(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、被切断材Wを切断するソーチェン504は、一般的に鋸刃等と比較して刃幅が広いため、切粉が大量に発生するという問題があった。また、ソーチェン504の交換は簡易に行えるものではなく、オイルタンクへの油(ソーチェン504の焼き付き防止のためのチェンオイル)の充填にも手間がかかるため、ポールソー500の保守及び点検はユーザの負担となっていた。さらに、ポールソー500においては、操作棹501の軸線延長線上とソーチェン504とがずれているため、操作棹501の軸心を中心としたモーメントが発生し、操作が困難となる場合があり、操作棹501の延長線上とずれた位置に被切断材Wを視認して切断作業を行うため、直感的な操作が困難であるという問題があった。
【0007】
また、上述の枝打機においては、先端工具の着脱を行っているユーザと出力軸を駆動させるスロットルとが操作棹の長さ程度離間しているため、先端工具の着脱中にユーザがスロットルに注意を払うことは容易ではない。このため、エンジンをアイドリング状態にしたまま先端工具の着脱を行っているユーザが、枝打機全体を傾け又は移動させた際に、スロットルが予期せぬ障害物等に接触し操作されてしまう虞があり、スロットルが予期せず操作された場合には、出力軸は駆動状態となり先端工具の着脱が困難となるという問題があった。同様に、電動モータを駆動源として用いた長尺な操作棹を有する枝打機においても、ユーザが先端工具の着脱を行っている間に、先端工具を駆動させるための駆動スイッチが意図せずオン状態となり、出力軸が駆動を開始し先端工具の着脱が困難となるという問題があった。さらに、長尺な操作棹を有しない作業工具においても先端工具の着脱作業時に意図せず出力軸が駆動されることがあり、先端工具の着脱作業時において出力軸の停止状態を確実に保つことが望まれていた。
【0008】
そこで、本発明は、直感的な操作が可能であり、切粉の発生を抑えることができ、オイルタンクへの油(チェンオイル)の充填が不必要で、また簡便な操作による刃の交換が可能な作業工具を提供することを目的とする。また、本発明は、ユーザが先端工具の着脱を行う場合に、駆動源を停止させることで、出力軸の意図せぬ駆動を防止し、先端工具の着脱における利便性の向上を図った作業工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、駆動源と、一端部が該駆動源に接続され、該駆動源の駆動力によって回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の他端部を覆う筐体と、該筐体内に設けられ、該駆動軸の回転を往復運動に変換する往復動変換機構と、該往復動変換機構に接続され、該往復動変換機構によって往復駆動され、鋸刃が取付可能な出力軸と、一端側において該駆動源を支持し、他端側において該往復動変換機構を支持し、内部に該駆動軸を配置する操作棹と、を備え、該出力軸に該鋸刃が取り付けられた状態において、該操作棹及び該出力軸を含む平面と直交する方向から見て、該操作棹の軸心を含む直線と該鋸刃とは離間していることを特徴とする作業工具を提供する。
【0010】
このような構成によると、鋸刃によって切断作業を行えるため、被切断材の切断後の切粉の量を抑制することができる。また、オイルタンクに油(チェンオイル)を充填する必要がないため、ユーザの負担を軽減することができる。さらに、操作棹の軸心を含む直線と該鋸刃とは離間しているため、被切断材を操作棹の軸心延長線上に捉えることができる。このため、ユーザが直感的に操作することでき、操作性をより向上させることができる。
【0011】
また、上記構成において、該出力軸に該鋸刃が取り付けられた状態において、該平面に対して該鋸刃の側面が略平行であることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、操作棹を中心としたモーメントを抑制することがきるため、操作性を向上させることができる。
【0013】
また、該往復動変換機構は、該駆動軸に接続され、該駆動軸によって回転駆動され、傾斜軸を有する駆動伝達軸と、該傾斜軸に取り付けられ、該出力軸を往復駆動させる揺動部と、を有することが好ましい。
【0014】
このような構成によると、駆動伝達軸が回転することで傾斜軸に取り付けられたレシプロプレートが往復動を行うため、簡易な構成で出力軸を往復駆動させることができる。
【0015】
また、該筐体内に揺動可能に支持されたガイドスリーブと、該筐体内に配置され、該出力軸の往復動方向に沿って延びた軌道面を有する案内部材と、を更に備え、該出力軸は、該ガイドスリーブ内に往復摺動可能に配置されると共に該軌道面上を転動可能なスイングローラを有し、該出力軸に取り付けられた該鋸刃の先端部分は、該スイングローラが該軌道面上を転動し、且つ該出力軸が該往復駆動することによって、該軌道面の形状に応じた軌跡を描くことが好ましい。
【0016】
このような構成によると、出力軸に往復動方向とは直交する方向の動作を付加することができるため、切断力を向上させることができる。
【0017】
また、該筐体内には、該出力軸の往復運動に起因して発生する振動を低減する振動吸収機構が配置されていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、出力軸の往復運動に起因して発生する振動を低減することができるため、操作性をより向上させることがきる。
【0019】
また、該出力軸の端部には、単一方向に操作されることで該鋸刃を該出力軸に着脱可能とする着脱機構が設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、簡便な操作のみによって鋸刃を出力軸に着脱できるため、利便性を向上させることができる。
【0021】
本発明は更に、第1筐体と、該第1筐体に一端側が接続された長尺状の操作棹と、該操作棹の他端側に接続された第2筐体と、該第1筐体内に収容された駆動源と、該操作棹の内部に回転可能に支承され、該駆動源によって回転駆動される駆動軸と、該第2筐体内に設けられ、該駆動軸の回転を往復運動に変換する往復動変換機構と、該往復動変換機構に接続され、該往復動変換機構によって往復駆動され、鋸刃が取付可能な出力軸と、を備え、該出力軸に該鋸刃が取り付けられた状態において、該操作棹と該出力軸とを含む平面に対して該鋸刃の側面が略平行であることを特徴とする作業工具を提供する。
【0022】
このような構成によると、鋸刃によって切断作業を行えるため、被切断材の切断後の切粉の量を抑制することができる。また、オイルタンクに油を充填する必要がないため、ユーザの負担を軽減することができる。さらに、操作棹を中心としたモーメントを抑制することがきるため、操作性を向上させることができる。
【0023】
上記課題を解決するために本発明はさらに、駆動源と、該駆動源が駆動することによって回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の回転力を往復動に変換する往復動変換機構と、該往復動変換機構に接続され、該往復動変換機構を介して該駆動軸の回転力によって往復駆動される出力軸と、該出力軸に設けられ、該出力軸に対して先端工具を固定する工具固定機構と、該工具固定機構の状態を検知する固定機構検知部と、該固定機構検知部が解除操作を検知した場合に、該駆動源の駆動を停止させるための停止手段と、を備えることを特徴とする作業工具を提供する。
【0024】
このような構成によると、出力軸に対する先端工具の固定が解除されたことを検知することができ、ユーザが先端工具の着脱を行っている場合に、駆動源の駆動を停止することができる。このため、ユーザが先端工具の着脱を行う場合に不意に出力軸が駆動されることを抑制することができ、円滑な先端工具の着脱が実現し、利便性が向上する。
【0025】
上記構成において、該工具固定機構は、該先端工具の固定を解除するための操作部を有し、該固定機構検知部は、該操作部が操作されたことによって該先端工具の固定が解除されたことを検知するように構成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成によると、出力軸に対する先端工具の固定が解除されたことをユーザによる操作部の操作によって検知することができるので、確実に先端工具の着脱を行っていることを検知することができ、検知精度を向上させることができ、より利便性が向上する。
【0027】
また、該工具固定機構は、該先端工具を該出力軸に固定する係止部材を有し、該係止部材は、第1の位置において該先端工具を該出力軸に固定し、第2の位置において該先端工具の該出力軸に対する固定を解除し、該固定機構検知部は、該係止部材の位置によって該先端工具の固定が解除されたことを検知するように構成されていることが好ましい。
【0028】
このような構成によると、出力軸に対する先端工具の固定が解除されたことを係止部材の位置によって検知するので、より確実に先端工具の着脱を行っていることを検知することができる。このため、より検知精度を向上させることができる。
【0029】
