特許第6164713号(P6164713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6164713
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/24 20060101AFI20170710BHJP
   G11C 16/26 20060101ALI20170710BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   G11C16/24 110
   G11C16/26
   G11C16/04 170
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-163324(P2016-163324)
(22)【出願日】2016年8月24日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】山内 一貴
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−142087(JP,A)
【文献】 特開2012−138158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/24
G11C 16/26
G11C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体記憶装置の読出し方法であって、
選択ビット線をプリチャージするステップと、
プリチャージされた選択ビット線の電圧または電流をセンスするステップとを含み、
前記プリチャージするステップは、
センスノードを第1の電圧にプリチャージし、
前記センスノードとビット線との間にあるビット線用ノードであって、前記センスノードの第1の電圧に基づき前記ビット線用ノードを第1のクランプ電圧にプリチャージし、
第1のクランプ電圧により選択ビット線をプリチャージした後、前記ビット線用ノードを第1のクランプ電圧よりも大きい第2のクランプ電圧にプリチャージし、
前記センスノードを第1の電圧よりも大きい第2の電圧にプリチャージするステップを含む、読出し方法。
【請求項2】
前記センスノードは、第1のトランジスタを介してプリチャージされ、前記ビット線用ノードは、第2のトランジスタを介してプリチャージされる、請求項1に記載の読出し方法。
【請求項3】
第1のトランジスタのゲートに第1の信号電圧を印加することで第1の電圧を前記センスノードにプリチャージし、第1のトランジスタゲートに第2の信号電圧を印加することで第2の電圧を前記センスノードにプリチャージし、第1の信号電圧よりも第2の信号電圧が大きい、請求項2に記載の読出し方法。
【請求項4】
第2のトランジスタのゲートに第1のクランプ用電圧を印加することで前記ビット線用ノードを第1のクランプ電圧にプリチャージし、第2のトランジスタのゲートに第2のクランプ用電圧を印加することで前記ビット線用ノードを第2のクランプ電圧にプリチャージし、第1のクランプ用電圧よりも第2のクランプ用電圧が大きい、請求項2に記載の読出し方法。
【請求項5】
前記選択ビット線をプリチャージするステップはさらに、
前記ビット線用ノードの第1のクランプ電圧をビット線に結合されたノードにプリチャージすること、および
前記ビット線用ノードの第2のクランプ電圧をビット線に結合されたノードにプリチャージすることを含む、請求項1に記載の読出し方法。
【請求項6】
前記ビット線に結合されたノードは、第3のトランジスタを介してプリチャージされる、請求項5に記載の読出し方法。
【請求項7】
前記選択ビット線をプリチャージするステップはさらに、
前記ビット線に結合されたノードにプリチャージされた電圧に基づき偶数ビット線または奇数ビット線をプリチャージすることを含む、請求項5または6に記載の読出し方法。
【請求項8】
前記偶数ビット線または前記奇数ビット線は、偶数ビット線選択トランジスタまたは奇数ビット線選択トランジスタを介してプリチャージされる、請求項7に記載の読出し方法。
【請求項9】
選択ビット線をプリチャージするとき、前に読み出されたデータの出力が行われる、請求項1ないし8いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項10】
選択ビット線をプリチャージするとき、前に読み出されたデータの出力とECC演算が行われる、請求項1ないし8いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項11】
前記半導体記憶装置は、NAND型フラッシュメモリである、請求項1ないし10いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項12】
