(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に使用される炭素繊維強化プラスチックは、高弾性率の炭素繊維と、エポキシ樹脂などの高弾性率の樹脂とが複合化された高弾性率の硬化物であるため、補強対象物に応じた長さに切断するときの切断作業に手間が掛かる。また、一般に使用される炭素繊維強化プラスチックは高弾性率の硬化物であるため、貼り付ける箇所が平面などに制限される場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、その課題とするところは、取り扱い性および汎用性に優れた補強用テープならびに作業性に優れた補強用テープを用いた補強方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決を目的としてなされた本発明に係る補強用テープは、可撓性および樹脂浸透性を有し、繊維方向が長手方向に揃って配された複数本の炭素繊維からなる帯状の芯材と、前記芯材に含浸し、前記芯材より低弾性率のマトリックス樹脂と、を備え、
前記芯材の厚さが、0.05〜0.2mmであり、前記芯材の目付量が、15〜130g/m2であることを特徴とする。以下、本項目において、この補強用テープを「第1の補強用テープ」という。
また、上記課題の解決を目的としてなされた本発明に係る補強用テープは、可撓性および樹脂浸透性を有し、繊維方向が長手方向に揃って配された複数本の炭素繊維からなる帯状の芯材と、前記芯材に含浸し、前記芯材より低弾性率のマトリックス樹脂と、を備え、前記マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂であり、前記マトリックス樹脂の弾性率が、0.005〜0.2GPaであることを特徴とする。以下、本項目において、この補強用テープを「第2の補強用テープ」という。
また、上記課題の解決を目的としてなされた本発明に係る補強用テープは、可撓性および樹脂浸透性を有し、繊維方向が長手方向に揃って配された複数本の炭素繊維からなる帯状の芯材と、前記芯材に含浸し、前記芯材より低弾性率のマトリックス樹脂と、を備え、前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記マトリックス樹脂の弾性率が、0.005〜0.2GPaであることを特徴とする。以下、本項目において、この補強用テープを「第3の補強用テープ」という。
【0007】
また、本発明に係る補強用テープにおいて、前記芯材の少なくとも一方の表面に粘着剤が塗布されていてもよい。以下、本項目において、この補強用テープを「第4の補強用テープ」という。
【0008】
上記課題の解決を目的としてなされた本発明に係る補強用テープを用いた補強方法は、第1の補強用テープ乃至第
3の補強用テープの何れか1つの補強用テープを、前記マトリックス樹脂と同一の樹脂で補強対象物に貼り付けることを特徴とする。
上記課題の解決を目的としてなされた本発明に係る補強用テープを用いた補強方法は、第1の補強用テープ乃至第
3の補強用テープの何れか1つの補強用テープを、前記マトリックス樹脂と異なる樹脂で補強対象物に貼り付けることを特徴とする。
上記課題の解決を目的としてなされた本発明に係る補強用テープを用いた補強方法は、第
4の補強用テープを、前記粘着剤で補強対象物に貼り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る補強用テープによれば、可撓性および樹脂浸透性を有する芯材と、芯材より低弾性率のマトリックス樹脂と、を備えるので、取り扱い性および汎用性の低下を抑えることができる。また、本発明に係る補強用テープを用いた補強方法によれば、そのような補強用テープをマトリックス樹脂と同一のまたは異なる樹脂で補強対象物に貼り付けるだけで、当該補強対象物を補強することができるので、作業性の低下を抑えることができる。また、粘着剤が塗布された補強用テープを、当該粘着剤で補強対象物に貼り付けるだけで、当該補強対象物を補強することができるので、作業性の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
最初に、本発明の補強用テープの第1実施形態に係る補強用テープ1について説明する。補強用テープ1は、帯状であり、薄くて柔軟性に富んでいる。そのため、
