケース(72)の回動が規制されることにより、着脱作業等のメンテナンスを行う時に、切断刃(71)を、切断刃(71)と干渉する部材が無い機体前側に向けることができるので、作業者は切断刃(71)の着脱作業を他の構成部材に妨げられることなく行えるため、メンテナンス性が向上する。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、
請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、
掘起し搬送装置(40)と茎葉搬送装置(90)に左右の伝動ケース(4、4)から駆動力を伝動することができる、即ち掘起し搬送装置(40)の左右の掘起し駆動プーリ(41、41)と、茎葉搬送装置(90)の左右の搬送駆動プーリ(91、91)とを同軸に配置することで、伝動ケース(4、4)からの駆動力を、掘起し搬送装置(40)及び茎葉搬送装置(90)に直接伝動でき、駆動系の構成が簡潔になり、メンテナンス性が向上すると共に、部品点数が削減される。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、
請求項3に記載の発明の効果に加えて、
茎葉搬送装置(90)の茎葉部の配送終端部(Y)が、走行装置の駆動輪の軸心よりも前側に位置することにより、排出された茎葉部を走行装置で踏みつけることができるので、茎葉部が隣接する未収穫の作物上に移動することが防止され、作物の掘起し作業時に掘起し搬送装置(40)に絡み付くことが防止される。また、圃場に残した作物に茎葉部が落下することが防止され、圃場に残した作物の回収前に茎葉部を拾う作業をする必要がなく、作業能率が向上する。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、請求項
1から請求項4の何れか1項に記載の発明の効果に加えて、
掘起し搬送装置(40)と茎葉搬送装置(90)を走行装置の左右の駆動輪間の、どちらか一側に偏倚した位置に設けることにより、駆動輪間を広げて、2条植えの畝の溝を駆動輪が走行可能とする共に、引起し作業時に引起しの対象となる条の、隣の条の作物の茎葉を走行輪で押えることがなく、引起し作業の能率が向上する。また、駆動輪の左右の間隔調節機構(20)を設けることで、3条植えの畝に対しても2条植えの場合と同様作業能率が向上する。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、請求項
1から請求項5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、
照明装置(61)を掘起し搬送装置(40)の上方に配置したことにより、早朝の作業時に機体の周囲を照らすことができるので、機体の進行方向や作物の引起し状況を黙視することができ、問題が生じても早期に対応することが可能となり、作物の収穫作業が中断されることが防止される。また、支持アーム(60)を機体前後方向に段階的に回動可能としたことにより、掘起し搬送装置(40)側や作業者が立つ機体後部側を選択して照らすことができるので、作業者が操作ミスを起こしにくくなり、一層作業能率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上記技術思想に基づき、具体的に構成された実施の形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本原稿においては、根菜類収穫機の前進方向に向かってそれぞれ左右、前後という。
【0033】
図1から
図3には、本発明の第一実施形態にかかる根菜類収穫機を示す。
図1は根菜類収穫機の右側面図、
図2は
図1及び
図3のP矢視方向の平面図、
図3は左側面図である。本実施形態にかかる根菜類収穫機は、根菜類である大根の引抜作業と、茎葉の切断作業を行う作業機である。
【0034】