また、該停止手段は、スイッチ機構を有し、該固定機構検知部は、該係止部材が該第1の位置にある場合に該係止部材によって押圧された状態となり、該係止部材が該第2の位置にある場合に該係止部材によって押圧されていない状態となるボタンを有し、該係止部材によって該ボタンが押圧されていないことによって該先端工具の固定が解除されたことを検知するように構成されていることが好ましい。
【0030】
このような構成によると、ボタンの押圧状態により出力軸に対する先端工具の固定が解除されたことを検知するので、簡易な構成で正確に先端工具の固定が解除されたことを検知することができる。
【0031】
また、該駆動源は、1次巻線と2次巻線とを有する点火コイルと、該1次巻線に電流を供給する発電装置と、を備えるエンジンであって、該停止手段は、一端部が該1次巻線と発電装置との間に接続され、他端部がアースに接続されており、該固定機構検知部が解除操作されたことを検知していない状態においては、該1次巻線とアースとを非接続状態とすることで該発電装置が発生させた電流を該1次巻線へ流して、該エンジンの駆動を許容し、該固定機構検知部が解除操作されたことを検知した状態においては、該1次巻線とアースとを接続状態とすることで該発電装置が発生させた電流をアースに流し、該1次巻線への電流の供給を遮断し、該エンジンの駆動を停止させるように構成されていることが好ましい。
【0032】
このような構成によると、ユーザが先端工具の着脱を行い出力軸に対する先端工具の固定が解除されている場合においては、発電装置から1次巻線へ電流は流れ込まないため、2次巻線には電圧が誘起せず、点火コイルが作動しない。このため、エンジンは停止状態となり、ユーザが先端工具の着脱を行っている場合に意図せず出力軸が駆動することを確実に防止でき、利便性がより向上する。
【0033】
また、該駆動源は、電源に該停止手段を介して接続された電動モータであって、該停止手段は、該固定機構検知部が解除操作されたことを検知していない状態においては、該電源からの該電動モータへの電力供給を許容して該電動モータの駆動を許容し、該固定機構検知部が解除操作されたことを検知した状態においては、該電源からの該電動モータへの電力供給を遮断し、該電動モータの駆動を停止または停止状態を維持するように構成されていることが好ましい。
【0034】
このような構成によると、ユーザが先端工具の着脱を行い出力軸に対する先端工具の固定が解除されている場合には、電動モータへ電流が流れない。このため、ユーザが先端工具の着脱を行っている場合に意図せず出力軸が駆動することを確実に防止でき、利便性がより向上する。
【0035】
本発明は更に、駆動源と、一端部が該駆動源に接続され、該駆動源が駆動することによって回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の他端部を覆う筐体と、一端側において該駆動源を支持し、他端側において該筐体を支持し、内部に該駆動軸を配置する長尺な操作棹と、該筐体内に設けられ、該駆動軸の回転力によって駆動される出力軸と、該出力軸に設けられ、該出力軸に対して先端工具を固定する工具固定機構と、該工具固定機構の状態を検知する固定機構検知部と、該固定機構検知部が解除操作されたことを検知した場合に、該駆動源の駆動を停止させるための停止手段と、を備えることを特徴とする作業工具を提供する。
【0036】
このような構成によると、出力軸に対する先端工具の固定が解除されたことを検知することができ、ユーザが先端工具の着脱を行っている場合に、駆動源の駆動を停止することができる。このため、ユーザが先端工具の着脱を行う場合に不意に出力軸が駆動されることを抑制することができ、円滑な先端工具の着脱が実現し、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の作業工具によれば、操作性及び利便性を向上させ、直感的な操作を可能とした作業工具を提供することができる。また、本発明の作業工具によれば、ユーザが先端工具の着脱を行う場合に、駆動源を停止させ、出力軸の意図せぬ駆動を防止し、先端工具の着脱における利便性の向上を図ることができる
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に本発明の第1の実施の形態による作業工具について
図1乃至
図6に基づき説明する。
【0040】
図1乃至
図3に示すように本発明の第1の実施の形態による作業工具であるポールセーバソー1は、内燃エンジン2Aの一部を覆うハウジング2と、ハンドル33を有する操作棹3と、ギヤハウジング4と、往復動変換機構5と、プランジャ6と、ブレードホルダ7とにより主に構成されており、プランジャ6にブレード8が取り付けられた状態で使用される。以下の説明において、ハウジング2に対して操作棹3が延出している方向を前方向とし、逆方向を後方向と定義する。また、操作棹3に対してハンドル33が延出している方向を上方向とし、逆方向を下方向と定義する。更に、
図1において後方向からポールセーバソー1を見た場合の右を右方向とし、逆方向を左方向と定義する。
【0041】
ハウジング2は、駆動源に相当する内燃エンジン2Aの一部を覆っており、燃料タンク21と、スタータハンドル22と、を主に備え、内燃エンジン2Aを駆動させるために必要な部品を有している。ハウジング2は、本発明の第1筐体の一例である。
【0042】
内燃エンジン2Aは、図示せぬ回転軸及び図示せぬ遠心クラッチを備えている。図示せぬ回転軸は、内燃エンジン2Aが駆動することによって回転駆動される。図示せぬ遠心クラッチは、図示せぬ回転軸に接続されている。
【0043】
燃料タンク21は、ハウジング2の下部に設けられており、その内部には、内燃エンジン2Aを駆動させるための燃料が収容されている。スタータハンドル22は、ハウジング2の後端部左側に設けられている。
【0044】
操作棹3は、前後方向に延びる長尺状な筒状部材であって、ハウジング2の前部に接続され、且つギヤハウジング4の後部に接続されており、前後方向長は1〜4m程度に設計されている。言い換えれば、操作棹3は、その一端側(後端側)においてハウジング2及びハウジング2にその一部を覆われている内燃エンジン2Aを支持し、他端側(前端側)においてギヤハウジング4及びギヤハウジング4内の往復動変換機構5を支持している。また、操作棹3は、グリップ31と、ハンガ32と、ハンドル33とを備えており、その内部には
図3に示されている駆動軸34が配置されている。
【0045】
グリップ31は、ユーザが把持する部分であり、操作棹3の後部に設けられている。また、グリップ31は、スロットル31Aと、ストップスイッチ31Bとを備えている。
【0046】
スロットル31Aは、グリップ31の下側に設けられており、操作棹3方向に押し込む量を可変として燃料噴射量を調整することができる。ストップスイッチ31Bは、例えば点火プラグと発電装置との間に接続され、運転位置と停止位置とに切替え可能なスイッチであり、ストップスイッチ31Bを運転位置に切替えてスタータハンドル22を引くことによって内燃エンジン2Aを駆動させることができる。また、内燃エンジン2A駆動中にストップスイッチ31Bを停止位置に切替えることで内燃エンジン2Aを停止させることができる。
【0047】
ハンガ32は、図示せぬ肩掛けバンドを取り付ける部分であり、グリップ31の前方に設けられている。ハンガ32に肩掛けバンドを取り付けた状態で、ユーザは肩掛けバンドを肩に掛けポールセーバソー1を使用する。
【0048】
ハンドル33は、ハンガ32の前方に設けられ、前面視において環形状をなすいわゆるループハンドルであり、把持部33Aと接続部33Bとにより構成されている。把持部33Aは、ユーザがグリップ31を把持する手とは逆の手によって把持される部分であり、左右方向に延びる棒形状をなし、操作棹3の上方に位置している。接続部33Bは、把持部33Aの左右両端部と操作棹3の両側面とをそれぞれ接続している。ユーザは、肩掛けバンドを肩に掛け、一方の手でグリップ31を把持し、他方の手で把持部33Aの左右方向略中央を把持した状態でポールセーバソー1を使用する。
図2に示すように、ユーザが把持する把持部33Aの略中央及びグリップ31は、上面視において操作棹3の軸心上に位置しているため、安定した操作性が確保される。
【0049】
図3に示すように、駆動軸34は、前後方向にギヤハウジング4から操作棹3内部を介してハウジング2に亘って延びる軸であり、内燃エンジン2Aの駆動力によって回転駆動される。駆動軸34の後端部はハウジング2内の遠心クラッチを介して内燃エンジン2Aに接続され、前端部は往復動変換機構5に接続されている。また、駆動軸34は、ギヤハウジング4内のボールベアリング4A、操作棹3内の図示せぬボールベアリング及びハウジング2内の図示せぬボールベアリングに回転可能に支承されており、駆動軸34の前端部には、ピニオン34Aが設けられている。
【0050】
筐体に相当するギヤハウジング4は、操作棹3の前端部に接続されており、その内部には往復動変換機構5及びプランジャ6が主に収容されている。ギヤハウジング4は、本発明の第2筐体の一例である。
【0051】
往復動変換機構5は、ギヤハウジング4内部の下部に配置されており、駆動伝達軸51及び揺動部に相当するレシプロプレート52を備えている。
【0052】