複数のメモリセルが形成されたメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイのメモリセルに記憶されたデータを読み出す読出し手段とを有し、
前記読出し手段は、選択ビット線をプリチャージし、プリチャージされた選択ビット線の電圧または電流をセンスするセンス回路を含み、
前記センス回路は、センスノードをプリチャージするためのプリチャージ用トランジスタと、センスノードとビット線との間に接続されたクランプ用トランジスタとを含み、
前記読出し手段は、プリチャージ用トランジスタを介してセンスノードを複数回でプリチャージし、かつクランプ用トランジスタを介して選択ビット線を複数回でプリチャージする、半導体記憶装置。
【請求項13】
前記読出し手段は、プリチャージ用トランジスタを介してセンスノードを第1の電位にプリチャージし、クランプ用トランジスタを介して選択ビット線を第1のクランプ電位にプリチャージし、次いでクランプ用トランジスタを介して選択ビット線を第2のクランプ電位にプリチャージし、プリチャージ用トランジスタを介してセンスノードを第2の電位にプリチャージする、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記読出し手段はさらに、クランプ用トランジスタとビット線との間にビット線選択トランジスタを含み、ビット線選択トランジスタは、クランプ用トランジスタが第1のクランプ電圧を生成した後、第1のクランプ電圧をビット線にプリチャージする、請求項13に記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記読出し手段はさらに、ビット線選択トランジスタに接続された偶数ビット線選択トランジスタおよび奇数ビット線選択トランジスタとを含み、前記ビット線選択トランジスタが導通状態にされた後、偶数ビット線選択トランジスタまたは奇数ビット線選択トランジスタを導通状態にする、請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
半導体記憶装置はさらに、読出されたデータを出力する出力手段と、読み出されたデータの誤り検出・訂正を行うECC手段とを含み、
前記読出し手段は、前記出力手段が読出しデータを出力し、かつECC手段が読出しデータのECC処理をしている間に動作する、請求項12ないし15いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
半導体記憶装置は、NAND型のフラッシュメモリである、請求項12ないし16いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NAND型フラッシュメモリ等の半導体記憶装置の読出しに関し、特にビット線のプリチャージに関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリにおけるページ読出しでは、ページバッファ/センス回路によりビット線をプリチャージし、選択メモリセルの記憶状態に応じてビット線を放電させ、その後ビット線の電位または電流をセンスノードで検出している。微細化によりビット線抵抗が高くなり、また、ページ数の増加によりビット線容量が増加すると、ビット線の充放電に要する時間が長くなり、データの読出しに要する時間がかかってしまう。そこで、特許文献1は、ブロック間にプリチャージ回路を配置することでビット線のプリチャージ時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5631436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NAND型フラッシュメモリにおいて、読出し動作/ベリファイ動作時にビット線電位をセンスする場合、ページバッファ/センス回路によってビット線がプリチャージされる。プリチャージするするビット線は、1ページ分であり、各ビット線は、メモリセルアレイ上の全ブロックを跨ぐため、その寄生容量はかなり大きくなる。さらに、ページバッファ内にもそれぞれ容量が含まれており、これもプリチャージの対象となる。それ故、プリチャージする全体の容量は膨大なものとなる。これらの全容量に対して一斉にプリチャージを開始すると、瞬間的に大電流が流れるため、電源電圧の降下を引き起こす原因となる。特に、低電源電圧のデバイスでは影響が大きく、さらに、オンチップのECCや連続的な読出しを行う場合には、データ出力、ECC演算、およびメモリアレイからの読出しの動作が重複することで電源電圧が降下し、例えば、要求されている速度での読出し不良などの問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決し、ビット線をプリチャージする際のピーク電流を抑制する半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体記憶装置の読出し方法は、選択ビット線をプリチャージするステップと、プリチャージされた選択ビット線の電圧または電流をセンスするステップとを含み、前記プリチャージするステップは、センスノードを第1の電圧にプリチャージし、前記センスノードとビット線との間にあるビット線用ノードであって、前記センスノードの第1の電圧に基づき前記ビット線用ノードを第1のクランプ電圧にプリチャージし、第1のクランプ電圧により選択ビット線をプリチャージした後、前記ビット線用ノードを第1のクランプ電圧よりも大きい第2のクランプ電圧にプリチャージし、前記センスノードを第1の電圧よりも大きい第2の電圧にプリチャージするステップを含む。
