特許第6164783号(P6164783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6164783
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-75180(P2016-75180)
(22)【出願日】2016年4月4日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100188226
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 俊達
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】成實 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】相坂 昌範
(72)【発明者】
【氏名】伊東 秀城
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小林 葵
(72)【発明者】
【氏名】野原 修平
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−174911(JP,A)
【文献】 特開2009−198(JP,A)
【文献】 特開2005−143561(JP,A)
【文献】 特開平10−94669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を用いて遊技が行われ、その遊技の進行状況に応じて遊技媒体が媒体貯留皿に払い出される遊技機において、
前記媒体貯留皿とは別に設けられ、遊技者が遊技媒体を投入可能な媒体受容部と、
前記媒体受容部に、予め定められた所定量以上の遊技媒体が投入されたことに起因して、前記遊技の続行が不可能な遊技中断状態とする遊技中断手段と、
前記遊技中断状態を解除するための解除条件を遊技者が任意に設定可能な解除条件設定手段と、を備える遊技機。
【請求項2】
前記遊技の進行状況に応じて演出が行われる表示画面と、
前記遊技中断状態のときに、前記表示画面に前記遊技中断状態中であることを示唆する中断示唆画面を表示する中断示唆手段を備える請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記解除条件設定手段は、前記媒体受容部に、前記所定量以上の遊技媒体が投入されたときに作動し、
前記遊技中断手段は、前記解除条件設定手段において前記解除条件が設定されたときに、前記遊技中断状態とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記解除条件設定手段は、前記媒体受容部に予め定められた上限量より多く遊技媒体が投入されたときには作動を中止する請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記解除条件設定手段において設定された前記解除条件が成立すると、前記遊技中断状態を解除すると共に、前記媒体受容部に投入された遊技媒体を前記媒体貯留皿に移動させる請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記遊技中断状態の開始から予め定められた所定時間が経過すると、前記遊技中断状態を自動的に解除する自動解除手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、遊技が行われていないときに客待ち状態となるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−112167号公報(段落[0121])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機においては、遊技者が一時的に離れたときに、客待ち状態となり、他の遊技者がその遊技機で遊技を始めてしまうというトラブルが起こり得る。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、遊技者同士のトラブルの発生を防止することが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、遊技媒体を用いて遊技が行われ、その遊技の進行状況に応じて遊技媒体が媒体貯留皿に払い出される遊技機において、前記媒体貯留皿とは別に設けられ、遊技者が遊技媒体を投入可能な媒体受容部と、前記媒体受容部に、予め定められた所定量以上の遊技媒体が投入されたことに起因して、前記遊技の続行が不可能な遊技中断状態とする遊技中断手段と、前記遊技中断状態を解除するための解除条件を遊技者が任意に設定可能な解除条件設定手段と、を備える遊技機である。
