特許第6164421号(P6164421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6164421送電コイルユニット及びワイヤレス電力伝送装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164421
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】送電コイルユニット及びワイヤレス電力伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20170710BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20170710BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20170710BHJP
【FI】
   H02J50/70
   H02J50/40
   H02J50/10
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-246449(P2013-246449)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-106939(P2015-106939A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千代 憲隆
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】西山 哲哉
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072097(JP,A)
【文献】 特開2012−115069(JP,A)
【文献】 特開2012−175806(JP,A)
【文献】 特開2013−207238(JP,A)
【文献】 特開2013−207727(JP,A)
【文献】 特開2014−193031(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/119296(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/060781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスにて電力を送電する送電コイルユニットであって、
巻線が平面状に巻回される送電コイルと、
前記送電コイルの背面側に配置されるとともに、前記送電コイルの軸方向から見て、前記送電コイルの前記巻線によって区画される領域の外側に配置される少なくとも一対の第1及び第2の補助コイルと、を備え、
前記第1及び第2の補助コイルの軸は、前記送電コイルの軸と非平行であり、
前記送電コイルと前記第1及び第2の補助コイルのそれぞれは、コイルユニットの中心から外側に向かうに方向に当該コイルを鎖交する磁束を同時に発生することを特徴とする送電コイルユニット。
【請求項2】
前記第1及び第2の補助コイルの軸は、前記送電コイルの軸に略直交することを特徴とする請求項1に記載の送電コイルユニット。
【請求項3】
前記送電コイルと前記第1及び第2の補助コイルは、それぞれ磁性コアをさらに備え、
前記第1の補助コイルの磁性コアは、前記送電コイルの磁性コアに連結され、
前記第2の補助コイルの磁性コアは、前記送電コイルの磁性コアに連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の送電コイルユニット。
【請求項4】
前記送電コイルの軸方向から見て、前記第1及び第2の補助コイルは、間に前記送電コイルを介して配置される請求項1〜3いずれか一項に記載の送電コイルユニット。
【請求項5】
前記第1及び第2の補助コイルは複数対備え、それぞれの対をなす前記第1の補助コイルと前記第2の補助コイルの中心同士を結ぶ仮想線は、互いに非平行であることを特徴とする請求項4に記載の送電コイルユニット。
【請求項6】
ワイヤレスにて電力が伝送されるワイヤレス電力伝送装置であって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の送電コイルユニットと、
磁性コアに巻線が巻回された螺旋状コイルである受電コイルと、を備えることを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスにて電力を伝送するための送電コイルユニット及びワイヤレス電力伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ケーブル等の機械的接触なしで電力を送電するために、相対させた1次(送電)コイルと2次(受電)コイルの間の電磁誘導作用を利用したワイヤレス電力伝送技術が注目されており、高効率、低損失での電力伝送が可能な技術の開発要求が高まってきている。
【0003】
このとき、送電コイルの漏れ磁束により送電コイル周辺に形成される不要な漏洩磁界が問題視されている。例えば、ワイヤレス電力伝送技術を電気自動車等のパワーエレクトロニクス装置における充電装置へ適応した場合、大電力伝送が要求されることから、送電コイルに大電流を流す必要があるが、この場合、漏れ磁束による不要な漏洩磁界の強度も大きくなるので、周囲の電子機器などに悪影響を与える電磁波障害を引き起こすことが懸念されている。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、電力伝送用コイルの作る磁束と鎖交するノイズ相殺用コイルによって、電力伝送用コイルの漏れ磁束によるノイズを無くす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−74034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、電力伝送用コイルの作る磁束がノイズ相殺用コイルに鎖交しているため、本来であれば電力伝送に寄与するはずの磁束までもが相殺されてしまう虞があり、結果として、電力伝送効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制した送電コイルユニット及びワイヤレス電力伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る送電コイルユニットは、ワイヤレスにて電力を送電する送電コイルユニットであって、巻線が平面状に巻回される送電コイルと、送電コイルの背面側に配置されるとともに、送電コイルの軸方向から見て、送電コイルの巻線によって区画される領域の外側に配置される少なくとも一対の第1及び第2の補助コイルと、を備え、第1及び第2の補助コイルの軸は、送電コイルの軸と非平行であり、送電コイルと第1及び第2の補助コイルのそれぞれは、コイルユニットの中心から外側に向かうに方向に当該コイルを鎖交する磁束を同時に発生する。
【0009】
本発明によれば、第1及び第2の補助コイルは、送電コイルの背面側であって、送電コイルの軸方向から見て送電コイルの巻線によって区画される領域の外側に配置され、第1及び第2の補助コイルの軸は、送電コイルの軸と非平行であり、送電コイルと第1及び第2の補助コイルのそれぞれは、コイルユニットの中心から外側に向かうに方向に当該コイルを鎖交する磁束を同時に発生する。そのため、送電コイルから離れた場所においては、送電コイルが発生する磁束の向きと第1及び第2補助コイルが発生する磁束の向きは互いに逆向きとなり、送電コイルの近傍においては、送電コイルが発生する磁束の向きと第1及び第2補助コイルが発生する磁束の向きは互い同じ向きとなる。したがって、送電コイルから離れた場所の磁界強度は低下し、送電コイル近傍の磁界強度は高くなる。その結果、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0010】
好ましくは、第1及び第2の補助コイルの軸は、送電コイルの軸に略直交するように構成するとよい。この場合、第1及び第2の補助コイルにより、第1及び第2の補助コイルから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなる。したがって、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減する効果がより一層高くなる。
【0011】
好ましくは、送電コイルと第1及び第2の補助コイルのそれぞれは、磁性コアをさらに備え、第1の補助コイルの磁性コアは、送電コイルの磁性コアに連結され、第2の補助コイルの磁性コアは、送電コイルの磁性コアに連結されるように構成してもよい。この場合、第1及び第2の補助コイルは、送電コイルと受電コイルの間に形成される磁界の一部を強める磁束をより一層発生させ易くなる。すなわち、送電コイルと受電コイルの間では、送電コイルが発生する磁束の向きと補助コイルが発生する磁束の向きがほぼ同じ向きとなる。その結果、電力伝送効率の低下を一層抑制することができる。
【0012】
より好ましくは、送電コイルの軸方向から見て、第1及び第2の補助コイルは、間に送電コイルを介して配置されるとよい。この場合、第1及び第2の補助コイルが送電コイルの両外側に配置される構成となるので、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界をさらに低減できる。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の補助コイルを複数対備え、それぞれの対をなす第1の補助コイルと第2の補助コイルの中心同士を結ぶ仮想線は、互いに非平行であるとよい。この場合、送電コイルから離れた場所の磁界を低減できる領域が拡大するため、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減する効果がより一層高くなる。
【0014】
本発明に係るワイヤレス電力伝送装置は、上記送電コイルユニットと、受電コイルを備える。本発明によれば、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制したワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制した送電コイルユニット及びワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る送電コイルユニットの分解斜視図である。
図3図2におけるI−I線に沿う送電コイルユニットを受電コイルとともに示す模式断面図である。
図4a図3において、送電コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。
図4b図3において、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。
