(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164684
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】飲料水用の濾過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/46 20060101AFI20170710BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20170710BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
B01D29/46 C
B01D29/38 510D
B01D29/38 520A
B01D37/04
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-96135(P2013-96135)
(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公開番号】特開2014-217791(P2014-217791A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503217875
【氏名又は名称】生田 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】生田 尚之
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−142746(JP,A)
【文献】
特開2009−142748(JP,A)
【文献】
特開2001−190910(JP,A)
【文献】
特開平8−919(JP,A)
【文献】
特開平3−47505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/46
B01D 29/66
B01D 37/04
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に固定支持板と可動支持板とを設け、前記固定支持板に一端部が固定的に取付けられ、一方、前記固定支持板と対向する前記可動支持板に他端部が取付けられ、かつ前記一端部から他端部に亘って連続する多数の弾性リング状部分を有する弾性フィルタ部材を前記容器内に配設し、該弾性リング状部分の外側から内部に原水を通過させて濾過する飲料水用の濾過装置に於いて、
前記弾性リング状部分の隙間に付着した或いは弾性リング状部分で捕獲した不純物を除去する際、該容器に設けた洗浄配管ラインを介して弾性フィルタ部材の内部に洗浄水を導入し、かつ該洗浄水の圧力によって伸びる方向へ弾性変位する弾性リング状部分の隙間を利用して該洗浄水を該弾性フィルタ部材の外へ除去するものであり、前記固定支持板には弾性フィルタ部材の内部空間と連通する貫通孔が形成され、該貫通孔に対して洗浄配管ラインを構成する接続配管の接続端部が取外し可能に取付けられていることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、固定支持板は、容器の蓋体又は容器内に所定量入り込んだ洗浄配管ラインの接続端部に固定された支持具を構成する上板のいずれかであることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項3】
請求項1に於いて、洗浄配管ラインは、濾過後の清水を次工程の濾過手段へ送る清水配管ラインの一部分と共通することを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項4】
容器と、容器に内装されかつ洗浄配管ラインと接続する支持具と、該支持具を構成する固定支持板と可動支持板の間に介設され、一端部から他端部に亘って連続する多数の弾性リング状部分を有する弾性フィルタ部材とを備え、該弾性リング状部分の外側から内部に原水を通過させて濾過する飲料水用の濾過装置であって、
前記弾性リング状部分の隙間に付着した或いは弾性リング状部分で捕獲した不純物を除去する際、該容器に設けた洗浄配管ラインを介して弾性フィルタ部材の内部に洗浄水を導入し、かつ該洗浄水の圧力によって伸びる方向へ弾性変位する弾性リング状部分の隙間を利用して該洗浄水を該弾性フィルタ部材の外へ除去するものであり、前記固定支持板には弾性フィルタ部材の内部空間と連通する貫通孔が形成され、該貫通孔に対して洗浄配管ラインを構成する接続配管の接続端部が取外し可能に取付けられていることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項5】