駆動伝達軸51は、駆動軸34と略平行に前後方向に延び、駆動軸34の前方且つ下方に位置しており、ギヤハウジング4に支持されたボールベアリング4B及びボールベアリング4Cに回転可能に支承されている。また、駆動伝達軸51は、駆動伝達ギヤ51Aと傾斜軸51Bとを備えている。
【0053】
駆動伝達ギヤ51Aは、駆動伝達軸51の後部に同軸固定されており、駆動軸34のピニオン34Aと噛合している。駆動軸34の回転力はピニオン34A及び駆動伝達ギヤ51Aを介して駆動伝達軸51に伝達される。
【0054】
傾斜軸51Bは、駆動伝達軸51上に、駆動伝達軸51の軸心に対して傾斜軸51Bの軸心が傾斜した状態で設けられている。傾斜軸51Bは、駆動伝達軸51の軸心を中心として駆動伝達軸51と供回りする構成となっている。
【0055】
レシプロプレート52は、傾斜軸51Bに当接する2個のボールベアリング5Aを介して傾斜軸51Bに回転自在に取り付けられており、傾斜軸51Bの軸心に対して直角な方向に延びる揺動腕部52Aを備えている。揺動腕部52Aの先端部はプランジャ6と接続されている。
【0056】
出力軸に相当するプランジャ6は、前後方向に延びる略円筒形状をなし、駆動軸34の前方且つ上方に位置し、駆動軸34と略平行な位置関係をなしている。また、プランジャ6は、ギヤハウジング4にメタル軸受4Dを介して前後方向に往復摺動可能に支持されている。さらに、プランジャ6には挿通孔6a、ブレード取付部61が形成されている。
【0057】
挿通孔6aは、プランジャ6の後部下側に底面視において略円形状に形成されており、レシプロプレート52の揺動腕部52Aの一部が挿通している。揺動腕部52Aの一部が挿通した状態において、プランジャ6後部を左右に貫通するコネクタピン6Aによって揺動腕部52Aの先端部はプランジャ6に回動可能に接続されている。
【0058】
図3及び
図4に示すように、ブレード取付部61は、プランジャ6の前端部に形成されており、スリット61a、取付孔61b及びピン挿入孔部61cが形成されている。スリット61aは、ブレード取付部61の前端面から後方に延びる上下方向に貫通した孔であり、ブレード8の後端部を挿入可能に構成されている。取付孔61bは、スリット61aの後方において左右方向に貫通した孔であり、後述の締結部材7Aの貫通を許容している。ピン挿入孔部61cは、ブレード取付部61の前部左側からスリット61aまで貫通する側面視円形状の孔であり、スリット61a近傍には孔の直径が小さく構成された縮径孔部61dを有している。また、縮径孔部61dの外周には、段付部61Aが形成されている。
【0059】
ブレードホルダ7は、ブレード取付部61に締結部材7Aによって固定されており、係止ピン71と、ノブ72と、ホルダケース73とを備えている。また、プランジャ6に取り付けられる鋸刃に相当するブレード8は、前後方向に延び前部下端部には、被切断材を切断するための刃部を備えている。また、ブレード8の厚みは0.9〜1.6mm程度であり、その後端部には係止孔8aが形成されている。
【0060】
係止ピン71は、第1円柱部71Aと、第2円柱部71Bと、円錐部71Cとにより構成されている。第1円柱部71Aは、左右方向に延びる円柱形状をなしており、左右方向の長さはスリット61aの左右方向の幅よりも短く設計されている。また、第1円柱部71Aは、ブレード8の係止孔8aに挿通されており、ブレード8をブレード取付部61に固定している。第2円柱部71Bは、第1円柱部71Aの直径よりも大きい直径を有する円柱形状をなしており、その直径は縮径孔部61dの直径よりも僅かに小さく構成されている。円錐部71Cは、円柱形状に円錐形状を接続した形状をなしており、その円柱形上の部分は第2円柱部71Bの直径よりも大きく且つピン挿入孔部61cの直径よりも僅かに小さい直径を有している。第2円柱部71Bの半径方向外方にはバネ7Bが設けられており、その左右方向の一端部は円錐部71Cと当接し、他端部はピン挿入孔部61cの段付部61Aと当接している。バネ7Bはブレード取付部61に対するブレード8の固定を解除する方向(左方向)へ係止ピン71を付勢している。
【0061】
ノブ72は、バネ収容部72Aと、腕部72Bと、突出部72Cと、操作部72Dとを備えている。バネ収容部72Aは側面視略円形状をなしており、その内部にはコイルバネ72Eが収容されており、左側面には締結部材7Aの貫通を許容する貫通孔72aが形成されている。腕部72Bはバネ収容部72Aの前方上部から前方に延出しており、ブレード取付部61のピン挿入孔部61cに対向する面には、下方から上方に向かうに従って左方向に傾斜している傾斜面71Fが規定されている。傾斜面71Fは係止ピン71の円錐部71Cと当接しており、係止ピン71が
図4の状態よりも左方向へ移動することを規制している。コイルバネ72Eは、腕部72Bを上方に付勢している。すなわち、コイルバネ72Eは、腕部72Bが係止ピン71の左方向への移動を規制している状態(
図4の状態)を保持している。突出部72Cは、腕部72Bの前部左側面から左方向に突出しており、その左端部には操作部72Dが設けられている。
【0062】
ホルダケース73は、ブレード取付部61全体を覆うように形成されており、前端面のスリット61aに対向する部分は上下方向に開口している。また、ノブ72の突出部72Cに対向する部分は突出部72Cの左方向への突出を許容する孔が形成されている。また、ホルダケース73の右側面後部には、締結部材7Aの貫通を許容する貫通孔73aが形成されている。
【0063】
図4においては、ブレード8がブレード取付部61に取り付けられた状態であったが、ノブ72を下方に押し下げることでバネ7Bの付勢力により係止ピン71が傾斜部72Fに沿って左方向へ移動し、第1円柱部71Aが係止孔8aから抜け、ブレード取付部61に対するブレード8の固定が解除される。すなわち、ノブ72を下方に押し下げる操作のみでブレード8をブレード取付部61から取り外すことができる。再度、ブレード8をブレード取付部61に取り付けたい場合は、ノブ72を下方に押し下げ、係止ピン71を左方向へ移動させた状態でブレード8をスリット61aに挿入し、ノブ72から手を放すことでノブ72はコイルバネ72Eによって
図4の状態に戻り、ブレード8はブレード取付部61に対して固定状態となる。
【0064】
上述したように、ブレード取付部61とブレードホルダ7とにより着脱機構が構成されており、ノブ72を単一方向に操作するのみの簡便な手順、いわゆるワンタッチでブレード8をプランジャ6に着脱可能としている。また、薄いブレード8をプランジャ6に取り付けて切断作業を行うことができるため、ソーチェン等を取り付けて切断作業を行う作業工具と比較して切粉の発生量を抑制することができる。さらに、ソーチェン等を取り付けて切断作業を行う作業工具の場合には、ソーチェン等に関して被切断材の反対側に位置する被切断材以外を誤って切断する可能性があるが、ブレード8は下端部のみに刃部が形成されているため、被切断材以外を誤って切断することを抑制することができる。
【0065】
ここで、ブレード8がプランジャ6に取り付けられた状態における操作棹3、プランジャ6及びブレード8の位置関係について
図3及び
図5に基づいて説明する。
【0066】
図5において、平面Bは操作棹3とプランジャ6とを含む平面を表しており、平面Bとブレード8の側面8Aとは平行な位置関係にある。また、
図3において、直線Aは操作棹3の軸心を含む直線を表しており、直線Aとブレード8とは側面視において離間している。
【0067】
このような位置関係とすることで、ポールセーバソー1を操作する上で操作棹3の軸心を中心としたモーメントを抑制することができるため、操作性が向上させることができる。また、操作棹3の軸心延長線上に被切断材を捉えることができ直観的な操作が可能となる。
【0068】
次にポールセーバソー1の動作を説明する。
【0069】
上述したストップスイッチ31Bを停止位置から運転位置に切替え、スタータハンドルを勢いよく引くと内燃エンジン2Aが駆動を開始し、図示せぬ回転軸が回転する。次にスロットル31Aを操作棹3方向に押し込むと、図示せぬ回転軸の回転数が上昇し、回転数が所定回転数を超えると、図示せぬ遠心クラッチを介して駆動軸34に回転力が伝達される。
【0070】
駆動軸34が回転することでピニオン34A及び駆動伝達ギヤ51Aを介して駆動伝達軸51が回転駆動され、傾斜軸51Bが駆動伝達軸51の軸心を中心として回転する。
【0071】
図6(a)及び(b)に示すように、傾斜軸51Bが駆動伝達軸51の軸心を中心として回転することで、レシプロプレート52は駆動伝達軸51が半回転する毎に
図6(a)と
図6(b)の状態を繰り返す。その結果、レシプロプレート52は前後方向に揺動し、揺動腕部52Aは前後方向に往復運動を行うため、揺動腕部52Aに接続されたプランジャ6及びプランジャ6に取り付けられたブレード8も前後方向に往復駆動される。すなわち、往復動変換機構5が駆動軸34の回転を往復運動に変換することで、ブレード8が前後方向に往復駆動する。ブレード8が往復駆動することによって切断作業が可能となる。
【0072】
次に、
図7及び
図8に基づいて本発明の第2の実施の形態によるポールセーバソー200について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態によるポールセーバソー1と同一の構成には同一の符号を付し説明を省略し、相違する構成について説明する。