【0007】
請求項2の発明は、前記遊技の進行状況に応じて演出が行われる表示画面と、前記遊技中断状態のときに、前記表示画面に前記遊技中断状態中であることを示唆する中断示唆画面を表示する中断示唆手段を備える請求項1に記載の遊技機である。
【0008】
請求項3の発明は、前記解除条件設定手段は、前記媒体受容部に、前記所定量以上の遊技媒体が投入されたときに作動し、前記遊技中断手段は、前記解除条件設定手段において前記解除条件が設定されたときに、前記遊技中断状態とする請求項1又は2に記載の遊技機である。
【0009】
請求項4の発明は、前記解除条件設定手段は、前記媒体受容部に予め定められた上限量より多く遊技媒体が投入されたときには作動を中止する請求項3に記載の遊技機である。
【0010】
請求項5の発明は、前記解除条件設定手段において設定された前記解除条件が成立すると、前記遊技中断状態を解除すると共に、前記媒体受容部に投入された遊技媒体を前記媒体貯留皿に移動させる請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の遊技機である。
【0011】
請求項6の発明は、前記遊技中断状態の開始から予め定められた所定時間が経過すると、前記遊技中断状態を自動的に解除する自動解除手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0012】
[請求項1の発明]
請求項1の遊技機によれば、遊技者が媒体受容部に予め定められた所定量以上の遊技媒体を投入することに起因して遊技の続行が不可能な遊技中断状態となり、その遊技中断状態を解除するための解除条件を遊技者が任意に設定可能となっているので、解除条件を設定した遊技者以外の遊技者がその遊技機で遊技を行うことが防止されるため、遊技者同士のトラブルの発生を防止することが可能となる。
【0013】
[請求項2の発明]
請求項2の遊技機によれば、遊技中断状態であることを他の遊技者に認識させることが可能となり、遊技者同士のトラブルの発生をより防止することが可能となる。
【0014】
[請求項3の発明]
遊技機を遊技中断状態にするのは、所定量以上の遊技媒体が投入されたときであってもよいし、請求項3の発明のように、解除条件が設定されたときであってもよい。請求項3の発明によれば、解除条件を設定しないと遊技中断状態にならないことから、解除条件の設定忘れを抑制することが可能となる。
【0015】
[請求項4の発明]
請求項4の発明のように、解除条件設定手段を、媒体受容部に所定量以上の遊技媒体が投入されたときに作動し、上限量より多い遊技媒体が投入されたときに作動を中止する構成、つまり、解除条件設定手段を作動するために投入される遊技媒体の量に範囲がある構成としてもよい。
【0016】
[請求項5の発明]
請求項5の遊技機によれば、遊技中断状態が解除されると、媒体受容部に投入された遊技媒体が媒体貯留皿に返還されるので、その遊技媒体を用いてさらに遊技を行うことが可能となる。また、この中断方法により遊技媒体が減少することがないので、遊技者は気軽にこの中断方法を利用することが可能となる。
【0017】
[請求項6の発明]
請求項6の遊技機によれば、所定時間が経過すると遊技中断状態が自動的に解除されるので、例えば、遊技者が遊技機を遊技中断状態にしたまま帰ってしまったときなどに、その遊技機が遊技中断状態のままとなってしまうことを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図
図2】パチンコ遊技機の斜視図
図3】扉を開放したパチンコ遊技機の斜視図
図4】遊技機本体の下部の斜視図
図5】操作ノブの断面図
図6】(A)パスワード設定画面の概念図、(B)中断示唆画面の概念図
図7】遊技機の電気的な構成を示したブロック図
図8】主制御基板メインプログラムのフローチャート
図9】サブ制御基板メインプログラムのフローチャート
図10】受信割込処理のフローチャート
図11】2ms割込処理のフローチャート
図12】10ms割込処理のフローチャート
図13】遊技中断処理のフローチャート