請求項4に於いて、支持具は、貫通孔を有する固定支持板と、この固定支持板と所要間隔を有して対向する非開口の可動支持板と、一端部が前記可動支持板に固定され、他端部が前記固定支持板に形成された案内孔を貫通する複数の案内棒とから成ることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項6】
請求項4に於いて、可動支持板の下面には、弾性リング状部分の隙間を微調整することができる微調整バネを含む隙間調整手段が配設されていることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項7】
請求項6に於いて、隙間調整手段は、可動支持板の下面に対して所定間隔を有して容器の下部内に固定された下方の仕切り板と、該仕切り板の中央部に設けられ、下端部に操作用摘み部を有する調整螺杆と、該調整螺杆に螺合する螺合板を介してバネ下端部が固定的に支持され、一方、バネ上端部が前記可動支持板の下面に支持された微調整バネとから成ることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項4に於いて、容器又は原水配管ラインのいずれかに設けられ、かつ弾性リング状部分に不純物が付着することによって該容器の内圧が高まると作動する圧力スイッチと、第1開閉弁を有する原水配管ラインと、第2開閉弁を有する清水配管ラインと、第3開閉弁を有する洗浄配管ラインと、第4開閉弁を有する排出配管ラインがそれぞれ接続することを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項9】
請求項8に於いて、第1開閉弁乃至第4開閉弁は制御部で一定の時間毎に制御され、第1開閉弁と第2開閉弁が同時に「閉」の状態の時には、第3開閉弁と第4開閉弁は同時に「開」の状態となり、弾性フィルタ部材の自動洗浄が実行されることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項10】
請求項4に於いて、弾性フィルタ部材は、テープ状の板バネであり、その弾性リング状部分はゆるやかな坂となって密着状態に連続し、少なくとも一側面には、原水通過用の多数の溝が形成されていることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項4に於いて、容器は、原水流入口と清水送出口兼用洗浄水導入口を有する長筒状容器本体と、該長筒状容器本体の下端面に取外し可能に装着されかつ排出口を有するすり鉢形状排出物受け体と、前記長筒状容器本体の上端面に取外し可能に装着されかつ圧力スイッチを有する蓋体とから成ることを特徴とする飲料水用の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水用の濾過装置に関し、特にRO膜を有する膜濾過装置の前処理段階で、原水に含まれている泥、ゴミ、飲料に適しない物質等の不純物を排除するために使用される飲料水用の濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の課題は、円筒状中空バネ状フィルタ濾過装置にて助剤プリコート前のフィルタ面を十分清浄化するとともに、フィルタエレメント1の表面に均一なプリコート(被覆)ができるようにして濾過装置機能を維持向上させることである。この課題の解決手段として、特許文献1には「円筒状中空バネ状フィルタエレメント1の表面およびその周縁を洗浄する高圧噴流と、濾過助剤をプリコートする際に濾過助剤が不均一にプリコートされることを抑制するため円筒状中空バネ状フィルタエレメントの周縁の液体を攪拌する低圧噴流とを、圧力切替して放出するノズルを具備した洗浄攪拌手段10を円筒状中空バネ状フィルタエレメント1に隣接して配設する事項」が記載されている(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
そして、この特許文献1の
図1には、「縦長状の容器と、この容器の内部の上部側に水平状態に固定された固定板と、この固定板の連通小孔の内周壁に上端部が挿入固定された多数の環状部分を有するバネ状フィルタエレメント1と、このフィルタエレメント1の下端部に固定され、かつ前記内部の下部側で上下方向に移動可能な可動板7と、この可動板7に下端部が固定され、かつ前記フィルタエレメント1に隣接するように配設された多数の洗浄攪拌手段10とを備えた濾過装置」が開示されている。
