特許第6164534号(P6164534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164534
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】ベルトプレス
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/04 20060101AFI20170710BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20170710BHJP
   B30B 9/24 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B01D33/04 DZAB
   C02F11/12 D
   B30B9/24 F
   B30B9/24 H
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-206062(P2014-206062)
(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公開番号】特開2016-73933(P2016-73933A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】溝渕 勝信
(72)【発明者】
【氏名】石丸 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 雅義
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−322897(JP,A)
【文献】 特開昭51−019177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/04
B30B 9/24
C02F 11/12
A23L 27/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の二枚のろ布(3)を複数のローラー(2…)に走行自在に掛け回し、上ろ布(3a)と下ろ布(3b)間に供給した汚泥を脱水するベルトプレス(1)において、
下ろ布(3b)上に汚泥を供給するホッパー(4)と、
下ろ布(3b)の幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布(3b)を折り返し、折り返した下ろ布(3b)に上ろ布(3a)を重ね合わせてろ過空間(5)を形成する折り装置(6)と、
ろ過空間(5)を形成したろ布(3)を巻き掛けるせん断ロール(7)と、
折り返した下ろ布(3b)を展開する展開ローラー(8)と、を備え、
前記折り装置(6)は、
下ろ布(3b)を下方へ押圧してU型の底部を形成させる押圧ローラー(11)と、
押圧ローラー(11)の両側方で下ろ布(3b)両側方を折り曲げてU型の両側面を形成するガイドローラー(12)と、
U型に折り曲がった下ろ布(3b)の両側面を内側に折り曲げる複数のガイド棒(13a、13b)と、を備え
ことを特徴とするベルトプレス。
【請求項2】
無端状の二枚のろ布(3)を複数のローラー(2…)に走行自在に掛け回し、上ろ布(3a)と下ろ布(3b)間に供給した汚泥を脱水するベルトプレス(1)において、
下ろ布(3b)上に汚泥を供給するホッパー(4)と、
下ろ布(3b)の幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布(3b)を折り返し、折り返した下ろ布(3b)に上ろ布(3a)を重ね合わせてろ過空間(5)を形成する折り装置(6)と、
ろ過空間(5)を形成したろ布(3)を巻き掛けるせん断ロール(7)と、
折り返した下ろ布(3b)を展開する展開ローラー(8)と、を備え
前記下ろ布(3b)の折り面(10a、10b)は、折り返して上ろ布(3a)を挟持す
ことを特徴とするベルトプレス。
【請求項3】
無端状の二枚のろ布(3)を複数のローラー(2…)に走行自在に掛け回し、上ろ布(3a)と下ろ布(3b)間に供給した汚泥を脱水するベルトプレス(1)において、
下ろ布(3b)上に汚泥を供給するホッパー(4)と、
下ろ布(3b)の幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布(3b)を折り返し、折り返した下ろ布(3b)に上ろ布(3a)を重ね合わせてろ過空間(5)を形成する折り装置(6)と、
ろ過空間(5)を形成したろ布(3)を巻き掛けるせん断ロール(7)と、
折り返した下ろ布(3b)を展開する展開ローラー(8)と、を備え、
