特許第6164471号(P6164471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164471
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】ベーカリーオーブン
(51)【国際特許分類】
   A21B 3/07 20060101AFI20170710BHJP
   A47J 37/08 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   A21B3/07
   A47J37/08 101
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-110492(P2013-110492)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-226114(P2014-226114A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】592181440
【氏名又は名称】株式会社マルゼン
(74)【代理人】
【識別番号】100080104
【弁理士】
【氏名又は名称】仁科 勝史
(72)【発明者】
【氏名】石崎 孝治
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 伸浩
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−289863(JP,A)
【文献】 特開2001−324150(JP,A)
【文献】 実開昭53−104169(JP,U)
【文献】 実開昭58−035710(JP,U)
【文献】 特開2001−349560(JP,A)
【文献】 特開昭63−038413(JP,A)
【文献】 特開昭52−134070(JP,A)
【文献】 米国特許第04025299(US,A)
【文献】 特開平02−040483(JP,A)
【文献】 米国特許第04203696(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21B 3/07
A47J 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーブン架台上に、単数又は複数のオーブン庫を有するオーブン本体設置
前記オーブン庫の奥行きより全長が長いスリップピールを用いて、該オーブン本体の正面側から前記オーブン庫に対し該スリップピールを挿入及び抜き出すことによりスリップピール上面に載置したパン生地を該オーブン庫内に挿入配置して使用する業務用ベーカリーオーブンにおいて、
前記オーブン本体下方のオーブン架台が、奥行きを前記オーブン庫を有するオーブン本体の奥行きより長く、且つ、スリップピール全体が納まる長さに、前記オーブン架台の前方部を、前記オーブン本体より前方に突出したものとし、
該オーブン架台内、前記オーブン庫位置とほぼ同じ水平位置に、スリップピールが水平に収納でき、且つ、正面の挿入口に扉を設けて閉鎖空間としたスリップピールの収納庫を設け、前記突出させたオーブン架台前方部の天部を作業板とした
ことを特徴とする業務用ベーカリーオーブン。
【請求項2】
上記業務用ベーカリーオーブンの側方にエレベータ装置を設け、
該エレベータ装置に、昇降及び上記オーブン庫及び収納庫の前方の高さ位置で停止可能なエレベータテーブルを装着し
該エレベータテーブルを、上記スリップピールが載置及びスライド可能なるよう前記オーブン庫及び収納庫の方向に向かって上記スリップピールの長手方向の長さの半分以上の長さを有するものとし、
該エレベータテーブルに、前記スリップピールを、前記オーブン庫及び収納庫に向かってスライド可能に載置した
ことを特徴とする請求項1記載の業務用ベーカリーオーブン。
【請求項3】
上記収納庫の正面の挿入口に設けられた扉と、上記オーブン庫の挿入口に設けられた扉とが略同形の内開きの跳ね上げ式扉であることを特徴とする請求項1又は2記載の業務用ベーカリーオーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブン庫内にパン生地を挿入配置する生地挿入装置を用いたベーカリーオーブンの改良に関するものであり、主としてフランスパン等の焼成用のベーカリーオーブンにおいて、パン生地をオーブン庫内に挿入配置するためのスリップピールの収納庫をオーブン庫の下方部に設けることを主眼に開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
