(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低温ポリシリコン薄膜トランジスタを用いる液晶表示装置には、ドレイン線が多層構造で形成される構成のものがある。この多層構造のドレイン線を用いる液晶表示装置では、例えば、第1の配線層に形成される第1のドレイン線群と第2の配線層に形成される第2のドレイン線群とによりドレイン線を形成し、この第1のドレイン線群のドレイン線と第2のドレイン線群のドレイン線とを第1基板の面内方向に交互に並設する構成としている。このような異なる配線層に形成される信号線は、第1の配線層と第2の配線層とに形成される信号線では、異なる製造工程で形成されることとなるので、信号線を形成するための導電膜材料が異なると共に、製造工程間の誤差等によって信号線の幅や厚さ等が異なることとなる。このために、第1の配線層に形成されるドレイン線と第2の配線層に形成されるドレイン線では、配線抵抗(単位長さ当たりのシート抵抗)が異なることとなり、その時定数も異なることとなる。
【0008】
一方、多層構造で形成されるドレイン線を用いる液晶表示装置では、第1の配線層に形成されるドレイン線と第2の配線層に形成されるドレイン線とが第1基板の面内方向で隣接配置される構成とすることが一般的である。この隣接配置されるドレイン線にラビング工程を含む第1基板の製造工程で生じた静電気が帯電し、その帯電した電荷が放電される際には、極短時間に大電流が生じることとなる。このとき、前述するように、隣接するドレイン線が異なる薄膜層に形成される場合には時定数が異なる構成となるので、この隣接するドレイン線間に大きな電位差が生じ、この電位差によって表示用の画素の外側に配置されるダミー画素の薄膜トランジスタが破壊されてしまうという問題が生じ、その解決方法が切望されている。
【0009】
さらには、携帯情報端末に搭載される液晶表示装置では、マトリクス状に配置される画素の領域である表示領域から第1基板及び第2基板の端部に至る表示に寄与しない領域であるいわゆる額縁領域を小さく形成する挟額縁化が切望されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術は、ドレイン線が同一の薄膜層に形成される場合の技術であり、異なる薄膜層に形成されるドレイン線に生じる静電気に起因する静電破壊については考慮されてなく、異なる時定数のドレイン線が隣接される構成では静電破壊を防止できないことが懸念される。さらには、保護素子となる薄膜トランジスタを形成する領域が大きくなり、額縁領域が大きくなってしまうことが懸念される。
【0011】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ドレイン線を保護する保護素子の形成領域の拡大を抑えつつ、隣接するドレイン線が異なる薄膜層に形成される場合であっても、製造工程中に画素用の薄膜トランジスタが静電破壊されてしまうことを防止することが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決すべく、本願発明の表示装置は、
X方向に延在
するゲート線と、
前記X方向と交差するY方向に延在
するドレイン線と、
前記ゲート線と前記ドレイン線との交点の近傍に配置され
る画素用の薄膜トランジスタと
、
前記ゲート線に供給される走査信号のローレベル時と同じ電位に保持され、前記X方向に延在する第1信号線とが形成される第1基板を備え、
前記第1基板の少なくとも1つの辺部に駆動回路が配置される表示装置であって、
前記ドレイン線は、少なくとも第1の配線層に形成される第1のドレイン線群と第2の配線層に形成される第2のドレイン線群とからなり、
前記第1のドレイン線群のドレイン線と前記第2のドレイン線群のドレイン線とが交互に並設されて
おり、
前記ドレイン線の各々に接続されるドレイン電極と、前記第1信号線と接続するソース電極及びゲート電極と、を備える保護用の薄膜トランジスタを備え、
前記第1のドレイン線群のドレイン線
に接続される前記保護用の薄膜トランジスタと、前記第2のドレイン線群のドレイン線
に接続される前記保護用の薄膜トランジスタとが、前記
Y方向に並設し
て第1の保護素子を
