(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施形態の秤について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の秤の構成を示す模式的な斜視図である。
図2は、本発明の実施形態の秤の模式的な縦断面図である。
図3は、
図2におけるA視の裏面図である。
図4は、
図3におけるB−B断面図である。
図5は、
図4におけるC−C断面図である。
図6は、
図5におけるD部の部分拡大図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の秤1は、被測定物51の重量を測定する装置であり、被測定物51を載置する計量皿2と、計量皿2に作用する力を測定する秤本体3とを備える。
被測定物51は、計量皿2の上に直接的に載置してもよいが、
図1に示すように、上皿50を介して載置し、上皿50とともに計量を行うことが可能である。上皿50の裏面側の中心部には、上皿50を計量皿2上に載置するため、下方に延ばされた筒状の支持脚部50aが設けられている。なお、上皿は、上記のような形態に限らず、計量皿2の上面側と側面側に覆いかぶさる箱型のような形態をなすもの、その他の形態でもよい。
上皿50を用いて被測定物51を計量する場合、被測定物51を除去した上皿50のみの重量を計量して、上皿50の重量を被測定物51および上皿50の重量から差し引くことにより、被測定物51の重量が求められる。このため、上皿50も秤1における被測定物になっている。
被測定物51の種類、態様は、その重量が秤1の計量可能範囲にあって、計量皿2上または上皿50上に載置可能な物体であれば、特に限定されない。
【0014】
計量皿2は、被測定物51または上皿50が載せられる平面視矩形状の板状部材であり、一方の板面を上側に向けて、秤本体3の上方において、鉛直方向に移動可能に配置されている。
本実施形態では、
図2に示すように、上側の中心部に固定ねじ2cを取り付けるための凹部2aが形成されており、裏面側には、凹部2aの外側を囲んで、突出された凸部2bが形成されている。
本実施形態では、凹部2aは、上皿50を載置する際に上皿50の支持脚部50aを受ける受け面にもなっている。
凸部2bの突出方向の先端は、計量皿2の上面と平行な平面に整列されており、平板からなる計量皿固定板4に当接されている。
計量皿2は、凹部2aを貫通して計量皿固定板4の中心部に螺合された固定ねじ2cにより、計量皿固定板4と一体に固定されている。
【0015】
秤本体3は、第1筐体5および第2筐体6と、これらで形成される箱状体の内部に配置された重量センサであるロードセル11とを備える。
【0016】
第1筐体5は、下方に開口する略箱状の部材であり、秤本体3の上半の外周部を形成している。
第1筐体5の概略構成は、計量皿固定板4の下方において計量皿固定板4と対向する平面視矩形状の天面部5cと、天面部5cの外縁の一辺から外方に向かって斜め下方に延びる前面部5fと、前面部5fを除く天面部5cの外縁部から下方に延びる側面部5dとを備える。
【0017】
天面部5cには、後述する計量皿支持体9の支持軸部9bを外部に挿通させるため、板厚方向の外部に貫通された計量皿支持体挿通孔5eが設けられている。
前面部5fには、板厚方向に貫通する矩形状の開口5aが設けられている。
ただし、開口5aは、光透過性を有するガラスまたは合成樹脂の板材からなる透明板5bが嵌め込まれることにより密封されている。
透明板5bの裏面側には、計量結果を表示する表示部12が配置されている。
表示部12は、例えば、液晶パネルやLED表示素子などの表示体を備える電装基板からなる。
なお、上記では、光透過性を有するガラスまたは合成樹脂の板材からなる透明板5bを開口5aに嵌め込まれることにより密封するものとしたが、開口5aよりも大きな面積を有する板材で構成する透明板を開口5aに貼り付けることにより密封するものとしても良い。例えば、開口5aよりも大きな面積を有するメンブレンスイッチに透明部分を設け、前面部5fに貼り付けることにより密封されるものでも良い。
【0018】
第2筐体6は、上方に開口する略箱状の部材であり、秤本体3の下半の外周部を形成している。
第2筐体6の概略構成は、第1筐体5の天面部5cおよび前面部5fに対向する平面視略矩形状の底面部6aと、底面部6aの外縁の各辺から上方に延びる側面部6cと、底面部6aの中心部において上方に向かって陥没された台状の支持台部6bとを備える。
底面部6aは、
図3に示すように、支持台部6bを囲む略矩形状の範囲に形成され、四隅に、秤1を下方から支えるため、例えば、ゴム足などからなる脚部22が固定されている。
図2に示すように、側面部6cの先端部は、第2筐体6の開口の全周にわたって、第1筐体5の前面部5f、側面部5dの先端部と対向する形状に形成されている。
第2筐体6は、側面部6cの先端部と、第1筐体5の前面部5f、側面部5dとの間に、例えば、Oリングなどからなるパッキン8を挟んだ状態で、第1筐体5の下方に配置され、図示略のねじ部材によって固定されている。
このため、互いに固定された第2筐体6および第1筐体5の側面は、全周にわたって隙間なく配置されたパッキン8によって密閉されている。
【0019】
支持台部6bは、
図2に示すように、第2筐体6の中心部において、ロードセル11を安定して支持するための台状部である。
支持台部6bにおいて、ロードセル11の配置位置の側方には、
図3に示すように、秤1を駆動するバッテリー17を収容するため、支持台部6bの下方から上方に陥没して設けられたバッテリー室6Aが形成されている。
バッテリー17は、例えば、電池などの交換可能な電源であり、本実施形態では、一例として、4本の単三型の乾電池または充電池が直列接続されている。
バッテリー室6Aの詳細については後述する。
【0020】
第1筐体5および第2筐体6の材質は、特に限定されないが、本実施形態では、いずれも合成樹脂の成形品を採用している。
【0021】
ロードセル11は、計量皿2に加わった荷重に応じて変形する起歪体と、この起歪体の変形を検出する歪みゲージと、によって構成する変換器である。
ロードセル11からの電気信号は、配線13aを介して、底面部6a上に配置された演算部13に送出され、演算部13によって、計量皿2に被測定物51が載っていないときのロードセル11からの出力値(いわゆるゼロ点)と被測定物51が載っているときの出力値との差に基づいて被測定物51の重量が演算される。
演算部13で換算された数値は、配線13bを介して接続された表示部12に送出され、表示部12上に表示される。