業務用のベーカリーオーブンでは、一度に多くのパン生地をオーブン庫に挿入配置するためスリップピールというパン生地挿入装置を用いている。特にフランスパンなどのハードなパンの焼成の際に用いられている。
【0003】
スリップピール等のパン生地挿入装置は、未使用時には作業をする上で邪魔になるため保管場所を確保する必要があった。更に、スリップピール等は大きく重量もあるため、特に女性作業者の場合には、持ち運びが容易ではなかった。また、保管場所の確保に苦労する場合も多かった。
【0004】
従来、使用後のスリップピールの保管は、スリップピール等を自力で持ち運び、ベーカリーオーブンの側面に立てかけておいたり、別の場所に運んで保管するのが常であった。また、ベーカリーオーブンの前面にスリップピール専用のエレベータがある場合には、エレベータテーブルにスリップピールを載せ、エレベータの最上部に位置させて保管していた。
【0005】
専用エレベータの最上部で保管する場合には、埃や油煙の付着がある上、作業スペースの上部にパン生地挿入装置が位置するため照明が遮断され、作業場が暗くなるという難点があった。
【0006】
そこで、特許文献1に示されるようにスリップピール等を電動式回動装置により縦方向に位置させ、ベーカリーオーブン側面に立てた状態で保管する方法も提案されていた。しかし、特許文献1のように電動でスリップピール等を回動移動させて、ベーカリーオーブン側方に保管したとしても、回動移動のための装置が必要な上、ベーカリーオーブン側方に保管のためのスペースが必要となり、装置の複雑化及び大型化を招いてしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−61400号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スリップピールの収納庫を、オーブン本体下方のオーブン架台内で、オーブン庫位置とほぼ同じ水平位置に、スリップピールが、水平に収納できるように設けることにより、該収納庫内へスリップピールを保管できるようにして、スリップピールを埃や油煙による汚れから守り、且つ、他の作業の邪魔や照明の障害にもならないスリップピールの収納庫を有するベーカリーオーブンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の発明は、業務用ベーカリーオーブンに次の手段を採用する。
第1に、オーブン架台上に、単数又は複数のオーブン庫を有するオーブン本体設置したベーカリーオーブンとする。
第2に、前記オーブン庫の奥行きより全長が長いスリップピールを用いて、該オーブン本体の正面側から前記オーブン庫に対し該スリップピールを挿入及び抜き出すことによりスリップピール上面に載置したパン生地を該オーブン庫内に挿入配置して使用する業務用ベーカリーオーブンとする。
第3に、前記オーブン本体下方のオーブン架台が、奥行きを前記オーブン庫を有するオーブン本体の奥行きより長く、且つ、スリップピール全体が納まる長さに、前記オーブン架台の前方部を、前記オーブン本体より前方に突出したものとする。
第4に、該オーブン架台内に、前記オーブン庫位置とほぼ同じ水平位置に、スリップピールが水平に収納でき、且つ、正面の挿入口に扉を設けて閉鎖空間としたスリップピールの収納庫を設け、前記突出させたオーブン架台前方部の天部を作業板とした。
【0011】
の発明は、第1の発明に、以下の構成を付加した業務用ベーカリーオーブンである。
第1に、上記業務用ベーカリーオーブンの側方にエレベータ装置を設ける。
第2に、該エレベータ装置に、昇降及び上記オーブン庫及び収納庫の前方の高さ位置で停止可能なエレベータテーブルを装着する。
第3に、該エレベータテーブルを、上記スリップピールが載置及びスライド可能なるよう前記オーブン庫及び収納庫の方向に向かって上記スリップピールの長手方向の長さの半分以上の長さを有するものとする。
第4に、該エレベータテーブルに、前記スリップピールを、前記オーブン庫及び収納庫に向かってスライド可能に載置した。
【0012】
の発明は、第1又は第2の発明に、上記収納庫の正面の挿入口に設けられた扉と、上記オーブン庫の挿入口に設けられた扉と略同形の内開きの跳ね上げ式扉であることを付加した業務用ベーカリーオーブンとする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明は、第1に、スリップピールの収納庫を、オーブン本体の下方のオーブン架台内に設けることにより、オーブン側方に立てかける場合と比較して、場所を取らず、整頓性の良い作業空間が確保できた。その結果、狭い厨房スペースを有効利用できると共に、従来の問題点であった専用エレベータの最上部で保管する場合のスリップピールに対する埃や油煙による汚れを生じさせず、且つ、他の作業の邪魔や照明の障害にもならないスリップピールの収納庫を有する業務用ベーカリーオーブンを提供することができた。
