(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164507
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】高投与量の徐放性クエン酸カリウムワックスマトリックスタブレット
(51)【国際特許分類】
A61K 31/194 20060101AFI20170710BHJP
A61K 9/26 20060101ALI20170710BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20170710BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20170710BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20170710BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20170710BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
A61K31/194
A61K9/26
A61K47/44
A61P13/12
A61P13/02
A61P29/00
A61P1/04
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-560135(P2015-560135)
(86)(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公表番号】特表2016-510024(P2016-510024A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】PH2013000007
(87)【国際公開番号】WO2014133401
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】517163814
【氏名又は名称】ユナイテッド・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル・ジー・メンドーサ
(72)【発明者】
【氏名】リタ・ジョセフィーナ・エム・サントス
(72)【発明者】
【氏名】ケニー・ユー・ディー
【審査官】
常見 優
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0131504(US,A1)
【文献】
特表2012−515255(JP,A)
【文献】
特開2011−006797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融または加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよびカルナバワックスからなる第一の部分;および
未顆粒化のクエン酸カリウムからなる第二の部分を含む、カルナバワックス含有の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項2】
前記高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットが、10ミリ当量よりも多くのクエン酸カリウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項3】
前記高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットが、15ミリ当量のクエン酸カリウムを含有することを特徴とする請求項2に記載の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項4】
前記未顆粒化のクエン酸カリウムが全クエン酸カリウム量の10−30%であることを特徴とする請求項1に記載の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項5】
前記未顆粒化のクエン酸カリウムが全クエン酸カリウム量の15−25%であることを特徴とする請求項4に記載の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項6】
溶融または加熱顆粒物中のカルナバワックスが顆粒物の全重量の7−25%であることを特徴とする請求項1に記載の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項7】
溶融または加熱顆粒物中のカルナバワックスが顆粒物の全重量の10−18%であることを特徴とする請求項6に記載の高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項8】
溶融または加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよびカルナバワックスからなる第一の部分;および
未顆粒化のクエン酸カリウムからなる第二の部分を含み、
前記未顆粒化のクエン酸カリウムが全クエン酸カリウム量の15−25%であり、かつ、前記溶融または加熱顆粒物がカルナバワックスの10−18%w/wであることを特徴とする15ミリ当量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項9】
さらに潤滑剤を含む、請求項8に記載の15ミリ当量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【請求項10】
前記潤滑剤がステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項9に記載の15ミリ当量の徐放性クエン酸カリウムタブレット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