【0007】
本発明に係る半導体記憶装置は、複数のメモリセルが形成されたメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイのメモリセルに記憶されたデータを読み出す読出し手段とを有し、前記読出し手段は、選択ビット線をプリチャージし、プリチャージされた選択ビット線の電圧または電流をセンスするセンス回路を含み、前記センス回路は、センスノードをプリチャージするためのプリチャージ用トランジスタと、センスノードとビット線との間に接続されたクランプ用トランジスタとを含み、前記読出し手段は、プリチャージ用トランジスタを介してセンスノードを複数回でプリチャージし、かつクランプ用トランジスタを介して選択ビット線を複数回でプリチャージする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センスノードのプリチャージを複数回に分け、かつビット線へのプリチャージを複数回に分けることで、ビット線をプリチャージする際のピーク電流およびそのノイズを抑制することができる。これにより、電源電圧の降下を未然に防止し、予期しない動作不良を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示す図である。
図2】メモリセルアレイのブロック内のNANDストリングの構成を示す回路図である。
図3】NAND型フラシュメモリの動作時に印加されるバイアス電圧を示すテーブルである。
図4】ページバッファ/センス回路の第1のラッチ回路および第2のラッチ回路の動作を説明する図である。
図5】本実施例に係るフラッシュメモリのセンス回路とビット線選択回路の構成を示す回路図である。
図6】従来の読出し動作時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
図7】本実施例によるプリチャージ時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
図8】従来のプリチャージ方法と本実施例によるプリチャージ方法とのピーク電流ノイズの比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。プリチャージ時の電源電圧の降下を緩和する手法は、電源の配線を分けるなどのレイアウトに関するもの、電流源に抵抗を挿入するなど回路に関するもの等あるが、本実施の形態では、ロジックのシーケンス制御にてこのピーク電流ノイズを軽減する方法を用いる。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示す図である。本実施例のフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続され入出力データを保持する入出力バッファ120と、メモリアレイ110にプログラムするデータやそこから読み出されたデータの誤り検出・訂正を行うECC回路130と、入出力バッファ120からのアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ140と、外部ホスト装置からのコマンドデータや制御信号に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ140から行アドレス情報Axを受け取り、行アドレス情報Axをデコードし、デコード結果に基づきブロックの選択やワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ワード線選択回路160によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページへプログラムするデータを保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ140から列アドレス情報Ayを受け取り、列アドレス情報Ayをデコードし、当該デコード結果に基づきページバッファ/センス回路170内の列の選択等を行う列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0012】