【0004】
上記濾過装置は、流入口2から容器内に入り込んだ原水が、外からフィルタエレメント1内に入り込んだ際に該フィルタエレメント1に付着した、或いは該フィルタエレメント1が捕獲した不純物を除去するために、フィルタエレメント1の外からノズルを具備した複数の洗浄攪拌手段10で洗浄水を掛けるものであるから、フィルタエレメント1の外周面を綺麗にすることができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、該濾過装置はフィルタエレメント1の弾性リング状部分の隙間に付着する不純物を取り除くことができないという問題点があった。またノズルを具備した多数の洗浄攪拌手段10が必要なので、構成が複雑であると共に、製作が面倒である、コスト高となる、分解が面倒である等の問題点があった。そこで、このような問題点を解決するために本発明が出現した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−102677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の第1の目的は弾性フィルタ部材に付着した或いは弾性フィルタ部材が捕獲した不純物を合理的な構成により綺麗に除去することである。第2の目的は容器の構造をシンプルにすることである。第3の目的は組立や部品交換が容易であることである。その他の目的は従属項によって特定される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の飲料水用の濾過装置は、容器に固定支持板と可動支持板とを設け、前記固定支持板に一端部が固定的に取付けられ、一方、前記固定支持板と対向する前記可動支持板に他端部が取付けられ、かつ前記一端部から他端部に亘って連続する多数の弾性リング状部分を有する弾性フィルタ部材を前記容器内に配設し、該弾性リング状部分の外側から内部に原水を通過させて濾過する飲料水用の濾過装置に於いて、前記弾性リング状部分の隙間に付着した或いは弾性リング状部分で捕獲した不純物を除去する際、該容器に設けた洗浄配管ラインを介して弾性フィルタ部材の内部に洗浄水を導入し、かつ該洗浄水の圧力によって伸びる方向へ弾性変位する弾性リング状部分の隙間を利用して該洗浄水を該弾性フィルタ部材の外へ除去する
ものであり、前記固定支持板には弾性フィルタ部材の内部空間と連通する貫通孔が形成され、該貫通孔に対して洗浄配管ラインを構成する接続配管の接続端部が取外し可能に取付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の飲料水用の濾過装置は、容器と、容器に内装されかつ洗浄配管ラインと接続する支持具と、該支持具を構成する固定支持板と可動支持板の間に介設され、一端部から他端部に亘って連続する多数の弾性リング状部分を有する弾性フィルタ部材とを備え、該弾性リング状部分の外側から内部に原水を通過させて濾過する飲料水用の濾過装置であって、前記弾性リング状部分の隙間に付着した或いは弾性リング状部分で捕獲した不純物を除去する際、該容器に設けた洗浄配管ラインを介して弾性フィルタ部材の内部に洗浄水を導入し、
かつ該洗浄水の圧力によって伸びる方向へ弾性変位する弾性リング状部分の隙間を利用して該洗浄水を該弾性フィルタ部材の外へ除去する
ものであり、前記固定支持板には弾性フィルタ部材の内部空間と連通する貫通孔が形成され、該貫通孔に対して洗浄配管ラインを構成する接続配管の接続端部が取外し可能に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(a)独立項に記載の発明は、弾性フィルタ部材の弾性リング状部分の隙間或いは多数の溝が泥等の不純物で詰まった状態となり、その結果、フィルタ機能が減退するのを防止することができる。すなわち、洗浄水を弾性フィルタ部材の内部に導き、該洗浄水の圧力によって伸びる方向へ弾性変位する弾性リング状部分の隙間を利用して該洗浄水を該弾性フィルタ部材の外へ除去する物理的原理を採用したので、弾性フィルタ部材の同心円上に多数のノズルを有する洗浄パイプを配設する必要がない。また弾性フィルタ部材に付着した或いは弾性フィルタ部材が捕獲した不純物を合理的(簡単)な構成により綺麗に除去することができる。また、一端部から他端部に亘って連続する多数の弾性リング状部分を有する弾性フィルタ部材を容器内に配設したので、容器をシンプルにすることができる。さらに、次工程の膜濾過手段の詰まりを防止することができる。加えて、少なくとも容器の蓋体が取外し可能な実施形態の場合には、弾性フィルタ部材(部品)の交換が容易である。加えて、