前記上ろ布(3a)と下ろ布(3b)は、両端を重ねて折り部(9a、9b)から折り返す
ことを特徴とするベルトプレス。
【請求項4】
前記折り装置(6)は、
下ろ布(3b)を下方へ押圧してU型の底部を形成させる押圧ローラー(11)と、
押圧ローラー(11)の両側方で下ろ布(3b)両側方を折り曲げてU型の両側面を形成するガイドローラー(12)と、
U型に折り曲がった下ろ布(3b)の両側面を内側に折り曲げる複数のガイド棒(13a、13b)と、を備える
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のベルトプレス。
【請求項5】
前記折り返した下ろ布(3b)を展開して展開ローラー(8)に巻き掛けることで脱水ケーキを剥離する
ことを特徴とする請求項乃至請求項4の何れか一項に記載のベルトプレス。
【請求項6】
前記ろ過空間(5)の幅方向両端を下ろ布(3b)の折り部(9a、9b)で形成する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のベルトプレス。
【請求項7】
前記下ろ布(3b)の幅方向の両側方から1/4幅以下の箇所を折り部(9a、9b)とする
ことを特徴とする請求項に記載のベルトプレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行自在に掛け回した無端状の二枚のろ布を備えるベルトプレスにおいて、ろ布を幅方向に折り返すことによってろ過空間を形成するベルトプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二枚の無端状のろ布を複数のローラーで走行自在に掛け回し、二枚のろ布で挟み込んだ汚泥を、ろ布の張力と加圧ローラーによる圧搾力によって脱水するベルトプレスが用いられている。
その他、特許文献1には、無端状の一枚のろ布を、ろ布の進行方向に対して垂直に二つ折り状に保持し、二つ折りした部分に汚泥を供給して加圧ローラーで脱水するベルトプレスが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、諸味を圧搾する装置で、三つ折りにしたろ布に諸味を包んで圧搾する諸味揚槽方法が開示されている。
同様に、特許文献3には、諸味を三つ折りにしたろ布で包んで圧搾する装置で、ろ布を三つ折りに畳む装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−50197号公報
【特許文献2】特公昭46−28152号公報
【特許文献3】特公昭46−22557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の二枚のろ布を用いたベルトプレスや、特許文献1に開示されたベルトプレスの脱水部においては、汚泥の含水率が高い、又は供給量が多い、高圧力を加えて圧搾した場合などに、汚泥の一部が縦方向及び横方向に逃げる。ここで縦方向とはろ布の進行方向を示し、横方向とはろ布のろ過面上で、進行方向に対し直角方向(幅方向)を示す。
【0006】
従来の無端状のろ布を用いるベルトプレスは、二枚のろ布を上下に重ねる、又は一枚のろ布を二つ折りにし、ろ布の間にろ過空間を形成している。このようにろ過空間を形成した場合、ろ過空間を形成するろ布は、外部からの押圧により変形したろ過空間の長手方向の両端又は一端で、常に断裂し不連続となっている。従って、ろ布の合わせ面が内部からの圧力で容易に開放する。
よって、脱水時に外部から圧力を掛け、ろ過空間の汚泥が横方向へ逃げた場合に、サイドリークが発生し汚泥がろ布の端部からはみ出す恐れがあった。
これらのことからベルトプレスは、圧搾の圧力に制限されることが多く、脱水ケーキ含水率等で他の脱水機に劣ることもしばしばあった。
【0007】
また、特許文献2、特許文献3には、諸味を三つ折りにしたろ布に包んで圧搾する技術が開示されているが、三つ折りにしたろ布をさらに畳んで積み重ね、プレスすることで圧搾する装置となっており、連続的に圧搾できるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
無端状の二枚のろ布を複数のローラーに走行自在に掛け回し、上ろ布と下ろ布間に供給した汚泥を脱水するベルトプレスにおいて、下ろ布上に汚泥を供給するホッパーと、下ろ布の幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布を折り返し、折り返した下ろ布に上ろ布を重ね合わせてろ過空間を形成する折り装置と、ろ過空間を形成したろ布を巻き掛けるせん断ロールと、折り返した下ろ布を展開する展開ローラーと、を備え、前記折り装置は、下ろ布を下方へ押圧してU型の底部を形成させる押圧ローラーと、押圧ローラーの両側方で下ろ布両側方を折り曲げてU型の両側面を形成するガイドローラーと、U型に折り曲がった下ろ布の両側面を内側に折り曲げる複数のガイド棒と、を備えることで汚泥をろ布で包み、サイドリーク発生させずに脱水して脱水ケーキを排出することができ、折り装置でろ布を滑らかに折り返すことができる