図6図3に示した第1実施形態に係る送電コイルユニットの図2におけるI−I線に沿う模式断面図に相当する、本発明の第2実施形態に係る送電コイルユニットを第1及び第2の受電コイルとともに示す模式断面図である。
図7a図6において、送電コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。
図7b図6において、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る送電コイルユニットの分解斜視図である。
図10a図9におけるII−II線に沿う送電コイルユニットを受電コイルとともに示す模式断面図である。
図10b図9におけるIII−III線に沿う送電コイルユニットを受電コイルとともに示す模式断面図である。
図11a図10aにおいて、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。
図11b図10bにおいて、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。
図12】比較例1の送電コイルユニットを受電コイルとともに示す断面図である。
図13】比較例2の送電コイルユニットを受電コイルとともに示す断面図である。
図14】本発明に係る実施例1と比較例1,2の電力伝送効率及び漏洩磁界強度の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1〜3を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る送電コイルユニットの分解斜視図である。図3は、図2におけるI−I線に沿う送電コイルユニットを受電コイルとともに示す模式断面図である。
【0019】
ワイヤレス電力伝送装置S1は、図1に示されるように、ワイヤレス送電装置Ut1と、ワイヤレス受電装置Urと、を有する。ワイヤレス送電装置Ut1は、電源PWと、インバータINVと、送電コイルユニットLtu1と、を有する。また、ワイヤレス受電装置Urは、受電コイルLrと、整流回路DBと、を有する。
【0020】
電源PWは、直流電力を後述するインバータINVに供給する。電源PWとしては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータ等のスイッチング電源装置などが挙げられる。
【0021】
インバータINVは、電源PWから供給される入力直流電力を交流電力に変換する機能を有している。本実施形態では、インバータINVは、電源PWから供給される入力直流電力を交流電力に変換し、後述する送電コイルユニットLtu1に供給する。インバータINVとしては、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIBGT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの素子が挙げられる。
【0022】
送電コイルユニットLtu1は、送電コイルLtと、第1の補助コイルLcaと、第2の補助コイルLcbと、磁性体F1と、を有する。本実施形態においては、送電コイルLtaと、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの3つのコイルは、図1に示すように、電気的に直列接続されている。なお、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、送電コイルユニットLtu1は、地中または地面近傍に配設されることとなる。
【0023】
続いて、送電コイルユニットLtu1が有する各コイルについて説明する。送電コイルLtは、磁性コアCtと巻線Wtを備えている。送電コイルLtは、略方形を呈した平面状のスパイラル構造のコイルであり、板状または棒状の磁性コアCtに銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線Wtを巻回して形成されている。送電コイルLtの軸方向は、送電コイルLtと後述する受電コイルLrとの対向方向に対して平行となっている。送電コイルLtの巻数は、後述する受電コイルLrとの間の離間距離や所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。
【0024】
第1の補助コイルLcaは、磁性コアCcaと巻線Wcaを備えている。第1の補助コイルLcaは、巻線が螺旋状に巻回されるソレノイドコイルであり、板状または棒状の磁性コアCcaに銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線Wcaを巻回して形成されている。この第1の補助コイルLcaの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっている。このような構成により、第1の補助コイルLcaが発生するは、後述する受電コイルLrに鎖交することなく、第1の補助コイルLcaから離れた場所にまで周回し易くなる。本実施形態においては、第1の補助コイルLcaの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して直交している。この場合、第1の補助コイルLcaにより、第1の補助コイルLcaから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなる。
【0025】
また、第1の補助コイルLcaは、送電コイルLtの背面側に配置される。すなわち、第1の補助コイルLcaは、送電コイルLtの後述する受電コイルLr対向する側とは反対側に配置されている。このような配置とすることにより、第1の補助コイルLcaによって、送電コイルLtと後述する受電コイルLrの間に生じる磁界の一部を強める磁束を発生させ易くなる。その結果、電力伝送効率の低下をさらに抑制することができる。
【0026】
またさらには、第1の補助コイルLcaは、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に第1の補助コイルLcaを鎖交する磁束を発生する。具体的には、図3において、送電コイルLtが発生する磁束が、送電コイルLtを、送電コイルLtから後述する受電コイルLrに向かう方向(図示上向き)に鎖交するとき、第1の補助コイルLcaが発生する磁束は、第1の補助コイルLcaを、送電コイルLtから第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示左向き)に鎖交すればよい。このような磁束を発生させるには、図3において、第1の補助コイルLcaの巻線Wcaが、送電コイルLtの巻線Wtと最も近接する部分(図示第1の補助コイルLcaの巻線Wcaの上面部分)を通過する電流の向きが、送電コイルLtの巻線Wtが第1の補助コイルLcaの巻線Wtaと近接する部分(図示送電コイルLtの巻線Wtの左側部分)を通過する電流の向きと逆向きとなるように、第1の補助コイルLcaの巻線Wcが磁路コアCc4aに巻回されればよい。なお、本実施形態においては、送電コイルLtと第1の補助コイルLcaは電気的に直列に接続されているので、上記のような送電コイルLtと第1の補助コイルLcaの構成により、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、第1の補助コイルLcaも送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に第1の補助コイルLcaを鎖交する磁束を発生することとなる。
【0027】
第2の補助コイルLcbは、磁性コアCcbと巻線Wcbを備えている。第2の補助コイルLcbは、巻線が螺旋状に巻回されるソレノイドコイルであり、板状または棒状の磁性コアCcbに銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線Wcbを巻回して形成されている。この第2の補助コイルLcbの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっている。このような構成により、第2の補助コイルLcbが発生するは、後述する受電コイルLrに鎖交することなく、第2の補助コイルLcbから離れた場所にまで周回し易くなる。本実施形態においては、第2の補助コイルLcbの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して直交している。この場合、第2の補助コイルLcbにより、第2の補助コイルLcbから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなる。
【0028】
また、第2の補助コイルLcbは、送電コイルLtの背面側に配置される。すなわち、第2の補助コイルLcbは、送電コイルLtの後述する受電コイルLrと対向する側とは反対側に配置されている。このような配置とすることにより、第2の補助コイルLcbによって、送電コイルLtと後述する受電コイルLrの間に生じる磁界の一部を強める磁束を発生させ易くなる。その結果、電力伝送効率の低下をさらに抑制することができる。
【0029】
またさらには、第2の補助コイルLcbは、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に第2の補助コイルLcbを鎖交する磁束を発生する。具体的には、図3において、送電コイルLtが発生する磁束が、送電コイルLtを、送電コイルLtから後述する受電コイルLrに向かう方向(図示上向き)に鎖交するとき、第2の補助コイルLcbが発生する磁束は、第2の補助コイルLcbを、送電コイルLtから第2の補助コイルLcb向かう方向(図示右向き)に鎖交すればよい。このような磁束を発生させるには、図3において、第2の補助コイルLcbの巻線Wcbが、送電コイルLtの巻線Wtと最も近接する部分(図示第2の補助コイルLcbの巻線Wcbの上面部分)を通過する電流の向きが、送電コイルLtの巻線Wtが第2の補助コイルLcbの巻線Wtbと近接する部分(図示送電コイルLtの巻線Wtの右側部分)を通過する電流の向きと同じ向きとなるように、第2の補助コイルLcbの巻線Wcbが磁路コアCcbに巻回されればよい。なお、本実施形態においては、送電コイルLtと第2の補助コイルLcbは電気的に直列に接続されているので、上記のような送電コイルLtと第2の補助コイルLcbの構成により、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、第2の補助コイルLcbも送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に第1の補助コイルLcaを鎖交する磁束を発生することとなる。
【0030】
