特許第6164889号(P6164889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 焼津水産化学工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6164889
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】造粒顆粒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20170710BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20170710BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   A61K9/16
   A61K47/44
   A61K47/14
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-70959(P2013-70959)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-193829(P2014-193829A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033145
【氏名又は名称】焼津水産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】上野 友哉
【審査官】 吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−341146(JP,A)
【文献】 特開2008−104458(JP,A)
【文献】 特開平06−178650(JP,A)
【文献】 特開2011−178666(JP,A)
【文献】 特開昭54−113471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A23L 5/00− 5/30
A23L 29/00−29/30
A23K 20/00−20/195
A23P 10/00−30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂と乳化剤とを含有し、その全体の70質量%以上が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするものである真空乾燥粉末であって、前記油脂を5質量%〜25質量%含有する該真空乾燥粉末を、20質量%〜100質量%の割合で配合して流動造粒してなることを特徴とする造粒顆粒。
【請求項2】
油脂と乳化剤と水とを含有し、前記油脂を5質量%〜25質量%含有する真空乾燥材料を均質化処理した後に真空乾燥し、得られた乾燥物を解砕し、整粒して、前記真空乾燥粉末として、その全体の70質量%以上が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンする真空乾燥粉末を調製し、前記真空乾燥粉末を20質量%〜100質量%の割合で配合して流動造粒することを特徴とする造粒顆粒の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水への沈降性、分散性等の溶解適性に優れた造粒顆粒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、粉末の造粒加工の目的には、多種原料が混合される際の均一性を高めたり、粉末充填機に適した高速計量性(流動性)をもたせたり、表面積を減少させることで吸湿速度を低減させたり、粉末の飛散や容器への付着を防止したり、外観上の付加価値の向上など、様々であるが、水への溶解適性を向上させるためにも、しばしば造粒加工が用いられる。
【0003】
粉末を水に溶かす際には、まま粉の形成という問題がある。まま粉の形成とは、粉末自体が水へ分散する速度よりも、水と粉体の接触面での水和が早い場合に、接触面のみの水和が生じ、溶解していない粉体が内部に残る現象をいう。まま粉が形成されると、内部に残る粉体が分散せずに、溶けにくくなる。
【0004】
造粒加工の対象となる粉末の1つとして、スプレードライ乾燥品が知られている。しかし、スプレードライ乾燥品は、微粉末状で表面積が大きいために水和が早く、まま粉を形成しやすい。また、粒子が中空構造をとり、空気を抱いているため、造粒加工を施しても水面上に浮く傾向があり、水面付近からの沈み込みが遅いという問題がある。
【0005】
このような問題に関し、例えば下記特許文献1には、粉末原料をポリソルベートで処理することによって、飛散性、水への溶解性・分散性が改善された粉末組成物を得る方法が記載されている。また、特許文献2では、予め、まま粉形成性成分と乳化剤とを混合して乳化剤-まま粉形成性成分混合物を調製し、次いで残りの成分を乳化剤-まま粉形成性成分混合物と混合し、造粒することにより、溶解性を改善した顆粒状組成物を得る方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法では、水へ溶解して用いるタイプの混合調味料や粉末食品等であって、特に油脂を多く含むものについては、水に溶かす際の沈降性や湿潤性に優れず、必ずしも溶解適性の改善には繋がらなかった。