【0009】
無端状の二枚のろ布を複数のローラーに走行自在に掛け回し、上ろ布と下ろ布間に供給した汚泥を脱水するベルトプレスにおいて、下ろ布上に汚泥を供給するホッパーと、下ろ布の幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布を折り返し、折り返した下ろ布に上ろ布を重ね合わせてろ過空間を形成する折り装置と、ろ過空間を形成したろ布を巻き掛けるせん断ロールと、折り返した下ろ布を展開する展開ローラーと、を備え、前記下ろ布の折り面は、折り返して上ろ布を挟持することで、汚泥をろ布で包み、サイドリークを発生させずに脱水して脱水ケーキを排出することができる。
【0010】
無端状の二枚のろ布を複数のローラーに走行自在に掛け回し、上ろ布と下ろ布間に供給した汚泥を脱水するベルトプレスにおいて、下ろ布上に汚泥を供給するホッパーと、下ろ布の幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布を折り返し、折り返した下ろ布に上ろ布を重ね合わせてろ過空間を形成する折り装置と、ろ過空間を形成したろ布を巻き掛けるせん断ロールと、折り返した下ろ布を展開する展開ローラーと、を備え、前記上ろ布と下ろ布は、両端を重ねて折り部から折り返すことで、汚泥をろ布で包み、サイドリークを発生させずに脱水して脱水ケーキを排出することができる。
【0011】
前記折り装置は、下ろ布を下方へ押圧してU型の底部を形成させる押圧ローラーと、押圧ローラーの両側方で下ろ布両側方を折り曲げてU型の両側面を形成するガイドローラーと、U型に折り曲がった下ろ布の両側面を内側に折り曲げる複数のガイド棒と、を備えることで、ろ布を滑らかに折り返すことができる。
【0012】
前記折り返した下ろ布を展開して展開ローラーに巻き掛けることで脱水ケーキを剥離し、ろ過空間から脱水ケーキを排出することができる。
【0013】
前記ろ過空間の幅方向両端を下ろ布の折り部で形成することで、ろ過空間の幅方向両端から汚泥が漏れ出ることはなく、より高い圧力を加えて脱水が行える。
【0014】
前記下ろ布の幅方向の両側方から1/4幅以下の箇所を折り部とすることで、ろ過空間のシール効果がより高まる。
【発明の効果】
【0015】
ろ過空間の両側方端部は、下ろ布を折り返すことでろ過空間を形成しているため、サイドリークを発生させない。折り返した下ろ布を上ろ布と重ねることでろ過空間を形成し、シールとするため、重なり合ったろ布のシールは、外部からの押圧を加えることでより強固なものとなる。
下ろ布の折り返す幅を小さくすれば、ろ布の有効面積が拡大し、処理量を増大させることができる。
サイドリークが発生しないことから、汚泥の供給量を増やすことや、より強い圧力で脱水することが可能となる。
また、ろ過室をシールするための特別な機器を必要としない。さらに、無端状のろ布を走行させながら脱水を行うため、連続的に脱水を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るベルトプレスの概略側面図である。
図2】同じく、折り装置で折られたろ布の展開図である。
図3】同じく、折り装置で折られたろ布の断面図である。
図4】同じく、ろ布の折り装置の平面図である。
図5】同じく、ろ布の折り装置の側面図である。
図6】同じく、展開ローラーに巻き掛けたろ布の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、走行自在に掛け回した無端状の二枚のろ布間にろ過空間を形成し、ろ過空間に汚泥を供給して脱水を行うベルトプレスである。
図1は本発明に係るベルトプレスの概略側面図である。
本発明のベルトプレス1は、複数のローラー2…と、該複数のローラー2…に掛け回して走行自在とした無端状の二枚のろ布3(上ろ布3a、下ろ布3b)と、下ろ布3b上に汚泥を供給するホッパー4と、下ろ布3bの幅方向の両側方から汚泥供給側に下ろ布3bを折り返し、折り返した下ろ布3bと上ろ布3aを重ね合わせてろ過空間5を形成する折り装置6と、ろ過空間5を形成したろ布3を巻き掛けるせん断ロール7と、折り返した下ろ布3bを展開する展開ローラー8と、を備える。
【0018】