磁性体F1は、送電コイルLtの後述する受電コイルLrと対向する側とは反対側の面に沿って延びている。本実施形態においては、磁性体F1を送電コイルLtの軸方向から見たとき、磁性体F1の形状は長方形であり、長辺の長さは送電コイルLtより長く、短辺の長さは送電コイルLtより短い。磁性体F1の後述する受電コイルLrと対向する側の面の中央付近で、磁性体F1と送電コイルLtの磁性コアCtが接続されている。また、磁性体F1の後述する受電コイルLrと対向する側とは反対側の面であって、長方形の長辺方向の両端付近で、磁性体F1はそれぞれ第1の補助コイルLcaの磁性コアCcaと第2の補助コイルLcbの磁性コアCcbに接続されている。すなわち、第1の補助コイルLcaの磁性コアCcaは送電コイルLtの磁性コアCtに連結され、第2の補助コイルLcbの磁性コアCcbは、送電コイルLtの磁性コアCtに連結されることとなる。このような構成により、送電コイルLtの軸方向から見て、第1及び第2の補助コイルLca、Lcbは、間に送電コイルLtを介して配置されることとなる。この場合、第1及び第2の補助コイルLca、Lcbが送電コイルLtの両外側に配置される構成となるので、送電コイルLtから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界をさらに低減できる。
【0031】
受電コイルLrは、図3に示されるように、磁性コアCrと巻線Wrを備えている。受電コイルLrは、略方形を呈した平面状のスパイラル構造のコイルであり、板状または棒状の磁性コアCrに巻線Wrを巻回して形成されている。受電コイルLrは、送電コイルユニットLtu1の送電コイルLtから送電された交流電力を受電する機能を有する。なお、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、受電コイルLrは、車両下部に搭載されることとなる。
【0032】
整流回路DBは、受電コイルLrが受電した交流電力を直流電力に整流する機能を有している。整流回路DBとしては、ダイオードブリッジを用いた全波整流機能と、コンデンサおよび三端子レギュレータを用いた電力平滑化機能を備えた変換回路などが挙げられる。この整流回路DBにより整流された直流電力は、負荷Rに出力される。ここで、負荷Rとしては、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、車両が有する二次電池や回転機が挙げられる。なお、負荷Rが交流回転機の場合、ワイヤレス受電装置Urの整流回路DBと負荷Rとの間にインバータ(図示しない)を付加して交流回転機に交流電力を供給するように構成する必要がある。
【0033】
続いて、図4を参照して、本実施形態における送電コイルが発生する磁束と補助コイルが発生する磁束の相対的な関係と不要な漏洩磁界の低減作用について詳細に説明する。図4aは、図3において、送電コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。図4bは、図3において、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。ここで、図4a中、送電コイルLtが発生する磁束のうち、体表的なものとして磁束Bta〜Btdを示している。また、図4b中、送電コイルLtが発生する磁束のうち、体表的なものとして磁束Bta〜Btdを示し、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束のうち、代表的なものとして磁束Bca,Bcbを模式的に示している。ただし、これらの磁束は、それぞれの磁束の向きのみを模式的に示したものであって、磁束密度を示すものではない。なお、図4a及び図4bでは、送電コイルLt磁性コアCtと、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの磁性コアCca,Ccbと、磁性体F1と、受電コイルLrの磁性コアCrの中における磁束の図示は省略している。
【0034】
まず、図4aを参照して、送電コイルLtが発生する磁束について説明する。送電コイルLtは、図4aに示されるように、送電コイルLtの中心部から、受電コイルLrへ向かう方向(図示上向き)に鎖交する磁束Bta〜Btdを発生している。なお、送電コイルLtが発生する磁束Bta〜Btdは、受電コイルLrにも鎖交しており、磁束Bta〜Btdが受電コイルLrに鎖交することで、受電コイルLrの巻線Wrに起電力が生じる。そして、受電コイルLrに生じた電力は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに出力される。
【0035】
続いて、図4bを参照して、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束について説明する。なお、図4b中の送電コイルLtが発生する磁束Bta〜Btdは図4aに示したとおりである。第1の補助コイルLcaは、図4bに示されるように、第1の補助コイルLcaを、送電コイルLtから、第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示左向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLt及び受電コイルLrに鎖交せず、受電コイルLrから第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcaを発生している。具体的には、第1の補助コイルLcaの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaは、受電コイルLrに鎖交することなく、第1の補助コイルLcaから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第1の補助コイルLcaの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaは、第1の補助コイルLcaから離れた場所にまで大きく周回している。
【0036】
同様に、第2の補助コイルLcbは、図4bに示されるように、第2の補助コイルLcbを、送電コイルLtから第2の補助コイルLcbに向かう方向(図示右向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLt及び受電コイルLrに鎖交せず、受電コイルLrから第2の補助コイルLcbに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcbを発生している。具体的には、第2の補助コイルLcbの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbは、受電コイルLrに鎖交することなく、第2の補助コイルLcbから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第2の補助コイルLcbの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbは、第2の補助コイルLcbから離れた場所にまで大きく周回している。
【0037】
次に、本実施形態における不要な漏洩磁界の低減作用について説明する。上述した送電コイルLtが発生する磁束Bta〜Btdのうち、磁束Bta,Btbは比較的送電コイルLtの近傍を周回する磁束であり、磁束Btc,Btdは送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束である。すなわち、磁束Btc,Btdによって、送電コイルLt離れた場所に漏洩磁界が形成される。なお、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Btc,Btdは、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bta,Btbと比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。しかし、大電力伝送のためにコイルに大電流を流した場合には、磁束Bta,Btbにより送電コイルLtから離れた場所に形成される漏洩磁界が電磁波障害を引き起こす虞のある強度となってしまうことが問題であった。そこで、送電コイルLtから離れた場所における、送電コイルLtが発生する磁束Btcと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きを比較すると、磁束Btcと磁束Bcaは互いに逆向きとなっている。また、同様に送電コイルLtから離れた場所における、送電コイルLtが発生する磁束Btdと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きを比較すると、磁束Btdと磁束Bcbは互いに逆向きとなっている。すなわち、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルが発生する磁束Btc,Btdと第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbが互いに打消し合う。その結果、不要な漏洩磁界が低減される。
【0038】
一方で、送電コイルLtと受電コイルLrの間付近においては、送電コイルLtが発生する磁束Btaの向きと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きは同じ向きである。つまり、第1の補助コイルLcaが発生する磁界は、送電コイルLtと受電コイルLraとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと受電コイルLrとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Btaの向きと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Btaは、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。同様に、送電コイルLtが発生する磁束Btbの向きと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きは同じ向きである。つまり、第2の補助コイルLcbが発生する磁界は、送電コイルLtと受電コイルLrとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと受電コイルLrとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Btbの向きと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Btbは、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。