ロードセル11、演算部13、および表示部12は、図示略の配線によってバッテリー17と電気的に接続されている。これにより、ロードセル11、演算部13、および表示部12には、動作に必要な電力がこれら配線を通してバッテリー17から供給される。
【0022】
ロードセル11の上面には、計量皿2からの荷重を伝達するため、天面部5c上の計量皿固定板4の下面に固定された計量皿支持体9が固定されている。
計量皿支持体9は、ロードセル11に固定されたセンサ押圧部9aと、センサ押圧部9aの上方に延ばされた支持軸部9bとを備える。
支持軸部9bは、秤本体3の内側から計量皿支持体挿通孔5eに挿通され、天面部5cの上方に突出されている。
支持軸部9bは、先端部が計量皿固定板4の下面に突き当てられた状態で、固定ねじ10によって固定されている。
支持軸部9bと計量皿支持体挿通孔5eとの間の隙間は、仕切膜7によって密閉されている。
【0023】
仕切膜7は、例えば、ゴムやエラストマーなどの軟質で伸縮性を有する膜状の弾性部材からなる。仕切膜7は、中心部に設けられた孔部が、支持軸部9bの外周部と、例えば、圧入、支持軸部9bと計量皿固定板4とに挟み込むなどして接合され、外縁部が、計量皿支持体挿通孔5eの内周部と、例えば、圧入、第1筐体5と別部品とに挟み込むなどして接合されている。
また、仕切膜7は、径方向に沿う断面では、山部と谷部とを有する蛇腹折りされた形状を有している。
【0024】
このような構成により、計量皿支持体9は、計量皿2に被測定物51等が載置されると、その重量に応じて計量皿2および計量皿固定板4と一体となって、鉛直方向に変位可能になっている。
計量皿支持体9が鉛直方向に変位すると、支持軸部9bが計量皿支持体挿通孔5eに対して鉛直方向に移動する場合、支持軸部9bとともに仕切膜7の内周部が移動する。このため、仕切膜7は、支持軸部9bの移動に追従して変形していく。
ただし、仕切膜7は、軟質で伸縮性を有し、しかも径方向に沿って蛇腹折りされた構造を有するため、軽荷重で変形し、仕切膜7の変形による支持軸部9bへの反力は小さい。
【0025】
また、支持軸部9bと計量皿支持体挿通孔5eとの間の隙間は、仕切膜7によって密閉されているため、支持軸部9bが移動しても、外気、粉塵、あるいは水分が、計量皿支持体挿通孔5eを通して秤本体3の内部に侵入することはない。
【0026】
次に、バッテリー室6Aについて説明する。
図3に示すように、バッテリー室6Aは、裏面視略矩形状の開口部(開口)を有し、この開口部が、バッテリー室カバー14(蓋部材)によって開閉可能に覆われている。
図4、5に示すように、バッテリー室6Aは、バッテリー室カバー14を着脱可能に収容するカバー装着穴部6iと、カバー装着穴部6iの穴底部の内部側であって平面視においてバッテリー室カバー14の外形よりも内側の領域にバッテリー17を収容するバッテリー収容穴部6g(孔部)とを備える。
【0027】
カバー装着穴部6iの穴底部には、バッテリー収容穴部6gを外周側から取り囲むようにパッキン18が配置されている。
パッキン18は、例えば、ゴムやエラストマーなどからなる軟質の弾性部材で構成され、カバー装着穴部6iの穴底部(後述する蓋受け面6f)よりもわずかに突出するように設けられている。
以下、バッテリー室カバー14の構成を説明する場合、特に断らない限りは、バッテリー室カバー14を閉じた時の位置関係に基づいて説明する。
【0028】
図4、5に示すように、バッテリー室カバー14は、外蓋部14A、内蓋部14B、および軟質内カバー14Cを備える。
【0029】
外蓋部14Aは、バッテリー室カバー14をカバー装着穴部6iに装着した際に、支持台部6bと略整列して、支持台部6bとともに秤本体3の外表面を構成する板状部材である。
【0030】
内蓋部14Bは、第2筐体6に対する着脱およびバッテリー室6Aの開口部の閉止を行うため、カバー装着穴部6iの内側に挿入され、カバー装着穴部6iの外側(図示上側)に向かう開口が形成された略箱状体である。
内蓋部14Bの概略構成は、バッテリー室6Aの開口部を閉止する平面視矩形状の蓋面部14dと、蓋面部14dの外縁から第2筐体6の外側に向かって延ばされた第1側面部14w(
図4参照)、第2側面部14x(
図4参照)、第3側面部14y(
図5参照)、および第4側面部14z(
図5参照)とを備える。
これら第1側面部14w、第2側面部14x、第3側面部14y、および第4側面部14zの先端部で囲まれる開口には、外蓋部14Aが固定されている。このため、バッテリー室カバー14の内側には、外蓋部14Aと内蓋部14Bとで囲まれた蓋内空間S14が形成されている。
【0031】
蓋面部14dには、蓋内空間S14に連通する貫通孔14r、14gと、バッテリー収容穴部6g側の表面から外蓋部14Aの方に向かって陥没された凹部14qと、第2筐体6の内部側に突出された操作突起部14f(弁体操作部、
図5参照)とが形成されている。
貫通孔14r、14g、凹部14q、および操作突起部14fは、装着時にパッキン18で囲まれる領域に形成されている。
特に、貫通孔14r、および凹部14qは、バッテリー収容穴部6gの上方となる位置に形成され、バッテリー室カバー14の装着時にバッテリー収容穴部6g内のバッテリー配置空間S6gと連通している。
【0032】
凹部14qの平面視の形成位置は、第3側面部14yおよび第4側面部14zから略等距離となり、第1側面部14wおよび第2側面部14xの間では、第2側面部14xにより近い位置になっている。
【0033】
貫通孔14gは、内蓋部14Bを樹脂成形によって形成する場合にアンダーカットを避けるために設けられた孔部であり、必須の構成ではない。ただし、本実施形態では、貫通孔14gは、装着時に後述する棒状体32dとの干渉をさける逃げ孔としての機能を有している。
【0034】
貫通孔14r、14g、凹部14q、および操作突起部14fを除く蓋面部14dの表面は、外蓋部14Aに平行な平坦面14pになっている。
【0035】
凹部14qには、通気が可能であって水分および塵埃の流通を阻止する防水防塵フィルター16が取り付けられている。防水防塵フィルター16の構成は、特に限定されないが、例えば、ゴアテックス(登録商標)などからなる構成が好適である。
凹部14qの底面には、防水防塵フィルター16を通した通気流路を形成する貫通孔14bが貫通して設けられている。
また、内蓋部14Bに装着された外蓋部14Aにおいて、貫通孔14bと重なる領域には、外蓋部14Aの板厚方向に貫通する貫通孔14cが設けられている。
【0036】
操作突起部14fは、
図6に示すように、貫通孔14gにおいて、第3側面部14yから遠い方の内縁部から、第3側面部14yに向かって傾斜するように延ばされた軸状体からなる。