形成している表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドレイン線を保護する保護素子の形成領域の拡大を抑えつつ、隣接するドレイン線が異なる薄膜層に形成される場合であっても、製造工程中に画素用の薄膜トランジスタが静電破壊されてしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。また、X,Y,ZはそれぞれX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0017】
〈実施形態1〉
図1は本発明の実施形態1の表示装置である液晶表示装置の全体構成を説明するための平面図であり、以下、
図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明する。
【0018】
図1に示すように、実施形態1の液晶表示装置は、画素電極PXや共通電極CT等が形成される第1基板1と、第1基板1に対向して配置されカラーフィルタ等が形成される第2基板2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される液晶層とで構成される液晶表示パネル(LCDセル)10を有する。また、液晶表示パネル10と光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成される。第1基板1と第2基板2との固定及び液晶の封止は、第2基板の周辺部に環状に塗布された図示しないシール材で固定され、液晶も封止される構成となっている。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)の形成される領域が表示領域11となる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域11とはならない。
【0019】
また、第2基板2は第1基板1よりも小さな面積となっており、第1基板1の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第1基板1の辺部には、半導体チップで構成される駆動回路(ドライバIC)31が搭載されている。この駆動回路31は、表示領域11に配置される各画素を駆動する。なお、以下の説明では、液晶表示パネル10の説明においても、液晶表示装置と記すことがある。また、第1基板1及び第2基板2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、樹脂性の透明絶縁基板であってもよい。
【0020】
実施形態1の液晶表示装置では、第1基板1の液晶側の面であって表示領域11内には、
図1中X方向に延在しY方向に並設され、駆動回路31からの走査信号が供給される走査信号線(ゲート線)28が形成されている。また、
図1中Y方向に延在しX方向に並設され、駆動回路31からの映像信号(階調信号)が供給される映像信号線(ドレイン線)20,22が形成されている。このとき、実施形態1の液晶表示パネル10では、後に詳述するように、隣接配置されるドレイン線20とドレイン線22とは異なる層の薄膜層で形成される金属薄膜により形成されている。この隣接するドレイン線20及びドレイン線22と隣接する2本のゲート線28とで囲まれる領域が画素の領域(以下、画素と記す)を構成し、複数の画素がドレイン線20,22及びゲート線28に沿って、表示領域11内においてマトリックス状に配置されている。
【0021】
各画素は、例えば、
図1中丸印Aの等価回路
図A’に示すように、ゲート線28からの走査信号によってオン/オフ駆動される画素薄膜トランジスタ(画素TFT)12と、このオンされた画素TFT12を介してドレイン線20からの映像信号が供給される画素電極PXと、コモン線27を介して映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される共通電極CTとを備えている。
図1中丸印Aの等価回路
図A’においては、画素電極PX及び共通電極CTを模式的に線状に記しているが、例えば、表示領域11を覆う面状の共通電極CTを形成し、辺部に形成したコモン線27から共通信号を供給する構成であってもよい。なお、実施形態1の画素TFT12は、そのバイアスの印加によってドレイン電極とソース電極が入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線20,22と接続される側をドレイン電極、画素電極PXと接続される側をソース電極と記す。
【0022】