クエン酸カリウムは、尿pHをアルカリ性にし、かつ、尿クエン酸濃度を上昇させることにより、腎臓結石を処置するために臨床的に用いられる。しかしながら、その治療効果は、胃腸の合併症、例えば炎症および潰瘍により限定される。クエン酸カリウムの徐放性タブレットによれば、これらの副作用を最小化し、および尿pHおよびクエン酸濃度の持続的上昇へ導くことが示される(Pak et al., 1984)。
【0002】
クエン酸カリウムを含む徐放性マトリックスタブレットの製造に際して、相当な困難性に直面してきた。クエン酸カリウムは水中で非常に溶解性があり、必要とされる投与量は非常に高い。飲み込める条件を満たすタブレットサイズを維持しながら、クエン酸カリウムタブレットの放出を引き延ばす唯一の方法は、不活性成分の全量が25%w/w未満である疎水性のワックスマトリックス、例えばカルナバワックスを用いることである。
【0003】
薬物含有量が低い場合、カルナバワックスは、薬物および他の不活性成分と一緒に圧縮成形前に乾燥混合することができる。例えば、US4,904,478号は、高水溶性薬物であるフッ化ナトリウムの徐放性ワックスマトリックスタブレットを教示し、このタブレットは、タブレット重量の35−70%w/wで存在するカルナバワックスを薬物および他の不活性成分と一緒に圧縮成形前に乾燥混合している。
【0004】
クエン酸カリウムの場合においては、薬物投与量が高いため、飲み込める条件を満たすタブレットサイズを維持するために、徐放剤を含む不活性成分を25%w/w未満で維持する必要がある。カルナバワックスが、25%w/w未満で用いられる場合、先行技術は、US 2008/0131504 A1(ミッション・ファーマカル(Mission Pharmacal)、サンアントニオ、TX、USA)の実施例1に記載されているように、薬物およびカルナバワックスをカルナバワックスが液化するまで加熱して、許容される徐放性プロファイルおよび摩損性を付与することを教示している。摩損性は、圧縮成形されたときからパッキングまで、および使用するときまでのタブレットの永続性の指標となる。
【0005】
US 2008/0131504 A1のカルナバワックスを含む徐放性のクエン酸カリウムタブレットの製造方法は困難性がある。カルナバワックスが液化するまで加熱することに時間を要し、ミキサーから溶融クエン酸カリウム−カルナバワックス混合物を放出してしまうという問題がある。冷却した塊は極めて硬く、このため、溶融した塊をモールドに注ぐ必要があり、冷却した混合物は破砕装置に送るために適切なサイズにする必要がある。
【0006】
よりシンプルな徐放性のクエン酸カリウムタブレットの製造方法がPCT/PH2012/000013に記載されており、これによれば、カルナバワックスを含む徐放性のクエン酸カリウムタブレットがワックスを溶融させずに製造できることを見出しており、驚くべきことである。クエン酸カリウム−カルナバワックス混合物を、カルナバワックスが液化する温度よりは低い温度まで加熱し、顆粒物としてミキサーから放出する。温度は好ましくは55℃よりも高く、最も好ましくは60℃よりも高い。冷却された顆粒物は、潤滑剤を添加した後で、破砕のため破砕装置に直接送られ、最終混合物はタブレットに圧縮成形される。PCT/PH2012/000013に従って製造されたタブレットは、ワックスを完全に溶融させることにより製造されたタブレットと同様の溶解性プロファイルを有している。以後我々は、US 2008/0131504 A1およびPCT/PH2012/000013に記載された製法を、それぞれ溶融顆粒化および加熱顆粒化と呼ぶことにする。
【0007】
徐放性クエン酸カリウムタブレットのイノベータであるミッション・ファーマカルは、Urocit−Kというブランド名称で、三種類の濃度(strength)、5meq(ミリ当量)、10meqおよび15meqタブレットにて、徐放性クエン酸カリウムタブレットを販売している。Urocit−Kの一日投与量は30−60meqであり、5meqタブレットならば6−12個、10meqタブレットならば3−6個、15meqタブレットならば2−4個が必要である。Urocit−Kは、クエン酸カリウム、徐放剤としてのカルナバワックス、および潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含むワックスマトリックスタブレットである。
【0008】
大量なクエン酸カリウムの一日投与量のため、好ましい濃度は、高投与量の15meqタブレットである。しかしながら、市販された唯一の高投与量タブレットである15meqのUrocit−Kタブレットは、USP溶解性要求に適合することが難しい。したがって、一貫してUSP溶解性要求をパスし、かつ、許容される摩損性を有する健全な高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットの要求がある。
【発明の概要】
【0009】
我々は、驚くべきことに、高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットが、溶融または加熱顆粒化のクエン酸カリウムの部分を未顆粒化のクエン酸カリウムに置き換えて製造することができることを見出した。予想に反して、溶融または加熱顆粒化のクエン酸カリウムの部分を未顆粒化のクエン酸カリウムに置き換えて製造することは、摩損性に乏しいタブレットにつながらない。本発明のタブレットは、良好な摩損性を有し、かつ、一貫してUSP溶解性をパスする。さらに、溶融または加熱顆粒化が製造過程で最も難しいステップであるため、溶融または加熱顆粒化のクエン酸カリウムの部分を未顆粒化のクエン酸カリウムに置き換えて製造することは、生産能力を上昇させ、および生産コストを低減する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
徐放性クエン酸カリウムタブレットは、USP35に適合しなければならない。溶解性は、900mlの水中で、装置2を50rpmで、および以下の溶解性特性に適応しなければならない:
【0012】
摩損性は、Erweka TAR20にて測定した。手短に言えば、10個のタブレットを遮蔽された(baffled)287mmIDドラムの内部に配置させた。このドラムを25rpmで4分間回転させた。ドラムでの回転前後での全タブレット重量における差を初期タブレット重量で割った値を、摩損性とする。高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットに望まれる摩損性は、3%以下である。