操作突起部14fの突出方向の先端部には、第3側面部14yに向かって側方に突出する突起からなり、後述する棒状体32dと係合する係合部14h(弁体操作部)が形成されている。係合部14hの突出量は、平面視において貫通孔14gの内側に収まる範囲になっている。
【0037】
第1側面部14wおよび第2側面部14xは、バッテリー室カバー14の着脱を行うための凹凸形状を有する側面部であり、本実施形態では、バッテリー室カバー14の長手方向において対向する側面部になっている。
第1側面部14wは、
図4に示すように、バッテリー室カバー14の装着時に、第2筐体6と係合するため側方に突出された差し込み突起14aを備える。
第2側面部14xは、バッテリー室カバー14の装着時の固定と、固定解除とを行うため、後述する係合部材15の係合爪部15bが側方から進退可能に挿入される係合穴14kが設けられている。
ただし、係合穴14kは、第2側面部14xにおける開口部を形成しているが、奥側(図示左側)は閉じられており、蓋内空間S14とは連通されていない。
係合穴14kの蓋面部14d側には、第1側面部14wから第2側面部14xに向かう方向において蓋面部14dから外蓋部14A側に(図示上側に)傾斜する傾斜面14iが設けられた係止爪部14eが形成されている。
【0038】
第3側面部14yおよび第4側面部14zは、平坦な板状に形成された側面部であり、本実施形態では、バッテリー室カバー14の短手方向において対向する側面部になっている。
【0039】
軟質内カバー14Cは、貫通孔14r、14gによる外部への通気を阻止する封止部材である。このため、軟質内カバー14Cは、貫通孔14r、14gを内蓋部14Bの内部側から覆うとともに、外縁部が貫通孔14r、14gの外周を取り囲むように、平坦面14pと反対側の蓋面部14dに固定されている。本実施形態では、外蓋部14Aと、内蓋部14Bとに、互いに対向する位置に突起部が設けられ、軟質内カバー14Cの外周部が、これらの突起部で挟持されることにより、固定されている。
軟質内カバー14Cは、例えば、ゴムやエラストマーなどの軟質で伸縮性を有する膜状の弾性部材からなり、貫通孔14rを通した気体の流入量に応じて、蓋内空間S14の範囲で変形することが可能である。
【0040】
このような構成により、バッテリー室カバー14は、貫通孔14r、14gが、軟質内カバー14Cによって封止されているため、厚さ方向に通気性を有するのは、貫通孔14b、14cと重なる範囲の防水防塵フィルター16の部位のみである。
【0041】
バッテリー室6Aのカバー装着穴部6iは、バッテリー室カバー14の平面視の外形よりもわずかに大きな略矩形状の開口を有し、穴底には、バッテリー室カバー14の平坦面14pが当接可能な平坦面からなる蓋受け面6fを有している。
カバー装着穴部6iの深さは、バッテリー室カバー14の厚さと略等しい深さになっている。
カバー装着穴部6iの内周面は、バッテリー室カバー14の装着時に、第1側面部14w、第2側面部14x、第3側面部14y、および第4側面部14zとそれぞれ対向する第1内周面6w、第2内周面6x、第3内周面6y、および第4内周面6zからなる。
【0042】
第1内周面6wには、
図4に示すように、バッテリー室カバー14の差し込み突起14aを挿入することにより、バッテリー室カバー14の厚さ方向の位置を規制する差し込み凹部6eが設けられている。
差し込み凹部6eは、バッテリー室カバー14の差し込み突起14aが係止されてバッテリー室カバー14が蓋受け面6fと略平行になった状態で、蓋受け面6fから突出されたパッキン18が平坦面14pと密着する位置に形成する。
【0043】
第2内周面6xの近傍の第2筐体6の内部には、バッテリー室カバー14の係合穴14kと対向する位置に、第2内周面6xから係合穴14kに向かって進退可能に設けられ、進出時に係合穴14kと係合する係合部材15が設けられている。
【0044】
係合部材15は、係合穴14kに挿入可能な係合爪部15bと、係合爪部15bの位置を第2筐体6の外部から操作するための突起からなる開閉操作部15aとを備える。
係合爪部15bは、その先端部15cの近傍において、基端側から先端部15cに向かうにつれて、蓋受け面6fに近づく方向に傾斜する傾斜面15eを有している。
係合部材15は、装着時のバッテリー室カバー14の係合穴14kと対向する位置に開口されたガイド孔6rに進退可能に挿通されている。
【0045】
開閉操作部15aは、支持台部6bに開口されたスライド孔6dに挿入されて、一部が支持台部6bから外部側に突出されており、スライド孔6dの開口の範囲で移動可能になっている。
開閉操作部15aが最も第2内周面6x寄りに移動した場合(
図4参照)には、係合爪部15bが第2内周面6xから突出し係合穴14kに係合する。
このような係合状態では、第2側面部14x側のバッテリー室カバー14の厚さ方向の位置が規制され、蓋受け面6fから突出されたパッキン18がバッテリー室カバー14の平坦面14pと密着するようになっている。
開閉操作部15aが最も第2内周面6xから離れる方向に移動した場合には、係合爪部15bの先端部15cが、ガイド孔6rの内部に退避する。
【0046】
係合部材15の後端部15dには、係合部材15を、第2内周面6xおよびカバー装着穴部6iの内方に向けて付勢するバネ19が配置されている。このため、係合部材15は、バネ19以外の外力が作用しない限りは、
図4に示すような先端部15cが第2内周面6xから突出する位置に付勢されている。
【0047】
バッテリー室6Aのバッテリー収容穴部6gは、
図4に示すように、第1内周面6wおよび第2内周面6xに平行にバッテリー17を収容する4条の溝部が、平坦面14pに対する凹部として形成された穴部である。それぞれの溝部における長手方向の両側面には、
図5に示すように、バッテリー17の正極を当接させる電極20と、バッテリー17の負極を当接させるバネ電極21とが固定されている。
バッテリー収容穴部6gは、製造上の都合等によって貫通孔が設けられている。本実施形態では、一例として、バネ電極21を装着するための貫通孔6hが設けられている。
このため、バッテリー配置空間S6gと、秤本体3の内部空間Sとは、貫通孔6hを介して連通している。
カバー装着穴部6iにバッテリー室カバー14が装着されると、パッキン18で囲まれた範囲内に開口するバッテリー収容穴部6gは、バッテリー室カバー14がパッキン18と密着することにより、外部に対して液密に閉止される。これにより、秤本体3の内部空間Sから貫通孔6hを通ってバッテリー配置空間S6gに到る通気路も、バッテリー室カバー14によって閉止されることになる。
【0048】
このような構成により、貫通孔6hによって内部空間Sに連通されたバッテリー収容穴部6gは、秤本体3の外周部に設けられた孔部を構成している。