なお、上述のとおり、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する磁束Bta〜Btdのうち、送電コイルから離れた場所にまで周回する磁束Bta,Btbは、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbによって相殺されるが、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Btc,Btdは、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bta、Btbと比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。したがって、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Btc,Btdが相殺されたことによる電力伝送効率の低下は僅かである。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る送電コイルユニットLtu1においては、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbは、送電コイルLtの背面側であって、送電コイルLtの軸方向から見て送電コイルLtの巻線Wtによって区画される領域の外側に配置され、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの軸は、送電コイルLtの軸と非平行であり、送電コイルLtと第1及び第2の補助コイルLca,Lcbのそれぞれは、コイルユニットの中心から外側に向かうに方向に当該コイルを鎖交する磁束を同時に発生する。そのため、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルLtが発生する磁束Btc,Btdの向きと第1及び第2補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbの向きは互いに逆向きとなり、送電コイルLtの近傍においては、送電コイルLtが発生する磁束Bta,Btbの向きと第1及び第2補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbの向きは互い同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtから離れた場所の磁界強度は低下し、送電コイルLt近傍の磁界強度は高くなる。その結果、送電コイルLtから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、図5及び図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2の構成について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。図6は、図3に示した第1実施形態に係る送電コイルユニットの図2におけるI−I線に沿う模式断面図に相当する、本発明の第2実施形態に係る送電コイルユニットを第1及び第2の受電コイルとともに示す模式断面図である。
【0041】
ワイヤレス電力伝送装置S2は、図5に示されるように、ワイヤレス送電装置Ut1と、ワイヤレス受電装置Ur2と、を有する。ワイヤレス送電装置Ut1は、電源PWと、インバータINVと、送電コイルユニットLtu1と、を有する。また、ワイヤレス受電装置Ur2は、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbと、整流回路DBと、を有する。電源PWと、インバータINVと、送電コイルユニットLtu1と、整流回路DBの構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の受電コイルLrに代えて、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbを備えている点において、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0042】
第1の受電コイルLraは、図6に示されるように、螺旋状に巻回されるソレノイドコイルであり、板状または棒状の磁性コアCraに巻線Wraを巻回して形成されている。
【0043】
第2の受電コイルLrbは、図6に示されるように、螺旋状に巻回されるソレノイドコイルであり、板状または棒状の磁性コアCrbに巻線Wrbを巻回して形成されている。
【0044】
第1及び第2の受電コイルLra,Lrbは、同一平面上に並置されており、図5に示されるように、電気的に直列接続されている。また、第1の受電コイルLraの軸と第2の受電コイルLrbの軸は一致している。またさらには、第1の受電コイルLraの巻線Wraと第2の受電コイルLrbの巻線Wrbの巻回方向は、互いに逆向きとなっている。
【0045】
続いて、図7を参照して、本実施形態における送電コイルが発生する磁束と補助コイルが発生する磁束の相対的な関係と不要な漏洩磁界の低減作用について詳細に説明する。図7aは、図6において、送電コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。図7bは、図6において、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。ここで、図7a中、送電コイルLtが発生する磁束のうち、体表的なものとして磁束Bta2〜Btd2を示している。また、図7b中、送電コイルLtが発生する磁束のうち、体表的なものとして磁束Bta2〜Btd2を示し、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束のうち、代表的なものとして磁束Bca,Bcbを模式的に示している。ただし、これらの磁束は、それぞれの磁束の向きのみを模式的に示したものであって、磁束密度を示すものではない。なお、図7a及び図7bでは、送電コイルLt磁性コアCtと、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの磁性コアCca,Ccbと、磁性体F1と、第1及び第2の受電コイルLra,Ltbの磁性コアCra,Crbの中における磁束の図示は省略している。
【0046】
まず、図7aを参照して、送電コイルLtが発生する磁束について説明する。送電コイルLtは、図7aに示されるように、送電コイルLtの中心部から、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbへ向かう方向(図示上向き)に鎖交する磁束Bta2〜Btd2を発生している。本例においては、送電コイルLtが発生する磁束Bta2〜Btd2は、第1の受電コイルLraに鎖交し、電力伝送に寄与する磁束Bta2と、第2の受電コイルLrbに鎖交し、電力伝送に寄与する磁束Btb2と、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbに鎖交することなく、送電コイルLtから離れた場所を周回する磁束Btc2,Btd2があり、磁束Bta2が第1の受電コイルLraに鎖交し、磁束Btb2が第2の受電コイルLrbに鎖交することで、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbの巻線Wra,Wrbに起電力が生じる。そして、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbに生じた電力は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに出力される。
【0047】
続いて、図7bを参照して、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束について説明する。なお、図7b中の送電コイルLtが発生する磁束Bta2〜Btd2は図7aに示したとおりである。第1の補助コイルLcaは、図7bに示されるように、第1の補助コイルLcaを、送電コイルLtから第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示左向き)に鎖交し、且つ、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbに鎖交せず、第1の受電コイルLraから第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcaを発生している。具体的には、第1の補助コイルLcaの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaは、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbに鎖交することなく、第1の補助コイルLcaから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第1の補助コイルLcaの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaは、第1の補助コイルLcaから離れた場所にまで大きく周回している。
【0048】
同様に、第2の補助コイルLcbは、図7bに示されるように、第2の補助コイルLcbを、送電コイルLtから第2の補助コイルLcbに向かう方向(図示右向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbに鎖交せず、第2の受電コイルLrbから第2の補助コイルLcbに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcbを発生している。具体的には、第2の補助コイルLcbの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbは、第1及び第2の受電コイルLra,Lrbに鎖交することなく、第2の補助コイルLcbから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第2の補助コイルLcbの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbは、第2の補助コイルLcbから離れた場所にまで大きく周回している。
【0049】