図14】(A)第2実施形態に係るメッセージの概念図、(B)第2実施形態に係る中断示唆画面の概念図
図15】(A)第2実施形態に係る中断示唆画面の概念図、(B)第2実施形態に遊技の再開を示唆するメッセージの概念図
図16】第2実施形態に係る遊技中断処理のフローチャート
図17】第2実施形態に係る遊技中断処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る一実施形態を図1図13に基づいて説明する。図1に示した本発明の「遊技機」としてのパチンコ遊技機10は、遊技盤11が嵌め込まれた遊技機本体30の前面に扉31を備えてなり、その扉31に形成された窓31Wを通して遊技盤11の遊技領域R1が視認可能になっている。
【0020】
図1に示すように、遊技領域R1の中央には、液晶モジュールで構成された表示装置13が設けられていて、表示装置13の下方には、第1と第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。第1の始動入賞口14Aの左側には、一般入賞口20が複数設けられている。
【0021】
各始動入賞口14A,14Bに遊技球(本発明の「遊技媒体」に相当する)が入球すると当否判定が行われる。当否判定の結果は、表示装置13の表示画面13Gにおいてその結果に基づいた演出と共に表示される。また、大入賞口15は、通常は、可動扉15Tで閉塞されて遊技球が入球困難な状態になっていて、上記当否判定の結果が当りとなったときに開放されて遊技球が入球可能な状態となる。各入賞口14A,14B,15,20に遊技球が入球すると、予め定められた所定数の遊技球(賞球)が後述する上皿27に払い出される。また、各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。なお、当否判定が行われない期間が所定時間継続すると、パチンコ遊技機10は客待ち状態となり、表示画面13Gに客待ち画面が表示される。
【0022】
図2に示すように、扉31のうち窓31Wの下方には、本発明の「媒体貯留皿」に相当する上皿27と、下皿28と、が上下2段にして設けられている。これら上皿27及び下皿28は、パチンコ遊技機10の前方に膨出している。上皿27の右側方には球抜きボタン22が設けられていて、この球抜きボタン22を押下すると、上皿27から下皿28に遊技球が移動する。
【0023】
下皿28の底部には、図示しない球排出口が貫通形成されており、その球排出口が常には、シャッター部材23によって塞がれている。シャッター部材23を水平にスライドさせて球排出口を開放すると、遊技球を下皿28の下方に排出することができる。
【0024】
パチンコ遊技機10の前面における右下角部には操作ノブ24が備えられていて、この操作ノブ24を回動操作すると、上皿27に貯留された遊技球が1球ずつ遊技領域R1に向かって弾き出される。
【0025】
詳細には、図3に示すように、遊技機本体30のうち遊技盤11の下方に、遊技球を発射するための発射機構ユニット34が設けられている。発射機構ユニット34は、図4に示すように、板金製の台盤51に、発射球供給装置40、発射レール52、打撃槌53等の種々の部品を組み付けてなり、操作ノブ24を回動操作すると、上皿27に貯留された遊技球が、発射球供給装置40によって発射レール52に1球ずつ供給され、発射レール52上の遊技球が打撃槌53によって遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0026】
発射球供給装置40は、遊技球が1球ずつ通過可能な発射球通過路47と、発射球通過路47の終端の発射球供給孔45を開閉可能な球送りレバー(図示せず)と、を有している。発射球供給装置40は、上皿27と発射レール52との間に配されていて、上皿27から発射球通過路47内に取り込んだ遊技球を球送りレバーの開閉により1球ずつ発射レール52に供給する。発射球供給装置40から発射レール52上に供給された遊技球は、発射レール52の下端部の打撃口52Wに配される。
【0027】
打撃槌53は、台盤51を前後方向に貫通した回転軸53Jによって回動可能に支持されていて、台盤51の後方の発射モータ及び弾発エレメント(図示せず)と連結している。弾発エレメントは、操作ノブ24と連結されており、操作ノブ24に対する回動操作量に応じて、打撃槌53による遊技球の打撃強度を変更することが可能となっている。また、発射モータは、操作ノブ24に触れることで作動し、単位時間当たりに所定数(例えば、1分間に100個)の遊技球を打ち出すように一定速度で回転する。