この根菜類収穫機は、機体全体に動力を供給する動力部Aと、機体の走向や旋回を操作する操縦部Bと、機体を走行させる走行部Cと、圃場の大根Gの茎葉Kを挟持して、大根Gを引き上げる引抜搬送部Dと、切断された茎葉Kを圃場に排出する排葉部Eと、から構成する。根菜類収穫機は、引抜搬送部Dで作物の茎葉部を挟持して圃場から作物を引き上げ、茎葉部の上部を切断したうえで作物を圃場に戻す一方、切断された茎葉部の上部を別途搬送して排出する。収穫作業者は作物に残された茎葉部を掴むと軽い力で作物を抜き取って回収することができ、省力化を図ることができる。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0035】
動力部A、及び操縦部Bの構成について説明する。
動力部A及び操縦部Bは、根菜類収穫機の機体を構成する機体フレーム8の後部に設ける。動力部Aはエンジン2と、このエンジン2からの動力を受け走行部Cや引抜搬送部D等に動力を供給するミッションケース3を備える。
【0036】
操縦部Bを構成する左右の操縦部材13、13は、前記機体フレーム8の後端部に設ける。加えて機体の走行と停止を切り換える走行クラッチレバー15と、引抜搬送部Dの駆動を入切する作業クラッチレバー16とをミッションケース3に設ける。また、後述する走行部Cの左右チェーンケース17,17への動力伝達を入切する左右のサイドクラッチレバー18,18を、左右の操縦ハンドル13,13の下部に取り付ける。更に後述する切断装置70の切断刃71を上下させる上下操作レバー74を、左側の操縦部材13の更に左側方に設ける。
【0037】
次に、走行部Cの構成について説明する。
走行部Cは、走行装置と、この走行装置への伝動装置により構成する。本実施形態において走行装置は、左右の前輪27、27と、左右の後輪26、26により構成し、ミッションケース3からの動力により左右の後輪26、26を駆動する。走行装置への伝動装置は、左右の後輪26を備える左右のチェーンケース17と、左側のチェーンケース17の位置を左右に変更する間隔調節装置20と、により構成し、ミッションケース3の左右に突出した出力軸3aからの動力を、チェーンケース17内のチェーン25により後輪26へ伝動する。なおチェーンケース17は、出力軸3aを回動支点として上下に回動可能である。
【0038】
次に、引抜搬送部D、排葉部Eについて説明する。
引抜搬送部Dは、機体前方で、茎葉部を引き起こして掻き込む縦掻込装置50及び横掻込装置51と、これらの掻込装置50、51から案内された茎葉Kを受け取り挟持する、ベルトを巻き回した一対の周回ベルト機構からなる掘起し搬送装置40と、この掘起し搬送装置40で搬送中の作物の茎葉Kの上部を切断する切断装置70と、掘起し搬送装置40等の上方に配置する照明装置61とにより構成する。
【0039】
縦掻込装置50及び横掻込装置51は、複数のプーリにラグ付ベルト52を巻き回して構成する。これらの掻込装置50、51は、右側の伝動ケース4内のベベルギアセットによる分岐伝動機構により分岐した動力により駆動する。掘起し搬送装置40は、大根Gの茎葉Kを挟持して、茎葉Kを搬送することで大根Gを掘り起こすもので、左右の駆動輪である後輪26、26間の右側の偏倚する位置に配置する。
【0040】
排葉部Eは、ベルトを巻き回した一対の周回ベルト機構からなる茎葉搬送装置90により構成し、掘起し搬送装置40の後部上方に配置する。茎葉搬送装置90と掘起し搬送装置40との隙間は数mmとすることが望ましい。
【0041】
引抜搬送部Dを構成する掘起し搬送装置40、及び排葉部Eを構成する茎葉搬送装置90について
図4、5を用いて詳細に説明する。
図4は本発明の第一実施形態にかかる根菜類収穫機の掘起し搬送装置40と茎葉搬送装置90との位置関係を示す平面図、
図4(a)は掘起し搬送装置40の平面図、
図4(b)は茎葉搬送装置90の平面図である。
【0042】
掘起し搬送装置40は、複数のプーリにベルトである無端帯を巻き回した掘起し周回無端帯機構45を左右に配置して構成する。機体右側に位置する掘起し周回無端帯機構45は、大径の掘起し駆動プーリ41と、これとほぼ同径の掘起し従動プーリ42と、複数の小径プーリ46、・・・、掘起しテンションプーリ47、47とに、ベルトである掘起し無端帯44を巻き回すことにより構成する。掘起し無端帯44の外向き表面には、斜め方向の凹凸ラバーを設ける。
【0043】