【0007】
一方、特許文献3には、ドラム乾燥法によって得られた非多孔質で薄片状のコラーゲンペプチド粉末と結着剤とを造粒することにより、水に加えた際に、沈降溶解性がよく、速やかに沈降溶解する、コラーゲンを含む造粒物を得ることが記載されている。また、特許文献4,5には、コラーゲンペプチドを含有する溶液を真空乾燥により乾燥し、粉体化して、水への溶解適性等の品質に優れ、飲食品や化粧品への配合に有利な、コラーゲンペプチド粉体組成物を得ることが記載されている。
【0008】
ドラム乾燥や真空乾燥を施した粉体を電子顕微鏡で観察すると、密なブロック構造をとっており、中空構造をとらずに空気を含まないため、水に加えた際には沈むという特徴があり、これらの技術はその性質を活かした方法である。
【0009】
しかしながら、水へ溶解して用いるタイプの混合調味料や粉末食品等であって、特に親水性の高いタンパク質や糖質を多く含むものについては、ドラム乾燥や真空乾燥に処すると、水に溶かす際の沈降性は改善するが、かえって分散性や湿潤性が悪くなり、結果として溶解適性の改良には繋がらなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−121061号公報
【特許文献2】特開2008−104435号公報
【特許文献3】特開2009−171903号公報
【特許文献4】特開2011−178666号公報
【特許文献5】特開2012−196156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、水への沈降性、分散性等の溶解適性に優れ、糖質、タンパク質、食物繊維、油脂、ミネラルなどの各成分が多様に含まれる、混合調味料や粉末食品等の加工食品であっても、それを迅速に溶かすことができるようにした、造粒顆粒及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の造粒顆粒は、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末を、20質量%〜100質量%の割合で配合して流動造粒してなることを特徴とする。
【0013】
本発明の造粒顆粒によれば、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末を、造粒加工の粉体原料の一部または全部として、配合して顆粒化したので、真空乾燥加工による効果と造粒加工による効果とが相乗的に活かされ、水への沈降性、分散性等の溶解適性に優れた造粒顆粒となすことができる。
【0014】
本発明の造粒顆粒においては、前記真空乾燥粉末が、油脂を5質量%〜25質量%含有することが好ましい。
【0015】
また、前記真空乾燥粉末が、その全体の70質量%以上が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするものであることが好ましい。
【0016】
一方、本発明の造粒顆粒の製造方法は、油脂と乳化剤と水とを含有する真空乾燥材料を均質化処理した後に真空乾燥して真空乾燥粉末を調製し、前記真空乾燥粉末を20質量%〜100質量%の割合で配合して流動造粒することを特徴とする。
【0017】
本発明の造粒顆粒の製造方法によれば、油脂と乳化剤と水とを含有する真空乾燥材料を均質化処理した後に真空乾燥して真空乾燥粉末を調製し、その真空乾燥粉末を、造粒加工の粉体原料の一部または全部として、配合して顆粒化したので、真空乾燥加工による効果と造粒加工による効果とが相乗的に活かされ、水への沈降性、分散性等の溶解適性に優れた造粒顆粒を得ることができる。
【0018】
本発明の造粒顆粒の製造方法においては、前記真空乾燥粉末が、油脂を5質量%〜25質量%含有することが好ましい。
【0019】
また、前記真空乾燥後に得られた乾燥物を解砕し、整粒して、前記真空乾燥粉末として、その全体の70質量%以上が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするものを調製することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末を、造粒加工の粉体原料の一部または全部として、配合して顆粒化することにより、真空乾燥加工による効果と造粒加工による効果とを相乗的に活かして、水への沈降性、分散性等の溶解適性に優れた造粒顆粒を得ることができる。これにより、糖質、タンパク質、食物繊維、油脂、ミネラルなどの各成分が多様に含まれる、混合調味料や粉末食品等の加工食品であっても、それを迅速に溶かすことができるようにした、造粒顆粒を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明の造粒顆粒を得るために用いられる食品原料について説明する。
【0022】
[食品原料]