バッテリー室カバー14は、秤本体3に着脱可能に設けられ、装着時に孔部の開口を液密に閉止する蓋部材を構成している。
パッキン18は、蓋部材であるバッテリー室カバー14による密閉範囲を区画する部材になっており、パッキン18の内側が密閉範囲になっている。
【0049】
図6に示すように、カバー装着穴部6iの下方において、バッテリー収容穴部6gに対する第3内周面6y側の側方には、連通流路Cと、通気弁30とが設けられている。
【0050】
連通流路Cは、バッテリー室カバー14による密閉範囲であるパッキン18の外側となる秤本体3の部位と、孔部であるバッテリー収容穴部6gとの間に形成され、バッテリー室カバー14の装着時にバッテリー収容穴部6gと秤本体3の外部とを連通可能とする流路である。
本実施形態では、連通流路Cは、カバー装着穴部6iの底部に形成された、突起挿入穴部6j、伝動部挿入孔6k、貫通孔6n、および弁座部流路6mと、伝動部挿入孔6kおよび弁座部流路6mの下方に配置された弁体収容部31によって形成された弁体収容穴31aとからなる。
【0051】
突起挿入穴部6jは、バッテリー室カバー14の装着時に、バッテリー室カバー14の操作突起部14fが収容可能に設けられた穴部である。このため、突起挿入穴部6jの穴底の深さは、操作突起部14fの突出長さより深くなっている。
伝動部挿入孔6kは、突起挿入穴部6jの穴底において突起挿入穴部6jに挿入された操作突起部14fの係合部14hよりも第3内周面6y寄りの位置に開口された貫通孔である。
伝動部挿入孔6kは、後述する弁体部32の棒状体32dが、挿通可能かつ第3内周面6y寄りに撓み変形可能な大きさを有する。
【0052】
貫通孔6nは、パッキン18と第3内周面6yとの間のカバー装着穴部6iの底部に貫通された孔部である。このため、貫通孔6nは、バッテリー室カバー14の装着時に、バッテリー室カバー14によって閉止されない位置に設けられている。
貫通孔6nの開口の大きさは通気可能な適宜の大きさを採用することができる。
【0053】
弁座部流路6mは、貫通孔6nによりも図示下方に接続され第2筐体6の内部側に延びる管状の流路であり、最も内部側の端部において、後述する弁体部32によって開閉可能な開口部である弁座6Mが形成されている。
本実施形態では、弁座6Mは、弁体部32の外周に装着されたOリング33を摺動可能に内嵌する円筒状の孔部からなる。
弁座部流路6mと貫通孔6nとの境界部には、後述する弁体部32の弁体先端部32cを係止するため、弁座部流路6mの内部に段をなして突出された弁体係止部6sが設けられている。
【0054】
弁体収容穴31aは、伝動部挿入孔6kおよび弁座部流路6mの各開口を連通させる流路を形成するとともに、後述する弁体部32をカバー装着穴部6iに向けて進退可能に収容する穴部である。
このような構成により、連通流路Cは、パッキン18を間に挟んで断面が略U字状の流路を形成している。連通流路Cは、バッテリー室カバー14の未装着時においては、突起挿入穴部6jおよび貫通孔6nを通して外部に連通されている。
【0055】
通気弁30は、弁座部流路6mに形成されて連通流路Cと連通された弁座6Mと、弁座6Mを開閉する弁体部32(弁体)と、弁体部32を弁座6Mが閉じる方向に付勢する弾性部材である弁体付勢バネ34とを備える。
弁体付勢バネ34の種類は、特に限定されないが、本実施形態では、一例として、圧縮コイルバネを採用している。
【0056】
弁体部32は、弁体本体32a、Oリング33、バネ受け部32b、連結部32g、棒状体32d(伝動部)、およびガイド部32fを備える。
弁体本体32aは、弁座部流路6mよりも小径の略円筒状部材であり、軸方向の先端に弁体係止部6sに係止可能な弁体先端部32cが設けられている。弁体本体32aは、円筒形状でもよいが、例えば、通気弁30の開状態における通気性を増大させる等の目的で弁体先端部32cの方から軸方向の中間部までスリットを設けることも可能である。
図6では一例として、弁体本体32aがこのようなスリットを有する場合の形状を示している。
弁体本体32aにおいて弁体先端部32cと反対側の端部は、板状部によって閉じられている。
Oリング33は、弁座6Mに摺動可能に内嵌するためのシール部材であり、弁体先端部32cと反対側の弁体本体32aの端部の外周部に固定されている。弁体本体32aにスリットが設けられている場合には、Oリング33は、スリットが形成されていない外周部の領域に設けられる。
バネ受け部32bは、弁体付勢バネ34からの付勢力を受ける部位であり、Oリング33を挟んで弁体本体32aと反対側に設けられている。本実施形態では、弁体付勢バネ34の端部を内側に収容する円筒状の突起部からなる。
【0057】
連結部32gは、バネ受け部32bの側面から伝動部挿入孔6kの方に延出された突起部である。
連結部32gの延出方向の端部には、伝動部挿入孔6kの内部に挿通される棒状体32dと、棒状体32dと反対側において、弁座部流路6mの中心軸線Oに平行に延ばされた棒状のガイド部32fとが設けられている。
棒状体32dは、伝動部挿入孔6kの開口の大きさより細く、可撓性を有し、中心軸線Oに交差する方向に撓み変形可能な棒状に設けられ、伝動部挿入孔6k内で、第3内周面6yから遠い側の伝動部挿入孔6kの内周面に近接する位置で、伝動部挿入孔6kの内周面に沿って延ばされている。
棒状体32dの先端部には、近接する伝動部挿入孔6kの内周面の外側(第3内周面6yから遠ざかる側)に突出する突起部32e(伝動部)が設けられている。
突起部32eの突出量は、伝動部挿入孔6k内で棒状体32dがたわんだ状態で、伝動部挿入孔6k内を挿通できる程度の突出量になっている。
【0058】
弁体収容部31は、このような形状の弁体部32全体を、中心軸線Oに沿って移動可能に収容できる形状の弁体収容穴31aと、弁体部32のガイド部32fを、中心軸線Oに沿う方向の移動を案内するガイド部挿通穴31bとを備えている。
弁体収容穴31aおよびガイド部挿通穴31bの底面である底面部31e、31fは、それぞれ、突起部32eが伝動部挿入孔6kの内周面に引き込まれる位置で、バネ受け部32bとガイド部32fの突出方向の端部との間に隙間ができる位置に形成されている。
底面部31eは、弁体付勢バネ34を配置する受け部を兼ねており、底面部31eとバネ受け部32bの間には、中心軸線Oに沿って圧縮された弁体付勢バネ34が装着されている。
【0059】
弁体収容穴31aは、弁座部流路6mに対向する部位には、弁座6Mと略同様の内径を有する円筒面状の内周面31cが設けられている。ただし、この内周面31cには、弁体本体32a、Oリング33、およびバネ受け部32bとともに、連結部32gが移動できるように開口されたスリット31dが設けられている。