機体左側に位置する掘起し周回無端帯機構45は、右側の掘起し周回無端帯機構45のプーリ構成に対して、掘起し駆動プーリ41と同径の掘起し伝動プーリ43を、二つの掘起し駆動プーリ41、41の間に設ける。この掘起し伝動プーリ43は、掘起し搬送装置40の搬送終端部Tを、掘起し搬送装置40の搬送始端部Sを通る機体前後軸の左右一側である右側にするように、搬送始端部Sを通る機体前後軸の右側に配置する。ここで掘起し搬送装置40の搬送始端部Sとは、茎葉Kを挟持するために、掘起し無端帯44、44が対向し始める位置を言い、掘起し搬送装置40の搬送終端部Tとは掘起し無端帯44、44が互いに離れ始める位置を言う。
【0044】
茎葉搬送装置90は、複数のプーリにベルトである無端体を巻き回した茎葉搬送周回無端帯機構94を、二つ横に並べ、無端帯の一部を対向させるようにする。
図5(b)の左側(機体前側)に位置する茎葉搬送周回無端帯機構94は、搬送駆動プーリ91と、これとほぼ同径の搬送従動プーリ92とに茎葉搬送無端帯93を巻き回すことにより構成する。右側(機体後側)に位置する茎葉搬送周回無端帯機構94は、左側に位置するものに加えて茎葉搬送テンションプーリ95を加える。この茎葉搬送テンションプーリ95を加えることで、茎葉搬送装置の搬送始端部Xの位置を左右に変更することができる。ここで茎葉搬送装置90の搬送始端部Xとは茎葉搬送無端帯93、93が対向し始める位置を言い、茎葉搬送装置90の搬送終端部Yとは茎葉搬送無端帯93、93が互いに離れ始める位置を言う。なお茎葉搬送装置90には、茎葉搬送無端帯93に密着した茎葉を払い落とすための清掃ブラシ96、96を設ける。
該清掃ブラシ96、96は、複数の毛体を密集させたものでもよいが、茎葉部に付着していた泥土を確実の擦り落とすべく、茎葉搬送無端帯93、93に接触するスクレーパとしてもよい。このスクレーパは、ゴムや合成樹脂等の弾性を有する軟質部材で構成すると、茎葉搬送無端帯93、93を摩耗させにくいが、泥土の除去性能を重視する場合は、弾性の低い合成樹脂や金属で構成するとよい。
【0045】
図5(b)の上が、車体の右方向となり、茎葉搬送装置90の搬送終端部Yが機体右側に設けた走行装置側に位置する。また、この茎葉搬送装置90を構成する搬送従動プーリ92、92のうち、機体前側(
図5(b)において図の左側)に位置するものを、機体後側に位置するものよりも機体内側に配置する。そして
図3で示すように、茎葉搬送装置90の搬送終端部Yを走行装置の駆動輪である後輪26の軸心よりも前側に配置する。
【0046】
掘起し搬送装置40を駆動する、左右の掘起し駆動プーリ41、41の上方同軸に、茎葉搬送装置90を駆動する、左右の搬送駆動プーリをそれぞれ配置し、これらの駆動力は、ミッションケース3の前方に設けた左右の伝動ケース4、4からそれぞれ伝動する。また、掘起し搬送装置40の掘起しテンションプーリ43と、茎葉搬送装置90の茎葉搬送テンションプーリ95とを同軸に配置する。このように配置することで、茎葉搬送装置90の搬送始端部Xを掘起し搬送装置40の作物搬送軌跡の上方に位置させる。
【0047】
掘起し搬送装置40の搬送終端部Tを、掘起し搬送装置40の搬送始端部Sを通る機体前後軸の左右一側に配置することにより、切断装置70で切り離された茎葉部を搬送する茎葉搬送装置90の長さを短くすることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0048】
茎葉搬送装置90の搬送始端部Xを掘起し搬送装置40の作物搬送軌跡の上方に配置したことにより、切り離された茎葉部が確実に引き継がれるので、圃場に残した作物に、切り離された茎葉部が落下することが防止され、圃場に残した作物の回収前に茎葉部を拾う作業をする必要がなく、作業能率が向上する。
【0049】
茎葉搬送装置90の搬送終端部Yを、左右一側に設けた走行装置側としたことにより、茎葉部は左右一側の走行装置が通過する箇所の周囲に落下する。この点でも、圃場に残した作物に茎葉部が落下することが防止され、圃場に残した作物の回収前に茎葉部を拾う作業をする必要がなく、作業能率が向上する。
【0050】