本発明で用いられる油脂としては、食品に利用可能な油脂であればよく、特に制限されるものではない。例えば、大豆、トウモロコシ、菜種、えごま、シソ、オリーブ、米、ココナッツ等を由来とする植物性油脂、家畜の乳、卵及び魚由来の動物性油脂、中鎖脂肪酸などが挙げられるが、特に大豆、トウモロコシ、菜種等の植物性油脂が好ましい。これらの油脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明で用いられる乳化剤としては、食品に利用可能な乳化剤であればよく、特に制限されるものではないが、好ましくはHLB値7〜16、より好ましくはHLB値8〜11の各種乳化剤が用いられ、例えばショ糖脂肪酸エステル、酵素分解レシチン、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明においては、上記の油脂及び乳化剤以外にも、その造粒顆粒に各種の食品原料を配合することに、特に制限はない。
【0025】
例えば、糖質として、デキストリン、デンプン、加工デンプン、オリゴ糖、二糖類、単糖類、糖アルコール、増粘多糖類、機能性多糖類などが挙げられる。
【0026】
また、タンパク質として、乳たんぱく質、ホエイたんぱく質、カゼイン、大豆たんぱく質及びそのペプチド類、コラーゲンペプチド、卵白ペプチドなどが挙げられる。
【0027】
また、ミネラル分として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、その他微量元素などが挙げられる。
【0028】
また、ペプチド・アミノ酸類、ビタミン類、ポリフェノール類、食物繊維、甘味料、呈味料、香料等の栄養成分及び食品添加物を、適宜配合することができる。
【0029】
これらの食品原料は、後述するように、真空乾燥粉末の原料としても、また、それに追加される造粒材料の原料としても用いることができる。
【0030】
本発明の造粒顆粒は、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末を、20質量%〜100質量%の割合で配合して流動造粒してなるものである。
【0031】
以下には真空乾燥粉末について説明する。
【0032】
[真空乾燥粉末]
真空乾燥粉末を調製するために、上述したような油脂及び乳化剤を含有し、さらに上述したようなその他の食品原料を適宜含有する真空乾燥材料を準備する。
【0033】
上記真空乾燥材料は、得られる真空乾燥粉末中での含有量に換算して、油脂を5質量%〜25質量%含有することが好ましく、10質量%〜15質量%含有することがより好ましい。油脂は、食品素材の各成分の混合、分散、乳化などを助けるので、これにより溶解適性の向上に寄与できる真空乾燥粉末を得ることができる。なお、油脂の含有量が多すぎると、他の栄養成分等の配合量が相対的に確保できないので、好ましくない。
【0034】
上記真空乾燥材料は、得られる真空乾燥粉末中での含有量に換算して、乳化剤を0.5質量%〜2.75質量%含有することが好ましく、1.0質量%〜1.5質量%含有することがより好ましい。乳化剤は、上記油脂とともに、食品素材の各成分の混合、分散、乳化などを助けるので、これにより溶解適性の向上に寄与できる真空乾燥粉末を得ることができる。なお、乳化剤の含有量が多すぎると、風味、呈味に影響があるので、好ましくない。
【0035】
上記真空乾燥材料は、得られる真空乾燥粉末中での含有量に換算して、デキストリン、オリゴ糖、ショ糖等の糖質を45質量%〜75質量%含有することが好ましく、50質量%〜70質量%含有することがより好ましい。これによれば、これらの糖質が真空乾燥の基材として機能するので、更により溶解適性の向上に寄与できる真空乾燥粉末を得ることができる。なお、このような基材の含有量が多すぎると、他の栄養成分等の配合量が相対的に確保できないので、好ましくない。
【0036】
上記真空乾燥材料の水分含量は、適宜所定の水分含量の食品原料を用いたり、加水したりして、真空乾燥に適した水分含量に調整される。その際、温水を加水してもよく、水分調整後に殺菌またはそれに準ずる方法で処理してもよい。また、真空乾燥時の起泡を低減するため、シリコーン、アルコール等の消泡剤を添加してもよい。真空乾燥材料中の水分含量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0037】
本発明においては、上記真空乾燥材料に均質化処理を施すことが好ましい。これにより、上記油脂及び乳化剤による、食品素材の各成分の混合、分散、乳化などを助ける効果をより高めることができ、更により溶解適性の向上に寄与できる真空乾燥粉末を得ることができる。均質化処理は、当業者に周知の方法並びに装置によって、例えばホモジナイザーなどを用いて行なうことができるが、油脂を多く含む場合には、乳化をより完全にするため10MPa〜50MPaの高圧処理を伴うホモジナイザーで行なうことが好ましく、15MPa〜30MPaの高圧処理で行なうことがより好ましい。
【0038】
真空乾燥は、当業者に周知の方法並びに装置によって行うことができる。例えば、連続式ベルト乾燥装置(CVD)、真空ドラム式乾燥装置(VDD)、凍結乾燥(FD)などが好ましく採用される。
【0039】
真空乾燥によれば、パフ状、燐片状の乾燥物が得られるので、それを適宜解砕することで、粉末状にして、真空乾燥粉末とすることができる。
【0040】