【0073】
図7に示すように、ポールセーバソー200のギヤハウジング204内には、駆動軸34の前方且つ上方にガイドスリーブ201が軸ボルト202を中心に所定角度揺動可能に配置されている。また、ガイドスリーブ201の左右方向外方には、それぞれガイドレール209がギヤハウジング204に支持されている。ギヤハウジング204は、本発明の筐体の一例及び第2筐体の一例である。
【0074】
ガイドスリーブ201は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、その前方内部には軸受メタル203が圧入されている。ガイドスリーブ201の前後方向略中央の左右両側面にはそれぞれ前後に延びるガイド孔201aが形成され、後端部の左右両側面にはそれぞれには側面視において方形状の方形貫通孔201bが形成されている。また、ガイドスリーブ201の上下両面には前後方向に延びる長穴201cが形成されている。さらに、ガイドスリーブ201は、その内部に軸受メタル203を介してプランジャ206を前後方向に摺動可能に支持している。
【0075】
出力軸に相当するプランジャ206は、前後方向に延び、その前端部にはブレードホルダ7が固定されており、ブレード8が着脱可能である。プランジャ206の後部の左右両側面からは左右方向に延びるガイドシャフト206Aがガイドスリーブ201の左右両側面のガイド孔201aを挿通してガイドスリーブ201の外側に延出しており、それぞれのガイドシャフト206Aの端部にはガイドシャフト206Aの軸心を中心として回動可能なスイングローラ206Bが設けられている。また、プランジャ206の下面には前後方向に延びるプランジャ貫通孔206aが形成されており、上面には上面視において略円形状の円形孔206bが形成されている。レシプロプレート52の揺動腕部52Aは長穴201c及びプランジャ貫通孔206aを貫通し、揺動腕部52Aの端部に形成された球状部252Bが円形孔206bに転動可能に係合している。
【0076】
プランジャ206の後方には、ガイドスリーブ201の左右両側面のそれぞれの方形貫通孔201bを貫通するチェンジシャフト205が自己の軸心を中心に回転可能にギヤハウジング204に支持されている。チェンジシャフト205の方形貫通孔201bを貫通している部分は、平面部を有する平板形状をなしている。チェンジシャフト205の平面部が上下方向と直交している場合には、ガイドスリーブ201の揺動動作を許容し、前後方向と直交している場合には、ガイドスリーブ201の揺動動作を規制している。ギヤハウジング204の右側面後部にはチェンジシャフト205と接続されたチェンジレバ205Aが設けられており、チェンジレバ205Aを操作することでガイドスリーブ201の揺動動作の許容と規制と切替えることができる。
図7の状態は、ガイドスリーブ201の揺動動作を許容している状態である。
【0077】
案内部材に相当するガイドレール209は、スイングローラ206Bと当接可能な軌道面209Aを有する下レール209Bとスイングローラ206Bと当接可能な軌道面209Cを有する上レール209Dとにより構成されており、下レール209Bと上レール209Dとはそれぞれの前端部において接続されている。
【0078】
軌道面209Aは、前後方向(往復動方向)に延び、後部から前部に向かうに従って徐々に下方に傾斜している。また、軌道面209Cは、前後方向(往復動方向)に延び、後部から前部に向かうに従って徐々に上方に傾斜している。
【0079】
図8に基づいて、本発明の第2の実施の形態によるポールセーバソー200の動作を説明する。
【0080】
内燃エンジン2Aを駆動させると、本発明の第1の実施の形態によるポールセーバソー1と同様に駆動軸34が回転する。駆動軸34の回転力が駆動伝達軸51及び傾斜軸51Bを介してレシプロプレート52に伝達され揺動腕部52Aが前後方向に揺動する。揺動腕部52Aが揺動することで、円形孔206bの内部にわずかな隙間で転動可能に係合している球状部252Bは、転動しながら前後方向に往復運動を行い、プランジャ206及びブレード8は往復駆動される。ブレード8が往復駆動することで切断作業が可能となる。
【0081】
図8(a)に示すように、被切断材Xにブレード8を押し付けていない状態において、ブレード8及びプランジャ206は、本発明の第1の実施の形態によるポールセーバソー1と同様の往復運動を行う。すなわち、前後方向の動作のみであって上下方向の動作を付加されていない。
【0082】
図8(b)及び(c)に示すように、被切断材Xにブレード8を押し付けた状態において、ブレード8は被切断材Xから上方向の反力Fを受けるため、ブレード8の先端部は上方向に移動する。また、ガイドスリーブ201は、軸ボルト202を中心として揺動可能であるため、ガイドスリーブ201の後端部は下方に押し付けられ、スイングローラ206Bはガイドレール209の軌道面209Aに当接する。
【0083】
スイングローラ206Bが軌道面209Aに当接した状態で前死点(
図8(b)の状態)及び後死点(
図8の(c)の状態)を往復するため、ブレード8の先端部分は、軌道面209Aの形状に応じた軌跡を描く。ポールセーバソー200においては、円弧状の軌跡Cを描く。
【0084】
このように、ポールセーバソー200には、前死点から後死点へ戻る際にブレード8の先端部に下方向の動作を付加する、いわゆるオービタル切断を実現するためのオービタル機構を備えているため、切断力を向上させることができる。
【0085】
次に、
図9及び
図10に基づいて本発明の第3の実施の形態によるポールセーバソー300について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態によるポールセーバソー1及び本発明の第2の実施の形態によるポールセーバソー200と同一の構成には同一の符号を付し説明を省略し、相違する構成について説明する。
【0086】
図9に示すように、ポールセーバソー300のギヤハウジング304内には、往復動変換機構305と、カウンタウェイト301とが配置されている。ギヤハウジング304は、本発明の筐体の一例及び第2筐体の一例である。
【0087】
往復動変換機構305は、ギヤハウジング304内部の下部に配置されており、駆動伝達軸51及びカウンタレシプロプレート352を備えている。
【0088】
駆動伝達軸51は、傾斜軸51Bの後方にカウンタ傾斜軸351Bを備えており、カウンタ傾斜軸351Bは、駆動伝達軸51の軸心を中心として駆動伝達軸51と供回りする構成となっている。カウンタレシプロプレート352は、カウンタ傾斜軸351Bに当接する2個のボールベアリング305Aを介してカウンタ傾斜軸351Bに回転自在に取り付けられており、カウンタ傾斜軸351Bの軸心に対して直角な方向に延びるカウンタ揺動腕部352Aを備えている。カウンタ揺動腕部352Aの先端部にはカウンタ球状部352Bが設けられており、カウンタ球状部352Bはカウンタウェイト301と接続されている。
【0089】
カウンタレシプロプレート352の揺動運動とレシプロプレート52の揺動運動との干渉を避けるため、後方視において、カウンタレシプロプレート352は、レシプロプレート52に対して右に所定の角度傾いている。また、カウンタ傾斜軸351Bの駆動伝達軸51に対する傾斜は、カウンタレシプロプレート352とレシプロプレート52との揺動運動が逆位相となるように、上述の所定の角度をも加味して定められている。
【0090】
カウンタウェイト301は、後方視において下方に開口する略鞍形状をなしており、ガイドスリーブ201を内包している。また、カウンタウェイト301の断面形状は、後方視において、カウンタウェイト301の重心とプランジャ206の重心とが略一致するように設計されている。さらに、プランジャ206の軸方向の振動を概ね消去するためには、カウンタウェイト301の質量と往復運動量の積を、プランジャ206の質量と往復運動量の積に等しくすることにより達成される。カウンタウェイト301は、本発明の振動吸収機構の一例である。
【0091】
カウンタウェイト301は、ギヤハウジング304に設けられたカウンタシャフト302によって前後方向に摺動可能に支持されている。カウンタウェイト301の右側の後部下端には、上方に窪んだ連結凹部が形成されており、カウンタレシプロプレート352のカウンタ球状部352Bがわずかな隙間で転動可能に係合している。
【0092】
図10(a)及び(b)に基づいて、本発明の第3の実施の形態によるポールセーバソー300の動作を説明する。
【0093】
内燃エンジン2Aを駆動させると、本発明の第1の実施の形態によるポールセーバソー1と同様に駆動軸34が回転する。駆動軸34の回転力が駆動伝達軸51、傾斜軸51B及びカウンタ傾斜軸351Bを介してレシプロプレート52及びカウンタレシプロプレート352に伝達され揺動腕部52A及びカウンタ揺動腕部352Aが前後方向に揺動する。揺動腕部52Aが揺動することで、円形孔206bの内部にわずかな隙間で転動可能に係合している球状部252Bは、転動しながら前後方向に往復運動を行うため、プランジャ206及びブレード8は往復駆動される。ブレード8が往復駆動することで切断作業が可能となる。他方、カウンタ揺動腕部352Aが揺動することで、連結凹部301aの内部にわずかな隙間で転動可能に係合しているカウンタ球状部352Bは、転動しながら前後方向に往復運動を行うため、カウンタウェイト301は往復駆動される。