次に、本実施形態における不要な漏洩磁界の低減作用について説明する。上述した送電コイルLtが発生する磁束Bta2〜Btd2のうち、磁束Btc2,Btd2は送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束である。すなわち、磁束Btc2,Btd2によって、送電コイルLt離れた場所に漏洩磁界が形成される。なお、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Btc2,Btd2は、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bta2,Btb2と比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。しかし、大電力伝送のためにコイルに大電流を流した場合には、磁束Btc2,Btd2により送電コイルLtから離れた場所に形成される漏洩磁界が電磁波障害を引き起こす虞のある強度となってしまうことが問題であった。そこで、送電コイルLtから離れた場所における送電コイルLtが発生する磁束Btc2と第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きを比較すると、磁束Btc2と磁束Bcaは互いに逆向きとなっている。また、同様に送電コイルLtから離れた場所における送電コイルLtが発生する磁束Btd2と第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きを比較すると、磁束Btd2と磁束Bcbは互いに逆向きとなっている。すなわち、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルLtが発生する磁束Btc2,Btd2と第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbが互いに打消し合う。その結果、不要な漏洩磁界が低減される。
【0050】
一方で、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbの間付近においては、送電コイルLtが発生する磁束Bta2の向きと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きは同じ向きである。つまり、第1の補助コイルLcaが発生する磁界は、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Bta2の向きと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Bta2は、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。同様に、送電コイルLtが発生する磁束Btb2の向きと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きは同じ向きである。つまり、第2の補助コイルLcbが発生する磁界は、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Btb2の向きと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと第1及び第2の受電コイルLra,Lrbを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Btb2は、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る送電コイルユニットLtu1においては、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbは、送電コイルLtの背面側であって、送電コイルLtの軸方向から見て送電コイルLtの巻線Wtによって区画される領域の外側に配置され、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの軸は、送電コイルLtの軸と非平行であり、送電コイルLtと第1及び第2の補助コイルLca,Lcbのそれぞれは、コイルユニットの中心から外側に向かうに方向に当該コイルを鎖交する磁束を同時に発生する。そのため、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルLtが発生する磁束Btc2,Btd2の向きと第1及び第2補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbの向きは互いに逆向きとなり、送電コイルLtの近傍においては、送電コイルLtが発生する磁束Bta2,Btb2の向きと第1及び第2補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbの向きは互い同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtから離れた場所の磁界強度は低下し、送電コイルLt近傍の磁界強度は高くなる。その結果、送電コイルLtから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、図8〜10を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S3の構成について説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を負荷とともに示すシステム構成図である。図9は、本発明の第3実施形態に係る送電コイルユニットの分解斜視図である。図10aは、図9におけるII−II線に沿う送電コイルユニットを受電コイルとともに示す模式断面図である。図10bは、図9におけるIII−III線に沿う送電コイルユニットを受電コイルとともに示す模式断面図である。
【0053】
ワイヤレス電力伝送装置S3は、図8に示されるように、ワイヤレス送電装置Ut2と、ワイヤレス受電装置Urと、を有する。ワイヤレス送電装置Ut2は、電源PWと、インバータINVと、送電コイルユニットLtu2と、を有する。また、ワイヤレス受電装置Urは、受電コイルLrと、整流回路DBと、を有する。電源PWと、インバータINVと、受電コイルLrと、整流回路DBの構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の送電コイルユニットLtu1に代えて、送電コイルユニットLtu2を備えている点において、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0054】
送電コイルユニットLtu2は、送電コイルLtと、1の補助コイルLca,Lccと、第2の補助コイルLcb,Lcdと、磁性体F1と、を有する。送電コイルLtと、第1の補助コイルLcaと、第2の補助コイルLcbの構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態に係る送電コイルユニットLtu2は、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbに加えて、もう1組の第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdを備えている点において、第1実施形態に係る送電コイルユニットLtu1と相違する。図8に示されるように、送電コイルLtと、第1の補助コイルLca,Lccと、第2の補助コイルLcb,Lcdの5つのコイルは、電気的に直列接続されている。
【0055】
図9に示されるように、第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdは、第1の補助コイルLccの中心と第2の補助コイルLcdの中心を結ぶ仮想線が、第1の補助コイルLcaの中心と第2の補助コイルLcbの中心を結ぶ仮想線と直交するように配置されている。
【0056】
第1の補助コイルLccは、磁性コアCccと巻線Wccを備えている。第1の補助コイルLccは、巻線が螺旋状に巻回されるソレノイドコイルであり、板状または棒状の磁性コアCccに銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線Wccを巻回して形成されている。この第1の補助コイルLccの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっている。このような構成により、第1の補助コイルLccが発生するは、後述する受電コイルLrに鎖交することなく、第1の補助コイルLccから離れた場所にまで周回し易くなる。本実施形態においては、第1の補助コイルLccの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して直交している。この場合、第1の補助コイルLccにより、第1の補助コイルLccから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなる。
【0057】
また、第1の補助コイルLccは、送電コイルLtの背面側に配置される。すなわち、第1の補助コイルLccは、送電コイルLtの受電コイルLr対向する側とは反対側に配置されている。このような配置とすることにより、第1の補助コイルLccによって、送電コイルLtと受電コイルLrの間に生じる磁界の一部を強める磁束を発生させ易くなる。その結果、電力伝送効率の低下をさらに抑制することができる。
【0058】
またさらには、第1の補助コイルLccは、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に第1の補助コイルLccを鎖交する磁束を発生する。具体的には、図10bにおいて、送電コイルLtが発生する磁束が、送電コイルLtを、送電コイルLtから受電コイルLrに向かう方向(図示上向き)に鎖交するとき、第1の補助コイルLccが発生する磁束は、第1の補助コイルLccを、送電コイルLtから第1の補助コイルLccに向かう方向(図示左向き)に鎖交すればよい。このような磁束を発生させるには、図10bにおいて、第1の補助コイルLccの巻線Wccが、送電コイルLtの巻線Wtと最も近接する部分(図示第1の補助コイルLccの巻線Wccの上面部分)を通過する電流の向きが、送電コイルLtの巻線Wtが第1の補助コイルLccの巻線Wtaと近接する部分(図示送電コイルLtの巻線Wtの左側部分)を通過する電流の向きと逆向きとなるように、第1の補助コイルLccの巻線Wcが磁路コアCccに巻回されればよい。なお、本実施形態においては、送電コイルLtと第1の補助コイルLccは電気的に直列に接続されているので、上記のような送電コイルLtと第1の補助コイルLccの構成により、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、第1の補助コイルLccも送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に第1の補助コイルLccを鎖交する磁束を発生することとなる。
【0059】
第2の補助コイルLcdは、磁性コアCcdと巻線Wcdを備えている。第2の補助コイルLcdは、巻線が螺旋状に巻回されるソレノイドコイルであり、板状または棒状の磁性コアCcdに銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線Wcdを巻回して形成されている。この第2の補助コイルLcdの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっている。このような構成により、第2の補助コイルLcdが発生するは、後述する受電コイルLrに鎖交することなく、第2の補助コイルLcdから離れた場所にまで周回し易くなる。本実施形態においては、第2の補助コイルLcdの軸方向は、送電コイルLtの軸方向に対して直交している。この場合、第2の補助コイルLcdにより、第2の補助コイルLcdから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなる。