掘起し搬送装置40と茎葉搬送装置90に左右の伝動ケース4、4から駆動力を伝動することができる、即ち掘起し搬送装置40の左右の掘起し駆動プーリ41、41と、茎葉搬送装置90の左右の搬送駆動プーリ91、91とを同軸に配置することで、伝動ケース4、4からの駆動力を、掘起し搬送装置40及び茎葉搬送装置90に直接伝動でき、駆動系の構成が簡潔になり、メンテナンス性が向上すると共に、部品点数が削減される。
【0051】
茎葉搬送装置90の茎葉部の配送終端部Yが、走行装置の駆動輪の軸心よりも前側に位置することにより、排出された茎葉部を走行装置で踏みつけることができるので、茎葉部が隣接する未収穫の作物上に移動することが防止され、作物の掘起し作業時に掘起し搬送装置40に絡み付くことが防止される。
【0052】
圃場に残した作物に茎葉部が落下することが防止され、圃場に残した作物の回収前に茎葉部を拾う作業をする必要がなく、作業能率が向上する。
【0053】
引抜搬送部Dを構成する切断装置70について、
図6、7により説明する。切断装置70は、掘起し搬送装置40の下方に、かつその搬送終端部Tよりも機体前側に配置する。切断装置70は、円筒状の切断刃保持ケース72を、円筒の軸心を機体の左右水平になるように設置し、この切断刃保持ケース72に2枚の円板状の切断刃71を左右に取り付ける。この切断刃71により大根Gの茎葉Kが切断され、大根Gは圃場の元の穴に収まる。よって、掘起し搬送装置40で掘起し無端帯44同士が対向して茎葉Kを挟持する作物搬送軌跡は、切断刃71の切断点より機体後側で右方向に曲折する。
【0054】
切断刃保持ケース72は、左右のU字固定具80、80により機体フレーム8に回動自在に固定する。切断刃保持ケース72内には、切断刃71、71の駆動機構を備える。具体的には切断刃保持ケース72の右側端部に、切断刃71、71の回転駆動力のチェーン等による伝達機構を備えた切断伝動ケース73を設け、この切断伝動ケース73からの回転動力を、左右のベベルギアセットにより切断刃71、71に伝動する。切断刃保持ケース72は、切断伝動ケース73に対し回動可能としている。
【0055】
切断刃71の上下動作機構は、切断刃保持ケース72を、この切断刃保持ケース72の水平軸心を中心に、切断伝動ケース73に対して回動させる構成であり、切断刃保持ケース72の左側部と上下操作レバー74とを上下連繋機構75により接続する。具体的に作業者は、左側の操縦部材13の更に左側方に設けた上下操作レバー74を上下に動かし、上下連繋機構75を構成する切替アーム77を上下させ、切断刃保持ケース72に固着した接続プレート76を動作させることで、切断刃保持ケース72を回動させ、切断刃71の切断位置を上下させる。なお、切断伝動ケース73への回転動力は、右側の伝動ケース4に内包したベベルギアセットである分岐伝動機構(不図示)により、伝動ケース4から伝動する。
【0056】
切断刃71を交換する際は、接続プレート76と切替アーム77の連結を解除する。接続プレート76と切替アーム77とは、接続プレート76の側方に突出した連結突起81を切替アーム77に設けた連結孔83に差し込み、ピン82で固定することにより連結しており、このピン82を外すことで作業者は連結を解除する。連結を解除した後、切断刃保持ケース72を、その円筒軸心を中心に回動させ、機体フレーム8に設けた係止部材78に接続プレート76の凹部84を嵌めることで、切断刃保持ケース72の姿勢を固定する。
【0057】
切断装置70の切断刃71の上下位置を、操縦部材13の側方に設けた上下操作レバー74により変更することができるので、作物の生育状況や圃場条件に合わせて茎葉部の切断位置を変更する必要が生じた際、作業者は切断装置70の近傍まで移動して切断高さの調節を行う必要がないので、作業能率が向上する。
【0058】
上下操作レバー74を操作により、容易に切断刃71の上下位置を変更できるので、調節作業時に工具等を用意する必要がなく、作業能率が一層向上する。
【0059】