【0028】
即ち、操作ノブ24を回動操作すると、発射モータの駆動力を受けて打撃槌53が後退位置から打撃位置に向かって(時計回り方向に)回動して、打撃槌53の先端部53Cが打撃口52Wに突入する。すると、打撃口52Wにセットされた遊技球が先端部53Cによって弾かれて、発射レール52に沿って斜め上方に打ち出される。なお、発射球供給装置40の球送りレバーの回動動作は、打撃槌53の打撃動作と連動しており、打撃槌53が往復回動して遊技球を1つ打ち出すごとに、発射球供給装置40は発射レール52上に遊技球を1つ供給する。
【0029】
さて、図2及び図5に示すように、操作ノブ24は、扉31の右下角部に設けられたノブ土台25に回動シャフト24Jを介して回動可能に固定されている。ここで、本実施形態では、ノブ土台25に、図示しないソレノイドにより前後方向に直動可能な中断用バー26が設けられていると共に、操作ノブ24の裏面に、中断用バー26を受容可能なバー受容孔24Nが形成されている。そして、操作ノブ24のバー受容孔24Nにノブ土台25の中断用バー26が受容されると、操作ノブ24が回動不可能となる。この状態が本発明の遊技中断状態に相当する。
【0030】
パチンコ遊技機10には、中断用バー26を作動させるための球受容部32(本発明の「媒体受容部」に相当する)が設けられている。詳細には、図1及び図2に示すように、球受容部32は、扉31の左辺下部に配され、パチンコ遊技機10の前方に膨出している。球受容部32の内部は遊技球を150球程収容可能な収容部32Aとなっていて、球受容部32の上面には、遊技球を収容部32Aに投入可能な投入口32Kが形成されている。球受容部32は、収容部32A内の重量を検出する重量センサ32S(本発明の「センサ」に相当する)を有していて、例えば、遊技球100球分(約545g)以上の重量を検出すると、後述する主制御基板60に検出信号を送信するように構成されている。なお、球受容部32の収容部32Aは、上皿27に通じる連絡通路(図示せず)に接続されていて、連絡通路は常には図示しない閉塞板により閉鎖されている。
【0031】
以下、パチンコ遊技機10の制御について説明する。図7に示すように、パチンコ遊技機10には、CPU60A、RAM60B及びROM60Cを実装した主制御基板60と、CPU61A、RAM61B及びROM61Cを実装したサブ制御基板61とを備えている。そして、主制御基板60のCPU60Aが図8に示したメイン処理PG1を実行すると共に、サブ制御基板61のCPU61Aが図9に示したメイン処理PG2を実行して遊技の制御を行う。
【0032】
図8に示すように、メイン処理PG1では、パチンコ遊技機10の電源投入後に初期設定(S1)を行ってから、割込禁止(S2)、乱数カウンタ更新処理(S3)及び割込許可(S4)を繰り返して行うループに入る。そのループで乱数カウンタ更新処理(S3)が実行される度に、複数の乱数生成カウンタが更新される。そして、例えば、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときには、特図判定用の乱数生成カウンタの値が特図判定用の乱数として取得されてRAM60Bに格納される。
【0033】
主制御基板60のCPU60Aは、上記したメイン処理PG1のループに対して、主制御基板割込処理(S5)を所定周期で割り込ませて実行する。主制御基板割込処理(S5)に含まれる図示しない「特図判定処理」では、特図判定用の乱数が、予め設定された値と一致したか否かによって特図の当否判定を行う。主制御基板割込処理(S5)では、上記した特図の当否判定以外に、その判定の結果の報知内容を指示するコマンドや種々の制御データもRAM60Bにセットし、それらコマンドや制御データをサブ制御基板61に受け渡したらリセットする。また、主制御基板割込処理(S5)では、賞球の払い出しも制御する。
【0034】
図9に示すように、サブ制御基板61のCPU61Aで実行されるメイン処理PG2においても、主制御基板60のCPU60Aで実行されるメイン処理PG1と同様に、初期設定(S21)を行ってから、割込禁止(S24)、乱数カウンタ更新処理(S25)及び割込許可(S26)を繰り返して行うループに入る。そして、そのループに対して、受信割込処理(S27)、2msタイマ割込処理(S28)、10msタイマ割込処理(S29)を割り込んで実行する。