【0060】
また、第2の補助コイルLcdは、送電コイルLtの背面側に配置される。すなわち、第2の補助コイルLcdは、送電コイルLtの受電コイルLrと対向する側とは反対側に配置されている。このような配置とすることにより、第2の補助コイルLcdによって、送電コイルLtと受電コイルLrの間に生じる磁界の一部を強める磁束を発生させ易くなる。その結果、電力伝送効率の低下をさらに抑制することができる。
【0061】
またさらには、第2の補助コイルLcdは、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、送電コイルユニットLtu1の中心から外側に向かう方向に第2の補助コイルLcdを鎖交する磁束を発生する。具体的には、図10bにおいて、送電コイルLtが発生する磁束が、送電コイルLtを、送電コイルLtから受電コイルLrに向かう方向(図示上向き)に鎖交するとき、第2の補助コイルLcdが発生する磁束は、第2の補助コイルLcdを、送電コイルLtから第2の補助コイルLcd向かう方向(図示右向き)に鎖交すればよい。このような磁束を発生させるには、図10bにおいて、第2の補助コイルLcdの巻線Wcdが、送電コイルLtの巻線Wtと最も近接する部分(図示第2の補助コイルLcdの巻線Wcdの上面部分)を通過する電流の向きが、送電コイルLtの巻線Wtが第2の補助コイルLcdの巻線Wtdと近接する部分(図示送電コイルLtの巻線Wtの右側部分)を通過する電流の向きと同じ向きとなるように、第2の補助コイルLcdの巻線Wcdが磁路コアCcdに巻回されればよい。なお、本実施形態においては、送電コイルLtと第2の補助コイルLcdは電気的に直列に接続されているので、上記のような送電コイルLtと第2の補助コイルLcdの構成により、送電コイルLtが送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に送電コイルLtを鎖交する磁束を発生するとき、第2の補助コイルLcdも送電コイルユニットLtu1の外側から中心に向かう方向に第1の補助コイルLccを鎖交する磁束を発生することとなる。
【0062】
磁性体F2は、送電コイルLtの受電コイルLrと対向する側とは反対側の面に沿って延びている。磁性体F2を送電コイルLtの軸方向から見たとき、磁性体F2の外形寸法は送電コイルLtの外形寸法より大きい。本実施形態においては、磁性体F2の受電コイルLrと対向する側の面の中央付近で、磁性体F2と送電コイルLtの磁性コアCtが接続されている。また、磁性体F2の受電コイルLrと対向する側とは反対側の面であって、各辺の中央付近で、磁性体F2はそれぞれ第1の補助コイルLca,Lccの磁性コアCca,Cccと第2の補助コイルLcb,Lcdの磁性コアCcb,Ccdに接続されている。ここで、第1及び第2の補助コイルLca,Lcc,Lcb,Lcdは、第1の補助コイルLccの中心と第2の補助コイルLcdの中心を結ぶ仮想線と、第1の補助コイルLcaの中心と第2の補助コイルLcbの中心を結ぶ仮想線とが直交するように配置されるので、送電コイルLtの軸方向から見て、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbは、間に送電コイルLtを介して配置される。同様に、第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdは、間に送電コイルLtを介して配置される。したがって、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbと第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdがそれぞれ送電コイルLtの両外側に配置される構成となるので、送電コイルLtから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界をさらに低減できる。
【0063】
続いて、図11を参照して、本実施形態における送電コイルが発生する磁束と補助コイルが発生する磁束の相対的な関係と不要な漏洩磁界の低減作用について詳細に説明する。図11aは、図10aにおいて、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。図11bは、図10bにおいて、送電コイルと第1及び第2の補助コイルが発生する磁束を模式的に示した図である。ここで、図11a中、送電コイルLtが発生する磁束のうち、体表的なものとして磁束Bt1a〜Bt1dを示し、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束のうち、代表的なものとして磁束Bca,Bcbを模式的に示している。一方、図11b中、送電コイルLtが発生する磁束のうち、体表的なものとして磁束Bt2a〜Bt2dを示し、第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdが発生する磁束のうち、代表的なものとして磁束Bcc,Bcdを模式的に示している。ただし、これらの磁束は、それぞれの磁束の向きのみを模式的に示したものであって、磁束密度を示すものではない。なお、図11a及び図11bでは、送電コイルLt磁性コアCtと、第1及び第2の補助コイルLca,Lcc,Lcb,Lcdの磁性コアCca,Ccc,Ccb,Ccdと、磁性体F2と、受電コイルLrの磁性コアCrの中における磁束の図示は省略している。
【0064】
まず、図11aを参照して、送電コイルLtが発生する磁束と第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束について詳細に説明する。送電コイルLtは、図11aに示されるように、送電コイルLtの中心部から、受電コイルLrへ向かう方向(図示上向き)に鎖交する磁束Bt1a〜Bt1dを発生している。なお、送電コイルLtが発生する磁束Bt1a〜Bt1dは、受電コイルLrにも鎖交しており、磁束Bt1a〜Bt1dが受電コイルLrに鎖交することで、受電コイルLrの巻線Wrに起電力が生じる。そして、受電コイルLrに生じた電力は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに出力される。
【0065】
第1の補助コイルLcaは、図11aに示されるように、第1の補助コイルLcaを、送電コイルLtから、第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示左向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLt及び受電コイルLrに鎖交せず、受電コイルLrから第1の補助コイルLcaに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcaを発生している。具体的には、第1の補助コイルLcaの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaは、受電コイルLrに鎖交することなく、第1の補助コイルLcaから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第1の補助コイルLcaの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaは、第1の補助コイルLcaから離れた場所にまで大きく周回している。
【0066】
同様に、第2の補助コイルLcbは、図11aに示されるように、第2の補助コイルLcbを、送電コイルLtから第2の補助コイルLcbに向かう方向(図示右向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLt及び受電コイルLrに鎖交せず、受電コイルLrから第2の補助コイルLcbに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcbを発生している。具体的には、第2の補助コイルLcbの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbは、受電コイルLrに鎖交することなく、第2の補助コイルLcbから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第2の補助コイルLcbの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbは、第2の補助コイルLcbから離れた場所にまで大きく周回している。
【0067】
次に、第1及び第2の補助コイルLca、Lcbによる不要な漏洩磁界の低減作用について説明する。上述した送電コイルLtが発生する磁束Bt1a〜Bt1dのうち、磁束Bt1a,Bt1bは比較的送電コイルLtの近傍を周回する磁束であり、磁束Bt1c,Bt1dは送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束である。すなわち、磁束Bt1c,Bt1dによって、送電コイルLt離れた場所に漏洩磁界が形成される。なお、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Bt1c,Bt1dは、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bt1a,Bt1bと比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。しかし、大電力伝送のためにコイルに大電流を流した場合には、磁束Bt1a,Bt1bにより送電コイルLtから離れた場所に形成される漏洩磁界が電磁波障害を引き起こす虞のある強度となってしまうことが問題であった。そこで、送電コイルLtから離れた場所における、送電コイルが発生する磁束Bt1cと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きを比較すると、磁束Bt1cと磁束Bcaは互いに逆向きとなっている。また、同様に送電コイルLtから離れた場所における、送電コイルLtが発生する磁束Bt1dと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きを比較すると、磁束Bt1dと磁束Bcbは互いに逆向きとなっている。すなわち、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルが発生する磁束Bt1c,Bt1dと第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbが互いに打消し合う。その結果、不要な漏洩磁界が低減される。