メモリアレイ110は、列方向に配置されたm個のメモリブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのメモリブロックには、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングが複数形成される。NANDストリングは、基板表面に形成された2次元アレイ状であってもよいし、基板表面上に形成された半導体層を利用する3次元アレイ状であってもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するMLCタイプであってもよい。
【0013】
1つのブロックには、図2に示すように、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングNUが複数形成される。図の例では、1つのブロック内にn+1個のストリングユニットNUが行方向に配列されている。ストリングユニットNUは、直列に接続された複数のメモリセル(図の例では64個)と、一方の端部であるメモリセルのドレイン側に接続されたビット線側選択トランジスタと、メモリセルのソース側に接続されたソース線側選択トランジスタとを含む。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのビット線GBLに接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線SLに接続される。
【0014】
図3は、フラッシュメモリの各動作時に印加されるバイアス電圧の一例を示したテーブルである。読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択されたワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、NANDストリングのビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム(書込み)動作では、選択されたワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15〜20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0015】
ECC回路130は、コマンドまたは出荷時の設定等によりイネーブルまたはディスエーブルにすることが可能である。オンチップECC機能がイネーブルされた場合、ECC回路130は、プログラム動作時に入出力バッファ120を介して入力されるプログラムデータがページバッファ/センス回路170にロードされると、ページバッファ/センス回路170から転送されたデータを演算し、誤り訂正符号を生成し、生成した誤り訂正符号をページバッファ/センス回路170のスペア領域に格納する。こうして、ページバッファ/センス回路170にセットされたデータと誤り訂正符号がメモリアレイ110の選択ページにプログラムされる。
【0016】
一方、読出し動作時、メモリアレイ110の選択ページから読み出されたデータがページバッファ/センス回路170に保持されると、ECC回路130は、ページバッファ/センス回路170から転送されたデータおよび誤り訂正符号に基づき読出しデータの誤りの検出を行い、誤りが検出された場合には訂正したデータをページバッファ/センス回路170にセットする。そして、ページバッファ/センス回路170に保持されたデータが入出力バッファ120を介して外部に出力される。
【0017】
次に、ページバッファ/センス回路170に含まれるラッチ回路の詳細について説明する。図4に示すように、ページバッファ/センス回路170は、メモリセルアレイから読み出されたデータを保持したり、メモリセルアレイにプログラムするデータを保持する第1のラッチ回路L1と、第1のラッチ回路L1と双方向のデータ転送が可能である第2のラッチ回路L2とを有する。第1のラッチ回路L1は、1ページ分のデータ(例えば、2KB)を保持することが可能であり、第1のラッチ回路L1は、第1のキャッシュ部分C0(例えば、1KB)と第2のキャッシュ部分C1(例えば、1KB)とを備える。
【0018】
第2のラッチ回路L2も同様に、1ページ分のデータを保持することが可能であり、第1のキャッシュ部分C0と第2のキャッシュ部分C1とを備える。第1のラッチ回路L1および第2のラッチ回路L2のそれぞれの第1のキャッシュ部分C0と第2のキャッシュ部分C1は、それぞれ独立してデータの保持やデータの転送を行うことができる。例えば、第1のラッチ回路L1の第1のキャッシュ部分C0が保持するデータを第2のラッチ回路L2の第1のキャッシュ部分C0に転送したり、第1のラッチ回路L1の第2のキャッシュ部分C1が保持するデータを第2のラッチ回路L2の第2のキャッシュ部分C1に転送することができる。
【0019】