画素電極PXと共通電極CTとの間には、第1基板1の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から横電界方式やIPS(In-Plane Switching)方式と称される。ただし、本願発明は、多層のドレイン線を有するTN(Twisted Nematic)方式やVA(Vertical Alignment)方式等の他の方式の液晶表示装置にも適用可能である。さらには、有機EL表示装置等の自発光型の表示装置にも適用可能である。
【0023】
各ドレイン線20,22及び各ゲート線28はその端部において図示しないシール材を越えてそれぞれ延在され、外部システムからフレキシブルプリント基板(FPC)32を介して入力される入力信号に基づいて、映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する駆動回路31に接続される。
【0024】
ただし、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路31を半導体チップで形成し第1基板1に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路をFPC32にテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第1基板1に接続させる構成であってもよい。
【0025】
図2は
図1に示す領域Bの拡大図であり、
図3は
図2に示すC−C’線での断面図である。特に、
図2は本発明の実施形態1の液晶表示装置における表示領域11と駆動回路31との間の領域に形成される多層のドレイン線を形成するメタル配線の配置を説明するための平面図であり、
図3は本発明の実施形態1のドレイン線となるメタル配線の構造を説明するための断面図である。
【0026】
図1に示すように、1つの辺部に駆動回路31を搭載した実施形態1の構成では、駆動回路31からは映像信号と共に走査信号も出力されることとなる。このため、表示領域11と駆動回路31との間の領域(以下、配線領域と記す)には、表示領域11内のドレイン線20,22から延在する信号線すなわち表示領域11から引き出されたドレイン線(メタル配線)20,22が形成される。さらには、ゲート線28から延在する信号線すなわち表示領域11から引き出されたゲート線28が配線領域内に形成される。
【0027】
一方、画素数の増加と共に配線領域の面積が増加することとなるので、表示領域11の大きさを小さくすることなく液晶表示装置を小さくするためには、この配線領域を縮小化する必要がある。従って、実施形態1の液晶表示装置では、第1の配線層に形成される金属薄膜でメタル配線20を形成すると共に、第2の配線層に形成される金属薄膜でメタル配線22を形成し、該メタル配線20とメタル配線22とを交互に配置(並設)した多層構造としている。この構成により、
図2から明らかなように、隣接するメタル配線20とメタル配線22との間隔を小さく形成することを可能とし、配線密度を向上させる構成となっている。
【0028】
このとき、実施形態1の液晶表示装置では、
図3から明らかなように、第1基板11の上面には下地膜18とゲート絶縁膜19とが順に形成され、該ゲート絶縁膜19の上面に形成される金属薄膜により、メタル配線20を形成する構成となっている。また、メタル配線20の上面には、第1基板11の上面すなわちメタル配線20から露出されるゲート絶縁膜19の表面も覆うようにして層間絶縁膜21が形成されている。該層間絶縁膜21の上面に形成される金属薄膜により、メタル配線22が形成される。このメタル配線22の上面には、層間絶縁膜21の表面も覆うようにして第1の絶縁膜23が形成され、該第1の絶縁膜23の上層には有機絶縁膜24及び第2の絶縁膜26が順に形成される。
【0029】
このとき、実施形態1の液晶表示装置では、第1の薄膜層(第1の配線層)に形成される信号線であるメタル配線20と、第2の薄膜層(第2の配線層)に形成される信号線であるメタル配線22とでは、
図3から明らかなように、信号線幅及び信号線厚さが異なる構成となっている。また、信号線を構成する金属薄膜の材料すなわち導電性金属材料も異なり、シート抵抗も異なる構成となっている。さらには、表示領域11から駆動回路31に至るまでの長さすなわち配線長も異なる構成となっている。その結果、実施形態1のメタル配線20とメタル配線22とでは、隣接する信号線であっても配線抵抗が大きく異なることとなる。