【0068】
一方で、送電コイルLtと受電コイルLrの間付近においては、送電コイルLtが発生する磁束Bt1aの向きと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きは同じ向きである。つまり、第1の補助コイルLcaが発生する磁界は、送電コイルLtと受電コイルLraとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと受電コイルLrとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Bt1aの向きと第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Bt1aは、第1の補助コイルLcaが発生する磁束Bcaによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。同様に、送電コイルLtが発生する磁束Bt1bの向きと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きは同じ向きである。つまり、第2の補助コイルLcbが発生する磁界は、送電コイルLtと受電コイルLrとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと受電コイルLrとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Bt1bの向きと第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Bt1bは、第2の補助コイルLcbが発生する磁束Bcbによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。なお、上述のとおり、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する磁束Bt1a〜Bt1dのうち、送電コイルから離れた場所にまで周回する磁束Bt1a,Bt1bは、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbが発生する磁束Bca,Bcbによって相殺されるが、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Bt1c,Bt1dは、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bt1a,Bt1bと比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。したがって、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Bt1c,Bt1dが相殺されたことによる電力伝送効率の低下は僅かである。
【0069】
続いて、図11bを参照して、送電コイルLtが発生する磁束と第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdが発生する磁束について詳細に説明する。送電コイルLtは、図11bに示されるように、送電コイルLtの中心部から、受電コイルLrへ向かう方向(図示上向き)に鎖交する磁束Bt2a〜Bt2dを発生している。なお、送電コイルLtが発生する磁束Bt2a〜Bt2dは、受電コイルLrにも鎖交しており、磁束Bt2a〜Bt2dが受電コイルLrに鎖交することで、受電コイルLrの巻線Wrに起電力が生じる。そして、受電コイルLrに生じた電力は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに出力される。
【0070】
第1の補助コイルLccは、図11bに示されるように、第1の補助コイルLccを、送電コイルLtから、第1の補助コイルLccに向かう方向(図示左向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLt及び受電コイルLrに鎖交せず、受電コイルLrから第1の補助コイルLccに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bccを発生している。具体的には、第1の補助コイルLccの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第1の補助コイルLccが発生する磁束Bccは、受電コイルLrに鎖交することなく、第1の補助コイルLccから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第1の補助コイルLccの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第1の補助コイルLccが発生する磁束Bccは、第1の補助コイルLccから離れた場所にまで大きく周回している。
【0071】
同様に、第2の補助コイルLcdは、図11bに示されるように、第2の補助コイルLcdを、送電コイルLtから第2の補助コイルLcdに向かう方向(図示右向き)に鎖交し、かつ、送電コイルLt及び受電コイルLrに鎖交せず、受電コイルLrから第2の補助コイルLcdに向かう方向(図示下向き)に周回する磁束Bcdを発生している。具体的には、第2の補助コイルLcdの軸方向が送電コイルLtの軸方向に対して非平行となっていることから、第2の補助コイルLcdが発生する磁束Bcdは、受電コイルLrに鎖交することなく、第2の補助コイルLcdから離れた場所を周回することとなる。特に、本実施形態においては、第2の補助コイルLcdの軸方向が送電コイルLtの軸方向と直交していることから、第2の補助コイルLcdが発生する磁束Bcdは、第2の補助コイルLcdから離れた場所にまで大きく周回している。
【0072】
次に、第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdによる不要な漏洩磁界の低減作用について説明する。上述した送電コイルLtが発生する磁束Bt2a〜Bt2dのうち、磁束Bt2a,Bt2bは比較的送電コイルLtの近傍を周回する磁束であり、磁束Bt2c,Bt2dは送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束である。すなわち、磁束Bt2c,Bt2dによって、送電コイルLt離れた場所に漏洩磁界が形成される。なお、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Bt2c,Bt2dは、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bt2a,Bt2bと比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。しかし、大電力伝送のためにコイルに大電流を流した場合には、磁束Bt2a,Bt2bにより送電コイルLtから離れた場所に形成される漏洩磁界が電磁波障害を引き起こす虞のある強度となってしまうことが問題であった。そこで、送電コイルLtから離れた場所における、送電コイルが発生する磁束Bt2cと第1の補助コイルLccが発生する磁束Bccの向きを比較すると、磁束Bt2cと磁束Bccは互いに逆向きとなっている。また、同様に送電コイルLtから離れた場所における、送電コイルLtが発生する磁束Bt2dと第2の補助コイルLcdが発生する磁束Bcdの向きを比較すると、磁束Bt2dと磁束Bcdは互いに逆向きとなっている。すなわち、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルが発生する磁束Bt2c,Bt2dと第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdが発生する磁束Bcc,Bcdが互いに打消し合う。その結果、不要な漏洩磁界が低減される。
【0073】
一方で、送電コイルLtと受電コイルLrの間付近においては、送電コイルLtが発生する磁束Bt2aの向きと第1の補助コイルLccが発生する磁束Bccの向きは同じ向きである。つまり、第1の補助コイルLccが発生する磁界は、送電コイルLtと受電コイルLraとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと受電コイルLrとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Bt2aの向きと第1の補助コイルLccが発生する磁束Bccの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Bt2aは、第1の補助コイルLccが発生する磁束Bccによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。同様に、送電コイルLtが発生する磁束Bt2bの向きと第2の補助コイルLcdが発生する磁束Bcdの向きは同じ向きである。つまり、第2の補助コイルLcdが発生する磁界は、送電コイルLtと受電コイルLrとの間に生じる磁界の一部を強めている。このように、送電コイルLtと受電コイルLrとの間では、送電コイルLtが発生する磁束Bt2bの向きと第2の補助コイルLcdが発生する磁束Bcdの向きがほぼ同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する電力伝送に寄与する磁束Bt2bは、第2の補助コイルLcdが発生する磁束Bcdによって相殺されない。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。なお、上述のとおり、送電コイルLtと受電コイルLrを共に鎖交する磁束Bt2a〜Bt2dのうち、送電コイルから離れた場所にまで周回する磁束Bt2a,Bt2bは、第1及び第2の補助コイルLcc,Lcdが発生する磁束Bcc,Bcdによって相殺されるが、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Bt2c,Bt2dは、送電コイルLtの近傍を周回する磁束Bt2a,Bt2bと比べれば、比較的磁束の密度は非常に低い。したがって、送電コイルLtから離れた場所にまで大きく周回する磁束Bt2c,Bt2dが相殺されたことによる電力伝送効率の低下は僅かである。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る送電コイルユニットLtu2においては、第1及び第2の補助コイルLca,Lcc,Lcb,Lcdは、送電コイルLtの背面側であって、送電コイルLtの軸方向から見て送電コイルLtの巻線Wtによって区画される領域の外側に配置され、また、第1及び第2の補助コイルLca,Lcc,Lcb,Lcdの軸は、送電コイルLtの軸と非平行であり、送電コイルLtと第1及び第2の補助コイルLca,Lcc,Lcb,Lcdのそれぞれは、コイルユニットの中心から外側に向かうに方向に当該コイルを鎖交する磁束を同時に発生する。そのため、送電コイルLtから離れた場所においては、送電コイルLtが発生する磁束Bt1c,Bt1d,Bt2c,Bt2dの向きと第1及び第2補助コイルLca〜Lcdが発生する磁束Bca〜Bcdの向きは互いに逆向きとなり、送電コイルLtの近傍においては、送電コイルLtが発生する磁束Bt1a,Bt1b,Bt2a,Bt2bの向きと第1及び第2補助コイルLca〜Lcdが発生する磁束Bca〜Bcdの向きは互い同じ向きとなる。したがって、送電コイルLtから離れた場所の磁界強度は低下し、送電コイルLt近傍の磁界強度は高くなる。その結果、送電コイルLtから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る送電コイルユニットLtu2においては、複数の第1及び第2の補助コイルLca及びLcbと、Lcc及びLcdを備え、それぞれの対をなす第1の補助コイルLcaと第2の補助コイルLcbの中心同士を結ぶ仮想線と、第1の補助コイルLccと第2の補助コイルLcdの中心同士を結ぶ仮想線は互いに非平行である。したがって、送電コイルLtから離れた場所の磁界を低減できる領域が拡大するため、送電コイルLtから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減する効果がより一層高くなる。