また、第2のラッチ回路L2、ECC回路130、および入出力バッファ120との間には、双方向のデータ転送を行う第1の転送回路132と第2の転送回路134とが設けられる。第1の転送回路132は、第2のラッチ回路L2の第1のキャッシュ部分C0とECC回路130および入出力バッファ120との間でのデータ転送を可能にし、第2の転送回路134は、第2のラッチ回路L2の第2のキャッシュ部分C1とECC回路130および入出力バッファ120との間でのデータ転送を可能にする。
【0020】
第1の転送回路132が第1のキャッシュ部分C0のデータをECC回路130に転送するとき、第2の転送回路134は、第2のキャッシュ部分C1のデータを入出力バッファ120に転送可能であり、これとは反対に、第1の転送回路132が第1のキャッシュ部分C0のデータを入出力バッファ120に転送するとき、第2の転送回路134が第2のキャッシュ部分C1のデータをECC回路130に転送可能である。すなわち、第2のラッチ回路L2の半ページのデータを出力する間に残りの半ページのデータをECC処理することで、ECC済みのページデータを連続的に出力させることができる。さらに連続読出し動作を行う場合には、第2のラッチ回路L2においてデータの出力およびECC処理が行われている期間中に、メモリセルアレイから次のページの読出しが行われ、その読出しデータが第1のラッチ回路L1に保持される。
【0021】
フラッシュメモリ100のシリアルインターフェース機能として、入出力バッファ120は、外部のシリアルクロック信号SCKに同期してシリアル入力およびシリアル出力することができる。シリアル入力またはシリアル出力されるビット幅は、×1、×2、×4、×8など任意である。
【0022】
図5は、偶数ビット線と奇数ビット線の2つのビット線によって共有される1つのページバッファ/センス回路の構成の一例である。ページバッファ/センス回路170は、ビット線上に読み出されたデータを感知したり、あるいはビット線にプログラムすべきデータ「0」または「1」に応じた電圧をセットするセンス回路と、読み出されたデータやプログラムすべきデータを保持するラッチ回路(図4の第1および第2のラッチ回路L1、L2)とを備える。
【0023】
ラッチ回路は、クロスカップリングされた2つのインバータを含み、その一方のノードSLRがセンス回路に接続される。センス回路は、ノードSLRとセンスノードSNSとの間に接続された電荷転送用のトランジスタQ1、センスノードSNSと電圧供給部V2との間に直列に接続されたトランジスタQ2、Q3、ノードSLRとトランジスタQ2のゲートとの間に接続されたトランジスタQ4、電圧供給部V1とセンスノードSNSとの間に接続され、ビット線にプリチャージ電圧等を供給するトランジスタQ5、ビット線の電圧をクランプするためのトランジスタQ6、Q7を含んで構成される。これらトランジスタQ1〜Q7は、NMOSトランジスタである。
【0024】
さらにセンス回路は、ビット線選択回路のノードBLSに接続される。ビット線選択回路は、偶数ビット線GBL_eを選択するためのトランジスタQ8、奇数ビット線GBL_oを選択するためのトランジスタQ9、仮想電源VIRPWRを偶数ビット線GBL_eに接続するためのトランジスタQ10、仮想電源VIRPWRを奇数ビット線GBL_oに接続するためのトランジスタQ11を含んで構成される。これらトランジスタQ8〜Q11は、NMOSトランジスタである。例えば、読出し動作時に、偶数ビット線GBL_eが選択されるとき、トランジスタQ10がオフされ、トランジスタQ11がオンされ、奇数ビット線GBL_oには、仮想電源VIRPWRから0Vが供給され、奇数ビット線GBL_oが選択されるとき、トランジスタQ10がオンされ、トランジスタQ11がオフされ、偶数ビット線GBL_eには仮想電源VIRPWRから0Vが供給され、ビット線シールド読出しが行われる。プログラム動作時には、非選択のビット線には、仮想電源VIRPWRからバイアス電圧が印加され、メモリセル間のFGカップリングが抑制される。
【0025】
次に、一般的な読出し動作について説明する。ここでは、偶数ビット線GBL_eが選択されるものとし、そのときの各部のタイミング波形を図6に示す。時刻t1で、BLPRE信号によりトランジスタQ5がオンされ、センスノードSNSがプリチャージされる。電圧供給部V1は、Vcc(または、Vdd)を供給するため、センスノードSNSがVcc−Vthにプリチャージされる(Vthは、トランジスタQ5のしきい値)。また、信号BLCNがパス電圧(例えば、5V)となり、トランジスタQ7が導通状態となり、センス回路がノードBLSに電気的に結合される。ビット線選択回路では、BLSE信号がパス電圧、BLSO信号がGND、YBLE信号がパス電圧からGND、YBLO信号がパス電圧、仮想電源VIRPWRがGNDとなる。一方、NANDストリングでは、SGD信号がパス電圧となり、ビット線側選択トランジスタがオンされ、選択ワード線に或る正の読出し電圧が印加され、非選択ワード線にパス電圧が印加される。
【0026】