図1に示すように、数m〜数十mに長尺化された補強用テープ1を巻き取って円盤状の状態で保管・運搬することができる。補強用テープ1の断面形状は、幅W1が50mm、厚さt1が0.07mmからなる略矩形状である。また、補強用テープ1の目付量は40g/m
2である。なお、補強用テープ1の幅W1、厚さt1、および、目付量はこれらに限られず適宜に設定することができる。
【0012】
図2は、
図1のA−A断面図である。言い換えると、
図2は、補強用テープ1の長手方向に直交した方向の断面図である。
図2に示すように、補強用テープ1は、繊維方向が長手方向に揃って配された複数本の炭素繊維からなる芯材11と、芯材11に含浸しているマトリックス樹脂12と、を備えている。
【0013】
複数本の炭素繊維からなる芯材11は、全体で容易に折り曲げる又は折りたたむことができる程度に可撓性を有している。また、芯材11は、複数の断面円形状の炭素繊維束(炭素繊維原糸)が開繊によって全体的に非常に薄く略均一に広げられ、扁平状に加工されてなる。具体的には、およそ幅W1(50mm)で厚さt1(0.07mm)からなる矩形断面の範囲内に、直径約5〜7μmの炭素繊維が約30000本、適度にばらけて配されている。なお、
図2は補強用テープ1の断面構造を説明するための図であるので、その炭素繊維の本数とは一致していない。
【0014】
また、芯材11を構成する炭素繊維はPAN系炭素繊維である。そして、芯材11を構成する炭素繊維の弾性率は230GPaであり、芯材11を構成する炭素繊維の引張強度は4900MPaである。
【0015】
なお、芯材11の幅および厚さ、ならびに芯材11に含まれる炭素繊維の数および直径は、第1実施形態に限られず、補強対象の引張強度などに応じて適宜に設定することができる。また、芯材11を構成する炭素繊維の引張強度も特に限定されず、補強対象の引張強度などに応じて適宜に設定することができる。また、芯材11を構成する炭素繊維の弾性率も特に限定されないが、複数本の炭素繊維が芯材11を構成した際に、芯材11を全体で折り曲げるまたは折りたたむことができる範囲で設定されることが望ましい。また、芯材11を構成する炭素繊維の種別はPAN系炭素繊維に限られず、ピッチ系炭素繊維であってもよい。また、芯材11を構成する炭素繊維は、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維の混合であってもよい。また、芯材11を構成する炭素繊維は、弾性率や引張強度の異なるものの混合であってもよい。
【0016】
芯材11を構成する多くの炭素繊維間には隙間が十分に形成されている。換言すれば、芯材11の内部には、空隙部が十分に形成されている。この空隙部にマトリックス樹脂12が含浸(浸透)している。
【0017】
マトリックス樹脂12は、可塑性剤を含む酢酸ビニル樹脂エマルジョン型の木工用接着剤で構成されている。マトリックス樹脂12の弾性率は、0.01GPaであり、芯材11を構成する炭素繊維の弾性率よりも低く、さらには、エポキシ樹脂等の一般に使用される炭素繊維強化プラスチック用の樹脂の弾性率よりも低い。なお、マトリックス樹脂12を構成する材料は、エポキシ樹脂等の一般に使用される炭素繊維強化プラスチック用の樹脂の弾性率よりも低い弾性率の材料であれば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン型の木工用接着剤に限られない。また、マトリックス樹脂12を構成する材料は、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂などの常温硬化性樹脂および熱硬化性樹脂やポリエチレン、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂でもよい。
【0018】
図2に示すように、芯材11を構成する多くの炭素繊維間(内部)には十分な隙間(空隙部)が形成されている。そのため、マトリックス樹脂12は芯材11に十分に含浸している。逆説的に言えば、芯材11は、マトリックス樹脂12を十分に含浸(浸透)させるための空隙部を有し、マトリックス樹脂12を内部全体に容易に且つ十分に含浸(浸透)させることができる程度の樹脂浸透性を有している。よって、複数本の炭素繊維からなる芯材11とマトリックス樹脂12とが確実に複合化されている。なお、マトリックス樹脂12の樹脂浸透性については、刷毛やローラーなどの道具を用いて芯材11の内部全体にマトリックス樹脂12を容易に且つ十分に浸透させるのではなく、芯材11の上側からマトリックス樹脂12を垂らした後、マトリックス樹脂12が、自重や毛管現象により自然と芯材11の内部全体に染み込むように、容易に且つ十分に浸透することができる程度の樹脂浸透性を有することが好ましい。