【0094】
図10(a)に示すように、プランジャ206が後死点に位置している場合は、カウンタウェイト301は前死点に位置している。
図10(b)に示すように、プランジャ206が前死点に位置している場合は、カウンタウェイト301は後死点に位置している。このように、ポールセーバソー300には、プランジャ206とカウンタウェイト301とが逆位相で往復動を行うカウンタウェイト機構が設けられているため、プランジャ206の往復運動に起因して発生する振動を低減することができるため、操作性をより向上させることがきる。
【0095】
次に、
図11に基づいて本発明の第4の実施の形態によるポールセーバソー400について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態によるポールセーバソー1と同一の構成には同一の符号を付し説明を省略し、相違する構成について説明する。
【0096】
図11に示すように、ポールセーバソー400は、ハウジング2内に駆動源に相当する電動モータ401を収容している。電動モータ401は図示せぬ回転軸を有しており、電動モータ401が駆動することによって図示せぬ回転軸は回転駆動される。また、グリップ31は、トリガ431Aと、電源スイッチ431Bとを備えている。
【0097】
電源スイッチ431Bをオンにすることで電動モータ401が駆動を開始し、図示せぬ回転軸が回転する。図示せぬ回転軸の回転力は、駆動軸34及び往復動変換機構5を介してプランジャ6及びブレード8に伝達され、プランジャ6及びブレード8が往復駆動される。ブレード8が往復駆動されることで切断作業を行うことができる。
【0098】
次に、本発明の第5の実施の形態による作業工具について、
図14乃至
図22に基づき説明する。
【0099】
図14に示すように、本発明の第5の実施の形態による作業工具であるポールセーバソー601は、内燃エンジン602と、ハンドル633を有する操作棹603と、ギヤハウジング604と、プランジャ606と、ブレードホルダ607とにより主に構成されており、プランジャ606にブレード608が取り付けられた状態で使用される。以下の説明において、内燃エンジン602に対して操作棹603が延出している方向を前方向とし、逆方向を後方向と定義する。また、操作棹603に対してハンドル633が延出している方向を上方向とし、逆方向を下方向と定義する。更に、
図14において後方向からポールセーバソー601を見た場合の右を右方向とし、逆方向を左方向と定義する。
【0100】
図15に示すように、内燃エンジン602は、2サイクルの小型エンジンであって、クランクシャフト621と、マグネトロータ622と、遠心クラッチ623と、イグニションコイル624と、点火プラグ625と、スタータハンドル626と、燃料タンク627と、図示せぬピストン、図示せぬクランク機構、図示せぬキャブレタ等の内燃エンジン602を駆動させるために必要な部品を有している。内燃エンジン602は駆動源に相当する。
【0101】
クランクシャフト621は、前後方向に延びる軸であって、図示せぬピストンの往復動を回転運動に変換する図示せぬクランク機構に接続されている。クランクシャフト621は、内燃エンジン602が駆動すると図示せぬクランク機構を介して図示せぬピストンの駆動力が伝達され回転する。
【0102】
図15及び
図16に示すように、マグネトロータ622は、略円板形状に構成され、クランクシャフト621の前部に同軸一体回転するように固定されており、マグネット622Aと、磁極片622Bと、カウンタウェイト622Cとを備えている。マグネット622Aは、永久磁石により構成され、マグネトロータ622の周縁部よりも僅かに内側において一対の磁極片622Bによって挟持されている。カウンタウェイト622Cは、マグネトロータ622の中心に関してマグネット622Aの反対側に設けられており、マグネット622Aによるマグネトロータ622全体の質量分布の偏りを補正している。また、
図17に示す発電装置628は、マグネトロータ622に近接して設けられた図示せぬ電流発生コイルとマグネトロータ622とにより主に構成された公知の電流発生装置である。発電装置628のマグネトロータ622が回転し、マグネット622Aが図示せぬ電流発生コイルの近傍を通過すると、電流発生コイル内を通過する磁束が変化する。これにより、電流発生コイルに電圧が誘起され、電流発生コイルに接続されている負荷に電流が流れる。
【0103】
遠心クラッチ623は、マグネトロータ622の前側に取り付けられており、クラッチウェイト623Aと、クラッチドラム623Bと、クラッチシャフト623Cと、により主に構成されている。遠心クラッチ623は、マグネトロータ622の回転数が所定回転数以上になった場合に、クラッチウェイト623Aが遠心力によって回転中心軸の半径方向外方に移動してクラッチドラム623Bと接続されることで、クラッチドラム623Bにマグネトロータ622の回転力が伝達され、クラッチドラム623Bの前側略中央に設けられた前後方向に延びるクラッチシャフト623Cが回転駆動される公知の装置である。
【0104】
図15乃至
図17(a)及び(b)に示すように、イグニションコイル624は、マグネトロータ622の上方に設けられており、内部に1次巻線624A及び2次巻線624Bを有している。1次巻線624Aは、発電装置628の図示せぬ電流発生コイルに接続され、2次巻線624Bは点火プラグ625に接続されている。図示せぬ電流発生コイルによって発生した電流が1次巻線624Aに流れ、相互誘導作用により2次巻線624Bに高電圧が誘起され点火プラグ625が作動し点火する。点火プラグ625は、内燃エンジン602上部に設けられており、マグネトロータ622が1回転する毎に1回点火し、図示せぬピストンを押し下げる。イグニションコイル624は、本発明の点火コイルの一例である。
【0105】
スタータハンドル626は、内燃エンジン602の後端部左側に設けられており、図示せぬロープの一端と接続されている。ロープの他端は、クランクシャフト621にクラッチを介して接続可能な図示せぬリールに巻回され、ユーザがスタータハンドル626を引くことでロープの引き出し量に応じてリールが回転し、これによりクランクシャフト621とともにマグネトロータ622を回転させることができる。燃料タンク627は、内燃エンジン602の下部に設けられており、その内部には、内燃エンジン602を駆動させるための燃料が収容されている。
【0106】
図14及び
図15に示すように、操作棹603は、前後方向に延びる長尺な筒状部材であって、内燃エンジン602の前部に接続され、言い換えれば、操作棹603は、その一端側(後端側)において内燃エンジン602を支持しており、前後方向の長さは1〜4m程度に設計されている。また、操作棹603は、グリップ631と、ハンガ632と、ハンドル633とを備えており、その内部には駆動軸634が配置されている。
【0107】
グリップ631は、ユーザが把持する部分であり、操作棹603の後部に設けられている。また、グリップ631は、スロットル631Aと、ストップスイッチ631Bと、機側端子台631Cと、アース側端子台631Dとを備えている。
【0108】
スロットル631Aは、グリップ631の下側に設けられており、ワイヤ631Eを介して図示せぬキャブレタに接続されている。スロットル631Aは、上方向に押し込む量を可変として燃料噴射量を調整することができる。
【0109】
図15及び
図17に示すように、機側端子台631C及びアース側端子台631Dは、グリップ631の内部に設けられている。機側端子台631Cは、接続線631Hによってイグニションコイル624と発電装置628との間に接続されている。他方、アース側端子台631Dは、接続線631Iによって内燃エンジン602のボディアースに接続されている。
【0110】
ストップスイッチ631Bは、運転位置と停止位置とに切替え可能なスイッチであり、グリップ631の前側上部に設けられ、互いに接続可能に構成された接続点631a及び631bを備えている。ストップスイッチ631Bの接続点631aは、接続線631Fによって機側端子台631Cに接続されており、イグニションコイル624と発電装置628との間と接続点631aとが接続線631F、機側端子台631C及び接続線631Hを介して接続される構成となっている。他方、ストップスイッチ631Bの接続点631bは、接続線631Gによってアース側端子台631Dに接続されており、内燃エンジン602のボディアースと接続点631bとが接続線631G、アース側端子台631D及び接続線631Iを介して接続される構成となっている。
【0111】