【0014】
第2に、スリップピールの収納庫を、オーブン本体下方のオーブン架台内で、オーブン庫位置とほぼ同じ水平位置に、スリップピールが、水平に収納できるように設けたので、スリップピールを使用状態と同様の位置及び姿勢で収納できた。従って、特許文献1に示されるような電動でスリップピール等を回動移動させる場合の問題点であった装置の複雑化や装置の設置面積の拡大という問題を生じさせずに、作業効率の良い業務用ベーカリーオーブンを提供することができた。
【0015】
第3に、オーブン架台の前方部が、オーブン本体より前方に突出し、その天部が作業板とされることにより、作業中の使用道具等の仮置き場所としたり、作業の補助に利用できたりして、作業効率の良いものとなった。尚、作業板確保のためオーブン架台を前方へ突出させたため、スリップピールの収納庫を設けるスペースを簡単に確保することができた。
更に、該収納庫の正面の挿入口に扉を設けて閉鎖空間としたため、スリップピールを衛生的に保管できるものとなった。
【0016】
の発明の効果ではあるが、スリップピールエレベータテーブルを有するエレベータ装置を設けたため、該エレベータテーブルを、上下にある複数のオーブン庫間及びオーブン庫と収納庫間で昇降させることができ、且つ、オーブン庫及び収納庫の前方の高さ位置で停止できるものとしたため、スリップピールの移動や挿入作業を安全にできる上、作業が楽で、作業効率の良いものとなった。
【0017】
更に、第の発明の効果ではあるが、エレベータテーブルは、業務用ベーカリーオーブンの前方部にあり、載置されたスリップピールは、オーブン庫及び収納庫に向かってスライド可能であるため女性作業者等にも、スリップピールをオーブン庫や収納庫に挿入する作業やオーブン庫や収納庫より抜き出す作業が容易にできるものとなった。
【0018】
の発明の効果ではあるが、収納庫の挿入口に、オーブン庫の挿入口に設けられた扉と略同形の内開きの跳ね上げ式扉が設けられていることにより、スリップピールをオーブン架台の収納庫の扉に差し入れると、扉が開き、スリップピール全体が納まり、扉が閉まるため、スリップピールを衛生的に保管できるものとなった。また、略同形の扉としたことによりデザイン的にも統一感のあるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施例に係るベーカリーオーブンでのスリップピールの収納を示す側面説明図
図2】同ベーカリーオーブンの正面図
図3】同実施例の斜視図
図4】同実施例でのスリップピール収納途中を示す斜視図
図5】同実施例でのオーブン庫へのスリップピール挿入途中を示す斜視図
図6】同スリップピール抜き出し途中を示す斜視図
図7】同スリップピール抜き出し完了時を示す斜視図
図8】第2実施例に係るエレベータ付きベーカリーオーブンでのスリップピール収納を示す側面説明図
図9】同実施例のエレベータ付きベーカリーオーブンの斜視図
図10】同実施例でのスリップピール収納途中を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。
第1実施例は、スリップピールを手動でオーブン庫又は収納庫に対して挿入及び抜き出す方式のベーカリーオーブンであり、第2実施例は、スリップピールをエレベータ装置により上下動させエレベータテーブル上をスライドさせてオーブン庫又は収納庫に対して挿入及び抜き出す方式のベーカリーオーブンである。
【0021】
先ず、第1実施例に係るベーカリーオーブンについて説明する。
図1は第1実施例に係るベーカリーオーブンでのスリップピールの収納を示す側面説明図であり、図2は同実施例であるスリップピールの収納庫を有するベーカリーオーブンの正面図であり、図3は同実施例の斜視図である。
【0022】
符号1はベーカリーオーブンであり、第1実施例に係るベーカリーオーブン1は、フランスパン等を焼成するためのオーブンである。符号2はオーブン本体であり、オーブン本体2は、3個のオーブン庫20が縦に配列されている。第1実施例においては、オーブン本体2は3個のオーブン庫20を有するが、オーブン庫20はこの数に限定されるものではない。もっと多くても1個であっても構わない。符号3は、オーブン架台であり、オーブン本体2は、オーブン架台3の上面に設置されている。
【0023】
フランスパン等を焼成するためのこの種のベーカリーオーブン1は、パン生地をオーブン庫20内に配置するためスリップピール4を用いる。
【0024】