【0035】
受信割込処理(S27)では、図10に示すように、ストローブ信号をチェックし(S271)、ストローブ信号がオンでなければ(S271でNo)、直ちにこの処理(S27)を抜け、ストローブ信号がオンであれば(S271でYes)、主制御基板60からサブ制御基板61に送られたコマンド(以下、「特図変動コマンド」という)や制御データを取り込んでRAM61Bに格納してから(S272)、この処理(S27)を抜ける。
【0036】
2msタイマ割込処理(S28)は、図11に示されており、2msecの周期で割り込み実行され、先ずは出力処理(S281)で、次述する10msタイマ割込処理(S29)で作成した制御データを表示装置13等の制御基板に出力する。次いで、入力処理(S282)で、重量センサ32Sを含む、パチンコ遊技機10の各種スイッチの状態を読み込んでスイッチデータを作成する。そして、ウォッチドックタイマ処理(S283)で、ウォッチドックタイマをリセットする。
【0037】
10msタイマ割込処理(S29)は、10msecの周期で割り込み実行され、図12には、この処理(S29)のうち本発明に係る処理のみが示されている。この処理(S29)では、先ずはスイッチ状態取得処理(S41)を行って、2msタイマ割込処理(S28)で作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとして取り込む。次いで、受信コマンド解析処理(S45)を実行する。受信コマンド解析処理(S45)では、主制御基板60から受信したコマンドに応じて、当否判定の結果報知や演出等に関する処理を行う。
【0038】
図12に示すように、10msタイマ割込処理(S29)では、受信コマンド解析処理(S45)についで、遊技中断処理(S46)が行われる。
【0039】
図13に示すように、遊技中断処理(S46)では、先ずFLG1が「1」になっているか否かをチェックする(S51)。FLG1が「1」になっていない場合には(S51でNo)、スイッチ状態取得処理(S41)に取り込まれたスイッチデータから、重量センサ32Sがオンかオフか(即ち、遊技球が100球以上球受容部32に投入された否か)をチェックする(S52)。重量センサ32Sがオフである場合(S52でNo)は直ちにこの処理(S46)から抜ける一方、重量センサ32Sがオンである場合(S52でYes)は、FLG1を「1」にセット(S53)すると共に、表示画面13Gに図6(A)に示されるパスワード設定画面を表示させるコマンドをセットする(S54)。図6(A)に示すように、パスワード設定画面では、遊技者に4桁の解除パスワード(本発明の「解除条件」に相当する)を設定するように示唆するメッセージが表示され、遊技者は十字キー35Bと決定ボタン35A(図1参照)とを操作して解除パスワードを設定する。なお、ステップS54を実行しているときのCPU61A、表示装置13、十字キー35B、決定ボタン35A等が本発明の「解除条件設定手段」に相当する。
【0040】
図13に示すように、遊技中断処理(S46)では、ステップS54に次いで、又は、ステップS51でFLG1が「1」になっている場合(S51でYes)、ステップS55に進む。ステップS55では、FLG2が「1」になっているか否かをチェックする。FLG2が「1」になっていない場合には(S55でNo)、解除パスワードが設定されているか否かをチェックする(S56)。解除パスワードが設定されていない場合(S56でNo)は、直ちにこの処理(S46)から抜ける一方、解除パスワードが設定されている場合(S56でYes)は、FLG2を「1」にセットし(S57)、中断処理(S58)を行う。中断処理(S58)では、中断用バー26を操作ノブ24のバー受容孔24Nに挿入してパチンコ遊技機10を遊技中断状態にすると共に、表示画面13Gに図6(B)に示される中断示唆画面を表示させるコマンドをセットする。図6(B)に示すように、中断示唆画面では、パチンコ遊技機10が遊技中断状態であることを示唆するとともに、遊技者に事前に設定した解除パスワードの入力を促すメッセージが表示される。なお、中断処理(S58)を実行しているときのCPU61A、操作ノブ24、バー受容孔24N、中断用バー26等が本発明の「遊技中断手段」に相当し、中断処理(S58)を実行しているときのCPU61A、表示装置13が本発明の「中断示唆手段」に相当する。