伝動ケース4、4から、掘起し搬送装置40と、茎葉搬送装置90に加えて掻込装置50、51及び切断装置70に駆動力を分岐する分岐伝動機構を設けたことにより、ミッションケース3から掻込装置50、51、掘起し搬送装置40、茎葉搬送装置90、及び切断装置70への伝動経路を各々構成する必要がなく、伝動経路が簡潔な構成となり、部品点数の削減が図られ、メンテナンス性が向上すると共に、軽量化が図られる。
【0060】
上下連繋機構75の連結を外すと切断刃保持ケース72が回動し、係止部材78により切断刃保持ケース72の回動が規制されることにより、着脱作業等のメンテナンスを行う時に、切断刃71を、切断刃71と干渉する部材が無い機体前側に向けることができるので、作業者は切断刃71の着脱作業を他の構成部材に妨げられることなく行えるため、メンテナンス性が向上する。
なお、切断刃71は、収穫作業中の位置では上方に掘起し搬送装置40が存在する。茎葉部の切断位置をできるだけ高くすべく、掘起し搬送装置40と切断刃71との上下間隔は、調節可能ではあるが狭く設定されているので、作業者が工具を差し込んでボルト等の装着部材の着脱作業をする際、工具の移動可能な範囲が狭く、作業が行いにくい。また、作業者は着脱部材の装着位置を目視しにくいので、いっそう作業は行いにくくなる。
また、切断刃71の後方には接続プレート76や切替アーム77があるので、後方に回動させても同様に着脱作業を妨げる部材が存在する。このため、前方に回動させない場合は、メンテナンス性が大きく低下することになる。
【0061】
引抜搬送部Dを構成する照明装置61について、
図1、
図3及び
図8により説明する。
図8は、
図1の根菜類収穫機の照明装置周辺の左側面図である。機体フレーム8から掘起し搬送装置40の上方に向けて円筒の支持アーム60を回動自在に設け、その上端部にバッテリ充電式の照明装置61を設ける。この支持アーム60下部には、支持アーム60の外周に嵌装した押圧スプリング62と、この押圧スプリング62により押圧され、支持アーム60の軸心に沿って動作する固定ピン63を設ける。そして機体フレーム8に、支持アーム60を挟むようにして設けた左右の凹凸片64、64の凹部に、固定ピン63が入り込むことによって、支持アーム60を機体の前後方向に段階的に回動可能に装着する。
【0062】
照明装置61を掘起し搬送装置40の上方に配置したことにより、早朝の作業時に機体の周囲を照らすことができるので、機体の進行方向や作物の引起し状況を黙視することができ、問題が生じても早期に対応することが可能となり、作物の収穫作業が中断されることが防止される。
【0063】
支持アーム60を機体前後方向に段階的に回動可能としたことにより、掘起し搬送装置40側や作業者が立つ機体後部側を選択して照らすことができるので、一層作業能率が向上する。
【0064】
図9には、
図1の根菜類収穫機の左前輪周辺の斜視図を示す。本実施形態にかかる根菜類収穫機は、左側の前輪27の前に左前輪カバー28を設けると共に、左側の機体フレーム8に、掘起し搬送装置40の左下部分を保護する左案内カバー29を設ける。これらのカバーを設けることで、引抜対象となる条の隣の条の大根Gの茎葉Kが掘起し搬送装置40に巻き込まれるのを防止できる。
【0065】
図10は、
図1の根菜類収穫機の左前輪の構成を示す断面斜視図である。本実施形態にかかる根菜類収穫機の前輪27は、機体フレーム8に対して上下方向の高さを調整できるように構成する。前輪27を備えた前輪上下サポータ30は、断面六角形状であり、この前輪上下サポータ30を挿入する前輪上下用筒体31を設け、この前輪上下用筒体31の内面により、挿入された前輪上下サポータ30をガイドする。そして前輪上下用筒体31の上部に、前輪上下サポータ30を上下に動作させる前輪上下用ネジ体32と、この前輪上下用ネジ体32を回転させる前輪上下用ハンドル33を設ける。このように構成することで、前輪27の上下位置調整を容易に行うことができる。
【0066】
図11から
図13により、
図1の根菜類収穫機を用いて、一つの畝内に2条又は3条で植えた大根を引き抜く場合の作業手順を説明する。
図11は一つの畝に大根を2条植えた場合であり、根菜類収穫機の必要な部材のみを背面方向から示した図である。本実施形態にかかる根菜類収穫機は、走行装置である前輪27、27及び後輪26、26が溝を走行できるように、これらの車輪間を広くして、ミッションケース3の機体前方で掘起し作業等を行う掘起し搬送装置40を、機体右側の偏倚した位置に配置している。掘起し作業としては、走行装置間の2条の作物のうち、