スリップピール4は、オーブン本体2の正面側からオーブン庫20に対し挿入及び抜き出すことにより、スリップピール4の上面の回動布40に載置したパン生地を該オーブン庫20内に挿入配置する。
【0025】
オーブン本体2に配列された各オーブン庫20には、正面側、即ち、スリップピール4が挿入される側に、挿入口21と、該挿入口21に内開きの跳ね上げ式オーブン扉22とが設けられている。各オーブン庫20の各挿入口21の側方には、オーブン扉22を手動で開閉するためのオーブン扉レバー23がそれぞれ設けられている。該オーブン扉レバー23を操作して、パン生地焼成中に手動によりオーブン扉22を開き、オーブン庫20内に籠もった蒸気等を外部に排出し、温度及び湿度の調節を行う。
【0026】
各オーブン庫20の各挿入口21の左右には、スリップピールガイド24が設けられている。他方、スリップピール4の回動布40には、スリップピールガイド24に係合する引掛け棒41が設けられている。引掛け棒41をスリップピールガイド24に係合させた状態で、スリップピール4をオーブン庫20内より抜き出すと、回動布40が回動して、スリップピール4の上面の回動布40に載置されたパン生地がオーブン庫20内に挿入配置される。
【0027】
オーブン本体2が載置固定されるオーブン架台3は、その奥行きが、オーブン本体2の奥行きより長く、該オーブン架台3の前方部が、オーブン本体2より前方に突出し、その天部が作業板6とされる。実施例では、オーブン架台3の奥行きは223cm、オーブン本体2の奥行きは183cm、作業板6の奥行きが40cm確保されている。これにより、作業中の使用道具を作業板に仮置きできる等、作業効率の良いものとなっている。
【0028】
オーブン本体2の下方のオーブン架台3内には、スリップピール4の収納庫5が、オーブン庫20の位置とほぼ同じ水平位置に、スリップピール4が水平に収納できるように設けられている。これにより、スリップピール4を不使用時も使用状態と同様の位置関係で収納できるので、装置の複雑化や装置の設置面積の拡大という問題を生じさせずに、作業効率の良いベーカリーオーブンを提供することができるものとなった。
【0029】
収納庫5の正面はスリップピール4の挿入口7とされる。挿入口7には、オーブン庫20の挿入口21に設けられたオーブン扉22と略同形の内開きの跳ね上げ式扉である収納扉8が設けられている。これにより、スリップピール4を収納庫5の収納扉8に差し入れると、収納扉8が開き、スリップピール4全体が納まり、収納扉8が閉まるため、収納作業が単純化される。
【0030】
尚、作業板6の部分を確保するためオーブン架台3の奥行きを長くしたことにより、オーブン庫20の奥行きより全長が長いスリップピール4であっても、確実に収納でき、収納扉8を有する長い収納庫5を設けることが容易になった。
【0031】
勿論、スリップピール4を収納扉8で閉鎖した空間で収納するため、スリップピール4を衛生的に保管できる。また、オーブン庫20のオーブン扉22と略同形の収納扉8としたことにより、同形の形態が縦方向に連続し、デザイン的にも統一感のあるものとなった。
【0032】
以下、図4から図7に従って、第1実施例のベーカリーオーブン1の使用方法について説明する。図4乃至図7は、第1実施例でのベーカリーオーブン1におけるスリップピール4の使用方法及び収納方法を示す斜視図であり、図5はオーブン庫20へスリップピール4を挿入する途中を示す斜視図であり、図6は同スリップピール4を抜き出す途中を示す斜視図であり、図7は同スリップピール4の抜き出し完了時を示す斜視図である。尚、図4がスリップピール4を収納庫5に収納する途中を示し斜視図である。
【0033】
先ず、パンを焼成するときは、スリップピール4に取り付けられる回動布40上に図示されていないパン生地を載置する。パン生地を載置されたスリップピール4は、図5に示されるように、作業者により所望のオーブン庫20へ挿入される。挿入完了時には、スリップピール4の回動布40の引掛け棒41をスリップピールガイド24に係合させる。
【0034】
挿入されたスリップピール4は、図6から図7に示されるようにオーブン庫20から抜き出される。スリップピール4の回動布40は、引掛け棒41により動きを規制され、回動しながらパン生地をオーブン庫20内へ残存していく。所望のパン生地が挿入配置された後、パン生地は焼成される。使用済みのスリップピール4は、作業者により、図4に示されるように、オーブン架台3に設けられた収納庫5に挿入され、収納される。
【0035】
次に、第2実施例に係るベーカリーオーブン11の実施の形態について、図8乃至図10に基づいて説明する。図9は、第2実施例を示すベーカリーオーブン11の斜視図、即ち、スリップピール4の収納庫5を有するエレベータ付きベーカリーオーブン11の斜視図であり、図8は同実施例でのエレベータテーブル9の停止位置、及び、スリップピール4の収納庫5への収納を示す側面説明図であり、図10は同実施例でのスリップピール4の収納途中を示す斜視図である。