本発明においては、真空乾燥後に得られた乾燥物を解砕し、整粒して、その全体の70質量%以上が、JIS規格による標準篩を用いて12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするものを調製することが好ましく、その全体の80質量%以上が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするものを調製することがより好ましく、その全体の90質量%以上が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするものを調製することが最も好ましい。これによれば、より溶解適性の向上に寄与できる真空乾燥粉末となすことができる。
【0041】
解砕及び整粒の方法に特に制限はなく、当業者に周知の方法並びに装置によって行うことができる。
【0042】
以下には造粒加工について説明する。
【0043】
[造粒加工]
造粒加工のため、上記のようにして得られた真空乾燥粉末を20質量%〜100質量%、より好ましくは25質量%〜100質量%、更により好ましくは30質量%〜100質量%の割合で有し、さらに適宜その他の食品原料を含有する造粒材料を準備する。造粒材料中の真空乾燥粉末が20質量%未満であると、溶解適性の向上に寄与する効果に乏しいので、好ましくない。一方で、溶解適性に寄与する真空乾燥粉末の割合は、造粒顆粒全体の少なくとも20質量%あればよいので、真空乾燥工程の製造コストを抑えたり、真空乾燥に適さない食品素材を造粒時に追加したりしたい場合には、真空乾燥粉末の割合を、例えば80質量%以下、より典型的には50質量%以下としてもよい。
【0044】
真空乾燥粉末に追加して、造粒材料とする食品素材としては、上述した各種の食品原料を用いることができる。この場合、真空乾燥粉末の調製に用いた食品素材以外のものを用いてもよく、同じものを用いてもよい。すなわち、得られる造粒顆粒の一部又は全部が上記真空乾燥粉末で構成され、造粒時に追加した食品素材でその残部が構成されるようにすればよい。
【0045】
造粒加工の際には、得られる造粒顆粒中での含有量に換算して、デキストリン、オリゴ糖、ショ糖等の糖質を10質量%〜45質量%を使用することが好ましく、15質量%〜40質量%を使用することがより好ましい。これによれば、これらの糖質が造粒顆粒の基材として機能するので、更により溶解適性の向上した造粒顆粒を得ることができる。なお、この基材の含有量は、真空乾燥粉末に含まれるものと、真空乾燥粉末に追加して造粒材料とする食品素材に含まれるものとを合算した含有量である。このような基材の含有量が多すぎると、他の栄養成分等の配合量が相対的に確保できないので、好ましくない。
【0046】
また、真空乾燥粉末にはタンパク質を含有する食品原料を配合せずに、この造粒加工の際に、得られる造粒顆粒中での含有量に換算して、タンパク質を5質量%〜30質量%使用することが好ましく、10質量%〜25質量%使用することがより好ましい。これによれば、タンパク質の種類によっては、それを真空乾燥に処すると分散性、湿潤性に乏しくなるので、これを回避して、更により溶解適性の向上した造粒顆粒を得ることができる。
【0047】
造粒手段としては、空気で流動化させた粉体層に水やバインダー液をスプレーして凝集造粒する、流動造粒の方式が採用される。これによれば、上記真空乾燥粉末を、その粉末状のまま造粒に供することができる。そのバインダー液としては、グァーガム、キサンタンガム等の増粘多糖類、デキストリン、デンプン、単糖類、ゼラチン、乳化剤を含む油脂等の溶液が挙げられる。なお、このバインダー液の使用量は少量であり、得られる造粒顆粒100質量部に対して、固形分換算にして0.01〜0.10質量部程度であり、本発明による造粒顆粒の成分構成にほとんど影響を与えない。
【0048】
本発明の造粒顆粒は、例えば、ダイエット粉末飲料、プロテイン高配合の粉末飲料、栄養ドリンク用粉末などの用途に好適に用いられる。これによれば、従来、比較的大量(例えば8倍量)の水に対し、シェイクにより分散させていた方式を、少量(例えば2倍量)の水に加えてスプーンで撹拌するだけで簡単に溶かす方式にできるので、摂取する者の負担を軽減することが可能となる。また、溶解適性に寄与する真空乾燥粉末の割合は、造粒顆粒全体の少なくとも20質量%あればよいので、製造コストを抑えることが可能となる。
【0049】
また、従来、実用性の面から液体の形態で提供されていた医療用濃厚流動食についても、溶解適性が改善されたことにより、顆粒の形態で提供することが可能となる。これにより、賞味期限の延長、重量の軽量化による輸送コストの軽減、水中で不安定な機能性食品成分の配合などが可能となる。
【0050】
このような用途に適用する場合、その造粒顆粒中にタンパク質を5〜30質量%含有することが好ましく、10〜25質量%含有することがより好ましい。また、造粒顆粒中に糖質を10質量%〜45質量%含有することが好ましく、15質量%〜40質量%含有することがより好ましい。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0052】
<試験例1>
下記表1に示す配合で造粒顆粒を調製した。
【0053】
【表1】
【0054】
具体的には、表1中のA欄に示す配合の原材料100質量部をおよそ40〜50質量部の水に加え、60℃にて20分間攪拌し、ホモジナイザー(「APVホモジナイザー」、日本APV株式会社)にて均質化処理を施した。これを真空乾燥装置(「真空ベルト乾燥機」株式会社日阪製作所)に供し、得られた乾燥物を家庭用ミキサーで解砕し、ステンレス製の篩により、全体の70質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするように整粒して、真空乾燥粉末を得た。