【0030】
しかしながら、本実施形態1の液晶表示装置では、図示しない配向膜にラビングを行う際のラビングの終了側の辺部すなわち駆動回路31が搭載される側の辺部に、実施形態1の保護素子が配置される構成となっている。その結果、実施形態1の液晶表示装置では、ラビング工程を含む第1基板11の製造工程において静電気が発生した場合であっても、画素TFT12の静電破壊を防止することが可能である。このとき、実施形態1の保護素子では、当該保護素子を形成するための面積を小さくすることができるので、保護素子を配線領域に保護素子を形成することに伴う辺部の大きさの増加を小さくすることが可能となる。その結果、配線領域が形成される側の辺部すなわち駆動回路31が搭載される辺部の額縁領域の増大を抑えることが可能となる。
【0031】
図4は本発明の実施形態1の液晶表示装置における保護素子の概略構成を説明するための図であり、以下、
図4に基づいて、実施形態1の保護素子15の回路構成を詳細に説明する。ただし、説明を簡単にするために、
図4においてはDm〜Dm+3(ただし、mは1以上の自然数)の4本のメタル配線20,22でドレイン線を形成する場合について説明するが、メタル配線20,22は赤(R),緑(G),青(B)の画素数に対応した本数が形成される。
【0032】
図4に示す保護素子15の構成では、Dm,Dm+2番目のメタル配線20すなわち奇数番目のメタル配線(第1のドレイン線群)20が第1の配線層に形成される金属薄膜配線で形成され、Dm+1,Dm+3番目のメタル配線22すなわち偶数番目のメタル配線(第2のドレイン線群)22が第2の配線層に形成される金属薄膜配線で形成される。
【0033】
図中上部に示す表示領域11内の画素構成は従来と同様に、Y方向に延在する第1の配線層に形成される奇数番目のメタル配線20と、Y方向に延在する第2の配線層に形成される偶数番目のメタル配線22とが交互にX方向に並設されている。また、ゲート線28はX方向に延在しY方向に並設されており、該ゲート線28とメタル配線20,22とが交差する部分の近傍に画素TFT12が配置されている。このゲート線28の延在方向に沿ってX方向に並設される4つの画素TFT12は、ゲート電極がGn番目のゲート線28すなわち同一のゲート線28に接続される構成となっており、このゲート線28を介して走査信号が入力される。また、画素TFT12のドレイン電極は第1の配線層のメタル配線20又は第2の配線層のメタル配線22に接続され、メタル配線20,22からの映像信号が入力される。画素TFT12のソース電極は等価回路で示す液晶3に接続され、該液晶3の他方はコモン線27に接続されている。
【0034】
一方、実施形態1の液晶表示装置に特徴的な保護素子15は、表示領域11と駆動回路31の搭載領域との間の領域すなわち画素TFTの近傍に形成される構成となっている。これにより、静電気の発生を防止する効果を向上させると共に、保護TFT13,14を形成するためのメタル配線の間隔を大きくすることを可能としている。また、実施形態1の保護素子15の構成は、メタル配線20,22に接続される保護用の薄膜トランジスタ(保護TFT)13,14と、ゲート線28に供給する走査信号のローレベル側の電圧VGLを供給する信号線(VGL信号線)29とからなる。特に、実施形態1の保護TFT13,14は、第1の配線層に形成される奇数番目のメタル配線20に接続される第1の保護用の薄膜トランジスタ(第1の保護TFT)13と、第2の配線層に形成される偶数番目のメタル配線22に接続される第2の保護用の薄膜トランジスタ(第2の保護TFT)14とからなる。第1の保護TFT13のドレイン電極は第1の配線層に形成されるメタル配線20に接続され、第2の保護TFT14のドレイン電極は第2の配線層に形成されるメタル配線22に接続されている。また、第1の保護TFT13及び第2の保護TFT14のソース電極とゲート電極とはそれぞれVGL信号線29に接続され、メタル配線20,22とVGL信号線29との間に、第1の保護TFT13又は第2の保護TFT14で形成されるダイオードが配置される構成となる。
【0035】
すなわち、実施形態1の液晶表示パネル10では、奇数番目のメタル配線20と次の偶数番目のメタル配線22とを1つ組とし、その間の領域部分に、メタル配線20に接続される第1の保護TFT13と次のメタル配線22に接続される第2の保護TFT14との2つの薄膜トランジスタ(保護TFT)を配置する構成としている。例えば、