固定支持板には弾性フィルタ部材の内部空間と連通する貫通孔が形成され、該貫通孔に対して洗浄配管ラインを構成する接続配管の接続端部が取外し可能に取付けられているので、組立や部品交換の際、洗浄配管ラインを構成する接続配管を持って固定支持板と共に、弾性フィルタ部材を容器内に簡単にセットすることができる。
(b)請求項2に記載の発明は、固定支持板は、容器の蓋体又は容器内に所定量入り込んだ洗浄配管ラインの接続端部に固定された支持具を構成する上板のいずれかであから、
請求項1に記載の発明と同様の効果がある。
(c)請求項3に記載の発明は、洗浄配管ラインは濾過後の清水を次工程の膜濾過手段へ送る清水配管ラインの一部分と共通するから、部品点数が減り、容器の構造をシンプルにすることができる。
(d)請求項5に記載の発明は、支持具は、貫通孔を有する固定支持板と、この固定支持板と所要間隔を有して対向する非開口の可動支持板と、一端部が前記可動支持板に固定され、他端部が前記固定支持板に形成された案内小孔を貫通する複数の案内棒とから成るので、弾性フィルタ部材を確実に支持することができると共に、弾性フィルタ部材は、その内圧の変化に対応して揺れないように安定した状態で弾性変位する。
(e)請求項6に記載の発明は、可動支持板の下面には、弾性リング状部分の隙間を微調整することができる隙間調整手段が配設されているので、弾性フィルタ部材の連続する多数の弾性リング状部分の隙間を微妙に調整することができる。
(f)請求項7に記載の発明は、請求項7に記載の発明を具体的に実現することができると共に、支持具の揺れを防止することができる。
(g)請求項8及び請求項9に記載の発明は、容器には、弾性リング状部分に不純物が付着することによって該容器の内圧が高まると作動する圧力スイッチと、第1開閉弁を有する原水配管ラインと、第2開閉弁を有する清水配管ラインと、第3開閉弁を有する洗浄配管ラインと、第4開閉弁を有する排出配管ラインがそれぞれ接続するので、例えば本発明の飲料水用濾過装置XをA系列とB系列の2つ洗浄装置ラインにそれぞれ配設し、圧力スイッチの検知信号を取得した制御部でもって、A系列の濾過装置の洗浄ポンプとB系列の濾過装置の洗浄ポンプを一定時間毎に交互に連続的に自動洗浄させることも可能となる。
(h)請求項10に記載の発明は、弾性フィルタ部材はテープ状の板バネであり、その弾性リング状部分はゆるやかな坂となって密着状態に連続し、少なくとも一側面には、原水通過用の多数の溝が形成されているので、弾性フィルタ部材を適宜に設計変更することにより、原水の通り道を加味することができる。
(i)請求項11に記載の発明は、容器は、原水流入口と清水送出口兼用洗浄水導入口を有する長筒状容器本体と、該長筒状容器本体の下端面に取外し可能に装着されかつ排出口を有するすり鉢形状排出物受け体と、前記長筒状容器本体の上端面に取外し可能に装着されかつ圧力スイッチを有する蓋体とから成るので、組立及び分解が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至
図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図、
図10は本発明の第2実施形態を示す説明図。
【
図4】支持具の分解斜視図(洗浄配管ラインも含む)。
【
図8】弾性フィルタ部材に不純物が付着した状態の説明図。
【
図9】弾性フィルタ部材の不純物を除去した状態の説明図。
【
図10】本発明の第2実施形態を示す
図1と同様の説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至
図9は本発明の第1実施形態の各説明図である。これらの図に於いて、Xは飲料水用の濾過装置(以下、「濾過装置」という)で、この濾過装置は、特許文献1が存在することから、「容器1と、この容器1に内装されかつ洗浄配管ライン21と接続する支持具31と、該支持具31を構成する固定支持板32と可動支持板33の間に介設され、一端部41aから他端部41bに亘って連続する多数の弾性リング状部分41cを有する弾性フィルタ部材41とを備え、該弾性リング状部分41cの外側から内部に原水(a、b)を通過させて濾過すること」を前提とする。