また、ストップスイッチ631Bを停止位置に切替えた場合には接続点631aと接続点631bとが電気的に接続された状態となり、イグニションコイル624と発電装置628との間は、接続線631H、機側端子台631C、接続線631F、ストップスイッチ631B、接続線631G、アース側端子台631D及び接続線631Iを介してボディアースと電気的に接続された状態となる。ストップスイッチ631Bを運転位置に切替えた場合には、接続点631aと接続点631bとは電気的に遮断された状態となり、イグニションコイル624と発電装置628との間は、ボディアースと電気的に非接続状態となる。
【0112】
図14に示すように、ハンガ632は、図示せぬ肩掛けバンドを取り付ける部分であり、グリップ631の前方に設けられている。ハンガ632に肩掛けバンドを取り付けた状態で、ユーザは肩掛けバンドを肩に掛けポールセーバソー601を使用する。
【0113】
ハンドル633は、ハンガ632の前方に設けられ、前面視において環形状をなすいわゆるループハンドルであり、把持部633Aと接続部633Bとにより構成されている。把持部633Aは、ユーザがグリップ631を一方の手で把持した場合に他方の手によって把持される部分であり、左右方向に延びる棒形状をなし、操作棹603の上方に位置している。接続部633Bは、把持部633Aの左右両端部と操作棹603の両側面とをそれぞれ接続している。ユーザは、肩掛けバンドを肩に掛け、一方の手でグリップ631を把持し、他方の手で把持部633Aの左右方向略中央を把持した状態でポールセーバソー601を使用する。
【0114】
図18に示すように、駆動軸634は、ギヤハウジング604から操作棹603内部を介して内燃エンジン602に亘って前後方向に延びる軸であり、後端部は遠心クラッチ623のクラッチシャフト623Cに接続され、前端部は往復動変換機構605に接続されている。駆動軸634はクラッチシャフト623Cと供回りする構成となっている。また、駆動軸634は、ギヤハウジング604内のボールベアリング604A及び操作棹603内の図示せぬボールベアリングに回転可能に支承されており、駆動軸634の前端部には、ピニオン634Aが設けられている。
【0115】
ギヤハウジング604は、操作棹603の前端部に接続されており、その内部には往復動変換機構605及びプランジャ606が主に収容されている。言い換えれば、ギヤハウジング604は、操作棹603に操作棹603の他端側(前端側)において支持されている。ギヤハウジング604は筐体に相当する。
【0116】
往復動変換機構605は、ギヤハウジング604内部の下側に配置されており、駆動伝達軸651及び揺動部としてのレシプロプレート652を備えている。
【0117】
駆動伝達軸651は、駆動軸634と略平行に前後方向に延び、駆動軸634の前方且つ下方に位置しており、ギヤハウジング604に支持されたボールベアリング604B及びボールベアリング604Cに回転可能に支承されている。また、駆動伝達軸651は、駆動伝達ギヤ651Aと傾斜軸651Bとを備えている。
【0118】
駆動伝達ギヤ651Aは、駆動伝達軸651の後部に同軸固定されており、駆動軸634のピニオン634Aと噛合している。駆動軸634の回転力はピニオン634A及び駆動伝達ギヤ651Aを介して駆動伝達軸651に伝達される。
【0119】
傾斜軸651Bは、駆動伝達軸651上に、駆動伝達軸651の軸心に対して傾斜軸651Bの軸心が傾斜した状態で設けられている。傾斜軸651Bは、駆動伝達軸651の軸心を中心として駆動伝達軸651と供回りする構成となっている。
【0120】
レシプロプレート652は、傾斜軸651Bに当接する2個のボールベアリング605Aを介して傾斜軸651Bに回転自在に取り付けられており、傾斜軸651Bの軸心に対して略直角な方向に延びる揺動腕部652Aを備えている。揺動腕部652Aの先端部はプランジャ606と接続されている。
【0121】
プランジャ606は、前後方向に延びる略円筒形状をなし、駆動軸634の前方且つ上方に位置し、駆動軸634と略平行な位置関係をなしている。また、プランジャ606は、ギヤハウジング604にメタル軸受604Dを介して前後方向に往復摺動可能に支持されている。さらに、プランジャ606には挿通孔606a、ブレード取付部661が形成されている。プランジャ606は出力軸に相当する。
【0122】
挿通孔606aは、プランジャ606の後部下側に底面視において略円形状に形成されており、レシプロプレート652の揺動腕部652Aの一部が挿通している。揺動腕部652Aの一部が挿通した状態において、プランジャ606後部を左右に貫通するコネクタピン606Aによって揺動腕部652Aの先端部はプランジャ606に回動可能に接続されている。
【0123】
図19及び
図20に示すように、ブレード取付部661は、プランジャ606の前端部に形成されており、スリット661a、締結孔661b、ピン挿入孔部661c及び貫通孔661eが形成されている。スリット661aは、ブレード取付部661の前端面から後方に延びる上下方向に貫通した孔であり、ブレード608の後端部が挿入可能に構成されている。締結孔661bは、スリット661aの後方に形成された左右方向に貫通した孔であり、後述の締結部材607Aの貫通を許容している。ピン挿入孔部661cは、ブレード取付部661の前部左側からスリット661aまで貫通する側面視円形状の孔であり、スリット661a近傍には孔の直径が小さく構成された縮径孔部661dを有している。また、縮径孔部661dの半径方向外方には、段付部661Aが形成されている。貫通孔661eは、ブレード取付部661の右側面からスリット661aまで貫通する孔であり、縮径孔部661dと対向しており、後述のマイクロスイッチ673の押ボタン673Aが左方へ突出することを許容している。
【0124】
ブレードホルダ607は、ブレード取付部661に締結部材607Aによって固定されており、係止ピン671と、ノブ672と、マイクロスイッチ673と、ホルダケース674と、を備えている。プランジャ606に取り付けられるブレード608は、前後方向に延び前部下端部には、被切断材を切断するための刃部を備えている。また、ブレード取付部661のスリット661aに挿入されるブレード608後部の上下方向の長さはブレード取付部661の上下方向の長さと略一致している。また、ブレード608の厚みは0.9〜1.6mm程度であり、その後部には左右方向に貫通する側面視において円形状の係止孔608aが形成されている。ブレードホルダ607は工具固定機構に相当し、ブレード608は先端工具に相当する。
【0125】
係止ピン671は、第1円柱部671Aと、第2円柱部671Bと、円錐部671Cとにより構成されている。第1円柱部671Aは、左右方向に延びる円柱形状をなしており、左右方向の長さはスリット661aの左右方向の幅よりも短く設計されている。また、第1円柱部671Aは、ブレード608の係止孔608aに挿通されており、第1円柱部671Aが係止孔608aに挿通されることで、ブレード608はブレード取付部661に対する前後方向への移動が規制されている。第2円柱部671Bは、第1円柱部671Aの直径よりも大きい直径を有する円柱形状をなしており、その直径は縮径孔部661dの直径よりも僅かに小さく構成されている。円錐部671Cは、円柱形状に円錐形状を接続した形状をなしており、当該円柱形状の部分は第2円柱部671Bの直径よりも大きく且つピン挿入孔部661cの直径よりも僅かに小さい直径を有している。第2円柱部671Bの半径方向外方にはバネ607Bが設けられており、その左右方向の一端部は円錐部671Cと当接し、他端部はピン挿入孔部661cの段付部661Aと当接している。バネ607Bは、ブレード取付部661に対するブレード608の固定(規制)を解除する方向(左方向)へ係止ピン671を付勢している。係止ピン671は係止部材に相当する。
【0126】
ノブ672は、バネ収容部672Aと、腕部672Bと、突出部672Cと、固定解除レバー672Dとを備えている。バネ収容部672Aは側面視略円形状をなしており、その内部にはコイルバネ672Eが収容されており、左側面には締結部材607Aの貫通を許容する締結孔672aが形成されている。腕部672Bはバネ収容部672Aの前方上部から前方に延出しており、ブレード取付部661のピン挿入孔部661cに対向する面には、下方から上方に向かうに従って左方向に傾斜している傾斜面672Fが規定されている。傾斜面672Fは係止ピン671の円錐部671Cと当接しており、係止ピン671がバネ607Bによる付勢力によって
図20の状態よりも左方向へ移動することを規制している。コイルバネ672Eは、腕部672Bを上方に付勢している。すなわち、コイルバネ672Eは、腕部672Bが係止ピン671の左方向への移動を規制している状態(
図20の状態)を保持している。突出部672Cは、腕部672Bの前部左側面から左方向に突出しており、その左端部には固定解除レバー672Dが設けられている。ノブ672は操作部に相当する。
【0127】
図17及び
図20に示すように、マイクロスイッチ673は、ブレード取付部661の右側に設けられた略直方体をなすスイッチ機構であり、押ボタン673Aを備え、内部には、接続点673a及び673bを有している。押ボタン673Aは、マイクロスイッチ673の前部左側面であって、且つ係止ピン671の第1円柱部671Aの右端面と対向する位置から貫通孔661eを介して左方に突出して設けられている。また、押ボタン673Aは、係止ピン671の第1円柱部671Aがブレード608の係止孔608aに挿通され、ブレード608がブレード取付部661に固定されている状態(