図4中に第Dm,Dm+2番目(奇数番目)のメタル配線20と第Dm+1,Dm+3番目(偶数番目)のメタル配線22との間に、第1及び第2の保護TFT13,14を配置する構成となっている。さらには、液晶表示パネル10に外部より供給される電圧の内で最も低い電圧である走査信号のローレベル側の電圧VGLを、第1及び第2の保護用TFT13,14に供給する構成としている。このVGL信号線29は第1の配線層に形成され、コモン線27やゲート線28と同様に、X方向に伸延する導電性薄膜で形成されている。この構成により、新たな工程を追加することなく、VGL信号線29を形成する構成としている。また、この配置により、保護素子15を形成することに伴うY方向及びX方向への液晶表示パネル10の画像表示に寄与しない額縁領域の増大を抑える構成としている。
【0036】
図5は本発明の実施形態1の液晶表示装置における保護素子の回路構成を説明するための回路パターンであり、特に、
図4中の点線で示す範囲の保護素子15に対応するパターン図である。なお、以下の説明では、第Dm+2番目のメタル配線20と第Dm+3番目のメタル配線22との間に形成される第1及び第2の保護TFT13,14について説明するが、他の第1及び第2の保護TFT13,14も同様の構成である。また、以下の説明では、第1及び第2の保護TFT13,14を形成する薄膜トランジスタが低温ポリシリコン(LTPS)で形成される場合について説明するが、アモルファスシリコンや有機薄膜トランジスタで形成される構成であってもよい。また、各薄膜層の形成は周知のフォトリソグラフィ技術を用いる構成となるので、各薄膜層の形成工程の詳細な説明は省略する。
【0037】
図5から明らかなように、実施形態1の保護素子15の形成領域では、図示しない駆動回路31が搭載される側すなわち表示領域11から遠い側に、X方向に伸延するVGL信号線29が配置されている。また、一対のドレイン線20,22との間の領域には、VGL信号線29からY方向に延在する延在部50が形成され、VGL信号線29から遠い側の第2の保護TFT14の形成領域まで伸延される構成となっている。なお、実施形態1では、当該延在部50は第1の配線層に形成されるVGL信号線29と一体に形成されているが、他の薄膜層に形成される導電膜を介する構成であってもよい。
【0038】
ここで、奇数番目すなわち第Dm+2番目のメタル配線20と延在部50とにそれぞれ重畳するようにして半導体層41が形成されている。また、半導体層41が形成される領域には絶縁膜(ゲート絶縁膜)19を介してゲート電極となる導電膜(以下、ゲート電極線と記す)42が形成されている。このとき、ゲート電極線42は画素TFT12のゲート電極やゲート線28と同層の導電膜で形成される。また、ゲート電極線42はゲート絶縁膜19に形成される貫通孔(コンタクトホール)43を介して、第1の配線層に形成される延在部50に電気的に接続され、電圧VGLがゲート電極線42に供給される第1の保護TFT13を形成している。このとき、半導体層41と重畳する部分のメタル配線20は配線幅が他の部分よりも大きく形成されると共に、この重畳領域に形成される貫通孔(コンタクトホール)44を介して半導体層41とメタル配線20とが電気的に接続され、メタル配線20が第1の保護TFT13のドレイン電極に電気的に接続される構成となっている。同様にして、半導体層41と重畳する部分の延在部50も配線幅が大きく形成され、この重畳領域に形成される貫通孔(コンタクトホール)45を介して半導体層41と延在部50とが電気的に接続され、延在部50が第1の保護TFT13のソース電極に電気的に接続される構成となっている。すなわち、メタル配線20とVGL信号線29とがダイオードとして動作する第1の保護TFT13を介して電気的に接続される構成となる。
【0039】