【0019】
また、マトリックス樹脂12の弾性率は、エポキシ樹脂等の一般に使用される炭素繊維強化プラスチック用の樹脂の弾性率よりも低い。よって、芯材11とマトリックス樹脂12とからなる補強用テープ1は、数万本単位で固く結合して一体化される一般的な炭素繊維強化プラスチックとしてではなく、可撓性を持つ低弾性率樹脂により緩やかに結合された一本一本の炭素繊維の集合体として、芯材11と同様な取り扱い性が維持される。ここで、芯材11を構成する炭素繊維の弾性率は230GPaと非常に高いが、炭素繊維一本一本の直径が約5〜7μmと非常に細く、芯材11の厚さ全体が非常に薄いため、芯材11は、全体で容易に折り曲げる又は折りたたむことができる程度の可撓性を有し、非常に柔らかい。そのため、補強用テープ1も、全体で容易に折り曲げること又は折りたたむことが可能であり、非常に柔らかい。よって、補強用テープ1を、平面だけでなく、曲面にも貼り付けることができる。すなわち、補強用テープ1によって曲面部の補強を行うことができる。また、補強用テープ1の柔軟性により、
図1に示すように、補強用テープ1を巻き取って円盤状の状態で保持することができるので、補強用テープ1の長尺化を図ることができる。そのため、補強箇所が数メートルに及ぶ場合であっても、1枚の補強用テープ1で補強することができる。さらに、補強用テープ1を円盤状で保持することができるので、保管および運搬などが容易である。また、補強用テープ1は非常に薄くて柔らかいので、はさみやカッターなどの工具で容易に切断することができる。
【0020】
なお、補強用テープ1の厚さt1は0.07mmであり、目付量は40g/m
2であるが、この値に限定されず、適宜に設定することができる。しかしながら、補強用テープ1の補強材としての機能を発揮しつつ、補強用テープ1の可撓性を確保(柔軟性を高める)ために、さらには、マトリックス樹脂12を芯材11に十分に含浸させるために、補強用テープ1の厚さt1が0.03〜0.4mmであり、目付量が15〜260g/m
2であることが望ましい。さらに、補強用テープ1の厚さt1が0.05〜0.2mmであり、目付量が30〜130g/m
2であることがより望ましい。補強用テープ1の柔軟性が増し、取り扱い性および汎用性が高まるからである。また、マトリックス樹脂12の弾性率も0.01GPaに限られず、芯材11より低い範囲または高い範囲で適宜に設定することができる。しかしながら、マトリックス樹脂12の弾性率は、芯材11を構成する一本一本の炭素繊維を一体化させる機能を果たしつつ、補強用テープ1の可撓性を確保する(柔軟性を高める)ために、炭素繊維の弾性率の伝達を軽減または阻止をすることができる範囲であることが望ましい。具体的には、マトリックス樹脂12の弾性率は0.005〜5GPaであることが望ましい。さらに、マトリックス樹脂12の弾性率は0.005〜0.2GPaであることが望ましい。さらに、マトリックス樹脂12の弾性率は0.005〜0.02GPaであることが望ましい。また、芯材11に含まれる炭素繊維の直径も、約5〜7μmに限られず、補強材としての機能を果たしつつ、補強用テープ1の可撓性を確保する(柔軟性を高める)ことができる範囲で、適宜に設定することができる。
【0021】
次に、
図1に示す補強用テープ1を用いた補強方法(補強用テープ1の使用例・用途)について説明する。例えば、
図3(A)に示すように、成形合板により複数枚の突板が積層されてなる椅子100の背面の座101から背102にかけて、約40cmに切断した2本の補強用テープ1を、所定間隔(例えば、15cm)をおいて平行に、マトリックス樹脂12と同一の木工用接着剤で貼り付ける。補強用テープ1を椅子100に貼り付ける接着剤と、補強用テープ1のマトリックス樹脂12とが同一の木工用接着剤で構成されているので、補強用テープ1と椅子100との接着強度の低下を抑えることができる。
【0022】