次に、時刻t2―t3の期間、BLCLAMP信号がHレベルとなり、トランジスタQ6が導通し、これにより、センスノードSNSの電荷により偶数ビット線GBL_eがクランプ電圧にプリチャージされる。時刻t1からt3までが、事実上、選択ビット線のプリチャージ期間である。
【0027】
次に、時刻t3―t4の間に、SGS信号がパス電圧となり、ソース線側選択トランジスタがオンし、選択メモリセルの記憶状態に応じて、偶数ビット線GBL_eの電圧が選択的に放電される。つまり、選択メモリセルがデータ「0」を記憶していれば、選択メモリセルがオフであり、偶数ビット線GBL_eの電圧は放電されないが、選択メモリセルがデータ「1」を記憶していれば、選択メモリセルがオンし、偶数ビット線GBL_eの電圧がソース線SLに放電される。時刻t5で、BLPRE信号がGNDになり、トランジスタQ5がオフし、時刻t6―t7の間、BLCLANP信号がHレベルとなり、トランジスタQ6が導通し、センスノードSNSに選択メモリセルのデータが表れる。時刻t8で、SGD信号、SGS信号、選択ワード線、非選択ワード線、BLSE信号がGNDになり、YBLE信号がパス電圧になり、センス期間が終了する。その後、BLCD信号によりトランジスタQ1がオンし、センスノードSNSの電荷がラッチ回路のノードSLRに転送され、そこに保持される。ラッチ回路に保持されたデータは、データラインを介して入出力バッファ120から出力される。
【0028】
SPI機能が搭載されたNANDフラッシュメモリにおいて、連続的なページの読出しを行う場合、上記したように、データを出力しながらECC処理を同時に行い、さらにその間にメモリセルアレイから次のページの読出しが行われる。つまり、3つの動作が同時に行われる。メモリセルアレイからの読出しでは、全ビット線へのプリチャージを必要とするため、負荷が大きく、3つの動作が同時に行われたときに、電源電圧が降下するおそれがある。特にSPI用のNANDフラッシュメモリは、全体のパッド数が少なく、電源用パッドの数も少ない(例えば、1つ)。また、低電源電圧の製品(例えば、1.5V)では、電源電圧が降下すると、トランジスタの駆動能力が低下するため影響が大きい。それ故、例えば、データ出力中に電源電圧が降下すると、出力ドライバも正常の速度で動作できず、外部シリアルクロックSCKに同期したデータの読出しができなくなるおそれがある。
【0029】
本実施例の読出し動作では、ビット線のプリチャージ時のピーク電流によるノイズを削減するため、センスノードへのプリチャージを複数ステップで行い、および/またはビット線へのプリチャージを複数ステップで行う。1つの好ましい例では、コントローラ150は、読出し動作時のプリチャージを従来の2ステップから6ステップに変更し、各ステップを、例えば、100nsサイクルで動作させる。本実施例によるプリチャージ期間は、図6に示す時刻t1〜t3の従来のプリチャージ期間を超えるものではない。図7に、本実施例によるビット線へのプリチャージ時のタイミングチャートを示す。
【0030】
電圧供給部V1にはVccが供給される。本例では、低電源電圧の製品として、1.7Vの電圧が供給されるものとする。時刻t1で、BLPRE信号がGNDからVccに遷移される。トランジスタQ5のしきい値は、例えば、0.7Vである。これにより、センスノードSNSがVcc−Vth(しきい値が0.7Vであれば、センスノードSNSは、1.0V)にプリチャージされる。センスノードSNSには容量が結合されており、例えば、1ページが2KBであれば、全体で2KBのセンスノードSNSの負荷への充電が必要になる。従来は、BLPRE信号にパス電圧(例えば、4.5V)を印加することで、1回の動作でセンスノードSNSをプリチャージするため、一度に大きな電流がセンスノードSNSへ流されるが、本実施例では、センスノードSNSのプリチャージを複数回(例えば、2段階)で行い、センスノードSNSに一度に大きな電流が流れないようにする。
【0031】
時刻t2で、BLCLAMP信号がGNDからトランジスタQ6をオンさせる電圧に遷移される。このゲート電圧は、例えば、ノードTOBLの電位がセンスノードSNSの電位よりも小さい電圧であり、センスノードSNSが1.0Vであれば、例えば、BLCLAMP信号は、0.8V+Vthである(このVthは、トランジスタQ6のしきい値であり、Vthが0.7Vであれば、BLCLAMP信号は、1.5Vである)。なお、便宜上、時刻t2のときのノードTOBLの電圧を「VCLAMP2」と称する。
【0032】
従来の読出しでは、図6の時刻t2で、BLCLAMP信号が一気にHレベルに遷移し、トランジスタQ6がオンすることで(このとき、BLCN信号はHレベルであり、トランジスタQ7はオン状態である)、選択ビット線の全てに電流が流れて一度でプリチャージされるため、非常に大きな電流がビット線に流れることになる。本実施例では、トランジスタQ6のクランプ動作は、複数回、好ましくはセンスノードSNSへのプリチャージ回数と等しい回数で行うことで、選択ビット線へ流れる電流が複数に分割される。