【0055】
次いで、表1中のB欄に示す配合で、この真空乾燥粉末を各割合で用いた原材料を、流動層造粒装置(「FLOW COATER MULTI」、株式会社大川原製作所)に供して造粒した。その際、バインダー液として0.5質量%キサンタンガム溶液を、流動層造粒装置に供する粉体100質量部に対して16質量部(固形分換算にして0.08質量部)用いた。
【0056】
以下には、調製した試料1〜試料6の特徴をまとめた。
【0057】
[試料1]
油脂を5質量%、乳化剤を0.5質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に100質量%の割合で配合した。
【0058】
[試料2]
油脂を10質量%、乳化剤を1質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に50質量%の割合で配合した。
【0059】
[試料3]
油脂を15質量%、乳化剤を1.5質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に30質量%の割合で配合した。
【0060】
[試料4]
油脂を25質量%、乳化剤を2.5質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に20質量%の割合で配合した。
【0061】
[試料5]
油脂を27.5質量%、乳化剤を2.75質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に10質量%の割合で配合した。
【0062】
[試料6]
真空乾燥粉末とせずにすべての原材料を流動層造粒装置にそのまま供した。その際、油脂としては粉末油脂(油脂55%質量含有)を9質量%の割合で配合した。
【0063】
試料1〜試料6について、水への沈降性と分散性を評価した。具体的には、25℃の水に5質量%となるように顆粒を添加し、30秒間観察して、自重で沈み、白濁するまでの時間を測定し、その後スパーテルで撹拌しながら(2回転/秒)、白濁が消えて水に溶け込むまでの時間を測定した。
【0064】
評価は、下記表2に示す基準に基づいて沈降性と分散性とを評価したうえ、その総合評価をスコア化した。結果を下記表3に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
表3に示すように、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末を、造粒時に100質量%の割合で配合した試料1、その割合が50質量%である試料2、その割合が30質量%である試料3、その割合が20質量%である試料4は、それぞれ良好な水への沈降性、分散性を示した。特に試料1〜試料3の結果が顕著に優れていた。一方、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末を、造粒時に10質量%の割合で配合した試料5や、真空乾燥粉末を配合しないで造粒した試料6では、水への沈降性や分散性が悪かった。よって、造粒する原材料中に、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末の割合が多いほど、水への沈降性、分散性に優れていることが明らかとなった。また、その真空乾燥粉末を20〜30質量%程度の比較的低い割合で配合した場合でも、水への沈降性と分散性の改善効果が得られることが明らかとなった。
【0068】
<試験例2>
試験例1と同様にして、下記表4に示す配合で、造粒顆粒を調製した。なお、造粒のバインダー液としては、0.5質量%グァーガム溶液を用いた。
【0069】
【表4】
【0070】
以下には、調製した試料7〜試料10の特徴をまとめた。
【0071】
[試料7]
油脂を5質量%、乳化剤を0.5質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に20質量%の割合で配合した。
【0072】
[試料8]
油脂を25質量%、乳化剤を2.5質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に100質量%の割合で配合した。
【0073】
[試料9]
油脂を30質量%、乳化剤を3質量%含有する真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に30質量%の割合で配合した。
【0074】
[試料10]
油脂及び乳化剤を含有しない真空乾燥粉末を、流動層造粒装置に供する粉体に30質量%の割合で配合した。
【0075】
試料7〜試料10について、試験例1と同様にして、水への沈降性と分散性を評価した。結果を下記表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