このように、使用時(人が座ったときに)に椅子100に発生する引張荷重の方向と、補強用テープ1の長手方向とが平行になる状態で補強用テープ1が椅子100に貼り付けられると、補強用テープ1には、繊維方向がその長手方向に揃った複数の炭素繊維が含まれているので、椅子100の引張強度が向上し、椅子100の引張荷重に対する補強が施されたことになる。
【0023】
ここで、
図3(B)に示すように、座101を固定し、背102の前面側から後方へ荷重を与え、椅子100に引張荷重を発生させる実験を行ったところ、
図4に示すように、座101の固定されていた箇所の近傍(
図4における破断線103)が破断した。なお、補強用テープ1で補強されていない通常の椅子100が同様に実験されると、一般的には、座101と背102との境界である屈曲した脆弱部分(
図4の2点鎖線104で示す部分)辺りが破断する。すなわち、補強用テープ1によって、座101と背102との境界である屈曲した脆弱部分が補強されていたということができる。補強用テープ1が非常に柔らかいので、補強用テープ1を、座101と背102との境界である屈曲した脆弱部分の曲面に沿って座101から背102にわたって貼り付けることができる。その結果、椅子100の引張強度が向上するので、椅子100の厚みを薄くし、椅子100の軽量化を図ると共、デザイン性を高めることができる。
【0024】
なお、
図3では、補強用テープ1を椅子100の背面に木工用接着剤で貼り付けて引張強度を補強しているが、椅子100において積層されている突板の間で両突板に木工用接着剤で貼り付けて引張強度を補強することもできる。また、椅子100を補強する場合の補強用テープ1の長さおよび本数、設置箇所も
図3の例に限られない。
【0025】
次に、
図1に示す補強用テープ1を用いた補強方法(補強用テープ1の使用例・用途)の別の例について説明する。
図5に示すように、補強用テープ1を襖の木製の組子200に貼り付けて補強することができる。具体的には、約1mに切断した2本の補強用テープ1を、組子200の一方の面の上部および下部に斜め且つ平行に、マトリックス樹脂12と同一の木工用接着剤で貼り付ける。そして、他方の面にも同様に、言い換えれば、正面視で一方の面の補強用テープ1とクロスするように、約1mの長さで切断された2本の補強用テープ1を、他方の面の上部および下部に斜め且つ平行に、マトリックス樹脂12と同一の木工用接着剤で貼り付ける。この結果、補強用テープ1が筋交いの役割を果たすので、組子200の剪断変形に対する強度が向上し、組子200の剪断変形に対する補強が施されたことになる。そして、補強用テープ1により補強された組子200を備えた襖が、例えば、家、寺および旅館などの建造物の矩形状の開口部に設置されることにより、当該開口部が補強される。すなわち、補強用テープ1により補強された組子200を備えた襖は、建造物に対する耐震用の補強材としての機能も果たす。なお、補強用テープ1は非常に柔らかいので、それ単体では座屈が生じるという問題があるが、補強用テープ1を組子200に接着させて複合化することで座屈の問題が解消される。
【0026】
なお、組子200を補強する場合の補強用テープ1の長さおよび本数、設置箇所も
図5の例に限られない。
【0027】
このように、補強用テープ1は、非常に薄く、可撓性および樹脂浸透性を有する芯材11と芯材11に含浸する低弾性率のマトリックス樹脂12とからなるので、柔軟性を有する結果、補強用テープ1の取り扱い性および汎用性が高まる。また、補強用テープ1を、マトリックス樹脂12と同一の木工用接着剤で補強対象物の補強箇所に貼り付けるだけで補強対象物を補強することができるので、当該補強用テープ1を用いて補強対象物を補強する方法(補強用テープ1を用いた補強方法)の作業性が高まる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る補強用テープ2について説明する。補強用テープ2は、帯状であり、薄くて柔軟性に富んでいる。そのため、
図6に示すように、数m〜数十mに長尺化された補強用テープ2を巻き取って円盤状の状態で保管・運搬することができる。
【0029】
図7は、
図6のB−B断面図である。
図7に示すように、補強用テープ2は、繊維方向が長手方向に揃って配された複数本の炭素繊維からなる芯材21と、芯材21に含浸しているマトリックス樹脂22と、芯材21に積層している粘着剤23と、粘着剤23を保護する剥離シート24と、を備えている。