このため、弁体部32は、中心軸線Oに沿って進退する際、弁体先端部32cが弁体係止部6sに近づくと、Oリング33が弁座6Mと嵌合して弁座部流路6mが閉止される。
また、Oリング33が弁体収容穴31aに移動すると、Oリング33は、内周面31cとの嵌合状態を保って移動する。このとき、弁座部流路6mは、Oリング33による閉止が解除されるため、弁体収容穴31aと連通し、さらにスリット31dを通して、伝動部挿入孔6k、および突起挿入穴部6jとも連通する。
【0060】
本実施形態では、特に図示しないが、Oリング33の近傍の弁体本体32a、バネ受け部32bの外周部に、弁体部32の移動時に、粘性抵抗を生じさせるグリスなどの粘性抵抗体が塗布されている。
【0061】
次に、本実施形態の秤1の作用について、バッテリー室カバー14の着脱時の動作および作用を中心にして説明する。
図7(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の秤の蓋部材の開閉動作を示す動作説明図である。
図8は、本発明の実施形態の秤の蓋部材の開閉動作における通気弁の動作を示す動作説明図である。
図9は、
図8に続く通気弁の動作を示す動作説明図である。
図10は、
図9に続く通気弁の動作を示す動作説明図である。
【0062】
秤1によって被測定物51の重量を測定するには、被測定物51を直接または上皿50を介して、計量皿2に載せる。
計量皿2は、載せられた被測定物51等の被測定物の重量に応じて荷重を受け、この荷重に応じてロードセル11が変形することにより、鉛直方向に変位する。
ロードセル11は、変形に伴うひずみの大きさを電気信号として、演算部13に送出する。
演算部13では、ロードセル11から送出された電気信号を被測定物の重量に換算する演算を行い、演算結果を表示部12に表示する。
このようにして被測定物の重量が測定される。
【0063】
秤1によって、正確な計量を行うには、計量皿2が被測定物の重量に正確に対応して変位する必要がある。
秤1においては、計量皿2の変位に連動して移動する計量皿支持体9の支持軸部9bに仕切膜7が接続されることで、支持軸部9bと計量皿支持体挿通孔5eとの間の開口が密閉されている。
また、秤本体3における孔部であるバッテリー収容穴部6gは、防水防塵フィルター16を有するバッテリー室カバー14によって液密に閉止されている。
このため、秤1は防水構造を有している。
【0064】
しかし、防水防塵フィルター16は、防水、防塵に支障がない程度の通気性しか有しないため、バッテリー室カバー14を急速に閉じるような操作が行われると、バッテリー室カバー14によって、バッテリー室6Aに外気が巻き込まれて、秤本体3の内部に内圧変動が生じる。このような圧力変動は、仕切膜7を外部に膨張させるため、仕切膜7に張力が発生して、支持軸部9bが移動する際に、仕切膜7からより大きな外力が作用することになる。
このように秤本体3に内圧変動が生じると、計量皿支持体9の変位に誤差が生じて、被測定物の計量にも測定誤差が生じることになる。
【0065】
このような秤本体3の内圧変動を避けるには、バッテリー室カバー14をカバー装着穴部6iにゆっくり載置して、例えば、ねじ止めなどの手段によって外気の巻き込みが生じないように、緩慢に閉じればよい。
しかし、このような作業は、秤1の使用者のだれしもが容易に行える作業ではない。
そこで、本実施形態の秤1は、使用者が容易にバッテリー17の交換を行うことができるように、係合部材15を用いた開閉機構を備えるとともに、バッテリー室カバー14を閉じる際に、秤本体3の内圧変動を確実に抑制することができるように通気弁30を設けている。
【0066】
カバー装着穴部6iに装着されたバッテリー室カバー14は、
図3に示すように、係合部材15の開閉操作部15aを、第2内周面6xから遠ざかる方向(図示の矢印U方向)にスライドさせることによって、取り外すことができる。
開閉操作部15aから手を離すと、
図7(a)に示すように、係合部材15は、バネ19によって第2内周面6x側に付勢されるため、先端部15cが、第2内周面6xから突出する。
このように、バッテリー室カバー14を取り外したら、バッテリー収容穴部6gのバッテリー17(
図7(a)、(b)、(c)では図示略)を適宜交換し、交換後に、バッテリー室カバー14を閉じる操作を行う。
バッテリー室カバー14を閉じる操作による動作は、本実施形態では、バッテリー室カバー14がバッテリー収容穴部6gを閉止終える前の「第1操作状態」と、バッテリー室カバー14が閉止された後の「第2操作状態」とに分けて述べることができる。
【0067】
なお、以下では、移動方向や配置関係の説明を簡潔にするため、
図7(a)、(b)、(c)、
図8〜10の図示に合わせて、装置の内部から外部に向かう方向や相対位置を上方向、上側などと称し、装置の外部から内部に向かう方向や相対位置を下方向、下側などと称する場合がある。
【0068】
バッテリー室カバー14を閉じるには、
図7(a)に示すように、バッテリー室カバー14を第1側面部14wを下にして、斜め上方からカバー装着穴部6iに挿入し、差し込み突起14aを第1内周面6wにおける差し込み凹部6eに差し込む。
この状態で、図示矢印のように、差し込み突起14aを回転支点として、バッテリー室カバー14の第2側面部14xの方を下側に移動して、バッテリー室カバー14を寝かせていく。
このとき、平坦面14pは、第2内周面6x側の一部しかパッキン18と当接しないため、バッテリー収容穴部6gは上方に対して開放されている。このため、閉じる操作は第1操作状態にある。
【0069】
このとき、通気弁30は、
図8に示すように、弁体付勢バネ34によって弁体本体32aが上方向に付勢されているため、弁体先端部32cが弁体係止部6sに当接する位置に移動されている。この移動位置では、弁体本体32aのOリング33が、弁座6Mに嵌合しているため、弁座部流路6mは閉じられている。
また、棒状体32dは、伝動部挿入孔6kに挿通され、突起部32eが突起挿入穴部6jの上部の開口の近傍に位置している。
【0070】
このような状態では、連通流路Cは、弁体部32によって、突起挿入穴部6j、伝動部挿入孔6k、および弁体収容穴31aからなる第1流路C1と、弁座部流路6mおよび貫通孔6nからなる第2流路C2との間で閉じられている。
ただし、バッテリー室カバー14は、パッキン18の全周とは密着していないため、突起挿入穴部6jおよび貫通孔6nの上方のカバー装着穴部6i内に、第4流路C4が形成されている。
第1流路C1と第2流路C2とは、第4流路C4を通して連通している。
第4流路C4は、バッテリー配置空間S6gとも連通している。