表5に示すように、油脂と乳化剤とを含有しその油脂の含有量が5質量%である真空乾燥粉末を、造粒時に20質量%の割合で配合した試料7と、油脂と乳化剤とを含有しその油脂の含有量が25質量%である真空乾燥粉末を、造粒時に100質量%の割合で配合した試料8は、それぞれ良好な水への沈降性、分散性を示した。一方、油脂と乳化剤とを含有しその油脂の含有量が30質量%である真空乾燥粉末を、造粒時に30質量%の割合で配合した試料9では、総合的には良好な溶解適性が得られたものの、試料7,8に比べて、水への沈降性がやや悪く、総合スコアでやや劣る結果となった。この理由は、真空乾燥粉末中に油脂の含有量が多すぎたためと考えられた。また、デキストリンとショ糖と塩類(ミネラル分)を含有し、油脂と乳化剤とを配合せずに調製した真空乾燥粉末を、造粒時に30質量%の割合で配合した試料10では沈降性は良いものの分散性が悪かった。よって、真空乾燥粉末により、水への沈降性と分散性の改善効果を充分に付与するためには、その真空乾燥粉末中に油脂と乳化剤とを含有する必要があることが明らかとなった。
【0078】
<試験例3>
試験例1と同様にして、下記表6に示す配合で、造粒顆粒を調製した。その際、真空乾燥粉末の整粒の程度を、下記表6に示すように替えた。
【0079】
【表6】
【0080】
以下には、調製した試料11〜試料13の特徴をまとめた。
【0081】
[試料11]
油脂を15質量%、乳化剤を1.5質量%含有し、その全体の70質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするように整粒した、真空乾燥粉末を調製した。これを、流動層造粒装置に供する粉体に30質量%の割合で配合した。
【0082】
[試料12]
油脂を15質量%、乳化剤を1.5質量%含有し、その全体の90質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするように整粒した、真空乾燥粉末を調製した。これを、流動層造粒装置に供する粉体に30質量%の割合で配合した。
【0083】
[試料13]
油脂を15質量%、乳化剤を1.5質量%含有し、その全体の40質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンし、なお且つその全体の60質量%が80メッシュ(目開き182μm)をパスするように整粒した、真空乾燥粉末を調製した。これを、流動層造粒装置に供する粉体に30質量%の割合で配合した。
【0084】
試料11〜試料13について、試験例1と同様にして、水への沈降性と分散性を評価した。結果を下記表7に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
表7に示すように、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末であって、その全体の70質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするように整粒した該真空乾燥粉末を、造粒時に30質量%の割合で配合した試料11と、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末であって、その全体の90質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするように整粒した該真空乾燥粉末を、造粒時に30質量%の割合で配合した試料12は、それぞれ良好な水への沈降性、分散性を示した。特に試料12の結果が顕著に優れていた。一方、油脂と乳化剤とを含有する真空乾燥粉末であって、その全体の40質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンし、なお且つその全体の60質量%が80メッシュ(目開き182μm)にパスするように整粒した該真空乾燥粉末を、造粒時に30質量%の割合で配合した試料13では、総合的には良好な溶解適性が得られたものの、試料11,12に比べて、水への沈降性がやや悪く、総合スコアでやや劣る結果となった。よって、真空乾燥粉末の粒度が所定の範囲に揃えられていると、水への沈降性と分散性の改善効果がより高くなることが明らかとなった。
【0087】
<製造例>
下記表8に示す配合でダイエットドリンク粉末を調製した。
【0088】
【表8】
【0089】
具体的には、表8中のA欄に示す配合の原材料100質量部をおよそ40〜50質量部の水に加え、60℃にて20分間攪拌し、ホモジナイザー(「APVホモジナイザー」、日本APV株式会社)にて均質化処理を施した。これを真空乾燥装置(「真空ベルト乾燥機」、株式会社日阪製作所)に供し、得られた乾燥物を家庭用ミキサーで解砕し、ステンレス製の篩により、全体の70質量%が12メッシュ(目開き1.42mm)をパスし、かつ、80メッシュ(目開き182μm)にオンするように整粒して、真空乾燥粉末を得た。
【0090】
次いで、この真空乾燥粉末を、表1中のB欄に示す配合で用いた原材料を、流動層造粒装置(「FLOW COATER MULTI」、株式会社大川原製作所)に供して造粒した。その際、バインダー液として0.5質量%キサンタンガム溶液を、流動層造粒装置に供する粉体100質量部に対して1.6質量部(固形分換算にして0.08質量部)用いた。
【0091】
得られたダイエットドリンク粉末の20gを、コップに入れた200mLの水に添加したところ、その粉末はすぐに沈降して、スプーンで10回ほどかき混ぜて30秒程度で完全に溶解させることができた。このダイエットドリンクは、風味よく、すっきり感ある飲みやすいドリンクであった。