【0076】
以下、本実施形態によって、送電コイルから離れた場所に形成される不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制できることを実施例1と比較例1、2とによって具体的に示す。
【0077】
実施例1として、上述した第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を用いた。比較例1として、実施例1と特性を比較するために、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1において、補助コイルを取り除いたワイヤレス電力伝送装置を用いた。比較例2として、実施例1と特性を比較するために、比較例1に送電コイルの作る磁束と鎖交するノイズ相殺用コイルLn20を追加したワイヤレス電力伝送装置を用いた。
【0078】
まず、図12を参照して、比較例1のワイヤレス電力伝送装置における送電コイルユニットLtu10と受電コイルLr10の構成を説明する。図12は比較例1の送電コイルユニットを受電コイルとともに示す断面図である。送電コイルユニットLtu10は、磁性体F10と、送電コイルLt10と、を備える。送電コイルLt10は、略方形を呈した平面状のスパイラル構造のコイルであり、図12に示されるように、磁性コアCt10に巻線Wt10が巻回されて形成されている。磁性コアCt10は磁性体F10に接続されている。比較例1の送電コイルユニットLtu10は、実施例1のワイヤレス電力伝送装置S1の送電コイルユニットLtu1から、第1の補助コイルLcaと第2の補助コイルLcbを取り除いた形態である。また、受電コイルLr10は、巻線が平面状に巻回されるスパイラルコイルである。比較例1の受電コイルLr10は、実施例1のワイヤレス電力伝送装置S1における受電コイルLrと同様である。
【0079】
次に、図13を参照して、比較例2のワイヤレス電力伝送装置における送電コイルユニットLtu20と受電コイルLr10の構成を説明する。図13は比較例2の送電コイルユニットを受電コイルLrとともに示す断面図である。送電コイルユニットLtu20は、磁性体F10と、送電コイルLt10と、ノイズ相殺用コイルLn20と、を備える。比較例2の送電コイルユニットLtu20は、比較例1の送電コイルユニットLtu10にノイズ相殺用コイルLn20を追加した形態である。ノイズ相殺用コイルLn20は、略方形を呈した平面状のスパイラル構造のコイルである。図13に示されるように、送電コイルLt10と磁性体F10の間において、磁性コアCt10にノイズ相殺用コイルLn20の巻線Wn20が巻回されている。このような構成により、ノイズ相殺用コイルLn20は、送電コイルLt10の作る磁束に鎖交することとなる。ここで、ノイズ相殺用コイルLn20は、送電コイルLt10に対して、それぞれ巻回方向が逆向きである。また、受電コイルLr10は、実施例1のワイヤレス電力伝送装置S1における受電コイルLrと同様である。
【0080】
ここで、実施例1と比較例1,2における、送電コイルLt,Lt10の巻線Wt、Wt10、第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの巻線Wca,Wcb、ノイズ相殺用コイルLn20の巻線Wn20、及び受電コイルLr,Lr10の巻線Wr、Wr10には、ポリイミドで被覆した直径0.05mmの銅線を4000本程度撚り合わせた直径約6mmのリッツ線を用いた。また、送電コイルLt,Lt10の磁性コアCt,Ct10,第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの磁性コアCca,Ccb、磁性体F1,F10、及び受電コイルLr,Lr10の磁性コアCr,Cr10には、同じ材質のフェライト(比透磁率3000程度)を用いた。
【0081】
さらに、実施例1の送電コイルユニットLtu1においては、長さ400mm、幅300mm、厚さ15mmの磁性体F1と、長さ100mm、幅300mm、厚さ24mmの送電コイルLtの磁性コアCtと、長さ40mm、幅300mm、厚さ15mmの第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの磁性コアCca,Ccbと、長さ150mm、長さ100mm、幅300mm、厚さ24mmの受電コイルLrの磁性コアCrを用いた。比較例1の送電コイルユニットLtu10及び比較例2の送電コイルユニットLtu20においては、長さ400mm、幅300mm、厚さ15mmの磁性体F10と、長さ100mm、幅300mm、厚さ24mmの送電コイルLt10の磁性コアCt10と、長さ100mm、幅300mm、厚さ24mmの受電コイルLr10の磁性コアCr10を用いた。
【0082】
またさらには、実施例1と比較例1,2における、送電コイルLt,Lt10、及び受電コイルLr,Lr10の巻数は各20ターンとして、実施例1における第1及び第2の補助コイルLca,Lcbの巻数は各5ターン、比較例2におけるノイズ相殺用コイルLn20の巻数は10ターンとした。
【0083】
なお、実施例1と比較例1、2において、それぞれの送電コイルユニットLtu1、Ltu10、Ltu20と受電コイルLr,Lr10の間の距離は150mmに設定した。
【0084】
続いて、実施例1と比較例1、2において、電力伝送効率と不要な漏洩磁界を測定した。このとき受電コイルLr,Lr10は、位置ずれが無い状態、すなわち、送電コイルユニットLtu1,Ltu10,Ltu20と受電コイルLr,Lr10の間の距離を150mmに保ちつつ、受電コイルLr,Lr10の中心とそれぞれの送電コイルユニットLtu1,Ltu10,Ltu20の中心を結ぶ仮想線における送電コイルユニットLtu1,Ltu10,Ltu20と受電コイルLr,Lr10の距離も150mmとなる状態で測定を行った。なお、電源PWの供給電力は、負荷Rに供給される電力が3kWとなるように調節した。
【0085】
電力伝送効率は、事前に測定したインバータINVでの損失と、整流回路DBでの損失を考慮しつつ、電源PWが供給する電力と負荷Rに供給される電力を測定して送電コイルユニットと受電コイルの間の効率を算出した。
【0086】
不要な漏洩磁界は、送電コイルユニットの中心から5m離れた位置の磁界強度を指標とした。送電コイルユニットの中心から、磁性体F1、F10の長手方向に5m離れた位置にループアンテナを設置して磁界強度を測定した。ここで、ループアンテナでは、直交する3方向(X、Y、Z方向)の磁界強度を測定し、これらを合成することで漏洩磁界強度を算出した。なお、送電コイルユニットは床面から500mmの高さに、電力を伝送する面を上に向けて設置しており、受電コイルは、送電コイルユニットの上に、150mmの間隔を空けて設置した。また、ループアンテナは中心が電波暗室の床から1.5mの高さとなるように設置した。
【0087】
実施例1と比較例1,2の測定結果を図14に示す。図中、棒グラフが電力伝送効率を示しており、折れ線グラフが漏洩磁界強度を示している。
【0088】
まず、実施例1と比較例1,2の測定結果について考察する。図14に示されるように、実施例1は、比較例1に比べて、電力伝送効率は僅かに低下するものの、ほぼ同程度であり、漏洩磁界強度は低くなっている。また、実施例1は、比較例2に対して、電力伝送効率は高く、漏洩磁界強度はほぼ同程度となっている。すなわち、実施例1の補助コイル(第1及び第2の補助コイルLca,Lcb)は、電力伝送に寄与する磁束は相殺しないので、補助コイルを備えない比較例1に比べて、電力伝送効率の低下が抑制されている。また、実施例1では、補助コイルが不要な漏洩磁界を形成する磁束を相殺するので、補助コイルを備えない比較例1に比べて、漏洩磁界強度は顕著に小さくなっている。一方、比較例2では、ノイズ相殺用コイル(Ln20)が、電力伝送に寄与する磁束と、不要な漏洩磁界を形成する磁束を、共に相殺するため、電力伝送効率と漏洩磁界強度が共に低下したと考えられる。以上のように、実施例1の送電コイルユニットLtu1は、不要な漏洩磁界を低減しつつ、電力伝送効率の低下を抑制できることが確認できた。
【0089】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0090】
S1,S2,S3…ワイヤレス電力伝送装置、Ut1、Ut2…ワイヤレス送電装置、PW…電源、INV…インバータ、Ur,Ur2…ワイヤレス受電装置、Ltu1,Ltu2,Ltu10,Ltu20…送電コイルユニット、Lt,Lt10…送電コイル、Ct,Ct10……送電のコイルの磁性コア、Wt、Wt10…送電コイルの巻線、Lca,Lcc…第1の補助コイル、Lcb,Lcd…第2の補助コイル、Cca,Ccc…第1の補助コイルの磁性コア、Ccb,Ccd…第2の補助のコイルの磁性コア、Wca,Wcd…第1の補助コイルの巻線、Wcb,Wcd…第2の補助コイルの巻線、F1,F2,F10…磁性体、Lr,Lr10…受電コイル、Lra…第1の受電コイル、Lrb…第2の受電コイル、Cr、Cr10…受電コイルの磁性コア、Cra…第1の受電コイルの磁性コア、Crb…第2の受電コイルの磁性コア、Wr、Wr10…受電コイルの巻線、Wra…第1の受電コイルの巻線、Wrb…第2の受電コイルの巻線、DB…整流回路、R…負荷、Ln20…ノイズ相殺用コイルの巻線、Bta〜Btd,Bta2〜Btd2,Bt1a〜Bt1d,Bt2a〜Bt2d…送電コイルが発生する磁束、Bca,Bcc…第1の補助コイルが発生する磁束,Bcb,Bcd…第2の補助コイルが発生する磁束。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
図14