一方、バッテリー室カバー14の第3側面部14y等の各側面部は、第3内周面6y等のカバー装着穴部6iの各内周面との間の隙間を有しており、これらの隙間によって外部に連通する第3流路C3が形成されている。
【0071】
このような状態から、さらにバッテリー室カバー14を寝かせていくと、
図7(b)に示すように、係止爪部14eの傾斜面14iが係合部材15の先端部15cの傾斜面15eと当接して係合部材15を押圧する。これにより、係合部材15には、傾斜面14iからガイド孔6rに押し込む方向の分力が外力として作用する。これにより、係合部材15は、バネ19を圧縮しながら図示矢印Uの方向に移動していく。
【0072】
さらにバッテリー室カバー14を寝かせていくと、
図7(c)に示すように、係合部材15の先端部15cが係止爪部14eの先端部を乗り越える。このため、係合部材15は、図示矢印Uの方向と反対方向に作用するバネ19の弾性復元力によって図示矢印Vの方向に付勢されて、矢印Vの方向に急峻に移動する。
これにより、係合爪部15bは、係合穴14kに進入していく。
このようにして、バッテリー室カバー14は、蓋受け面6fにむかって加速されつつ移動して、パッキン18に当たる。
【0073】
蓋受け面6fがパッキン18の全周にわたって当接すると、バッテリー室カバー14が蓋受け面6fと平行になる。これにより、係合部材15の係合爪部15bが係合穴14kに嵌合し、バッテリー室カバー14が閉じられた状態になる。このため、これ以降の閉じる操作は第2操作状態になる。
これにより、パッキン18の内側に開口するバッテリー収容穴部6gは、バッテリー室カバー14によって液密に閉止される。
【0074】
このように、係合部材15の先端部15cが係止爪部14eの先端部を乗り越えると、バッテリー室カバー14は自然に閉じられ、かつ係合部材15によって閉止状態が固定される。
このため、作業者は、バッテリー室カバー14をカバー装着穴部6iに斜め方向に差し込んで、蓋受け面6fに向かって閉じていくだけの簡単な操作で、バッテリー室カバー14を閉じることができる。
【0075】
次に、バッテリー室カバー14がこのように閉止される前後の通気弁30の動作について説明する。
図8に示すように、操作突起部14fの係合部14hが棒状体32dの突起部32eと当接した時点では、上述したように、通気弁30によって連通流路Cが閉止されている。しかし、この状態からバッテリー室カバー14を押し下げていくと、係合部14hと突起部32eとが係合しているため、操作突起部14fの変位と連動して、棒状体32dが押し下げられていく。これにより、弁体部32全体が、弁体付勢バネ34の付勢力に抗して押し下げられていく。
本実施形態では、弁座6Mは、弁座部流路6mの下端部に設けられており、弁体部32は、平坦面14pから突出した操作突起部14fによって棒状体32dが下方に押圧されるにつれて下降する。このため、操作突起部14fと棒状体32dとの長さを適宜設定しておくことにより、バッテリー室カバー14がパッキン18に当接する前に、Oリング33が弁座6Mの下方に移動して、連通流路Cが開放される。すなわち、通気弁30は、第1操作状態において連通流路Cを開放することができる。
【0076】
さらにバッテリー室カバー14を閉じる操作を続けると、
図9に示すように、バッテリー室カバー14がパッキン18に当たった時点で、バッテリー収容穴部6gが閉止され、第1操作状態から第2操作状態に移行する。
このとき、本実施形態では、操作突起部14fの係合部14hと棒状体32dの突起部32eとは、係合状態を保っており、弁体部32の全体は、弁体収容穴31a内に下降した状態である。
このため、Oリング33が弁座6Mから離間して通気弁30は開放状態にあり、連通流路Cは開放されている。ただし、バッテリー室カバー14がパッキン18と密着する結果、突起挿入穴部6jおよび貫通孔6nの上方に形成されていた第4流路C4は消失している。
【0077】
この結果、内部空間Sに連通するバッテリー配置空間S6gは、突起挿入穴部6jを介して連通流路Cと連通している。一方、第2流路C2の端部に位置する貫通孔6nは、パッキン18の外側に開口しているため、第3流路C3と連通している。
このため、内部空間Sは、バッテリー配置空間S6g、第1流路C1および第2流路C2からなる連通流路C、並びに第3流路C3を通して外部と連通している。
したがって、バッテリー室カバー14が閉じられても、内部空間Sと外部との通気は、自由である。これにより、バッテリー室カバー14がパッキン18に当たる直前に加速される結果、外部の空気を巻き込んでも、内部空間Sにおける空気の増分は、同等量が第3流路C3から排出される。したがって、内部空間Sの内圧変動が抑制され、例えば、仕切膜7が外側に膨張して、張力が増大することはない。
【0078】
バッテリー室カバー14は、パッキン18に当接した後、パッキン18の弾性反力と釣り合う位置まで下降を続ける。これに伴って、係合部14hと突起部32eとの係合代もほとんどなくなり、かつ弁体付勢バネ34の弾性復元力は増大していく。
このため、バッテリー室カバー14がパッキン18と全面的に当接してから、わずかに遅れて、係合部14hと突起部32eとの係合が外れる。これにより、
図10に示すように、弁体部32は、弁体付勢バネ34によって付勢されて、上方に移動する。棒状体32dの上方には、逃げ孔ともなる貫通孔14gが形成されているため、棒状体32dの先端部と蓋面部14dとが接触することはない。
このとき、突起部32eと伝動部挿入孔6kの内周面との摩擦力と、弁体本体32aの周囲に塗布された図示略の粘性抵抗体であるグリスとによって、これらが存在しない場合に比べて上昇速度が減速される。
Oリング33が弁座6Mまで移動すると、通気弁30が閉止状態になる。
【0079】
このようにして、バッテリー室カバー14によって、バッテリー収容穴部6gが閉止された後、一定の時間差をもって、通気弁30が閉じられる。これにより、第3流路C3は、第2流路C2とのみ連通し、バッテリー配置空間S6gおよび内部空間Sとは連通しなくなる。
これにより、内部空間Sは、内圧変動を起こすことなく、液密に封止される。
【0080】
このように、バッテリー室カバー14の操作突起部14fは、第1操作状態の間と、第2操作状態に移行してから、一定時間経過するまで、伝動部である棒状体32dの突起部32eに係合して連通流路Cが開放される位置に弁体部32を留め置いている。
そして、バッテリー室カバー14の操作突起部14fは、一定時間経過後の第2操作状態において、棒状体32dの突起部32eとの係合を解除して、第1操作状態で留め置かれた弁体部32を弁座6Mが閉じる位置まで移動できる状態にしている。
【0081】