また、VGL信号線29から遠い側(表示領域11に近い側)にも偶数番目すなわち第Dm+3番目のメタル配線22と延在部50とが重畳するようにして半導体層41が形成されると共に、絶縁膜(ゲート絶縁膜)19を介して半導体層41と重畳するゲート電極線42が形成されている。このとき、ゲート電極線42は画素TFT12のゲート電極やゲート線28と同層の導電膜で形成される。また、ゲート電極線42もゲート絶縁膜19に形成される貫通孔(コンタクトホール)43を介して延在部50に電気的に接続され、ゲート電極線42に電圧VGLが供給される第2の保護TFT14を形成している。また、半導体層41と重畳する部分のドレイン線22も配線幅が他の部分よりも大きく形成されている。さらには、重畳領域に形成される貫通孔(コンタクトホール)44を介して半導体層41とメタル配線22とが電気的に接続され、メタル配線22が第2の保護TFT14のドレイン電極に電気的に接続されている。また、半導体層41と重畳する部分の延在部50も配線幅が大きく形成され、貫通孔(コンタクトホール)45を介して半導体層41と延在部50とが電気的に接続され、延在部50が第2の保護TFT14のソース電極に電気的に接続される構成となっている。この構成により、ダイオードとして動作する第2の保護TFT14を介して、メタル配線22とVGL信号線29とが電気的に接続される。
【0040】
このように、実施形態1の保護素子15の構成では、奇数番目のメタル配線20である第Dm+2番目のメタル配線20と、該奇数番目のメタル配線20に隣接する偶数番目のメタル配線22である第Dm+1番目のメタル配線22と第Dm+3番目のメタル配線22との2本のメタル配線22の内で、その並設順番が大きい第Dm+3番目のメタル配線22とが対をなす構成となっている。ここで、対をなすこととなる奇数番目のメタル配線20と偶数番目のメタル配線22との間の領域に、奇数番目のメタル配線20に接続される画素TFT12を保護する第1の保護TFT13と、偶数番目のメタル配線22に接続される画素TFT12を保護する第2の保護TFT14とを、当該メタル配線20,22の延在方向(Y方向)に並設する構成となっている。
【0041】
この構成からなる実施形態1の保護素子15では、対をなしていない偶数番目のメタル配線22と奇数番目のメタル配線20との間の領域、すなわち第Dm+1番目のメタル配線22と第Dm+2番目のメタル配線20との間の領域には、保護TFT13,14が形成されない構成となる。従って、第Dm+1番目のメタル配線22と第Dm+2番目のメタル配線20との間隔は、保護素子15が形成されない場合と略同一の間隔でメタル配線20,22を並設することが可能となる。特に、駆動回路31が配置される側の辺部では、メタル配線20,22と共にゲート線28からの信号線もX方向に並設して形成されることとなる。このために、隣接するメタル配線20,22及びゲート線28からの信号線の間隔が非常に小さくなるので、保護素子15の形成が非常に困難であった。しかしながら、実施形態1の保護素子15の構成では、メタル配線20,22の並設方向に対して、1本おきに第1及び第2の保護TFT13,14が配置される構成となる。その結果、第1及び第2の保護TFT13,14の形成に伴うメタル配線20,22の並設方向への増大を小さくすることができる。
【0042】
さらには、実施形態1の構成では、ドレイン線20,22の本数がゲート線28の本数よりも少ない縦長の液晶表示パネル10に本願発明を適用した構成となっているので、保護素子15を形成することに伴うX方向への当該保護素子15の形成領域の増大を小さくすることが可能となる。また、第1の保護TFT13及び第2の保護TFT14のソース電極及びゲート電極線42は電位VGLが供給される1本のVGL信号線29に接続されるのみとなる。
【0043】
従って、X方向に並設するメタル配線20,22毎に保護TFT13,14を形成する構成であっても、該保護素子15の形成領域を小さくすることが可能となる。すなわち、駆動回路31と表示領域11との間の領域に保護素子15を配置する場合であっても、保護素子15を形成することに伴う額縁領域の大幅な増大を抑えることが可能となる。
【0044】
また、当該領域に保護素子15を形成することが可能となるので、メタル配線20,22を多層に形成した場合であっても、ラビング工程を含む製造工程での静電気の発生に伴う画素TFTの破壊(静電破壊)を防止することが可能となる。さらには、製造工程での静電気の発生に伴う画素TFTの破壊(静電破壊)を防止することができるので、生産効率を向上させることが可能となる。
【0045】
なお、