【0030】
芯材21およびマトリックス樹脂22の材料、形状、大きさ(幅や厚さ)および機械的特性(弾性率・引張強度など)は、実施形態1の補強用テープ1の芯材11およびマトリックス樹脂12と同一であるので、説明を省略する。
【0031】
粘着剤23は、アクリル系粘着剤からなる。粘着剤23の弾性率は、芯材21を構成する炭素繊維の弾性率よりも非常に低い。また粘着剤23の厚さは、芯材21の厚さに比べて非常に薄い。なお、粘着剤23を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤に限られず、補強対象物に応じて、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、および、ウレタン系粘着剤など適宜に変更してもよい。また、粘着剤23は、エポキシ樹脂等の一般に使用される炭素繊維強化プラスチック用の樹脂の弾性率よりも低い弾性率の材料であることが望ましい。補強用テープ2の柔軟性を確保し、補強用テープ2の取り扱い性および汎用性を高めるためである。
【0032】
剥離シート24は、巻き取ることが非常に容易な程度に柔らかいシリコーンタイプの剥離フィルムで構成されている。しかしながら、剥離シート24を構成する材料は、シリコーンタイプの剥離フィルムに限られず、紙からなる剥離紙などであってもよい。なお、剥離シート24を構成する材料は、非常に容易に巻き取って円盤状の状態で保持できる程度の柔軟性(弾性率)を有することが望ましい。補強用テープ2を円盤状の状態で保管および運搬することで、補強用テープ2の取り扱い性および汎用性を高めるためである。
【0033】
補強用テープ2は、補強用テープ1の芯材11およびマトリックス樹脂12と同じ芯材21およびマトリックス樹脂22に加えて、粘着剤23および剥離シート24を備えている。そして、粘着剤23は芯材21よりも非常に薄く、芯材21よりも低弾性率のアクリル系粘着剤で構成されている。また、剥離シート24は、巻き取ることが非常に容易な程度に柔らかいシリコーンタイプの剥離フィルムで構成されている。よって、補強用テープ2は、全体的に薄くて柔軟性を有する。そのため、
図6に示すように、巻き取って円盤状の状態で保持することができる。その結果、補強用テープ2の長尺化を図ることができると共に、補強用テープ2の保管および運搬などが容易である。また、補強用テープ2は、非常に薄くて柔らかいので、はさみやカッターなどの工具で容易に切断することができる。さらに、補強用テープ2には粘着剤23が含まれているので、補強対象物への貼り付けが容易である。
【0034】
次に、
図6に示す補強用テープ2を用いた補強方法(補強用テープ2の使用例・用途)について説明する。
図8に示すように、約1mの長さで切断されて剥離シート24が剥がされた2本の補強用テープ2を、矩形状の合板300の両面に、双方の対角同士を結ぶように斜め方向にクロスして粘着剤23で貼り付ける。この結果、剥離シート24が剥がされた補強用テープ2が筋交いの役割を果たすので、合板300の剪断変形に対する強度が向上し、合板300の剪断変形に対する補強が施されたことになる。なお、剥離シート24が剥がされた補強用テープ2は非常に柔らかいので、それ単体では座屈が生じるという問題があるが、剥離シート24が剥がされた補強用テープ2を合板300に接着させて複合化することで座屈の問題が解消される。
【0035】
なお、合板300を補強する場合の剥離シート24が剥がされた補強用テープ2の長さおよび本数、設置箇所も
図8の例に限られない。
【0036】
次に、
図6に示す補強用テープ2を用いた補強方法(補強用テープ2の使用例・用途)の別の例について説明する。例えば、自動車の車体などの部材として、プレス加工される金属製の平板の板厚は、最も荷重を受ける部分に応じた厚さに統一される。そこで、この金属製の平板の最も荷重を受ける部分などに、所定の長さで切断されて剥離シート24が剥がされた補強用テープ2を、粘着剤23で貼り付けて、金属製の平板の引張強度を補強することができる。この結果、金属製の平板の厚さを薄くして、自動車の車体の軽量化を図ることができる。なお、補強用テープ2の補強対象物となる平板は、プレス加工される金属製に限られず、プレス加工される熱可塑性炭素繊維樹脂などであってもよい。