本実施形態の秤1によれば、バッテリー室カバー14で閉止するバッテリー収容穴部6gとバッテリー室カバー14による密閉範囲の外側となる部位との間に設けられバッテリー収容穴部6gと外部とを連通する連通流路Cと、バッテリー室カバー14によってバッテリー収容穴部6gが閉止された後に連通流路Cを閉止する通気弁30とを備える。このため、バッテリー室カバー14で開閉可能な防水構造を有する秤本体3において、バッテリー室カバー14を閉じた直後の秤本体3の内圧変動を抑制することができる。
【0082】
[第1変形例]
次に、本実施形態の第1変形例の秤について説明する。
図11は、本発明の実施形態の第1変形例の秤の主要部の構成を示す模式的な縦断面図である。
【0083】
図11に示すように、本変形例の秤41は、上記実施形態の秤1における支持台部6b、通気弁30に代えて、それぞれ支持台部46b、通気弁40を備え、Oリング43(弁座)を追加したものである。
以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
支持台部46bは、支持台部6bにおける弁座部流路6mの弁体収容部31側の端部に、弁座部流路6mの内周面の全周において径方向内側に突出するように、Oリング43を固定するOリング取り付け溝46tを追加したものである。
【0085】
通気弁40は、上記実施形態の通気弁30の弁体部32に代えて、弁体部42を備え、Oリング33を削除したものである。
弁体部42は、弁体部32における弁体本体32aに代えて、弁体本体42aを備える点が異なる。
【0086】
弁体本体42aは、弁座部流路6mよりも小径であって、Oリング取り付け溝46tに固定されたOリング43の内側に摺動可能に内嵌する略円筒状部材であり、軸方向の先端に、弁体本体32aにおけるのと同様、弁体係止部6sに係止可能な弁体先端部32cが設けられている。
弁体本体42aの側面には、弁体先端部32cの方から軸方向の中間部まで延びて弁体本体42aの径方向に貫通するスリット42hと、弁体本体42aの弁体先端部32cと反対側の端部において、周方向に連続する円筒面からなる筒状部42iとが形成されている。
筒状部42iは、弁体先端部32cが弁体係止部6sの当接する位置において、Oリング取り付け溝46tに固定されたOリング43が全周にわたって外嵌する位置に設けられている。
このため、弁体部42は、中心軸線Oに沿って進退する際、弁体先端部32cが弁体係止部6sに近づくと、Oリング43が弁体本体42aの筒状部42iと嵌合して弁座部流路6mが閉止される。
また、弁体部42が、弁体係止部6sから遠ざかり、スリット42hがOリング43と交差する位置関係になると、第1流路C1と第2流路C2とが、スリット42hを通して連通する。このため、弁座部流路6mは、Oリング43による閉止が解除されるため、弁体収容穴31aと連通し、さらにスリット31dを通して、伝動部挿入孔6k、および突起挿入穴部6jとも連通する。
【0087】
本変形例では、Oリング取り付け溝46tに固定されたOリング43は、連通流路Cと連通された弁座を構成している。
【0088】
また、本変形例では、特に図示しないが、例えば、Oリング43と当接する弁体本体42aおよびバネ受け部32bの外周部や、弁体本体42aの外周部と弁座部流路6mとの間に、弁体部42の移動時に粘性抵抗を生じさせるグリスなどの粘性抵抗体を塗布した構成が可能である。ただし、この場合、粘性抵抗体は、弁体部42が移動しても、スリット42hを塞ぐことがないように塗布する。
変形例では、一例として、弁体本体42aの外周部に図示略のグリスを粘性抵抗体として塗布している。
【0089】
次に、本変形例の秤41におけるバッテリー室カバー14の着脱時の動作および作用について、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
図12は、本発明の実施形態の第1変形例の秤の蓋部材の開閉動作における通気弁の動作を示す動作説明図である。
図13は、
図12に続く通気弁の動作を示す動作説明図である。
図14は、
図13に続く通気弁の動作を示す動作説明図である。
【0090】
秤41は、通気弁40を備えるため、バッテリー室カバー14の着脱動作に連動して、上記実施形態と略同様にして、通気弁40の開状態と閉状態とが切り替えられる。
【0091】
バッテリー室カバー14を閉じるには、
図7(a)に示すように、上記実施形態と同様にして、バッテリー室カバー14を斜め上方からカバー装着穴部6iに挿入し、差し込み突起14aを回転支点として、バッテリー室カバー14を寝かせていく。
このとき、平坦面14pは、第2内周面6x側の一部しかパッキン18と当接しないため、バッテリー収容穴部6gは上方に対して開放されている。このため、閉じる操作は第1操作状態にある。
【0092】
このとき、通気弁40は、
図12に示すように、弁体付勢バネ34によって弁体本体42aが上方向に付勢されているため、弁体先端部32cが弁体係止部6sに当接する位置に移動されている。この移動位置では、弁体本体42aの筒状部42iにOリング43が外嵌しているため、弁座部流路6mは閉じられている。
また、棒状体32dは、伝動部挿入孔6kに挿通され、突起部32eが突起挿入穴部6jの上部の開口の近傍に位置している。
【0093】
このような状態では、連通流路Cは、弁体部42によって、第1流路C1と第2流路C2との間で閉じられている。
ただし、バッテリー室カバー14は、パッキン18の全周とは密着していないため、突起挿入穴部6jおよび貫通孔6nの上方のカバー装着穴部6i内に、第4流路C4が形成されている。
第1流路C1と第2流路C2とは、第4流路C4を通して連通している。
第4流路C4は、バッテリー配置空間S6gとも連通している。
一方、バッテリー室カバー14の第3側面部14y等の各側面部は、第3内周面6y等のカバー装着穴部6iの各内周面との間の隙間を有しており、これらの隙間によって外部に連通する第3流路C3が形成されている。
【0094】
このような状態から、さらにバッテリー室カバー14を寝かせていくと、
図7(b)に示すように、係合部材15は、バネ19を圧縮しながら図示矢印Uの方向に移動していく。
さらにバッテリー室カバー14を寝かせていくと、
図7(c)に示すように、係合部材15の先端部15cが係止爪部14eの先端部を乗り越える。このため、係合部材15は、図示矢印Uの方向と反対方向に作用するバネ19の弾性復元力によって図示矢印Vの方向に付勢されて、矢印Vの方向に急峻に移動し、係合爪部15bは、係合穴14kに進入していく。
このとき、バッテリー室カバー14は、蓋受け面6fにむかって加速されつつ移動して、パッキン18に当たる。
【0095】
蓋受け面6fがパッキン18の全周にわたって当接すると、バッテリー室カバー14が閉じられた状態になる。このため、これ以降の閉じる操作は第2操作状態になる。