【0013】
(比較例1)
Urocit−Kの10meqタブレットの三種類の異なる商用のロットを購入し、USP35溶解性の対象とした。結果は以下のとおりである:
【0017】
三種類全てのロットが、徐放性クエン酸カリウムタブレットについてのUSP35の要求に適合する。30分および1時間での平均溶解性(average dissolution)は、それぞれUSP仕様の平均値(mean value)の45%および60%に近い。
【0018】
(実施例2)
10meqタブレットの三つのバッチを、PCT/PH2012/000013の加熱顆粒化技術を用いて調製した。各バッチは100,000タブレットである。この処方を、表5に示す。
【0020】
この手順は以下のとおりである:
1.クエン酸カリウムを、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ8の孔開き篩いを用いて破砕した;
2.上記1からの破砕クエン酸カリウムを、カルナバワックスと、シグマミキサー(sigma mixer)にて20分間混合した;
3.上記2からの顆粒物を、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ12の孔開き篩いを用いて破砕した;
4.上記3からの顆粒物を、ジャケット付のシグマミキサーにて混合を続けながら加熱した。加熱を、カルナバワックスの溶融点よりも低い、70℃に達するまで続けた;
5.上記4からの顆粒物を、プラスチックドラムへ放出し、そのまま室温まで冷却した;
6.上記5からの冷却顆粒物を、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ16の孔開き篩いを用いて破砕した;
7.ステアリン酸マグネシウムをメッシュ30の篩いにかけて、上記6からの破砕顆粒物と、シグマミキサーにて2分間混合した;
8.上記7からの顆粒物を、ストークス−ペンウォルト(Stokes−Pennwalt)製ロータリータブレットプレス機モデル900にて、18.9×8.6mmの楕円タブレットに圧縮成形した。
タブレットの硬度は11−13kpであり、これら三つのバッチについての摩損性は3%未満であった。溶解性プロファイルは以下のとおりである:
【0024】
三種類全てのバッチが、徐放性クエン酸カリウムタブレットについてのUSP35の要求に適合する。30分および1時間での平均溶解性(average dissolution)は、それぞれUSP仕様の平均値(mean value)の45%および60%に近い。
【0025】
(比較例3)
1
5meqのUrocit−Kタブレットの三種類の異なる商用のロットを購入した。1
5meqのタブレット重量は、1
0meqのUrocit−Kタブレットの1.5倍であり、二つの濃度(strength)が互いの倍数であることを示す。USP溶解性の結果は以下のとおりである:
【0029】
三種類のロットのうち二つがUSP溶解性をパスしない。さらに、30分および1時間での平均値(average value)は、それぞれUSP溶解性の下限の35%および50%に近く、これは処方が健全ではないことを示す。
【0030】
(実施例4)
15meqタブレットの三つのバッチを、PCT/PH2012/000013の加熱顆粒化技術を用いて調製した。各バッチは67,000タブレットである。w/wパーセントでの処方は、タブレット重量が1.5倍(1905mg)であること以外は、実施例2と同様である。調製方法は、顆粒物を11−14kpの硬度を有する22.5×9.3mmの楕円タブレットに圧縮成形した以外は、実施例2と同様である。これら三つのバッチに関して摩損性は3%未満であった。溶解性は、USP35に従って行った。結果は以下のとおりである:
【0034】
三種類のバッチのうち二つがUSP溶解性をパスしない。さらに、30分および1時間での平均値(average value)は、それぞれUSP溶解性の下限の35%および50%に近く、これは従来技術に従って調製した高投与量の徐放性タブレットが健全ではないことを示す。
【0035】
(実施例5)
カルナバワックスの濃度の異なる1
5meqタブレットの三つの処方を、PCT/PH2012/000013の加熱顆粒化技術を用いて調製した。この処方を、表15に示す:
【0037】
調製方法は、実施例2と同様である。顆粒物を22.5×9.3mmの楕円タブレットに圧縮成形した。結果は以下のとおりである:
【0039】
タブレット硬度は約10kpであり、摩損性は3%未満であった。カルナバワックスを実施例4の14%から実施例5Aの12%まで低減させても30分および1時間の時点での平均溶解性の値に著しい変化がないことは注目すべきである。
【0041】
最大タブレット硬度は8.9kpであった。この10%の加熱顆粒化カルナバワックスを有する処方は、USP溶解性をパスする一方で、5.8%の摩損性は受け入れ難い。
【0043】
最大タブレット硬度は7.0kpであり、これらの7.5%の加熱顆粒化カルナバワックスを有するタブレットは、摩損性(キャップされたタブレット)およびUSP溶解性をパスしなかった。
【0044】
従来技術の実施例である、比較例3、実施例4、実施例5A、実施例5Bおよび実施例5Cは、クエン酸カリウムの全てがカルナバワックスとともに溶融または加熱顆粒化されたものである場合に、高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットについての摩損性および健全な溶解性の良好なバランスを達成することは困難であることを示す。
【0045】
(実施例6)
未顆粒化および加熱顆粒化のクエン酸カリウムの比率の異なる1
5meqタブレットの三つの処方を調製した。加熱顆粒化のクエン酸カリウムは、実施例2のステップ1−6に従って調製した。このクエン酸カリウム−カルナバワックスの加熱顆粒物は、85.9%のクエン酸塩および14.1%のカルナバワックスである。
【0046】