【0036】
第2実施例に係るベーカリーオーブン11も、基本的には第1実施例と同様である。即ち、フランスパン等を焼成するためのオーブンであり、3個のオーブン庫20が縦に配列されたオーブン本体2と、該オーブン本体2が上面に設置されるオーブン架台3を有する点で第1実施例と同様の構造を有する。
【0037】
第1実施例と相違するのは、エレベータテーブル9が装着されたエレベータ装置10を設けた構造である。以下においては、第2実施例に係るベーカリーオーブン11の実施の形態のうち、第1実施例と相違するエレベータテーブル9が装着されたエレベータ装置10の実施の形態について説明する。
【0038】
第2実施例のベーカリーオーブン11は、第1実施例におけるベーカリーオーブン1の側方にエレベータ装置10を設けたものである。エレベータ装置10は、ベーカリーオーブン11の正面前方部に、第の発明におけるエレベータテーブル9を装着したものである。
【0039】
エレベータテーブル9は、スリップピール4が載置でき、且つ、オーブン庫20及び収納庫5に向かって該スリップピール4をスライドさせることができるスライド部材である。
【0040】
エレベータテーブル9は、スリップピール4がスライド可能な2本のレールからなる。該2本のレールの長さは、そのスリップピール4のオーブン庫20及び収納庫5への挿入方向である長手方向の長さより半分以上長い長さを有する。これにより、スリップピール4の保持を可能とする。エレベータテーブル9を設けることにより、女性作業者等にも、生地挿入装置をオーブン庫に挿入する作業やオーブン庫より抜き出す作業が容易にできるものとなった。
【0041】
エレベータ装置10は、エレベータテーブル9を、上下のオーブン庫20間、及びオーブン庫20と収納庫5とのを昇降でき、且つ、該エレベータテーブル9を各オーブン庫20及び収納庫5の前方の高さ位置で停止可能である。これにより、スリップピール4の移動や挿入作業を安全にできる上、作業が楽で、作業効率の良いものとなった。
【0042】
以下、図8乃至図10に従って、第2実施例に係るベーカリーオーブン11の使用方法について説明する。先ず、エレベータ装置10を作動させ、エレベータテーブル9を図9に示される位置まで下げて、停止させる。その後、収納庫5に収納されているスリップピール4を、収納庫5よりスライドさせて引き出し、収納庫5の前に位置させたエレベータテーブル9上に載置する。
【0043】
次に、スリップピール4の回動布40上に図示されないパン生地を載置する。その後、スリップピール4が載置されたエレベータテーブル9を、エレベータ装置10により上昇させ、図8に2点鎖線で示される位置のオーブン庫20の前に停止させる。
【0044】
次に、作業者がスリップピール4を押すことにより、スリップピール4は、スライド部材であるエレベータテーブル9上をスライドし、所望のオーブン庫20に対して挿入される。その後、スリップピール4を抜き出すことにより、回動布40の上面に載置されたパン生地はオーブン庫20内に挿入載置されていく。所望のパン生地が挿入配置された後、パン生地は焼成される。
【0045】
次に、所望のオーブン庫20内にパン生地を配置した使用済みのスリップピール4は、図8中実線で示されるようにエレベータ装置10のエレベータテーブル9により収納庫5の前に位置させられる。その後、図10に示されるように作業者によりエレベータテーブル9上から、スライドさせて収納庫5内に挿入され、図8中2点鎖線で示されるように収納される。
【0046】
最後に、スリップピール4を収納庫5内に収納した使用済みのエレベータテーブル9は、エレベータ装置10により最上部に移動され、図8中、2点鎖線で示される最上部のエレベータテーブル9の位置で保管される。
【符号の説明】
【0047】
1、11・・・・・ベーカリーオーブン
2・・・・・・・・オーブン本体
3・・・・・・・・オーブン架台
4・・・・・・・・スリップピール
5・・・・・・・・収納庫
6・・・・・・・・作業板
7、21・・・・・挿入口
8・・・・・・・・収納扉
9・・・・・・・・エレベータテーブル
10・・・・・・・エレベータ装置
20・・・・・・・オーブン庫
22・・・・・・・オーブン扉
23・・・・・・・オーブン扉レバー
24・・・・・・・スリップピールガイド
40・・・・・・・回動布
41・・・・・・・引掛け棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10