図11上で右側の条のものを、図面手前側から図面奥側に根菜類収穫機を走行(往路走行)させて掘り起こした後、左側の条のものを、図面奥側から図面手前側に走行(復路走行)させて掘起し、一つの畝の掘起し作業を完了する。
【0067】
図12、
図13は一つの畝に大根を3条植えた場合であり、
図11と同様、根菜類収穫機の必要な部材のみを背面方向から示した図である。3条の場合、本実施形態にかかる根菜類収穫機の間隔調節装置20を用いて、前輪27、27及び後輪26、26が溝を走行できるように、車輪間を作業者が調整する(前半段階)。掘起し作業としては、走行装置間の3条の作物のうち、
図12で最も右側の条のものを、菜類収穫機を往路走行させて掘り起こした後、復路走行させて最も左側の条のものを掘り起こす。そして最後(後半段階)に
図13にあるように間隔調節装置20により、走行装置20間を調節して、3条の作物のうち中央に位置する状のものを掘り起こす。中央に位置するものを掘り起こす時は、その両側の条のものはすでに掘り起こされているので、走行装置が畝内を走行しても、隣の条の作物の茎葉を踏みつけることがなく、引起し作業の能率を落とすことがない。
【0068】
掘起し搬送装置40と茎葉搬送装置90を走行装置の左右の駆動輪間の、どちらか一側に偏倚した位置に設けることにより、駆動輪間を広げて、2条植えの畝の溝を駆動輪が走行可能とすることができる。畝上を走行装置が走行することがないので、特に引起し作業の前半段階(同じ畝内の隣の条の引起しが終わっていない段階)での引起し作業時に、隣の条の作物の茎葉を走行輪で押えることがなく、引起し作業の能率が向上する。
【0069】
また、駆動輪の左右の間隔調節機構20を設けることで、3条植えの畝に対しても2条植えの場合と同様作業能率が向上する。
【0070】
図14には第二実施形態にかかる根菜類収穫機の引抜搬送部Dの側面図を、
図15には
図14のQ矢視方向からの平面図を示す。
【0071】
第二実施形態にかかる根菜類収穫機には、掻込装置50、51の上下位置を変更するための掻込上下調整装置53を設ける。掻込装置50、51は一体として構成し、機体フレーム8に対して、掻込装置用フレーム59により回動自在に連結する。掻込上下調整装置53は、掻込装置用フレーム59に回動自在に連結し、その上下調整は、筒体に遊嵌した柱状体を相対的に動作させることにより行う。動作は掻込上下調整装置53の上方に設けた上下調整ハンドル54により行う。この上下調整ハンドル54は掻込装置50、51の上面以上とする。掻込上下調整装置53を構成する筒体は、掘起し搬送装置40の上方に設ける左右支持フレーム57に回動自在に連結することで、剛性を確保しながら、掻込装置50、51の上下動作を滑らかに行う。左右支持フレーム57は、機体後方の作業者が掘り起こす作物を見るのを邪魔しないように、掘起し搬送装置40から離間して配置する。また、前輪27の左右トレッド調整部にバランスウェイトを設ける。
【0072】
縦掻込装置50及び横掻込装置51は、掻込装置用フレーム59に対してスライド可能な構成とする。この際、掻込装置用フレーム59に平行なサポートフレームを複数設け、掻込装置50、51のスライド動作を滑らかにする。掻込装置用フレーム59やサポートフレーム等は、断面六角形状とし、ねじ機構によりスライドさせる。
【0073】
第二実施形態にかかる根菜類収穫機には、左前輪の操舵機構100を設ける。前輪27は上下方向の前輪筒体101を中心に左右に回動可能な構成とし、操舵用アーム102を設ける。この操舵用アーム102は、左右支持フレーム57内に嵌装した左右連結バー103と連結し、機体右側に位置する掻込装置50、51の上下調整ハンドル54近傍で操作することができる。なお前輪27の前輪筒体101は、中間部が曲折したアーチ形状とすることで、作物からの干渉を防止できる。なお前輪27は、
図16に示すように、前輪筒体101に、前輪を備えた前輪サポータ104を位置決めピン105で上下の位置を固定する。