図20の状態)において、係止ピン671によって押圧されている。マイクロスイッチ673は固定機構検知部、停止手段及びスイッチ機構に相当する。また、押ボタン673Aはボタンに相当する。
【0128】
図17、
図20及び
図22に示すように、接続点673a及び673bは、互いに接続可能に構成されており、接続点673aは接続線631Jによって機側端子台631Cに接続され、接続点673bは接続線631Kによってアース側端子台631Dに接続されている。また、接続点673a及び673bは押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されている場合(
図20の状態)においては、互いに非接続状態(
図17(a)の状態)となり、押ボタン673Aが係止ピン671に押圧されていない場合(
図22の状態)においては、互いに接続状態(
図17(b)の状態)となるように構成されている。係止ピン671が押ボタン673Aを押圧している状態(
図20の状態)における係止ピン671の位置は、本発明の第1の位置の一例である。また、係止ピン671が押ボタン673Aを押圧していない状態(
図22の状態)における係止ピン671の位置は、本発明の第2の位置の一例である。
【0129】
押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されていない場合には接続点673aと接続点673bとは電気的に接続された状態となるため、イグニションコイル624と発電装置628との間は、接続線631H、機側端子台631C、接続線631J、マイクロスイッチ673、接続線631K、アース側端子台631D及び接続線631Iを介してボディアースと電気的に接続された状態となる。押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されている場合には接続点673aと接続点673bとは電気的に遮断された状態となるため、イグニションコイル624と発電装置628との間は、ボディアースと電気的に非接続状態となる。
【0130】
ホルダケース674は、ブレード取付部661全体及びマイクロスイッチ673を覆うように形成されており、前端面のスリット661aに対向する部分は上下方向に開口している。また、ブレード608後部をブレード取付部661のスリット661aに挿入した状態において、ホルダケース674の上部内側はブレード608後部上端面と当接し、且つホルダケース674の下部内側はブレード608後部の下端面と当接することによってブレード608のブレード取付部661に対する上下方向への移動を規制している。さらに、ブレード608のノブ672の突出部672Cに対向する部分は突出部672Cの左方向への突出を許容し、且つ突出部672Cの下方向への移動を所定距離許容する孔が形成されている。ホルダケース674の右側面後部には、締結部材607Aの貫通を許容する貫通孔674aが形成されている。
【0131】
このように、ブレード608後部がブレード取付部661のスリット661aに挿入され、且つブレード608の係止孔608aに係止ピン671が挿通された状態において、ブレード608はブレード取付部661に対する前後方向及び上下方向への移動を規制され、ブレード608はブレード取付部661に対して固定される。
【0132】
図19及び
図20においては、ブレード608がブレード取付部661に取り付けられた状態であったが、ノブ672を下方に押し下げることでバネ607Bの付勢力により係止ピン671が傾斜面672Fに沿って左方向へ移動し、第1円柱部671Aが係止孔608aから抜け、ブレード取付部661に対するブレード608の固定が解除される。このように、ノブ672を下方に押し下げる操作のみでブレード608をブレード取付部661から取り外すことができる。
【0133】
図21及び
図22に示すように、ブレード取付部661に対するブレード608の固定が解除された状態においては、係止ピン671は、傾斜面672Fに沿って左方向へ移動しているため、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aは、押圧されていない状態となる。
【0134】
再度、ブレード608をブレード取付部661に取り付けたい場合は、ノブ672を下方に押し下げて係止ピン671を左方向へ移動させた状態でブレード608の後部をスリット661aに挿入し、ノブ672から手を離す。手を離すことでコイルバネ672Eによって上方に付勢されているノブ672は上方に移動する。ノブ672が上方に移動するに従って、係止ピン671が傾斜面672Fに沿って右方向に移動することでブレード608の係止孔608aに第1円柱部671Aが挿通し、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aは第1円柱部671Aによって押圧され、ブレード608はブレード取付部661に対して固定された状態となる。
【0135】
上述したように、ブレードホルダ607のノブ672を単一方向に操作するのみの簡便な手順、いわゆるワンタッチで工具を使用することなくブレード608をプランジャ606に着脱可能としている。マイクロスイッチ673の動作としては、ノブ672を下方に操作し、ブレード608のブレード取付部661に対する固定を解除した状態においては、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aは係止ピン671によって押圧されていない状態となり、接続点673aと接続点673bとは接続状態(
図17(b)の状態)となる。一方、ブレード608がブレード取付部661に対して固定された状態においては、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aは係止ピン671によって押圧された状態となり、接続点673aと接続点673bとは非接続状態(
図17(a)の状態)となる。
【0136】
次にポールセーバソー601の動作を内部の電気的接続と共に説明する。
【0137】
まず、ブレード608がブレード取付部661に固定された状態において、ストップスイッチ631Bを停止位置から運転位置に切替える。この状態におけるポールセーバソー601内部の電気的接続は
図17(a)に示す状態となっており、イグニションコイル624と発電装置628との間は、ボディアースと電気的に非接続状態となっている。
図17に示す矢印J、K及びLは各状態における電流の流れる方向を示している。
【0138】
当該状態において、スタータハンドル626を引くとマグネトロータ622が
図16に示す矢印Rの方向に回転する。マグネトロータ622が回転することで発電装置628が電流を発生させ、イグニションコイル624の1次巻線624Aに電流(矢印J)が流れる。1次巻線624Aに電流が流れると相互誘導作用によって2次巻線624Bに高電圧が誘起され、2次巻線624Bに接続されている点火プラグ625に電流(矢印K)が流れ、点火プラグが作動し点火される。
【0139】
点火プラグ625が点火されることで、図示せぬピストンが往復動を開始し、同時に図示せぬピストンの往復動によって駆動されるクランクシャフト621が回転駆動される。クランクシャフト621が回転駆動し始めると同軸固定されたマグネトロータ622も回転駆動し、点火プラグ625が点火される。このように、図示せぬピストンの動作と点火プラグ625の点火タイミングが同期して内燃エンジン602は継続して駆動される。
【0140】
内燃エンジン602が駆動を開始すると、クランクシャフト621は低回転数で回転駆動され、アイドリング状態となる。当該アイドリング状態において、スロットル631Aを上方向に押し込むと、クランクシャフト621の回転数が上昇し、当該回転数が所定回転数を超えると、遠心クラッチ623のクラッチウェイト623Aがクラッチドラム623Bと接続され、クラッチドラム623Bに設けられたクラッチシャフト623Cが回転駆動される。
【0141】
クラッチシャフト623Cが回転駆動されることで、クラッチシャフト623Cに接続されている駆動軸634が回転駆動される。駆動軸634が回転することでピニオン634A及び駆動伝達ギヤ651Aを介して駆動伝達軸651が回転駆動され、傾斜軸651Bが駆動伝達軸651の軸心を中心として回転する。
【0142】
傾斜軸651Bが駆動伝達軸651の軸心を中心として回転することで、レシプロプレート652は前後方向に揺動して往復運動を行い、揺動腕部652Aに接続されたプランジャ606及びプランジャ606に取り付けられたブレード608も前後方向に往復駆動される。ブレード608が往復駆動することによって切断作業が可能となる。
【0143】
次に、アイドリング状態においてブレード608の着脱を行った場合について説明する。
【0144】
作業中に着脱を行う場合、ユーザは、スロットル631Aから手を離してクランクシャフト621の回転数を落とし、遠心クラッチ623のクラッチウェイト623Aとクラッチドラム623Bとの接続を遮断してプランジャ606及びブレード608の駆動を停止させ、アイドリング状態とする。