【0041】
図13に示すように、遊技中断処理(S46)では、ステップS58に次いで、又は、ステップS55でFLG2が「1」になっている場合(S55でYes)、ステップS59に進む。ステップS59では、解除パスワードが入力されたか否かをチェックする。解除パスワードが入力されていない場合(S59でNo)は、直ちにこの処理(S46)を抜ける一方、解除パスワードが入力された場合(S59でYes)は、FLG1及びFLG2を「0」にセット(S60)すると共に、中断解除処理を行って(S61)、この処理(S46)を抜ける。なお、中断解除処理(S61)では、中断用バー26をノブ土台25に戻して操作ノブ24を回動可能とし、表示画面13Gに客待ち画面を表示させるコマンドをセットすると共に、球受容部32から上皿27への連絡通路の閉塞板を開き、球受容部32内の遊技球を上皿27へ返還する。
【0042】
なお、図12に示すように、10msタイマ割込処理(S29)の最後にコマンド送信処理(S48)が行われると、表示装置13等の制御基板にコマンドが受け渡され、その後、それらコマンドはリセットされる。
【0043】
本実施形態のパチンコ遊技機10の制御に関する説明は以上である。上記した制御により、球受容部32に遊技球が100球以上投入されると、表示画面13Gにパスワード設定画面(図6(A))が表示される。そして、遊技者が4桁の解除パスワードを設定すると、中断用バー26が操作ノブ24のバー受容孔24N内に移動してパチンコ遊技機10が遊技中断状態になると共に、表示画面13Gに中断示唆画面(図6(B))が表示される。
【0044】
そして、中断示唆画面(図6(B))において、設定されていた解除パスワードが入力されると、中断用バー26がノブ土台25に戻って操作ノブ24が回動可能になると共に、表示画面13Gに客待ち画面が表示され、遊技の実行が可能となる。なお、表示画面13Gに客待ち画面を表示する前に、図15(B)に示すように遊技を再開することを示唆するメッセージを表示してもよい。
【0045】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、このパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。パチンコ遊技機10では、遊技が行われていないときは、表示画面13Gに客待ち画面が表示されている。そして、操作ノブ24を回動して遊技を開始すると、遊技領域R1に遊技球が順次打ち込まれ、上述した当否判定等が行われる。
【0046】
ところで、遊技中の遊技者が休憩等のために一時的にパチンコ遊技機10から離れることがあるが、その間に他の遊技者がそのパチンコ遊技機10で遊技を始めてしまう等して、遊技者同士のトラブルが起こり得る。
【0047】
これに対して、本実施形態のパチンコ遊技機10では、遊技者が球受容部32に遊技球を100球以上投入して解除パスワードを設定すると、パチンコ遊技機10が操作ノブ24の回動が不可能な遊技中断状態になるため、解除パスワードを設定した遊技者以外の遊技者が遊技を行うことが防止される。このため、遊技者同士のトラブルの発生を防止することが可能となる。また、遊技者によっては、遊技中のパチンコ遊技機を確保するために席を離れる際に私物(財布や携帯電話等)を載置していくことがあるが、本実施形態のパチンコ遊技機10では、そのような私物の載置が不要となるため、盗難を防止することも可能となる。
【0048】
また、パチンコ遊技機10が遊技中断状態となると、中断示唆画面が表示され、遊技中断状態であることを他の遊技者に認識させることが可能となり、遊技者同士のトラブルの発生をより防止することが可能となる。
【0049】
また、遊技者によっては、パチンコ遊技機10を遊技中断状態にしたまま帰宅するというイタズラが行われることも考えられるが、遊技中断状態とするために遊技球100球の投入(即ち、遊技球100球の担保)を条件としているため、そのようなイタズラが抑制される。また、投入した遊技球は、遊技中断状態の解除後に返還されるため、遊技者は、気軽にこの中断方法を利用することができる。
【0050】
[第2実施形態]
本実施形態は、遊技中断状態の維持に制限時間(本実施形態では、5分間)が定められいる点が第1実施形態と異なっている。本実施形態のパチンコ遊技機10では、遊技者が4桁の解除パスワードを設定してパチンコ遊技機10が遊技中断状態になると、図14(A)に示すように、遊技者に対して5分以内に戻るように示唆するメッセージが数秒表示された後、図14(B)に示すように、中断中であることと5分後に戻ることとを示唆するメッセージが示された中断示唆画面が表示される。