【0033】
時刻t3で、BLCN信号がGNDからVccよりも高い電圧に遷移し、トランジスタQ7がオンされる。例えば、BLCN信号は5Vである。このようなVccよりも高い電圧は、内部電圧発生回路190により生成される。トランジスタQ7が強くオンすることで、ノードBLSは、ノードTOBLとほぼ等しいVCLAMP2にプリチャージされる(例えば、0.8V)。
【0034】
時刻t4で、BLSE信号がGNDからVccよりも高い電圧に遷移し、トランジスタQ8がオンされる。例えば、BLSE信号は5Vである。なお、トランジスタQ7〜Q11は、トランジスタQ5、Q6よりも高耐圧のトランジスタから構成されるようにしてもよい。トランジスタQ8がオンすることで、ノードBLSが選択ビット線GBL_eに接続され、選択ビット線GBL_eは、ノードBLSと等しいVCLAMP2(例えば、0.8V)にプリチャージされる。
【0035】
次に、時刻t5で、BLCLAMP信号が、ノードTOBLにVCLAMP1(VCLAMP1>VCLAMP2)を生成するような電圧レベルに遷移される。例えば、VCLAMP1が1.2Vであるとき、BLCLAMP信号は、1.2V+Vth(Vthが0.7Vであれば、1.9V)に遷移される。このとき、センスノードSNSのプリチャージ電位Vcc−VthがトランジスタQ6を介して、ノードTOBL、ノードBLS、および選択ビット線GBL_eに供給され、全体がVcc−Vth(1.0V)にプリチャージされる。
【0036】
時刻t6で、BLPRE信号がVccよりも高い電圧(例えば、4V)に遷移され、トランジスタQ5が強くオンされる。この結果、センスノードSNSにはターゲットであるVccがプリチャージされる。これにより、最終的にノードTOBLから選択ビット線GBL_eがターゲットである1.2V(VCLAMP1)にプリチャージされる。
【0037】
図8(A)は、Vccが2.0Vであるとき、従来の2段階でプリチャージを行ったときの電流波形を示している。電流ピークは、約54.6mAである。他方、図8(B)は、本実施例の6段階でプリチャージを行ったときの電流波形であり、電流ピークは、約36.4mAであり、従来よりもピーク電流値を約18.2mAだけ減少させることができる。
【0038】
このように本実施例では、センスノードへのプリチャージを複数に分割して行い、および/または選択ビット線へのプリチャージを複数に分割して行うことで、ビット線をプリチャージする際のピーク電流を減らすことができる。特に、SPI機能に対応するフラッシュメモリにおいて連続読出しが行われるとき、出力ドライバによるデータ出力、ECCによる演算、およびメモリセルアレイからの読出しが重複するため、ビット線へのプリチャージ電流のピークを減少させることは、電源電圧の降下を未然に防ぐことになる。
【0039】
なお、上記実施例は、SPI機能を搭載するNAND型フラッシュを例示したが、本発明は、SPI機能を搭載しない通常のNAND型フラッシュメモリあるいはNOR型フラッシュメモリにも適用することができる。要するに、読出し動作の際にビット線をプリチャージするようなメモリに適用することができる。さらに、センス回路は、ビット線をプリチャージするものであれば、電圧検出型または電流検出型のいずれであってもよい。
【0040】
さらに上記実施例では、ビット線へのプリチャージを6ステップで行ったが、例えば、奇数ページまたは偶数ページを交互に読み出す例を示したが、オールビット線の読出しであれば、BLSE信号またはBLSO信号の読出しステップは不要である。
【0041】
以上のように本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
100:フラッシュメモリ 110:入出力バッファ
120:アドレスレジスタ 130:ECC回路
140:アドレスレジスタ 150:コントローラ
160:ワード線選択回路 170:ページバッファ/センス回路
180:列選択回路 190:内部電圧発生回路
【要約】      (修正有)
【課題】ビット線をプリチャージする際のピーク電流を抑制する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】フラッシュメモリの読出し方法は、選択ビット線をプリチャージするステップと、プリチャージされた選択ビット線の電圧または電流をセンスするステップとを含む。プリチャージするステップは、時刻t1でセンスノードSNSをVcc−Vth(VccはV1に供給される電圧、VthはQ6のしきい値)にプリチャージし、時刻t2でノードTOBLを電圧VCLAMP2にプリチャージし、時刻t5でノードTOBLをVCLAMP2より大きいVCLAMP1にプリチャージし、時刻t6でセンスノードSNSをVccにプリチャージする。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8