複数のローラー2…に掛け回された無端状の一枚の下ろ布3bは、折り装置6により幅方向の両端が折り返される。無端状の下ろ布3bが汚泥を受け入れるよう、折り装置6は下ろ布3bの両端を進行方向(縦方向)に折りながら汚泥をホッパー4より供給する。従って、折り返す過程で、下ろ布3b両端を折り、下ろ布3b断面がU型となったところで下ろ布3b上に汚泥を供給する。汚泥供給後、下ろ布3bに供給された汚泥を覆うように上ろ布3aを案内ローラー36で案内し、走行させる。
ろ布3は折り装置6で幅方向両端を折り返すことでろ過空間5を形成している。ろ過空間5に汚泥を供給された上下のろ布3a、3bはせん断ロール7に巻き掛けることで汚泥を脱水する。脱水後、展開ローラー8により折られた下ろ布3bを展開し、脱水ケーキは剥離装置により排出される。
【0019】
図2は本発明に係る折り装置で折られたろ布の展開図である。
図3は本発明に係る折り装置で折られたろ布の断面図である。
図2、3に示す下ろ布3bは、幅方向の両側から1/4幅の箇所を、何れも汚泥供給側に折り返す折り部9a、9bとしている。上ろ布3aの幅は、下ろ布3bの折り部9a、9b間と同等の幅を有する。
図3(a)が示すように、汚泥供給後、二つの折り部9a、9b間と同等幅の上ろ布3aを汚泥の上方に案内する。そして、下ろ布3bの一端は上ろ布3aを狭持するように折り部9aから内側に折り返し、次いで下ろ布3bの他端も、上ろ布3aを狭持するように折り部9bから内側に折り返す。
下ろ布3bの折り部9a、9bは、両側から1/4幅の箇所を折り返しているため、折り返した際には下ろ布3bの折り面10a、10bがそれぞれ上ろ布3aと重なりシールの役割を果たし、ろ布3a、3b間にろ過空間5を形成する。
【0020】
下ろ布3bを折り返すことで、圧力により変形するろ過空間5の方向の両端を下ろ布3bの折り部9a、9bで形成しており、ろ過空間5の両端は断裂していないため、サイドリークが発生しない。
また、折り返した下ろ布3bの折り面10a、10bと上ろ布3aが重なり、ろ過空間5をシールする。外部から加圧することで、折り面10a、10bの重なり部分のシールの強度は大きくなるため、折り面10a、10bの重なり部分から汚泥が漏れ出ることはない。
【0021】
上述するように、無端状の下ろ布3bは幅方向両端の折り面10a、10bを、両側端から1/4幅の箇所を折り返すことでろ過空間5を形成しているが、両端から1/4幅以下の箇所を折り返すことでも同様の効果を得られる。折り返した下ろ布3bの折り面10a、10bの重なる面積を小さくすれば、有効ろ過面積を広く取ることができる。
【0022】
また、図3(b)に示すように、折り返した下ろ布3bの折り面10a、10bの上面に上ろ布3aを案内することでろ過空間5を形成することも可能である。その場合、下ろ布3bに汚泥供給後、下ろ布3bの一端を折り部9aから折り返し、次いで下ろ布3bの他端を折り部9bから折り返す。そして、折り返した下ろ布3bの折り面10a、10b上方に上ろ布3aを案内し、折り面10a、10b上から覆うことで上下のろ布3a、3b間にろ過空間5を形成する。
【0023】
その他、図3(c)に示すように、幅長さが同等な無端状の二枚の上下ろ布3a、3bを、折り部9a、9bにおいて、上ろ布3aと下ろ布3bの両端を重ねて折り返すことで、上下ろ布3a、3b間にろ過空間5を形成することもできる。
【0024】
上述するように、本発明の二枚のろ布3の折り方には多様な形態が考えられ、何れも、下ろ布3bの折り面10a、10bを汚泥供給側に折り返し、下ろ布3の折り面10a、10bと上ろ布3aを重ね合わせることでろ過空間5を形成する。無端状の下ろ布3bは、外部からの圧力で変形するろ過空間5の方向の両端を、下ろ布3bの折り部9a、9bで形成することで、サイドリークの発生を防いでいる。そして、折り返した無端状の下ろ布3bの折り面10a、10bは、上ろ布3aと重なることでろ過空間5のシールの役割を果たす。シール性を高くするためには、上ろ布3aと下ろ布3bの折り面10a、10bの重なる面積を増やせばよい。また、上ろ布3aと下ろ布3bの折り面10a、10bの重なる箇所をさらに折り返すことでもシール性は向上する。
【実施例】
【0025】
本願発明のろ布3の折り装置6は、複数のガイドを配設することで、走行する下ろ布3bを折り曲げる。本実施例では下ろ布3bの折り面10a、10bを折り返し、上ろ布3aを狭持してろ過空間5を形成する折り装置6を用いる。
【0026】
図4は、本発明に係るろ布の折り装置の平面図である。
図5は、本発明に係るろ布の折り装置の側面図である。