【0051】
そして、1分経過すると(残り時間が4分になると)、図15(A)に示すように、中断中であることと4分後に戻ることとを示唆するメッセージ(図17におけるメッセージ4)が表示される。同様に、2分経過すると(残り時間が3分になると)、3分後に戻ることを示唆するメッセージ(図17におけるメッセージ3)が表示され、3分経過すると(残り時間が2分になると)、2分後に戻ることを示唆するメッセージ(図17におけるメッセージ2)が表示され、4分経過すると(残り時間が1分になると)、1分後に戻ることを示唆するメッセージ(図17におけるメッセージ1)が表示される。
【0052】
そして、5分経過すると(残り時間が0分となると)、又は、5分経過する途中で解除パスワードが入力されると、図15(B)に示すように、表示画面13Gに遊技を再開することを示唆するメッセージが表示された後、客待ち画面が表示され、遊技の実行が可能となる。
【0053】
上述した構成とすることにより、例えば、遊技中断状態にしたまま遊技者が帰ってしまった場合に、そのパチンコ遊技機10が遊技中断状態のまま他の遊技者が遊技を行うことができなくなるということを防ぐことができる。また、遊技者が無用に長時間パチンコ遊技機10を離れることを抑制することができる。
【0054】
次に、図16及び図17に基づいて、本実施形態のパチンコ遊技機10の内部処理について説明する。本実施形態では、遊技中断処理(S46W)が第1実施形態と異なっている。図16に示すように、遊技中断処理(S46W)では、先ずFLG1が「1」になっているか否かをチェックする(S71)。FLG1が「1」になっていない場合には(S71でNo)、スイッチ状態取得処理(S41)に取り込まれたスイッチデータから、重量センサ32Sがオンかオフか(即ち、遊技球が100球以上球受容部32に投入された否か)をチェックする(S72)。重量センサ32Sがオフである場合(S72でNo)は直ちにこの処理(S46W)から抜ける一方、重量センサ32Sがオンである場合(S72でYes)は、FLG1を「1」にセット(S73)すると共に、表示画面13Gに図6(A)に示されるパスワード設定画面を表示させるコマンドをセットする(S74)。図6(A)に示すように、パスワード設定画面では、遊技者に4桁の解除パスワードを設定するように示唆するメッセージが表示され、遊技者は十字キー35Bと決定ボタン35A(図1参照)とを操作して解除パスワードを設定する。
【0055】
図16に示すように、遊技中断処理(S46W)では、ステップS74に次いで、又は、ステップS71でFLG1が「1」になっている場合(S71でYes)、ステップS75に進む。ステップS75では、FLG2が「1」になっているか否かをチェックする。FLG2が「1」になっていない場合には(S75でNo)、解除パスワードが設定されているか否かをチェックする(S76)。解除パスワードが設定されていない場合(S76でNo)は、直ちにこの処理(S46W)から抜ける一方、解除パスワードが設定されている場合(S76でYes)は、FLG2を「1」にセットし(S77)、ステップS58と同様の中断処理(S78)を行って、タイマをスタートさせる(S79)。
【0056】
図16及び図17に示すように、遊技中断処理(S46W)では、ステップS79に次いで、又は、ステップS75でFLG2が「1」になっている場合(S75でYes)、ステップS80に進む。ステップS80では、解除パスワードが入力されたか否かをチェックする。解除パスワードが入力されていない場合(S80でNo)は、タイマが5分以上経過したか否かをチェックする(S81)。タイマが5分以上経過した場合(S81でYes)、又は、ステップS81で解除パスワードが入力された場合(S81でYes)は、FLG1及びFLG2を「0」にセット(S86)し、上述した中断解除処理を行い(S87)、タイマをリセットして(S88)、この処理(S46W)を抜ける。なお、タイマが5分以上経過した場合(S81でYes)に中断解除処理(S87)を実行しているときのCPU61Aが本発明の「自動解除手段」に相当する。
【0057】