【0013】
図1は実施環境を示す概略説明図である。図面を参照にして各部材を説明する。まず1は容器で、この容器1は、
図3で示すように、原水流入口2と清水送出口兼用洗浄水導入口3を有する長筒状容器本体4と、該長筒状容器本体4の下端面に周設されたフランジに複数の固着具5を介して取外し可能に装着され、かつ中央部に排出口6を有するすり鉢形状排出物受け体7と、前記長筒状容器本体4の上端面に周設されたフランジに複数の固着具8を介して取外し可能に装着され、かつ中央部に圧力スイッチ9を有する断面弧状の蓋体10とから成る。
【0014】
容器1の圧力スイッチ9は、例えばソーラーパネルを備えたコンテナ内に設置され、かつタイマー回路を有する制御部12と電気的に接続し、後述する弾性フィルタ部材41の弾性リング状部分41cに不純物aが付着することによって該容器1の内圧が高まると作動するように設計することができる。そこで、前記制御部12は同様に前記コンテナ内に設置された洗浄ポンプ13と電気的に接続している。
【0015】
次に、容器1の原水流入口2等に取付けられる配管について説明する。15は制御部12に制御される第1開閉弁16を有する原水配管ラインで、この原水配管ライン15は、海、湖水、川等の不純物(後述の排出物)aが含まれている原水bを容器1に導くために原水流入口2に適宜に接続される。なお、14は原水を容器1に送る送水ポンプである。
【0016】
一方、18は制御部12に制御される第2開閉弁19を有する清水配管ラインで、この清水配管ライン18は弾性フィルタ部材41で処理された清水cを、図示しない限外濾過膜装置(UF膜スキッド)、RO膜を有する膜濾過手段等に送るためのものである。したがって、本発明の濾過装置Xは、限外濾過膜装置、RO膜を有する膜濾過手段等の前処理段階に配設される。
【0017】
この清水配管ライン18は、清水送出口兼用洗浄水導入口3に適宜に接続される。実施形態では、第3開閉弁22を有する洗浄配管ライン21の先に相当するラインの一部は、清水配管ライン18と洗浄配管ライン21の一部分を兼用する第1接続配管20aと、この第1接続配管20aの後端部に取外し可能に接続する第2接続配管20b(ここでは両方を「接続配管20」という)が存在し、前記第1接続配管20aのL型状に折り曲げられ
た先端部は、容器1に内装された支持具31を構成する固定支持板32に適宜に固定されている。
【0018】
そして、24は第4開閉弁25を有する排出配管ラインで、この排出配管ライン24は、容器1のすり鉢形状排出物受け体7に溜まった不純物(排出物)aを容器1の外に排出するために排出口6に適宜に接続している。
【0019】
洗浄ポンプを制御する詳細な回路図は割愛するが、上記第1開閉弁乃至第4開閉弁16、19、22、25は制御部12で一定の時間毎に制御され、例えば第1開閉弁16と第2開閉弁19が同時に「閉」の状態の時には、第3開閉弁22と第4開閉弁
25は同時に「開」の状態となり、弾性フィルタ部材41の自動洗浄が実行される。
【0020】
次に、支持具31について説明する。支持具31は、例えば
図2で示すように、容器1のシール機能を有すると共に環状或いは開口を有する上方の
仕切板28と、同様にシール機能を有すると共に環状或いは開口を有する下方の切り板29との間の内部空間に固定的に配設されている。
【0021】
しかして、支持具31は、
図4で示すように、中央部に円形の貫通孔36を有する固定支持板32と、この固定支持板32と所要間隔を有して対向する非開口の可動支持板33と、一端部が前記可動支持板33に固定され、他端部が前記固定支持板32に形成された案内孔34を貫通する複数の案内棒35とから成る。前記固定支持板32の貫通孔36の周縁部には固着具37用の複数の取付け孔38が形成されており、前記固着具37を介して第1接続配管20aの先端部が該固定支持板32に取外し可能に装着される。
【0022】
次に弾性フィルタ部材41を説明する。
図5及び
図6で示すように、弾性フィルタ部材41は、一端部(実施形態では上端部)41aから他端部(実施形態では下端部)41bに亘って連続する多数の弾性リング状部分41cを有している。この弾性フィルタ部材41は、特許文献1の「円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント」に相当する。したがって、弾性フィルタ部材41の表面は、特許文献1と同様に濾過助剤をプリコートしても良い。もちろん、濾過助剤をプリコートすることは発明の特定要件ではない。