乾燥添加物の未顆粒化クエン酸カリウムを調製するために、クエン酸カリウムを、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ14の孔開き篩いを用いてミディアムスピードで破砕した。
【0047】
加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムを表19に従って組み合わせた:
【0049】
加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムを、シグマミキサーにて20分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(メッシュ30の篩いを通したもの)を添加し、3分間混合した。最終顆粒物を、ストークス−ペンウォルト(Stokes−Pennwalt)製ロータリータブレットプレス機モデル900にて、22.5×9.3mmの楕円タブレットに圧縮成形した。
【0050】
実施例6Aは15%の未顆粒化のクエン酸カリウムを含み、実施例6Bは20%の未顆粒化のクエン酸カリウムを含み、および実施例6Cは25%の未顆粒化のクエン酸カリウムを含む。w/wパーセントでの表19の処方を表20に示す:
【0052】
これらのタブレットは、USP溶解性の対象とした。結果は以下のとおりである:
【0054】
実施例6Aのタブレットは、USP溶解性をパスし、30分および1時間のデータはそれぞれUSP溶解性の仕様の平均値(mean value)の45%および60%に近い。タブレット硬度は10kpであり、摩損性は1.9%であった。この実施例は、本発明に従って加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムを組合せることで、良好な摩損性および健全な溶解性を有する高投与量の徐放性クエン酸カリウムとなることを示す。
【0056】
実施例6Bのタブレットは、USP溶解性をパスし、30分および1時間のデータはそれぞれUSP溶解性の仕様の平均値(mean value)の45%および60%に近い。タブレット硬度は11kpであり、摩損性は1.4%であった。この実施例は、本発明に従って加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムを組合せることで、良好な摩損性および健全な溶解性を有する高投与量の徐放性クエン酸カリウムとなることを示す。
【0058】
実施例6Cのタブレットは、USP溶解性をパスし、30分および1時間のデータはそれぞれUSP溶解性の仕様の平均値(mean value)の45%および60%に近い。タブレット硬度は11.5kpであり、摩損性は1.8%であった。この実施例は、本発明に従って加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムを組合せることで、良好な摩損性および健全な溶解性を有する高投与量の徐放性クエン酸カリウムとなることを示す。
【0059】
(実施例7)
さらに、実施例6Bに従って、1
5meqタブレットの三つの大生産スケールのバッチを調製した。各バッチは、83,000タブレットである。三つのバッチのタブレット硬度は10−12kpであり、摩損性は1−2%であった。溶解性は、USP35に従って行った。結果は以下のとおりである:
【0063】
上記のデータは、本発明に従って調製した高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットの健全なバッチ−バッチでの溶解性および摩損性を明確に示す。
【0064】
(実施例8)
溶融顆粒化のクエン酸カリウム−カルナバワックスを表27の処方に従って調製した:
【0066】
この手順は以下のとおりである:
1.クエン酸カリウムを、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ8の孔開き篩いを用いて破砕した;
2.上記1にて破砕したクエン酸カリウムを、カルナバワックスと、シグマミキサー(sigma mixer)にて20分間混合した;
3.上記2からの顆粒物を、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ12の孔開き篩いを用いて破砕した;
4.上記3からの顆粒物を、ジャケット付のシグマミキサーにて混合を続けながら加熱した。加熱をカルナバワックスが十分に溶融するまで(80℃より上)続けて、その後さらに10分間続けた;
5.上記4からの液体(liquid mass)を2”×2”×2”のモールドに注ぎ、そのまま室温まで冷却した;
6.上記5からのブロックを、ナイフフォワード(knives forward)のフィッツミルD6(Fitzmill D6)にて、メッシュ16の孔開き篩いを用いて破砕した。
【0067】
(実施例9)
加熱顆粒化のクエン酸カリウム−カルナバワックスを実施例8の溶融顆粒物に置き換えた他は、実施例6Bに従って、1
5meqタブレットの二つの大生産スケールのバッチを調製した。各バッチは、83,000タブレットである。二つのバッチのタブレット硬度は10−12kpであり、摩損性は3%未満であった。溶解性は、USP35に従って行った。結果は以下のとおりである:
【0070】
上記のデータは、本発明に従って調製した高投与量の徐放性クエン酸カリウムタブレットの健全なバッチ−バッチでの溶解性および摩損性を明確に示す。さらに、溶融顆粒化のクエン酸カリウム−カルナバワックスは、加熱顆粒化のクエン酸カリウム−カルナバワックスを置き換え可能であり、同じ結果であった。
【0071】
本発明は、上記の実施形態とは異なるレベルのカルナバワックスを含むことができる溶融/加熱顆粒化のクエン酸カリウムにて、溶融/加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムの全ての組合せを包含する。単純な実験を行い、溶融/加熱顆粒化のクエン酸カリウムおよび未顆粒化のクエン酸カリウムの最適比率を決定し、健全なバッチ−バッチ溶解性および摩損性を有する処方に到達することは、当業者の能力の範囲内のことである。