図5に示す保護素子15のパターン図では、X方向に伸延するVGL信号線29とY方向に伸延するメタル配線20,22とが交差する部分が第1の配線層に形成される導電膜46を介して電気的に接続される構成となっているが、VGL信号線29とメタル配線20,22とがそれぞれ異なる薄膜層に形成される場合には、導電膜46を介することなく、メタル配線20,22がそれぞれ図示しない駆動回路31に接続される接続端子部分まで伸延される構成であってもよい。また、実施形態1の第1及び第2の保護TFT13,14では、第1の保護TFT13がVGL信号線29に近い側に形成される場合について説明したが、第2の保護TFT14がVGL信号線29に近い側に形成される構成であってもよい。
【0046】
特に、実施形態1の構成では、ラビング処理の終了側の端部である駆動回路31の搭載側に保護素子15を形成する構成となっているので、ラビング処理の進行に応じて発生する静電気に起因する静電破壊に対して、より大きな防止効果を得ることができる。
【0047】
〈実施形態2〉
図6は本発明の実施形態2の表示装置である液晶表示装置における保護素子の形成位置を説明するための図であり、
図7は
図6に示す第2の保護素子の概略構成を説明するための回路図である。ただし、実施形態2の液晶表示装置は、第2の保護素子16の構成が異なるのみで、他の構成は実施形態1と同様となる。従って、以下の説明では、第2の保護素子16について詳細に説明する。また、実施形態2の液晶表示パネル10を構成する第1基板1のラビング処理工程においても、
図6中の上部側すなわち駆動回路31が搭載される側からラビング処理が行われる。
【0048】
図6に示すように、実施形態2の液晶表示装置では、液晶表示パネル10の上端部分すなわち駆動回路31が搭載される側の辺部と、この辺部に対向する側の辺部にも保護素子である第2の保護素子16が配置される構成となっている。また、実施形態1の液晶表示パネル10と同様に、駆動回路31が搭載される側の辺部は、駆動回路31と表示領域11との間の領域に保護素子15が形成される。
【0049】
図7に示すように、第2の保護素子16は各メタル配線20,22に接続される薄膜トランジスタからなる第3の保護TFT17で形成されており、該第3の保護TFT17は隣接するメタル配線20,22との間の領域に配置される。このとき、各第3の保護TFT17を形成する薄膜トランジスタのドレイン電極はメタル配線20,22に電気的に接続されている。また、ソース電極は表示領域11の周辺部に形成される第3の保護TFT17用のコモン線27と電気的に接続されている。また、ゲート電極は表示領域11の周辺部に形成され、電圧VGLを供給するVGL信号線29に電気的に接続されている。この構成により、第3の保護TFTのソース・ドレイン間のチャネル抵抗によってメタル配線20,22の静電気をコモン線27に逃がす構成としている。
【0050】
このとき、駆動回路31の搭載される辺部から遠い側の辺部では、メタル配線20,22の間隔は表示領域11内の間隔と同じ配線間隔で並設されることとなるので、隣接するメタル配線20,22との間に1つの第3の保護TFT17を形成する構成としている。この構成により、Y方向すなわちメタル配線20,22の伸延方向への第2の保護素子16の形成領域を小さくする構成となっている。
【0051】
以上説明したように、実施形態2の液晶表示装置では、表示領域11内に伸延するメタル配線20,22の一方の端部である駆動回路31の搭載側と、他方の端部である駆動回路31の搭載されない側とに保護素子15,16を形成する構成となっている。従って、実施形態の液晶表示装置よりもラビング工程を含む製造工程での静電気の発生に伴う薄膜トランジスタの破壊(静電破壊)を防止することが可能となる。その結果、製造工程での静電気の発生に伴う薄膜トランジスタの破壊(静電破壊)をさらに防止することができるので、生産効率をさらに向上させることが可能となる。
【0052】
特に、実施形態2の構成では、ラビング処理の開始側のメタル配線20,22の端部と、ラビング処理の終了側のメタル配線20,22の端部とに保護素子15,16を配置する構成となっているので、ラビング処理で発生する静電気による静電破壊に対して、その効果を得ることができる。
【0053】
さらには、実施形態2の構成では、駆動回路31の搭載側の辺部と、駆動回路31の搭載側に対向する側に辺部と、それぞれのメタル配線20,22の配線間隔に適した保護素子15,16を形成する構成となっている。従って、メタル配線20,22の両側の端部に保護素子15,16を形成した場合であっても、表示領域11の周辺部分に形成される環状の額縁領域の面積を小さくできるという格別の効果も得ることができる。