タイマが5分未満の場合(S81でNo)、タイマが4分以上経過したか否かをチェックする(S82)。タイマが4分以上経過した場合(S82でYes)、表示画面13Gにメッセージ4を表示させるコマンドをセットする(S89)一方、タイマが4分未満の場合(S82でNo)、タイマが3分以上経過したか否かをチェックする(S83)。タイマが3分以上経過した場合(S83でYes)、表示画面13Gにメッセージ3を表示させるコマンドをセットする(S90)一方、タイマが3分未満の場合(S83でNo)、タイマが2分以上経過したか否かをチェックする(S84)。タイマが2分以上経過した場合(S84でYes)、表示画面13Gにメッセージ2を表示させるコマンドをセットする(S91)一方、タイマが2分未満の場合(S84でNo)、タイマが1分以上経過したか否かをチェックする(S85)。タイマが1分以上経過した場合(S85でYes)、表示画面13Gにメッセージ1を表示させるコマンドをセットする(S92)一方、タイマが1分未満の場合(S85でNo)、直ちにこの処理(S46W)を抜ける。
【0058】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)上記実施形態では、遊技中断状態となるのが、解除パスワードを設定した後であったが、球受容部32に遊技球を100球以上投入した時点で、遊技中断状態となる構成であってもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では、球受容部32に投入された遊技球の量を重量センサ32Sにより重量で検出したが、遊技球の通過を検出するセンサにより個数を検出する構成であってもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、パスワード設定画面を表示するための条件が、球受容部32に遊技球を100球以上投入することであったが、例えば、遊技球が100球以上投入されるとパスワード設定画面が表示されると共に、125球以上投入されるとパスワード設定画面が消滅するといったように、パスワード設定画面を表示させるための遊技球数に範囲を上限を設けてもよい。また、例えば、100球ちょうど(即ち、上限と下限が共に100)投入されたときのみ、パスワード設定画面を表示する構成としてもよい。なお、球数(100球、125球等)は例示であり、それ以外の球数であってもよい。
【0062】
(4)上記実施形態では、遊技中断状態で遊技の続行を不可能とするために、操作ノブ24の回動を不可能とする構成であったが、例えば、打撃槌53の回動を阻害して操作ノブ24を回しても遊技球が打ち込まれない構成としてもよいし、発射球供給装置40から発射レール52への送球を阻害する構成としてもよい。また、遊技球は発射されるが、賞球の払い出しや当否判定等が行われない構成としてもよい。
【0063】
(5)パスワードの設定に制限時間を設けてもよい。例えば、パスワード設定画面が表示されてから1分経過すると、パスワード設定画面の表示が終了して客待ち画面が表示され、遊技中断状態にならずに球受容部32の遊技球が返還される構成であってもよい。
【0064】
(6)上記実施形態では、本発明の「解除条件」がパスワードであったが、それ以外のものであってもよい。例えば、十字キー35Bを任意の順に押していくものであってもよいし、解除条件の設定時に遊技球数を任意に設定し、設定した球数分の遊技球を球受容部32に投入することで遊技中断状態が解除されるという構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 パチンコ遊技機
13 表示装置
13G 表示画面
24 操作ノブ
24N バー受容孔
25 ノブ土台
26 中断用バー
27 上皿
32 球受容部
32S 重量センサ
60 主制御基板
61 サブ制御基板
【要約】
【課題】遊技者同士のトラブルの発生を防止することが可能な遊技機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のパチンコ遊技機10では、球受容部32に遊技球が100球以上投入されると、表示画面13Gにパスワード設定画面が表示される。そして、遊技者が4桁の解除パスワードを設定すると、中断用バー26が操作ノブ24のバー受容孔24N内に移動してパチンコ遊技機10が遊技中断状態になると共に、表示画面13Gに中断示唆画面が表示される。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17