本発明の折り装置6は、下ろ布3bをU型に折り曲げる押圧ローラー11とガイドローラー12、折り曲げた下ろ布3bの折り面10a、10bを水平に案内するガイド棒13a、13b、上ろ布3aを下ろ布3bの上方まで案内する案内ローラー36、で構成されている。また、U型に折り曲げられたろ布3内へ汚泥を供給できる位置にホッパー4を配設している。
【0027】
折り装置6で折り曲げられる下ろ布3bは、汚泥が漏れ出ないように押圧ローラー11によってU型に形成されている。押圧ローラー11の幅は下ろ布3bの折り返し幅と等しく、押圧ローラー11で下ろ布3b上面中央部を下方に押圧して下ろ布3bをU型に形成する。従って、押圧ローラー11はU型の底部を形成させる。また同時に、下ろ布3bの両端は、押圧ローラー11の両側面に垂直に配設されたガイドローラー12によって折り曲げられ、U型の側面が形成される。押圧ローラー11の下流側では汚泥を供給するためのホッパー4が走行する下ろ布3bに向かって垂下されており、連続して汚泥を供給する。ホッパー4の下流側では、案内ローラー36によって上ろ布3aが汚泥の上方に案内され、上ろ布3aと下ろ布3bで汚泥を狭持する。
【0028】
前記ガイドローラー12に沿って両側面が垂直となった下ろ布3bは、ホッパー4、案内ローラー36の配設位置より下流側の、水平に固定された複数のガイド棒13a、13bによって内側に折り曲げられる。
このとき、U型となった下ろ布3bの凹部には上ろ布3aが案内されており、下ろ布3bの折り返す際には、上ろ布3aを狭持するように下ろ布3bの両端を折り返す。
一方の垂直になった下ろ布3b側端部をガイド棒13aの底部で水平に折り曲げるよう案内し、更に他方の垂直になった下ろ布3b側端部も同様にしてガイド棒13bの底部で水平に折り曲げるよう案内する。垂直であった下ろ布3bの両側面が内側に折られて水平になることで、下ろ布3bが走行しながら折り返され、汚泥と汚泥の上方に案内された上ろ布3aを内部に包み込む。
ガイド棒13a、13bの接するろ布3の底部に、補助棒14を水平に配設すると、ガイド棒13a、13bの押しつけによるろ布3の撓みがなくなり、ろ布3を三つ折りにする際にズレが生じない。ガイド棒13、補助棒14は棒状、板状等が用いられる。
【0029】
上述する折り装置6は実施例のろ布3の折り方だけでなく、複数のガイドを適切に配設することで、多様なろ布3の折り方に対応できる。
【0030】
図1に示すように、折り装置6によって汚泥を包んだ上下のろ布3a、3bは、せん断ロール7に巻き掛けることで汚泥を脱水している。せん断ロール7は上下のろ布3a、3bを巻き掛けて走行させることで、ろ過空間5内の汚泥に面圧を加え、更に内側を走行するろ布3と外側を走行するろ布3の走行速度の差からせん断力を与えて脱水する。せん断ロール7だけでなく、加圧ベルトや加圧ロールにより、外部からの高圧力を加えることで脱水も可能である。下ろ布3bを折り返すことでサイドリークを防止しているため、加圧は高圧となってもサイドリークを発生させることはない。
【0031】
図6は、本発明に係る展開ローラーに巻き掛けたろ布の平面図である。
複数のせん断ロール7に巻き掛けられた下ろ布3bは、展開ローラー8に巻き掛けることで展開され、剥離装置によって脱水ケーキが排出される。折り返された下ろ布3bを展開して展開ローラー8に巻き掛けて走行させることで、下ろ布3bがせん断ロール7から展開ローラー8の間で自然に展開する。
また、下ろ布3bに狭持されていた上ろ布3aは、図1が示すように、下ろ布3bが展開した後、剥離ローラー37に巻きかけている。
高圧で脱水した脱水ケーキは剥離性が良いため、剥離装置として配設した剥離ローラー37にろ布3を巻き掛けること等で、脱水ケーキを容易に剥離できる。本実施例では、下ろ布3bに巻き掛けた展開ローラー8は剥離ローラー37として用いている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のベルトプレスは、無端状の上下のろ布でろ過空間を形成する際、下ろ布の幅方向両端を折り返してろ過空間を形成しているため、サイドリークが発生しない。そのため、従来ではサイドリークが原因で実施できないような高圧の脱水をも行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 ベルトプレス
2 ローラー
3a 上ろ布
3b 下ろ布
4 ホッパー
5 ろ過空間
6 折り装置
7 せん断ロール
8 展開ローラー
9a、9b 折り部
10a、10b 折り面
11 押圧ローラー
12 ガイドローラー
13a、13b ガイド棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6