【0054】
さらには、実施形態2の液晶表示装置では、ラビング処理の開始側のメタル配線20,22の端部の保護素子15が配置され、ラビング処理の終了側のメタル配線20,22の端部に保護素子16が配置される構成となっている。従って、メタル配線20,22の端部のいずれか一方の端部に保護素子を形成した場合に比較して、静電気の発生場所から保護素子に至るまでの配線長の最大長さを、略半分の長さとすることができる。その結果、実施形態1の効果に加えて、保護素子から最も離れた位置すなわち表示領域11のY方向の中心部分で静電気が発生した場合であっても、異なる薄膜層(配線層)に形成されるメタル配線20とメタル配線22との時定数の差に起因する電位差を小さくすることができ、画素TFT12の静電破壊を防止することができるという格別の効果を得ることができる。
【0055】
〈実施形態3〉
図8は本発明の実施形態3の表示装置である液晶表示装置における保護素子の形成位置を説明するための図である。ただし、実施形態3の液晶表示装置においては、保護素子15の形成位置を除く他の構成は実施形態1,2と同様の構成である。従って、以下の説明では、保護素子15の形成位置及びその効果について詳細に説明する。
【0056】
図8に示すように、実施形態3の液晶表示装置では、ラビング処理の開始側の辺部すなわち駆動回路31の搭載される側の辺部に対向する側の辺部、及びラビング処理の終了側の辺部すなわち駆動回路31の搭載される側の辺部に、それぞれ第1及び第2の保護TFT13,14からなる保護素子15が形成される構成となっている。この構成からなる実施形態3の液晶表示装置においても、駆動回路31と表示領域11との間の領域に保護素子15を形成した場合であっても、X方向への形成領域幅を小さくでき、実施形態1,2と同様の効果を得ることができる。また、実施形態1の構成に比較して、静電気の発生場所から保護素子に至るまでの配線長の最大長さを、略半分の長さとすることができるので、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらには、実施形態3の構成では、同一の回路構成からなる保護素子15が表示領域11を介して形成される構成となっている。従って、駆動回路31の搭載側の辺部に形成される保護素子15と、該辺部と対向する側の辺部に形成される保護素子15とを同一の工程で形成することが可能となる。すなわち、駆動回路31の搭載側の辺部に形成される保護素子15と、該辺部と対向する側の辺部に形成される保護素子15との電気特性を略同一に形成することができる。その結果、駆動回路31の搭載側の辺部に形成される保護素子15と、該辺部と対向する側の辺部に形成される保護素子15との電気特性の差に起因する保護特性の差も略同一とすることが可能となり、2つの保護素子15による画素TFTの静電破壊の防止効果を向上させることができるという格別の効果が得られる。
【0058】
なお、実施形態3の構成では、駆動回路31の搭載側の辺部と該辺部に対向する辺部とに保護素子15を配置する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、
図9に示すように、駆動回路31の搭載側の辺部と該辺部に対向する辺部とに、実施形態2に記載する保護素子16を形成する構成であっても、前述する効果を得ることができる。
【0059】
さらには、
図10に示すように、駆動回路31の搭載側の辺部に保護素子16を形成し、該駆動回路31の搭載される辺部に対向する辺部に保護素子15を形成する構成であっても、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
1……第1基板、2……第2基板、3……液晶、10……液晶表示パネル
11……表示領域、12……画素TFT、13,14……保護TFT
15,16……保護素子、17……第3の保護TFT、18……下地膜
19……絶縁膜(ゲート絶縁膜)、20,22……ドレイン線(メタル配線)
21……層間絶縁膜、23……第1の絶縁膜、24……有機絶縁膜
26……第2の絶縁膜、27……コモン線、28……ゲート線、29……VGL信号線
31……駆動回路、32……フレキシブル配線基板、41……半導体層
42……導電膜(ゲート電極線)、46……導電膜、PX……画素電極
43,44,45,47,48……貫通孔(コンタクトホール)、CT……共通電極