【0145】
当該アイドリング状態において、ユーザがプランジャ606に対するブレード608の固定を解除するためにブレードホルダ607のノブ672を下方に押下げた場合には、係止ピン671は左方に移動し、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aは押圧されていない状態となる。押ボタン673Aが押圧されていない状態となると、マイクロスイッチ673の接続点673aと接続点673bとは電気的に接続され、
図17(b)に示す状態となり、イグニションコイル624と発電装置628との間は、ボディアースと電気的に接続された状態となる。
【0146】
イグニションコイル624と発電装置628との間とボディアースとが電気的に接続されると、マグネトロータ622が一回転する毎に発電装置628が発生させていた電流はマイクロスイッチ673を経由して。ボディアースに流れ込むようになり(矢印L)、イグニションコイル624の1次巻線624Aには流れ込まなくなる。1次巻線624Aには電流が流れ込まなくなるため、2次巻線624Bに高電圧が発生せず点火プラグ625の点火が行われなくなり、図示せぬピストンは停止し、内燃エンジン602の駆動も停止する。
【0147】
なお、マイクロスイッチ673の接続点673aと接続点673bとが接続状態のまま、スタータハンドル626を引いた場合も電流の流れは上記した流れ(矢印L)と同様となるため、内燃エンジン602は駆動されない。ストップスイッチ631Bを停止位置にしたまま、スタータハンドル626を引いた場合も内燃エンジン602は駆動されない、この場合は、発電装置628で発生した電流は、ストップスイッチ631Bを経由してボディアースに流れ込むことになる。
【0148】
従って、本発明の第5の実施の形態によるポールセーバソー601においては、接続点673aと接続点673bとが非接続状態であり、且つ接続点631aと接続点631bとが非接続状態である場合、換言すれば、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aが押圧されており、且つストップスイッチ631Bが運転位置にある場合にのみ内燃エンジン602は駆動可能である。
【0149】
このように、ブレードホルダ607によるブレード608の固定が解除されたこと(解除操作)を検知するマイクロスイッチ673がブレード608の固定が解除されたことを検知した場合には、マイクロスイッチ673内部の接続点の接続状態を切替えて内燃エンジン602の駆動を停止させるため、ユーザがブレード608の着脱を行う場合に不意にプランジャ606が駆動されることを抑制することができ、円滑なブレード608の着脱が実現し、利便性が向上する。
【0150】
また、ギヤハウジング604内には駆動軸634の回転力を往復動に変換する往復動変換機構605が設けられ、プランジャ606は往復動変換機構605を介して駆動軸634の回転力によって往復駆動されるため、プランジャ606を往復駆動させて切断作業等を行うことができる。
【0151】
さらに、ブレードホルダ607はブレード608の固定を解除するためのノブ672を有し、マイクロスイッチ673は、ノブ672が操作されたことブレード608の固定が解除されたことを検知するように構成されているため、確実にユーザがブレード608の着脱を行っていることを検知することができ、検知精度を向上させることができ、より利便性が向上する。
【0152】
また、ブレードホルダ607は、ブレード608をプランジャ606に固定する係止ピン671を有しており、係止ピン671は
図20の状態においてブレード608をプランジャ606に固定し、
図22の状態においてブレード608のプランジャ606に対する固定を解除し、マイクロスイッチ673は、係止ピン671の位置によってブレード608の固定が解除されたことを検知するように構成されているため、ブレード608を直接的にプランジャ606に対して固定している係止ピン671の位置によりブレード608の着脱を行っていることを検知することができる。このため、より検知精度を向上させることができる。
【0153】
また、マイクロスイッチ673は、接続点673aと接続点673bとの接続/非接続を切替えることができ、係止ピン671が
図20の状態において押圧された状態となり係止ピン671が
図22の状態において押圧されていない状態と押ボタン673Aを有し、係止ピン671によって押ボタン673Aが押圧されていないことによってブレード608の固定が解除されたことを検知するように構成されているため、簡易な構成で正確にブレード608の固定が解除されたことを検知することができる。
【0154】
また、内燃エンジン602は、1次巻線624Aと2次巻線624Bとを有するイグニションコイル624と、1次巻線624Aに電流を供給する発電装置628と、を備え、マイクロスイッチ673の接続点673aは1次巻線624Aと発電装置628との間に接続され、接続点673bはボディアースに接続されており、マイクロスイッチ673は押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されている状態においては、1次巻線624Aとアースとを非接続状態とすることで発電装置628が発生させた電流を1次巻線624Aへ流して内燃エンジン602の駆動を許容し、押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されていない状態においては、1次巻線624Aとアースとを接続状態とすることで発電装置628が発生させた電流をアースに流し、1次巻線624Aへの電流の供給を遮断して内燃エンジン602の駆動を停止させるように構成されているため、マイクロスイッチ673の押ボタン673Aが押圧されていない場合、すなわちユーザがブレード608の着脱を行いプランジャ606に対するブレード608の固定が解除されている場合においては、発電装置628から1次巻線624Aへ電流が流れ込まない。このため、2次巻線624Bには電圧が誘起せず、言い換えれば、イグニションコイル624が作動せず、点火プラグ625が作動しない。従って、内燃エンジン602は停止状態となり(停止状態が維持され)、ユーザがブレード608の着脱を行っている場合に意図せずプランジャ606が駆動することを確実に防止でき、利便性がより向上する。
【0155】
このような構成によると、スイッチ機構のボタンが押圧されていない場合、すなわちユーザが先端工具の着脱を行い出力軸に対する先端工具の固定が解除されている場合には、電動モータへ電流が流れない。このため、ユーザが先端工具の着脱を行っている場合に意図せず出力軸が駆動することを確実に防止でき、利便性がより向上する。
【0156】
本発明による作業工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、ポールセーバソー200の軌道面を波形状とする構成であってもよい。
【0157】
また、ポールセーバソー300に設けられたカウンタウェイト機構は、カウンタウェイト301が駆動伝達軸51によって駆動される構成であったが、板バネ等にカウンタウェイトを接続し、プランジャの後部に配置する等のカウンタウェイト機構であってもよい。
【0158】
また、ポールセーバソー601においては、電源にマイクロスイッチ673を介して接続された電動モータであって、マイクロスイッチ673は、押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されている状態においては、電源からの電動モータへの電力供給を許容して電動モータの駆動を許容し、押ボタン673Aが係止ピン671によって押圧されていない状態においては、電源からの電動モータへの電力供給を遮断し、電動モータの駆動を停止させるように構成されてもよい。具体的には、ポールセーバソー601の内燃エンジン602を電動モータ及び電源に変更し、ストップスイッチ631Bを電源スイッチに変更し、電動モータと電源との間にマイクロスイッチ673及び電源スイッチを直列に設け、マイクロスイッチ673の接続点673aと電動モータとを接続し、接続点673bと電源スイッチの一端部とを接続し、電源スイッチの他端部と電源とを接続する構成とし、マイクロスイッチ673は、押ボタン673Aが押圧されていない場合に接続点673aと673bとを非接続状態とする構成が考えられる。このような構成とすると、ユーザがブレード608の着脱を行いプランジャ606に対するブレード608の固定が解除されている場合には、電動モータへ電流が流れない。これにより、ユーザがブレード608の着脱を行っている場合に意図せずプランジャ606が駆動することを確実に防止でき、利便性がより向上する。
【0159】
また、例えば、マイクロスイッチ673をノブ672の下方に配置し、ノブ672の下方への移動によって押ボタン673Aが押圧される構成とし、押ボタン673Aが押圧されている状態にある場合に内燃エンジン602を停止される構成としてもよい。このように、マイクロスイッチ673の配置位置、押ボタン673Aの押圧状態に基づく接続点673a及び673bの接続/非接続の状態は、適宜決定されることが望ましい。