【0037】
このように、補強用テープ2は、非常に薄く、可撓性および樹脂浸透性を有する芯材21と低弾性率のマトリックス樹脂22および粘着剤23と非常に柔らかい剥離シート24とからなるので、柔軟性を有する結果、補強用テープ2の取り扱い性および汎用性が高まる。また、剥離シート24が剥がされた補強用テープ2は、接着剤などを用いることなく、粘着剤23で補強対象物に貼り付けることができるので、補強対象物への貼り付け作業が容易である。また、補強用テープ2を粘着剤23で補強対象物の補強箇所に貼り付けるだけで補強対象物を補強することができるので、当該補強用テープ2を用いて補強対象物を補強する方法(補強用テープ2を用いた補強方法)の作業性が高まる。
【0038】
(その他の実施形態)
補強用テープ1、2を貼り付ける対象、すなわち、補強用テープ1、2の補強対象は、第1実施形態および第2実施形態に限られない。例えば、椅子以外の家具(例えば、机など)、襖の組子や合板以外の建具(例えば、床や窓枠など)、自動車以外の乗り物(例えば、自転車、オートバイ、飛行機、および、船舶など)を補強用テープ1、2の補強対象にすることができる。また、家具、建具、および、乗り物以外の楽器などを補強用テープ1、2の補強対象とすることもできる。この場合、補強用テープ1、2を貼り付ける箇所に応じて、補強用テープ1、2の幅を適宜に設計することが望ましい。また、補強用テープ1、2を貼り付ける対象に発生し得る最大荷重(補強用テープ1、2の補強対象の設計荷重)に応じて、芯材11、21の厚さ、すなわち、補強用テープ1、2に含まれる炭素繊維の量(本数)を適宜に調整することが望ましい。すなわち、補強用テープ1、2の幅や厚さも第1実施形態および第2実施形態に限られない。
【0039】
なお、補強用テープ1、2の補強対象の設計荷重が非常に大きくなった場合、補強用テープ1、2の厚さを厚くするのではなく、補強用テープ1、2を必要な分だけ重ねて貼り付けることで、補強用テープ1、2の補強対象の補強を行うこともできる。例えば、補強用テープ1、2の厚さを1cmくらいまで厚くすると、補強用テープ1、2の製造過程において、マトリックス樹脂12、22が芯材11、21に十分に含浸できず、補強用テープ1、2の補強材としての機能が低下し、補強用テープ1、2の全体の柔軟性が損なわれて、取り扱い性および汎用性が低下する恐れがあるからである。
【0040】
また、芯材11、21は、複数の炭素繊維束が開繊されてなるが、芯材11、21の生成方法は開繊に限られない。最終的に、マトリックス樹脂12、22を内部全体に容易に且つ十分に浸透させることができる程度の樹脂浸透性を確保できる空隙部が形成されていれば、芯材11、芯材21の生成方法は限定されない。例えば、所定の厚さ且つ所定の空隙率となるよう、炭素繊維(フィラメント)を手作業又は機械などで直接配しても良い。
【0041】
また、第1実施形態では、補強用テープ1を、マトリックス樹脂12と同一の木工用接着剤で椅子100や組子200に貼り付けているが、マトリックス樹脂12と異なる接着剤で補強対象物に貼り付けてもよい。例えば、補強対象物が金属製の平板であれば、マトリックス樹脂12を構成する木工用接着剤とは異なる金属との接着に適した接着剤で補強用テープ1を金属製の平板に貼り付けても良い。また、マトリックス樹脂12が、例えば、ポリアミド樹脂などの木工用接着剤と異なる樹脂で構成されていて、補強用テープ1を椅子100や組子200などの木製部材に貼り付ける場合、木工用接着剤で補強用テープ1を当該木製部材に貼り付けても良い。
【0042】
また、補強用テープ2では、粘着剤23に剥離シート24が積層されているが、剥離シート24が粘着剤23に積層されていない代わりに、芯材21の粘着剤23と反対の表面に、芯材21よりも低弾性率の離型剤を塗布し、補強用テープ2を巻き取って円盤状の状態に保持して保管などすることもできる。
【解決手段】可撓性および樹脂浸透性を有し、繊維方向が長手方向に揃って配された複数本の炭素繊維からなる帯状の芯材11、21と、芯材11、21に含浸し、芯材11、21より低弾性率のマトリックス樹脂12、22と、を備える。マトリックス樹脂12、22は、熱硬化性樹脂、または、熱可塑性樹脂からなる。さらに、補強用テープ1、2の目付量は、30〜130g/m