これにより、パッキン18の内側に開口するバッテリー収容穴部6gは、上記実施形態と同様にして、バッテリー室カバー14によって液密に閉止される。
【0096】
次に、バッテリー室カバー14がこのように閉止される前後の通気弁40の動作について説明する。
図12に示すように、操作突起部14fの係合部14hが棒状体32dの突起部32eと当接した時点では、上述したように、通気弁40によって連通流路Cが閉止されている。しかし、この状態からバッテリー室カバー14を押し下げていくと、係合部14hと突起部32eとが係合しているため、操作突起部14fの変位と連動して、棒状体32dが押し下げられていく。これにより、弁体部42全体が、弁体付勢バネ34の付勢力に抗して押し下げられていく。
【0097】
本変形例では、筒状部42iは、弁体先端部32cが弁体係止部6sと当接または近接する間、Oリング43と嵌合する位置に設けられており、弁体部42は、平坦面14pから突出した操作突起部14fによって棒状体32dが押圧されるにつれて下降する。このため、上記実施形態と同様にして、操作突起部14fと棒状体32dとの長さを適宜設定しておくことにより、バッテリー室カバー14がパッキン18に当接する前に、スリット42hがOリング43と交差する位置関係に移動して、連通流路Cが開放される。すなわち、通気弁40は、第1操作状態において連通流路Cを開放することができる。
【0098】
さらにバッテリー室カバー14を閉じる操作を続けると、
図13に示すように、バッテリー室カバー14がパッキン18に当たった時点で、バッテリー収容穴部6gが閉止され、第1操作状態から第2操作状態に移行する。
このとき、本変形例では、操作突起部14fの係合部14hと棒状体32dの突起部32eとは、係合状態を保っており、弁体部42の全体は、弁体収容穴31a内に下降した状態である。
このため、Oリング43がスリット42hと交差する位置関係にあって、通気弁40は開放状態にあり、連通流路Cは開放されている。ただし、バッテリー室カバー14がパッキン18と密着する結果、突起挿入穴部6jおよび貫通孔6nの上方に形成されていた第4流路C4は消失している。
【0099】
この結果、上記実施形態と同様に、内部空間Sに連通するバッテリー配置空間S6gは、突起挿入穴部6jを介して連通流路Cと連通している。一方、第2流路C2の端部に位置する貫通孔6nは、パッキン18の外側に開口しているため、第3流路C3と連通している。
このため、内部空間Sは、バッテリー配置空間S6g、第1流路C1および第2流路C2からなる連通流路C、並びに第3流路C3を通して外部と連通している。
したがって、バッテリー室カバー14が閉じられても、内部空間Sと外部との通気は、自由である。これにより、バッテリー室カバー14がパッキン18に当たる直前に加速される結果、外部の空気を巻き込んでも、内部空間Sにおける空気の増分は、同等量が第3流路C3から排出される。したがって、内部空間Sの内圧変動が抑制され、例えば、仕切膜7が外側に膨張して、張力が増大することはない。
【0100】
バッテリー室カバー14は、パッキン18に当接した後、パッキン18の弾性反力と釣り合う位置まで下降を続ける。これに伴って、係合部14hと突起部32eとの係合代もほとんどなくなり、かつ弁体付勢バネ34の弾性復元力は増大していく。
このため、バッテリー室カバー14がパッキン18と全面的に当接してから、わずかに遅れて、係合部14hと突起部32eとの係合が外れる。これにより、
図13に示すように、弁体部42は、弁体付勢バネ34によって付勢されて、上方に移動する。棒状体32dの上方には、逃げ孔ともなる貫通孔14gが形成されているため、棒状体32dの先端部と蓋面部14dとが接触することはない。
このとき、突起部32eと伝動部挿入孔6kの内周面との摩擦力と、弁体本体42aの周囲に塗布された図示略のグリスとによって、これらが存在しない場合に比べて上昇速度が減速される。
弁体本体42aの筒状部42iが、Oリング43と嵌合する位置まで移動すると、通気弁40が閉止状態になる。
【0101】
このようにして、バッテリー室カバー14によって、バッテリー収容穴部6gが閉止された後、一定の時間差をもって、通気弁40が閉じられる。これにより、第3流路C3は、第2流路C2とのみ連通し、バッテリー配置空間S6gおよび内部空間Sとは連通しなくなる。
これにより、内部空間Sは、内圧変動を起こすことなく、液密に封止される。
【0102】
本変形例の秤41によれば、バッテリー室カバー14で閉止するバッテリー収容穴部6gとバッテリー室カバー14による密閉範囲の外側となる部位との間に設けられバッテリー収容穴部6gと外部とを連通する連通流路Cと、バッテリー室カバー14によってバッテリー収容穴部6gが閉止された後に連通流路Cを閉止する通気弁40とを備える。このため、バッテリー室カバー14で開閉可能な防水構造を有する秤本体3において、バッテリー室カバー14を閉じた直後の秤本体3の内圧変動を抑制することができる。
【0103】
なお、上記実施形態の説明では、仕切膜が、支持軸部と計量皿支持体との間に設けられることにより、秤本体の開口が密閉される場合の例で説明したが、仕切膜の配置は、このような配置には限定されない。例えば、計量皿支持体と計量皿とが離間されている場合に開口に挿通された計量皿支持体を覆うように配置され、外縁部が開口と接合された構成が可能である。
【0104】
上記実施形態の説明では、第2操作状態において、連通流路Cが開放される時間を調節するため、Oリング33の近傍の弁体本体32a、バネ受け部32bの外周部にグリスなど粘性抵抗体が塗布された場合の例で説明した。しかし、粘性抵抗体を設ける部位は、これらの部位には限定されず、弁体部32の移動速度を減衰させることができる適宜の部位に設けることができる。
例えば、バネ受け部32bと底面部31eとの間の弁体付勢バネ34の周囲に粘性抵抗体を充填したり、ガイド部挿通穴31bの内部に粘性抵抗体を充填したりすることも可能である。
また、粘性抵抗体は、グリスなどの流動体には限定されず、反発弾性の低い発砲ゴムなども可能である。
【0105】
上記実施形態の説明では、第2操作状態において、連通流路Cが開放される時間を調節するため、粘性抵抗体を連通流路C内に設けた場合の例で説明したが、例えば、弁体付勢バネ34の代わりに、例えば、ダッシュポット付きのバネ部材を用いることも可能である。
また、弁体と連通流路等の摩擦抵抗のみで、連通流路が開放される時間を適正に調節できれば、粘性抵抗体等を備えない構成とすることもできる。
【0106】
また、上記各実施形態に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。