【0023】
実施形態では、弾性フィルタ部材41は、テープ状の板バネであり、その弾性リング状部分41cはゆるやかな坂となって密着状態に連続し、少なくとも一側面には、原水通過用の多数の溝42が形成されている。弾性フィルタ部材41の弾性リング状部分41cは、望ましくは
マイクロメートル単位の隙間43が設定されることが望ましい。したがって、実施形態では、前記多数の溝42は、それぞれ
マイクロメートル(例えば50
マイクロメートル)単位に加工されている。
【0024】
しかして、このような弾性フィルタ部材41を飲料水用の濾過装置Xに用いると、弾性リング状部分41cの隙間43に付着した或いは弾性リング状部分41cで捕獲した不純物aを除去する際、容器1に設けた洗浄配管ライン21を介して弾性フィルタ部材41の内部に洗浄水dを導入し、かつ該洗浄水dの圧力によって伸びる方向へ弾性変位する弾性リング状部分41cの隙間43を利用して該洗浄水dを該弾性フィルタ部材41の外へ除去する。
【0025】
弾性フィルタ部材41から除去された、例えば泥や微細なゴミaは、下方の
仕切板29の開口を通過して容器1のすり鉢形状排出物受け体7に溜まる。なお、前述した圧力スイッチ9は、清水cを得る際に弾性リング状部分41cの隙間43や多数の溝42に不純物a(泥など)が付着することにより、容器1の内部の圧力が上昇した時に作動させるためのものである。
【0026】
次に、弾性リング状部分41cの隙間43を微調整することができる隙間調整手段51について説明する。この隙間調整手段51は、支持具31の可動支持板33と下方の
仕切板29に弾発的に介在しているので、前記弾性リング状部分41cの隙間43を狭める方向に常時付勢している。また、実施形態では、第1接続配管20aに吊り下げ状態となっている支持具31の揺れ防止の機能を有している。
【0027】
しかして、隙間調整手段51は、例えば
図7で示すように、可動支持板33の下面に対して所定間隔52を有して容器1の下部内に固定された下方の
仕切板29と、該
仕切板29の中央部に設けられ、下端部に操作用摘み部を有する調整螺杆53と、該調整螺杆51に螺合する螺合板55を介してバネ下端部54aが固定的に支持され、一方、バネ上端部54bが前記可動支持板33の下面に支持された微調整バネ54とから成る。
【実施例】
【0028】
実施形態に於いて、圧力スイッチ9は容器1に設けているが、原水配管ライン15(例えば原水を容器に送る送水ポンプ14)に設けても良い。また容器1内には開口を有する上方の仕切板28が設けられているが、該仕切板28は発明の本質的事項ではない。
次に
図10を参照にして、本発明の他の実施形態を説明する。なお、他の実施形態の説明に当って、第1実施形態と同一の部分には同一又は同様の符号を付して重複する説明を割愛する。
【0029】
この第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、容器1Aに対する第1の接続配管20aの取付け態様である。すなわち、第1実施形態の第1の接続配管20aは、
図1で示すように先端部が容器本体4の中に入り込んだ状態で、支持具31の上方の固定支持板32に取外し可能に装着されているのに対して、第2実施形態の第1の接続配管20aは、容器1Aの蓋体10を兼用する支持具31Aの固定支持板32Aに取外し可能に装着されている。
【0030】
このように構成しても、本発明の本質的事項は変わらない。したがって、本発明の課題を逸脱しない範囲に於いて、容器1Aの形態を適宜に設計変更することができる。また容器1Aを横長状にしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、海水、湖水等の原水を濾過して「美味しい飲料水」を得るための浄水装置の浄水ラインに使用される。
【符号の説明】
【0032】
X…濾過装置、1、1A…容器、2…原水流入口、4…容器本体、6…排出口、7…排出物受け体、9…圧力スイッチ、10…蓋体、12…制御部、20…接続配管、21…洗浄配管ライン、15…原水配管ライン、18…清水配管ライン、24…排出配管ライン、31…支持具、32…固定支持板、33…可動支持板、41…弾性フィルタ部材、41c…多数の弾性リング状部分、43…隙間(溝42)、a…不純物(付着物)、b…原水、c…清水、d…洗浄水、51…隙間調整手段、16、19、22、25…開閉弁。